日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(127)「象は鼻が長い。」の「述語論理」の解説。

2018-12-27 12:27:32 | 「は」と「が」
(01)
1    (1) ∃x(兎x&象x)                      A
1    (〃) ある兎は象である。                      A
 2   (2)    兎a&象a                       A(代表的選言項)
 2   (3)    兎a                          2&E
 2   (4)       象a                       2&E
  5  (5) ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  5  (〃) 兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。             A
  5  (6)    兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  5UE
 25  (7)       ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  36MPP
 25  (8)   ∃y(耳ya&長y) 7&E
   9 (9)          耳ba&長b                A(代表的選言項)
   9 (ア)          耳ba                   9&E
   9 (イ)              長b                9&E
 25  (ウ)                  ∀z(耳za→~鼻za)  7&E
 25  (エ)                     耳ba→~鼻ba   ウUE
 259 (オ)                         ~鼻ba   アエMPP
    カ(カ) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
    カ(〃) 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。               A
    カ(キ)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  カUE
 2  カ(ク)  ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  4キMPP
 2  カ(ケ)                  ∀z(~鼻za→~長z)  ク&E
 2  カ(コ)                     ~鼻ba→~長b   ケUE
 259カ(サ)                          ~長b   オコMPP
 259カ(シ)              長b&~長b            イサ&I
 259カ(ス)           ∃y(長y&~長y)           シEI
 25 カ(セ)           ∃y(長y&~長y)           89スEE
1 5 カ(ソ)           ∃y(長y&~長y)           12セEE
  5 カ(タ)~∃x(兎x&象x)                      1ソRAA
  5 カ(チ)∀x~(兎x&象x)                      タ量化子の関係
  5 カ(ツ)  ~(兎a&象a)                      チUE
  5 カ(テ)  ~兎a∨~象a                       ツ、ド・モルガンの法則
  5 カ(ト)  ~象a∨~兎a                       テ交換法則
  5 カ(ナ)   象a→~兎a                       ト含意の定義
  5 カ(ニ)∀x(象x→~兎x)                      ナUI
(02)
{a、b、c}が「変域(domain)」であるとき、
① ∃xFx={Fa∨Fb∨Fc}={FaかFbかFc}
② ∀xFx={Fa&Fb&Fc}={FaでFbでFc}
然るに、
(03)
① ∃xFx={FaFbFc}であるならば、{Fa}だけで、「真(本当)」であり、
② ∀xFx={FaFbFc}であるならば、{Fa}だけで、「偽(ウソ)」である。
従って、
(03)により、
(04)
1 (1)∃xFx              A
 2(2)  Fa              A
1 (3)  Fa              122EE
1 (4)∀xFx              3UI
  (5)∃xFx ならば、∀xFx である。 15CP
といふ「推論」は、「妥当(valid)」ではない。
然るに、
(05)
1 (1)∃xFx              A
 2(2)  Fa              A
1 (3)  Fa              122EE
1 (4)∃xFx              3EI
  (5)∃xFx ならば、∃xFx である。 15CP
といふ「同義語反復」は、「妥当(valid)」である。
同様に、
(06)
1 (1)∃xFx              A
 2(2)  Fa              A
 2(3)∃xFx              2EI
1 (4)∃xFx              123EE
  (5)∃xFx ならば、∃xFx である。 15CP
といふ「同義語反復」も、「妥当(valid)」である。
然るに、
(07)
1 (1)∃xFx A
 2(2)  Fa A
1 (3)  F 123EE
1 (4)∀xFx 3UI
UIの適用は正しい。なぜなら、1は「」を含まないからである。しかし、EEの適用は正しくない。なぜならば、問題になる結論、
ここでは、Fは、「a」をふくんでいるからである。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、147頁)
従って、
(02)~(07)により、
(08)
1 (1)∃xFx A
 2(2)  Fa A
1 (3)  Fa 123EE
までは、「妥当(valid)」であるが、
1 (4)∀xFx 3UI
が、加はった時点で、
1 (3)  Fa 123EE
は、「妥当(valid)」ではない。
といふ、ことになる。
従って、
(08)により、
(09)
 2(2)  Fa A
1 (3)  Fa 123EE
といふ「EE」自体は、「妥当(valid)」である。
従って、
(01)~(09)により、
(10)
 259カ(シ)              長b&~長b            イサ&I
 259カ(ス)           ∃y(長y&~長y)           シEI
 25 カ(セ)           ∃y(長y&~長y)           89スEE
1 5 カ(ソ)           ∃y(長y&~長y)           12セEE
といふ「4行」が、「妥当(valid)」である以上、
 259カ(シ)              長b&~長b            イサ&I
 25 カ(ス)              長b&~長b            89シEE
1 5 カ(セ)              長b&~長b            12スEE
といふ「3行」も、「妥当(valid)」である。
然るに、
(11)
いづれにせよ、
1 5 カ(ソ)           ∃y(長y&~長y)           12セEE
1 5 カ(〃)        あるyは、長くて長くない。           12セEE
といふことは、「矛盾」であり、
1 5 カ(セ)              長b&~長b            12スEE
1 5 カ(〃)       任意のbは、長くて長くない。           12スEE
といふことは、「矛盾」である。
従って、
(01)(11)により、
(12)
1 5 カ(ソ)
といふ「3つの仮定」、すなはち、
1    (1) ∃x(兎x&象x)                      A
  5  (5) ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
    カ(カ) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
といふ「3つの仮定」、すなはち、
1    (1) ある兎は象である。                      A
  5  (5) 兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。             A
    カ(カ) 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。               A
といふ「3つの仮定」の内の、「1つ」は、「否定」されなければ、ならない。
従って、
(12)により、
(13)
1    (1) ある兎は象である。                      A
  5  (5) 兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。             A
といふ「2つの仮定」を、「否定しない」のであれば、「背理法(RAA)」により、
1    (1) ある兎は象である。
といふ「仮定」、すなはち、
1    (1) ∃x(兎x&象x)                      A
といふ「仮定」は、「否定」される。
従って、
(13)により、
(14)
1    (1) ∃x(兎x&象x)                      A
1    (1)あるxは、兎であって、象である。                A  
といふ「命題」は、「偽(ウソ)」であり、                    1ソRAA
  5 カ(タ)~∃x(兎x&象x)                      1ソRAA
  5 カ(〃)あるxが、兎であって、象である。といふことはない。       1ソRAA
といふ「命題」が、「真(本当)」になる。
然るに、
(15)
  5 カ(タ)~∃x(兎x&象x)                      1ソRAA
  5 カ(〃)あるxが、兎であって、である。といふことはない。       1ソRAA
といふことは、
  5 カ(タ)~∃x(兎x&象x)                      1ソRAA
  5 カ(〃)あるxが、であって、兎である。といふことはない。       1ソRAA
といふことである。
然るに、
(16)
  5 カ(タ)~∃x(兎x&象x)                      1ソRAA
  5 カ(〃)あるxが、象であって、兎である。といふことはない。       1ソRAA
といふことは、
  5 カ(ニ)∀x(象x→~兎x)                      ナUI
  5 カ(〃)すべてのxについて、xが象ならば、xは兎ではない。       ナUI
  5 カ(〃)象は兎ではない。                        ナUI
といふことに、他ならない。
従って、
(01)~(16)により、
(17)
  5  (5) ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  5  (〃)すべてのxについて{xが兎ならば、あるyはxの耳であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの耳であるならば、zはxの鼻ではない}。 A
    カ(カ) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
    カ (〃)すべてのxについて{xが象ならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。 A
といふ風に、「仮定」すると、
  5 カ(ニ)∀x(象x→~兎x)                      ナUI
  5 カ(〃)すべてのxについて、xが象ならば、xは兎ではない。       ナUI
  5 カ(〃)象は兎ではない。                        ナUI
といふ「結論」を、得ることになる。
然るに、
(18)
   9 (イ)              長b                9&E

 259 (オ)                         ~鼻ba   アエMPP

 2  カ(ケ)                  ∀z(~鼻za→~長z)  ク&E
 2  カ(コ)                     ~鼻ba→~長b   ケUE
 259カ(サ)                          ~長b   オコMPP
 259カ(シ)              長b&~長b            イサ&I
であるため、
 2  カ(ケ)                  ∀z(~鼻za→~長z)  ク&E
 2  カ(コ)                     ~鼻ba→~長b   ケUE
を「削除」した場合は、
  5 カ(ニ)∀x(象x→~兎x)                      ナUI
  5 カ(ニ)すべてのxについて、xが象ならば、xは兎ではない。       ナUI
  5 カ(〃)象は兎ではない。                        ナUI
といふ「結論」を、得ることが、出来ない
然るに、
(19)
1    (1) ∃x(兎x&象x)                      A
1    (〃) ある兎は象である。                      A
 2   (2)    兎a&象a                       A(代表的選言項)
 2   (3)    兎a                          2&E
 2   (4)       象a                       2&E
  5  (5) ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  5  (〃) 兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。             A
  5  (6)    兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  5UE
 25  (7)        ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 36MPP
 25  (8)   ∃y(耳ya&長y) 7&E
   9 (9)          耳ba&長b                A(代表的選言項)
   9 (ア)          耳ba                   9&E
   9 (イ)              長b                9&E
 25  (ウ)                  ∀z(耳za→~鼻za)  7&E
 25  (エ)                     耳ba→~鼻ba   ウUE
 259 (オ)                         ~鼻ba   アエMPP
    カ(カ) ∀x{象x→           ∀z(~鼻zx→~長z)} A
    カ(〃) 象は    、鼻以外は長くない。               A
    カ(キ)    象a→           ∀z(~鼻za→~長z)  カUE
 2  カ(ク)                  ∀z(~鼻za→~長z)  4キMPP

 2  カ(コ)                     ~鼻ba→~長b   ケUE
 259カ(サ)                          ~長b   オコMPP
 259カ(シ)              長b&~長b            イサ&I
 259カ(ス)           ∃y(長y&~長y)           シEI
 25 カ(セ)           ∃y(長y&~長y)           89スEE
1 5 カ(ソ)           ∃y(長y&~長y)           12セEE
  5 カ(タ)~∃x(兎x&象x)                      1ソRAA
  5 カ(チ)∀x~(兎x&象x)                      タ量化子の関係
  5 カ(ツ)  ~(兎a&象a)                      チUE
  5 カ(テ)  ~兎a∨~象a                       ツ、ド・モルガンの法則
  5 カ(ト)  ~象a∨~兎a                       テ交換法則
  5 カ(ナ)   象a→~兎a                       ト含意の定義
  5 カ(ニ)∀x(象x→~兎x)                      ナUI
従って、
(19)により、
(20)
    カ(カ) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
といふ「 論理式 」から、    ∃y(鼻yx&長y)
といふ「命題関数」を「削除」したとしても、
  5 カ(ニ)∀x(象x→~兎x)                      ナUI
  5 カ(〃)すべてのxについて、xが象ならば、xは兎ではない。       ナUI
  5 カ(〃)象は兎ではない。                        ナUI
といふ「結論」自体は、「変はらない」。
従って、
(01)~(20)により、
(21)
(Ⅰ)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。然るに、
(Ⅱ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。故に、
(Ⅲ)∀x(象x→~兎x)。
といふ「推論(三段論法)」と、
(Ⅰ)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。然るに、
(Ⅱ)∀x{象x→∀z(~鼻zx→~長z)}。故に、
(Ⅲ)∀x(象x→~兎x)。
といふ「推論(三段論法)」は、両方とも、「妥当(valid)」である。
従って、
(21)により、
(22)
(Ⅰ)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。然るに、
(Ⅱ)象は鼻は長く、鼻以外は長くない。故に、
(Ⅲ)象は兎ではない。
といふ「推論(三段論法)」と、
(Ⅰ)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。然るに、
(Ⅱ)象は、鼻以外は長くない。故に、
(Ⅲ)象は兎ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、両方とも、「妥当(valid)」である。
然るに、
(23)
「日本語」で、
① 象は鼻長い。
といふのであれば、
① 象の「鼻以外」については、「何も述べてゐない」
従って、
(23)により、
(24)
① 象は鼻長い。
といふのであれば、
① 象の「鼻」だけでなく
① 象の「耳」、「長い」のかも知れない
然るに、
(25)
② 象は鼻長い。
といふのであれば、
② 象は「鼻以外」は長くない
といふことになる。
然るに、
(26)
② 象は「鼻以外」は長くない。
といふのであれば、
② 象は鼻は長く「鼻以外」は長くない
といふ風に、受け取るのが、「普通」である。
従って、
(25)(26)により、
(27)
② 象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、
② 象は「鼻以外」は長くない
② 象は鼻は長く「鼻以外」は長くない
といふ「意味」である。
従って、
(21)(22)(27)により、
(28)
② 象は鼻長い。
といふ「日本語」は、
② 象は「鼻以外」は長くない。
② 象は鼻は長く「鼻以外」は長くない
といふ「意味」であって、
② 象は「鼻以外」は長くない
② 象は鼻は長く「鼻以外」は長くない
といふ「日本語」は、
② ∀x{象x→∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
従って、
(22)(28)により、
(29)
(Ⅰ)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。然るに、
(Ⅱ)象は鼻長い。故に、
(Ⅲ)象は兎ではない。
といふ「推論(三段論法)」が「妥当(valid)」である。
と認めるのであれば、その一方で、
(Ⅱ)象は鼻が長い。
といふ「日本語」が、
(Ⅱ)象は、    鼻以外は長くない=∀x{象x→           ∀z(~鼻zx→~長z)}。
(Ⅱ)象は、鼻は長く鼻以外は長くない=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「意味」ではないと、することは、出来ない

(126)「返り点」と「括弧」。

2018-12-25 19:53:51 | 訓読

(01)
⑥ 漢文を読む。
といふ風に、「訓読」できる「漢文」は、言ふまでもなく、実際には、
⑥ 読漢文漢文を読む。
だけである。
然るに、
(02)
① 漢文読=カンブンドク。
② 漢読文=カンドクブン
③ 文漢読=ブンカンドク。
④ 文読漢=ブンドクカン
⑤ 読文漢=ドクブンカン
⑥ 読漢文=ドクカンブン
といふ「それ」を、
① 123。
② 132。
③ 213。
④ 231。
⑤ 321。
⑥ 312。
といふ「順番」で読むならば、
① 漢文を読む。
② 漢文を読む。
③ 漢文を読む。
④ 漢文を読む。
⑤ 漢文を読む。
⑥ 漢文を読む。
といふ風に、読むことになる。
然るに、
(03)
① 漢文読=漢文を読む。
② 漢読文=漢文を読む。
③ 文漢読=漢文を読む。
④ 文読漢=漢文を読む。
⑤ 読文漢=漢文を読む。
⑥ 読漢文=漢文を読む。
に対して、敢へて「返り点」を付けると、(04)のやうになる。
(04)

