(01)
③ ハンニバルは人間である。 といふのであれば、
④ ハンニバルといふ人間がゐる。といふことになる。
(02)
④ ハンニバルといふ人間がゐる。といふのであれば、
③ ハンニバルは人間である。 といふことになる。
従って、
(01)(02)により、
(03)
③ ハンニバルは人間である。
④ ハンニバルといふ人間がゐる。
に於いて、
③=④である。
然るに、
(04)
たり(助動詞)タリ型〔格助詞「と」にラ変動詞「有り」の付いた「とあり」の転〕断定の意を表す。
なり(助動詞)ナリ型〔格助詞「に」にラ変動詞「有り」の付いた「にあり」の転〕断定の意を表す。
で‐あ・る[連語]《断定の助動詞「なり」の連用形「に」に接続助詞「て」、補助動詞「あり」の付いた「にてあり」の音変化》
(デジタル大辞泉の解説)
然るに、
(05)
Hannibal Poenus est.
Penus は「カルタゴ人」、est は、フランス語の est、英語の is にあたる語です。
この est(esse)は「・・・である」の他に、「・・・がいる」あるいは「・・・がある」を表す時にも用います。
(小倉博行、ラテン語のしくみ、2014年、37頁改)
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
① ハンニバルは人間たり(と有り)。
② ハンニバルは人間なり(に有り)。
③ ハンニバルは人間である(にて有り)。
④ ハンニバルといふ人間がゐる。
⑤ ハンニバル 人間 est.
に於いて、
①=②=③=④=⑤ である。
然るに、
(07)
存在記号(そんざいきごう、existential quantifier)とは、数理論理学(特に述語論理)において、少なくとも1つのメンバーが述語の特性や関係を満たすことを表す記号である。通常「∃」と表記され、存在量化子(そんざいりょうかし)、存在限量子(そんざいげんりょうし)、存在限定子(そんざいげんていし)などとも呼ばれる。
(ウィキペディア)
従って、
(07)により、
(08)
⑥ ∃x(ハンニバルx&人間x)=
⑥ 有るxは、ハンニバルであって、人間である。
といふ風に、「読むこと」が出来る。
然るに、
(09)
⑥ あるxは、ハンニバルであって、人間である。
といふことは、
④ ハンニバルといふ人間がゐる。
といふ、ことである。
従って、
(06)~(09)により
(10)
① ハンニバルは人間たり(と有り)。
② ハンニバルは人間なり(に有り)。
③ ハンニバルは人間である(にて有り)。
④ ハンニバルといふ人間がゐる。
⑤ ハンニバル 人間 est.
⑥ ∃x(ハンニバルx&人間x)
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
従って、
(10)により、
(11)
① ハンニバルは人間である。
といふ「日本語」は、
① ∃x(ハンニバルx&人間x)。
といふ「述語論理」に、「翻訳」される。
従って、
(11)により、
(12)
② 吾輩は猫である。
といふ「日本語」は、
② ∃x(吾輩x&猫x)。
といふ「述語論理」に、「翻訳」される。
然るに、
(13)
② ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
といふ「述語論理」は、
② あるxは、吾輩であって猫であって、あるyが、xの名前であるといふことはない。
といふ「意味」である。
従って、
(14)
② ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
といふ「述語論理」は、
② 吾輩は猫であり、吾輩には名前がない。
といふ、「意味」である。
然るに、
(15)
③ ∃x{タマx&∃y(名前yx)}
といふ「述語論理」は、
③ あるxは、タマであって、あるyは、xの名前である。
といふ、「意味」である。
従って、
(16)
③ ∃x{タマx&∃y(名前yx)}
といふ「述語論理」は、
③ タマには名前がある。
といふ「意味」である。
然るに、
(17)
1 (1) ∃x{吾輩x&猫x& ~∃y(名前yx)} A
2 (2) 吾輩a&猫a& ~∃y(名前ya) A
2 (3) 吾輩a 2&E
2 (4) 猫a 2&E
2 (5) ~∃y(名前ya) 2&E
6 (6) ∃x{タマx& ∃y(名前yx) A
7(7) タマa& ∃y(名前ya) A
7(8) タマa& 7&E
7(9) ∃y(名前ya) 7&E
2 7(ア) ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya) 59&I
26 (イ) ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya) 67アEE
2 (ウ)~∃x{タマx& ∃y(名前yx)} 6イRAA
2 (エ)∀x~{タマx& ∃y(名前yx)} ウ量化子の関係
2 (オ) ~{タマa& ∃y(名前ya)} エUE
2 (カ) ~タマa∨ ~∃y(名前ya) オ、ドモルガンの法則
2 (キ) ~∃y(名前ya)∨~タマa カ交換法則
