(01)
(37) All the nice girls love a sailor.
いまひとつの多義性(ambiguity)がこの文には見いだされる。
この文は、
(ⅰ)すべてのxに対して、xが素敵な少女であるならば、xはある水夫を愛する。 の意味なのであろうか。
(ⅱ)すべてのxに対して、xが素敵な少女であるならば、xはどのような水夫をも愛する。の意味なのであろうか。
(E.J.レモ 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、128頁改)
然るに、
(02)
{少年の集合}={a,b}
{少女の集合}={c,d,e}
とするならば、
① All the nice girls love a sailor.
② All the nice girls love a sailor.
といふ「1つ(意味は2つ)の英文」は、
(ⅰ)
{[cが素敵であってcが少女であるならば、(aは水夫であって、cはaを愛している)か、または(bは水夫であって、cはbを愛している)。]その上、
{[dが素敵であってdが少女であるならば、(aは水夫であって、dはaを愛している)か、または(bは水夫であって、dはbを愛している)。]その上、
{[eが素敵であってeが少女であるならば、(aは水夫であって、eはaを愛している)か、または(bは水夫であって、eはbを愛している)。]}。
(ⅱ)
{[cが素敵であってcが少女であるならば、(aが水夫であるならば、cはaを愛していて、)その上、(bが水夫であるならば、cはbを愛していて、)]その上、
{[dが素敵であってdが少女であるならば、(aが水夫であるならば、dはaを愛していて、)その上、(bが水夫であるならば、dはbを愛していて、)]その上、
{[eが素敵であってeが少女であるならば、(aが水夫であるならば、eはaを愛していて、)その上、(bが水夫であるならば、eはbを愛していて、)]}。
といふ「意味」になる。
従って、
(02)により、
(03)
N=素敵である。
G=少女である。
S=水夫である。
L=愛す。
とすると、
① All the nice girls love a sailor.
② All the nice girls love a sailor.
といふ「1つ(意味は2つ)の英文」は、
①{[Nc&Gc→(Sa&Lca)∨(Sb&Lcb)]&[Nd&Gd→(Sa&Lda)∨(Sb&Ldb)]&[Ne&Ge→(Sa&Lea)∨(Sb&Leb)]}
②{[Nc&Gc→(Sa→Lca)&(Sb→Lcb)]&[Nd&Gd→(Sa→Lda)&(Sb→Ldb)]&[Ne&Ge→(Sa→Lea)&(Sb→Leb)]}
といふ風に、「翻訳」出来る。
然るに、
(04)
①{[Nc&Gc→(Sa&Lca)∨(Sb&Lcb)]&[Nd&Gd→(Sa&Lda)∨(Sb&Ldb)]&[Ne&Ge→(Sa&Lea)∨(Sb&Leb)]}
②{[Nc&Gc→(Sa→Lca)&(Sb→Lcb)]&[Nd&Gd→(Sa→Lda)&(Sb→Ldb)]&[Ne&Ge→(Sa→Lea)&(Sb→Leb)]}
といふ「論式」は、「E.J.レモ 著、論理学初歩」に於いては、
① ∀x{(Nx&Gx)→∃y(Sy&Lxy)}
② ∀x{(Nx&Gx)→∀y(Sy→Lxy)}
といふ風に書く。
然るに、
(05)
① All the nice girls love a sailor.
② All the nice girls love a sailor.
といふ「1つ(意味は2つ)の英文」の「否定」は、
① It is not true that All the nice girls love a sailor.
② It is not true that All the nice girls love a sailor.
であって、
① ∀x{(Nx&Gx)→∃y(Sy&Lxy)}
② ∀x{(Nx&Gx)→∀y(Sy→Lxy)}
の「否定」は、
① ~∀x{(Nx&Gx)→∃y(Sy&Lxy)}
② ~∀x{(Nx&Gx)→∀y(Sy→Lxy)}
である。
然るに、
(06)
(a)
1 (1)~∀x{(Nx&Gx)→ ∃y(Sy&Lxy)} A
1 (2)∃x~{(Nx&Gx)→ ∃y(Sy&Lxy)} 1含意の定義
3 (3) ~{(Na&Ga)→ ∃y(Sy&Lay)} 1UE
4 (4) ~(Na&Ga)∨ ∃y(Sy&Lay) A
4 (5) (Na&Ga)→ ∃y(Sy&Lay) 4含意の定義
34 (6) ~{(Na&Ga)→ ∃y(Sy&Lay)}&
{(Na&Ga)→ ∃y(Sy&Lay)} 35&I
3 (7) ~{~(Na&Ga)∨ ∃y(Sy&Lay) 46RAA
3 (8) (Na&Ga)&~∃y(Sy&Lay) 7ド・モルガンの法則
3 (9) (Na&Ga) 8&E
3 (ア) ~∃y(Sy&Lay) 8&E