然るに、
(05)
① 漢文読。
といふ「それ」を、
① 123。
といふ「順番」で読むのであれば、「返り点」は、初めから、「不要」である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 一 二 三
iiiiiii
③ レ
④ 二 三 一
⑤ レ レ
⑥ 二   一
に於いて、固より、
① 一 二 三
といふ「それ」は、「返り点」ではない
然るに、
(07)
「返り点」といふのは、
「下から上へ、返る点」であるため、
からへ、戻る点」は、「返り点」ではない
然るに、
(08)
④ 二 三 一
であれば、
  二 二
iiiiiiiiiii
    三
iiiiii
  一
  であるため、
「下から上へ、返り、
    から下、戻ってゐる。」
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
iiiiiii
③ レ
⑤ レ レ
⑥ 二   一
ではなく、
① 一 二 三
④ 二 三 一
従って、
といふ「それ」は、固より、「返り点」ではない
従って、
(05)(09)により、
(10)
例へば、
① 1<2<3。
④ 2<3>1。
といふ「順番」に対しては、「原理的」に、「返り点」は付かないのであって、まず第一に、このことを、確認したい。
然るに、
(11)
① 不[可〔不(告)〕]。
② 我聞〔鳥啼(樹)〕。
③ 鳥獣不[可〔与(之)同(群)〕]。
④ 不[足〔為(外人)道〕]也。
⑤ 耕者不[可〔以不(益急)〕]矣。
⑥ 無{友[不〔如(己)〕者]}。
⑦ 当世士大夫無{不[知〔有(劉老人)〕]者}。
⑧ 聖人所〔不(知)〕
⑨ 曽子之母非〈不{知[子不〔殺(人)〕]}〉也。
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(子)憂(寒)〕乱(心)]有(銭)以済(医)}。
⑪ 欲〔取(之)〕。
⑫ 欲〔取‐捨(之)〕。
に於いて、
 #( )⇒( )#
 #〔 〕⇒〔 〕#
 #[ ]⇒[ ]#
 #{ }⇒{ }#
 #〈 〉⇒〈 〉#
といふ「移動」を行ふと、
① [〔(告)不〕可]不。
② 我〔鳥(樹)啼〕聞。
③ 鳥獣[〔(之)与(群)同〕可]不。
④ [〔(外人)為道〕足]不也。
⑤ 耕者[〔以(益急)不〕可]不矣。
⑥ {[〔(己)如〕不者]友}無。
⑦ 当世士大夫{[〔(劉老人)有〕知]不者}無。
⑧ 聖人〔(知)不〕所未{必[〔愚人(知)所〕為]不}不也。
⑨ 曽子之母〈{[子〔(人)殺〕不]知}不〉非也。
⑩ {籍誠[〔(子)畜(寒)憂〕以(心)乱]不(銭)有以(医)済}使。
⑪ 〔(之)取〕欲。
⑫ 〔(之)取‐捨〕欲。
といふ「語順」、すなはち、
① 告げ不る可から不。
② 我、鳥の樹に啼くを聞く。
③ 鳥獣は、之と与に群を同じくす可から不。
④ 外人の為に、道ふに足ら不る也。
⑤ 耕す者、以て益々急なら不る可から不矣。
⑥ 己に如か不る者を、友とする無かれ。
⑦ 当世士大夫、劉老人有るを知不る者無し。
⑧ 聖人の知ら不る所、未だ必ずしも愚人の知る所と為さ不んばあら不る也。
⑨ 曽子の母子、子の人を殺さ不るを知ら不るに非ざる也。
⑩ 籍をして誠に子を畜ひ、寒さを憂ふるを以て心を乱さ不、銭有りて以て医を済さ使む。
⑪ 之を取らんと欲す。
⑫ 之を取‐捨せんと欲す。
といふ「語順」になる。
然るに、
(12)
例へば、
⑩ 人{籍誠丙[下〔二(一)中(上)〕乙(甲)]二(一)以地(天)}。
に於いて、
⑩ 二( )⇒( )二
⑩ 中( )⇒( )中
⑩ 下〔 〕⇒〔 〕下
⑩ 乙( )⇒( )乙
⑩ 丙[ ]⇒[ ]丙
⑩ 二( )⇒( )二
⑩ 地( )⇒( )天
⑩ 人{ }⇒{ }人
といふ「移動」を行ふと、
⑩ {籍誠[〔(一)二(上)中〕下(甲)乙丙](一)二以(天)地}人。
といふ「語順」になる。
然るに、
(13)
⑩ 人{籍誠丙[下〔二(一)中(上)〕乙(甲)]二(一)以地(天)}。
に於いて、
⑩ 人 = 使
⑩ # = 籍
⑩ # = 誠
⑩ 丙 = 不
⑩ 下 = 以
⑩ 二 = 畜
⑩ 一 = 子
⑩ 中 = 憂
⑩ 上 = 寒
⑩ 乙 = 乱
⑩ 乙 = 心
⑩ 二 = 有
⑩ 一 = 銭
⑩ # = 以
⑩ 地 = 済
⑩ 天 = 医
といふ「代入(Replacement)」を行ふと、
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(子)憂(寒)〕乱(心)]有(銭)以済(医)}。
といふ「語順」になる。
従って、
(12)(13)により、
(14)
⑩ 人{籍誠丙[下〔二(一)中(上)〕乙(甲)]二(一)以地(天)}=
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(子)憂(寒)〕乱(心)]有(銭)以済(医)}。
に於いて、
⑩ 二( )⇒( )二
⑩ 中( )⇒( )中
⑩ 下〔 〕⇒〔 〕下
⑩ 乙( )⇒( )乙
⑩ 丙[ ]⇒[ ]丙
⑩ 二( )⇒( )二
⑩ 地( )⇒( )天
⑩ 人{ }⇒{ }人
といふ「移動」を行ふと、すなはち、
⑩ 畜( )⇒( )畜
⑩ 憂( )⇒( )憂
⑩ 以〔 〕⇒〔 〕以
⑩ 乱( )⇒( )乱
⑩ 不[ ]⇒[ ]不
⑩ 有( )⇒( )有
⑩ 済( )⇒( )済
⑩ 使{ }⇒{ }使
といふ「移動」を行ふと、
⑩ {籍誠[〔(一)二(上)中〕下(甲)乙丙](一)二以(天)地}人=
⑩ {籍誠[〔(子)畜(寒)憂〕以(心)乱]不(銭)有以(医)済}使=
⑩ 籍をして誠に子を畜ひ、寒さを憂ふるを以て心を乱さ不、銭有りて以て医を済さ使む。
といふ「語順」になる。
従って、
(14)により、
(15)
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(子)憂(寒)〕乱(心)]有(銭)以済(医)}。
といふ「漢文」に付く「返り点」は、
⑩ 人   丙 下 二 一 中 上  乙 甲  二 一  地 天
でなければ、ならない。
然るに、
(16)
① 四[三〔二(一)〕]。
②  三〔 二(一)〕。
③   丁[丙〔二(一)乙(甲)〕]。
④ 下[中〔二( 一)上〕] 。
⑤   四[三〔 二( 一)〕] 。
⑥ 下{中[三〔二(一)〕上]}。
⑦      下{四[三〔二(  一)〕]上}。
⑧   三〔二(一)〕五{ 四[三〔  二(一)〕]} 。
⑨     六〈五{四[ 三〔二(一)〕]}〉 。
⑩ 人{  丙[下〔二(一)中(上)〕乙(甲)]二(一) 地(天)}。
⑪ 三〔二(一)〕。
⑫ 三〔二‐二(一)〕。
に於いて、
 #( )⇒( )#
 #〔 〕⇒〔 〕#
 #[ ]⇒[ ]#
 #{ }⇒{ }#
 #〈 〉⇒〈 〉#
といふ「移動」を行ふと、
① [〔(一)二〕三]四。
②  〔 (一)二〕三。
③   [〔(一)二(甲)乙〕丙]丁。
④ [〔( 一)二上〕中]下 。
⑤   [〔 ( 一)二〕三]四 。
⑥ {[〔(一)二〕三上]中}下。
⑦      {[〔(  一)二〕三]四上}下。
⑧   〔(一)二〕三{ [〔  (一)二〕三]四}五 。
⑨     〈{[ 〔(一)二〕三]四}五〉六 。
⑩ {  [〔(一)二(上)中〕下(甲)乙丙](一)二 (天)地}人。
⑪ 〔(一)二〕三。
⑫ 〔(一)二‐二〕三。
といふ「語順」になる。
従って、
(11)~(16)により、
(17)
① 不[可〔不(告)〕]。
② 我聞〔鳥啼(樹)〕。
③ 鳥獣不[可〔与(之)同(群)〕]。
④ 不[足〔為(外人)道〕]也。
⑤ 耕者不[可〔以不(益急)〕]矣。
⑥ 無{友[不〔如(己)〕者]}。
⑦ 当世士大夫無{不[知〔有(劉老人)〕]者}。
⑧ 聖人所〔不(知)〕未{必不[為〔愚人所(知)〕]}也。
⑨ 曽子之母非〈不{知[子不〔殺(人)〕]}〉也。
⑩ 使{籍誠不[以〔畜(子)憂(寒)〕乱(心)]有(銭)以済(医)}。
⑪ 欲〔取(之)〕。
⑫ 欲〔取‐捨(之)〕。
といふ「漢文」に付く「返り点」は、
① 四 三 二 一   
②  三  二 一 
③   丁 丙 二 一 乙 甲  
④ 下 中 二  一 上
⑤   四 三  二  一  
⑥ 下 中 三 二 一  上
⑦      下 四 三 二   一   上 
⑧   三 二 一  五  四 三   二 一   
⑨     六 五 四  三 二 一   
⑩ 人   丙 下 二 一 中 上  乙 甲  二 一  地 天  
⑪ 三 二 一
⑫ 三 二‐ 一
でなければ、ならない。
然るに、
(18)
③   丁 丙 二 一 乙 甲 
に関しては、
③   # 下 二 一 中 上 
と、「同じこと」である。
従って、
(19)
① 四 三 二 一   
②  三  二 一 
③   丁 丙 二 一 乙 甲  
④ 下 中 二  一 上
⑤   四 三  二  一  
⑥ 下 中 三 二 一  上
⑦      下 四 三 二   一   上 
⑧   三 二 一  五  四 三   二 一   
⑨     六 五 四  三 二 一   
⑩ 人   丙 下 二 一 中 上  乙 甲  二 一  地 天  
⑪ 三 二 一
⑫ 三 二‐ 一
といふ「返り点」の「ルール」は、(20)のやうになる。
すなはち、
(20)
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
であるとして、
(Ⅰ)を挟んで「返る」場合は、
(Ⅱ)を用ひる。
(Ⅱ)を挟んで「返る」場合は、
(Ⅲ)を用ひる。
(Ⅲ)を挟んで「返る」場合は、
(Ⅳ)を用ひる。ものの、
③   # 下 二 一 中 上 
のやうに、
(Ⅱ)上 中 下
といふ「三組」では、足りない場合は、已むを得ず、
③   丁 丙 二 一 乙 甲 
のやうに、
(Ⅰ)を挟んで「返る」場合であっても、
(Ⅱ)ではなく、
(Ⅲ)を用ひる。
といふのが、「それ」である。
然るに、
(21)
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
であるとして、
(Ⅰ)を挟んで「返る」場合は、
(Ⅱ)を用ひ、
(Ⅱ)を挟んで「返る」場合は、
(Ⅲ)を用ひ、
(Ⅲ)を挟んで「返る」場合は、
(Ⅳ)を用ひる。
といふ「ルール」は、「極めて、簡単」である。
然るに、
(22)
学校で習ふ所の、「実際の、返り点」は、「レ点」が有るため、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
ではなく、
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
(Ⅴ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
である。
然るに、
(23)
大学生に返り点を打たせると、レ点の原則違反から生じる誤りが大半をしめます(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、60頁)。
従って、
(22)(23)により、
(24)
(Ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(Ⅱ)上 中 下
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(Ⅳ)天 地 人
に対して、「本来は不要」である、
(Ⅴ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
が加はると、「返り点」は、「一段と、難しくなる」。
従って、
(25)

といふ「(レ点を用ひない)返り点」よりも、

といふ「(レ点を用ひる)返り点」の方が、「一段と、難しい」。
従って、
(26)
全くの「初学者」は、
① 不可不告。
② 我聞鳥啼樹。
③ 鳥獣不可与之同群。
④ 不足為外人道也。
⑤ 耕者不可以不益急矣。
⑥ 無友不如己者。
⑦ 当世士大夫無不知有劉老人者。
⑧ 聖人所不知未必不為愚人所知也。
⑨ 曽子之母非不知子不殺人也。
⑩ 使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
⑪ 欲取之。
⑫ 欲取捨之。
に対して、いきなり、
① レ レ レ
② 二 一レ
③ レ 二 レ 一レ
④ レ 下 二 一 上
⑤ レ 三 二 一
⑥ レ 二 レ レ 一
⑦ 下 レ レ 二 一 上
⑧ レ レ 二 一レ 二 一レ
⑨ レ レ 二 一レ レ
⑩ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
⑪ レ レ
⑫ レ 二‐ 一
といふ「(レ点を用ひる)返り点」を付けようとするのではなく、
① 不可不告。
② 我聞鳥啼樹。
③ 鳥獣不可与之同群。
④ 不足為外人道也。
⑤ 耕者不可以不益急矣。
⑥ 無友不如己者。
⑦ 当世士大夫無不知有劉老人者。
⑧ 聖人所不知未必不為愚人所知也。
⑨ 曽子之母非不知子不殺人也。
⑩ 使籍誠不以畜子憂寒乱心有財以済薬。
⑪ 欲取之。
⑫ 欲取捨之。
に対して、取り敢へず、
① 四 三 二 一
② 三 二 一
③ 丁 丙 二 一 乙 甲
④ 下 中 二 一 上
⑤ 四 三 二 一
⑥ 下 三 二 一 上
⑦ 下 四 三 二 一 上
⑧ 三 二 一 五 四 三 二 一
⑨ 六 五 四 三 二 一
⑩ 人 丙 下 二 一 中 上 乙 甲 二 一 地 天
⑪ 三 二 一
⑫ 三 二- 一
といふ「(レ点を用ひない)返り点」を、「確実に、付けれるように、する」べきである。
(27)
① 四 三 二 一
② 三 二 一
③ 丁 丙 二 一 乙 甲
④ 下 中 二 一 上
⑤ 四 三 二 一
⑥ 下 三 二 一 上
⑦ 下 四 三 二 一 上
⑧ 三 二 一、五 四 三 二 一
⑨ 六 五 四 三 二 一
⑩ 人 丙 下 二 一 中 上 乙 甲 二 一 地 天
⑪ 三 二 一
⑫ 三 二- 一
といふ「(レ点を用ひない)返り点」を、「確実に、付けれるようになった」時点で、
1 連続した二字の上下を転倒させる場合は、必ずレ点を用い、他の返り点を用いてはならない。
2 連続した二字の上下を転倒させる以外の場合は、レ点を用いてはならない。
(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、60頁)
といふ「分かりにくい、ルール」に基づいて、
① 四 三 二 一
② 三 二 一
③ 丁 丙 二 一 乙 甲
④ 下 中 二 一 上
⑤ 四 三 二 一
⑥ 下 三 二 一 上
⑦ 下 四 三 二 一 上
⑧ 三 二 一、五 四 三 二 一
⑨ 六 五 四 三 二 一
⑩ 人 丙 下 二 一 中 上 乙 甲 二 一 地 天
⑪ 三 二 一
⑫ 三 二- 一
といふ「(レ点を用ひない)返り点」を、
① レ レ レ
② 二 一レ
③ レ 二 レ 一レ
④ レ 下 二 一 上
⑤ レ 三 二 一
⑥ レ 二 レ レ 一
⑦ 下 レ レ 二 一 上
⑧ レ レ 二 一レ 二 一レ
⑨ レ レ 二 一レ レ
⑩ 乙 下 二 レ 一レ 上レ レ 甲レ
⑪ レ レ
⑫ レ 二‐ 一
といふ「(レ点を用ひる)返り点」に、「書き直せる」ように、すべきである。

