
尾鷲から大曽根浦を経由して,国道311号線に合流する頃には,辺りは暗くなり始めていた.真冬になると16時も過ぎると,もうすっかり陽が暮れてしまう.寄り道はせずに,国道のワイディングロードを南に向かって駆け抜けていく.

陽が暮れだすと,寒さも一段と厳しくなる.オートバイで走行中,鼻水が出てきて仕方がない.でも,見ておきたい風景があって,宿よりも南にある波田須海岸が見える場所までやってきた.夕暮れ時の波田須海岸もとても素敵だと思う.

いつもは,波田須海岸の下の方まで下りて行くのだけれど,今回は時間と尿意の関係から波田須神社でお参りしてから,宿へ向かうことにした.波田須神社の鳥居横にある簡易トイレで用を済ませてから,参拝するため階段を上っていく.

波田須神社については,情報が全くなくて,1064年頃に創建されたということしか分からない.階段を上った先には,拝殿のような入口の閉ざされたお社がある.そして,そのお社の横を回って奥へ行くと,本殿と思われる白塗りのお社が現れる.

波田須神社は海の見える海岸線の小高い丘の上にあって,とても静かなところだった.さて,参拝も済ませたことだし,暗くなる前に宿へ急ぐことにしよう.

今度は宿へ向けて海岸線を北上していく.辺りはどんどん暗くなっていくが,ここは紀伊半島の東海岸だから日没を見ることはできない.ちょうど二木島湾の甫母町を通り過ぎた頃,山の向こう側の空がピンク色に染まり,陽が暮れたようだった.

暗くなる前に無事,宿のある賀田湾に到着することができた.宿では,体温が下がり過ぎていて,非接触式の温度計で熱が測れないというハプニングもあったが,宿の方たちが暖かに出迎えてくれた.部屋で一息つく頃には,賀田湾の上空に月が煌々と輝いていた.
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