(01)
(ⅰ)
今両虎共闘、其勢不俱生=
今両虎共闘、其勢不(俱生)⇒
今両虎共闘、其勢(俱生)不=
今、両虎共に闘はば、其の勢ひ、倶には生き不=
今、二頭の虎(藺相如と廉頗)が戦うとすれば、成り行きとして、両方が、死なずに済むということは無い。
(史記、刎頚の交はり)
(02)
(ⅱ)
1 (1)∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→~(生x&生y)} A
1 (2) ∀y{(虎a&虎y&闘ay)→~(生a&生y)} 1UE
1 (3) (虎a&虎b&闘ab)→~(生a&生b) 2UE
4(4) (虎a&虎b&闘ab) A
14(5) ~(生a&生b) 34MPP
14(6) ~生a∨~生b 5ド・モルガンの法則
14(7) 生a→~生b 6含意の定義
14(8) ~生b∨~生a 6交換法則
14(9) 生b→~生a 8含意の定義
14(ア) (生a→~生b)&(生b→~生a) 79&I
1 (イ) (虎a&虎b&闘ab)→(生a→~生b)&(生b→~生a) 4アCP
1 (ウ) ∀y{(虎a&虎y&闘ay)→(生a→~生y)&(生y→~生a)} イUI
1 (エ)∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)&(生y→~生x)} ウUI
(ⅲ)
1 (1)∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)&(生y→~生x)} A
1 (2) ∀y{(虎a&虎y&闘ay)→(生a→~生y)&(生y→~生a)} 1UE
1 (3) (虎a&虎b&闘ab)→(生a→~生b)&(生b→~生a) 2UE
4 (4) (虎a&虎b&闘ab) A
14 (5) (生a→~生b)&(生b→~生a) 34MPP
14 (6) (生a→~生b) 5&E
7(7) (生a& 生b) A
7(8) 生a 7&E
147(9) ~生b 68MPP
7(ア) 生b 7&E
147(イ) ~生b&生b 9ア&I
14 (ウ) ~(生a&生b) 7イRAA
1 (エ) (虎a&虎b&闘ab)→~(生a&生b) 4ウCP
1 (オ) ∀y{(虎a&虎y&闘ay)→~(生a&生y)} エUI
1 (カ)∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→~(生x&生y)} オUI
従って、
(02)により、
(03)
② ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→~(生x&生y)}。
③ ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)&(生y→~生x)}。
に於いて、すなはち、
② すべてのxとyについて{xとyが虎であって、xとyが闘へば、(xが生きて、yも生きる)といふことはない}。
③ すべてのxとyについて{xとyが虎であって、xとyが闘へば、(xが生きるならば、yは死に)、(yが生きるならば、xは死ぬ)}。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 今両虎共闘、其勢不俱生。
② ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→~(生x&生y)}。
③ ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)&(生y→~生x)}。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(05)
1 (1) 生x→~生y A
2 (2) 生y A
3 (3) 生x A
1 3 (4) ~生y 13MPP
123 (5) 生y&~生y 24&I
12 (6)~生x 35RAA
1 (7) 生y→~生x 26C生x
8 (8) 生x A
9(9) 生y A
1 9(ア) ~生x 79MPP
1 89(イ) 生x&~生x 8ア&I
1 8 (ウ)~生y 9イRAA
1 (エ) 生x→~生y 8ウC生x
従って、
(05)により、
(06)
③ 生x→~生y
④ 生y→~生x
に於いて、
③=④ は「対偶」である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① 今両虎共闘、其勢不俱生。
② ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→~(生x&生y)}。
③ ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)&(生y→~生x)}。
④ ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(08)
(ⅳ)
1 (1)~∀x∀y{ (虎x&虎y&闘xy)→ ( 生x→~生y)} A
1 (2)∃x~∀y{ (虎x&虎y&闘xy)→ ( 生x→~生y)} 1量化子の関係
1 (3)∃x∃y~{ (虎x&虎y&闘xy)→ ( 生x→~生y)} 2量化子の関係
4 (4) ∃y~{ (虎a&虎y&闘ay)→ ( 生a→~生y)} A
5(5) ~{ (虎a&虎y&闘ay)→ ( 生a→~生y)} A
5(6) ~{~(虎a&虎b&闘ab)∨ ( 生a→~生b)} 5含意の定義
5(7) ~{~(虎a&虎b&闘ab)∨ (~生a∨~生b)} 6含意の定義
5(8) (虎a&虎b&闘ab)&~(~生a∨~生b) 7ド・モルガンの法則
5(9) (虎a&虎b&闘ab)& ( 生a& 生b) 8ド・モルガンの法則
5(ア) ∃y{ (虎a&虎y&闘ay)& ( 生a& 生y)} 9EI
4 (イ) ∃y{ (虎a&虎y&闘ay)& ( 生a& 生y)} 45アEE
4 (ウ) ∃x∃y{ (虎x&虎y&闘xy)& ( 生x& 生y)} イEI
1 (エ) ∃x∃y{ (虎x&虎y&闘xy)& ( 生x& 生y)} 14ウEE
(ⅴ)
1 (1) ∃x∃y{ (虎x&虎y&闘xy)& ( 生x& 生y)} A
2 (2) ∃y{ (虎a&虎y&闘ay)& ( 生a& 生y)} A
3(3) (虎a&虎b&闘ab)& ( 生a& 生b) A
3(4) (虎a&虎b&闘ab)&~(~生a∨~生b) 3ド・モルガンの法則
3(5) ~{~(虎a&虎b&闘ab)∨ (~生a∨~生b)} 4ド・モルガンの法則
3(6) ~{~(虎a&虎b&闘ab)∨ ( 生a→~生b)} 5含意の定義
3(7) ~{ (虎a&虎y&闘ay)→ ( 生a→~生y)} 6含意の定義
3(8) ∃y~{ (虎a&虎y&闘ay)→ ( 生a→~生y)} 7EI
2 (9) ∃y~{ (虎a&虎y&闘ay)→ ( 生a→~生y)} 238EE
2 (ア)∃x∃y~{ (虎x&虎y&闘xy)→ ( 生x→~生y)} 9EI
1 (イ)∃x∃y~{ (虎x&虎y&闘xy)→ ( 生x→~生y)} 12アEE
1 (ウ)∃x~∀y{ (虎x&虎y&闘xy)→ ( 生x→~生y)} イ量化子の関係
1 (エ)~∀x∀y{ (虎x&虎y&闘xy)→ ( 生x→~生y)} ウ量化子の関係
従って、
(08)により、
(09)
④ ~∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)}。
⑤ ∃x∃y{(虎x&虎y&闘xy)&(生x& 生y)}。
に於いて、
④=⑤ である。
従って、
(09)により、
(10)
④ ~~∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)}。
⑤ ~∃x∃y{(虎x&虎y&闘xy)&(生x& 生y)}。
に於いて、
④=⑤ である。
従って、
(10)により、
(11)
「二重否定」により、
④ ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)}。
⑤ ~∃x∃y{(虎x&虎y&闘xy)&(生x& 生y)}。
⑥{あるxが虎であって、あるyも虎であって、xとyが闘って、xは生き、yも生きる}ということはない。
に於いて、
④=⑤=⑥ である。
従って、
(01)(07)(11)により、
(12)
① 今両虎共闘、其勢不俱生。
② 今、両虎共に闘はば、其の勢ひ、倶には生きず。
③ ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→~(生x&生y)}。
④ ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)&(生y→~生x)}。
⑤ ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→(生x→~生y)}。
⑥ ~∃x∃y{(虎x&虎y&闘xy)&(生x& 生y)}。
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
然るに、
(12)により、
(13)
「文型」からすれば、
① 今両虎共闘、其勢不俱生。
② ∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→~(生x&生y)}。
③ すべてのxとyについて{xとyが虎であって、xとyが闘へば、(xは生きて、yも生きる)といふことはない}。
に於いて、
①≒②=③ である。
然るに、
(14)
相如聞之、毎朝常称病、不欲与争列。
出望見、輒引車避匿。其舍人皆以為恥。
相如曰、夫以秦之威、相如廷叱之、辱其群臣。
相如雖駑、独畏廉将軍哉。
顧念強秦不敢加兵於趙者、徒以吾両人在也。
今両虎共闘、其勢不倶生。
吾所以為此者、先国家之急、而後私讐也。
といふ「漢文の全体」を、「述語論理式」に「翻訳する(置き換へる)」ことは、「(恐らくは)無理である」。
然るに、
(15)
問題は、自然言語文をマシン上で走らせる形のプログラムに自動変換できるかということであり、それを容易にするのに適切なプログラミング言語の選択である。ところで、論理式をプログラムとして見て行こうという立場に立つと、意味を論理的に把えようという立場と、手続き的に把えようという立場が融合してくるわけである(岩波講座 情報科学―7 論理と意味、長尾真・淵一博、1983年、167・168頁)。
然るに、
(16)
第五世代コンピュータ(だいごせだいコンピュータ)計画とは、1982年から1992年にかけて日本の通商産業省(現経済産業省)所管の新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)が進めた国家プロジェクトで、いわゆる人工知能コンピュータの開発を目的に総額540億円の国家予算が投入された(ウィキペディア)。
従って、
(01)(14)(15)(16)により、
(17)
「昭和58年当時の、人工知能の研究者」は、例へば、
相如はこれを聞いて、朝廷に出仕すべきことがあるたびにいつも病気と偽って(欠席し、)席次を争うことを望まなかった。また外出して遠くに(廉頗の姿を)見かけると、そのたびごとに車を引き返して避け隠れた。相如の近臣たちは皆この態度を恥であると思った。(相如は家来たちに)こう言った。「そもそも秦王ほどの威力にもかかわらず、この藺相如は、秦王を(秦国の)朝廷で叱責し、その群臣をはずかしめてきたのだ。私は、いかにも愚鈍であるが、どうして廉将軍を恐れることがあろうか。(いや、恐れることはない。)思うに、強国である秦が、あえて趙に戦争を仕掛けてこないのは、我ら二人(の武勇と知恵)がそろっているからだろう。今もし両虎(廉頗と藺相如)が闘うことがあれば、その結果として、どちらも生き残るわけにはいかない。私がこのように(廉頗将軍を避けて逃げ隠れ)している訳は、国家の危急を第一とし、個人的な恨みを後まわしにしているからだ」(kintorekokugo)。
といふ「日本語」を、「コンピューター上で走らせる形のプログラム」によって、
「∀x∀y{(虎x&虎y&闘xy)→~(生x&生y)}」のやうな「述語論理式」に、「自動的に翻訳」しようとしていた。
といふ、ことになる。
然るに、
(18)
第五世代コンピュータは、当初の期待に反して多くの課題を抱え、その目標を完全に達成することができませんでした。このため、第五世代コンピュータは失敗だったと評価されることが少なくありません(>>JITERA)。
従って、
(16)(17)(18)により、
(19)
第五世代コンピュータ(日本発)に関しても、
さて、統計的な手法が登場する以前、自然言語処理の技術を使う自動翻訳や質疑応答の分野では、研究者たちはAIに文法などの言葉のルールを覚えさせ、論理的、演繹的な手法で精度を上げようとしました。けれど、その手法は何度試みても失敗を繰り返しました(AI vs. 教科書が読めない子供たち、新井紀子、2018年、124頁)。
といふ、ことになる。
(20)
「もし二頭の虎が闘へば、少なくとも、一方の虎は死ぬ。」といふ「日本語」ならば、ともかく、例へば、「相如はこれを聞いて、朝廷に出仕すべきことがあるたびにいつも病気と偽って欠席し、席次を争うことを望まなかった。」といふ「日本語」を、「述語論理」に「翻訳」することは、「無理である」に、「決まってゐる」。
(01)
1 (1)∃x∀y{虎x&百獣y&長xy→∀z(長zy→x=z)} A
2 (2) ∃z(狐z&~虎z) A
3 (3) ∀y{虎a&百獣y&長ay→∀z(長zy→a=z)} A
3 (4) {虎a&百獣b&長ab→∀z(長zb→a=z) 3UE
5 (5) 虎a&百獣b&長ab A
35 (6) ∀z(長zb→a=z) 45MPP
35 (7) 長cb→a=c 6UE
8 (8) 狐c&~虎c A
8 (9) 狐c 8&E
8 (ア) ~虎c 8&E
5 (イ) 虎a 5&E
58 (ウ) 虎a&~虎c アイ&I
エ(エ) a=c A
58エ(オ) 虎c&~虎c ウエ=E
58 (カ) a≠c エオRAA
358 (キ) ~長cb 7カMTT
358 (ク) 狐c&~長cb 9キ&I
358 (ケ) ∃z(狐z&~長zb) クEI
235 (コ) ∃z(狐z&~長zb) 28ケEE
23 (サ) 虎a&百獣b&長ab→∃z(狐z&~長zb) 5コCP
23 (シ) ∀y{虎a&百獣y&長ay→∃z(狐z&~長zy)} サUI
23 (ス)∃x∀y{虎x&百獣y&長xy→∃z(狐z&~長zy)} シEI
12 (セ)∃x∀y{虎x&百獣y&長xy→∃z(狐z&~長zy)} 13スEE
従って、
(01)
(02)
(ⅰ)∃x∀y{虎x&百獣y&長xy→∀z(長zy→x=z)}。然るに、
(ⅱ) ∃z(狐z&~虎z)。従って、
(ⅲ)∃x∀y{虎x&百獣y&長xy→∃z(狐z&~長zy)}。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)あるxとすべてのyについて{xが虎であって、yが百獣であって、xがyの長であるならば、すべてのzについて(zがyの長であるならば、xはzと「同一」である}。然るに、
(ⅱ)あるzは(狐はであって、虎ではない)。従って、
(ⅲ)あるxとすべてのyについて{xが虎であって、yが百獣であって、xがyの長であるならば、あるはz(狐であって、yの長ではない)}。
といふ「推論」は「妥当」である。
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)唯、虎のみ、百獣に長たり(唯虎長百獣長也)。然るに、
(ⅱ)狐は虎に非ざるなり(狐非虎也)。故に、
(ⅲ)虎は百獣に長たりて、狐は長たらず(虎長百獣、狐不長)。
といふ「推論」は「妥当」である。
(01)
― 矛盾(韓非子)―
① 楚人有[鬻〔盾與(矛)〕者]。
② 譽(之)曰、吾盾之堅、莫(能陷)也。
③ 又譽(其矛)曰、吾矛之利、於(物)無〔不(陷)〕也。
④ 或曰、以(子之矛)、陷(子之盾)何如。
⑤ 其人弗〔能(應)〕也。
(02)
① 楚人[〔盾(矛)與〕鬻者]有。
② (之)譽曰、吾盾之堅、(能陷)莫也。
③ 又(其矛)譽曰、吾矛之利、(物)於〔(陷)不〕無也。
④ 或曰、(子之矛)以、(子之盾)陷何如。
⑤ 其人〔(應)能〕弗也。
(03)
① 楚人に[〔盾と(矛)とを〕鬻ぐ者]有り。
② (之を)譽めて曰く、吾が盾の堅きこと、(能く陷す)莫きなり。
③ 又(其の矛を)譽めて曰く、吾が矛の利なること、(物に)於いて〔(陷さ)不る〕無きなり。
④ 或曰く、(子の矛を)以て、(子の盾を)陷さば何如。
⑤ 其の人〔(應ふ)能は〕弗るなり。
cf.