(125)「一昨日の記事(124)」の補足。

2018-12-22 20:09:49 | 「は」と「が」
―「一昨日の記事(124)」を補足します。―
(46)
賓語(目的語)が疑問代名詞の場合、上古漢語では倒置して、動詞の前に置く(太田辰夫、中国語通史考、1988年、28頁改)。
従って、
(46)により、
(47)
例へば、
加衣(誰か衣を加ふる)。
加(誰をか加ふる)。
といふ「漢文」に於いて、
は、「主語」であって、
は、「目的語」である。
従って、
(48)
その意味では、
」が「主語」であるか「目的語であるか区別できないではないか(太田辰夫、中国語通史考、1988年、28頁改)。
といふ、ことになる。
然るに、
(49)
倒置(とうち)とは、言語において通常の語順を変更させることである。表現上の効果を狙ってなされる修辞技法の1つで、強調的修辞技法の一つである(ウィキペディア)。
従って、
(48)(49)により、
(50)
」が「倒置(前置)」されるのは、「強調的修辞技法の一つである。」といふことが、「了解」されてゐる限りは、
」が「主語」であるか「目的語であるか区別できないではないか。 といふことには、ならない。
従って、
(50)により、
(51)
例へば、
誉(誰をか毀り、誰をか誉めん:論語、衛霊公)。
の場合も、「誰」が「倒置(前置)」されるのは、「目的語としての、を、強調したいがためである。」といふことが、「了解」されてゐる限りは、
③ 誰毀誰誉(誰が毀り、誰が誉めよう)。
といふ「意味」には、ならない。
然るに、
(52)
学而遺(小を学んで、大を忘る:韓愈、師説)。
の場合も、
④ 学而遺(小を学んで、大を忘る)。
の、「倒置(前置)」である。
従って、
(51)(52)により、
(53)
学而遺(小を学んで、大を忘る:韓愈、師説)。
の場合も、「小と大」が「倒置(前置)」されるのは、「目的語としての、小・大を、強調したいがためである。」といふことが、「了解」されてゐる限りは、
④ 小学而大遺(小は学んで、大は忘れる)。
といふ「意味」には、ならない。
然るに、
(54)
もし音を発音するときの物理的・身体的な口腔の膨張によって「音=大きい」とイメージがつくられているのだとしたら、面白いですね。この仮説が正しいとすると、なぜ英語話者や中国語話者も音に対して「大きい」というイメージを持っているか説明がつきます(川原繁人、音とことばの不思議な世界、2015年、13頁)。
然るに、
(55)
を- 格助詞「を」強調し、動作・作用の対象を強く示す意を表す(旺文社、全訳学習古語辞典、2006年、934頁)。
従って、
(51)~(54)等により、
(53)
① 誰音)好きか。
④ 大を音)遺る。
に於いて、
① は、「音による強調形」であって、
④ も、「音による強調形」である。

(124)「誰が犯人か。」の「が」と「WH移動(強調形)」について。

2018-12-20 17:31:46 | 「は」と「が」
―「昨日の記事(123)」の続きを書きます。―
(25)
① A犯人である。
② A以外は犯人ではない
犯人はAである。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことからすれば、
① 誰が犯人か。
という「疑問文」は、
① A犯人である。
② A以外は犯人ではない
犯人はAである。
といふ「答へ」を、「期待」してゐる。
然るに、
(26)
① A犯人である。
といふ「答へ」を、「期待」してゐるのであれば、
① 誰犯人であるか。
ではなく、
④ 誰犯人であるか。
といふ風に、「質問」することは、「不自然」である。
従って、
(27)
① 誰犯人か。
に対して、
④ 誰犯人か。
といふ「日本語」は、存在しない
然るに、
(28)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをで承けた。それゆえこの形は、
 大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(25)(28)により、
(29)
① どちら大野さんですか。
② 私大野です。
③ 大野私です。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(27)(29)により、
(30)
(未知)が犯人か。
① どちら(未知)大野さんですか。
といふことにだけ、「注目」すると、
①     の上には、
未知 が有る。
といふ「誤解」を、生むことになる。
然るに、
(31)
(ⅰ)
① AB。
② A以外はBでない
BはAである。
に於いて、
①=②=③ である。
(ⅱ)
① A is B.
といふ「英語」に於いて、
① A を「強く発音」すると、
① AB。
② A以外はBでない
BはAである。
といふ「意味」になる。
(ⅲ)
④ Aは(清音)
に対する、
① A音)
は、「強調形」である。
cf.
もし音を発音するときの物理的・身体的な口腔の膨張によって「音=大きい」とイメージがつくられているのだとしたら、面白いですね。この仮説が正しいとすると、なぜ英語話者や中国語話者も音に対して「大きい」というイメージを持っているか説明がつきます(川原繁人、音とことばの不思議な世界、2015年、13頁)。
従って、
(31)により、
(32)
④ 誰は(清音)好きか。
① 誰音)好きか。
に於いて、
④ 誰は(清音)
に対する、
① 誰音)
は、「強調形」であるが、固より、
① 誰好きか。
に対する、
④ 誰好きか。
といふ「日本語」は、存在しない
然るに、
(33)
前置による強調
動詞についての目的語は、その動詞の後に置かれるのが、漢語における基本構造としての単語の配列のしかたである。また、漢語における介詞は、ほとんど、動詞から発達したものであって、その目的語も、その介詞の後に置かれるのが、通則であるということができる。しかし、古代漢語においては、それらの目的語疑問詞である場合には、いずれも、その動詞・介詞の前におかれている。このように、漢語としての通常の語順を変えて、目的語の疑問詞前置することは、疑問文において、その疑問の中心になっている疑問詞を、特に強調したものにちがいない(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、334・5頁)。
従って、
(33)により、
(34)
「漢文」の場合は、例へば、
④ 好彼(彼を好む)。
に対する、
好(誰をか好む)。
といふ、
④「目的語」の「前置(倒置)形」は、「目的語」を、「強調」する。
従って、
(32)(34)により、
(35)
① 誰音)好きか。
好(誰をか好む)。
といふ「日本語」と「漢文」に於いて、
① 誰音)
① 誰(前置形)
は、両方とも、「強調形」である。
然るに、
(36)
④ I like her.
に対して、
Whom do you like?
である。
然るに、
(37)
④ I like her.
といふ「語順」からすれば、
Whom do you like?
ではなく、
① Do you like Whom
といふ「語順」でなければ、ならない。
従って、
(33)~(37)により、
(38)
好(誰をか好む)。 といふ「漢文の語順」に関しては、
漢語としての通常の語順を変えて、目的語の疑問詞を前置することは、疑問文において、その疑問の中心になっている疑問詞を、特に強調したものにちがいなく、
Whom do you like?  といふ「英語の語順」に関しては、
英語としての通常の語順を変えて、目的語の疑問詞を前置することは、疑問文において、その疑問の中心になっている疑問詞を、特に強調したものにちがいない。
然るに、
(39)
『孟子』の原文と趙岐の注を比較すると上古の語順後漢時代に、すでに変化して現代語式なっていたことがわかる。すなわち『孟子』では「敬」「先」と賓語の誰が動詞の前に来ている(太田辰夫、中国語通史考、1988年、28頁)。
従って、
(38)(39)により、
(40)
好(誰をか好む)。 といふ「漢文の語順」は、後漢時代に、
① 好(誰を好む)。  といふ「語順」に、戻って(変はって)しまったものの、
Whom do you like?  といふ「英語の語順」は、
① Do you like Whom?  といふ「語順」に、戻って(変はって)はしまはずに、
Whom do you like?  といふ「語順」のままである。といふことになる。
然るに、
(41)
英語(や多くのヨーロッパ言語)のWH要素文頭移動する。日本語(中国語、韓国語など)ではWH要素移動しない(日本語の疑問文について - 神戸松蔭女子学院大学Adobe PDF)。
従って、
(40)(41)により、
(42)
敬(誰をか敬す)。
先(誰をか先にす)。
のやうな、「後漢以前の漢文」をも、「中国語(の一種)」である。とするならば、日本語(中国語、韓国語など)ではWH要素移動しない
といふことには、ならない。
然るに、
(43)
グーグル翻訳によると、
① 誰先生ですか。
① 누 선생님 이세요.
① nuga seonsaengnim iseyo.
然るに、
(44)
韓国語の助詞「~」とは?【이・】使い方を教えて! - ハングルマスター
従って、
(43)(44)により、
(45)
韓国語の場合も、日本語と同様に、
① 誰(
① 誰(ga
なのかも、知れない?

(123)「誰が犯人か。Aが犯人だ。犯人はAだ。」の「が」について。

2018-12-19 19:23:31 | 「は」と「が」
(01)
(a)
1     (1)   P∨ Q   A
 2    (2)  ~P&~Q   A
  3   (3)   P      A
 2    (4)  ~P      2&E
 23   (5)   P&~P   34&I
  3   (6)~(~P&~Q)  25RAA
   7  (7)      Q   A
 2    (8)     ~Q   2&E
 2 7  (9)   Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(~P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(~P&~Q)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  ~P      A
     エ(エ)     ~Q   A
    ウエ(オ)  ~P&~Q   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(~P&~Q)&
           ~P&~Q   イオ&I
1   ウ (キ)    ~~Q   エカRAA
1   ウ (ク)      Q   キDN
1     (ケ)  ~P→ Q   ウクCP
(b)
1 (1)~P→ Q A
 2(2)~P&~Q A
 2(3)~P    2&E
12(4)    Q 13MPP
 2(5)   ~Q 2&E
12(6) Q&~Q 45&I
1 (7)  ~~Q 57RAA
1 (8)    Q 7DN
1 (9) P∨ Q 8∨I
従って、
(01)により、
(02)
①  P∨Q
② ~P→Q
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
(b)
1  (1) ~P→ Q A
 2 (2) ~P    A
  3(3)    ~Q A
12 (4)     Q 12MPP
123(5)  ~Q&Q 34&I
1 3(6)~~P    2RAA
1 3(7)  P    6DN
1  (8) ~Q→ P 37CP
(c)
1  (1) 
1  (1) ~Q→ P A
 2 (2) ~Q    A
  3(3)    ~P A
12 (4)     P 12MPP
123(5)  ~P&P 34&I
1 3(6)~~Q    2RAA
1 3(7)  Q    6DN
1  (8) ~P→ Q 37CP
従って、
(03)により、
(04)
② ~P→Q
③ ~Q→P
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
①  P∨Q=PかQである。
② ~P→Q=PでないならばQである。
③ ~Q→P=QでないならばPである。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(05)により、
(06)
①&②=PかQである。然るに、Pでない。故に、Qである。
①&③=PかQである。然るに、Qでない。故に、Pである。
といふ「推論」、すなはち、「選言三段論法」は、「妥当(Valid)」である。
cf.
選言三段論法(せんげんさんだんろんぽう、英: Disjunctive syllogism)とは、論理学において、「大前提」を選言命題(選択肢を持った命題)にし、「小前提」でその選択肢に対する肯定・否定を行なうことで、「結論」を導く形式の三段論法のこと[1]。選言的三段論法ともいう(ウィキペディア)。
然るに、
(07)
1(1)∀x{犯人x→(x=A)∨(x=B)} A
1(〃)すべてのxについて{xが犯人であるならば、xはAか、xはBである}。 A
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① すべてのxについて、xが犯人であるならば、xはAか、xはBである。
② すべてのxについて、xが犯人であるならば、xがAでないならば、xはBである。
③ すべてのxについて、xが犯人であるならば、xがBでないならば、xはAである。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(09)
③ すべてのxについて、xが犯人であるならば、xがBでないならば、xはAである。
として、
③ xはAである。
とすれば、
③ A以外は、犯人ではない
然るに、
(10)
③ A以外は犯人ではない
といふ場合は、
③ A犯人である。
といふ風に、言ふのであって、
③ A犯人である。
とは、言はない。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
③ A犯人である。
といふことは、
③ A以外は犯人ではない
といふことに、他ならない。
然るに、
(12)
(a)
1  (1)A以外は犯人ではない。     A
1  (〃)∀x{~(x=A)→~犯人x} A
1  (〃)すべてのxについて{xがAでなければ、xは犯人ではない}。 A
1  (2)   ~(a=A)→~犯人a  1UE
 3 (3)   ~(a=A)       A
  4(4)           犯人a  A
13 (5)          ~犯人a  23MPP
134(6)      犯人a&~犯人a  45&I
1 4(7)  ~~(a=A)       36RAA
1 4(8)    (a=A)       7DN
1  (9)   犯人a→(a=A)    48CP
1  (ア)∀x{犯人x→(x=A)}   9UI
1  (〃)すべてのxについて{xが犯人であるならば、xはAである}。 9UI
1  (〃)犯人はAである。        9UI
(b)
1  (1)犯人はAである。        A
1  (〃)∀x{犯人x→(x=A)}   A
1  (〃)すべてのxについて{xが犯人であるならば、xはAである}。 A
1  (2)   犯人a→(a=A)    1UE
 3 (3)   犯人a          A
  4(4)      ~(a=A)    A
13 (5)       (a=A)    23MPP
134(6)~(a=A)&(a=A)    45&I
1 4(7)  ~犯人a          36RAA
1  (8)   ~(a=A)→~犯人a  47CP
1  (9)∀x{~(x=A)→~犯人x} 8UI
1  (〃)すべてのxについて{xがAでなければ、xは犯人ではない}。 8UI
従って、
(12)により、
(13)
③ A以外は犯人ではない
といふことは、
③ 犯人はAである。
といふことに、他ならない。
従って、
(11)(13)により、
(14)
① A犯人である。
② A以外は犯人ではない
③ 犯人Aである。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(15)
① A is the 犯人。
といふ「英語」に於いて、
② A以外は犯人ではない
③ 犯人はAである。
といふことを、「確認」したいのであれば、
① A is the 犯人。
に於ける、
は、
強調(強く発音)される。
はずである。
然るに、
(16)
そこで「長谷川」を題目にして、
「長谷川は私です。」
としたいところだ。この「長谷川」と「私」の位置を交換すると、「は」が「」になって、
「私長谷川です。」
となる。だから、この場合の「が」は、普通の「雨が降ってきた」「牡丹の花が濡れている」の「が」とちょっとちがい、強く発音される「」だ。
(金田一春彦、日本語 新版(下)、1988年、93頁)
然るに、
(17)
清音と濁音
日本語の子音で重要なことは、カ行・サ行・・・・・・のちがいよりも清音と音の違いで効果が違うことである。清音の方は、小さくきれいで速い感じで、コロコロと言うと、ハスの上を水玉がころがるような時の形容である。ロと言うと、大きく荒い感じで、力士が土俵でころがる感じである。
(金田一春彦、日本語 新版(上)、1988年、131頁)
従って、
(17)により、
(18)
「が」といふ「音」は、普通に「発音」したとしても、「は」といふ「清音」より、「(心理的な)音量」が「大きい」。 
従って、
(15)(18)により、
(19)
① A is the 犯人。
といふ「英語」に於いて、
② A以外は犯人ではない
③ 犯人はAである。
といふことを、「確認」したいのであれば、
① A is the 犯人。
に於ける、
① A は、
強調強く発音)される。
はずであり、尚且つ、
① A音) の「(心理的な)音量」は、
① Aは(清音) の「(心理的な)音量」よりも、「大きい」。
従って、
(19)により、
(20)
① A_犯人である。
といふ「日本語」を用ひて、
② A以外は犯人ではない
③ 犯人はAである。
といふことを、「確認」したいのであれば、
④ Aは(清音)犯人である。
と言はずに、
① A音)犯人である。
といふ風に、言ふことは、「自然」である。
従って、
(21)
② A以外はBではない
③ BはAである。
といふ場合に、
④ AはBである。
とは言はずに、
① ABである。
といふ「習慣」が、「生じる」ことは、「自然」である。
然るに、
(22)
(a)
1  (1)私でないならば長谷川でない。 仮定
 2 (2)私でない。          仮定
  3(3)       長谷川である。 仮定
12 (4)       長谷川でない。 12前件肯定
123(5)長谷川であるが長谷川でない。 34&導入
1 3(6)私でないでない。       25背理法
1 3(7)私である。          6二重否定
1  (8)長谷川であるならば私である。 37条件法
(b)
1  (1)長谷川であるならば私である。 仮定
 2 (2)長谷川である。        仮定
  3(3)         私でない。 仮定
12 (4)         私である。 12前件肯定
123(5)私でないのに私である。    34&導入
1 3(6)長谷川でない。        25背理法
1  (7)私でないならば長谷川でない。 36条件法
従って、
(16)(21)(22)により、
(23)
① 私長谷川です。
② 私以外は長谷川ではない
③ 長谷川は私です。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(24)
一方、長谷川先生は思った。相手は自分の名前を知っていて、それをたよりにやってきた。長谷川先生というのはどの人だろうと思っているはずだ。そこで「長谷川」を題目にして、
「長谷川は私です。」
としたいところだ。この「長谷川」と「私」の位置を交換すると、「は」が「が」になって、
「私長谷川です。」
となる。からと言って、ワザワザ、「題目」といふ「語」を用ひて、説明するには、及ばない。

