(01)
現在はシアトル・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めているのは「鈴木(姓)一郎(名)」、
すなはち、「イチロー」である。
従って、
(01)により、
(02)
① 鈴木=イチロー
① 一郎=イチロー
である。
従って、
(02)により、
(03)
① 鈴木は日本人である。一郎は日本人である。従って、少なくとも、2人の日本人が存在する。
といふ「推論」は、「妥当」ではない。
然るに、
(04)
② 鈴木は日本人である。佐藤は日本人である。従って、少なくとも、2人の日本人が存在する。
③ 鈴木は日本人である。佐藤は日本人である。渡辺は日本人である。従って、少なくとも、3人の日本人が存在する。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① xは日本人であって、yは日本人であって、尚且つ(x=y)であるならば、少なくとも、1人の日本人が存在し、
② xは日本人であって、yは日本人であって、尚且つ(x≠y)であるならば、少なくとも、2人の日本人が存在する。
③ xは日本人であって、yは日本人であって、zは日本人であって、尚且つ(x≠y,x≠z,y≠z)であるならば、少なくとも、3人の日本人が存在する。
従って、
(05)により、
(06)
「日本語」で言ふと、
① あるxはFであって、いかなるxとyであっても{(xがFであって、yもFである)ならば、xとyは「同一」である}。
とするならば、
① 唯一のFが、存在する。
従って、
(06)により、
(07)
「記号」で書くと、
① ∃x(Fx)&∀x∀y{Fx&Fy→(x=y)}
であるならば、
① 唯一のFが、存在する。
然るに、
(08)
(ⅰ)
1 (1)∃xFx&∀x∀y(Fx&Fy→x=y) A
1 (2)∃xFx 1&E
3 (3) Fa A
1 (4) ∀x∀y(Fx&Fy→x=y) 1&E
1 (5) ∀y(Fa&Fy→a=y) 4UE
1 (6) Fa&Fb→a=b 5UE
7(7) Fb A
37(8) Fa&Fb 37&I
137(9) a=b 68MPP
13 (ア) Fb→a=b 79CP
13 (イ) ∀y(Fy→a=y) アUI
13 (ウ) Fa&∀y(Fy→a=y) 3イ&I
13 (エ) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} ウEI
1 (オ) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} 23エEE
(ⅱ)
1 (1) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} A
2 (2) Fa&∀y(Fy→a=y) A
2 (3) Fa 2&E
2 (4) ∃x(Fx) 3EI
1 (5) ∃x(Fx) 124EE
1 (6) ∀y(Fy→a=y) 2&E
1 (7) Fb→a=b 6UE
8(8) Fa&Fb A
8(9) Fb 8&E
1 8(ア) a=b 79MPP
1 (イ) Fa&Fb→a=b 8アCP
1 (ウ) ∀y(Fa&Fy→a=y) イUI
1 (エ) ∀x∀y(Fx&Fy→x=y) ウUI
1 (オ)∃xFx&∀x∀y(Fx&Fy→x=y) 5エ&I
従って、
(08)により、
(09)
① ∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
② ∃x{Fx & ∀y( Fy→x=y)}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(10)
(ⅱ)
1 (1) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} A
2(2) Fa&∀y(Fy→a=y) A
2(3) Fa 2&E
2(4) ∀y(Fy→a=y) 2&E
2(5) Fb→a=b 4UE
2(6) ~Fb∨a=b 5含意の定義
2(7) ~(Fb&a≠b) 6ド・モルガンの法則
2(8) ∀y~(Fy&a≠y) 7UI
2(9) ~∃y(Fy&a≠y) 8量化子の関係
2(ア) Fa&~∃y(Fy&a≠y) 39&I
2(イ)∃x{Fx&~∃y(Fy&x≠y)} アEI
1 (ウ)∃x{Fx&~∃y(Fy&x≠y)} 12イEE
(ⅲ)
1 (1)∃x{Fx&~∃y(Fy&x≠y)} A
2(2) Fa&~∃y(Fy&a≠y) A
2(3) Fa 2&E
2(4) ~∃y(Fy&a≠y) 2&E
2(5) ∀y~(Fy&a≠y) 4量化子の関係
2(6) ~(Fb&a≠b) UE
2(7) ~Fb∨a=b 6ド・モルガンの法則
2(8) Fb→a=b 7含意の定義
2(9) ∀y(Fy→a=y) 8UI
2(ア) Fa&∀y(Fy→a=y) 39&I
2(イ) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} アEI
1 (ウ) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} 12イEE
従って、
(10)により、
(11)
② ∃x{Fx& ∀y(Fy→x=y)}
③ ∃x{Fx&~∃y(Fy&x≠y)}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(08)~(11)により、
(12)
① ∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
② ∃x{Fx & ∀y( Fy→x=y)}
③ ∃x{Fx & ~∃y( Fy&x≠y)}
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(12)により、
(13)
それ故、正確に1つのものがFをもつと言うことは、つぎのように言うことである。
(16)∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
さて(16)は、実はより短くすっきりとした次の式と導出可能なのである。
(17)∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)}
(17)は、あるものがFをもち、そして任意のFをもつものはまさにそのものにほかならない、ということを主張する。
正確に1つのものがFをもつということの、いまひとつの言いかたがある。しかるに、まだもっと明瞭であるかも知れない、第3の同値な式がある。すなわち、
(18)∃x{Fx&~∃y(Fy&x≠y)}
― Fをもつものが存在し、その他のいかなるものもFをもつことはない。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 翻訳、1973年、211・212頁)
といふ「説明」は、「正しい」。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① ∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
② ∃x{Fx & ∀y( Fy→x=y)}
③ ∃x{Fx & ~∃y( Fy&x≠y)}
に於いて、すなはち、
① あるxはFであって、いかなるxとyであっても{xがFであって、yもFであるならば、xとyは「同一」である}。
② あるxについて{xはFであって、いかなるyであっても、yがFであるならば、xとyは「同一」である}。
③ あるxについて{xはFであって、x=yではない所の、Fであるyは、存在しない}。
に於いて、
①=②=③ である。
(01)
1 (1) ∀x∀y(Fx&~Fy&x=y) A
1 (2) ∀y(Fa&~Fy&a=y) 1UE
1 (3) Fa&~Fb&a=b 2UE
1 (4) Fa&~Fa 33=E
(5)~∀x∀y(Fx&~Fy&x=y) 14RAA
(6)∃x~∀y(Fx&~Fy&x=y) 5量化子の関係
(7)∃x∃y~(Fx&~Fy&x=y) 6量化子の関係
8 (8) ∃y~(Fa&~Fy&a=y) A
9 (9) ~(Fa&~Fb&a=b) A
9 (ア) ~Fa∨ Fb∨a≠b 9ド・モルガンの法則
9 (イ) ~Fa∨a≠b∨ Fb ア交換法則
9 (ウ) (~Fa∨a≠b)∨Fb イ結合法則
エ (エ) (~Fa∨a≠b) A
エ (オ) ~(Fa&a=b) エ、ド・モルガンの法則
エ (カ) ~(Fa&a=b)∨Fb オ∨I
キ(キ) Fb A
キ(ク) ~(Fa&a=b)∨Fb キ∨I
9 (ケ) ~(Fa&a=b)∨Fb ウエカキク∨E
9 (コ) (Fa&a=b)→Fb ケ含意の定義
9 (サ) ∃y{(Fa&a=y)→Fy} コEI
8 (シ) ∃y{(Fa&a=y)→Fy} 89サEE
8 (ス)∃x∃y{(Fx&x=y)→Fy} シEI
(セ)∃x∃y{(Fx&x=y)→Fy} 78スEE
従って、
(01)により、
(02)
① ∃x∃y{(Fx&x=y)→Fy}
① あるxとyについて{(xがFで、xとyが同一である)ならば、yはFである}。
といふ「論理式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(02)により、
(03)
例へば、
① ある人(x)が理事で、その人(x)が私(y)と「同一人物」であるならば、私(y)は理事である。
といふ「命題」は、「恒に真(本当)」である。
然るに、
(04)
① 理事長は、一人しかゐないが、
① 理事は、 一人では、ない。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① ある人(x)が理事で、その人(x)が私(y)と「同一人物」であるならば、私(y)は理事である。
としても、
① 私=理事(私以外は理事ではない)。
といふことには、ならない。
然るに、
(06)
{a,b,c}が{個体の領域}であるとして、
a=b
a=c
b=c
であるならば、そのときに限って、
a=b
a=c
b=a
b=c
c=a
c=b
であって、
a=b
a=c
b=a
b=c
c=a
c=b
であるならば、そのときに限って、
a=b=c
であって、
a=b=c
であるならば、そのときに限って、
{a,b,c}={a}
である。
従って、
(06)により、
(07)
{a,b,c}が{個体の領域}であるとして、
a=b
a=c
b=a
b=c
c=a
c=b
であるならば、そのときに限って、
{a}={a,b,c}
然るに、
(08)
{a,b,c}が{個体の領域}であるとして、
として、
{a}={a,b,c}
であるならば、{個体の個数}は、{(aによる)1個}である。
従って、
(08)により、
(09)
② ∀x∀y(x=y)
であるならば、すなはち、
② すべてのxとyについて(xとyは同一である)。
であるならば、
② xとyは「同一」であって、尚且つ、「(唯一の)x」である。
然るに、
(10)
(ⅱ)
1(1) ∀x∀y(x=y) A
1(2) ∀y(a=y) 1UE
1(3) a=b 2UE
1(4) ~(Fa&Fb)∨a=b 3∨I
1(5) Fa&Fb→a=b 4含意の定義
1(6) ∀y(Fa&Fy→a=y) 5UI
1(7)∀x∀y(Fx&Fy→x=y) 6UI
従って、
(10)により、
(11)
② ∀x∀y( x=y)
③ ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
に於いて、
② ならば、③である。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
③ ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
であるならば、
③ xは「Fである所の、唯一のx」である。
従って、
(12)により、
(13)
② ∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
であるならば、すなはち、
② あるxは(Fであり)、すべてのxとyについて(xがFであってyもFであるならば、xとyは同一である)。
であるならば、
② Fである所の、唯一のxが存在する。
然るに、
(14)
(ⅱ)
1 (1)∃xFx&∀x∀y(Fx&Fy→x=y) A
1 (2)∃xFx 1&E
3 (3) Fa A
1 (4) ∀x∀y(Fx&Fy→x=y) 1&E
1 (5) ∀y(Fa&Fy→a=y) 4UE
1 (6) Fa&Fb→a=b 5UE
7(7) Fb A
37(8) Fa&Fb 37&I
137(9) a=b 68MPP
13 (ア) Fb→a=b 79CP
13 (イ) ∀y(Fy→a=y) アUI
13 (ウ) Fa&∀y(Fy→a=y) 3イ&I
13 (エ) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} ウEI
1 (オ) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} 23エEE
(ⅲ)
1 (1) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} A
2 (2) Fa&∀y(Fy→a=y) A
2 (3) Fa 2&E
2 (4) ∃x(Fx) 3EI
1 (5) ∃x(Fx) 124EE
1 (6) ∀y(Fy→a=y) 2&E
1 (7) Fb→a=b 6UE
8(8) Fa&Fb A
8(9) Fb 8&E
1 8(ア) a=b 79MPP
1 (イ) Fa&Fb→a=b 8アCP
1 (ウ) ∀y(Fa&Fy→a=y) イUI
1 (エ) ∀x∀y(Fx&Fy→x=y) ウUI
1 (オ)∃xFx&∀x∀y(Fx&Fy→x=y) 5エ&I
従って、
(14)により、
(15)
② ∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
③ ∃x{Fx & ∀y( Fy→x=y)}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(13)(14)(15)により、
(16)
② ∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
③ ∃x{Fx &∀y ( Fy→x=y)}
であるならば、すなはち、
② あるxは(Fであり)、すべてのxとyについて(xがFであってyもFであるならば、xとyは同一である)。
③ あるxは{Fであり、 すべてのy について( yがFであるならば、xとyは同一である)}。
であるならば、
② Fである所の、唯一のxが存在する。
③ Fである所の、唯一のxが存在する。
従って、
(16)により、
(17)
それ故、正確に1つのものがFをもつと言うことは、つぎのように言うことである。
(16)∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
さて(16)は、実はより短くすっきりとした次の式と導出可能なのである。
(17)∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)}
(17)は、あるものがFをもち、そして任意のFをもつものはまさにそのものにほかならない、ということを主張する。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 翻訳、1973年、211・212頁)
といふ「説明」は、「正しい」。
―「先程(令和03年11月22日)の記事」を書き直します。―