(Wikibooks)
然るに、
(04)
(ⅰ)
1 (1)∃x{吾盾x&∀y(矛y&吾矛y→ 陥yx)} A
2 (2) 吾盾a&∀y(矛y&吾矛y→ 陥ya) 1UE
2 (3) 吾盾a 2&E
2 (4) ∀y(矛y&吾矛y→ 陥ya) 2&E
2 (5) 矛b&吾矛b→ 陥ba 4UE
6 (6) 吾矛b A
7 (7) 矛b A
67 (8) 矛b&吾矛b 67&I
267 (9) 陥ba 58MPP
26 (ア) 矛b→ 陥ba 79CP
2 (イ) 吾矛b→(矛b→ 陥ba) 6アCP
ウ(ウ) 矛b&~陥ba A
ウ(エ) ~(~矛b∨ 陥ba) ウ、ド・モルガンの法則
ウ(オ) ~(矛b→ 陥ba) エ含意の定義
2 ウ(カ) ~吾矛b イオMTT
2 (キ) 矛b&~陥ba→~吾矛b ウカCP
2 (ク) ∀y(矛y&~陥ya→~吾矛y) キUI
2 (ケ) 吾盾a&∀y(矛y&~陥ya→~吾矛y) 3ク&I
2 (コ)∃x{吾盾x&∀y(矛y&~陥yx→~吾矛y)} ケEI
1 (サ)∃x{吾盾x&∀y(矛y&~陥yx→~吾矛y)} 12コEE
(ⅱ)
1 (1)∃x{吾盾x&∀y(矛y&~陥yx→~吾矛y)} A
2 (2) 吾盾a&∀y(矛y&~陥ya→~吾矛y) A
2 (3) 吾盾a 2&E
2 (4) ∀y(矛y&~陥ya→~吾矛y) 2&E
2 (5) 矛b&~陥ba→~吾矛b 4UE
6 (6) 吾矛b A
6 (7) ~~吾矛b 6DN
26 (8) ~(矛b&~陥ba) 57MTT
26 (9) ~矛b∨ 陥ba 8ド・モルガンの法則
26 (ア) 矛b→ 陥ba 9含意の定義
2 (イ) 吾矛b→(矛b→ 陥ba) 6アCP
ウ(ウ) 矛b&吾矛b A
ウ(エ) 吾矛b ウ&E
2 ウ(オ) 矛b→ 陥ba イエMPP
ウ(カ) 矛b ウ&E
2 ウ(キ) 陥ba オカMPP
2 (ク) 矛b&吾矛b→ 陥ba ウキCP
2 (ケ) ∀y(矛y&吾矛y→ 陥ya) クUI
2 (コ) 吾盾a&∀y(矛y&吾矛y→ 陥ya) 3ケ&I
2 (サ)∃x{吾盾x&∀y(矛y&吾矛y→ 陥yx)} コEI
1 (シ)∃x{吾盾x&∀y(矛y&吾矛y→ 陥yx)} 12サEE
従って、
(04)により、
(05)
① ∃x{吾盾x&∀y(矛y&吾矛y→ 陥yx)}。
② ∃x{吾盾x&∀y(矛y&~陥yx→~吾矛y)}。
に於いて、すなはち、
① あるxは{私の矛であって、すべてのyについて(yが矛であって、yが私の矛であるならば、yはxを陥す)}。
② あるxは{私の矛であって、すべてのyについて(yが矛であって、yがxを陥さないのであれば、yは私の矛ではない)}。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(06)
① あるxは{私の矛であって、すべてのyについて(yが矛であって、yが私の矛であるならば、yはxを陥す)}。
② あるxは{私の矛であって、すべてのyについて(yが矛であって、yがxを陥さないのであれば、yは私の矛ではない)}。
といふことは、
③ 私の矛は、私の盾を陥すが、私の矛以外は、私の盾を陥さない。
といふ、ことである。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
④ 子の矛を以て、子の盾を陷さば何如。
といふ「問ひ」に対しては、例へば、
⑤ ∃x{吾盾x&∀y(矛y&~陥yx→~吾矛y)}。
といふ風に「回答」すれば、「つじつま」が合った。
ということになるが、「私の学力」では、
⑤ ∃x{吾盾x&∀y(矛y&~陥yx→~吾矛y)}。
を、「漢文」に「翻訳」出来ない。
然るに、
(08)
③ 唯吾矛能陥吾盾=
③ 唯吾矛能陥(吾盾)⇒
③ 唯吾矛能(吾盾)陥矣=
③ 唯、吾が矛のみ能く吾が盾を陥す=
③ 私の矛は、私の盾を陥すが、私の矛以外は、私の盾を陥さない。
然るに、
(09)
(ⅰ)
1 (1) ∀x{吾矛x⇔∃y(吾盾y&陥xy)} A
1 (2) 吾矛a⇔∃y(吾盾y&陥ay) 1UE
1 (3) 吾矛a→∃y(吾盾y&陥ay)&
∃y(吾盾y&陥ay)→吾矛a 2Df.⇔
1 (4) 吾矛a→∃y(吾盾y&陥ay) 3&E
1 (5) ∃y(吾盾y&陥ay)→吾矛a 3&E
6(6) ~吾矛a A
16(7) ~∃y(吾盾y&陥ay) 56MTT
1 (8) ~吾矛a→~∃y(吾盾y&陥ay) 67CP
1 (9) 吾矛a→ ∃y(吾盾y&陥ay)&
~吾矛a→~∃y(吾盾y&陥ay) 48&I
1 (ア)∀x{ 吾矛x→ ∃y(吾盾y&陥xy)&
~吾矛x→~∃y(吾盾y&陥xy)} 9UI
(ⅱ)
1 (1)∀x{ 吾矛x→ ∃y(吾盾y&陥xy)&
~吾矛x→~∃y(吾盾y&陥xy)} A
1 (2) 吾矛a→ ∃y(吾盾y&陥ay)&
~吾矛a→~∃y(吾盾y&陥ay) 1UE
1 (3) 吾矛a→ ∃y(吾盾y&陥ay) 2&E
1 (4) ~吾矛a→~∃y(吾盾y&陥ay) 2&E
5(5) ∃y(吾盾y&陥ay) A
5(6) ~~∃y(吾盾y&陥ay) 5DN
15(7) ~~吾矛a 46MTT
15(8) 吾矛a 7DN
1 (9) ∃y(吾盾y&陥ay)→吾矛a 58CP
1 (ア) 吾矛a→∃y(吾盾y&陥ay)&
∃y(吾盾y&陥ay)→吾矛a 39&I
1 (イ) 吾矛a⇔∃y(吾盾y&陥ay) アDf.⇔
1 (ウ) ∀x{吾矛x⇔∃y(吾盾y&陥xy)} イUI
従って、
(09)により、
(10)
① ∀x{吾矛x⇔∃y(吾盾y&陥xy)}
② ∀x{吾矛x→∃y(吾盾y&陥xy)&~吾矛x→~∃y(吾盾y&陥xy)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて{xが吾矛であるならば、そのときに限って、あるyは(吾盾であって、xはyを陥す)}。
② すべてのxについて{xが吾矛であるならば、あるyは(吾盾であって、xはyを陥し)、xが吾矛でないならば、あるyが(吾盾であって、xがyを陥す)といふことはない}。
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)(10)により、
(11)
③ 唯吾矛能陥吾盾(唯、吾が矛のみ能く吾が盾を陥す)。
といふ「漢文」は、
① ∀x{吾矛x⇔∃y(吾盾y&陥xy)}。
といふ風に、「翻訳」出来る。
(01)
{変数xの変域}={a,b,c} であるとする。
然るに、
(01)により、
(02)
② ∃x∃y(Px&Py)⇔
②{(Pa&Pa)∨(Pa&Pb)∨(Pa&Pc)}∨{(Pb&Pa)∨(Pb&Pb)∨(Pb&Pc)}∨{(Pc&Pa)∨(Pc&Pb)∨(Pc&Pc)}
然るに、
(03)
① Pa⇔Pa&Pa
②{(Pa&Pa)∨(Pa&Pb)∨(Pa&Pc)}∨{(Pb&Pa)∨(Pb&Pb)∨(Pb&Pc)}∨{(Pc&Pa)∨(Pc&Pb)∨(Pc&Pc)}
に於いて、
① ならば、② である。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① Pa
② ∃x∃y(Px&Py)
に於いて、
① ならば、② である。
従って、
(01)(04)により、
(05)
①{a,b,c}の中の、{a}だけが、{Pa}であるとしても、
② ∃x∃y(Px&Py) である。
従って、
(05)により、
(06)
② ∃x∃y(Px&Py)
③ 性質Pを持つものが、少なくとも、二つ有る。
に於いて、
② であるとしても、
③ であるとは、限らない。
然るに、
(07)
② ∃x∃y(Px&Py)
ではなく、
③ ∃x∃y(x≠y&Px&Py)
であるならば、
②{(Pa&Pa)∨(Pa&Pb)∨(Pa&Pc)}∨{(Pb&Pa)∨(Pb&Pb)∨(Pb&Pc)}∨{(Pc&Pa)∨(Pc&Pb)∨(Pc&Pc)}
ではなく、
③{(Pa&Pb)∨(Pa&Pc)}∨{(Pb&Pa)∨(Pb&Pc)}∨{(Pc&Pa)∨(Pc&Pb)}
である。
然るに、
(08)
③{(Pa&Pb)∨(Pa&Pc)}∨{(Pb&Pa)∨(Pb&Pc)}∨{(Pc&Pa)∨(Pc&Pb)}
であるならば、
③ 性質Pを持つものが、少なくとも、二つ有る。
従って、
(07)(08)により、
(09)
③ ∃x∃y(x≠y&Px&Py)
といふ「命題」は、
③ 性質Pを持つものが、少なくとも、二つ有る。
といふ「命題」に「等しい」。
然るに、
(10)
(ⅳ)
1 (1)∀z(Pz→ z=x∨z=y) A
1 (2) Pa→ a=x∨a=y A
3(3) a≠x&a≠y A
3(4) ~(a=x∨a=y) 3ド・モルガンの法則
13(5) ~Pa 24MTT
1 (6) a≠x&a≠y→~Pa 35CP
1 (7)∀z(z≠x&z≠y→~Pz) 6UI
(ⅴ)
1 (1)∀z(z≠x&z≠y→~Pz) A
1 (2) a≠x&a≠y→~Pa 1UE
3(3) Pa A
3(4) ~~Pa 3DN
13(5) ~(a=x∨a=y) 14MTT
13(6) a≠x&a≠y 5ド・モルガンの法則
1 (7) Pa→ a=x∨a=y 36CP
1 (8)∀z(Pz→ z=x∨z=y) 7UI
従って、
(11)
④ ∀z(Pz→ z=x∨z=y)
⑤ ∀z(z≠x&z≠y→~Pz)
に於いて、すなはち、
④ すべてのzについて(zがPであるならば、zはxであるか、または、zはyである)。
⑤ すべてのzについて(zがxではなく、 zがyでもないならば、zはPではない)。
に於いて、
④=⑤ である。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
④ ∃x∃y{x≠y&Px&Py&∀z(Pz→z=x∨z=y)}
といふ「命題」は、
④ 性質Pを持つものが、少なくとも、二つ有るが、その二つ以外にはない。
といふ「命題」、すなはち、
④ 性質Pを持つものが、ちょうど二つだけある。
といふ「命題」に、「等しい」。
従って、
(01)~(12)により、
(13)
例題1.5. 「性質Pを持つものが、二つだけある。」という主張を記号を用いて表せ。
[別解] ∃x∃y{x≠y&Px&Py&∀z(Pz→z=x∨z=y)}
(上江洲忠弘、述語論理入門、2007年、9頁)
に於ける、[別解]は、「正しい」。
従って、
(13)により、
(14)
⑤ ∃x∃y{x≠y&君x&我y&天下英雄x&天下英雄y&∀z(天下英雄z→z=x∨z=y)}
といふ「命題」は、
⑤ あるxは君であり、あるyは我であり、xは天下の英雄であり、yは天下の英雄であり、天下の英雄は、他にはゐない。
といふ「命題」に、「等しい」。
従って、
(14)により、
(15)
⑤ 天下英雄唯君与我(天下の英雄は唯、君と我のみ)。
といふ「漢文」は、
⑤ ∃x∃y{x≠y&君x&我y&天下英雄x&天下英雄y&∀z(天下英雄z→z=x∨z=y)}
といふ「述語論理式」に、「等しい」。
(01)
(ⅰ)
1 (1)~∃x(人x&~死x) A
1 (2)∀x~(人x&~死x) 1量化子の関係
1 (3) ~(人a&~死a) 1UE
4 (4) 人a A
5(5) ~死a A
45(6) 人a&~死a 45&I
145(7) ~(人a&~死a)&
(人a&~死a)
14 (8) ~~死a 57RAA
14 (9) 死a 8DN
1 (ア) 人a→ 死a 49CP
1 (イ) ∀x(人x→ 死x) アUI
(ⅱ)
1 (1) ∀x(人x→ 死x) A
2 (2) ∃x(人x&~死x) A
3 (3) 人a&~死a A
4 (4) 人a→ 死a A
3 (5) 人a 3&E
34 (6) 死a 45MPP
3 (7) ~死a 3&E
34 (8) 死a&~死a 67&I
3 (9) ~(人a→ 死a) 48RAA