3 (イ) ∀y~(Sy&Lay) A量化子の関係
3 (ウ) ~(Sb&Lab) イUE
エ (エ) Sb A
オ(オ) Lab A
エオ(カ) Sb&Lab エオ&I
3 エオ(キ) ~(Sb&Lab)&(Sb&Lab) ウカ&I
3 エ (ク) ~Lab オキRAA
3 (ケ) Sb→~Lab エクCP
3 (コ) ∀y(Sy→~Lay) ケUI
3 (サ) (Na&Ga)&∀y(Sy→~Lay) クコ&I
3 (シ) ∃x{(Nx&Gx)&∀y(Sy→~Lxy)} サEI
1 (ス) ∃x{(Nx&Gx)&∀y(Sy→~Lxy)} 13シEE
(b)
1 (1) ∃x{(Nx&Gx)&∀y(Sy→~Lxy)} A
2 (2) (Na&Ga)&∀y(Sy→~Lay) A
2 (3) (Na&Ga) 2&E
2 (4) ∀y(Sy→~Lay) 2&E
2 (5) Sb→~Lab 4UE
2 (6) ~Sb∨~Lab 5含意の定義
2 (7) ~(Sb&Lab) 6ド・モルガンの法則
2 (8) ∀y~(Sy&Lay) 7UI
2 (9) ~∃y(Sy&Lay) 8量化子の関係
ア (ア) (Na&Ga)→ ∃y(Sy&Lay) A
2ア (イ) ∃y(Sy&Lay) 3アMPP
2ア (ウ) ~∃y(Sy&Lay)&∃y(Sy&Lay) 9イ&I
2 (エ) ~{(Na&Ga)→ ∃y(Sy&Lay)} アウRAA
2 (オ)∃x~{(Nx&Gx)→ ∃y(Sy&Lxy)} エEI
1 (カ)∃x~{(Nx&Gx)→ ∃y(Sy&Lxy)} 12オEE
1 (キ)~∀x{(Nx&Gx)→ ∃y(Sy&Lxy)} カ量化子の関係
(07)
(c)
1 (1)~∀x{(Nx&Gx)→ ∀y(Sy→Lxy)} A
1 (2)∃x~{(Nx&Gx)→ ∀y(Sy→Lxy)} 1量化子の関係
3 (3) ~{(Na&Ga)→ ∀y(Sy→Lay)} 2UE
4 (4) ~(Na&Ga)∨ ∀y(Sy→Lay) A
4 (5) (Na&Ga)→ ∀y(Sy→Lay) 4含意の定義
34 (6) ~{(Na&Ga)→ ∀y(Sy→Lay)}&
{(Na&Ga)→ ∀y(Sy→Lay)} 35&I
3 (7) ~{~(Na&Ga)∨ ∀y(Sy→Lay)} 46RAA
3 (8) (Na&Ga)&~∀y(Sy→Lay) 7ド・モルガンの法則
3 (9) (Na&Ga) 8&E
3 (ア) ~∀y(Sy→Lay) 8&E
3 (イ) ∃y~(Sy→Lay) ア含意の定義
ウ (ウ) ~(Sy→Lay) A
エ(エ) ~Sb∨Lab A
エ(オ) Sb→Lab エ含意の定義
ウエ(カ) ~(Sy→Lay)&(Sb→Lab) ウオ&I
ウ (キ) ~(~Sb∨Lab) エカRAA
ウ (ク) Sb&~Lab キ、ド・モルガンの法則
ウ (ケ) ∃y(Sy&~Lay) クEI
3 (コ) ∃y(Sy&~Lay) イウEE
3 (サ) (Na&Ga)&∃y(Sy&~Lay) 9コ&I
3 (シ) ∃x{(Nx&Gx)&∃y(Sy&~Lxy)} サEI
1 (ス) ∃x{(Nx&Gx)&∃y(Sy&~Lxy)} 13シEE
(d)
1 (1) ∃x{(Nx&Gx)&∃y(Sy&~Lxy)} A
2 (2) (Na&Ga)&∃y(Sy&~Lay) A
2 (3) (Na&Ga) 2&E
2 (4) ∃y(Sy&~Lay) 2&E
2 (5) Sb&~Lab A
6 (6) Sb→ Lab A
2 (7) Sb 5&E
26 (8) Lab 67MPP
6 (9) ~Lab 5&E
26 (ア) Lab&~Lab 89&I
2 (イ) ~(Sb→Lab) 6アRAA
2 (ウ) ∃y~(Sy→Lay) イEI
2 (エ) ~∀y(Sy→Lay) ウ量化子の関係
オ(オ) (Na&Ga)→ ∀y(Sy→Lay) A
2 オ(カ) ∀y(Sy→Lay) 3オMPP
2 オ(キ) ~∀y(Sy→Lay)&∀y(Sy→Lay) エカ&I
2 (ク) ~{(Na&Ga)→ ∀y(Sy→Lay)} オキRAA
2 (ケ)∃x~{(Nx&Gx)→ ∀y(Sy→Lxy)} クEI
1 (コ)∃x~{(Nx&Gx)→ ∀y(Sy→Lxy)} 12ケEE
1 (サ)~∀x{(Nx&Gx)&∃y(Sy&~Lxy)} コ量化子の関係
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① All the nice girls love a sailor.
② All the nice girls love a sailor.
といふ「1つ(意味は2つ)の英文」の「否定」は、
① It is not true that All the nice girls love a sailor.
② It is not true that All the nice girls love a sailor.