(01)
(a)
1 (1)∀x∀y(~Fx&~Fy&x=y) A
1 (2) ∀y(~Fa&~Fy&a=y 1UE
1 (3) ~Fa&~Fb&a=b 2UE
1 (4) ~Fa 3&E
1 (5) ~Fa∨~Fb 4∨I
1 (6) (~Fa∨~Fb)∨a=b 5∨I
7 (7) (~Fa∨~Fb) A
7 (8) ~(Fa& Fb) 7ド・モルガンの法則
7 (9) ~(Fa& Fb)∨a=b 8∨I
ア(ア) a=b A
ア(イ) ~(Fa& Fb)∨a=b ア∨I
1 (ウ) ~(Fa& Fb)∨a=b 179アイ∨E
1 (エ) Fa& Fb →a=b ウ含意の定義
1 (オ) ∀y(Fa& Fy →a=y) エUI
1 (カ) ∀x∀y(Fx& Fy →x=y) オUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x∀y(~Fx&~Fy&x=y)
② ∀x∀y( Fx& Fy→x=y)
に於いて、
①ならば、②である。
然るに、
(03)
(b)
1 (1)∀x∀y(~Fx&~Fy&x=y) A
1 (2) ∀y(~Fa&~Fy&a=y) 1UE
1 (3) ~Fa&~Fb&a=b 2UE
1 (4) ~Fa&~Fa 33=E
1 (5) ~Fa 4&E
1 (6) ∀x(~Fx) 5UI
7 (7) ∃x( Fx) A
1 (8) ~Fa 6UE
9(9) Fa A
1 9(ア) ~Fa&Fa 89&I
17 (イ) ~Fa&Fa 79ア&I
1 (ウ) ~∃x( Fx) 7イRAA
従って、
(03)により、
(04)
① ∀x∀y(~Fx&~Fy&x=y)
③ ~∃x( Fx)
に於いて、
①ならば、③である。
従って、
(04)により、
(05)
① ∀x∀y(~Fx&~Fy&x=y)
③ Fであるxは、存在しない。
に於いて、
①ならば、③である。
従って、
(02)(05)により、
(06)
① ∀x∀y(~Fx&~Fy&x=y)
② ∀x∀y( Fx& Fy→x=y)
③ Fであるxは、存在しない。
に於いて、
①ならば、②であって、
①ならば、③である。
従って、
(06)により、
(07)
① ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
③ Fであるxは、存在しない。
に於いて、
①と③は、「同時に真(本当)」であることが、「可能」である。
然るに、
(08)
1 (1)∀x∀y(Fx&Fy→x=y) A
1 (2) ∀y(Fa&Fy→a=y) 1UE
1 (3) Fa&Fb→a=b 2UE
4(4)∀x∀y(Fx&Fy) A
4(5) ∀y(Fa&Fy) 4UE
4(6) Fa&Fb 5UE
14(7) a=b 36MPP
14(8) ∀y(a=y) 7UI
14(9) ∀x∀y(x=y) 8UI
従って、
(08)により、
(09)
① ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)&∀x∀y(Fx&Fy)
② ∀x∀y(x=y)
に於いて、
①ならば、②である。
然るに、
(10)
1 (1) ∀x∀y(Fx&Fy→x=y) A
1 (2) ∀y(Fa&Fy→a=y) 1UE
1 (3) Fa&Fb→a=b 2UE
4(4)∀x∀y~(Fx&Fy) A
4(5) ∀y~(Fa&Fy) 4UE
4(6) ~(Fa&Fb) 5UE
14(7) a≠b 36??
14(8) ∃y(a≠y) 7EI
14(9) ∃x∃y(x≠y) 8EI
といふ「計算」は、「デタラメ(前件否定の誤謬)」である。
従って、
(06)(10)により、
(11)
① ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
② ∀x∀y(x=y)
③ ∃x∃y(x≠y)
に於いて、
①であるならば、 ②であり得ても、
①であるとしても、③ではない。
然るに、
(12)
② ∀x∀y(x=y)
であるならば、すなはち、
② すべてのxとyについて(xとyは同一である)。
であるならば、
②「個体変数(individual variable)」である所の、x(y)は「一つ」しか存在しない。
cf.
「すべての自然数が、2に等しい」とするならば、「自然数は、2といふ、唯一の数である」。
といふことになり、このことは「事実」ではないが、「論理的には、正しい」。
従って、
(09)~(12)により、
(13)
① ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
②「個体変数(individual variable)」である所の、x(y)は「一つ」しか存在しない。
に於いて、
①と②は、「同時に真(本当)」であることが、「可能」である。
従って、
(07)(13)により、
(14)
① ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
②「個体変数(individual variable)」である所の、x(y)は「一つ」しか存在しない。
③ Fであるxは、存在しない。
に於いて、
①と②は、「同時に真(本当)」であることが、「可能」である。
①と③も、「同時に真(本当)」であることが、「可能」である。
従って、
(14)により、
(15)
① ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
① すべてのxとyについて(xがFであってyもFならば、xとyは、同一の個体である)。
といふ「論理式」は、
① Fを持つものが存在しないことも、またFをもつ1つのものが存在することを許すが、Fをもつものが、2つ以上存在ることを、許さない。
従って、
(15)により、
(16)
(15)∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
― 対象xおよびyをとるとする。するとそれらのいずれもFをもつならば、それらは同一である。この式は、Fを持つものが存在しないことも、またFをもつ1つのものが存在することを許す。しかし1つより多いものが存在するらば、それは明らかに偽となる。故に(15)は、多くとも1つのものがFをもつということを、主張するのである。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 翻訳、1973年、211頁)
―「結論(何が言ひたいのかとふこと)」は、(24)に書かれてゐます。―
(01)
{a,b,c}を{個体の領域}とする。
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x(Fx)=Fa&Fb&Fc
② ∃x(Fx)=Fa∨Fb∨Fc
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)∃x∃y(Fx&Fy):選言の、選言。
(ⅱ) ∃x{(Fx&Fa)∨(Fx&Fb)∨(Fx&Fc)}
(ⅲ){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)}
然るに、
(04)
(a)
1(1)Fa&Fa A
1(2)Fa 1&E
(b)
1(1)Fa A
1(2)Fa&Fa 11&I
従って、
(04)により、
(05)
(a)Fa&Fa
(b)Fa
に於いて、
(a)=(b)である(冪等律)
従って、
(03)(05)により、
(06)
(ⅰ)∃x∃y(Fx&Fy):選言の、選言。
(ⅱ) ∃x{(Fx&Fa)∨(Fx&Fb)∨(Fx&Fc)}
(ⅲ){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)}
(ⅳ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb )∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc )}:冪等律
(ⅴ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb )∨(Fb&Fa)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc )∨(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)}:交換法則
然るに、
(07)
(a)
1 (1)(P&Q)∨(P&R) A
2 (2) P&Q A
2 (3) P 2&E
2 (4) Q 2&E
2 (5) Q∨R 4∨I
2 (6)P&(Q∨R) 35&I
7(7) P&R A
7(8) P 2&E
7(9) R 2&E
7(ア) Q∨R 9∨I
7(イ) P&(Q∨R) 8ア&I
1 (ウ) P&(Q∨R) 1267イ∨E
(b)
1 (1) P&(Q∨R) A
1 (2) P 1&E
1 (3) Q∨R 1&E
4 (4) Q A
14 (5) P&Q 24&I
14 (6)(P&Q)∨(P&R) 5∨I
7(7) R A
1 7(8) P&R 27&I
1 7(9)(P&Q)∨(P&R) 8∨I
1 (ア)(P&Q)∨(P&R) 14679∨E
従って、
(07)により、
(08)
(a)(P&Q)∨(P&R)
(b) P&(Q∨R)
に於いて、
(a)=(b)である(分配法則)。
従って、
(08)により、
(09)
(a)(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)
(b) Fa&(Fb∨Fc)
に於いて、
(a)=(b)である(分配法則)。
従って、
(06)(09)により、
(10)
(ⅰ)∃x∃y(Fx&Fy):選言の、選言。
(ⅱ) ∃x{(Fx&Fa)∨(Fx&Fb)∨(Fx&Fc)}
(ⅲ){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)}
(ⅳ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb )∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc )}:冪等律
(ⅴ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb )∨(Fb&Fa)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc )∨(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)}:交換法則
(ⅵ){ Fa ∨ Fa&(Fb∨Fc) }∨{ Fb ∨ Fb&(Fa∨Fc) }∨{ Fc ∨ Fc&(Fa∨Fb) }:分配法則
然るに、
(11)
(c)
1 (1) P∨(Q&R) A
2 (2) P A
2 (3) P∨Q 2∨I
2 (4) P∨R 2∨I
2 (5)(P∨Q)&(P∨R) 34&I
6(6) Q&R A
6(7) Q 6&E
6(8) P∨Q 7∨I
6(9) R 6&E
6(ア) P∨R 9∨I
6(イ)(P∨Q)&(P∨R) 8ア&I
1 (ウ)(P∨Q)&(P∨R) 1256イ∨E
(d)
1 (1) (P∨Q)&(P∨R) A
1 (2) P∨Q 1&E
1 (3)~~P∨Q 2DN
1 (4) ~P→Q 3含意の定義
1 (5) P∨R 1&E
1 (6) ~~P∨R 5DN
1 (7) ~P→R 6含意の定義
8(8) ~P A
18(9) Q 48MPP
18(ア) R 78MPP
18(イ) Q&R 9ア&I
1 (ウ) ~P→(Q&R) 8イCP
1 (エ) ~~P∨(Q&R) ウ含意の定義
1 (オ) P∨(Q&R) エDN
従って、
(11)により、
(12)
(c) P∨(Q&R)
(d)(P∨Q)&(P∨R)
に於いて、
(c)=(d)である(分配法則)
従って、
(12)により、
(13)
(c) Fa∨(Fa&(Fb∨Fc))
(d)(Fa∨Fa)&(Fa∨(Fb∨Fc))
従って、
(10)(13)により、
(14)
(ⅰ)∃x∃y(Fx&Fy):選言の、選言。
(ⅱ) ∃x{(Fx&Fa)∨(Fx&Fb)∨(Fx&Fc)}
(ⅲ){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)}
(ⅳ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb )∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc )}:冪等律
(ⅴ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb )∨(Fb&Fa)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc )∨(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)}:交換法則
(ⅵ){ Fa ∨ Fa&(Fb∨Fc) }∨{ Fb ∨ Fb&(Fa∨Fc) }∨{ Fc ∨ Fc&(Fa∨Fb) }:分配法則
(ⅷ){(Fa∨Fa)&(Fa∨(Fb∨Fc)) }∨{(Fb∨Fb)&(Fb∨(Fa∨Fc)) }∨{(Fc∨Fc)&(Fc∨(Fa∨Fb)) }:分配法則
然るに、
(15)
(e)
1 (1)Fa∨Fa A
2 (2)Fa A
3(3) Fa A
1 (4)Fa 12233∨E
(f) 1(1)Fa A
1(2)Fa∨Fa 1∨I
従って、
(15)により、
(16)
(e)Fa∨Fa
(f)Fa
に於いて、
(e)=(f)である(冪等律)。
従って、
(14)(16)により、
(17)
(ⅰ)∃x∃y(Fx&Fy):選言の、選言。
(ⅱ) ∃x{(Fx&Fa)∨(Fx&Fb)∨(Fx&Fc)}
(ⅲ){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)}
(ⅳ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb )∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc )}:冪等律
(ⅴ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb )∨(Fb&Fa)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc )∨(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)}:交換法則
(ⅵ){ Fa ∨ Fa&(Fb∨Fc) }∨{ Fb ∨ Fb&(Fa∨Fc) }∨{ Fc ∨ Fc&(Fa∨Fb) }:分配法則
(ⅷ){(Fa∨Fa)&(Fa∨(Fb∨Fc)) }∨{(Fb∨Fb)&(Fb∨(Fa∨Fc)) }∨{(Fc∨Fc)&(Fc∨(Fa∨Fb)) }:分配法則
(ⅸ){(Fa )&(Fa∨(Fb∨Fc)) }∨{(Fb )&(Fb∨(Fa∨Fc)) }∨{(Fc )&(Fc∨(Fa∨Fb)) }:冪等律
従って、
(02)(17)により、
(18)
(ⅰ)∃x∃y(Fx&Fy):選言の、選言。
(ⅱ) ∃x{(Fx&Fa)∨(Fx&Fb)∨(Fx&Fc)}
(ⅲ){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)}