(122)「象は鼻が長い。」と「述語論理」(Ⅱ)。

2018-12-14 18:16:50 | 「は」と「が」
(01)
1  (1) P→ Q A
 2 (2) P    A
  3(3)   ~Q A
12 (4)    Q 12MPP
123(5) ~Q&Q 34&I
1 3(6)~P    25RAA
1  (7)~Q→~P 36CP
然るに、
(02)
(01)に於いて、
P=~Q
Q=~P
といふ「代入(Replacement)」を行ふと、
1  (1) ~Q→ ~P A
 2 (2) ~Q     A
  3(3)    ~~P A
12 (4)     ~P 12MPP
123(5) ~~P&~P 34&I
1 3(6)~~Q     25RAA
1  (7)~~P→~~Q 36CP
1  (8)  P→  Q 7DN
従って、
(01)(02)により、
(03)
①  P→ Q
② ~Q→~P
といふ「対偶(Contraposition)」に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
①   P → [Q]
② ~[Q]→~ P
に於いて、
Q=Q&R
といふ「代入(Replacement)」を行ふと、
①   P → [Q&R]
② ~[Q&R]→~ P
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
(a)
1  (1)~[Q&R] A
 2 (2)  Q    A
  3(3)    R  A
 23(4)  Q&R  23&I
123(5)~[Q&R]  
       [Q&R] 14&I
12 (6)   ~R  35RAA
1  (7) Q→~R  26CP
(b)
1 (1)  Q→~R  A
 2(2)  Q& R  A
 2(3)  Q     2&E
 2(4)     R  2&E
12(5)    ~R  13MPP
12(6)  R&~R  45&I
1 (7)~[Q& R] 26RAA
従って、
(05)により、
(06)
② ~[Q& R]
③  [Q→~R]
といふ「含意の定義」に於いて、
②=③ である。
従って、
(04)(06)により、
(07)
①   P→[Q&R]
② ~[Q& R]→~ P
に於いて、
①=② であって、尚且つ、
② ~[Q& R]
③  [Q→~R]
に於いて、
②=③ である。
従って、
(07)により、
(08)
①   P→[Q&R]
② ~[Q& R]→~P
③  [Q→~R]→~P
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(08)により、
(09)
①   P→[Q&R]
② ~[Q& R]→~P
③  [Q→~R]→~P
に於いて、
P=象x
Q=∃y(鼻yx&長y)
R=∀z(~鼻zx→~長z)
といふ「代入(Replacement)」を行ふと、
①   象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]
② ~[∃y(鼻yx&長y)& ∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x
③ [∃y(鼻yx&長y)→~∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(10)
(a)
1 (1)~∀z( ~鼻zx→~長z) A
1 (2)∃z~( ~鼻zx→~長z) 1量化子の関係
 3(3)  ~( ~鼻cx→~長c) A
 3(4)  ~(~~鼻cx∨~長c) 3含意の定義
 3(5)  ~(  鼻cx∨~長c) 4DN
 3(6)    ~鼻cx&~~長c  5ド・モルガンの法則
 3(7)     ~鼻cx& 長c  6DN
 3(8)  ∃z(~鼻zx& 長z) 7EI
1 (9)  ∃z(~鼻zx& 長z) 138EE
(b)
1    (1)  ∃z(~鼻zx& 長z) A
 2   (2)     ~鼻cx& 長c  A
  3  (3) ∀z( ~鼻zx→~長z) A
  3  (4)     ~鼻cx→~長c  3UE
   5 (5)           長c  A
   5 (6)         ~~長c  5DN
  35 (7)    ~~鼻cx      46MTT
  35 (8)      鼻cx      7DN
  3  (9)      長c→ 鼻cx  58CP
 2   (ア)      長c       2&E
 23  (イ)          鼻cx  9アMPP
 2   (ウ)     ~鼻cx      2&E
 23  (エ)     ~鼻cx&鼻cx  イウ&I
 2   (オ)~∀z( ~鼻zx→~長z) 3エRAA
1    (カ)~∀z( ~鼻zx→~長z) 12オEE
従って、
(10)により、
(11)
③ ~∀z(~鼻zx→~長z) 
④ ∃z(~鼻zx& 長z)
において、
③=④ である。
従って、
(09)(11)により、
(12)
①   象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]
② ~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x
③ [∃y(鼻yx&長y)→~∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x
に於いて、
①=②=③ であって、尚且つ、
    ③ ~∀z(~鼻zx→~長z) 
    ④ ∃z(~鼻zx& 長z)
に於いて、
③=④ である。
従って、
(12)により、
(13)
①   象x→[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]
② ~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x
③ [∃y(鼻yx&長y)→~∀z(~鼻zx→~長z)]→~象x
④ [∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)]→~象x
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(13)により、
(14)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
に於いて、
①=④ である。
従って、
(14)により、
(15)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならば、zは長くない}。
④ すべてのxについて{[あるyがxの鼻であって、yが長いとしても、あるzがxの鼻ではなくて、長いならば]xは象ではない}。
に於いて、
①=④ である。
従って、
(15)により、
(16)
1     (1)∀x{[ ∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)]→~象x} A
1     (〃)すべてのxについて{[あるyがxの鼻であって、yが長いとしても、あるzがxの鼻ではなくて、長いならば]xは象ではない}。 A
1     (〃)鼻が長くとも、鼻以外も長いならば、象ではない。             A
1     (2)   [ ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z)]→~象a  1UE
1     (3)   [~∃y(鼻ya&長y)∨ ∃z(~鼻za& 長z)]→~象a  2含意の定義
 4    (4)                                象a  A
 4    (5)                              ~~象a  4DN
14    (6)  ~[~∃y(鼻ya&長y)∨ ∃z(~鼻za& 長z)]      34MTT
14    (7)   ~~∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za& 長z)       6ド・モルガンの法則
14    (8)     ∃y(鼻ya&長y)&~∃z(~鼻za& 長z)       7DN
14    (9)                ~∃z(~鼻za& 長z)       8&E
14    (ア)                ∀z~(~鼻za& 長z)       9量化子の関係
14    (イ)                  ~(~鼻ba& 長b)       アUE
14    (ウ)                   ~~鼻ba∨~長b        イ、ド・モルガンの法則
14    (エ)                    ~鼻ba→~長b        ウ含意の定義
14    (オ)                 ∀z(~鼻zx→~長z)       エUI
14    (カ)      ∃y(鼻ya&長y)                    8&E
14    (キ)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)       オカ&I
1     (ク)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)       4キCP
1     (ケ)∀x{象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)       クUI
1     (〃)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならば、zは長くない}。 A
1     (〃)象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
 コ    (コ)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}      A
 コ    (〃)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるyはxの耳であって、yは長いものの、すべてのzについて、zがxの耳ならば、zはxの耳ではない}。 A
 コ    (〃)兎の耳は長いものの、兎の耳は、鼻ではない。
  サ   (サ)∃x(兎x&象x)                           A
  サ   (〃)あるxは兎であって象である。                      A
  サ   (〃)ある兎は象である。                           A
然るに、
(17)
  サ   (〃)ある兎は象である。                           A
の「続き」は、これ迄に、何度も示した通り、
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  1UE
   6  (6)   兎a&象a                       A
   6  (7)   兎a                          6&E
   6  (8)      象a                       6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)               9&E
 2 6  (ウ)      ∃y(耳ya&長y)               ア&E
    エ (エ)         鼻ba&長b                A
     オ(オ)         耳ba&長b                A
1  6  (カ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
1  6  (キ)                    ~鼻ba→~長b   カUE
 2 6  (ク)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    耳ba→~鼻ba   クUE
    オ (コ)                    耳ba        オ&E
 2 6オ (サ)                        ~鼻ba   ケコMPP
12 6オ (シ)                         ~長b   キサコMPP
    オ (ス)             長b                オ&E
12 6オ (セ)             長b&~長b            シス&I
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
12    (チ)~∃x(兎x&象x)                     3タRAA
12    (ツ)∀x~(兎x&象x)                     チ量化子の関係
12    (テ)  ~(兎a&象a)                     ツUE
12    (ト)  ~兎a∨~象a                      テ、ド・モルガンの法則
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。   ナUI
12    (〃)兎は象ではない。                       ナUI
従って、
(15)(16)(17)により、
(18)
(Ⅰ)∀x{[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。然るに、
(Ⅱ)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。故に、
(Ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ「三段論法」、すなはち、
(Ⅰ)「鼻が長くとも、鼻以外も長いならば、象ではない。」然るに、
(Ⅱ)「兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。」故に、
(Ⅲ)「兎は象ではない。」
といふ「三段論法(推論)」は、「妥当(Valid)」である。
然るに、
(19)
(Ⅰ)「鼻が長くとも、鼻以外長いならば、象ではない。」といふのであれば、
(〃)「象は、鼻以外は長くない。」といふことであって、
(〃)「象は、鼻以外は長くない。」と、言ふのであれば、
(〃)「象は、鼻は長い。」とは、言はずに、
(〃)「象は、鼻長い。」といふ風に、言ふはずである。
従って、
(15)~(19)により、
(20)
① 象は鼻が長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ ∀x{[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
に於いて、
① といふ「日本語」は、
② といふ「論理構造」をしてゐて、尚つ、
② といふ「論理構造」は、
③ といふ「論理構造」に、「等しい」。
といふ、ことになる。
然るに、
(21)
伝統的論理学を清水滉『論理学』(1916年)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九冊の一冊で、なお引き続き刊行だろうから、前後かなり多くの読者をもつ論理学書と考えられる。新興の記号論理学は、沢田允茂『現代論理学入門』(1962年)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
然るに、
(22)
「伝統的論理学」は、「文の内部構造」を「分析」できず、それ故、「伝統的論理学」は、例へば、
(Ⅰ)「鼻が長くとも、鼻以外も長いならば、象ではない。」然るに、
(Ⅱ)「兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。」故に、
(Ⅲ)「兎は象ではない。」
といふ「推論」の「妥当性(Validity)」を、「証明」できない。
然るに、
(23)
沢田允茂『現代論理学入門』(1962年)は、言はば、「現代論理学」の「解説書」であって、「練習問題」も、一切、載っていない。
従って、
(24)
『沢田允茂、現代論理学入門、1962年』を読んだとしても、例へば、
1   (1)吾輩は猫であるが、吾輩に、名前はない。    A
1   (〃) ∃x{吾輩x&猫x& ~∃y(名前yx)} A
 2  (2)    吾輩a&猫a& ~∃y(名前ya)  A
 2  (3)    吾輩a                2&E
 2  (4)        猫a             2&E
 2  (5)            ~∃y(名前ya)  2&E
  6 (6) ∃x{タマx&     ∃y(名前yx)} A
   7(7)    タマa&     ∃y(名前ya)  A
   7(8)    タマa&               7&E
   7(9)             ∃y(名前ya)  7&E
 2 7(ア)   ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya)  59&I
 26 (イ)   ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya)  67アEE
 2  (ウ)~∃x{タマx&     ∃y(名前yx)} 6イRAA
 2  (エ)∀x~{タマx&     ∃y(名前yx)} ウ量化子の関係
 2  (オ)  ~{タマa&     ∃y(名前ya)} エUE
 2  (カ)   ~タマa∨    ~∃y(名前ya)  オ、ドモルガンの法則 
 2  (キ)   ~∃y(名前ya)∨~タマa      カ交換法則
 2  (ク)    ∃y(名前ya)→~タマa      キ含意の定義
 2 7(ケ)             ~タマa      9クMPP
 2 7(コ)    吾輩a&~タマa           3ケ&I
 2 7(サ)    吾輩a&~タマa&猫a        4コ&I
 2 7(シ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)       サEI
 26 (ス) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)       67シEE
1 6 (セ) ∃x(吾輩x&~タマx&猫x)       12スEE
1 6 (〃)あるxは、吾輩であって、タマではなく、猫である。 セ翻訳
1 6 (〃)吾輩は、タマではないが、猫である。        ソ翻訳
といふ「述語計算」を、自分でもやってみよう、といふ気に、なるわけではない。
然るに、
(25)
Primary an exercise book ― with exersises ranging from the simple to challenging(簡単なそれから、さうでないものまでを含む、練習帳)。
とあるやうに、『論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年』の方は、「練習問題帳」である。
然るに、
(26)
日常言語の文から述語計算の文への翻訳のためには、一般にあたまが柔軟なことが必要である。なんら確定的な規則があるわけではなく、量記号に十分に馴れるまでは、練習を積むことが必要である(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英、1973年、130頁)。Flexibility of mind is generally required for translating from ordinary speech into sentences of the predicate calculs. No firm rules can be given, and practice is needed before full familiarity with quantifires is reached(E.J.Lemmon, Beginning Logic).
従って、
(22)~(26)により、
(27)
『沢田允茂、現代論理学入門1963年』といふ「それ(解説書)」をいくら、丁寧に読んでみたとしても、「量記号」に十分に馴れるまで、「十分な練習」を積まなければ、
(Ⅰ)∀x{[∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)]→~象x}。然るに、
(Ⅱ)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。故に、
(Ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ「述語計算(Predicate calculus)」が出来るやうにならないのは、「練習」を積まなければ、
例題1
(x2+xy+y2+2x-y+3)(xy+x-2y+2)(x2+y2+x+y+1)
 の展開式における2次の項と、3次の項を計算せよ。
答え 2次:17x2-xy+2y2、3次:12x3-3x3-3x2y+9xy2-6y2
(科学振興社、モノグラフ 1、式の計算、1990年、9頁)
といふ「計算」ができないことと、「同じ」である。
従って、
(21)(27)により、
(28)
『三上章、日本語の論理、1963年』の中で、記号論理学は、沢田允茂『現代論理学入門』(1962年)を参照することにすると、書いた時点に於ける、三上先生は、その実、『述語論理(現代論理学)』に関しては、ほとんど、何も知らなかったと、言ふべきである。
仮に、
(29)
55年前の、三上章先生が、
(Ⅰ)「鼻が長くとも、鼻以外も長いならば、象ではない。」然るに、
(Ⅱ)「兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。」故に、
(Ⅲ)「兎は象ではない。」
といふ「推論(三段論法)」を、自分自身で、「述語論理」に「翻訳」しようとして、『述語論理(現代論理学)』を学ばれたとすれば、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x{[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
から、「論理式」から、
① ∀z(~鼻zx→~長z)
④ ∃z(~鼻zx& 長z)
を「除去(elimate)」してまへば、
(Ⅰ)「鼻が長くとも、鼻以外も長いならば、象ではない。」然るに、
(Ⅱ)「兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。」故に、
(Ⅲ)「兎は象ではない。」
といふ「推論(三段論法)」は、成り立たない。といふことに、気付かれたはずである。
然るに、
(30)
55年前の、三上章先生ほどの大先生が、『三上章、日本語の論理、1963年』の中で、仮に、
(Ⅰ)∀x{[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。然るに、
(Ⅱ)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。故に、
(Ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ「論理式」に、言及してゐたのであれば、
① 象は鼻長い。
といふ「日本語」は、少なくとも、「述語論理的」には、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。⇔
③ ∀x{[∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)]→~象x}。
といふ「構造(シンタックス)」をしてゐる。といふことが、知れ渡ってゐたと、思はれます。
(31)
「が」は複数の主語候補を同時に意識させ、「集合」としての主語を提示する。
*「集合構造」:主語は集合で、他の主語候補を義務的に意識させる(淺山友貴、現代日本語における「は」と「が」の意味と機能、2004年、154頁)。
に於ける、「集合構造」といふのは、
② ∀z(~鼻zx→~長z)
③ ∃z(~鼻zx& 長z)
に於ける、「鼻と、鼻以外の、集合」のことを、言ふ。