であって、
① ∀x{(Nx&Gx)→∃y(Sy&Lxy)}
② ∀x{(Nx&Gx)→∀y(Sy→Lxy)}
の「否定」は、
① ~∀x{(Nx&Gx)→∃y(Sy&Lxy)}
② ~∀x{(Nx&Gx)→∀y(Sy→Lxy)}
であって、
① ~∀x{(Nx&Gx)→∃y(Sy&Lxy)}
② ~∀x{(Nx&Gx)→∀y(Sy→Lxy)}
といふ「述語論理式」は、
① ∃x{(Nx&Gx)&∀y(Sy→~Lxy)}
② ∃x{(Nx&Gx)&∃y(Sy&~Lxy)}
といふ「述語論理式」に、「等しい」。
然るに、
(09)
① ∃x{(Nx&Gx)&∀y(Sy→~Lxy)}
② ∃x{(Nx&Gx)&∃y(Sy&~Lxy)}
といふ「述語論理式」は、
① あるxは{(素敵な少女)であって、すべてのyについて(yが水夫であるならば、xはyを愛さない)}。
② あるxは{(素敵な少女)であって、あるyは(水夫であって、xはyを愛さない)}。
といふ「意味」である。
然るに、
(10)
① あるxは{(素敵な少女)であって、すべてのyについて(yが水夫であるならば、xはyを愛さない)}。
② あるxは{(素敵な少女)であって、あるyは(水夫であって、xはyを愛さない)}。
といふことは、
① 幾人かの素敵な少女は、 いかなる水夫を愛さない。
② 幾人かの素敵な少女には、愛していない水夫がゐる。
といふことに、他ならない。
従って、
(01)~(10)により、
(11)
① It is not true that All the nice girls love a sailor.
② It is not true that All the nice girls love a sailor.
といふ「1つ(意味は2つ)の英文」は、
① ∃x{(Nx&Gx)&∀y(Sy→~Lxy)}
② ∃x{(Nx&Gx)&∃y(Sy&~Lxy)}
といふ「意味」、すなはち、
① 幾人かの素敵な少女は、 いかなる水夫を愛さない。
② 幾人かの素敵な少女には、愛してゐない水夫がゐる。
といふ「意味」である。
然るに、
(12)
論理学には、ある種のあいまい性を、きわめて明確に示すことができるという、大きな利点がある。例えば、
All the nice girls love a sailor.
(すべての素敵な女の子は、水夫を愛する)
という文を取り上げてみよう。 この文は、
どの素敵な女の子も、水夫を誰か愛している。
アリスはジョーを愛し、
メアリーはバートを愛し、
デズデモーナはビリーを愛している。
という意味にもとれるし、
この文は、
どの素敵な女の子も、一人の特定の水夫を愛している。
その水夫の名前はジャック・タールである。
という意味にもとれる。
論理学は、この二つの異なる構造をはっきり示す、厳密な表記を提供してくれるのである。
(入門言語学、ジーン・エイチソン 著、田中春美・田中幸子 訳、1980年、92頁)
然るに、
(13)
どの素敵な女の子も、一人の特定の水夫を愛している。
その水夫の名前はジャック・タールである。
という意味にもとれる。
といふのであれば、この場合は、
③ All the nice girls love a sailor.⇔
③ ∃x{Sy&∀y(Nx&Gx→Lxy)}⇔
③ あるxは{水夫であって、すべてのyについて(yが素敵な少女であるならば、yはxを愛す)}。
といふ風に、「翻訳」出来る。
従って、
(01)(12)(13)により、
(14)
① All the nice girls love a sailor.
② All the nice girls love a sailor.
③ All the nice girls love a sailor.
といふ「英語」には、少なくとも、
① ∀x{(Nx&Gx)→∃y(Sy&Lxy)}
② ∀x{(Nx&Gx)→∀y(Sy→Lxy)}
③ ∃x{Sy&∀y[(Nx&Gx)→Lxy]}
といふ「3つの意味」が有る。
(01)
All the nice girls love a sailor.
(すべてのすてきな女の子は、水夫を愛している)
という文を取り上げてみよう。この文は、「どのすてきな女の子も、水夫を誰か愛している。アリスはジョーを愛し、メアリーはバートを愛し、デスデモーナはビリーを愛している」という意味にもとれるし、また、「どのすてきな女の子も、一人の特定の水夫を愛している。その水夫の名前は、ジャック・タールである」という意味にもとれる。論理学では、この二つの異なる構造をはっきり示す、厳密な表記を提供してくれるのである。
(ジーン・エイチソン著、田中晴美 田中幸子訳、入門言語学、1980年、92頁)
然るに、
(02)
②「ある水夫を愛してゐる。」と、言ふだけでは、「すべての水夫を愛してゐる。」といふことには、ならないものの、
③「すべての水夫を愛してゐる。」と、言ふのであれば、「ある水夫を愛してゐる。」といふ、ことになる。
cf.
「九九」が言へるのであれば、「2の段の九九」も言へることになるが、「2の段の九九」を言へるからと言って、「九九」が言へることには、ならない。
然るに、
(01)(02)により、
(03)
② All the nice girls love a sailor.
③ All the nice girls love all the sailors.