3 (ア)∃x~(人x→ 死x) 3EI
2 (イ)∃x~(人x→ 死x) 23AEE
2 (ウ)~∀x(人x→ 死x) イ量化子の関係
12 (エ) ∀x(人x→ 死x)&
~∀x(人x→ 死x) 1ウ&I
1 (オ)~∃x(人x&~死x) 2エRAA
従って、
(01)により、
(02)
① ~∃x(人x&~死x)
② ∀x(人x→ 死x)
に於いて、すなはち、
①(人であるxで、死なないxは)存在しない。
② すべてのxについて(xが人ならば、xは死ぬ)。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
③ 不レ有二人而不一レ死=
③ 不[有〔人而不(死)〕]⇒
③ [〔人而(死)不〕有]不=
③ [〔人にして(死せ)不る〕有ら]不=
③ [〔人であって(死な)ない者は〕ゐ]ない。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① ~∃x(人x&~死x)
② ∀x(人x→ 死x)
③ 不[有〔人而不(死)〕]
に於いて、
①=②=③ である。
(01)
[一] 矛盾(韓非子)
① 楚人有 鬻盾與矛者。
② 譽之曰、吾盾之堅、於物莫能陷也。
③ 又譽其矛曰、吾矛之利、於物無不陷也。
④ 或曰、以子之矛、陷子之盾、何如。
⑤ 其人弗能應也。
(02)
① 楚人有[鬻〔盾與(矛)〕者]。
② 譽(之)曰、吾盾之堅、莫(能陷)也。
③ 又譽(其矛)曰、吾矛之利、於(物)無〔不(陷)〕也。
④ 或曰、以(子之矛)、陷(子之盾)何如。
⑤ 其人弗〔能(應)〕也。
(03)
① 楚人[〔盾(矛)與〕鬻者]有。
②(之) 譽曰、吾盾之堅、(能陷)莫也。
③ 又(其矛)譽曰、吾矛之利、(物)於〔(陷)不〕無也。
④ 或曰、(子之矛)以、(子之盾)陷何如。
⑤ 其人〔(應)能〕弗也。
(04)
① 楚人に[〔盾と(矛)とを〕鬻ぐ者]有り。
②(之) 譽めて曰はく、吾が盾の堅きこと、(能く陷す)莫き也。
③ 又(其の矛を)譽めて曰は、吾が矛の利なること、(物に)於いて〔(陷さ)不り〕無き也。
④ 或曰、(子の矛を)以て、(子の盾を)陷さば何如。
⑤ 其の人〔(應ふる)能は〕弗る也。
(05)
楚の国の人で盾と矛を売る者がいた。この人はこれを誉めて「私の盾は頑丈で、これを貫けるものはない」と言った。また、矛を誉めて「私の矛は鋭くて、物において貫けないものはない」と言った。ある人が「あなたの矛であなたの盾を貫いたらどうなるのですか」といった。商人は答えることができなかった(WIKIBOOKS)。
(06)
(ⅰ)
1 (1)∀x{~吾盾x&盾x→∃y(吾矛y&陥没yx)} A
2(2) ∀y(吾矛y→~陥ya) A
1 (3) ~吾盾a&盾a→∃y(吾矛y&陥没ya) 1UE
2(4) ∀y(吾矛y→~陥ya) A
2(5) 吾矛b→~陥ba 4UE
2(6) ~吾矛b∨~陥ba 5含意の定義
2(7) ~(吾矛b& 陥ba) 6ド・モルガンの法則
2(8) ∀y~(吾矛y& 陥ya) 7UI
2(9) ~∃y(吾矛y& 陥ya) 8量化子の関係
12(ア) ~(~吾盾a&盾a) 39MTT
12(イ) 吾盾a∨~盾a ア、ド・モルガンの法則
12(ウ) ~盾a∨吾盾a イ、交換法則
12(エ) 盾a→吾盾a ウ含意の定義
1 (オ) ∀y(吾矛y→~陥ya)→(盾a→吾盾a) 2エCP
1 (カ)∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)} オUI
(ⅱ)
1 (1)∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)} オUI
1 (2) ∀y(吾矛y→~陥ya)→(盾a→吾盾a) A
3 (3) ~吾盾a&盾a A
4 (4) 盾a→吾盾a A
3 (5) 盾a 3&E
34 (6) 吾盾a 45MPP
3 (7) ~吾盾a 3&E
34 (8) ~吾盾a&吾盾a 67&I
3 (9) ~(盾a→吾盾a) 48CP
13 (ア) ~∀y(吾矛y→~陥ya) 29RAA
13 (イ) ∃y~(吾矛y→~陥ya) ア量化子の関係
ウ(ウ) ~(吾矛b→~陥ba) A
ウ(エ) ~(~吾矛b∨~陥ba) ウ含意の定義
ウ(オ) 吾矛b& 陥ba エ、ド・モルガンの法則
ウ(カ) ∃y(吾矛y& 陥ya) オEI
13 (キ) ∃y(吾矛y& 陥ya) イウカEE
1 (ク) ~吾盾a&盾a→∃y(吾矛y&陥没ya) 3キCP
1 (ケ)∀x{~吾盾x&盾x→∃y(吾矛y&陥没yx)} クUI
従って、
(06)により、
(07)
① ∀x{~吾盾x&盾x→ ∃y(吾矛y&陥没yx)}
② ∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて{xが吾が盾ではない盾であるならば、あるyは(吾が矛であって、yはxを陥す)}。
② すべてのxについて{すべてのyについて(yが吾が矛ならば、yがxを陥さない)ならば(xが盾ならば、xは吾が盾である)}。
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)により、
(08)
① すべてのxについて{xが吾が盾ではない盾であるならば、あるyは(吾が矛であって、yはxを陥す)}。
② すべてのxについて{すべてのyについて(yが吾が矛ならば、yがxを陥さない)ならば(xが盾ならば、xは吾が盾である)}。
に於いて、すなはち、
① 私の矛は、私の盾以外の、全ての盾を貫通する。
② 私の矛が貫通しないならば、それが盾ならば、私の盾である。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(09)
一階述語論理は、数学のほぼ全領域を形式化するのに十分な表現力を持っている。実際、現代の標準的な集合論の公理系 ZFC は一階述語論理を用いて形式化されており、数学の大部分はそのように形式化された ZFC の中で行うことができる(ウィキペディア)。
従って、
(07)(09)により、
(10)
① ∀x{~吾盾x&盾x→ ∃y(吾矛y&陥没yx)}
② ∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)}
といふ「言語(数学語)」は、「数学科の学生」が、「一番得意」であると思はれる。
然るに、
(11)
「(述語論理で書かれている)ε-δ論法」で躓く「数学科の学生」は多い。
とのことなので、だとすると、「ほとんどの数学科の1年生」は、
① ∀x{~吾盾x&盾x→ ∃y(吾矛y&陥没yx)}
② ∀x{∀y(吾矛y→~陥yx)→(盾x→吾盾x)}
に於いて、
①=② を、「理解できない」ものと、思はれる。
(01)
1 (1)∃x∃y{(君x&英雄x)&(我y&英雄y)&(x≠y)&∀z[英雄z→(z=x)∨(z=y)]} A
2 (2) ∃y{(君a&英雄a)&(我y&英雄y)&(a≠y)&∀z[英雄z→(z=a)∨(z=y)]} A
3 (3) (君a&英雄a)&(我b&英雄b)&(a≠b)&∀z[英雄z→(z=a)∨(z=b) A
3 (4) 君a 3&E
3 (5) 我b 3&E
3 (6) ∀z[英雄z→(z=a)∨(z=b) 3&E
3 (7) 英雄c→(c=a)∨(c=b) 6UE
8 (8) ∃z(~君z&~我z&彼z) A
9 (9) ~君c&~我c&彼c A
9 (ア) ~君c 9&E
3 9 (イ) 君a&~君c 4ア&I
ウ (ウ) c=a A
3 9ウ (エ) 君a&~君a イウ=E
3 9 (オ) c≠a ウエRAA
9 (カ) ~我c 9&E
3 9 (キ) ~我c&我b 5カ&I
ケ(ケ) c=b A
3 9 ケ(コ) ~我b&我b キケ=E
3 9 (サ) c≠b ケコRAA
3 9 (シ) (c≠a)&(c≠b) オサ&I
3 9 (ス) ~{(c=a)∨(c=b)} シ、ド・モルガンの法則
3 9 (セ) ~英雄c 7スMTT
9 (ソ) 彼c 9&E
3 9 (タ) 彼c&~英雄c セソ&I
3 9 (チ) ∃z(彼z&~英雄z) タEI
38 (ツ) ∃z(彼z&~英雄z) 89チEE
2 8 (テ) ∃z(彼z&~英雄z) 23ツEE
1 8 (ト) ∃z(彼z&~英雄z) 12テEE
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)∃x∃y{(君x&英雄x)&(我y&英雄y)&(x≠y)&∀z[英雄z→(z=x)∨(z=y)]}。然るに、
(ⅱ) ∃z(~君z&~我z&彼z)。 従って、
(ⅲ) ∃z(彼z&~英雄z)。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)あるxとyについて{(xは君であって、xは英雄であって)、(yは我であって、yは英雄であって)、(xとyは別人であって)、すべてのzについて[zが英雄であるならば(zはxであるか)、または(zはyである)]}。然るに、
(ⅱ)∃zについて(zは君ではなく、zは我ではなく、zは彼である)。従って、
(ⅲ)∃zについて(zは彼であって、zは英雄ではない)。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)英雄唯君与我(英雄は君と私だけである)。 然るに、
(ⅱ)彼非君彼非我(彼は君ではなく私でもない)。従って、
(ⅲ)彼非英雄(彼は英雄ではない)。
といふ「推論」は、「述語論理」としても「妥当」である。
然るに、
(04)
人称代名詞(にんしょうだいめいし)とは、話し手、受け手、および談話の中で指定された人や物を指す代名詞である。
一般に、話し手を指す一人称、受け手を指す二人称、それ以外の人、物を指す三人称に分けられ、数が区別されることが多い。一部の言語では性も区別する。
(ウィキペディア)
従って、
(04)により、
(05)
「君・我・彼」は、普通は、「人称代名詞」である。
然るに、
(01)~(03)により、
(06)
∃x∃y{(君x&英雄x)&(我y&英雄y)&(x≠y)&∀z[英雄z→(z=x)∨(z=y)]},∃z(~君z&~我z&彼z)├ ∃z(彼z&~英雄z)
に於いて、
「君・我・彼」は、「述語文字」であって、
「x・y・z」は、「変数」である。
然るに、
(07)
変数という記号を採用ることがいかに有効であるかは、進むにつれて次第に明らかになる。さしあたりそれは、代名詞「それ」(it)に似たようなはたらきをするものと考えれば十分であろう。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、121頁)
従って、
(06)(07)により、
(08)
∃x∃y{(君x&英雄x)&(我y&英雄y)&(x≠y)&∀z[英雄z→(z=x)∨(z=y)]}
に於いては、
「x・y・z(変数)」こそが、「代名詞(的)」であって、
「君・我・彼(述語)」に関しては、むしろ「普通名詞」である。
然るに、
(09)
「日本語に即した文法の樹立を」を目指すわれわれは「日本語で人称代名詞と呼ばれているものは、実は名詞だ」と宣言したい。どうしても区別したいなら「人称名詞」で十分だ。日本語の「人称代名詞」はこれからは「人称名詞」と呼ぼう(金谷武洋、日本語文法の謎を解く、2003年、40・41頁)。
従って、
(03)(08)(09)により、
(10)
「金谷武洋先生の説」に従ふならば、
(ⅰ)英雄唯君与我(英雄は君と私だけである)。 然るに、
(ⅱ)彼非君彼非我(彼は君ではなく私でもない)。従って、
(ⅲ)彼非英雄(彼は英雄ではない)。
に於ける「君・我・彼」は、「人称代名詞」ではなく「名詞」であって、
(ⅰ)∃x∃y{(君x&英雄x)&(我y&英雄y)&(x≠y)&∀z[英雄z→(z=x)∨(z=y)]}。然るに、