(121)「象は鼻が長い。」と「述語論理」と「総主語」。

2018-12-11 21:43:28 | 「は」と「が」
―「一昨日の記事(121)」を書き直します。―
(01)
1 (1)∃xFx A
 2(2)  Fa A
1 (3)  Fa 122EE
1 (4)∀xFx 3UI
に於いて、
1 (4)∀xFx 3UI
は、「正しい」。  何故なら、
1 (1)∃xFx A
は       a を含まないからである。
1 (3)  Fa 122EE
は、「正しくない」。何故なら、
1 (3)  Fa 122EE
といふ「結論」はa を含んでゐるからである(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、147頁改)。
従って、
(01)により、
(02)
1 (1)∃xFx A
 2(2)  Fa A
1 (3)  Fa 122EE
までは、「正しい」ものの、
1 (4)∀xFx 3UI
が加はった「結果」として、「1つ前の行」に戻って、
1 (3)  Fa 122EE
が、「マチガイ」になる。
然るに、
(03) 
1 (1)∀x∃yFxy A
1 (2)  ∃yFay 1UE
 2(3)    Fab A
1 (4)    Fab 233EE
1 (5)  ∀xFxb 4UI
に於いて、
1 (5)  ∀xFxb 4UI
の行は、
1 (4)    Fab 233EE
の行の、      a に対する、UIであって、
           に対する、UIではない
然るに、
(04)
1 (1)∀x∃yFxy A
1 (2)  ∃yFay 1UE
 2(3)    Faa A
1 (4)    Faa 233EE
1 (5)  ∀xFxx 4UI
に於いて、
1 (5)  ∀xFxx 4UI
の行は、
1 (4)    Faa 233EE
の行の、      aa に対する、UIである。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
例へば、
1 (1)∀x∃yFxy            A
1 (〃)すべての母親には子供がゐる。     A
1 (2)  ∃yFay            1UE
 2(3)    Faa            A
1 (4)    Faa            233EE
1 (5)  ∀xFxx            4UI
1 (〃)すべての母親はすべての母の母である。 4UI
といふ「述語計算」は、「マチガイ」であって、その一方で、
1 (1)∀x∃yFxy            A
1 (〃)すべての母親には子供がゐる。     A
1 (2)  ∃yFay            1UE
 2(3)    Fab            A
1 (4)    Fab            233EE
1 (5)  ∀xFxb            4UI
1 (〃)すべての母親は任意の子供の母である。 4UI
といふ「述語計算」は、「正しい」。
cf.
「すべての母親はすべての母の母である。」ならば、
「任意の母親は、自分自身から生まれた。」ことになる。
然るに、
(06)
これ迄に、何度も書いた通り、
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。             A
 2    (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)ある兎は象である。                      A
  3   (〃)∃x(兎x&象x)                      A
  3   (〃)あるxは兎であって象である。                 A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  1UE
   6  (6)   兎a&象a                       A
   6  (7)   兎a                          6&E
   6  (8)      象a                       6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)               9&E
 2 6  (ウ)      ∃y(耳ya&長y)               ア&E
    エ (エ)         鼻ba&長b                A
     オ(オ)         耳ba&長b                A
1  6  (カ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
1  6  (キ)                    ~鼻ba→~長b   カUE
 2 6  (ク)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    耳ba→~鼻ba   クUE
    オ (コ)                    耳ba        オ&E
 2 6オ (サ)                        ~鼻ba   ケコMPP
12 6オ (シ)                         ~長b   キサコMPP
    オ (ス)             長b                オ&E
12 6オ (セ)             長b&~長b            シス&I
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
12    (チ)~∃x(兎x&象x)                     3タRAA
12    (ツ)∀x~(兎x&象x)                     チ量化子の関係
12    (テ)  ~(兎a&象a)                     ツUE
12    (ト)  ~兎a∨~象a                      テ、ド・モルガンの法則
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。   ナUI
12    (〃)兎は象ではない。 
従って、
(06)により、
(07)
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
に於ける「UI(普遍量記号導入の規則)」の「対象」は、飽くまでも「a」であり、その一方で、
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
に於ける「EE(存在量記号除去の規則)」の「対象」は、「b」はあって、「a」ではない。
従って、
(02)(05)(07)により、
(08)
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
が加はったとしても、
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
に於ける「EE(存在量記号除去の規則)」は、「正しい」ままであって、「マチガイ」には、ならない。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
要するに、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。故に、
(3)∀x(兎x→~象x)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、「日本語」で言へば、
(1)象は鼻が長い。然るに、
(2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。故に、
(3)兎は象ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当(valid)」である。
然るに、
(10)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「論理式」は、すなはち、
① すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長い}。
② すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
といふ「意味」である。
従って、
(10)により、
(11)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
の場合は、
① 象の、鼻以外のパーツに関しては、長いとも、長くない。
とも、言ってゐない。
然るに、
(10)により、
(12)
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
といふことは、
② 象は鼻は長いが、鼻以外は長くない。
といふことである。
然るに、
(13)
② 象は鼻は長いが、鼻以外は長くない
といふのであれば、
② 象は鼻長い。
のであって、
① 象は鼻は長い。
ではない。
従って、
(09)(12)(13)により、
(14)
② 象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(15)
②       ∃y(鼻yx&長y)
は、「命題関数(Proposition function)」であって、
②                  ∀z(~鼻zx→~長z)
も、「命題関数(Proposition function)」であって、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
は、「論理式(well-formed-formula)」である。
然るに、
(16)
(1)象は鼻が長い。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
に於いて、「変数x」は、
① ∀x の中にも、
②{ }の中にも、
③( )の中にも、
④( )の中にも、現れる。
然るに、
(17)
(1)鼻は長い。
(〃)∃y(鼻yx&長y)
(〃)あるyはxの鼻であって、yは長い。
に於いて、「変数y」は、
① ∃y の中と、
②( )の中にしか、現れない。
然るに、
(18)
(ⅰ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁)
従って、
(14)~(18)により、
(19)
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「論理式」に於ける、「変数x」の「作用範囲(スコープ)」は、
(1)象は鼻が長い。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
といふ「文」の「全体(総体)」である。
(20)
(1)      ∃y(鼻yx&長y)
といふ「命題関数」に於ける、「変数x」の「作用範囲(スコープ)」は、
(1)象は鼻が長い。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
といふ「文」の「全体(総体)」ではなく、
(1)      ∃y(鼻yx&長y)
(〃)                   あるyはxの鼻であって、yは長く、
といふ「一部分」である。
従って、
(19)(20)により、
(21)
「象(x)」=「主語(x)」 であって、
「鼻(y)」=「主語(y)」 であるならば、
(1)象は鼻が長い。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
に於いて、「象(x)」は、「文の全体(総体)の主語」であって、「鼻(y)」は、「文の一部の主語」である。
然るに、
(22)
動詞、形容詞ニ對シテ其主語アルト同ジク、主語ト説語(動詞或ハ形容詞)トヨリ成レル一ノ説話(即チ文)ニ對シテモ更ニソノ主語アルコト國語ニハ屡々アリ。例ヘバ「象は體大なり」ノ「象」、「熊は力強し」ノ「熊」、「鳥獸蟲魚皆性あり」ノ「鳥獸蟲魚」、「仁者は命長し」ノ「仁者」、「賣藥は效能薄し」ノ「賣藥」、「慾は限無し」ノ「慾」、「酒は養生に害あり」ノ「酒」、「支那は人口多し」ノ「支那」ノ如キハ、皆、「體大なり」「力強し」等ノ一説話ニ對シテ更ニソノ主語タル性格ヲ有ス。何トナレバ「象は體大なり」「熊は力強し」等ヨリ「象」「熊」等ノ再度ノ主語ヲ取去ル時ハ、殘餘ハ「體大なり」「力強し」等トナリテ、文法上ノ文ノ形ハ完全ニ之ヲ具フルニモ拘ラズ、意義ニ不足ヲ生ジ、其事ノ主トアルベキ「象」「熊」等ノ名詞ヲ竢ッテ始メテ意義ノ完全ナル一圓ノ説話ヲ成サントスル傾アルコト、ナホ普通ノ動詞、形容詞ノ名詞ヲ竢ッテ始メテ一ノ完全ナル説話ヲ成サントスル傾アルト同趣味ノモノアレバナリ。殊ニ「性有り」「限無し」等ノ一種ノ説話ニ對シテハ、實用ノ際ニ再度ノ主語ノ必要アル事ハ頗ル顯著ナルニアラズヤ。コレハ「うら(心)やまし(疚)」「て(質)がたし(堅)」ナドノ一説話ノ轉シテ一ノ形容詞トナリ、然ル上ハ實用ノ際ニ更ニソノ主語ヲ取ルト一般ナリ。サレバ「富貴は羨し」ノ「うらやまし」ニ對シテ「富貴」ヲ主語トイフヲ至當トセバ、「體大なり」「力強し」ニ對シテ「象」「熊」ヲソノ主語トイフモ亦不當ニハアラジ。斯カレバコノ類ノ再度ノ主ヲ予ハ別ニ「總主」ト名ヅケントス。
 總主ハ斯ク頗ル簡單ニ説明セラルベク、亦容易ニ會得セラルベキ者ナリ。學者ノ潛思苦慮ヲモ要セズ、考古引證ヲモ須タズシテ、小學ノ兒童モ、口頭ニ、文章ニ、此語法ヲ用ヰ、歌人文士モ之ヲ用ヰテ毫モ疑フ事ナシ。コノ語法ハ本ヨリ我國ニ有リシナランガ、漢學ノ流行ニ連レテ益廣ク行ハレ、今日トナリテハ最早之ヲ目シテ國語ノ法則ニ非ズトイフヲ得ザルニ至レリ。然ルニ國語ノ法則トシテ日本ノ文法ニ之ヲ編入スル者ナキハ何故ゾ。西洋ノ言語ニ類似ノ語法ナク、西洋ノ文典ニ類似ノ記載ナキガ故ニハ非ザルカ。
(草野淸民、國語の特有セル語法 ― 總主、『帝國文學』五卷五號、明治三十二年:大修館書店、日本の言語学 第3巻 文法Ⅰ、1978年、533頁)
従って、
(21)(22)により、
(23)
(1)象は體大なり。
だけでなく、
(1)象は鼻が長い。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
に於ける、「象(x)」を、「總主」と呼ぶのであれば、草野淸民先生の言ふ、「總主」は、「(述語論理的な)總主」である、といふことになる。
従って、
(22)(23)により、
(24)
「總主」は、「西洋の言語に類似の語法はなく」とも、「述語論理といふ言語には類似の語法」があることになる。
(25)
(06)の「述語計算」を説明すると、
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。             A
 2    (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)ある兎は象である。                      A
  3   (〃)∃x(兎x&象x)                      A
といふ「3つの仮定」を行ふと、「矛盾」が生じるため、
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。             A
 2    (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
といふ「2つの仮定」を、「否定」しないのであれば、
  3   (3)ある兎は象である。                      A
  3   (〃)∃x(兎x&象x)                      A
といふ「1つの仮定」を、「否定」せざるを得ない。
といふのが、「証明(背理法)」の「あらすじ」です。
然るに、
(26)
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。             A
 2    (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
ではなく、
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}              A
 2    (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。             A
 2    (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
とするならば、「矛盾」は生じないため、
(1)象は鼻が長い。然るに、
(2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。故に、
(3)兎は象ではない。
といふ「推論(三段論法)」が、「妥当(valid)」であるためには、
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
といふ風に、「仮定」せざるを得ない。
従って、
(27)
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、「述語論理」としては、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ風に、「翻訳」せざるを得ない。
然るに、
(22)により、
(28)
① 象は鼻長い。
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於ける、
① 象は
① ∀x{象x
といふ「それ」は、草野淸民先生が、所謂、「總主」である。