(ⅳ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb&Fa)∨(Fb )∨(Fb&Fc)}∨{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc )}:冪等律
(ⅴ){(Fa )∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨{(Fb )∨(Fb&Fa)∨(Fb&Fc)}∨{(Fc )∨(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)}:交換法則
(ⅵ){ Fa ∨ Fa&(Fb∨Fc) }∨{ Fb ∨ Fb&(Fa∨Fc) }∨{ Fc ∨ Fc&(Fa∨Fb) }:分配法則
(ⅷ){(Fa∨Fa)&(Fa∨(Fb∨Fc)) }∨{(Fb∨Fb)&(Fb∨(Fa∨Fc)) }∨{(Fc∨Fc)&(Fc∨(Fa∨Fb)) }:分配法則
(ⅸ){(Fa )&(Fa∨(Fb∨Fc)) }∨{(Fb )&(Fb∨(Fa∨Fc)) }∨{(Fc )&(Fc∨(Fa∨Fb)) }:冪等律
(ⅹ) Fa ∨ Fb ∨ Fc :連言除去
(〃)∃x(Fx)
然るに、
(19)
1 (1) Fa∨Fb∨Fc A
1 (2) Fa∨(Fb∨Fc) 1結合法則
3 (3) Fa A
3 (4) Fa&Fa 33&I
3 (5) (Fa&Fa)∨(Fa&Fb) 4∨I
3 (6) (Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc) 5∨I
3 (7){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨
{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)} 6∨I
3 (8){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨
{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨
{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)} 7∨I
9 (9) Fb∨Fc A
ア (ア) Fb A
ア (イ) Fb&Fb アア&I
ア (ウ) (Fb&Fa)∨(Fb&Fb) ア∨I
ア (エ) (Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc) イ∨I
ア (オ){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨
{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)} ウ∨I
ア (カ){(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨
{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨
{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)} オ∨I
キ(キ) Fc A
キ(ク) Fc&Fc キキ&I
キ(ケ) (Fc&Fb)∨(Fc&Fc) ク∨I
キ(コ) (Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc) ケ∨I
キ(サ) {(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨
{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)} コ∨I
キ(シ) {(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨
{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨
{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)} サ∨I
9 (ス) {(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨
{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨
{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)} 9アカキシ∨E
1 (セ) {(Fa&Fa)∨(Fa&Fb)∨(Fa&Fc)}∨
{(Fb&Fa)∨(Fb&Fb)∨(Fb&Fc)}∨
{(Fc&Fa)∨(Fc&Fb)∨(Fc&Fc)} 1389ス∨E
従って、
(18)(19)により、
(20)
① ∃x∃y(Fx&Fy)
② ∃x(Fx)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(21)
142 ∃x(Fx)├ ∃x∃y(Fx&Fy)
(ⅰ)
1 (1) ∃x(Fx) A
2(2) Fa A
2(3) Fa&Fa 22&I
2(4) ∃y(Fa&Fy) 3EI
2(5)∃x∃y(Fx&Fy) 4EI
1 (6)∃x∃y(Fx&Fy) 125EE
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 翻訳、1973年、210頁)
然るに、
(22)
(ⅱ)
1 (1)∃x∃y(Fx&Fy) A
2 (2) ∃y(Fa&Fy) A
3(3) Fa&Fa A
3(4) Fa 3&E
3(5) ∃x(Fx) 4EI
2 (6) ∃x(Fx) 235EE
1 (7) ∃x(Fx) 126EE
従って、
(21)(22)により、
(23)
① ∃x(Fx)
② ∃x∃y(Fx&Fy)
に於いて、
①=② である。
従って、
(20)(23)により、
(24)
ひとつだけの対象がFをもっているならば、
∃x∃y(Fx&Fy)
ということが帰結する。
言い換えると、
相異なる変数「x」と「y」を用いる場合、そのことから、
それに対応する相異なる対象が存在する。
ということは帰結しないのである。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 翻訳、1973年、210頁)
従って、
(23)(24)により、
(25)
① ∃x(学生x)
② ∃x∃y(学生x&学生y)
に於いて、すなはち、
① あるxについて、(xは学生である)。
② あるxとあるyについて(xは学生であって、yも学生である)。
に於いて、
①=② であるものの、
もちろん、ことことは、「分かり難い」。
(01)
二つの集合A、Bにおいて、集合Aの要素がすべて集合Bの要素に含まれるとき、AをBの部分集合といい、記号A⊂Bで表すことがある。
この場合、AとBが一致してもよい。AとBが一致しない、つまりAが完全にBの一部分のとき、AはBの真部分集合という。
(日本大百科全書(ニッポニカ)「部分集合」の解説)
然るに、
(02)
φ は、要素の個数が、「0個の集合」であり、
a は、要素の個数が、「1個の集合」であり、
b も、要素の個数が、「1個の集合」であり、
A は、要素の個数が、「2個以上の集合」であり、
B も、要素の個数が、「2個以上の集合」である。
とする。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① a⊂B
② a⊂b
③ B⊂a
に於いて、
① a は、Bの「真部分集合」であって、
② a は、bの「_部分集合」であるが、
③ B は、aの「真部分集合」でも、「部分集合」でも、どちらでもない。
従って、
(03)により、
(04)
① a⊂B
② a⊂b
③ B⊂a
に於いて、
③ だけは「⊂」といふ「記号」の「用法」として、マチガイである。
然るに、
(05)
a は、要素の個数が、「1個の集合」であり、
b も、要素の個数が、「1個の集合」であり、
A は、要素の個数が、「2個以上の集合」であり、
B も、要素の個数が、「2個以上の集合」である。
として、
a を、「単数集合」とし、
b も、「単数集合」とし、
A を、「複数集合」とし、
B も、「複数集合」とする。
然るに、
(06)
私(単) は、「単数集合」であって、
幹事(単) も、「単数集合」であって、
幹事(複) は、「複数集合」であるとする。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① 私(単)⊂幹事(複)
② 私(単)⊂幹事(単)
③ 幹事(複)⊂ 私(単)
に於いて、
③ だけは「⊂」といふ「記号」の「用法」として、マチガイである。
従って、
(07)により、
(08)
③ 幹事(複)⊂ 私(単)
ではなく、
③ 幹事(単)⊂ 私(単)
でなければ、ならない。
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 私(単)⊂幹事(複)
② 私(単)⊂幹事(単)
③ 幹事(単)⊂ 私(単)
であれば、3つとも、「⊂」といふ「記号」の「用法」として、「正しい」。
然るに、
(01)により、
(10)
① 象⊂動物
といふこと、すなはち、
① 象の集合は、動物の集合の、部分集合である。
といふことは、要するに、
① 象は動物である。
といふ、ことである。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 私(単)⊂幹事(複)
② 私(単)⊂幹事(単)
③ 幹事(単)⊂ 私(単)
といふ3つが、「正しい」が故に、
① 私(単)は幹事(複)の一員です。
② 私(単)は幹事(単)です。
③ 幹事(単)は私(単)です。
といふ「日本語」は、「正しい」。
然るに、
(12)
① 私(単)は幹事(複)の一員です。
② 私(単)は幹事(単)です。
③ 幹事(単)は私(単)です。
といふことは、
① I am a 幹事。
② I am the 幹事。
③ The 幹事 is me。
といふ、ことである。
従って、
(12)により、
(13)
① 私(単)は幹事(複)の一員です。
② 私(単)は幹事(単)です。
③ 幹事(単)は私(単)です。
に於いて、
① と ③ は、「矛盾」し、
② と ③ は、「矛盾」しない。
従って、
(13)により、
(14)
③ 幹事は私です。
といふのであれば、
③ 幹事(単)は私(単)です。
であって、
③ 幹事(単)は私(単)です。
であるならば、
② 私(単)は幹事(単)です。
である。
従って、
(13)(14)により、
(15)
③ 幹事は私です。
といふのであれば、
③ 私以外は、幹事ではない。
といふ、ことになる。
然るに、
(16)
無題化というのは、「Ⅹは」の「は」を消すことですから、センテンスの形のままでもできないことはありませんが、
センテンスの形では、本当に無題になりきれない場合も起こります。たとえば、
私は、幹事です。
私が幹事です。
のように、「は」を消しても、センテンスの意味は、
幹事は、私です。
というのに近く、題が文中の別の個所に移り隠れたにすぎません。つまり、本当には無題化していないわけです。
(山崎紀美子、日本語基礎講座、― 三上文法入門、2003年、65・66頁)。
従って、
(16)により、
(17)
「無題化」が、何を意味するのか、私には、分からないものの、いづれにせよ、
① 私が幹事です。
② 幹事は私です。
に於いて、
①=② である。
従って、
(15)(17)により、
(18)
① 私が幹事です。
② 幹事は私です。
③ 私は幹事であり、私以外は、幹事ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
(01)
与えられた対象aが{x:Fx}のメンバー(要素)であるためには、aがその条件を満たすとき、またそのときに限られる。
すなわちFaであり、またそのときに限られるのである。『aは{x:Fx}のメンバー(要素)である』を意味するものとして、
a∈{x:Fx}と書くならば、この想定は、任意の条件Fx(xはFである)に対して、
(1) a∈{x:Fx}⇔Fa(aはFである)
ということになる。
(公理的集合論、E.J.レモン 著、石本新・高橋敬吾 訳、1972年、序論・改)
従って、
(01)により、
(02)
① Fa(aはFである。)⇔ a∈{x:Fx}
に於いて、
① a=私,F=幹事
であるならば、
① Fa(私は、幹事です。)⇔ a∈{x:Fx}
である。
従って、
(02)により、
(03)
① Fa(私は、幹事です。)⇔ a∈{x:Fx}
に於いて、「倒置」を行ふと、
② aF(幹事は、私です。) ⇔{x:Fx}∈a
然るに、
(04)
② F=幹事
は、「集合(クラス)」であるため、「複数」であることも、「単数」であることも、可能であるが、
② a=私
は、「集合の要素(メンバー)」であるため、必ず、「単数」である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
② aF(幹事は、私です。) ⇔{x:Fx}∈a
であるならば、必然的に、
② 私は幹事であり、私以外は、幹事ではない。
従って、
(05)により、
(06)
② 幹事は私です。
③ 私は幹事であり、私以外は、幹事ではない。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(07)
無題化というのは、「Ⅹは」の「は」を消すことですから、センテンスの形のままでもできないことはありませんが、
センテンスの形では、本当に無題になりきれない場合も起こります。たとえば、
私は、幹事です。
私が幹事です。
のように、「は」を消しても、センテンスの意味は、
幹事は、私です。
というのに近く、題が文中の別の個所に移り隠れたにすぎません。つまり、本当には無題化していないわけです。
(山崎紀美子、日本語基礎講座、― 三上文法入門、2003年、65・66頁)。
従って、
(07)により、
(08)
① 私が幹事です。
② 幹事は私です。
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)(08)により、
(09)
① 私が幹事です。
② 幹事は私です。
③ 私は幹事であり、私以外は、幹事ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(07)(09)により、
(10)
私は、幹事です。
私が幹事です。
のように、「は」を消しても、センテンスの意味は、
幹事は、私です。
というのに近く、題が文中の別の個所に移り隠れたにすぎません。つまり、本当に無題化していないわけです。
といふのであれば、山崎先生は、
① 私が幹事です。
② 幹事は私です。
③ 私は幹事であり、私以外は、幹事ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことを、踏まへた上で、「無題化」といふ「用語(現象)」を、説明すべきである。
(11)
無題化の手続きにより、「Ⅹは」の「は」は、「がのにを」またはゼロ(時の格)を代行している。
(山崎紀美子、日本語基礎講座、― 三上文法入門、2003年、67頁)
といふのであれば、
無題化の手続きにより、「Ⅹが」の「が」は、「はのにを」またはゼロ(時の格)を代行している。
とも、言へることになる。
(01)
① 象は鼻が長い。
② 象の鼻が長い。
といふ「日本語」は、『直観』として、
① 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない。
といふ「意味」である。
cf.