に於いて、
③ ならば、② であるが、
② ならば、③ ではない。
然るに、
(04)
1 (1)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
2 (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫y) A
2 (3)∃x(素敵x&少女x) 2&E
4 (4) 素敵a&少女a A
2 (5) ∃y(水夫y) 2&E
6(6) 水夫b A
1 (7) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 1UE
1 4 (8) ∀y(水夫y→愛ay) 47MPP
1 4 (9) 水夫b→愛ab 8UE
1 46(ア) 愛ab 69MPP
1 46(イ) 水夫b&愛ab 6ア&I
1 46(ウ) ∃y(水夫y&愛ay) イEI
124 (エ) ∃y(水夫y&愛ay) 56ウEE
12 (オ) 素敵a&少女a→∃y(水夫y&愛ay) 4エCP
12 (カ)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} オUI
All the nice girls love a sailor.
(すべてのすてきな女の子は、水夫を愛している)
という文を取り上げてみよう。この文は、「どのすてきな女の子も、水夫を誰か愛している。アリスはジョーを愛し、メアリーはバートを愛し、デスデモーナはビリーを愛している」という意味にもとれるし、また、「どのすてきな女の子も、一人の特定の水夫を愛している。その水夫の名前は、ジャック・タールである」という意味にもとれる。論理学では、この二つの異なる構造をはっきり示す、厳密な表記を提供してくれるのである。
(ジーン・エイチソン著、田中晴美 田中幸子訳、入門言語学、1980年、92頁)
然るに、
(02)
②「ある水夫を愛してゐる。」と、言ふだけでは、「すべての水夫を愛してゐる。」といふことには、ならないものの、
③「すべての水夫を愛してゐる。」と、言ふのであれば、「ある水夫を愛してゐる。」といふ、ことになる。
cf.
「九九」が言へるのであれば、「2の段の九九」も言へることになるが、「2の段の九九」を言へるからと言って、「九九」が言へることには、ならない。
然るに、
(01)(02)により、
(03)
② All the nice girls love a sailor.
③ All the nice girls love all the sailors.
に於いて、
③ ならば、② であるが、
② ならば、③ ではない。
然るに、
(04)
1 (1)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
2 (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫y) A
2 (3)∃x(素敵x&少女x) 2&E
4 (4) 素敵a&少女a A
2 (5) ∃y(水夫y) 2&E
6(6) 水夫b A
1 (7) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 1UE
1 4 (8) ∀y(水夫y→愛ay) 47MPP
1 4 (9) 水夫b→愛ab 8UE
1 46(ア) 愛ab 69MPP
1 46(イ) 水夫b&愛ab 6ア&I
1 46(ウ) ∃y(水夫y&愛ay) イEI
124 (エ) ∃y(水夫y&愛ay) 56ウEE
12 (オ) 素敵a&少女a→∃y(水夫y&愛ay) 4エCP
12 (カ)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} オUI
12 (〃)すべてのxについて、xが素敵な少女であるならば、あるyは水夫であって、xはyを愛す。 オUI
従って、
(04)により、
(05)
1 (1)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
2 (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫y) A
であるならば、
12 (カ)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} オUI
従って、
(04)により、
(05)
1 (1)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
2 (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫y) A
であるならば、
12 (カ)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} オUI
である。
然るに、
(06)
1 (1)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} A
2 (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫) A
2 (3)∃x(素敵x&少女x) 2&E
4 (4) 素敵a&少女a A
2 (5) ∃y(水夫y) A
6 (6) 水夫b A
1 (7) 素敵a&少女a→∃y(水夫y&愛ay) 1UE
1 4 (8) ∃y(水夫y&愛ay) 47MPP
9(9) 水夫b&愛ab A
9(ア) 愛ab 9&E
9(イ) ~水夫b∨愛ab 9∨I
9(ウ) 水夫b→愛ab イ含意の定義
9(エ) ∀y(水夫y→愛ay) 9UI
1 4 (オ) ∀y(水夫y→愛ay) 89エEE
1 (カ) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 4オCP
1 (キ)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} カUI
然るに、
(06)
1 (1)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} A
2 (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫) A
2 (3)∃x(素敵x&少女x) 2&E
4 (4) 素敵a&少女a A
2 (5) ∃y(水夫y) A
6 (6) 水夫b A
1 (7) 素敵a&少女a→∃y(水夫y&愛ay) 1UE
1 4 (8) ∃y(水夫y&愛ay) 47MPP
9(9) 水夫b&愛ab A
9(ア) 愛ab 9&E
9(イ) ~水夫b∨愛ab 9∨I
9(ウ) 水夫b→愛ab イ含意の定義
9(エ) ∀y(水夫y→愛ay) 9UI
1 4 (オ) ∀y(水夫y→愛ay) 89エEE
1 (カ) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 4オCP
1 (キ)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} カUI
1 (〃)すべてのxについて、xが素敵な少女であるならば、すべてのyについて、yが水夫であるならば、xはyを愛す。 カUI
然るに、
(07)
9(9) 水夫b&愛ab A
9(エ) ∀y(水夫y→愛ay) 9UI
は、「UI(普遍量記号導入の規則)」に対する「違反」である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
1 (1)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} A
2 (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫) A
であったとしても、
1 (キ)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} カUI
ではない。
従って、
(04)~(08)により、
(09)
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}
③ ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)}
に於いて、
③ ならば、② であるが、
② ならば、③ ではない。
従って、
(03)(09)により、
(10)
② All the nice girls love a sailor.