(120)「象は鼻が長い。」と「述語論理」と「強調形」。

2018-12-08 18:09:33 | 「は」と「が」
―「昨日の記事(119)」の続きを書きます。―
然るに、
(32)
主題というのは文の最初にあって、その文で述べる内容の範囲を限定するものです。
といふのであれば、
① 象は鼻は長い。
② Elephants have long noses.
に於いて、
① だけでなく、
② であっても、
② Elephants は、文の最初にあって、その文で述べる内容の範囲を、「Elephants」に限定してゐる。
従って、
(33)
① 象は鼻は長い。
① Elephants have long noses.
に於いて、
①「象は」が主題であるならば、
①「Elephants」も、主題である。
然るに、
(34)
① 象は鼻は長い。
① Elephants have long noses.
に於いて、
① 象は=Elephants.
とするならば、英語の話者に対しては、何の説明もしてゐないに、等しい。
然るに、
(35)
① Elephants have long noses. の、
① Elephants を、「強く発音する(強調)」する場合を、
② ELEPHANTS have long noses.
といふ風に、「大文字」で書くことにする。
然るに、
(36)
〔63〕a.TOM sent Mary flowers.
   b.Tom SENT Mary flowers.
   c.Tom sent MARY flowers.
   d.Tom sent Mary FLOWERS.
"Tom sent Mary flowers.”(トムはメアリーに花を送った)という文は、四つの単語からできていますが、どの単語を強調して発音するかによって少しずつ意味が違ってきます。
〔63〕では、強調して発音される単語は全部大文字で示してあります。
Tom を強調して発音すれば、「他の誰でもないトムがメアリーに花を送った」という意味になります。つまり、主語として、
「トム」という人間が他の人間と対比されているということです(町田健、チョムスキー入門、2006年、150頁)。
従って、
(35)(36)により、
(37)
{兎、犬、馬、}を「変域(Domain)」として、
① Elephants have long noses.
とはせずに、
ELEPHANTS have long noses.
といふ風に、
② ELEPHANTS
を「強調(強く発音)」するならば、
② ELEPHANTS は鼻が長いが、
② ELEPHANTS 以外(の、兎や、犬や、馬)の鼻は長くない
といふ、ことになる。
従って、
(35)(36)(37)により、
(38)
① Elephants have long noses.
② ELEPHANTS have long noses.
とはせずに、
③ ELEPHANTS have long NOSES.
といふ風に、
③ ELEPHANTS と NOSES
を「強調(強く発音)」するならば、
③ ELEPHANTS は鼻が長いが、
③ ELEPHANTS 以外(の、兎や、犬や、馬)の鼻は長くなく
③ ELEPHANTS の鼻以外(の、耳や、目や、口)は長くない
といふことになる(はずである)。
従って、
(01)~(38)により、
(39)
① 象は鼻は長い。
① Elephants have long noses.
② 象鼻は長い。
② ELEPHANTS have long noses.
③ 象長い。
③ ELEPHANTS have long NOSES.
といふ「日本語と英語」は、それぞれ、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「述語論理」に、対応する。
然るに、
(39)により、
(40)
①「象は・鼻は」は、「Elephants・noses」に対応し、
②「象・鼻は」は、「ELEPHANTS・noses」に対応し、
③「象・鼻」は、「ELEPHANTSNOSES」に対応する。
従って、
(34)(35)(39)により、
(40)
①「象は・鼻は」に対する、
③「象・鼻」は、「強調形・強調形」である。
然るに、
(41)
①「は・は」は、「清音・清音」であって、
③「」は、「音・音」である。
従って、
(40)(41)により、
(42)
①「象は(清音)・鼻は(清音)」に対する、
③「象音)・鼻音)」が、「強調形・強調形」である。
然るに、
(43))
清音の方は、小さくきれいで速い感じで、コロコロと言うと、ハスの上を水玉がころがるような時の形容である。ロと言うと、大きく荒い感じで、力士が土俵でころがる感じである(金田一春彦、日本語(上)、1988年、131頁)。
(44)
もし音を発音するときの物理的・身体的な口腔の膨張によって「音=大きい」とイメージがつくられているのだとしたら、面白いですね。この仮説が正しいとすると、なぜ英語話者や中国語話者も音に対して「大きい」というイメージを持っているか説明がつきます(川原繁人、音とことばの不思議な世界、2015年、13頁)。
従って、
(42)(43)(44)により、
(45)
推測ではなく、事実として、
①「象は(清音)・鼻は(清音)」に対する、
③「象音)・鼻音)」が、「強調形・強調形」である。
然るに、
(36)により、
(46)
②{象、兎、麒麟}を「変域(Domain)」として、
② ELEPHANTS have long noses.
といふ風に、
② ELEPHANTS が「強調」されるのであれば、
② ELEPHANTS have long noses.
といふ「言ひ方」は、
② 象の鼻は長いが、象の鼻以外(の、兎の鼻、麒麟の鼻)は長くない
といふ「意味」に、ならざるを得ない
従って、
(45)(46)により、
(47)
① 象は鼻は長い。
① Elephants have long noses.
② 象鼻は長い。
② ELEPHANTS have long noses.
③ 象長い。
③ ELEPHANTS have long NOSES.
といふ「日本語と英語」は、それぞれ、必然的に
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「述語論理」に、すなはち、
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長い}。
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、xが象でないならば、あるyはxの鼻であって、そのyが長い、といふことはない}。
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、xが象でないならば、あるyはxの鼻であって、そのyが長い、といふことはなく、すべてのzについて(zがxの鼻でないならば、zは長くない)}。
といふ「述語論理」に対応する。

(119)「象は(が)鼻が長い。」の「述語論理」。

2018-12-07 18:51:21 | 「は」と「が」
(01)
もう一度、書くものの、
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。            A
 2    (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)ある兎は象である。                      A
  3   (〃)∃x(兎x&象x)                      A
  3   (〃)あるxは兎であって象である。                 A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  1UE
   6  (6)   兎a&象a                       A
   6  (7)   兎a                          6&E
   6  (8)      象a                       6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)               9&E
 2 6  (ウ)      ∃y(耳ya&長y)               ア&E
    エ (エ)         鼻ba&長b                A
     オ(オ)         耳ba&長b                A
1  6  (カ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
1  6  (キ)                    ~鼻ba→~長b   カUE
 2 6  (ク)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    耳ba→~鼻ba   クUE
    オ (コ)                    耳ba        オ&E
 2 6オ (サ)                        ~鼻ba   ケコMPP
12 6オ (シ)                         ~長b   キサコMPP
    オ (ス)             長b                オ&E
12 6オ (セ)             長b&~長b            シス&I
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
12    (チ)~∃x(兎x&象x)                     3タRAA
12    (ツ)∀x~(兎x&象x)                     チ量化子の関係
12    (テ)  ~(兎a&象a)                     ツUE
12    (ト)  ~兎a∨~象a                      テ、ド・モルガンの法則
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。   ナUI
12    (〃)兎は象ではない。                       ナUI
従って、
(01)により、
(02)
(1)象は鼻が長い。
(2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。 
(3)ある兎は象である。
といふ風に「仮定」すると、
(タ)の行で、「矛盾」が生じるため、
(1)と(2)を、「否定」しないならば、「背理法」により、
(3)ある兎は象である。
といふ「仮定」が「否定」され、その「結果」として、
(3)兎は象ではない。
といふ「結論」を得ることになる。
従って、
(02)により、
(03)
(1)象は鼻が長い。然るに、
(2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。故に、
(3)兎は象ではない。
といふ「推論(三段論法)」を行ひたいのであれば、
(1)象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ風に、「翻訳」することになる。
然るに、
(04)
1  (1)象以外の鼻は長くない。         A
1  (〃)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)} A
 2 (2)∀x( 兎x→~象x)         A
 2 (〃)兎は象ではない。            A
1  (3)   ~象a→~∃y(鼻ya&長y)  1UE
 2 (4)    兎a→~象a          2UE
  5(5)    兎a              A
 25(6)       ~象a          45
125(7)       ~∃y(鼻ya&長y)  36MPP
125(8)       ∀y~(鼻ya&長y)  7量化子の関係
125(9)         ~(鼻ba&長b)  8UE
125(ア)         ~鼻ba∨~長b   ド・モルガンの法則
125(イ)          鼻ba→~長b   ア含意の定義
125(ウ)       ∀y(鼻ya→~長y)  イUI
12 (エ)    兎a→∀y(鼻ya→~長y)  5ウCP
12 (オ)∀x{ 兎x→∀y(鼻yx→~長y)} エUI
12 (〃)すべてのxについて{xが兎であるならば、すべてのyについて(yがxの鼻であるならば、yは長くない)}。 エUI
12 (〃)xが兎であって、yがxの鼻であるならば、yは長くない。 エUI
12 (〃)兎の鼻は長くない。 エUI
従って、
(04)により、
(05)
(1)象以外の鼻は長くない。
(2)兎は象ではない。 
といふ風に、「仮定」すると、当然ではあるが、
(3)兎の鼻は長くない。
といふ「結論」を得ることになる。
然るに、
(06)
{象、兎、猫、犬、馬}を、「変域」とするならば、事実として、
{象}以外の鼻は長くない。
然るに、
(07)
{象}以外の鼻は長くない。
といふことは、
{象が}鼻は長い。
といふことである。
従って、
(04)(07)により、
(08)
1  (1)象が鼻は長い。             A
1  (〃)象以外の鼻は長くない。         A
1  (〃)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)} A
である。
従って、
(05)~(08)により、
(09)
(1)象が鼻は長い。然るに、
(2)兎は象ではない。故に、
(3)兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」を行ひたいのであれば、
(1)象が鼻は長い。
といふ「日本語」は、
(1)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
といふ風に、「翻訳」することになる。
然るに、
(10)
(a)
1  (1)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)} A
1  (2)   ~象a→~∃y(鼻ya&長y)  UE
 3 (3)   ~象a              A
  4(4)        ∃y(鼻yx&長y)  A
13 (5)       ~∃y(鼻ya&長y)  23MPP
134(6)        ∃y(鼻ya&長y)&
             ~∃y(鼻ya&長y)  45&I
1 4(7)  ~~象a              36RAA
1 4(8)    象a              7DN
1  (9)    ∃y(鼻yx&長y)→象a   48CP
1  (ア)∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→象x}  9UI
(b)
1  (1)∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→象x}  A
1  (2)    ∃y(鼻ya&長y)→象a   1UE
 3 (3)    ∃y(鼻ya&長y)      A
  4(4)              ~象a   A
13 (5)               象a   23MPP
134(6)           ~象a&象a   45&I
1 4(7)   ~∃y(鼻ya&長y)      36RAA
1  (8)   ~象a→~∃y(鼻ya&長y)  47CP
1  (9)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)} 8UI
従って、
(10)により、
(11)
(a)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(b)∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→ 象x}。
といふ「対偶」に於いて、
(a)=(b) である。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
(1)象が鼻は長い。然るに、
(2)兎は象ではない。故に、
(3)兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」を行ひたいのであれば、
(1)象が鼻は長い。
といふ「日本語」は、
(1)∀x{∃y(鼻yx&長y)→象x}。
(〃)すべてのxについて{あるyがxの鼻であって、yが長いのであれば、xは象である}。
といふ風に、「翻訳」することになる。
然るに、
(13)
(a)
1(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}&∀x{∃y(鼻yx&長y)→象x} A
1(2)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}                   1&E
1(3)   象a→∃y(鼻ya&長y)                    2UE
1(4)                  ∀x{∃y(鼻yx&長y)→象x} 1&E
1(5)                     ∃y(鼻ya&長y)→象a  4UE
1(6)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∃y(鼻ya&長y)→象a      35&I
1(7)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x}     6UI 
(b)
1(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x}     A
1(2)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∃y(鼻ya&長y)→象a      1UE
1(3)   象a→∃y(鼻ya&長y)                    2&E
1(4)∀x{象a→∃y(鼻ya&長y)}                   3UI
1(5)                 ∃y(鼻yx&長y)→象x      2&E
1(6)              ∀x{∃y(鼻yx&長y)→象x}     5UI
1(7)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}&∀x{∃y(鼻yx&長y)→象x} 46&I
従って、
(13)により、
(14)
(a)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}&∀x{∃y(鼻yx&長y)→象x}
(b)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y) &   ∃y(鼻yx&長y)→象x}
に於いて、
(a)=(b) である。
然るに、
(15)
Pであるときまたそのときに限ってQ(Q if and only if P)を主張することは、PならばQと、QならばPを主張することにほかならない。
すなわち記号で書けば、
(P→Q)&(Q→P)
である。しかしこの複合的表現を用ゐるよりは、
    P⇔Q
と書くのが便利であろう(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、38頁)。
従って、
(14)(15)により、
(16)
    P⇔Q は、
(P→Q)&(Q→P) の、「代はり」であるため、
(a)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}&∀x{∃y(鼻yx&長y)→象x}
(b)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y) &   ∃y(鼻yx&長y)→象x}
(c)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、
(a)=(b)=(c) である。
従って、
(16)により、
(17)
1  (1) 象が鼻は長い。             A
1  (〃) ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)}   A
1  (2)    象a⇔∃y(鼻ya&長y)    1UE
1  (3)    象a→∃y(鼻ya&長y)&      
          ∃y(鼻ya&長y)→ 象a   4Df.⇔
1  (4)    ∃y(鼻ya&長y)→ 象a   4&E
 5 (5)               ~象a   A
15 (6)   ~∃y(鼻ya&長y)       45MTT
1  (7)   ~象a→~∃y(鼻ya&長y)   56CP
1  (8)∀x{~象a→~∃y(鼻ya&長y)}  7UI
従って、
(04)(17)により、
(18)
1  (1)象が鼻は長い。             A
1  (〃)象以外の鼻は長くない。         A
1  (〃)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)} A
 2 (2)∀x( 兎x→~象x)         A
 2 (〃)兎は象ではない。            A
1  (3)   ~象a→~∃y(鼻ya&長y)  1UE
 2 (4)    兎a→~象a          2UE
  5(5)    兎a              A
 25(6)       ~象a          45
125(7)       ~∃y(鼻ya&長y)  36MPP
125(8)       ∀y~(鼻ya&長y)  7量化子の関係
125(9)         ~(鼻ba&長b)  8UE
125(ア)         ~鼻ba∨~長b   ド・モルガンの法則
125(イ)          鼻ba→~長b   ア含意の定義
125(ウ)       ∀y(鼻ya→~長y)  イUI
12 (エ)    兎a→∀y(鼻ya→~長y)  5ウCP
12 (オ)∀x{ 兎x→∀y(鼻yx→~長y)} エUI
12 (〃)すべてのxについて{xが兎であるならば、すべてのyについて(yがxの鼻であるならば、yは長くない)}。 エUI
12 (〃)xが兎であって、yがxの鼻であるならば、yは長くない。 エUI
といふ「計算」の、
1  (1)象が鼻は長い。             A
1  (〃)∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)} A
といふ「仮定」を、
1  (1) 象が鼻は長い。             A
1  (〃) ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)}   A
といふ「仮定」に、「差し替へ」たとしても、「結論」は「同じ」である。
従って、
(12)(18)により、
(19)
(1)象が鼻は長い。然るに、
(2)兎は象ではない。故に、
(3)兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」を行ひたいのであれば、
(1)象が鼻は長い。
といふ「日本語」は、
(1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)} 
(〃)すべてのxについて{xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって、yは長い}。
といふ風に、「翻訳」することになる。
然るに、
(01)(16)により、
(20)
1     (1)象が鼻が長い。                                     A
1     (〃)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}              A
1     (2)   象a⇔∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)               1UE             
1     (3)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∃y(鼻ya&長y)→象a&∀z(~鼻za→~長z) 2Df.⇔
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)                            3&E
1     (5)                            象a&∀z(~鼻za→~長z) 3&E
1     (6)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)               45&I
1     (7)∀x{象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)               6UI
従って、
(01)(20)により、
(21)
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2    (2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。            A
 2    (〃)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)ある兎は象である。                      A
  3   (〃)∃x(兎x&象x)                      A
  3   (〃)あるxは兎であって象である。                 A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  1UE
   6  (6)   兎a&象a                       A
   6  (7)   兎a                          6&E
   6  (8)      象a                       6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)               9&E
 2 6  (ウ)      ∃y(耳ya&長y)               ア&E
    エ (エ)         鼻ba&長b                A
     オ(オ)         耳ba&長b                A
1  6  (カ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
1  6  (キ)                    ~鼻ba→~長b   カUE
 2 6  (ク)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    耳ba→~鼻ba   クUE
    オ (コ)                    耳ba        オ&E
 2 6オ (サ)                        ~鼻ba   ケコMPP
12 6オ (シ)                         ~長b   キサコMPP
    オ (ス)             長b                オ&E
12 6オ (セ)             長b&~長b            シス&I
12 6  (ソ)             長b&~長b            ウオセEE
123   (タ)             長b&~長b            36ソEE
12    (チ)~∃x(兎x&象x)                     3タRAA
12    (ツ)∀x~(兎x&象x)                     チ量化子の関係
12    (テ)  ~(兎a&象a)                     ツUE
12    (ト)  ~兎a∨~象a                      テ、ド・モルガンの法則
12    (ナ)   兎a→~象a                      ト含意の定義
12    (ニ)∀x(兎x→~象x)                     ナUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。   ナUI
12    (〃)兎は象ではない。                       ナUI
といふ「計算」の、
1     (1)象は鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
といふ「仮定」を、         
1     (1)象が鼻が長い。                        A
1     (〃)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
といふ「仮定」に、「差し替へ」たとしても、「結論」は「同じ」である。
従って、
(03)(21)により、
(22)
(1)象が鼻が長い。然るに、
(2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。故に、
(3)兎は象ではない。
といふ「推論(三段論法)」を行ひたいのであれば、
(1)象が鼻が長い。
といふ「日本語」は、
(1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ風に、「翻訳」することになる。
然るに、
(23)
(1)象が鼻は長い。然るに、
(2)兎は象ではない。故に、
(3)兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」や、
(1)象が鼻が長い。然るに、
(2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。故に、
(3)兎は象ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、明らかに、「妥当(Valid)」である。
然るに、
(24)
(1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)}。然るに、
(2)∀x(兎x→~象x)。故に、
(3)∀x{兎x→∀y(鼻yx→~長y)}。
といふ「推論(三段論法)」や、
(1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。故に、
(3)∀x(兎x→~象x)。
といふ「推論(三段論法)」も、「妥当(Valid)」である。
従って、
(18)(20)(23)(24)により、
(25)
(1)象が鼻は長い。
(2)兎は象ではない。
(3)兎の鼻は長くない。
といふ「日本語」が、
(1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)}。
(2)∀x(兎x→~象x)。
(3)∀x{兎x→∀y(鼻yx→~長y)}。
といふ「述語論理」に、対応せず、
(1)象は鼻が長い。
(2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。
(3)兎は象ではない。
といふ「日本語」が、、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。
(3)∀x(兎x→~象x)。
といふ「述語論理」に、対応しない。
といふことは、有り得ない。と、言ふべきである。
然るに、
(01)により、
(26)
(1)象は鼻が長い。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
従って、
(26)により、
(27)
(1)∀x{象x→
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、
といふ風に、最初に、言明してゐるため、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
といふ「文」は、「最初に、その文の内容の範囲を、象に、限定してゐる」。
然るに、
(28)
(Ⅰ)象が鼻が長い。
(〃)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyがxの鼻であって、yが長く、xが象でないならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長くなく、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
従って、
(28)により、
(29)
(Ⅰ)∀x{象x⇔
(〃)∀x{象x→ & ~象x→
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、& xが象でないならば、
といふ風に、最初に、言明してゐるため、
(Ⅰ)象が鼻が長い。
(〃)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyがxの鼻であって、yが長く、xが象でないならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長くなく、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
といふ「文」は、「最初に、その文の内容の範囲を、象に、限定してゐる」とは、言へない。
然るに、
(30)
「は」の基本的な性質は、主題を表すことです。主題というのは文の最初にあって、その文で述べる内容の範囲を限定するものです。
(白川博之 監修、中上級を教える人のための、日本語文法ハンドブック、2001年、314頁)
従って、
(26)~(30)により、
(31)
主題というのは文の最初にあって、その文で述べる内容の範囲を限定するものです。
といふ「定義」からすれば、
(1)象は鼻が長い。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長く、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことはない}。
といふ「日本語」に於いて、「象」は、「主題」であるが、
(Ⅰ)象が鼻が長い。
(〃)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y&)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
(〃)すべてxについて{xが象であるならば、あるyがxの鼻であって、yが長く、xが象でないならば、あるyはxの鼻であって、そのyは長くなく、あるzがxの鼻でなく、尚且つ、長い。といふことは
といふ「日本語」に於いて、「象」は、「主題が」ではない。