「象と兎、どちらの鼻が長いか?」⇒「(鼻に関しては)象の鼻が長い。」
「兎と象、どちらの耳が長いか?」⇒「(耳に関しては)兎の耳が長い。」
然るに、
(02)
① 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない。
といふ「日本語」は、『直観』として、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「意味」である。
然るに、
(03)
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2)∀x{兎x→∃y(長y&耳yx)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
3 (3)∃x(兎x&象x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃y(長y&耳ya)&∀z(耳za→~鼻za) 2UE
6 (6) 兎a&象a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
2 6 (ア) ∃y(長y&耳ya)&∀z(耳za→~鼻za) 58MPP
2 6 (イ) ∃y(長y&耳ya) ア&E
ウ(ウ) 長b&耳ba A
1 6 (エ) ∀z(~鼻za→~長z) 9&E
2 6 (オ) ∀z(耳za→~鼻za) ア&E
1 6 (カ) ~鼻ba→~長b エUE
2 6 (キ) 耳ba→~鼻ba オUE
ウ(ク) 耳ba ウ&E
2 6ウ(ケ) ~鼻ba キクMPP
12 6ウ(コ) ~長b カケMPP
ウ(サ) 長b ウ&E
12 6ウ(シ) 長b&~長b コサ&I
12 6 (ス) 長b&~長b イウシEE
123 (セ) 長b&~長b 36スEE
12 (ソ)~∃x(兎x&象x) 36セRAA
12 (タ)∀x~(兎x&象x) ソ量化子の関係
12 (チ) ~(兎a&象a) タUE
12 (ツ) ~兎a∨~象a チ、ド・モルガンの法則
12 (テ) 兎a→~象a ツ含意の定義
12 (ト)∀x(兎x→~象x) テUI
従って、 (03)により、
(04)
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃y(長y&耳yx)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。 然るに、
(ⅱ)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるyは長くて、xの耳であり、すべてのzについて、zがxの耳であるならば、zはxの鼻ではない}。従って、
(ⅲ)すべてのxについて(xが兎であるならば、xは象ではない。)
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎の耳は長いが、耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
然るに、
(06)
1 (1)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x} A
1 (2) ∃y{(鼻ay&象y)→長a&~(鼻ay&象y)→~長a} 1UE
3 (3) (鼻ab&象b)→長a&~(鼻ab&象b)→~長a A
4 (4) ∃x∃y(鼻xy&兎y&~象y) A
5 (5) ∃y(鼻ay&兎y&~象y) A
6 (6) 鼻ab&兎b&~象b A
3 (7) ~(鼻ab&象b)→~長a 3&E
8(8) ~鼻ab∨~象b A
8(9) ~(鼻ab&象b) 8ド・モルガンの法則
3 8(ア) ~長a 79MPP
3 (イ) (~鼻ab∨~象b)→~長a 8アCP
6 (ウ) ~象b 6&E
6 (エ) ~鼻ab∨~象b ウ∨I
3 6 (オ) ~長a イエMPP
6 (カ) 鼻ab&兎b 6&E
3 6 (キ) 鼻ab&兎b&~長a オカ&I
3 6 (ク) ∃y(鼻ay&兎y&~長a) キEI
3 5 (ケ) ∃y(鼻ay&兎y&~長a) 56クEE
3 5 (コ) ∃x∃y(鼻xy&兎y&~長x) ケEI
34 (サ) ∃x∃y(鼻xy&兎y&~長x) 45コEE
1 4 (シ) ∃x∃y(鼻xy&兎y&~長x) 23サEE
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。然るに、
(ⅱ)∃x∃y(鼻xy&兎y&~象y)。従って、
(ⅲ)∃x∃y(鼻xy&兎y&~長x)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(そうでない場合)は、xは長くない}。然るに、
(ⅱ) あるxとあるyについて( xはyの鼻であって、yは兎であって、象ではない)。従って、
(ⅲ) あるxとあるyについて( xはyの鼻であって、yは兎であって、xは長くない)。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(07)により、
(08)
(ⅰ)象の鼻が長い。然るに、
(ⅱ)ある兎の鼻は象の鼻ではない。従って、
(ⅲ)ある兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
① 象は鼻が長い。
② 象の鼻が長い。
といふ「日本語」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「述語論理」に、「翻訳」出来る。
従って、
(01)(09)により、
(10)
① 象は鼻が長い。
② 象の鼻が長い。
といふ「日本語」が、
① 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない。
といふ「意味」である。
といふ『直観』は、「述語論理」といふ「観点」からすれば、「正しい」。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 象は鼻が長い。⇔ 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 象の鼻が長い。⇔ 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない。
といふ「解釈」は、
① 象は鼻が長い。⇔ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② 象の鼻が長い。⇔ ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「述語論理への翻訳」を行ふ上で、「役に立つ」。
従って、
(11)により、
(12)
① 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない。
といふ「解釈」を行ふことは、
① 象は鼻が長い。
② 象の鼻が長い。
といふ「日本語」の、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「論理構造」を把握する上で、「役に立つ」。
然るに、
(13)
例へば、
1 無題化ということ
象は鼻が長い
このセンテンスから、題を底(base)とする名詞を機械的に作ることができます。
底とは名詞句の末尾の名詞のことです。
鼻が長い象
次に、傍線部の名詞を底とする名詞句を作ろうとすると、今度は、新しく助詞が現れてきます。
象の長い鼻
さて、最初のセンテンスの中身(事柄、コト)は次のように書き表されます。
象の鼻が長いコト
このコトから傍線の名詞を取り立てれば、つまり、題として提示するば、最初の、
象は鼻が長い
に戻ります(山崎紀美子、日本語基礎講座、―三上文法入門、2003年、62~65頁改)。
といふことが、「確認」出来たとしても、
① 象は鼻が長い。
② 象の鼻が長い。
といふ「日本語」の、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「論理構造」を把握することは、出来ない。
(01)
1 (1)∃x∃y{Sx&哲x&Py&教xy&~∃z(教zy&z≠x)} A
2 (2) ∃y{Sa&哲a&Py&教ay&~∃z(教zy&z≠a)} A
3 (3) Sa&哲a&Pb&教ab&~∃z(教zb&z≠a) A
3 (4) ~∃z(教zb&z≠a) 3&E
3 (5) ∀z~(教zb&z≠a) 4量化子の関係
3 (6) ~(教cb&c≠a) 5UE
3 (7) ~教cb∨c=a 6ド・モルガンの法則
3 (8) 教cb→c=a 7含意の定義
9 (9) ∃z(Az&~Sz) A
ア (ア) Ac&~Sc A
ア (イ) Ac ア&E
ア (ウ) ~Sc ア&E
3 (エ) Sa 3&E
3 ア (オ) Sa&~Sc ウエ&I
カ(カ) c=a A
3 アカ(キ) Sa&~Sa オカ=E
3 ア (ク) c≠a カキRAA
3 ア (ケ) ~教cb 89MTT
3 (コ) Pb 3&E
3 ア (サ) Ac&Pb イコ&I
3 ア (シ) Ac&Pb&~教cb ケサ&I
3 ア (ス) ∃y(Ac&Py&~教cy) シEI
39 (セ) ∃y(Ac&Py&~教cy) 9アスEE
39 (ソ)∃z∃y(Az&Py&~教zy) セEI
2 9 (タ)∃z∃y(Az&Py&~教zy) 23ソEE
1 9 (チ)∃z∃y(Az&Py&~教zy) 12タEE
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)∃x∃y{Sx&哲x&Py&教xy&~∃z(教zy&z≠x)}。然るに、
(ⅱ) ∃z(Az&~Sz)。従って、
(ⅲ)∃z∃y(Az&Py&~教zy)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)あるxとあるyについて{xはソクラテスであって、哲学者であって、yはプラトンであって、ある(x以外のzが、yを教へる)といふことはない}。然るに、
(ⅱ) ある(zはアリストテレスであって、ソクラテスではない)。従って、
(ⅲ)あるzとあるyについて(zはアリストテレスであって、yはプラトンであって、zはyを教えない)。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)ソクラテスがプラトンを教えた唯一の哲学者である。然るに、
(ⅱ)アリストテレスは、ソクラテスではない。従って、
(ⅲ)アリストテレスは、プラトンを教えなかった。
といふ「推論(三段論法)」は、「述語論理」としても、「妥当」である。
従って、
(03)により、
(04)
(ⅰ)Socrates is the only philosopher who taught Plato. 然るに、
(ⅱ)Aristotle is not Socrates. 従って、
(ⅲ)Aristotle did not teach Plato.
といふ「推論(三段論法)」は、「述語論理」としても、「妥当」である。
然るに、
(05)
さて定冠詞(the)は、それが厳密に用いられるときには、一意性を内含している。
(勁草書房、現代哲学基本論文集Ⅰ、バートランド・ラッセル、指示について、1986年、53頁)
従って、
(04)(05)により、
(06)
定冠詞(the)は、それ自体が、一意性(Uniquness)を内含しているが故に、
① Socrates is the only philosopher who taught Plato.
② Socrates is the philosopher who taught Plato.