③ All the nice girls love all the sailors.
といふ「英文」は、
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}
③ ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)}
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(11)
「昨日の記事(229)」で説明した通り、
①「ジャック・タールだけを、愛してゐる。」といふ場合の、
① All the nice girls love a sailor.
に関しては、
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
然るに、
(07)
9(9) 水夫b&愛ab A
9(エ) ∀y(水夫y→愛ay) 9UI
は、「UI(普遍量記号導入の規則)」に対する「違反」である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
1 (1)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} A
2 (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫) A
であったとしても、
1 (キ)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} カUI
ではない。
従って、
(04)~(08)により、
(09)
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}
③ ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)}
に於いて、
③ ならば、② であるが、
② ならば、③ ではない。
従って、
(03)(09)により、
(10)
② All the nice girls love a sailor.
③ All the nice girls love all the sailors.
といふ「英文」は、
② ∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)}
③ ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)}
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(11)
「昨日の記事(229)」で説明した通り、
①「ジャック・タールだけを、愛してゐる。」といふ場合の、
① All the nice girls love a sailor.
に関しては、
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
① あるyは水夫であって、すべてのxについて、xが素敵な少女であるならば、xはyを愛す。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(12)
① すべての素敵な少女は、ジャック・タールだけを、愛してゐる。
③ すべての素敵な少女は、すべての水夫を愛してゐる。
に於いて、
① と ③ は、「矛盾」する。
然るに、
(13)
1 (1)∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} A
2 (2) 水夫b&∀x(素敵x&少女x→愛xb) A
2 (3) 水夫b 2&E
2 (4) ∀x(素敵x&少女x→愛xb) 2&E
2 (5) 素敵a&少女a→愛ab 4UE
6(6) 素敵a&少女a A
26(7) 愛ab 56MPP
26(8) ~水夫b∨愛ab 7∨I
26(9) 水夫b→愛ab 8含意の定義
26(ア) ∀y(水夫y→愛ay) 9UI
2 (イ) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 6アCP
1 (ウ) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 12イEE
1 (エ)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} ウUI
然るに、
(14)
2 (2) 水夫b&∀x(素敵x&少女x→愛xb) A
26(9) 水夫b→愛ab 8含意の定義
26(ア) ∀y(水夫y→愛ay) 9UI
は、「UI(普遍量記号導入の規則)」に対する「違反」である。
然るに、
(15)
1 (1) ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
1 (2) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 1UE
3 (3) 素敵a&少女a A
13 (4) ∀y(水夫y→愛ay) 23MPP
13 (5) 水夫b→愛ab 4UI
6(6) 水夫b A
136(7) 愛ab 56MPP
1 6(8) 素敵a&少女a→愛ab 37CP
1 6(9) ∀x(素敵x&少女x→愛xb) 8UI
1 6(ア) 水夫b&∀x(素敵x&少女x→愛xb) 69&I
1 6(イ) ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} アEI
1 (ウ)水夫b→∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} 6イCP
従って、
(15)により、
(16)
1 (1) ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
ならば、
1 (ウ)水夫b→∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} 6イCP
なのであって、
1 (1) ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
ならば、
1 (ウ) ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
ではない。
従って、
(11)~(16)により、
(17)
① すべての素敵な少女は、ジャック・タールだけを、愛してゐる。
③ すべての素敵な少女は、すべての水夫を愛してゐる。
といふ「命題」は、
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
③ ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)}
といふ「述語論理」に、対応し、尚且つ、
① ならば、③ ではないし、
③ ならば、① ではない。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(12)
① すべての素敵な少女は、ジャック・タールだけを、愛してゐる。
③ すべての素敵な少女は、すべての水夫を愛してゐる。
に於いて、
① と ③ は、「矛盾」する。
然るに、
(13)
1 (1)∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} A
2 (2) 水夫b&∀x(素敵x&少女x→愛xb) A
2 (3) 水夫b 2&E
2 (4) ∀x(素敵x&少女x→愛xb) 2&E
2 (5) 素敵a&少女a→愛ab 4UE
6(6) 素敵a&少女a A
26(7) 愛ab 56MPP
26(8) ~水夫b∨愛ab 7∨I
26(9) 水夫b→愛ab 8含意の定義
26(ア) ∀y(水夫y→愛ay) 9UI
2 (イ) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 6アCP
1 (ウ) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 12イEE
1 (エ)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} ウUI
然るに、
(14)
2 (2) 水夫b&∀x(素敵x&少女x→愛xb) A
26(9) 水夫b→愛ab 8含意の定義
26(ア) ∀y(水夫y→愛ay) 9UI
は、「UI(普遍量記号導入の規則)」に対する「違反」である。
然るに、
(15)
1 (1) ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
1 (2) 素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay) 1UE
3 (3) 素敵a&少女a A
13 (4) ∀y(水夫y→愛ay) 23MPP
13 (5) 水夫b→愛ab 4UI
6(6) 水夫b A
136(7) 愛ab 56MPP
1 6(8) 素敵a&少女a→愛ab 37CP
1 6(9) ∀x(素敵x&少女x→愛xb) 8UI
1 6(ア) 水夫b&∀x(素敵x&少女x→愛xb) 69&I
1 6(イ) ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} アEI
1 (ウ)水夫b→∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} 6イCP
従って、
(15)により、
(16)
1 (1) ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
ならば、
1 (ウ)水夫b→∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)} 6イCP
なのであって、
1 (1) ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
ならば、
1 (ウ) ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
ではない。
従って、
(11)~(16)により、
(17)
① すべての素敵な少女は、ジャック・タールだけを、愛してゐる。
③ すべての素敵な少女は、すべての水夫を愛してゐる。
といふ「命題」は、
① ∃y{水夫y&∀x(素敵x&少女x→愛xy)}
③ ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)}
といふ「述語論理」に、対応し、尚且つ、
① ならば、③ ではないし、
③ ならば、① ではない。
——「数時間前の記事(188)」の「続き」を書きます。―
(06)
② 莫民非其臣=
② 莫〔民非(其臣)〕⇒
② 〔民(其臣)非〕莫=
② 〔民にして(其の臣に)非ざる〕莫し=
② 民であって、其の(王の)臣民でないものはゐない=
② All the people are his retainers.