(ⅱ) ∃z(~君z&~我z&彼z)。 従って、
(ⅲ) ∃z(彼z&~英雄z)。
に於ける「君・我・彼」も、「人称代名詞」ではなく「名詞」である。
といふ、ことになる。
(01)
k=君
w=我
h=彼
であるとして、
1 (1)英雄k&英雄w&∀x{英雄x→(x=k)∨(x=w)} A
1 (2)英雄k&英雄w 1&E
1 (3) ∀x{英雄x→(x=k)∨(x=w)} 1&E
1 (4) 英雄h→(h=k)∨(h=w) 1UE
5 (5) (h≠k)&(h≠w) A
5 (6) ~{(h=k)∨(h=w)} 6ド・モルガンの法則
15 (7) ~英雄h 46MTT
1 (8) (h≠k)&(h≠w)→~英雄h 57CP
9(9) (h≠k)&(h≠w) A
1 9(ア) ~英雄h 89MPP
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)英雄k&英雄w&∀x{英雄x→(x=k)∨(x=w)}。然るに、
(ⅱ)(h≠k)&(h≠w)。従って、
(ⅲ)~英雄h。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)君は英雄であり、私も英雄であり、すべてのxについて{xが英雄であるならば、(xは君である)か(xは私である)」。然るに、
(ⅱ)彼は君ではなく、彼は私でもない。従って、
(ⅲ)彼は英雄でない。
といふ「推論」は「妥当」である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① ∀x{英雄x→(x=k)∨(x=w)}。
② 英雄唯君与我(英雄は、ただ君と我のみ)。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1 (1) ∀x{英雄x→(x=k)∨(x=w)} A
2 (2) ∃x(英雄x&(x≠k)&(x≠w)} A
1 (3) 英雄a→(a=k)∨(a=w) 1UE
4 (4) 英雄a&(a≠k)&(a≠w) A
4 (5) 英雄a 4&E
1 4 (6) (a=k)∨(a=w) 35MPP
7 (7) (a=k) A
4 (8) (a≠k) 4&E
47 (9) (a=k)&(a≠k) 78&I
7 (ア) ~{英雄a&(a≠k)&(a≠w)} 49RAA
イ(イ) (a=w) A
4 (ウ) (a≠w) 4&E
4 イ(エ) (a=w)&(a≠w) イウ&I
イ(オ) ~{英雄a&(a≠k)&(a≠w)} 4エRAA
1 4 (カ) ~{英雄a&(a≠k)&(a≠w)} 67アイオ∨E
1 4 (キ) {英雄a&(a≠k)&(a≠w)}&
~{英雄a&(a≠k)&(a≠w)} 4キ&I
12 (ク) {英雄a&(a≠k)&(a≠w)}&
~{英雄a&(a≠k)&(a≠w)} 4キ&I
1 (ケ)~∃x{英雄x&(x≠k)&(x≠w)} 2クRAA
(ⅲ)
1 (1)~∃x(英雄x&(x≠k)&(x≠w)} A
1 (2)∀x~(英雄x&(x≠k)&(x≠w)} 1量化子の関係
1 (3) ~{英雄a&(a≠k)&(a≠w)} 2UE
1 (4) ~{英雄a&[(a≠k)&(a≠w)]} 3結合法則
1 (5) ~英雄a∨~[(a≠k)&(a≠w)] 4ド・モルガンの法則
1 (6) 英雄a→~[(a≠k)&(a≠w)] 5含意の定義
7(7) 英雄a A
17(8) ~[(a≠k)&(a≠w)] 67MPP
17(9) (a=k)∨(a=w) 8ド・モルガンの法則
1 (ア) 英雄a→(a=k)∨(a=w) 79CP
1 (イ) ∀x{英雄x→(x=k)∨(x=w)} アUI
従って、
(05)により、
(06)
① ∀x{英雄x→(x=k)∨(x=w)}
③ ~∃x{英雄x&(x≠k)&(x≠w)}
に於いて、
①=③ である。
従って、
(01)(04)(06)により、
(07)
① ∀x{英雄x→(x=k)∨(x=w)}。
② 英雄唯君与我(英雄は、ただ君と我のみ)。
③ ~∃x{英雄x&(x≠k)&(x≠w)}。
④ 君ではなく、私でもない、英雄であるxは存在しない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
(01)
〔天子章第二〕
子曰、愛親者不敢惡於人。
子し曰く、親を愛する者は、敢へて人を悪まず。
(Web漢文大系)
然るに、
(02)
① 愛親者不敢惡_人。
② 愛親者不敢惡於人。
に於いて、
① ではなく、
② である以上、
① 敢へて人を悪ま_ず(決して、人を憎ま_ない)。
ではなく、
② 敢へて人を悪まれず(決して、人に憎まれない)。
であると、思はれる。
然るに、
(03)
∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}⇔
すべてのxとyについて(xがyの親であって、yがxを愛するならば、あるzについて(zが人であって、zがyを悪む)といふことはない}。
従って、
(02)(03)により、
(04)
愛親者不敢惡於人。⇔
愛(親)者不[敢惡〔於(人)〕]。⇔
(親)愛者[敢〔(人)於〕惡]不。⇔
親を愛する者は、敢へて人に惡まれず。⇔
∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}⇔
すべてのxとyについて(xがyの親であって、yがxを愛するならば、あるzについて(zが人であって、zがyを悪む)といふことはない}。
従って、
(04)により、
(05)
愛親者不必不敢惡於人。⇔
愛(親)者不{必不[敢惡〔於(人)〕]}。⇔
(親)愛者{必[敢〔(人)於〕惡]不}不。⇔
親を愛する者は、必ずしも敢へて人に悪まれずんばあらず。⇔
~∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}⇔
すべてのxとyについて(xがyの親であって、yがxを愛するならば、あるzについて(zが人であって、zがyを悪む)といふことはない}といふわけではない。
然るに、
(06)
(ⅰ)
1 (1)~∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} A
1 (2)∃x~∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} 1量化子の関係
1 (3)∃x∃y~{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} 2量化子の関係
4 (4) ∃y~{(親ay&愛ya)→~∃z(人z&悪zy)} A
5 (5) ~{(親ab&愛ba)→~∃z(人z&悪zb)} A
5 (6) ~{~(親ab&愛ba)∨~∃z(人z&悪zb)} 5含意の定義
5 (7) (親ab&愛ba)& ∃z(人z&悪zb) 6ド・モルガンの法則
5 (8) (親ab&愛ba) 7&E
5 (9) ∃z(人z&悪zb) 7&E
ア(ア) (人c&悪cb) A
5ア(イ) (親ab&愛ba)&(人c&悪cb) 8ア&I
5ア(ウ) ∃z{(親ab&愛ba)&(人z&悪zb)} イEI
5 (エ) ∃z{(親ab&愛ba)&(人z&悪zb)} 5アウ
5 (オ) ∃y∃z{(親ay&愛ya)&(人z&悪zy)} エEI
4 (カ) ∃y∃z{(親ay&愛ya)&(人z&悪zy)} 45オEI
4 (キ) ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)} カEI
1 (ク) ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)} 14キEE
(ⅱ)
1 (1) ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)} A
2 (2) ∃y∃z{(親ay&愛ya)&(人z&悪zy)} A
3 (3) ∃z{(親ab&愛ba)&(人z&悪zb)} A
4(4) (親ab&愛ba)&(人c&悪cb) A
4(5) (親ab&愛ba) 4&E
4(6) (人c&悪cb) 4&E
4(7) ∃z(人z&悪zb) 6EI
3 (8) ∃z(人z&悪zb) 347EE
3 (9) (親ab&愛ba)& ∃z(人z&悪zb) 48&I
3 (ア) ~{~(親ab&愛ba)∨~∃z(人z&悪zb)} 9ド・モルガンの法則
3 (イ) ~{(親ab&愛ba)→~∃z(人z&悪zb)} ア含意の定義
3 (ウ) ∃y~{(親ay&愛ya)→~∃z(人z&悪zy)} イEI
2 (エ) ∃y~{(親ay&愛ya)→~∃z(人z&悪zy)} 23ウEE
2 (オ)∃x∃y~{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} エEI
1 (カ)∃x∃y~{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} 12オEE
1 (キ)∃x~∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} カ量化子の関係
1 (ク)~∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} キ量化子の関係
従って、
(06)により、
(07)
① ~∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}
② ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)& (人z&悪zy)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① 愛レ親者不三必不二敢惡一レ於レ人。
② 親を愛する者は、必ずしも敢へて人に悪まれずんばあらず。
③ ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)}。
④ あるxとyとzについて{xはyの親であり、yはxを愛し、zは人であって、zはyを悪む}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(04)(08)により、
(09)
① 愛親者不敢惡於人。
② 愛親者不必不敢惡於人。
③ ∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}。
④ ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)}。
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
然るに、
(10)
① ~∃z(人z&悪zy)
② ~∃z(人z&悪yz)
③ yを憎む人はゐない。
④ yは、人を憎まない。
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
従って、
(01)(02)(10)により、
(11)
① 愛親者不敢惡於人(受動態)。
② 愛親者不敢惡_人(能動態)。
であれば、「順番」に、
③ ∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}。
④ ∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪yz)}。
である。
(01)
千里馬常有。
千里の馬は常に有り。
千里を走る名馬はいつでもいる。
(韓愈、雑説)
(02)
(ⅰ)
1 (1)∀x{馬x→∃x(千里x)} A
2 (2)∃x(馬x) A
1 (3) 馬a→∃x(千里x) 1UE
4 (4) 馬a A
