沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

千歳市(北海道)が溶融炉を選定せずに最終処分場を選定した理由

2015-11-04 04:16:58 | ごみ処理計画

千歳市(北海道)が溶融炉を選定せずに最終処分場を選定した理由を整理してみます。なお、同市は当初、ガス化溶融炉の選定を検討していました。

千歳市ごみ処理施設整備計画

以下が千歳市の考え方の概要です。

(1)焼却処理方式の検討に当たり、ガス化溶融炉については、生成されるスラグの活用に伴うリサイクルの推進及び最終処分場の延命効果があると判断して、これまで次期焼却処理場の更新における導入を検討していました。

(2)しかし、運転コストが割高であるほか、溶融炉の爆発、炉周辺の作業区域への高濃度のダイオキシンの漏洩、スラグの利用先の確保が困難など、ガス化溶融炉には多くの問題点があるとともに、焼却灰がスラグ化されることによりリサイクルが推進されるという意識により、市民のごみ分別に対する意識の低下に伴うごみ量が増加するケースもあります。

(3)さらに、平成22年(2010年)3月に環境省より示された通知では、国としての溶融設備の整備に対する方針転換がなされ、従来ダイオキシン類削減対策の側面をもって進められてきた溶融設備の設置については、技術の進展により一定の効果が得られていると判断し、多大なエネルギー消費を伴う溶融処理を行うよりも、地球規模で問題となっている温室効果ガスの削減を重視する姿勢が示されています。

(4)処理技術の検討に当たっては、環境への配慮、ごみ処理の安定性、運転管理の信頼性及び安全性、維持管理の経済性及び容易性、作業環境の確保を評価しなければなれません。

(5)このことから、焼却処理方式については、環境汚染の危険性が低く、技術の安全性と施設の安定稼動による廃棄物の適正処理を優先し、また千歳市において運転実績のあるストーカ式焼却炉を検討対象とします。

(6)新たな焼却処理施設において、灰溶融固化設備は望ましくないため、焼却処理残さの処理技術の検討対象から灰溶融固化を除外することとし、直接埋立以外ではセメント原料化が有効な処理方法と考えます。

(7)用地の取得及び地域住民との合意形成が必要となりますが、総費用を考慮した場合、埋立処理場の整備が適当と考えます。

以上が千歳市の考え方の概要です。内地では「焼却炉+焼却灰のセメント原料化」を選定する市町村が増えていますが、千歳市は「総費用」を考慮して「焼却炉+最終処分場(埋立処理場)」を選定しています。

沖縄県は県が溶融炉の整備を推進していることもあり、県民の約70%(約100万人)が溶融炉に依存しています。県内においてこれから溶融炉を新たに整備する市町村は少なくなると思いますが、既存の溶融炉を長寿命化する市町村は多くなると思います。したがって、既に溶融炉を整備している市町村においては、長寿命化に当って十分な経済的評価及び溶融炉の安全性や溶融スラグの安定利用等に関するリスク評価を行っていただきたいと考えます。

※千歳市の計画書には総費用に関する詳細なデータ(15年分)が記載されていますが、計画書の作成にはかなりの時間と費用が使われていると思われます。しかし、市町村がごみ処理方式を選定又は改正する場合は、当然のこととしてこのくらいのデータは最低限必要になると考えます。なぜなら、総費用を負担するのは住民だからです。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。