といふ「漢文・訓読・英訳」は、
② ∀x{民x→∃y[王yx&∀z(王zx→z=y)]}⇔
② すべてのxについて、xが民であるならば、あるyはxの王であって、すべてのzについて、zがxの王であるならば、zはyと同一人物である。
といふ「述語論理」に、相当する。
然るに、
(07)
② 莫民非其臣=
② 莫〔民非(其臣)〕。
に於いて、
② 莫=No
② 民=peaple
② 非=aren't
② 其=his
② 臣=retainers.
とするならば、
③ No people aren't his retainers=
③ No〔people aren't(his retainers)〕.
といふ「英文」を得ることになる。
然るに、
(08)
③ No people aren't his retainers.
③ Any people aren't his retainers.
④ All the people are his retainers.
といふ「英文」を、「グーグル翻訳」に掛けると、
③ 誰も彼の擁護者ではありません。
③ 誰も彼の擁護者ではありません。
④ すべての人々は彼の家臣です。
といふ「英文」を、出力する。
従って、
(07)(08)により、
(09)
② 莫民非其臣=
② 莫〔民非(其臣)〕。
に於いて、
② 莫=No
② 民=peaple
② 非=aren't
② 其=his
② 臣=retainers.
とするならば、
③ No people aren't his retainers=
③ No〔people aren't(his retainers)〕.
といふ「英文」を得ることになるものの、その一方で、
② 莫〔民非(其臣)〕。
③ No〔people aren't(his retainers)〕.
に於いて、
②=③ といふ「等式」が、成立しない。
従って、
(06)~(09)により、
(10)
② 莫民非其臣。
③ No people aren't his retainers.
に於いて、
② といふ「漢文」は、「論理学的」であるが、
③ といふ「英文」は、「論理学的」ではない。
(11)
④ 無不我好者=
④ 無〔不(我好)者〕⇒
④ 〔(我好)不者〕無=
④ 〔(我を好ま)不る者〕無し=
④ 私を好まない者はゐない。
(12)
(ⅰ)
1 (1)∀x{人x→~∃y(私y&~好xy)} A
1 (2) 人a→~∃y(私y&~好ay)} 1UE
3(3) 人a A
13(4) ~∃y(私y&~好ay) 23CP
13(5) ∀y~(私y&~好ay) 4量化子の関係
13(6) ~(私b&~好ab) 5UE
13(7) ~私b∨~~好ab 6ド・モルガンの法則
13(8) ~私b∨ 好ab 7DN
13(9) 好ab∨~私b 8交換法則
13(ア) ~~好ab∨~私b 9DN
13(イ) ~好ab→~私b ア含意の定義
13(ウ) ∀y(~好ay→~私y) イUI
1 (エ) 人a→∀y(~好ay→~私y) 3ウCP
1 (オ)∀x{人x→∀y(~好xy→~私y) エUI
(ⅱ)
1 (1)∀x{人x→∀y(~好xy→~私y)} A
1 (2) 人a→∀y(~好ay→~私y) 1UE
3(3) 人a A
13(4) ∀y(~好ay→~私y) 23MPP
13(5) ~好ab→~私b 4UE
13(6) ~~好ab∨~私b 5含意の定義
13(7) 好ab∨~私b 6DN
13(8) ~私b∨好ab 7交換法則
13(9) ~~(~私b∨好ab) 8DN
13(ア) ~(~~私b&~好ab) 8ド・モルガンの法則
13(イ) ~(私b&~好ab) アDN
13(ウ) ∀y~(私y&~好ay) イUI
13(エ) ~∃y(私y&~好ay) ウ量化子の関係
1 (オ) 人a→~∃y(私y&~好ay) 3エCP
1 (カ)∀x{人x→~∃y(私y&~好xy)} オUI
従って、
(12)により、
(13)
(ⅰ)∀x{人x→~∃y(私y&~好xy)}
(ⅱ)∀x{人x→∀y(~好xy→~私y)}
に於いて、
(ⅰ)ならば(ⅱ)であり、
(ⅱ)ならば(ⅰ)である。
従って、
(13)により、
(14)
(ⅰ)∀x{人x→~∃y(私y&~好xy)}
(ⅱ)∀x{人x→∀y(~好xy→~私y)}
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
従って、
(14)により、
(15)
(ⅰ)すべてのxについて、 xが人であるならば、あるyが私であって、尚且つ、xがyを好きではない。といふことはない。
(ⅱ)いかなるxであっても、xが人であるならば、すべてのyについて、xがyを好きではないのであれば、yは私ではない。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
従って、
(15)により、
(16)
(ⅰ)すべての人は、私を好きでない。といふことがない。
(ⅱ)すべての人が、すべての人の中の、ある誰かを好きではないのであれば、その誰かは私ではない。
に於いて、
(ⅰ)=(ⅱ) である。
然るに、
(17)
④ 無不我好者=
④ 無〔不(我好)者〕⇒
④ 〔(我好)不者〕無=
④ 〔(我を好ま)不る者〕無し=
④ 私を好まない者はゐない。
といふことは、
(ⅰ)すべての人が、私を好きでない。といふことはない。
(ⅱ)すべての人が、すべての人の中の、ある誰かを好きではないのであれば、その誰かは私ではない。
といふことに、他ならない。
従って、
(11)~(17)により、
(18)
④ 無不我好者。⇔