2 (ク) ∃y(名前ya)→~タマa キ含意の定義
2 7(ケ) ~タマa 9クMPP
2 7(コ) 吾輩a&~タマa 3ケ&I
2 7(サ) 吾輩a&~タマa&猫a 4コ&I
2 7(シ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x) サEI
26 (ス) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x) 67シEE
1 6 (セ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x) 12スEE
然るに、
(18)
④ ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)
といふ「述語論理」は、
④ あるxは、吾輩であって、タマではなく、猫である。
従って、
(14)~(18)により、
(19)
「吾輩は猫であるが、名前は無い。然るに、タマには名前がある。故に、吾輩はタマではないが、猫である。」
といふ「推論」は「正しい」。
然るに、
(20)
第1に、固有名詞をつぎの符号のひとつとして定義する。
m,n,・・・・・
第2に、任意の名前をつぎの符号のひとつとして定義する。
a,b,c,・・・・・
第3に、個体変数をつぎの符号のひとつとして定義する。
x,y,z,・・・・・
第4に、述語文字をつぎの符号のひとつとして定義する。
F,G,H,・・・・・
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、176頁)
従って、
(19)(20)により、
(21)
「タマには、タマといふ名前が有る。」として、「E.J.レモン 著、論理学初歩」の「やり方」に従ふのであれば、
③ ∃x{タマx&∃y(名前yx)}
といふ「述語論理」は、
③ ∃y(名前ym)=
③ あるyはm(タマ)の名前である。
といふ風に、「書き換へ」る「必要」が有る。
然るに、
(22)
タマ=m
とした上で、(17)を「書き換へ」ると、次のやうになる。
(23)
1 (1)∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)} A
2 (2) 吾輩a&猫a&~∃y(名前ya) A
2 (3) 吾輩a 2&E
2 (4) 猫a 2&E
2 (5) ~∃y(名前ya) 2&E
2 (6) ∀y~(名前ya) 5量化子の関係
2 (7) ~(名前ba) 6UE
8 (8) ∃y(名前ym) A
9 (9) (名前bm) A
ア(ア) a=m A
9ア(イ) (名前ba) 9ア=E
2 9ア(ウ) ~(名前ba)&(名前ba) 7イ&I
2 9 (エ) ~(a=m) アウRAA
28 (オ) ~(a=m) 89EE
1 8 (カ) ~(a=m) 12オEE
128 (キ) 吾輩a&~(a=m) 3カ&I
128 (ク) 吾輩a&~(a=m)&猫a 3キ&I
128 (ケ)∃x{吾輩x&~(x=m)&猫x} クEI
1 8 (コ)∃x{吾輩x&~(x=m)&猫x} 12ケEE
然るに、
(22)(23)により、
(24)
∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}=あるxは、吾輩であって猫であって、あるyがxの名前であるといふことはない。
∃y(名前ym) =あるyはタマの名前である(タマにはタマといふ名前がある)。
∃x{吾輩x&~(x=m)&猫x} =あるxは、吾輩であって、 タマではないが猫である。
従って、
(20)~(24)により、
(25)
「吾輩は猫であるが、名前は無い。然るに、タマには名前がある。故に、吾輩はタマではないが、猫である。」
といふ「推論」は「正しい」。
従って、
(17)(19)(23)(25)により、
(26)
「吾輩とタマ」の両方を、「普通名詞」として扱ふ場合も、
「吾輩」を「普通名詞」として、「タマ」を「固有名詞」として扱ふ場合も、
「吾輩は猫であるが、名前は無い。然るに、タマには名前がある。故に、吾輩はタマではないが、猫である。」
といふ「論証」は、「述語論理」として「妥当(Valid)」である。
③ ハンニバルは人間である。 といふのであれば、
④ ハンニバルといふ人間がゐる。といふことになる。
(02)
④ ハンニバルといふ人間がゐる。といふのであれば、
③ ハンニバルは人間である。 といふことになる。
従って、
(01)(02)により、
(03)
③ ハンニバルは人間である。
④ ハンニバルといふ人間がゐる。
に於いて、
③=④である。
然るに、
(04)
たり(助動詞)タリ型〔格助詞「と」にラ変動詞「有り」の付いた「とあり」の転〕断定の意を表す。
なり(助動詞)ナリ型〔格助詞「に」にラ変動詞「有り」の付いた「にあり」の転〕断定の意を表す。
で‐あ・る[連語]《断定の助動詞「なり」の連用形「に」に接続助詞「て」、補助動詞「あり」の付いた「にてあり」の音変化》
(デジタル大辞泉の解説)
然るに、
(05)
Hannibal Poenus est.