(118)「こんにゃく文」と「述語論理」。

2018-12-06 18:36:42 | 「は」と「が」
(01)
① こんにゃくは太らない。
もちろん、この文が問題となるのは、「太らない」のが「こんにゃく」ではなく、それを食べる人間様の場合である。
(金谷武洋、日本語文法の謎を解く、2003年、84頁改)
従って、
(01)により、
(02)
① こんにゃくは太らない。といふのであれば、
① こんにゃくが存在するならば、ある人が存在して、その人はこんにゃくを食べ、その人は太らない。
然るに、
(03)
1  (1)∀x{蒟蒻x→ ∃y(人y&食yx&~太y)} A
1  (2)   蒟蒻a→ ∃y(人y&食yx&~太y)} 1UE
 3 (3)∃x(蒟蒻x)                 A
  4(4)   蒟蒻a                  A
1 4(5)        ∃y(人y&食yx&~太y)  24MPP
13 (6)        ∃y(人y&食yx&~太y)  345EE
1  (7)∃x(蒟蒻x)→∃y(人y&食yx&~太y)  36CP
1  (〃)あるxが蒟蒻であるならば、あるyは人であって、yはx(蒟蒻)を食べ、yは太らない。 36CP
1  (〃)こんにゃくが存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻を食べ、その人は太らない。 36CP
といふ「述語計算」は、「正しい」。
然るに、
(04)
① 蒟蒻が存在するならば、ある人が存在して、その人はこんにゃくを食べ、その人は太らない。
といふことは、要するに、
① 蒟蒻は太らない。
といふことである。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 蒟蒻は太らない=∀x{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(06)
1  (1)∀x{~蒟蒻x→ ∃y(人y&食yx&太y)}    A
1  (2)   ~蒟蒻a→ ∃y(人y&食yx&太y)}    1UE
 3 (3)∃x(~蒟蒻x&食物x)               A
  4(4)   ~蒟蒻a&食物a                A
  4(5)   ~蒟蒻a                    4&E
1 4(6)         ∃y(人y&食yx&太y)     25MPP
13 (7)         ∃y(人y&食yx&太y)     34EE
1  (8)∃x(~蒟蒻x&食物x)→∃y(人y&食yx&太y) 37CP
1  (〃)あるxが蒟蒻でない食べ物であるならば、あるyは人であって、yはx(蒟蒻でない食べ物)を食べ、yは太る。 36CP
1  (〃)蒟蒻でない食べ物が存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻でない食べ物を食べて、その人は太る。 3CP
然るに、
(07)
② 蒟蒻でない食べ物が存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻でない食べ物を食べて、その人は太る。
といふことは、要するに、
② 蒟蒻以外は太る。
といふことである。
然るに、
(08)
②{蒟蒻、饅頭、御飯、お好み焼き、ラーメン}といふ「変域」を想定して、
② 蒟蒻以外は太る。
といふことは、
② 蒟蒻が太らない。
といふことである。
従って、
(05)~(08)により、
(09)
① 蒟蒻は太らない=∀x{ 蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
② 蒟蒻が太らない=∀x{~蒟蒻x→∃y(人y&食yx& 太y)}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(10)
1  (1)∀x{~蒟蒻x→ ∃y(人y&食yx&~太y)}    A
1  (2)   ~蒟蒻a→ ∃y(人y&食yx&~太y)}    1UE
 3 (3)∃x(~蒟蒻x&食物x)                A
  4(4)   ~蒟蒻a&食物a                 A
  4(5)   ~蒟蒻a                     4&E
1 4(6)         ∃y(人y&食yx&~太y)     25MPP
13 (7)         ∃y(人y&食yx&~太y)     34EE
1  (8)∃x(~蒟蒻x&食物x)→∃y(人y&食yx&~太y) 37CP
1  (〃)あるxが蒟蒻でない食べ物であるならば、あるyは人であって、yはx(蒟蒻でない食べ物)を食べ、yは太らない。 36CP
1  (〃)蒟蒻でない食べ物が存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻でない食べ物を食べて、その人は太らない。 3CP
然るに、
(11)
③ 蒟蒻でない食べ物が存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻でない食べ物を食べて、その人は太らない。
といふことは、要するに、
③ 蒟蒻以外も太らない。
といふことである。
然るに、
(12)
① 蒟蒻は太らない。
といふ「前提」のもとで、
③ 蒟蒻以外も太らない。
といふのであれば、
③ 蒟蒻も太らない。
といふことになる。
然るに、
(09)~(12)により、
(13)
① 蒟蒻は太らない=∀x{ 蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
② 蒟蒻が太らない=∀x{~蒟蒻x→∃y(人y&食yx& 太y)}。
③ 蒟蒻も太らない=∀x{~蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
といふ「等式」が、成立する(はずである)。
然るに、
いづれにせよ、
(14)
① 蒟蒻は太らない=∀x{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
① 蒟蒻は太らない=すべてのxについて{xが蒟蒻であるならば、あるyは人であって、yはxを食べ、yは太らない}。
といふ「等式」は、「正しい」。
然るに、
(15)
1  (1)大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
1  (〃)  ∀x{大A帝国x→∃y(女王陛下y&統治yx)} A
1  (〃)すべてのxについて{xが大A帝国であるならば、あるyは女王陛下であって、yはxを統治する}。 A
1  (2)     大A帝国a→∃y(女王陛下y&統治ya)  1UE
 3 (3)     大A帝国a                 A
  4(4)          ~∃y(女王陛下y&統治ya)  A
13 (5)           ∃y(女王陛下y&統治ya)  23MPP
134(6)          ~∃y(女王陛下y&統治ya)&
                 ∃y(女王陛下y&統治ya)  45&I
1 4(7)    ~大A帝国a                 36RAA
1  (8)   ~∃y(女王陛下y&統治ya)→~大A帝国a  47CP
1  (9)∀x{~∃y(女王陛下y&統治yx)→~大A帝国x} 8UI
1  (〃)すべてのxについて{あるyが女王陛下であって、そのyがxを統治しないのであれば、xは大A帝国ではない}。 8UI
1  (〃)女王陛下が統治しない国は大A帝国ではない。
従って、
(15)により、
(16)
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す=∀x{大A帝国x→∃y(女王陛下y&統治yx)}。 A
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す=すべてのxについて{xが大A帝国であるならば、あるyは女王陛下であって、yはxを統治する}。
然るに、
(17)
1  (1)象は長い鼻を持つ。
1  (〃)Elephants have long noses.
1  (〃) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}  A
1  (〃) すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長い}。 A
1  (2)    象a→∃y(鼻ya&長y)   1UE
 3 (3)    象a              A
  4(4)      ~∃y(鼻ya&長y)   A
13 (5)       ∃y(鼻ya&長y)   23MPP
134(6)      ~∃y(鼻ya&長y)&
             ∃y(鼻ya&長y)   45&I
1 4(7)   ~象a              36RAA
1  (8)   ~∃y(鼻ya&長y)→~鼻a  47CP
1  (9)∀x{~∃y(鼻ya&長y)→~鼻a} 4UI
従って、
(18)
⑤ 象は長い鼻を持つ=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
⑤ 象は長い鼻を持つ=すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長い}。
従って、
(14)(16)(18)により、
(19)
① 蒟蒻は太らない。
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
⑤ 象は長い鼻を持つ。
といふ「日本語」は、「述語論理的」には、三つとも、
①   蒟蒻は、      太らない=∀x{  蒟蒻x→∃y(・・・・・)}。
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す=∀x{大A帝国x→∃y(・・・・・)}。
⑤    象は     長い鼻を持つ=∀x{   象x→∃y(・・・・・)}。
といふ風に、「同型」である。
従って、
(20)
「こんにゃく文」といふ「用語」を作り、
① 蒟蒻は太らない。
といふ「日本語」だけを、
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
⑤ 象は長い鼻を持つ。
といふ「日本語」と、「区別」することは、「述語論理的」には、ヲカシイ
(20)
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
といふ「日本語」は、
④ ∀x{大A帝国x→∃y(女王陛下y&統治yx)}。
すべてのxについて{xが大A帝国であるならば、あるyは女王陛下であって、yはxを統治する}。
と「等しい」のであれば
④ 女王陛下、大A帝国を統治する。
といふ「意味」であって、
④ ∀x{大A帝国x→∃y(女王陛下y&統治yx)&∀z(z≠y→~統治zx)}。
④ すべてのxについて{xが大A帝国であるならば、あるyは女王陛下であって、yはxを統治し、すべてのzについて、zがyでないならば、zはxを統治しない}。
と「等しい」のであれば
④ 女王陛下、大A帝国を統治する。
といふ「意味」である。
従って、
(20)により、
(21)
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
といふ「日本語」は、
④ 女王陛下は(が)、大A帝国を統治する。
といふ「意味」である。
従って、
(22)
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
といふ「日本語」は、
④ 大A帝国は(が)、女王陛下を統治す。
といふ「意味」ではない。
同様に、
(23)
① 蒟蒻は太らない。
といふ「日本語」は、
① 蒟蒻は(が)、太らない。
といふ「意味」ではない。
従って、
(24)
① 蒟蒻は太らない。
といふ「日本語」は、
① 蒟蒻は(が)、太らない。
といふ「意味」ではない。
といふことが、ヲカシイとするならば、
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
といふ「日本語」も、ヲカシイと、すべきである。