④ 我を好ま不る者無し。
といふ「漢文訓読」は、
④ ∀x{人x→~∃y(私y&~好xy)}
④ ∀x{人x→∀y(~好xy→~私y)}
といふ「述語論理」に、相当する。
然るに、
(19)
④ 無不我好者。⇔
④ 我を好ま不る者無し。⇔
④ ∀x{人x→~∃y(私y&~好xy)}。
といふ「漢文・訓読・述語論理」は、「単なる否定」ではなく、「二重否定」である。
然るに、
(20)
④ Anybody doesn't like me.
といふ「英語」は、「単なる否定」であって、
⑤ Nobody doesn't like me.
といふ「英語」は、「二重否定」である。
従って、
(19)(20)により、
(21)
④ 無不我好者。⇔
④ 我を好ま不る者無し。⇔
④ ∀x{人x→~∃y(私y&~好xy)}。
といふ「漢文・訓読・述語論理(二重否定)」は、
⑤ Nobody doesn't like me.
といふ「英語(二重否定)」に相当する。はずである。
然るに、
(22)
このような用法は、特に英語で問題になる。たとえば、Nobody don't like me. (誰も僕を好いてくれない)や I don't know nothing. (僕は何も知らない)などがこれにあたる。このような言い方は2つの否定を意味する語句が対応しあって1つの否定表現を形作るもので、英語は本来はこのように否定文では否定形の語を一貫して使う否定呼応を用いる言語であった。すなわち、否定呼応を用いる言語では、二重に否定語を用いても単純にひとつの否定表現を作るだけであり、論理学的に見た場合は単なる否定である。しかし、否定呼応を用いない言語では、二重に否定語を用いることは論理学的に見るところの「否定」の否定であり、肯定である(ウィキペディア:二重否定)。
従って、
(21)(22)により、
(23)
⑤ Nobody doesn't like me.
といふ「英語」は、「形式」としては、「二重否定」であるにもかかはらず、「意味」としては、「二重否定」ではない。
従って、
(21)(22)(23)により、
(24)
④ 無不我好者。
⑤ Nobody doesn't like me.
に於いて、
④ といふ「漢文」は、「論理(学)的」であるが、
⑤ といふ「英文」は、「論理(学)的」ではない。
従って、
(10)(24)により、
(25)
② 莫民非其臣。
④ 無不我好者。
といふ「漢文」は、「論理(学)的」であるが、
③ No people aren't his retainers.
⑤ Nobody doesn't like me.
といふ「英文」は、「論理(学)的」ではない。
(01)
① AだけがBである=A以外はBでない。
② AだけはBである=少なくともAだけはBである。
に於いて、
①=② でない。
然るに、
(02)
① AだけがBである=A以外はBでない。
② A以外はBでない=AでないならばBでない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
1 (1)~A→~B 仮定
2 (2)~A 仮定
3(3) B 仮定
12 (4) ~B 12前件肯定
123(5) B&~B 34&導入
1 3(6)~~A 25背理法
1 3(7) A 6二重否定
1 (8) B→ A 37条件法
(b)
1 (1) B→ A 仮定
2 (2) B 仮定
3(3) ~A 仮定
1 3(4) A 12前件肯定
123(5) ~A&A 34&導入
1 3(6)~B 25背理法
1 (7)~A→~B 36条件法
従って、
(03)により、
(04)
(a)
1 (1)AでないならばBでない。 仮定
2 (2)Aでない。 仮定
3(3) Bである。 仮定
12 (4) Bでない。 12前提肯定
123(5) Bであって、Bでない。 34&導入
1 3(6)Aでないでない。 25背理法
1 3(7)Aである。 6二重否定
1 (8)BであるならばAである。 37条件法
(b)
1 (1)BであるならばAである。 仮定
2 (2)Bである。 仮定
3(3) Aでない。 仮定
12 (4) Aである。 12前提肯定
123(5) Aでなくて、Aである。 34&導入
1 3(6)Bでない。 25背理法
1 (7)AでないならばBでない。 36条件法
従って、
(04)により、
(05)
③ AでないならばBでない=BであるならばAである。
である。
従って、
(02)(05)により、
(06)
① AだけがBである=A以外はBでない。
② A以外はBでない=AでないならばBでない。
③ AでないならばBでない=BであるならばAである。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(06)により、
(07)
① ナット・ステーキを食べる人だけが菜食主義者である。
② ナット・ステーキを食べる人以外は菜食主義ではない。
③ 菜食主義者ならばナット・ステーキを食べる人である。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(08)
only=だけ
men=人々
who=所の
eat=食する
nut steaks=ナット・ステーキ
are=である
vegetarians=菜食主義者
従って、
(09)
① Only men who eat nut steaks are vegetarians=
① Only{men[who〔eat(nut steaks)〕]}are(vegetarians).