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
① Socrates is the only philosopher who taught Plato.
といふことは、
① Socrates
② The philosopher who taught Plato
に於いて、
①=② である。
といふことに、他ならない。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① Socrates is the philosopher who taught Plato.
といふことは、
① Socrates
② The philosopher who taught Plato
に於いて、
①=② である。
といふことを、「意味」してゐる。
然るに、
(09)
① Socrates is the philosopher who taught Plato.
といふことは、
② Socrates = the philosopher who taught Plato.
といふことに、他ならない。
然るに、
(10)
Consider the English setence below.
(1)Socrates is a philosopher.
(2)Paris is a city.
(3)Courage is a virtue.
(4)Socrates is the philosopher who taught Plato.
(5)Paris is the capital of France.
(6)Courage is the virtue I most admire.
Sentences(1)-(3)are simple subjects-predicate sentences; a particular objects(Socrates,Paris,courage)is said to have a certain property(being a philosopher,being a city,being a virtue). We accordingly call the 'is' in(1)-(3)the 'is' of predication. This use of 'is' must be contrasted with the 'is' in(4)-(6), where rather the sense is 'is' the same object as(with 'object' used in some broad neutral sense). This 'is' we distinguish as the 'is' of identity.
(E.J.Lemmon, Beginning Logic,1978/6/1,p160)
(1)-(3)の文は単純ば主語・述語文である、特定の対象(ソクラテス、パリ、勇気)がある性質(哲学者であること、都市であること、徳であること)をもつ、と言われるのである。従って、(1)-(3)における「である」のことを、述語の作用をする「である」('is' of predication)とよぶ。この「である」の用法は、(4)-(6)における「である」と比較対象される必要がある、ここではその意味はむしろ、「同じ対象である」(「対象」という語をある広い、中立的な意味に用いて)である。この「である」をわれわれは同一性の「である」('is' of identity)として区別する。
(E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 翻訳、論理学初歩、1973年、204頁)
従って、
(02)(03)(09)(10)により、
(11)
① Socrates is the philosopher who taught Plato.⇔
① ソクラテスがプラトンを教えた唯一の哲学者である。⇔
① ∃x∃y{Sx&哲x&Py&教xy&∀z(教zy→z=x)}。
といふことは、
② Socrates = the philosopher who taught Plato.
といふことに他ならない、が故に、
① に於ける「is」を、「同一性の'is'」といふ。
(01)
(ⅰ)
1 (1)~∀x{日本x→∃y(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)} A
1 (2)∃x~{日本x→∃y(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)} 1量化子の関係
3 (3) ~{日本a→∃y(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)} A
3 (4)~{~日本a∨[∃y(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)]} 3含意の定義
3 (5) 日本a&~[∃y(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)] 4ド・モルガンの法則
3 (6) 日本a 5&E
3 (7) ~[∃y(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)] 5&E
3 (8) ~∃y(東京y&首都ya)∨~∀z(首都za→y=z) 7ド・モルガンの法則
3 (9) ∃y(東京y&首都ya)→~∀z(首都za→y=z) 8含意の定義
ア (ア) ∃y(東京y&首都ya) A
3ア (イ) ~∀z(首都za→y=z) 9アMPP
3ア (ウ) ∃z~(首都za→y=z) イ含意の定義
エ (エ) ~(首都ca→y=c) A
エ (オ) ~(~首都ca∨y=c) エ含意の定義
エ (カ) 首都ca&y≠c オド・モルガンの法則
エ (キ) ∃z(首都za&y≠z) カEI
3ア (ク) ∃z(首都za&y≠z) ウエキEE
3 (ケ) ∃y(東京y&首都ya)→∃z(首都za&y≠z) アクCP
3 (コ) 日本a&[∃y(東京y&首都ya)→∃z(首都za&y≠z)] 6ケ&I
3 (サ)∃x{日本x&[∃y(東京y&首都yx)→∃z(首都zx&y≠z)]} コEI
1 (シ)∃x{日本x&[∃y(東京y&首都yx)→∃z(首都zx&y≠z)]} 23サEE
(ⅱ)
1 (1)∃x{日本x&[∃y(東京y&首都yx)→ ∃z(首都zx&y≠z)]} A
2 (2) 日本a&[∃y(東京y&首都ya)→ ∃z(首都za&y≠z)] A
2 (3) 日本a 2&E
2 (4) [∃y(東京y&首都ya)→ ∃z(首都za&y≠z)] 2&E
2 (5) ~∃y(東京y&首都ya)∨ ∃z(首都za&y≠z) 4含意の定義
6 (6) ~∃y(東京y&首都ya) A
6 (7) ~∃y(東京y&首都ya)∨~∀z(首都za→y=z) 6∨I
8 (8) ∃z(首都za&y≠z) A
9 (9) 首都ca&y≠c A
ア(ア) ∀z(首都za→y=z) A
ア(イ) 首都ca→y=c アUE
9 (ウ) 首都ca 9&E
9ア(エ) y=c イウMPP
9 (オ) y≠c 9&E
9ア(カ) y=c&y≠c エオ&I
ア(キ) ~∀x(首都za→y=z) 9カRAA
ア(ク) ~∃y(東京y&首都ya)∨~∀z(首都za→y=z) キ∨I
2 (ケ) ~∃y(東京y&首都ya)∨~∀z(首都za→y=z) 567アク∨E
2 (コ) ~[∃y(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)] ケ、ド・モルガンの法則
2 (サ) 日本a&~[∃y(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)] 3コ&I
2 (シ) ~{~日本a∨[∃y(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)]} サ、ド・モルガンの法則
2 (ス) ~{日本a→∃y(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)} シ含意の定義
2 (セ) ∃x~{日本x→∃y(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)} スEI
1 (ソ) ∃x~{日本x→∃y(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)} 12セEE
1 (タ) ~∀x{日本x→∃y(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)} ソ量化子の関係
従って、
(01)により、
(02)
① ~∀x{日本x→[∃y(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)]}
② ∃x{日本x&[∃y(東京y&首都yx)→∃z(首都zx&y≠z)]}
に於いて、
①=② である。
従って、
(02)により、
(03)
① ~~∀x{日本x→[∃y(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)]}
② ~∃x{日本x&[∃y(東京y&首都yx)→∃z(首都zx&y≠z)]}
に於いて、
①=② である。
従って、
(03)により、
(04)
「二重否定律(DN)」により、
① ∀x{日本x→[∃y(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)]}
② ~∃x{日本x&[∃y(東京y&首都yx)→∃z(首都zx&y≠z)]}
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)により、
(05)
① すべてのxについて{xが日本であるならば、あるyは[(東京であって、xの首都であって)、すべてのzについて(zがxの首都であるならば、yはzと「同一」である)]}。
② {xは日本であって、あるyが(東京であって、xの首都である)ならば、あるzは(xの首都であるが、yとzは「同一」でない)}といふ、そのやうなxは存在しない。
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)により、
(06)
① 日本は、東京が首都である。
② 東京以外が首都である所の、日本は存在しない。
に於いて、
①=② である。
(07)
③ 東京以外は日本の首都ではない。
の「対偶(Contraposition)」は、
③ 日本の首都は東京である。
である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① 日本は、東京が首都である。
② 東京以外が首都である所の、日本は存在しない。
③ 日本の首都は東京である。
に於いて、
①=②=③ である。
(01)
(ⅰ)
1 (1)∀x{日本x→∃y[(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)]} A
2 (2)∃z(大阪z&~東京z) A
1 (3) 日本a→∃y[(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)] 1UE
4 (4) 日本a A
1 4 (5) ∃y[(東京y&首都ya)&∀z(首都za→y=z)] 34MPP
6 (6) (東京b&首都ba)&∀z(首都za→b=z)] A
6 (7) 東京b&首都ba 6&E
6 (8) 東京b 7&E
6 (9) ∀z(首都za→b=z) 6&E
6 (ア) 首都ca→b=c 9UE
イ (イ) 大阪c&~東京c A
イ (ウ) 大阪c イ&E
イ (エ) ~東京c イ&E
6イ (オ) 東京b&~東京c 8エ&I
カ(カ) b=c A
6イカ(キ) 東京b&~東京b オカ=E
6イ (ク) b≠c カキRAA
6イ (ケ) ~首都ca アクMTT
6イ (コ) 大阪c&~首都ca ウケ&I
6イ (サ)∃z(大阪z&~首都za) コEI
2 6 (シ)∃z(大阪z&~首都za) 2イサEE
124 (ス)∃z(大阪z&~首都za) 56シEE
12 (セ) 日本a→∃z(大阪z&~首都za) 4スCP
12 (ソ)∀x{日本x→∃z(大阪z&~首都zx)} セUI
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)∀x{日本x→∃y[(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)]}。然るに、
(ⅱ)∃z(大阪z&~東京z)。従って、
(ⅲ)∀x{日本x→∃z(大阪z&~首都zx)}。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが日本であるならば、あるyは[(東京であって、xの首都であって)、すべてのzについて(zがxの首都であるならば、yはzと「同一」である)]}。然るに、
(ⅱ)あるzは(大阪であって、東京ではない)。従って、
(ⅲ)すべてのxについて{xが日本であるならば、あるzは(大阪であって、xの首都ではない)。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)日本は、東京が首都である。然るに、
(ⅱ)大阪は、東京ではない。 従って、
(ⅲ)日本は、大阪は首都ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(03)により、
(04)
(ⅰ)東京が、日本の首都である。 然るに、
(ⅱ)大阪は、 東京ではない。 従って、
(ⅲ)日本の首都は、大阪はではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(05)
(ⅰ)日本の首都は、東京である。 然るに、
(ⅱ)大阪は、 東京ではない。 従って、
(ⅲ)日本の首都は、大阪はではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① 日本は、東京が首都である。
② 東京が、日本の首都である。
③ 日本の首都は、東京である。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(06)により、
(07)
① 日本は、東京が首都である。
② Tokyo is the capital of Japan.
③ The capital of Japan is Tokyo.
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(08)
Aids towards recognizing the 'is' of identity are:
(a)Can "is" be replaced by 'is the same object as'? ― if so, 'is' means identity, if not, not.
(b)Can the phrase flanking 'is' on both sides can be reversed preserving approximately the same sense? ― if so, 'is' is 'is' of identity, if not, not.
(E.J.Lemmon Beginning Logic 原文)
同一性の「である」識別するための助けとなることがらはつぎの通りである。
(a)「である」を「と同じ対象」であるによって置き換えることができるか ―― もしできるならば、その「である」は同一性の「である」である。もしできなければ、そうではない。
(b)「である」の両側にならぶ語句は、近似値的に同じ意味をたもちつつ入れ換えることができるか ―― もしできるならば、その「である」は同一性の「である」である。もしできなければ、そうではない。(E.J.レモン 著、竹内治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、205頁)
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
② 東京が、日本の首都である。
③ 日本の首都は、東京である。
② Tokyo is the capital of Japan.
③ The capital of Japan is Tokyo.