1 4 (5) ∃x(千里x) A
6(6) 千里a A
46(7) 千里a&馬a 46&I
46(8)∃x(千里x&馬x) 7EI
1 4 (9)∃x(千里x&馬x) 568EE
12 (ア)∃x(千里x&馬x) 249EE
(ⅱ)
1 (1)∀x(馬x)→∃x(千里x) A
2 (2)∀x(馬x) A
12 (3) ∃x(千里x) 12MPP
2 (4) 馬a 2UE
5(5) 千里a A
25(6) 馬a&千里a 45&I
25(7)∃x(馬x&千里x) 6EI
12 (8)∃x(馬x&千里x) 35EE
従って、
(02)により、
(03)
① ∀x{馬x →∃x(千里x)},∃x(馬x)├ ∃x(千里x&馬x)
② ∀x(馬x)→∃x(千里x) ,∃x(馬x)├ ∃x(千里x&馬x)
といふ「推論」は、両方とも「妥当」である(?)。
然るに、
(04)
(a)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(b)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁改)
従って、
(03)(04)により、
(05)
① ∀x{馬x→∃x(千里x)}
といふ「述語論理式」は、
(b)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
といふ「制約」に「抵触」する。
然るに、
(06)
1 (1)馬a&馬b&馬c→ 千里a∨千里b ∨千里c A
2 (2)馬a&馬b&馬c A
12 (3) 千里a∨千里b ∨千里c 12MPP
12 (4) (千里a∨千里b)∨千里c 3結合法則
12 (5)馬a 2&E
12 (6) 馬b 2&E
12 (7) 馬c 2&E
8 (8) 千里a∨千里b A
9 (9) 千里a A
12 9 (ア) 千里a&馬a 59&I
12 9 (イ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b) ア∨I
12 9 (ウ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) イ∨I
エ (エ) 千里b A
12 エ (オ) 千里b&馬b 6エ&I
12 エ (カ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b) エ∨I
12 エ (キ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) ∨I
12 (ク)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) 89ウエキ∨I
ケ(ケ) 千里c A
12 ケ(コ) 千里c&馬c 7ケ&I
12 ケ(サ) (千里b&馬b)∨(千里b&馬b) コ∨I
12 ケ(シ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) サ∨I
12 (ス)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) 48クケシ
従って、
(07)
③ 馬a&馬b&馬c→千里a∨千里b∨千里c,馬a&馬b&馬c├(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b)
といふ「推論」は「妥当」であって、尚かつ、この場合は、「命題計算」であって、「述語計算」ではないため、固より、
(b)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
といふ「制約」が無い。
然るに、
(08)
③ 馬a&馬b&馬c→千里a∨千里b∨千里c,馬a&馬b&馬c├(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b)
の場合は、
③{a,b,c}による、{3個}であるが、
③{a,b,c}の{個数}は{100個}であっても、{100万個}であっても、{1000億個}であっても、「同じ」ことである。
従って、
(02)~(08)により、
(09)
② ∀x(馬x) →∃x(千里x),∃x(馬x) ├ ∃x(千里x&馬x)
③ 馬a&馬b&馬c→千里a∨千里b∨千里c,馬a&馬b&馬c├(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b)
に於いて、「本質的」に、
②=③ であって、尚且つ、
③ は、「妥当」であり、それ故、
② も、「妥当」である。
従って、
(03)(05)(09)により、
(10)
① ∀x{馬x →∃x(千里x)},∃x(馬x)├ ∃x(千里x&馬x)
② ∀x(馬x)→∃x(千里x) ,∃x(馬x)├ ∃x(千里x&馬x)
に於いて、
① は「妥当」ではなく、
② は「妥当」である。
然るに、
(10)により、
(11)
「読み方」として、
① すべてのxについて、xが馬ならば、あるxは千里である。
② すべてのxについて、xが馬ならば、あるxは千里である。
であるもの、
② すべてのxについて、xが馬ならば、あるxは千里である。
といふことは、
② 馬の中には、千里の馬がゐる。
といふことになる。
然るに、
(12)
② 馬の中には、千里の馬がゐる。
とすれば、
② 馬がゐれば、その中には、千里の馬がゐる。
といふ、ことになる。
従って、
(13)
② 馬がゐる。
といふことを、「否定」しない限り、「常に」、
② 千里の馬がゐる。
といふことも、「否定」出来ない。
従って、
(01)(10)~(13)により、
(14)
② 千里馬常有。⇔
② 千里の馬は常に有り。⇔
② 千里を走る名馬はいつでもいる。⇔
② ∀x(馬x)→∃x(千里x) ⇔
② すべてのxについて、xが馬ならば、あるxは千里である。
といふ「等式」が、成立する。
(01)
(ⅰ)
世有伯楽、然後有千里馬。
千里馬常有、而伯楽不常有。
故雖有名馬、祇辱於奴隷人之手、駢死於槽櫪之間、不以千里称也。
(ⅱ)
世有(伯楽)、然後有(千里馬)。
千里馬常有、而伯楽不(常有)。
故雖〔有(名馬)〕、祇辱〔於(奴隷人之手)〕、駢‐死〔於(槽櫪之間)〕、不〔以(千里)称〕也。
(ⅲ)
世(伯楽)有、然後(千里馬)有。
千里馬常有、而伯楽(常有)不。
故〔(名馬)有〕雖、祇〔(奴隷人之手)於〕辱、〔(槽櫪之間)於〕駢‐死、〔(千里)以称〕不也。
(ⅳ)
世に(伯楽)有りて、然る後に(千里の馬)有り。
千里の馬は常に有れども、伯楽は(常には有ら)不。
故に〔(名馬)有りと〕雖へども、祇だ〔(奴隷人の手)に〕辱められ、〔(槽櫪の間)に〕駢‐死し、〔(千里を)以て称せられ〕不る也。
(ⅴ)
世の中に(名馬を見分ける)伯楽という人があってはじめて、一日に千里も走るような名馬が見いだされる。
(ところで)千里を走る名馬はいつでもいるのだが、(それを見ぬく)伯楽がいつでもいるというものではない。
そこで、もしりっぱな馬がいたとしても、(それを名馬だと見ぬく人がいなければ)ただ低い身分の馬飼いの手にかかって粗末に扱われ、馬小屋の中で(他の普通の馬と)首をならべて死んでゆき、千里の名馬だとしてほめたたえられることもないのである。
(雑説・韓愈 日栄社 要説 諸子百家・文章、1970年、177頁)
然るに、
(02)
1 (1)∀x(馬x)→∃x(千里x) A
2 (2)∀x(馬x) A
12 (3) ∃x(千里x) 12MPP
2 (4) 馬a 2UE
5(5) 千里a A
25(6) 馬a&千里a 45&I
25(7)∃x(馬x&千里x) 6EI
12 (8)∃x(馬x&千里x) 35EE
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)∀x(馬x)→∃x(千里x)
(ⅱ)∀x(馬x)
(ⅲ)∃x(馬x&千里x)
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxが馬ならば、あるxは千里である。
(ⅱ)あるxは(馬である)。 故に、
(ⅲ)あるxは(千里の馬である)。
といふ「推論」は「妥当」である。
然るに、
(04)
(ⅰ)
1 (1)~∀x{(千里x&馬x)→ ∃y(伯楽y& 飼yx)} A
1 (2)∃x~{(千里x&馬x)→ ∃y(伯楽y& 飼yx)} 1量化子の関係
3 (3) ~{(千里a&馬a)→ ∃y(伯楽y& 飼ya)} A
4(4) ~(千里a&馬a)∨ ∃y(伯楽y& 飼ya) A
4(5) (千里a&馬a)→ ∃y(伯楽y& 飼ya) 4含意の定義
34(6) ~{(千里a&馬a)→ ∃y(伯楽y& 飼ya)}&
{(千里a&馬a)→ ∃y(伯楽y& 飼ya)} 35&I
3 (7) ~{~(千里a&馬a)∨ ∃y(伯楽y& 飼ya)} 46RAA
3 (8) (千里a&馬a)&~∃y(伯楽y& 飼ya)} 7ド・モルガンの法則
3 (9) (千里a&馬a) 8&E
3 (ア) ~∃y(伯楽y& 飼ya) 8&E
3 (イ) ∀y~(伯楽y& 飼ya) ア量化子の関係
3 (ウ) ~(伯楽b& 飼ba) イUE
3 (エ) ~伯楽b∨~飼ba ウ、ド・モルガンの法則
3 (オ) 伯楽b→~飼ba エ含意の定義
3 (カ) ∀y(伯楽y→~飼ya) オUI
3 (キ) (千里a&馬a)& ∀y(伯楽y→~飼ya) 9カ&I
3 (ク) ∃x{(千里x&馬x)& ∀y(伯楽y→~飼yx)} キEI
1 (ケ) ∃x{(千里x&馬x)& ∀y(伯楽y→~飼yx)} 13クEE
(ⅱ)
1 (1) ∃x{(千里x&馬x)& ∀y(伯楽y→~飼yx)} A
1 (2) (千里a&馬a)& ∀y(伯楽y→~飼ya) A
1 (3) (千里a&馬a) 2&E
1 (4) ∀y(伯楽y→~飼ya) 2&E
1 (5) 伯楽b→~飼ba 4UE
1 (6) ~伯楽b∨~飼ba 5含意の定義
1 (7) ~(伯楽b& 飼ba) 6ド・モルガンの法則
1 (8) ∀y~(伯楽y& 飼ya) 7UI
1 (9) ~∃y(伯楽y& 飼ya) 8量化子の関係
1 (ア) (千里a&馬a)&~∃y(伯楽y& 飼ya) 39&I
イ (イ) (千里a&馬a)→ ∃y(伯楽y& 飼ya) A
1 (ウ) (千里a&馬a) ア&E
1イ (エ) ∃y(伯楽y& 飼ya) イウMPP
イ (オ) ~∃y(伯楽y& 飼ya) ア&E
1イ (カ)∃y(伯楽y& 飼ya)&~∃y(伯楽y& 飼ya) エオ&I
1 (キ) ~{(千里a&馬a)→ ∃y(伯楽y& 飼ya)} イカRAA
1 (ク)∃x~{(千里x&馬x)→ ∃y(伯楽y& 飼yx)} キEI
1 (ケ)~∀x{(千里x&馬x)→ ∃y(伯楽y& 飼yx)} ク量化子の関係
従って、
(04)により、
(05)
① ~∀x{(千里x&馬x)→ ∃y(伯楽y& 飼yx)}
② ∃x{(千里x&馬x)& ∀y(伯楽y→~飼yx)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて{(xが千里で、xが馬である)ならば、あるyは(伯楽であって、xを飼ふ)}といふわけではない。
② あるxは{(千里であって、馬である)が、いかなるyであっても(yが伯楽であるならば、yはxを飼はない)}。
に於いて、すなはち、
①{すべての千里の馬に対して、それを飼ふ伯楽がゐる}といふわけではない。
② ある{千里の馬は、伯楽によって飼はれるといふことがない}。
に於いて、
①=② である。
従って、
(03)(05)により、
(06)
(ⅰ) ∀x(馬x)→∃x(千里x)
(ⅱ) ∀x(馬x)
(ⅲ) ∃x(千里x&馬x)
(ⅳ)~∀x{(千里x&馬x)→∃y(伯楽y&飼yx)}
といふ「述語論理式」は、
(ⅰ)すべてのxが馬ならば、あるxは千里である。