(116)「含意の定義」と「プリンキピア・マテマティカの公理(1)」について。

2018-12-02 19:04:20 | 論理
(01)
(ⅰ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Aでない、でない。であるならば、Bである。従って、
Aである。    であるならば、Bである。従って、
Aであるならば、Bである。
(ⅱ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Aでない。 ならば、Bであるのか、Bでないのかは、分からない。
(ⅲ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Bである。でない。であるならば、Aでない。従って、
Bでない。    であるならば、Aでない。従って、
Bでないならば、Aでない。
(ⅳ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Bである。 ならば、Aでないのか、Aであるのかは、分からない。
従って、
(01)により、
(02)
「Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。」
のであれば、
(ⅰ)Aであるならば、Bである。
(ⅱ)Aでない。ならば、Bであるのか、Bでないのかは、分からない。
(ⅲ)Bでないならば、Aでない。
(ⅳ)Bである。ならば、Aでないのか、Aであるのかは、分からない。
といふ、ことになる。
然るに、
(03)
「AならばBであ(り、BならばAであ)る。」
といふことは、
(ⅰ)Aであるならば、Bである。
(ⅱ)Aでないならば、Bでない。
(ⅲ)Bでないならば、Aでない。
(ⅳ)Bであるならば、Aでない。
といふことに、他ならない。
従って、
(02)(03)により、
(04)
「Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。」
といふことは、
「Aならば、Bである。」
といふことに、他ならない。
然るに、
(05)
① AならばBである。
② Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。
といふ「日本語」は、
① A→B
② ~A∨B
といふ「論理式」に、相当する。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① A→B=AならばBである。
② ~A∨B=Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。
に於いて、
①=② であるものの、このことを、「含意の定義」と言ふ。
然るに、
(07)
(a)
1 (1)A→ B A
 2(2)A&~B A
 2(3)A    2&E
 2(4)  ~B 2&E
12(5)   B 13MPP
12(6)~B&B 45&I
1 (7) ~~B 46RAA
1 (8)   B 7DN
1 (9)~A∨B 8∨I
(b)
1     (1) ~A∨ B   A
 2    (2)  A&~B   A
  3   (3) ~A      A
 2    (4)  A      2&E
 23   (5) ~A&A    34&I
  3   (6)~(A&~B)  25RAA
   7  (7)     B   A
 2    (8)    ~B   2&E
 2 7  (9)  B&~B   78&I
   7  (ア)~(A&~B)  29RAA
1     (イ)~(A&~B)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  A      A
     エ(エ)    ~B   A
    ウエ(オ)  A&~B   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(A&~B)&
           A&~B   イオ&I
1   ウ (キ)   ~~B   エカRAA
1   ウ (ク)     B   キDN
1     (ケ)  A→ B   ウクCP
従って、
(07)により、
(08)
① A→B=AならばBである。
② ~A∨B=Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。
に於いて、
①ならば、②であり、
②ならば、①である。
従って、
(08)により、
(09)
① A→B=AならばBである。
② ~A∨B=Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(10)
(a)
1 (1)A→ B A
 2(2)A&~B A
 2(3)A    2&E
 2(4)  ~B 2&E
12(5)   B 13MPP
12(6)~B&B 45&I
1 (7) ~~B 46RAA
1 (8)   B 7DN
1 (9)~A∨B 8∨I
といふ「それ」を、「日本語」に訳すと、
1 (1)AならばBである。   と仮定する。
 2(2)AであってBでない。  と仮定する。
 2(3)Aである。       2で&Eを行った。
 2(4)Bでない。       2で&Eを行った。
12(5)Bである。       1と3でMPPを行った。
12(6)BでないがBである。  4と5で&Iを行った。
1 (7)Bでないでない。    4と6でRAAを行った。
1 (8)Bである。       7でDNを行った。
1 (9)Aでないか、Bである。 8で∨Iを行った。
といふ風に、訳すことになる。
(11)
(b)
1     (1) ~A∨ B   A
 2    (2)  A&~B   A
  3   (3) ~A      A
 2    (4)  A      2&E
 23   (5) ~A&A    34&I
  3   (6)~(A&~B)  25RAA
   7  (7)     B   A
 2    (8)    ~B   2&E
 2 7  (9)  B&~B   78&I
   7  (ア)~(A&~B)  29RAA
1     (イ)~(A&~B)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  A      A
     エ(エ)    ~B   A
    ウエ(オ)  A&~B   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(A&~B)&
           A&~B   イオ&I
1   ウ (キ)   ~~B   エカRAA
1   ウ (ク)     B   キDN
1     (ケ)  A→ B   ウクCA
といふ「それ」を、「日本語」に直しても、(10)のやうな、「調子」なるし、因みに言ふと、
(b)
1     (1) ~A∨ B   A
 2    (2)  A&~B   A
  3   (3) ~A      A
 2    (4)  A      2&E
 23   (5) ~A&A    34&I
  3   (6)~(A&~B)  25RAA
   7  (7)     B   A
 2    (8)    ~B   2&E
 2 7  (9)  B&~B   78&I
   7  (ア)~(A&~B)  29RAA
1     (イ)~(A&~B)  1367ア∨E
の「部分」は、
1     (1) ~A∨ B   A
1     (2)~(A&~B)  1ド・モルガンの法則
といふ風に、「まとめる」ことも、出来る。
然るに、
(12)
「ド・モルガンの法則」を、「日常的に、意識すること」は、「普通はない」。
従って、
(01)(09)~(12)により、
(13)
① A→B=AならばBである。
② ~A∨B=Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。
に於いて、
①=② であるものの、
(ⅰ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Aでない、でない。であるならば、Bである。従って、
Aである。    であるならば、Bである。従って、
Aであるならば、Bである。
(ⅱ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Aでない。 ならば、Bであるのか、Bでないのかは、分からない。
(ⅲ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Bである。でない。であるならば、Aでない。従って、
Bでない。    であるならば、Aでない。従って、
Bでないならば、Aでない。
(ⅳ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Bである。 ならば、Aでないのか、Aであるのかは、分からない。
といふ「証明」と、
(a)
1 (1)A→ B A
 2(2)A&~B A
 2(3)A    2&E
 2(4)  ~B 2&E
12(5)   B 13MPP
12(6)~B&B 45&I
1 (7) ~~B 46RAA
1 (8)   B 7DN
1 (9)~A∨B 8∨I
(b)
1     (1) ~A∨ B   A
 2    (2)  A&~B   A
  3   (3) ~A      A
 2    (4)  A      2&E
 23   (5) ~A&A    34&I
  3   (6)~(A&~B)  25RAA
   7  (7)     B   A
 2    (8)    ~B   2&E
 2 7  (9)  B&~B   78&I
   7  (ア)~(A&~B)  29RAA
1     (イ)~(A&~B)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  A      A
     エ(エ)    ~B   A
    ウエ(オ)  A&~B   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(A&~B)&
           A&~B   イオ&I
1   ウ (キ)   ~~B   エカRAA
1   ウ (ク)     B   キDN
1     (ケ)  A→ B   ウクCA
といふ「証明」とは、「全く、似てゐない」。
然るに、
(14)
(ⅰ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Aでない、でない。であるならば、Bである。従って、
Aである。    であるならば、Bである。従って、
Aであるならば、Bである。
(ⅱ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Aでない。 ならば、Bであるのか、Bでないのかは、分からない。
(ⅲ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Bである。でない。であるならば、Aでない。従って、
Bでない。    であるならば、Aでない。従って、
Bでないならば、Aでない。
(ⅳ)
Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。従って、
Bである。 ならば、Aでないのか、Aであるのかは、分からない。
といふ「日本語」は、例へば、「英語や、フランス語や、ウェールズ語や、ナバホ語や、ピダハン語や、ヒシカリアナ語や、アラビア語」にも、「翻訳」できなければ、ならない。
従って、
(14)
① A→B=AならばBである。
② ~A∨B=Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。
に於いて、
①=② であることは、「英語や、フランス語や、ウェールズ語や、ナバホ語や、ピダハン語や、ヒシカリアナ語や、アラビア語」に於いても、さうでなければ、ならない。
従って、
(06)(14)により、
(15)
① A→B=AならばBである。
② ~A∨B=Aでないか、Bであるか、少なくとも、その一方は正しい。
に於いて、
①=② である。といふ「含意の定義」は、「全世界的に、正しい」と、すべきである。
然るに、
(16)
1(1)  P→(Q→P)  A
1(〃)Pならば(QならばPである)。
1(2) ~P∨(Q→P)  1含意の定義
1(3) ~P∨(~Q∨P) 2含意の定義
1(4) ~P∨(P∨~Q) 3交換法則
1(5)(~P∨P)∨~Q  4結合法則
1(〃)(Pでないか、Pである。)か、Qでないか、少なくとも、その一方は正しい。
従って、
(17)
「Pならば(QならばPである)。」といふ、幾分、不思議な感じがする「ルカジェヴィッツの公理(1)」は、要するに、
「(Pでないか、Pである。)か、Qでないか、少なくとも、その一方は正しい。」といふことは、「常に正しい」。
といふことに、他ならない。
然るに、
(18)
1 (1) ~(~P∨P)        A
 2(2)   ~P           A
 2(3)   ~P∨P         2∨I
12(4) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)        13&I
1 (5)  ~~P           24RAA
1 (6)    P           5DN
1 (7)   ~P∨P         6∨I
1 (8) ~(~P∨P)&
       (~P∨P)        17&I
  (9)~~(~P∨P)        18RAA
  (ア)   ~P∨P         9DN
  (イ)   ~P∨P∨~Q      ア∨I
  (ウ)   ~P∨~Q∨P      イ交換法則
  (エ)   ~P∨(~Q∨P)    ウ結合法則
  (カ)    P→(~Q∨P)    エ含意の定義
  (キ)    P→(Q→P)     カ含意の定義
  (〃)Pならば(QならばPである)。 カ含意の定義
  (〃)Pならば(QならばPである)。 は「ルカジェヴィッツの公理(1)」である。
然るに、
(19)
自然演繹論理のあるバージョンには、公理が存在しない。ジョン・レモンが開発した体系 L は、証明の構文規則に関する次のような10個の基本的規則だけを持つ。
仮定の規則 "The Rule of Assumption" (A)
モーダスポネンス "Modus Ponendo Ponens" (MPP)
モーダストッレンス"Modus Tollendo Tollens"(MTT)
二重否定の規則 "The Rule of Double Negation" (DN)
条件付き証明の規則 "The Rule of Conditional Proof" (CP)
&-導入の規則 "The Rule of &-introduction" (&I)
&-除去の規則 "The Rule of &-elimination" (&E)
∨-導入の規則 "The Rule of ∨-introduction" (∨I)
∨-除去の規則 "The Rule of ∨-elimination" (∨E)
背理法 "Reductio Ad Absurdum" (RAA)
(ウィキペディア改)
従って、
(17)(18)(19)により、
(20)
「Pならば(QならばPである)。」といふ、幾分、不思議な感じがする「ルカジェヴィッツの公理(1)」は、E.J.レモンによる、「10個の基本的規則」で「証明」出来る。
(21)
1(1) (P∨P)→P は、「プリンキピア・マテマティカの公理(1)」である。
1(3)~P&~P ∨P 2ド・モルガンの法則
1(4)   ~P ∨P 3反復律
1(〃)   ~P ∨P は、「排中律」である。
1(5)    P→ P 5含意の定義
1(〃)    P→ P は、「同一律」である。
従って、
従って、
(18)(21)により、
(22)
「PかPならばPである。」といふ、「プリンキピア・マテマティカの公理(1)」も、「E.J.レモンによる、「10個の基本的規則」で「証明」出来る。

(115)「馬の頭」と「象の鼻」と「述語論理」。

2018-12-01 14:47:04 | 「は」と「が」
(01)
① ∀x(馬x→動x)。
② ∀x{∃y(馬y&頭xy)→∃y(動y&頭xy)}。
といふ「述語論理」は、それぞれ、
① いかなるxであっても{xが馬であるならが、xは動物である}。
② いかなるxであっても{xが馬である所のあるyの頭であるならば、xは動物である所のあるyの頭である}。
といふ「日本語」に、対応します。
然るに、
(02)
① いかなるxであっても{xが馬であるならが、xは動物である}。
② いかなるxであっても{xが馬である所のあるyの頭であるならば、xは動物である所のあるyの頭である}。
といふことは、要するに、
① すべての馬は動物である。
② すべての馬の頭は動物の頭である。
といふことです。
然るに、
(03)
ド・モルガンが明らかに健全であるにもかかわらず、伝統的論理学のなかでは取り扱うことができなかった論証として挙げた、有名な、また簡単な論証がある。
(1)すべての馬は動物である。故にすべての馬の頭は動物の頭である。
― 10行、中略、―
123 ∀x(馬x→動x)├ ∀x{∃y(馬y&頭xy)→∃y(動y&頭xy)}
1  (1)   ∀x(馬x→動x)               A
 2 (2)   ∃y(馬y&頭ay)              A
  3(3)      馬b&頭ab               A
  3(4)      馬b                   3&E
  3(5)         頭ab               3&E
1  (6)      馬b→動b                1UE
1 3(7)         動b                46MPP
1 3(8)      動b&頭ab               57&I
1 3(9)   ∃y(動y&頭ay)              8EI
12 (ア)   ∃y(動y&頭ay)              239EE
1  (イ)   ∃y(馬y&頭ay)→∃y(動y&頭ay)   2アCP
1  (ウ)∀x{∃y(馬y&頭xy)→∃y(動y&頭xy)}  イUI
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、167頁改)
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
(1)All horses are animals; therefore all horses' heads are animals' heads.
(〃)すべての馬は動物である。故にすべての馬の頭は動物の頭である。
といふ「論証」は、「英語」としても、「日本語」としても、「述語論理」としても、「妥当(Valid)」である。
(04)
① ∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}。
② ∀y{兎y→~象y}。
③ ∀x{∃y( 兎y&鼻xy)→~長x}。
といふ「述語論理」は、
① いかなるxであっても{xが、ある象ではない(動物)である所のyの鼻であるならば、xは長くない}。
② いかなるyであっても{yが兎であるならば、yは象ではない}。
③ いかなるxであっても{xが、ある兎である所のyの鼻であるならば、xは長くない}。
といふ「日本語」に、対応します。
然るに、
(05)
① いかなるxであっても{xが、ある象ではない所のyの鼻であるならば、xは長くない}。
② いかなるyであっても{yが兎であるならば、yは象ではない}。
③ いかなるxであっても{xが、ある兎である所のyの鼻であるならば、xは長くない}。
といふことは、要するに、
① 鼻長い。
② すべての兎は象ではない。
③ すべての兎の鼻は長くない。
といふことです。
cf.
① サンマ目黒美味い(サンマは目黒限る)。⇔
① ∀x{∃y(~目黒y&サンマxy)→~美味x}。⇔
① いかなるxであっても{xが、目黒ではない所のyのサンマであるならば、xは美味くない}。
然るに、
(06)
1   (1)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x} A
 2  (2)∀y{兎y→~象y}          A
  3 (3)∃y(兎y&鼻ay)          A
1   (4)   ∃y(~象y&鼻ay)→~長a  1UE
 2  (5)   兎b→~象b           2UE
   6(6)   兎b&鼻ab           A
   6(7)   兎b               6&E
12 6(8)      ~象b           57MPP
   6(9)      鼻ab           7&E
12 6(ア)      ~象b&鼻ab       89&I
12 6(イ)   ∃y(~象y&鼻ay)      アEI
123 (ウ)   ∃y(~象y&鼻ay)      36イEE
123 (エ)               ~長a  4ウMPP
12  (オ)   ∃y( 兎y&鼻ay)→~長a  3エCP
12  (カ)∀x{∃y( 兎y&鼻xy)→~長x} オUI
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
(1)すべての馬は動物である。故にすべての馬の頭は動物の頭である。
(2)鼻は象が長い。然るに、すべての兎は象ではない。故に、すべての兎の鼻は長くない。
といふ「論証」は、「日本語」としても、「述語論理」としても、「妥当(Valid)」である。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
(a)
1  (1)   ∀x(馬x→動x)               A
 2 (2)   ∃y(馬y&頭ay)              A
  3(3)      馬b&頭ab               A
  3(4)      馬b                   3&E
  3(5)         頭ab               3&E
1  (6)      馬b→動b                1UE
1 3(7)         動b                46MPP
1 3(8)      動b&頭ab               57&I
1 3(9)   ∃y(動y&頭ay)              8EI
12 (ア)   ∃y(動y&頭ay)              239EE
1  (イ)   ∃y(馬y&頭ay)→∃y(動y&頭ay)   2アCP
1  (ウ)∀x{∃y(馬y&頭xy)→∃y(動y&頭xy)}  イUI
(b)
1   (1)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x} A
 2  (2)∀y{兎y→~象y}          A
  3 (3)∃y(兎y&鼻ay)          A
1   (4)   ∃y(~象y&鼻ay)→~長a  1UE
 2  (5)   兎b→~象b           2UE
   6(6)   兎b&鼻ab           A
   6(7)   兎b               6&E
12 6(8)      ~象b           57MPP
   6(9)      鼻ab           7&E
12 6(ア)      ~象b&鼻ab       89&I
12 6(イ)   ∃y(~象y&鼻ay)      アEI
123 (ウ)   ∃y(~象y&鼻ay)      36イEE
123 (エ)               ~長a  4ウMPP
12  (オ)   ∃y( 兎y&鼻ay)→~長a  3エCP
12  (カ)∀x{∃y( 兎y&鼻xy)→~長x} オUI
といふ「計算」に、「マチガイ」が無いならば、
(1)すべての馬は動物である。故にすべての馬の頭は動物の頭である。
(2)鼻は象が長い。然るに、すべての兎は象ではない。故に、すべての兎の鼻は長くない。
といふ「論証」は、「日本語」としても、「述語論理」としても、「妥当(Valid)」である。
然るに、
(08)により、
(09)
(a)
1  (1)   ∀x(馬x→動x)               A

1  (イ)   ∃y(馬y&頭ay)→∃y(動y&頭ay)   2アCP
1  (ウ)∀x{∃y(馬y&頭xy)→∃y(動y&頭xy)}  イUI
(b)
1  (1)∀x{∃y(~象y&鼻xy)→~長x}        A

12 (オ)   ∃y( 兎y&鼻ay)→~長a   3エCP
12 (カ)∀x{∃y( 兎y&鼻xy)→~長x}  オUI
といふことから、分かるやうに、(a)と(b)は、「同じ種類の、計算」である上に、私には、(a)に限らず、(b)の「計算」に、「マチガイ」があるとは、思へない。
仮りに、
(10)
「結果」として、
(a)の「計算」を「手本」にして行った、
(b)の「計算」に、「マチガイ」があるならば、
(2)鼻は象が長い。然るに、すべての兎は象ではない。故に、すべての兎の鼻は長くない。
といふ「論証」は、「日本語」としては、「妥当(Valid)」であるが、「述語論理」としては「妥当(Valid)」ではない。
といふことになり、それ故、残念なことに、「鼻は象が長い。」といふ「日本語」は、「非論理的な表現」である。といふ風に、言はざるを得ない。