Penus は「カルタゴ人」、est は、フランス語の est、英語の is にあたる語です。
この est(esse)は「・・・である」の他に、「・・・がいる」あるいは「・・・がある」を表す時にも用います。
(小倉博行、ラテン語のしくみ、2014年、37頁改)
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
① ハンニバルは人間たり(と有り)。
② ハンニバルは人間なり(に有り)。
③ ハンニバルは人間である(にて有り)。
④ ハンニバルといふ人間がゐる。
⑤ ハンニバル 人間 est.
に於いて、
①=②=③=④=⑤ である。
然るに、
(07)
存在記号(そんざいきごう、existential quantifier)とは、数理論理学(特に述語論理)において、少なくとも1つのメンバーが述語の特性や関係を満たすことを表す記号である。通常「∃」と表記され、存在量化子(そんざいりょうかし)、存在限量子(そんざいげんりょうし)、存在限定子(そんざいげんていし)などとも呼ばれる。
(ウィキペディア)
従って、
(07)により、
(08)
⑥ ∃x(ハンニバルx&人間x)=
⑥ 有るxは、ハンニバルであって、人間である。
といふ風に、「読むこと」が出来る。
然るに、
(09)
⑥ あるxは、ハンニバルであって、人間である。
といふことは、
④ ハンニバルといふ人間がゐる。
といふ、ことである。
従って、
(06)~(09)により
(10)
① ハンニバルは人間たり(と有り)。
② ハンニバルは人間なり(に有り)。
③ ハンニバルは人間である(にて有り)。
④ ハンニバルといふ人間がゐる。
⑤ ハンニバル 人間 est.
⑥ ∃x(ハンニバルx&人間x)
に於いて、
①=②=③=④=⑤=⑥ である。
従って、
(10)により、
(11)
① ハンニバルは人間である。
といふ「日本語」は、
① ∃x(ハンニバルx&人間x)。
といふ「述語論理」に、「翻訳」される。
従って、
(11)により、
(12)
② 吾輩は猫である。
といふ「日本語」は、
② ∃x(吾輩x&猫x)。
といふ「述語論理」に、「翻訳」される。
然るに、
(13)
② ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
といふ「述語論理」は、
② あるxは、吾輩であって猫であって、あるyが、xの名前であるといふことはない。
といふ「意味」である。
従って、
(14)
② ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
といふ「述語論理」は、
② 吾輩は猫であり、吾輩には名前がない。
といふ、「意味」である。
然るに、
(15)
③ ∃x{タマx&∃y(名前yx)}
といふ「述語論理」は、
③ あるxは、タマであって、あるyは、xの名前である。
といふ、「意味」である。
従って、
(16)
③ ∃x{タマx&∃y(名前yx)}
といふ「述語論理」は、
③ タマには名前がある。
といふ「意味」である。
然るに、
(17)
1 (1) ∃x{吾輩x&猫x& ~∃y(名前yx)} A
2 (2) 吾輩a&猫a& ~∃y(名前ya) A
2 (3) 吾輩a 2&E
2 (4) 猫a 2&E
2 (5) ~∃y(名前ya) 2&E
6 (6) ∃x{タマx& ∃y(名前yx) A
7(7) タマa& ∃y(名前ya) A
7(8) タマa& 7&E
7(9) ∃y(名前ya) 7&E
2 7(ア) ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya) 59&I
26 (イ) ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya) 67アEE
2 (ウ)~∃x{タマx& ∃y(名前yx)} 6イRAA
2 (エ)∀x~{タマx& ∃y(名前yx)} ウ量化子の関係
2 (オ) ~{タマa& ∃y(名前ya)} エUE
2 (カ) ~タマa∨ ~∃y(名前ya) オ、ドモルガンの法則
2 (キ) ~∃y(名前ya)∨~タマa カ交換法則