に於いて、
② が(is the)~である。
は、「同一性(identity)」の「である(is)」である。
従って、
(09)により、
(10)
① AはBである。
② AがBである。
③ BはAである。
に於いて、
① を、② に「置き換へ」ることが出来、
② を、③ に「置き換へ」ることが出来る。
のであれば、そのときに限って、
① A=B
② A=B
③ B=A
である。
然るに、
(11)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。 と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。また、かりに大倉氏が、
タゴール記念会は、私が理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(11)により、
(12)
① 私は理事長である。
② 私が理事長である。
③ 理事長は私である。
に於いて、
① を、② に「置き換へ」ることが出来、
② を、③ に「置き換へ」ることが出来る。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
① 私=理事長
② 私=理事長
③ 理事長=私
である。
従って、
(13)により、
(14)
①「私」と「理事長」は「同一」である。
②「私」と「理事長」は「同一」である。
③「理事長」と「私」は「同一」である。
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
① 私は理事長である。
② 私が理事長である。
③ 理事長は私である。
に於いて、
① を、② に「置き換へ」ることが出来、
② を、③ に「置き換へ」ることが出来る。
のであれば、
① 私以外に理事長はゐない。
② 私以外に理事長はゐない。
③ 理事長以外は私ではない。
従って、
(15)により、
(16)
① 私以外に理事長はゐない。
② 私が理事長である。
③ 理事長は私である。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(16)により、
(17)
① 東京が首都である。
② 首都は東京である。
③ 東京以外は首都ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(02)(17)により、
(18)
① 日本は東京が首都である。
② 日本の首都は東京である。
③ 日本は東京以外は首都ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(02)(18)により、
(19)
① 日本は東京が首都である。⇔
① ∀x{日本x→∃y[(東京y&首都yx)&∀z(首都zx→y=z)]}。⇔
① すべてのxについて{xが日本であるならば、あるyは[(東京であって、xの首都であって)、すべてのzについて(zがxの首都であるならば、yはzと「同一」である)]}。
といふ「等式」が、成立する。
(01)
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2 (2) ~Q A
3(3) P A
1 3(4) Q 13MPP
123(5) ~Q&Q 24&I
12 (6)~P 35RAA
1 (7)~Q→~P 26CP
(ⅱ)
1 (1) ~Q→~P A
2 (2) P A
3(3) ~Q A
1 3(4) ~P 13MPP
123(5) P&~P 24&I
12 (6)~~Q 35RAA
12 (7) Q 6DN
1 (8) P→ Q 27CP
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)
1 (1)Pであるならば、Qである。仮定
2 (2) Qでない。仮定
3(3)Pである。 仮定
1 3(4) Qである。13肯定肯定式
123(5)Qでなくて、 Qである。14連言導入
12 (6)Pでない。 35背理法
1 (7)Qでないならば、Pでない。26条件法
(ⅱ)
1 (1)Qでないならば、Pでない。仮定
2 (2) Pである。仮定
3(3)Qでない。 仮定
1 3(4) Pでない。13肯定肯定式
123(5)Pであって、 Pでない。24連言導入
12 (6)Qでない。ではない。 35背理法
12 (7)Qである。 6二重否定
1 (8)Pであるならば、Qである。27条件法
従って、
(01)(02)により、
(03)
① Pであるならば、Qである。
② Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
従って、
(03)により、
(04)
① PはQである。
② Q以外はPでない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
従って、
(04)により、
(05)
① 大野は私です。
② 私以外は大野ではない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
然るに、
(06)
全国推定人口 約221,700人程度 推定人口順位 71位
(なまえさあち 名前さがすよ)
従って、
(05)(06)により、
(07)
①(全国的に、)大野は私です。
②(全国的に、)私以外は大野ではない。
といふことは、有り得ない。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
①(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
②(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
然るに、
(09)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
私が大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。
つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、
それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。
その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(08)(09)により、
(10)
①(今、ここにゐる中では、)私が大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
まず最初に、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふ「事実」が有って、尚且つ、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふことを、「伝へる必要」があるならば、その時には、
① 私が大野です。
② 大野は私です。
といふ風に、言ふことになる。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。
その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる。
といふ「説明」は、
①(今、ここにゐる中では、)私が大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
といふ「事実」に依存する所の、「後付けの説明」に過ぎない。
従って、
(11)(12)により、
(13)
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふ「事実」が有ったとしても、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふことを、「伝へる必要」が、全く無いにも拘はらず、
①(今、ここにゐる中では、)私が大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
と言ふのであれば、当然、「不自然」である。
然るに、
(14)
初めての家を訪問した場合に、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふことを、「伝える必要」は、全く無い。
従って、
(13)(14)により、
(15)
たとえば、初めての家を訪問した場合に、「私は大野というものですが、御主人は御在宅でしょうか」という。
その場合、「私が大野ですが・・・・・・」といえば、応対に出た人が怪訝な顔をする(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、25頁)。
といふことは、「当然」である。
従って、
(01)~(15)により、
(16)
①(今、ここにゐる中では、)私が大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
に於いて、
①=②=③ であるが故に、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふ「事実」があって、尚且つ、
③ であることを、表明する「必要」があるならば、「私が大野です(大野は私です)。」と言ひ、
③ であることを、表明する「必要」がないならば、「私は大野です。」と、言ふことなる。
従って、
(16)により、
(17)
(1) 既知(扱い)と未知(扱い)
(2) 既知(扱い)と既知(扱い)
(3) 未知(扱い)と既知(扱い)
(4) 未知(扱い)と未知(扱い)
はじめに既知がくる(1)と(2)では、既知(あるいは既知扱い)の下にハという助詞を使う。また(3)と(4)では、既知(あるいは既知扱い)の下にガという助詞を使う。
これが現代日本語の文の基本的な構造である(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、24頁)。
といふことには、ならない。
(18)
① 大野は私です。
と言ひたい場合に、
② 私が大野です。
と言ひ、
③ 私は大野です。
とは言はないのであれば、
① 大野は私です。
② 私が大野です。
③ 私は大野です。
に於いて、
①=② であるが、
①=③ ではない。
然るに、
(19)
① 大野は私です。
② 私が大野です。
③ 私以外は大野ではない。
に於いて、
①=③ は、「対偶」である。
従って、
(18)(19)により、
(20)
① 大野は私です。
と言ひたい場合に、
② 私が大野です。
と言ふのであれば、必然的に、
① 大野は私です。
② 私が大野です。
③ 私以外は大野ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(21)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。 と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。また、かりに大倉氏が、
タゴール記念会は、私が理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(20)(21)により、
(22)
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私が理事長です。
③ タゴール記念会は、私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(23)
1 (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
1 (2) T会の会員a→∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 1UE
3 (3) T会の会員a A
13 (4) ∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 23MPP
5 (5) 私b&理事長ba&∀z(理事長za→b=z) A
5 (6) 私b&理事長ba 5&E
5 (7) ∀z(理事長za→b=z) 5&E
5 (8) 理事長ca→b=c 7UE
9 (9) ∃z(小倉z&~私z) A
ア (ア) 小倉c&~私c A
ア (イ) 小倉c ア&E
ア (ウ) ~私c ア&E
エ(エ) b=c A
アエ(オ) ~私b ウエ=E
5 (カ) 私b 6&E
5 アエ(キ) ~私b&私b オカ&I
5 ア (ク) b≠c エキRAA
5 ア (ケ) ~理事長ca 8クMTT
5 ア (コ) 小倉c&~理事長ca イケ&I
5 ア (サ) ∃z(小倉z&~理事長za) コEI
59 (シ) ∃z(小倉z&~理事長za) 9アサEE
13 9 (ス) ∃z(小倉z&~理事長za) 45シEE
1 9 (セ) T会の会員a→∃z(小倉z&~理事長za) 3スCP
1 9 (ソ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)} セUI
従って、
(23)により、
(24)
(ⅰ)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
(ⅱ)∃z(小倉z&~私z)
(ⅲ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]。}
(ⅱ)あるzは(小倉氏であって、zは私ではない。)
(ⅲ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるzは(小倉氏であって、zはxの理事長ではない)。}
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(22)(23)(24)により、
(25)
(ⅰ)タゴール記念会は、私が理事長です。然るに、
(ⅱ)小倉氏は私ではない。従って、
(ⅲ)タゴール記念会は、小倉氏は理事長ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(21)~(25)により、
(26)