(ⅱ)あるxは(馬である)。 故に、
(ⅲ)あるxは(千里の馬である)。然るに、
(ⅳ)すべてのxについて{(xが千里で、xが馬である)ならば、あるyは(伯楽であって、xを飼ふ)}といふわけではない。
といふ「意味」である。
然るに、
(01)により、
(07)
「世有伯楽、然後有千里馬。千里馬常有、而伯楽不常有。」
といふ「漢文」は、
「世の中に伯楽という人があってはじめて、一日に千里も走るような名馬が見いだされる。千里を走る名馬はいつでもいるのだが、伯楽がいつでもいるというものではない。」
といふ「意味」である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
「世有伯楽、然後有千里馬。千里馬常有、而伯楽不常有。」
といふ「漢文」は、「述語論理」としては、概ね、
「∀x(馬x)→∃x(千里x),∀x(馬x)├ ∃x(千里x&馬x),~∀x{(千里x&馬x)→∃y(伯楽y&飼yx)}」
といふ「意味」である。
然るに、
(09)
現在のコンピュータ、人工知能にも原理的にできないことがあります。述語論理の演繹かどうかの判定なんて、絶対できないです。
(佐野 勝彦 北海道大学大学院文学研究院哲学倫理学研究室 准教授)
従って、
(08)(09)により、
(10)
私には出来るのに、AIは、「原理的」に、
「世有伯楽、然後有千里馬。千里馬常有、而伯楽不常有。」
のやうな「漢文」を、「述語論理」には、「翻訳」出来ないやうであるが、
何となく、本当だらうかと、思はれる。
(01)
今両虎共闘、其勢不俱生=
今両虎共闘、其勢不(俱生)⇒
今両虎共闘、其勢(俱生)不=
今両虎共に闘はば、其の勢ひ(俱には生)ず=
もし、二頭の虎が闘へば、成り行きとして、両方が、ともに生きることはない(どちらかが死ぬ)。
cf.
今ここで我々両雄が争ったならば、ことの成りゆきから二人は両立できないだろう。
(史記「刎頸之交」、日栄社 要説 十八史略・史記、1970年、155頁)
然るに、
(02)
(ⅰ)
1 (1)∀x∀y{虎x&虎y&闘xy→~(生x&生y)} A
1 (2) ∀y{虎a&虎y&闘ay→~(生a&生y)} 1UE
1 (3) 虎a&虎b&闘ab→~(生a&生b) 2UE
4 (4) 虎a&虎b A
5 (5) 闘ab A
45 (6) 虎a&虎b&闘ab 45&I
145 (7) ~(生a&生b) 36MPP
145 (8) ~生a∨~生b 7ド・モルガンの法則
145 (9) 生a→~生b 8含意の定義
14 (ア) 闘ab→(生a→~生b) 59CP
イ(イ) 闘ab& 生a A
イ(ウ) 闘ab イ&E
14 イ(エ) 生a→~生b アウMPP
イ(オ) 生a イ&E
14 イ(カ) ~生b エオMPP
14 (キ) 闘ab&生a→ ~生b イカCP
1 (ク) 虎a&虎b→(闘ab&生a→~生b) 4キCP
1 (ケ) ∀y{虎a&虎y→(闘ay&生a→~生y)} クUI
1 (コ)∀x∀y{虎x&虎y→(闘xy&生x→~生y)} ケUI
(ⅱ)
1 (1)∀x∀y{虎x&虎y→(闘xy&生x→~生y)} A
1 (2) ∀y{虎a&虎y→(闘ay&生a→~生y)} 1UE
1 (3) 虎a&虎b→(闘ab&生a→~生b) 2UE
4 (4) 虎a&虎b&闘ab A
4 (5) 虎a&虎b 4&E
14 (6) (闘ab&生a→~生b) 35MPP
4 (7) 闘ab 4&E
8 (8) 生a A
48 (9) 闘ab&生a 78&I
148 (ア) ~生b 69MPP
14 (イ) 生a→~生b 8アCP
14 (ウ) ~生a∨~生b イ含意の定義
14 (エ) ~(生a&生b) ウ、ド・モルガンの法則
1 (オ) 虎a&虎b&闘ab→~(生a&生b) 4エCP
1 (カ) ∀y{虎a&虎y&闘ay→~(生a&生y)} 2UI
1 (キ)∀x∀y{虎x&虎y&闘xy→~(生x&生y)} カUI
従って、
(02)により、
(03)
① ∀x∀y{虎x&虎y&闘xy→~(生x&生y)}
② ∀x∀y{虎x&虎y→(闘xy&生x→~生y)}
③ ∀x∀y{虎x&虎y→(闘yx&生y→~生x)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxとyについて{xが虎でyも虎で、xとyが闘ふならば、(xが生きて、その上、yも生きる)といふことは無い}。
② すべてのxとyについて{xが虎でyも虎ならば、(xとyが闘ってxが生きるのであれば、yは死ぬ)}。
③ すべてのxとyについて{xが虎でyも虎ならば、(yとxが闘ってyが生きるのであれば、xは死ぬ)}。
に於いて、
①=②=③ であるものの、
この「等式」であれば、AIにも、「理解(?)」出来るかも知れない。
然るに、
(04)
この場合に、
虎=相如
虎=廉将軍
であることも、AIにも、「理解(?)」出来かも知れない。
然るに、
(05)
相如曰、
「夫以秦王之威、而相如廷叱之、辱其群臣。
相如雖駑、独畏廉将軍哉。
顧吾念之、彊秦之所以不敢加兵於趙者、徒以吾両人在也。
今両虎共闘、其勢不俱生。
吾所以為此者、以先国家之急、而後私讎也。」
の「全体」を、従って、
相如曰はく、
「夫れ秦王の威を以てしても、相如之を廷叱して、其の群臣を辱む。
相如駑なりと雖も、独り廉将軍を畏れんや。
顧だ吾之を念ふに、彊秦の敢へて兵を趙に加へざる所以の者は、徒だ吾が両人の在るを以てなり。
今両虎共に闘はば、其の勢ひ俱には生きざらん。
の「全体」を、AIが、「述語論理」に「翻訳」することは、恐らく『無理』である。
(06)
例へば、
其勢不俱生。
で使はれてゐる、
其の勢ひ=その成り行き。
などといふ「言葉」を、「述語論理」に翻訳することは、固より、「不可能」に決まってゐます。
(07)
皆さんが家庭で使っているコンピュータ、最近よく耳にする「人工知能」という言葉。歴史を紐解けば、推論の正しさを研究する論理学がなければ、コンピュータも人工知能研究もなかったかもしれません(佐野 勝彦 北海道大学大学院文学研究院哲学倫理学研究室 准教授)。
とのことなのですが、私自身は、AIのことを、何も分かってはゐません。
(01)
① 無象非動物(象にして動物に非ざるは無し)。
② 象者動物也(象は動物なり)。
③ 弟子不必不如師(弟子は必ずしも師に如かずんばあらず)。
④ 弟子有大於其師者(弟子に其の師よりも大なる者有り)。
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(02)
①(xが象であって、xが動物ではない)といふ、そのやうなxは存在しない。
② すべてのxについて(xが象であるならば、xは動物である)。
③(すべてのxについて(xが弟子であるならば、あるyはxの師であって、xはyに及ばない))といふわけではない。
④ あるxは弟子であって、すべてのyについて(yがxの師であるならば、xはy以上である)。
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(03)
① ~∃x(象x&~動物x)
② ∀x(象x→ 動物x)
③ ~∀x{弟子x→∃y(師yx&x<y)}
④ ∃x{弟子x&∀y(師yx→x≧y)}
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(04)
(ⅰ)
1 (1)~∃x(象x&~動物x) A
2 (2) 象a&~動物a A
2 (3) ∃x(象x&~動物x) A
12 (4)~∃x(象x&~動物x)&
∃x(象x&~動物x) 13&I
1 (5) ~(象a&~動物a) 2RAA
6 (6) 象a A
7(7) ~動物a A
67(8) 象a&~動物a 67&I
167 (9) ~(象a&~動物a)&
(象a&~動物a) 58&I
16 (ア) ~~動物a 79RAA
16 (イ) 動物a アDN
1 (ウ) 象a→ 動物a 6イCP
1 (エ) ∀x(象x→ 動物x) ウUI
(ⅱ)
1 (1) ∀x(象x→ 動物x) A
1 (2) 象a→ 動物a A
3 (3) ∃x(象x&~動物x) A
4 (4) 象a&~動物a A
4 (5) 象a 4&E
1 4 (6) 動物a 25MPP
4 (7) ~動物a 4&E
1 4 (8) 動物a&~動物a 67&I
4 (9)~∀x(象x→ 動物x) 18RAA
1 4 (ア) ∀x(象x→ 動物x)&
~∀x(象x→ 動物x) 19&I
13 (イ) ∀x(象x→ 動物x)&
~∀x(象x→ 動物x) 34EE
1 (ウ)~∃x(象x&~動物x) 3イRAA
(ⅲ)
1 (1)~∀x{ 弟子x→ ∃y(師yx&x<y)} A
1 (2)∃x~{ 弟子x→ ∃y(師yx&x<y)} 1量化子の関係
3 (3) ~{ 弟子a→ ∃y(師ya&a<y)} A
4(4) ~弟子a∨ ∃y(師ya&a<y) A
4(5) 弟子a→ ∃y(師ya&a<y) 4含意の定義
34(6) ~{ 弟子a→ ∃y(師ya&a<y)}&
{ 弟子a→ ∃y(師ya&a<y)} 35&I
3 (7) ~{~弟子a∨ ∃y(師ya&a<y)} 46RAA
3 (8) 弟子a&~∃y(師ya&a<y) 7ド・モルガンの法則
3 (9) 弟子a 8&E
3 (ア) ~∃y(師ya&a<y) 8&E
3 (イ) ∀y~(師ya&a<y) ア量化子の関係
3 (ウ) ~(師ba&a<b) イUE
3 (エ) ~師ba∨a≧b ウ、ド・モルガンの法則
3 (オ) 師ba→a≧b エ含意の定義
3 (カ) ∀y(師ya→a≧y) オUI
3 (キ) 弟子a& ∀y(師ya→a≧y) 9カ&I
3 (ク) ∃x{弟子x& ∀y(師yx→x≧y)} キEI
1 (ケ) ∃x{弟子x& ∀y(師yx→x≧y)} 13クEE
(ⅳ)
1 (1) ∃x{弟子x&∀y(師yx→x≧y)} A
2 (2) 弟子a&∀y(師ya→a≧y) A
2 (3) 弟子a 2&E
2 (4) ∀y(師ya→a≧y) 2&E
2 (5) 師ba→a≧b 4UE
2 (6) ~師ba∨a≧b 5含意の定義
2 (7) ~(師ba&a<b) 6ド・モルガンの法則
2 (8) ∀y~(師ya&a<y) 7UI
2 (9) ~∃y(師ya&a<y) 8量化子の関係
ア(ア) 弟子a→∃y(師ya&a<y) A
2ア(イ) ∃y(師ya&a<y) 3アMPP
2ア(ウ) ~∃y(師ya&a<y)&
∃y(師ya&a<y) 9イ&I
2 (エ) ~{弟子a→∃y(師ya&a<y)} アウRAA
2 (オ) ∃x~{弟子x→∃y(師yx&x<y)} エEI
1 (カ) ∃x~{弟子x→∃y(師yx&x<y)} 12オEE
1 (キ) ~∀x{弟子x→∃y(師yx&x<y)} カ量化子の関係
従って、
(03)(04)により、
(05)
果たして、
① ~∃x(象x&~動物x)
② ∀x(象x→ 動物x)
③ ~∀x{弟子x→∃y(師yx&x<y)}
④ ∃x{弟子x&∀y(師yx→x≧y)}
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① 無象非動物。
② 弟子不必不如師。
③ ~∃x(象x&~動物x)
④ ~∀x{弟子x→∃y(師yx&x<y)}
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
然るに、
(07)
言ふまでもなく、
③ ~∃x(象x&~動物x)
④ ~∀x{弟子x→∃y(師yx&x<y)}
といふ「述語論理式」は、「人工言語」である。
然るに、
(08)
