東北大と東京大のチームは4日までに、沖縄や鹿児島の奄美大島に生息するヘビのハブが持つ毒の成分に、アルツハイマー病の原因物質を分解する作用があることを、培養細胞を使った実験で突き止めたと発表した。
チームは動物実験などで効果や安全性を確かめる。「将来、新たな認知症治療法の開発につながる可能性がある」としている。
認知機能が低下するアルツハイマー病は「アミロイドベータ」などのたんぱく質が脳に蓄積され、神経細胞を傷つけることで起こると考えられている。
チームはハブ毒の成分からたんぱく質を分解する特定の酵素を抽出。アミロイドベータを分泌する培養細胞に加えたところ、蓄積が約90%抑えられたという。
さらに酵素をアミロイドベータにくっつけると、直接分解することが分かった。同様の分解酵素は人間の体内にも存在しているが、ほかの生き物から見つかるのは珍しいという。
今後、マウスを使って毒性の影響や効果を調べる。チームの小川智久東北大教授(細胞生物学)は「ヘビの毒という強い成分だからこそ、人間の体内で力を発揮すると期待できる」と話した。〔共同〕