に於いて、
① eat( )⇒( )eat
① who〔 〕⇒〔 〕who
① men[ ]⇒[ ]men
① only{ }⇒{ }only
① are( )⇒( )are
といふ「移動」を行ふと、
② {[〔(nut steaks)eat〕who]men}Only( vegetarians)are=
② {[〔(ナット・ステーキを)食する〕所の]人々}だけが(菜食主義者)である。
といふ「英文訓読」が、成立する。
従って、
(09)により、
(10)
① Only men who eat nut steaks are vegetarians.
② ナット・ステーキを食べる人だけが菜食主義者である。
に於いて、後者は、前者の、「直訳」である。
従って、
(07)(10)により、
(11)
① Only men who eat nut steaks are vegetarians.
② ナット・ステーキを食べる人だけが菜食主義者である。
③ 菜食主義者ならばナット・ステーキを食べる人である。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(12)
Hence,"Only men who eat nut steaks are vegetarians" becomes
(43)∀x{Vx→(Mx&Ex)}。
(E.J.Lemmon, Beginning Logic、2002年、第10版、P102).
従って、「ナット・ステーキを食べる人のみが菜食主義者である」はつぎのようになる。
(43)∀x{Vx→(Mx&Ex)}。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英、論理学初歩、1973年、129・130頁)。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① Only men who eat nut steaks are vegetarians.
② ナット・ステーキを食べる人だけが菜食主義者である。
③ 菜食主義者ならばナット・ステーキを食べる人である。
④ ∀x{Vx→(Mx&Ex)}。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(13)により、
(14)
① ∀x{Vx→(Mx&Ex)}=菜食主義者ならばナット・ステーキを食べる人である。
である。
従って、
(14)により、
(15)
① ∀x{Vx→(Mx&Ex)}=菜食主義者ならばナット・ステーキを食べる人である。
② ∀x{(Mx&Ex)→Vx}=ナット・ステーキを食べる人ならば菜食主義者である。
であって、尚且つ、
①=② ではない。
然るに、
(16)
On the other hand "the only men who eat nut steaks are vegetarian" means "all men who eat nut stakes are vagetarians", and becomes
(44)∀x(Vx→Mx&Ex).
As much as this hinges on the simple presence of "the"(E.J.Lemmon, Beginning Logic、2002年、第10版、P102).
他方、「ナッツステーキを食べるのはひとり菜食主義者のみである」(The only men who eat nut steaks are vegetarians)は「すべてのナッツステーキを食べる人は菜食主義者である」と同じ意味であり、つぎのように記号化される。
(44)∀x(Mx&Ex→Vx).
これほどのことが、ただ "the" が現われることによって決まってくるのである(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英、論理学初歩、1973年、130頁)。
従って、
(15)(16)により、
(17)
① Only men who eat nut steaks are vegetarians.
② The only men who eat nut steaks are vegetarians.
といふ「英語」は、それぞれ、「命題」としては、
① ∀x{Vx→(Mx&Ex)}=菜食主義者ならばナット・ステーキを食べる人である。
② ∀x{(Mx&Ex)→Vx}=ナット・ステーキを食べる人ならば菜食主義者である。
といふ「述語論理・日本語」に、「対応」する。
従って、
(17)により、
(18)
① Only men who eat nut steaks are vegetarians.
② The only men who eat nut steaks are vegetarians.
といふ「英語」は、
① ∀x{Vx→(Mx&Ex)}。
② ∀x{(Mx&Ex)→Vx}。
といふ「述語論理」に「翻訳」すると、「主語と述語」が、「逆」になる。
従って、
(18)により、
(19)
① Only men ならば、菜食主義者は、 全員がナット・ステーキを食べ、
② The only men ならば、菜食主義者以外は、全員がナット・ステーキを食べない。
といった具合に、
これほどのことが、ただ "the" が現われることによって決まってくるのである(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英、論理学初歩、1973年、130頁)。
との、ことである。
然るに、
(20)
① Only men who eat nut steaks are vegetarians=ナット・ステーキを食べる人だけが菜食主義者である。
② The only men who eat nut steaks are vegetarians=菜食主義者だけがナット・ステーキを食べる人である。
といふ「英語」の「理屈(論理)」が、英語が出来ない私には、よく分からない。