日本語や英語、中国語(現代でなく、過去の中国語も含む)は、自然言語である。しかし漢文は、自然言語を土台にした人工言語だ(加藤徹、白文攻略 漢文ひとり学び、2013年、8頁)。中国の口語文(白話文)も、漢文とおなじように漢字を使っていますが、もともと二つのちがった体系で、単語も文法もたいへんちがうのですから、いっしょにあつかうことはできません。漢文と中国語は別のものです(魚返善雄、漢文入門、1966年、17頁)。しからば、口語はAxByであるものを、文章語はABとつづめても、これはこれで完全な文となり得る。かくして記載語のABは、はじめから口語のAxByとは別のものとして発生し、存在したと思われる(吉川幸次郎、漢文の話、1962年、59頁)。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
① 無象非動物。
② 弟子不必不如師。
といふ「漢文」も、「人工言語」である。
然るに、
(10)
日常言語の文から述語計算の文の翻訳のためには、一般にあたまが柔軟であることが必要である。なんら確定的な規則があるわけでなく、量記号に十分に馴れるまでには、練習を積むことが必要である。そこに含まれている仕事は翻訳の仕事に違いないけれども、しかしそこへ翻訳が行われる形式言語は、自然言語のシンタックスとは幾らか違ったシンタックスをもっており、また限られた術語―論理的結合記号、変数、固有名、述語文字、および2つの量記号―しかももたない。その言語のおもな長所は、記法上の制限にもかかわらず、非常に広範な表現能力をもっていることである(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、130頁)。
Flexibility of mind is generally required for translating from ordinary speech into sentences of the predicate calculus. No firm rules can be given, and practice is needed before full familiarity with quantifiers is reached. The activity involved is one of translation; but the formal language into which translation is being made has a rather different from that of a natural language,and has only a narrow terminology―logical connectives, variables, proper names, predicate-letters, and two quantifiers. The chief merit of the language is that, despite its notational limitations, it has a very wide expressive power(E.J.Lemmon, Beginning Logic, First published in Great Britain 1965).
(11)
記号論理学は、英語などヨーロッパ語を母国語とする文化圏でもっぱら開発された学門であるにもかかわらず、論理学者の母語よりも日本語のような外国語の文法に合致している部分が少なくない(もちろん逆もある)。このことは、論理学が、ローカルな日常言語ではなく言語的な普遍論理をかなり再現しおおせている証しと言えるだろう(三浦俊彦、ラッセルのパラドックス、2005年、105頁)。
従って、
(07)~(11)により、
(12)
① 無〔象非(動物)〕。
② 弟子不[必不〔如(師)〕]。
③ ~∃x(象x&~動物x)
④ ~∀x{弟子x→∃y(師yx&x<y)}
に於いて、これらは、4つとも、「人工言語」であるが、
③ ~∃x(象x&~動物x)
④ ~∀x{弟子x→∃y(師yx&x<y)}
に関しては、それを「理解」する際に、「英語が出来ること」は、「アドバンテージ」にはならない。
然るに、
(13)
大学(京都帝国大学)に入った二年め(昭和5年)の秋、倉石武四郎先生が中国の留学から帰られ、授業を開始されたことは、私だけではなく、当時の在学生に一大衝撃を与えた。先生は従来の漢文訓読を全くすてて、漢籍を読むのにまず中国語の現代の発音に従って音読し、それをただちに口語に訳することにすると宣言されたのである。この説はすぐさま教室で実行された。私どもは魯迅の小説集『吶喊』と江永の『音学弁徴』を教わった。これは破天荒のことであって、教室で中国の現代小説を読むことも、京都大学では最初であり、全国のほかの大学でもまだなかったろうと思われる。
(『心の履歴』、「小川環樹著作集 第五巻」、筑摩書房、176頁)
(14)
大学では、これまでなじみのある訓読という方法によらず、現代中国語の知識を前提として、中国語の音によってそのまま読んでいきます。音そのもののひびきの美しさを体得できるよう、古典・現代のいずれに関心がある場合でも、入学後は現代中国語を充分に習得してください。
(京都大学、文学部受験生向けメッセージ)
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
① 無〔象非(動物)〕。
② 弟子不[必不〔如(師)〕]。
③ ~∃x(象x&~動物x)
④ ~∀x{弟子x→∃y(師yx&x<y)}
に於いて、これらは、4つとも、「人工言語」であるが、
① 無〔象非(動物)〕。
② 弟子不[必不〔如(師)〕]。
に関しては、それを「理解」する際に、「中国語が出来ること」が、「アドバンテージ」になる。
といふ風に、「京都大学の漢文の先生」は、思ってゐる。
然るに、
(16)
③ ~∃x(Zx&~Dx)
④ ~∀x{Tx→∃y(Syx&x<y)}
といふ「式」がさうであるやうに、固より、「人工言語」は、「英語」で読んでも、「日本語」で読んでも、「中国語」で読んでも、「支障」は無い。
従って、
(15)(16)により、
(17)
「京都大学の漢文の先生」は、
① 無〔象非(動物)〕。
② 弟子不[必不〔如(師)〕]。
といふ「漢文」を、「人工言語」ではなく、「自然言語」である。
といふ風に、思ってゐる。
(01)
返読文字とは、そのような「他動詞」や「助動詞」以外に、日本語と逆の語順になる漢字のことです。
入試で頻出となる返読文字は以下です。
① 有無を表す表現 …「有」「無」「多」「少」
(ViCOLLA Magazine)
然るに、
(02)
「有」は「もつ」が原義だから「・・・・がある」にあたり、「・・・・である」ではない。
(中沢希男、同訓異字辞典、1980年、21頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
「有(返読文字)」は、「他動詞」ではないと、言ふものの、
① 我有父母。
② I have parents.
に於いて、
①=② であるため、
「有(have)」は、「他動詞」である。
然るに、
(04)
① 有父母。
② have parents.
に於いて、
①=② であるが、
① は、「漢文」として、「正しい」が、
② は、「英文」として、「正しく」はない。
従って、
(04)により、
(05)
① 有父母(父母あり)。
② 父母有(父母あり)。
といふ「語順」に於いて、
① は、「漢文」として、「正しい」が、
② は、「漢文」として、「正しく」はない。
従って、
(05)により、
(06)
① 世有伯楽 (世に伯楽有り)。
② 千里馬常有 (千里の馬は常に有り)。
③ 千里馬常有之(千里の馬は常に、之れ有り)。
といふ「語順」に於いて、
② の「語順」は、「漢文」としては、「破格」である。
然るに、
(07)
② 常識、常備、常駐、常在
等がさうであるやうに、
② 常有
が、「名詞」であるならば、
② 千里馬(主語)+常有(述語)。
であるため、
② 千里馬常有(千里の馬は常に有り)。
であっても、「破格」ではない。
然るに、
(08)
(ⅰ)
1 (1) ~∀x(Fx) A
2 (2) ~∃x(~Fx) A
3(3) ~Fa A
3(4) ∃x(~Fx) 3EI
23(5) ~∃x(~Fx)&
∃x(~Fx) 24&I
2 (6) ~~Fa 3RAA
2 (7) Fa 6DN
2 (8) ∀x(Fx) 7UI
12 (9) ~∀x(Fx)&
∀x(Fx) 18&I
1 (ア)~~∃x(~Fx) 29RAA
1 (イ) ∃x(~Fx) アDN
(ⅱ)
1 (1) ∃x(~Fx) A
2 (2) ∀x(Fx) A
3(3) ~Fa A
2 (4) Fa 2UE
23(5) ~Fa&Fa 34&I
3(6) ~∀x(Fx) 25RAA
1 (7) ~∀x(Fx) 136EE
従って、
(08)により、
(09)
① ~∀x(Fx)
② ∃x(~Fx)
に於いて、すなはち、
① すべてのxが、Fである。といふわけではない。
② あるxは、Fでない。
に於いて、
①=② である(量化子の関係)。
従って、
(09)により、
(10)
① ~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)}
② ∃x~{千里馬x→∃y(伯楽yx)}
に於いて、
①=② である(量化子の関係)。
然るに、
(11)
(ⅰ)
1 (1)~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)} A
1 (2)∃x~{千里馬x→∃y(伯楽yx)} 1量化子の関係
3(3) ~{千里馬a→∃y(伯楽ya)} A
3(4) ~{~千里馬a∨∃y(伯楽ya)} 3含意の定義
3(5) 千里馬a&~∃y(伯楽ya) 4ド・モルガンの法則
3(6)∃x{千里馬x&~∃y(伯楽yx)} 5EI
1 (7)∃x{千里馬x&~∃y(伯楽yx)} 136EE
(ⅱ)
1 (1)∃x{千里馬x&~∃y(伯楽yx)} A
2(2) 千里馬a&~∃y(伯楽ya) A
2(3) ~{~千里馬a∨∃y(伯楽ya)} 2ド・モルガンの法則
2(4) ~{千里馬a→∃y(伯楽ya)} 3含意の定義
2(5)∃x~{千里馬x→∃y(伯楽yx)} 4EI
1 (6)∃x~{千里馬x→∃y(伯楽yx)} 125EE
1 (7)~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)} 6量化子の関係
従って、
(11)により、
(12)
① ~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)}
② ∃x{千里馬x&~∃y(伯楽yx)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、xが千里馬であるならば、あるyがxの伯楽である。といふわけではない。
② あるxは、千里馬であって、xの伯楽であるyは、存在しない。
に於いて、すなはち、
① すべての千里馬に対して、伯楽がゐる。といふわけではない。
② 伯楽がゐない所の、千里の馬がゐる。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(13)
千里馬常有、而伯楽不二常有一。
千里の馬は常有れども、伯楽は常には有らず。
一日に千里走る名馬はいつもいるのであるが、(これを見わける)伯楽はいつもいるとはかぎらないのである。
◇ 千里馬常有、而伯楽不二常有一。
「不二常~一」は「常ニハ~ず」と読み、「いつも~とはかぎらない」の意を示す一部否定の形。
全部否定は「常不二~一」の形で「常に~ず」と読み、「いつもかならず~ない」の意味をあらわす。
(旺文社、漢文の基礎、1973年、153・4・5頁)
従って、
(12)(13)により、
(14)
① 千里馬常有、而伯楽不二常有一。
といふ「漢文(部分否定)」は、
① ~∀x{千里馬x→∃y(伯楽yx)}.