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私が理事長です。
③ タゴール記念会は、私以外は理事長ではない。
④ ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
⑤ すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]。}
に於いて、
①=②=③=④=⑤ である。
(01)
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2(2) P&~Q A
2(3) P 2&E
12(4) Q 13MPP
2(5) ~Q 2&E
12(6) Q&~Q 45&I
1 (7)~(P&~Q) 26RAA
(ⅱ)
1 (1)~(P&~Q) A
2 (2) P A
3(3) ~Q A
23(4) P&~Q 23&I
123(5)~(P&~Q)&
(P&~Q) 14&I
12 (6) ~~Q 35RAA
12 (7) Q 6DN
1 (8) P→ Q 27MPP
(02)
(ⅱ)
1 (1) ~(P&~Q) A
2 (2) ~(~P∨ Q) A
3 (3) ~P A
3 (4) ~P∨ Q 3∨I
23 (5) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 24&I
2 (6) ~~P 35RAA
2 (7) P 6DN
8(8) Q A
8(9) ~P∨ Q 8∨I
2 8(ア) ~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 29&I
2 (イ) ~Q 8アRAA
2 (ウ) P&~Q 7イ&I
12 (エ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) 1ウ&I
1 (オ)~~(~P∨ Q) 2エRAA
1 (カ) ~P∨ Q オDN
(ⅲ)
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P&P 34&I
3 (6) ~(P&~Q) 35RAA
7(7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7(9) Q&~Q 78&I
7(ア) ~(P&~Q) 29RAA
1 (イ) ~(P&~Q) 1367ア∨E
従って、
(01)(02)により、
(03)
① P→ Q
② ~(P&~Q)
③ ~P∨ Q
に於いて、すなはち、
① Pならば、Qである。
②(PであってQでない)といふことはない。
③ Pでないか、または、Qである。
に於いて、
①=② であって、
②=③ である(ド・モルガンの法則)。
従って、
(03)により、
(04)
① P→ Q
② ~(P&~Q)
③ ~P∨ Q
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(04)により、
(05)
① P→ Q
② ~(P&~Q)
③ ~P∨ Q
に於いて、
①=② であって、
①=③ であって、
②=③ であるものの、
①=② を、「含意の定義(Ⅰ)」とし、
①=③ を、「含意の定義(Ⅱ)」とし、
②=③ を、「ド・モルガンの法則」とする。
然るに、
(06)
(ⅰ)
1 (1) (P→ Q)→ P A
1 (2) ~{(P→ Q)&~P} 1含意の定義(Ⅰ)
1 (3)~{~(P&~Q)&~P} 2含意の定義(Ⅰ)
1 (4) (P&~Q)∨ P 3ド・モルガンの法則
5 (5) P&~Q A
5 (6) P 5&E
7(7) P A
1 (8) P 15677∨E
(9) ((P→Q)→P)→P 18CP
(ⅱ)
1 (1) (P→Q)→P A
1 (2) ~(P→Q)∨P 1含意の定義(Ⅱ)
1 (3)~(~P∨Q)∨P 2含意の定義(Ⅱ)
4 (4)~(~P∨Q) A
4 (5) P&~Q 4ド・モルガンの法則
4 (6) P 5&E
7(7) P A
1 (8) P 14677∨E
(9) ((P→Q)→P)→P 18CP
従って、
(06)により、
(07)
①((P→Q)→P)→P
②((P→Q)→P)→P
に於いて、
① は、「含意の定義(Ⅰ)&ド・モルガンの法則」によって、「恒真(トートロジー)」であって、
② は、「含意の定義(Ⅱ)&ド・モルガンの法則」によって、「恒真(トートロジー)」である。
然るに、
(08)
パースの法則
排中律や二重否定の除去と等価な命題のひとつで、変なものとして、パースの法則があります。
任意の命題P, Qについて、
((P→Q)→P)→P
が成り立つ
『「PならばQ」ならばP』ならばP
なんか、パズルのような命題ですね。
(排中律、二重否定の除去、パースの法則 - Qiita)
従って、
(07)(08)により、
(09)
①「パースの法則」は、「含意の定義(Ⅰ)&ド・モルガンの法則」によって、「恒真(トートロジー)」であって、
②「パースの法則」は、「含意の定義(Ⅱ)&ド・モルガンの法則」によって、「恒真(トートロジー)」である。
従って、
(03)(09)により、
(10)
① Pならば、Qである。
②(PであってQでない)といふことはない。
③ Pでないか、または、Qである。
に於いて、
①=② であって、
②=③ である(ド・モルガンの法則)
が故に、
④((PならばQである)ならばP)ならばPである。
といふ「パースの法則」は、「恒真(トートロジー)」である。
然るに、
(11)
(ⅲ)
1 (1) (P→~Q)→ P A
1 (2) ~{(P→~Q)&~P} 1含意の定義(Ⅰ)
1 (3)~{~(P& Q)&~P} 2含意の定義(Ⅰ)
1 (4) (P& Q)∨ P 3ド・モルガンの法則
5 (5) P& Q A
5 (6) P 5&E
7(7) P A
1 (8) P 15677∨E
(9) ((P→~Q)→P)→P 18CP
(ⅳ)
1 (1) (P→~Q)→P A
1 (2) ~(P→~Q)∨P 1含意の定義(Ⅱ)
1 (3)~(~P∨~Q)∨P 2含意の定義(Ⅱ)
4 (4)~(~P∨~Q) A
4 (5) P& Q 4ド・モルガンの法則
4 (6) P 5&E
7(7) P A
1 (8) P 14677∨E
(9) ((P→~Q)→P)→P 18CP
従って、
(06)(07)(11)により、
(12)
①((P→ Q)→P)→P
②((P→ Q)→P)→P
だけでなく、
③((P→~Q)→P)→P
④((P→~Q)→P)→P
に於いて、
③ は、「含意の定義(Ⅰ)&ド・モルガンの法則」によって、「恒真(トートロジー)」であって、
④ は、「含意の定義(Ⅱ)&ド・モルガンの法則」によって、「恒真(トートロジー)」である。
従って、
(09)~(12)により、
(13)
④((PならばQである)ならばP)ならばPである。
⑤((PならばQでない)ならばP)ならばPである。
は、両方とも、「パースの法則」であって、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(13)により、
(14)
④((PならばQの真偽に)拘はらず、P)ならばPである。
は、「パースの法則」であって。「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(10)(14)により、
(15)
① Pならば、Qである。
②(PであってQでない)といふことはない。
③ Pでないか、または、Qである。
に於いて、
①=② であって、
②=③ である(ド・モルガンの法則)
が故に、
④((PならばQの真偽に)拘はらず、P)ならばPである。
といふ「パースの法則」は、「恒真(トートロジー)」である。
然るに、
(16)
① Pならば、Qである。
② (PであってQでない)といふことはない。
③ Pでないか、または、Qである。
④((PならばQの真偽に)拘はらず、P)ならばPである。
に於いて、
①=②=③ であることは、「当然」であり、
④ が「真」であることも、「当然」である。
従って、
(08)(16)により、
(17)
パースの法則
排中律や二重否定の除去と等価な命題のひとつで、変なものとして、パースの法則があります。
とは言ふものの、「パースの法則」は、少しも、「変なもの」ではない。
然るに、
(18)
パースの法則が、「排中律や二重否定の除去」と等価である。
といふ「言ひ方」に関しては、私には、理解できない。
(01)
(ⅰ)
1 (1) P&(Q∨R) A
1 (2) P 1&E
1 (3) Q∨R A
4 (4) Q A
14 (5) P&Q 23&I
14 (6)(P&Q)∨(P&R) 5∨I
7(7) R A
1 7(8) P&R 27&I
1 7(9)(P&Q)∨(P&R) 8∨I
1 (ア)(P&Q)∨(P&R) 14679∨E
(ⅱ)
1 (1)(P&Q)∨(P&R) A
2 (2) P&Q A
2 (3) P 2&E
2 (4) Q 2&E
2 (5) Q∨R 4∨I
2 (6)P&(Q∨R) 35&I
7(7) P&R A
7(8) P 7&E
7(9) R 7&E
7(ア) Q∨R 9∨I
7(イ) P&(Q∨R) 8ア&I
1 (ウ)P&(Q∨R) 1267イ∨E
従って、
(01)により、
(02)
① P&(Q∨R)
②(P&Q)∨(P&R)
に於いて、
①=② である(分配の法則)。
従って、
(02)により、
(03)
① P&(Q∨R)
②(P&Q)∨(P&R)
に於いて、
① P=Q
② P=Q
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
① P&(P∨R)
②(P&P)∨(P&R)
に於いて、
①=② である(分配の法則)。
然るに、
(04)
(ⅱ)
1 (1)(P&P)∨(P&R) A
2 (2) P&P A
2 (3) P 2冪等律
2 (4) P∨(P&R) 3∨I
5(5) P&R A
5(6) P∨(P&R) 5∨I
1 (7) P∨(P&R) 12456∨E
(ⅲ)
1 (1) P∨(P&R) A
2 (2) P A
2 (3) P&P 2冪等律
2 (4)(P&P)∨(P&R) 3∨I
5(5) P&R A
5(6) P 5&E
5(7) P&P 6冪等律
5(8)(P&P)∨(P&R) 7∨I
1 (9)(P&P)∨(P&R) 12458∨E
従って、
(04)により、
(05)
②(P&P)∨(P&R)
③ P∨(P&R)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
① P&(P∨R)
②(P&P)∨(P&R)
③ P∨(P&R)
に於いて、
①=② である(分配の法則)。
②=③ である(冪等律)。
従って、
(06)により、
(07)
① P&(P∨R)
②(P&P)∨(P&R)
③ P∨(P&R)
に於いて、
①=②=③ である(分配の法則・冪等律)。
然るに、
(08)
(ⅰ)
1 (1)P&(P∨R) A
1 (2)P 1&E
1 (3) P∨R A
4 (4) P A
4 (5)P∨(P&R) 4∨I
6(6) R A
1 6(7) P&R 26&I
1 6(8)P∨(P&R) 7∨I
1 (9)P∨(P&R) 34568∨E
(ⅱ)
1 (1)P∨(P&R) A
2 (2)P A
2 (3)P∨R 2∨I
2 (4)P&(P∨R) 23&I
5(5) P&R A
5(6) P 5&E
5(7) P∨R 6∨I
5(8)P&(P∨R) 67&I
1 (9)P&(P∨R) 12458∨E
従って、
(08)により、
(09)
「分配法則・冪等律」によらずとも、いづれにせよ、
① P&(P∨R)
② P∨(P&R)
に於いて、すなはち、
① Pであって(Pであるか、または、Rである)。
② Pであるか、または(Pであって、Rである)。
に於いて、
①=② である。
従って、
(09)により、
(10)
P&(P∨R)⇔ P∨(P&R)
であって、尚且つ、「&と∨」が「逆」になる所の、
P&(P∨R)⇔ P∨(P&R)
といふ「等式(恒真式)」には、いかにも、それらしい「名前」が付いてゐさうであるが、ネットで調べる限り、
P&(P∨R)⇔ P∨(P&R)
といふ「等式(恒真式)」に、「分配法則・冪等律」のやうな「名前」は、特に、無い。
(01)
(ⅰ)
1 (1)P&(P∨~Q) A
1 (2)P 1&E
1 (3)P∨(P&~Q) 2∨I
1 (4) P∨~Q 1&E
5 (5) ~Q A
5 (6) P&~Q 25&I
5 (7)P∨(P&~Q) 6∨I
8(8) P A
8(9)P∨(P&~Q) 8∨I
1 (ア)P∨(P&~Q) 45789∨I
(ⅱ)
1 (1)P∨(P&~Q) A
2 (2)P A
2 (3) P∨~Q 2∨I
2 (4)P&(P∨~Q) 23&I
5(5) P&~Q A
5(6) P 5&E
5(7) P∨~Q 6∨I
5(8)P&(P∨~Q) 67&I
1 (9)P&(P∨~Q) 12458∨E
従って、
(01)により、
(02)
① P&(P∨~Q)
② P∨(P&~Q)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
(ⅱ)
1 (1)P∨(P&~Q) A
2 (2)P A
2 (3) ~(P→ Q)∨P 2∨I
4 (4) P&~Q A
5 (5) P→ Q A
4 (6) P 4&E
45 (7) Q 56MPP
4 (8) ~Q 4&E
45 (9) Q&~Q 78&I
4 (ア) ~(P→ Q) 59RAA
4 (イ) ~(P→ Q)∨P ア∨I
1 (ウ) ~(P→ Q)∨P 1234イ∨E
エ (エ) (P→Q)&~P A
オ (オ) ~(P→Q) A
エ (カ) (P→Q) エ&E
エオ (キ) ~(P→Q)&(P→Q) オカ&I
オ (ク)~{(P→Q)&~P} エキRAA
ケ (ケ) P A
エ (コ) ~P エ&E
エ ケ (サ) P&~P ケコ&I
ケ (シ)~{(P→Q)&~P} エサRAA
1 (ス)~{(P→Q)&~P} 1オクケシ∨E
セ (セ) (P→Q) A
ソ(ソ) ~P A
セソ(タ) (P→Q)&~P セソ&I
1 セソ(チ)~{(P→Q)&~P}&
{(P→Q)&~P} スタ&I
1 セ (ツ) ~~P ソチRAA