2 (ク) ∃y(名前ya)→~タマa キ含意の定義
2 7(ケ) ~タマa 9クMPP
2 7(コ) 吾輩a&~タマa 3ケ&I
2 7(サ) 吾輩a&~タマa&猫a 4コ&I
2 7(シ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x) サEI
26 (ス) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x) 67シEE
1 6 (セ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x) 12スEE
然るに、
(18)
④ ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)
といふ「述語論理」は、
④ あるxは、吾輩であって、タマではなく、猫である。
従って、
(14)~(18)により、
(19)
「吾輩は猫であるが、名前は無い。然るに、タマには名前がある。故に、吾輩はタマではないが、猫である。」
といふ「推論」は「正しい」。
然るに、
(20)
第1に、固有名詞をつぎの符号のひとつとして定義する。
m,n,・・・・・
第2に、任意の名前をつぎの符号のひとつとして定義する。
a,b,c,・・・・・
第3に、個体変数をつぎの符号のひとつとして定義する。
x,y,z,・・・・・
第4に、述語文字をつぎの符号のひとつとして定義する。
F,G,H,・・・・・
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、176頁)
従って、
(19)(20)により、
(21)
「タマには、タマといふ名前が有る。」として、「E.J.レモン 著、論理学初歩」の「やり方」に従ふのであれば、
③ ∃x{タマx&∃y(名前yx)}
といふ「述語論理」は、
③ ∃y(名前ym)=
③ あるyはm(タマ)の名前である。
といふ風に、「書き換へ」る「必要」が有る。
然るに、
(22)
タマ=m
とした上で、(17)を「書き換へ」ると、次のやうになる。
(23)
1 (1)∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)} A
2 (2) 吾輩a&猫a&~∃y(名前ya) A
2 (3) 吾輩a 2&E
2 (4) 猫a 2&E
2 (5) ~∃y(名前ya) 2&E
2 (6) ∀y~(名前ya) 5量化子の関係
2 (7) ~(名前ba) 6UE
8 (8) ∃y(名前ym) A
9 (9) (名前bm) A
ア(ア) a=m A
9ア(イ) (名前ba) 9ア=E
2 9ア(ウ) ~(名前ba)&(名前ba) 7イ&I
2 9 (エ) ~(a=m) アウRAA
28 (オ) ~(a=m) 89EE
1 8 (カ) ~(a=m) 12オEE
128 (キ) 吾輩a&~(a=m) 3カ&I
128 (ク) 吾輩a&~(a=m)&猫a 3キ&I
128 (ケ)∃x{吾輩x&~(x=m)&猫x} クEI
1 8 (コ)∃x{吾輩x&~(x=m)&猫x} 12ケEE
然るに、
(22)(23)により、
(24)
∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}=あるxは、吾輩であって猫であって、あるyがxの名前であるといふことはない。
∃y(名前ym) =あるyはタマの名前である(タマにはタマといふ名前がある)。
∃x{吾輩x&~(x=m)&猫x} =あるxは、吾輩であって、 タマではないが猫である。
従って、
(20)~(24)により、
(25)
「吾輩は猫であるが、名前は無い。然るに、タマには名前がある。故に、吾輩はタマではないが、猫である。」
といふ「推論」は「正しい」。
従って、
(17)(19)(23)(25)により、
(26)
「吾輩とタマ」の両方を、「普通名詞」として扱ふ場合も、
「吾輩」を「普通名詞」として、「タマ」を「固有名詞」として扱ふ場合も、
「吾輩は猫であるが、名前は無い。然るに、タマには名前がある。故に、吾輩はタマではないが、猫である。」
といふ「論証」は、「述語論理」として「妥当(Valid)」である。