といふ「述語論理式」に、「相当」する。
(01)
(ⅰ)
1 (1) ∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]} A
1 (2) 弟子a→∃y[師匠ya&(a<y)]} 1UE
3(3) 弟子a&∀y[師匠ya→(a≧y)] A
3(4) 弟子a 3&E
3(5) ∀y[師匠ya→(a≧y)] 3&E
3(6) 師匠ba→(a≧b) 1UE
3(7) ~師匠ba∨(a≧b) 6含意の定義
3(8) ~[師匠ba&(a<b)] 7ド・モルガンの法則
3(9) ∀y~[師匠ya&(a<y)] 8UI
3(ア) ~∃y[師匠ya&(a<y)] 9量化子の関係
13(イ) ∃y[師匠ya&(a<y)] 24MPP
13(ウ) ~∃y[師匠ya&(a<y)]&
∃y[師匠ya&(a<y)] アイ&I
1 (エ) ~{弟子a&∀y[師匠ya→(a≧b)]} 3ウRAA
1 (オ)∀x~{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]} エUI
1 (カ)~∃x{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]} オ量化子の関係
(ⅱ)
1 (1)~∃x{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]} A
1 (2)∀x~{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]} 1量化子の関係
1 (3) ~{弟子a&∀y[師匠ya→(a≧y)]} 2UE
1 (4) ~弟子a∨~∀y[師匠ya→(a≧y)] 3ド・モルガンの法則
5 (5) ~∀y[師匠ya→(a≧y)] A
5 (6) ∃y~[師匠ya→(a≧y)] 5量化子の関係
7 (7) ~[師匠ba→(a≧b)] A
7 (8) ~[~師匠ba∨(a≧b)] 7含意の定義
7 (9) [師匠ba&(a<b)] 8ド・モルガンの法則
7 (ア) ∃y[師匠ya&(a<y)] 9EI
5 (イ) ∃y[師匠ya&(a<y)] 57ア
5 (ウ) ~弟子a∨∃y[師匠ya&(a<y)] イ∨I
エ(エ) ~弟子a A
エ(オ) ~弟子a∨∃y[師匠ya&(a<y)] エ∨I
1 (カ) ~弟子a∨∃y[師匠ya&(a<y)] 45ウエオ∨E
1 (キ) 弟子a→∃y[師匠ya&(a<y)] カ含意の定義
1 (ク) ∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]} キUI
(02)
(ⅲ)
1 (1)~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]} A
1 (2)∃x~{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]} 1含意の定義
3(3) ~{弟子a→∃y[師匠ya&(a<y)]} A
3(4) ~{~弟子a∨∃y[師匠ya&(a<y)]} 3含意の定義
3(5) 弟子a&~∃y[師匠ya&(a<y) 4ド・モルガンの法則
3(6) 弟子a 5&E
3(7) ~∃y[師匠ya&(a<y)] 5&E
3(8) ∀y~[師匠ya&(a<y)] 7量化子の関係
3(9) ~[師匠ba&(a<b)] 8UE
3(ア) ~師匠ba∨(a≧b) 9ド・モルガンの法則
3(イ) 師匠ba→(a≧b) ア含意の定義
3(ウ) ∀y[師匠ya→(a≧y)] イUI
3(エ) 弟子a&∀y[師匠ya→(a≧y)] 6U&I
3(オ) ∃x{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]} エEI
1 (カ) ∃x{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]} 23オEE
(ⅳ)
1 (1) ∃x{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]} A
2(2) 弟子a&∀y[師匠ya→(a≧y)] A
2(3) 弟子a 2&E
2(4) ∀y[師匠ya→(a≧y)] 2&E
2(5) 師匠ba→(a≧b) 4UE
2(6) ~師匠ba∨(a≧b) 5含意の定義
2(7) ~[師匠ba&(a<b)] 6ド・モルガンの法則
2(8) ∀y~[師匠ya&(a<y)] 7UI
2(9) ~∃y[師匠ya&(a<y)] 8量化子の関係
2(ア) 弟子a&~∃y[師匠ya&(a<y)] 39&I
2(イ) ~{~弟子a∨∃y[師匠ya&(a<y)]} 9ド・モルガンの法則
2(ウ) ~{弟子a→∃y[師匠ya&(a<y)]} イ含意の定義
2(エ)∃x~{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]} ウEI
1 (オ)∃x~{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]} 12エEE
1 (カ)~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]} オ量化子の関係
従って、
(01)(02)により、
(03)
「それぞれの計算」により、
① ∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}
② ~∃x{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]}
③ ~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}
④ ∃x{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]}
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(03)により、
(04)
③ ~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}
④ ∃x{弟子x&∀y[師匠yx→(x≧y)]}
に於いて、すなはち、
③ すべてのxについて{xが弟子であるならば、あるyは[xの弟子であって、(xはyに及ばない)]}といふわけではない。
④ あるxは{弟子であって、すべてのyについて[yがxの師匠であるならば、(xはy以上である)]}。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(05)
③ すべてのxについて{xが弟子であるならば、あるyは[xの弟子であって、(xはyに及ばない)]}といふわけではない。
④ あるxは{弟子であって、すべてのyについて[yがxの師匠であるならば、(xはy以上である)]}。
に於いて、すなはち、
③ すべての弟子が、自分の師匠に、及ばない、といふわけではない。
④ ある弟子は、自分の師匠、以上である。
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(06)
③ 弟子不二必不一レ如レ師=
③ 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
③ 弟子[必〔(師)如〕不]不=
③ 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕不んば]あら不=
③ 弟子は、必ずしも、師匠に及ばない、といふわけではない。
従って、
(05)(06)により、
(07)
「番号」を付け直すとして、
① 弟子不必不如師。
② 弟子は必ずしも、師に如か不んばあら不。
③ ~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}。
④ すべてのxについて{xが弟子であるならば、あるyは[xの弟子であって、(xはyに及ばない)]}といふわけではない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(08)
日常言語の文から述語計算の文の翻訳のためには、一般にあたまが柔軟であることが必要である。なんら確定的な規則があるわけでなく、量記号に十分に馴れるまでには、練習を積むことが必要である。そこに含まれている仕事は翻訳の仕事に違いないけれども、しかしそこへ翻訳が行われる形式言語(formal language)は、自然言語のシンタックスとは幾らか違ったシンタックスをもっており、また限られた述語 ― 論理的結合記号、変数、固有名、述語文字、および2つの量記号 ― しかもたない。その言語のおもな長所は、記法上の制限にもかかわらず、非常に広範な表現能力をもっていることである(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、130頁)。
従って、
(07)(08)により
(09)
② 弟子は必ずしも、師に如か不んばあら不。
といふ「日本語」が、「日常言語」であるのに対して、
③ ~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}。
といふ「述語論理」は、「人工言語」である。
然るに、
(10)
自然言語の外国人向けの教科書は、まず「こんにちは!」「ありがとう」のような簡単な言葉(ネイティブスピーカーの子供でもわかる言葉)から入る。いっぽう、漢文は自然言語ではなかった。また「聞いて話す」音声言語ではなく、「読んで書く」ための書記言語である。漢字の習得者だけが、漢文を学習できる。「ネイティブライター」は原理的に存在できない。― 中略 ―、「ネイティブライター」が存在できないという点では、中国人も外国人も平等である(加藤徹 著、白文後略 漢文一人学び、2013年、8・9頁)。
従って、
(07)(10)により、
(11)
② 弟子は必ずしも、師に如か不んばあら不。
といふ「日本語」が、「日常言語」であるのに対して、
① 弟子不必不如師。
といふ「漢文(文言文)」は、「人工言語(formal language)」である。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
「番号」を付け直すと、
① 弟子不必不如師。
② ~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}。
に於いて、
① は、「人工言語」であって、
② も、「人工言語」であるが故に、「ネイティブライター」が存在できないという点では、中国人も、日本人も、アメリカ人も平等である。
然るに、
(13)
江戸時代には、荻生徂来(おぎゅう・そらい、1666-1728)が、漢文訓読法を排斥して、漢詩文は唐音(中国語音)で音読すべきだと主張しました。
荻生徂来は、長崎通詞であった岡島冠山(おかじま・かんざん、1674-1728)から唐話(とうわ=中国語)を学んでいました。漢詩文を唐音で読むという徂来の主張は強固なもので、彼の古文辞学(擬古的な漢文)とともに一世を風靡する大流行となりました。ただし、当時のいわゆる唐音というのは、中国南方の方言音で、現在の北京語を基礎とした普通話(pŭ tōng huà)とはかなり違うものでした。当時、わが国は清国と正式の国交はなく、貿易は長崎において清国商人に信牌(貿易許可証)を与え、私貿易という形で許可していました。そのため、長崎で用いられる中国語も、清国商人が用いる南方方言だったのです(Webサイト:日本漢文の世界)。
然るに、
(14)
(倉石)徂徠は、単に唐音を操るといふ様なことに満足せず、漢文を学ぶには先ず支那語からとりかり、支那の俗語をば支那語で暗誦させ、これを日本語の俗語に訳し、決して和訓の顚倒読みをしてはならない、始めは零細な二字三字の句から始めて、遂に纏った書物を読ます、支那語が支那人ほど熟達してから、古い書物を読ませば、破竹の勢いで進歩すると説いたこれは、今日の様に外国語に対する理念が発達した時代から見れば、何の不思議もない「ことであるが、その当時、つとに、かかる意見を吐いたのは、たしかに一世に抜きんでた見識に相違ない(勉誠出版、「訓読」論、2008年、56頁)。
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
荻生徂来(1666-1728)だけでなく、
倉石武四郎(1897-1975)先生も、
① 弟子不必不如師。
といふ「漢文(文言文)」は、「人工言語」ではなく、「自然言語」であると、信じてゐたことになるが、
荻生徂徠はともかく、
倉石武四郎先生は、
② ~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}。
といふ「述語論理(Predicate logic)」の存在を、知ってゐない、とは思へない。
従って、
(15)により、
(16)
倉石武四郎(1897-1975)先生は、
① 弟子不必不如師。
② ~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}。
といふ「2つの言語」を、「全く異なる」ものとして、捉へていたはずであるが、
少なくとも、私にとっては、
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
② ~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}。
といふ「言語」は、両方とも、「理屈(論理)が先行する所の、(人工)言語)」である。
(17)
① 我非生而知文言文(我は生まれながらにして、文言文を知る者に非ず)。
② 我非生而知論理学(我は生まれながらにして、論理学を知る者に非ず)。
といふことに関しては、
① と、
② は、「同様」であるが、
その一方で、
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
② ~∀x{弟子x→∃y[師匠yx&(x<y)]}。
に於いて、
①=② である。
といふことは、
③ 生まれながらにして、「それを知ることが出来る仕組み」が、「頭(脳)」の中に、(生得的に、)備はってゐたものと、思はれる。