1 セ (テ) P ツDN
1 (ト) (P→Q)→P セテCP
(ⅲ)
1 (1) (P→Q)→P A
2 (2) ~{~(P→Q)∨P} A
3 (3) ~(P→Q) A
3 (4) ~(P→Q)∨P 3∨I
23 (5) ~{~(P→Q)∨P}&
{~(P→Q)∨P} 24&I
2 (6) ~~(P→Q) 35RAA
2 (7) (P→Q) 6DN
12 (8) P 17MPP
12 (9) ~(P→Q)∨P 8∨I
12 (ア) ~{~(P→Q)∨P}&
{~(P→Q)∨P} 29&I
1 (イ)~~{~(P→Q)∨P} 2アRAA
1 (ウ) ~(P→Q)∨P イDN
エ (エ) ~(P→Q) A
オ (オ) ~(P&~Q) A
カ (カ) P A
キ (キ) ~Q A
カキ (ク) P&~Q カキ&I
オカキ (ケ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) オク&I
オカ (コ) ~~Q キケRAA
オカ (サ) Q コDN
オ (シ) P→Q カサCP
エオ (ス)~(P→Q)&(P→Q) エシ&I
エ (セ) ~~(P&~Q) オスDN
エ (ソ) P&~Q セDN
エ (タ) P∨(P&~Q) ソ∨I
チ(チ) P A
チ(ツ) P∨(P&~Q) チ∨I
1 (テ) P∨(P&~Q) ウエタチツ∨E
従って、
(03)により、
(04)
② P∨(P&~Q)
③ (P→Q)→P
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
① P&(P∨~Q)
② P∨(P&~Q)
③ (P→Q)→P
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(05)により、
(06)
①(P&(P∨~Q))→P
②(P∨(P&~Q))→P
③((P→Q)→P)→P
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(07)
命題計算では、パースの法則は((P→Q)→P)→P のことを言う。この意味するところを書き出すと、命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる。とりわけ、Qとして偽を選んだ場合には、Pから偽が従うときは常にPが真であるならば、Pは真であるとなる(ウィキペディア)。
従って、
(06)(07)により、
(08)
①(P&(P∨~Q))→P
②(P∨(P&~Q))→P
③((P→Q)→P)→P
に於いて、
①=②=③ であって、
③ は、「パースの法則」である。
然るに、
(09)
(ⅰ)
1(1) P&(P∨~Q) A
1(2) P 1&E
(3)(P&(P∨~Q))→P 12CP
(ⅱ)
1 (1) P∨(P&~Q) A
2 (2) P A
3(3) P&~Q A
3(4) P 3&E
1 (5) P 12234∨E
(6)(P∨(P&~Q))→P 15CP
(ⅲ)
1 (1) (P→Q)→P A
1 (2) ~(P→Q)∨P 1含意の定義
3 (3) ~(P→Q) A
3 (4)~(~P∨Q) 3含意の定義
3 (5) P&~Q 4ド・モルガンの法則
3 (6) P 5&E
7(7) P A
1 (8) P 13677∨E
(9) ((P→Q)→P)→P 18CP
従って、
(08)(09)により、
(10)
①(P&(P∨~Q))→P
②(P∨(P&~Q))→P
③((P→Q)→P)→P
に於いて、
①=②=③ であって、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「パースの法則」である。
(10)により、
(11)
① (Pであって(Pであるか、Qでない))ならば、Pである。
② (Pであるか(Pであって、Qでない))ならば、Pである。
③((Pであるならば、Qである)ならば、Pである)ならば、Pである。
に於いて、
①=②=③ であって、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「パースの法則」である。
従って、
(11)により、
(12)
P=日本人である。
Q=男性である(女性でない)。
であるとして、
① (日本人であって(日本人であるか、女性である))ならば、日本人である。
② (日本人であるか(日本人であって、女性である))ならば、日本人である。
③((日本人であるならば、男性である)ならば、日本人である)ならば、日本人である。
に於いて、
①=②=③ であって、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「パースの法則」である。
然るに、
(13)
(ⅰ)
1(1) P&(P∨Q) A
1(2) P 1&E
(3)(P&(P∨Q))→P 12CP
(ⅱ)
1 (1) P∨(P&Q) A
2 (2) P A
3(3) P&Q A
3(4) P 3&E
1 (5) P 12234∨E
(6)(P∨(P&Q))→P 15CP
(ⅲ)
1 (1) (P→~Q)→P A
1 (2) ~(P→~Q)∨P 1含意の定義
3 (3) ~(P→~Q) A
3 (4)~(~P∨~Q) 3含意の定義
3 (5) P&Q 4ド・モルガンの法則
3 (6) P 5&E
7(7) P A
1 (8) P 13677∨E
(9) ((P→~Q)→P)→P 18CP
従って、
(10)(13)により、
(14)
① (P&(P∨Q))→P
② (P∨(P&Q))→P
③((P→~Q)→P)→P
に於いて、
①=②=③ であって、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「パースの法則」である。
従って、
(10)(12)(14)により、
(15)
③((P→ Q)→P)→P
③((P→~Q)→P)→P
に於いて、すなはち、
③((日本人であるならば、男性である)ならば、日本人である)ならば、日本人である。
③((日本人であるならば、女性である)ならば、日本人である)ならば、日本人である。
に於いて、両方とも、
③ パースの法則である。
然るに、
(16)
③((日本人であるならば、男性である)ならば、日本人である)ならば、日本人である。
③((日本人であるならば、女性である)ならば、日本人である)ならば、日本人である。
といふことは、
③((日本人であるならば、男女を問わず)、日本人である)ならば、日本人である。
といふことに、他ならない。
従って、
(12)(16)により、
(17)
① (日本人であって(日本人であるか、女性である))ならば、日本人である。
② (日本人であるか(日本人であって、女性である))ならば、日本人である。
③((日本人であるならば、男女を問わず)、日本人である)ならば、日本人である。
に於いて、
①=②=③ であって、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ は、「パースの法則」である。
―「昨日(令和03年11月08日)の記事」を補足します。―
(01)
「原始的規則(10 primitive rules)」並びに、
「含意の定義、ド・モルガンの法則、分配の法則、冪等律」を用ひて、次の「連式」を証明せよ。
(P→Q)→P┤├ P&(~Q∨P)
〔解答〕
(ⅰ)
1 (1) (P→Q)→P A
1 (2) (~P∨Q)→P 1含意の定義
1 (3)~(~P∨Q)∨P 2含意の定義
2 (4)~(~P∨Q) A
2 (5) P&~Q 4ド・モルガンの法則
2 (6) (P&~Q)∨P 5∨I
7(7) P A
7(8) (P&~Q)∨P 7∨I
1 (9) (P&~Q)∨P 12678∨E
1 (ア)(P∨P)&(~Q∨P) 9分配法則
1 (イ) P∨P ア&I
1 (ウ) P イ冪等律
1 (エ) (~Q∨P) ア&E
1 (オ) P&(~Q∨P) ウエ&I
(ⅱ)
1 (1) P&(~Q∨P) A
1 (2) P 1&E
1 (3) P∨P 2冪等律
1 (4) (~Q∨P) 1&E
1 (5)(P∨P)&(~Q∨P) 34&I
1 (6) (P&~Q)∨P 5分配法則
7 (7) (P&~Q) A
7 (8) ~(~P∨Q) 7ド・モルガンの法則
7 (9) ~(P→Q) 8含意の定義
7 (ア) ~(P→Q)∨P 9∨I
イ(イ) P A
イ(ウ) ~(P→Q)∨P イ∨I
1 (エ) ~(P→Q)∨P 67アイウ∨E
1 (オ) (P→Q)→P エ含意の定義
(02)
「含意の定義、ド・モルガンの法則、分配の法則、冪等律」を用ひずに、
「原始的規則(10 primitive rules)」だけを用ひて、次の「連式」を証明せよ。
(ⅰ)
1 (1) (P→ Q)→P A
2 (2) ~(P&~Q) A
3 (3) P A
4 (4) ~Q A
34 (5) P&~Q 34&I
234 (6) ~(P&~Q)&
(P&~Q) 25&I
23 (7) ~~Q 46RAA
23 (8) Q 7DN
2 (9) P→ Q 38CP
12 (ア) P 19MPP
1 (イ) ~(P&~Q)→P 2アCP
ウ (ウ) ~{(P&~Q)∨P} A
エ (エ) (P&~Q) A
エ (オ) (P&~Q)∨P エ∨I
ウエ (カ) ~{(P&~Q)∨P}&
{(P&~Q)∨P} ウオ&I
ウ (キ) ~(P&~Q) エカRAA
1 ウ (ク) P イキMPP
1 ウ (ケ) (P&~Q)∨P ク∨I
1 ウ (コ) ~{(P&~Q)∨P}&
{(P&~Q)∨P} イケ&I
1 (サ)~~{(P&~Q)∨P} ウコRAA
1 (シ) (P&~Q)∨P サDN
ス (ス) (P&~Q) A
ス (セ) P ス&E
ス (ソ) ~Q セ&E
ス (タ) ~Q∨P ソ∨I
ス (チ) P&(~Q∨P) セタ&I
ツ(ツ) P A
ツ(テ) ~Q∨P ツ∨I
ツ(ト) P&(~Q∨P) ツテ&I
1 (ナ) P&(~Q∨P) シスチツト∨E
(ⅱ)
1 (1) P&(~Q∨P) A
1 (2) P 1&E
1 (3) ~Q∨P 1&E
4 (4) ~Q A
14 (5) P&~Q 24&I
14 (6) (P&~Q)∨P 5∨I
7 (7) P A
7 (8) (P&~Q)∨P 7∨I
1 (9) (P&~Q)∨P 14678∨E
ア (ア) (P&~Q) A
イ (イ) P→ Q A
ア (ウ) P ア&E
アイ (エ) Q イウMPP
ア (オ) ~Q ア&E
アイ (カ) Q&~Q エオ&I
ア (キ) ~(P→ Q) アカRAA
ア (ク) ~(P→ Q)∨P キ∨I
ケ (ケ) P A
ケ (コ) ~(P→ Q)∨P ケ∨I
1 (サ) ~(P→ Q)∨P 1アクケコ∨E
シ (シ) (P→Q)&~P A
ス (ス) ~(P→ Q) A
シ (シ) (P→Q) シ&E
シス (セ)~(P→Q)&(P→Q) スシ&I
ス (ソ) ~{(P→Q)&~P} シセRAA
タ (タ) P A
シ (チ) ~P シ&E
シ タ (ツ) P&~P タチ&I
タ (テ) ~{(P→Q)&~P} シツRAA
1 (ト) ~{(P→Q)&~P} サスソタテ∨E
ナ (ナ) (P→Q) A
ニ(ニ) ~P A
ナニ(ヌ) (P→Q)&~P ナニ&I
1 ナニ(ネ) ~{(P→Q)&~P}&
{(P→Q)&~P} トヌ&I
1 ナ (ノ) ~~P ニネRAA
1 ナ (ハ) P ノDN
1 (ヒ) (P→Q)→P ナハCP
従って、
(01)(02)により、
(03)
①(P→Q)→P
② P&(~Q∨P)
に於いて、
①=② であるが、この「等式」を、「定理α」とする。
従って、
(03)により、
(04)
(ⅰ)
1(1) (P→Q)→P A
1(2) P&(~Q∨P) 1定理α
1(3) P 2連言除去
(4)((P→Q)→P)→P 13CP
(ⅱ)
1(1) P&(~Q∨P) A
1(2) P 1連言除去
(3)(P&(~Q∨P))→P 12CP
従って、
(04)により、
(05)
「連言除去」により、
①((P→Q)→P)→P
②(P&(~Q∨P))→P
といふ「論理式」は、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
①((P→Q)→P)→P
②(P&(~Q∨P))→P
といふ「論理式」は、「恒真式(トートロジー)」であって、尚且つ、
①=② である。
従って、
(06)により、
(07)
①((PならばQ)ならばP)ならばPである。
②(Pであって(QでないかP))ならばPである。
といふ「日本語」は、「恒に真(トートロジー)」であって、尚且つ、
①=② である。
従って、
(07)により、
(08)
P=日本人
Q=男性
であるとして、
①((日本人ならば男性)ならば日本人)ならば日本人である。
②(日本人であって(男性でないか日本人))ならば日本人である。
といふ「日本語」は、「恒に真(トートロジー)」であって、尚且つ、
①=② である。
然るに、
(09)
パースの法則
排中律や二重否定の除去と等価な命題のひとつで、変なものとして、パースの法則があります。
任意の命題P, Qについて、
((P→Q)→P)→P
が成り立つ
『「PならばQ」ならばP』ならばP
なんか、パズルのような命題ですね。
(排中律、二重否定の除去、パースの法則 - Qiita)
従って、
(06)~(09)により、
(10)
① パースの法則
②(日本人であって(男性でないか日本人))ならば日本人である。
は、両方とも、「恒に真(トートロジー)」であって、尚且つ、
①=② である。
然るに、
(11)
②(日本人であって(男性でないか日本人))であって、外国人である。
といふことは、有り得ないが故に、
②(日本人であって(男性でないか日本人))ならば日本人である。
といふことは、「当然」である。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① パースの法則
②(日本人であって(男性でないか日本人))ならば日本人である。
は、両方とも、「恒に真(トートロジー)」であって、尚且つ、
①=② であって、尚且つ、
② は、明らかに、「真」である。
従って、
(12)により、
(13)
① パースの法則
も、当然、「真」である。