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志摩半島から国道260号線を南下し,国道42号線を経由して尾鷲までやってきた.いつもは尾鷲港で休憩して,国道311号線を南下していくのだけれど,今回は久しぶりに尾鷲港の南側に位置する大曽根浦に寄ってみた.
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この大曽根浦から三重県道のr778が,海岸線の絶壁の上を縫うように走っている.国道311号線の八鬼山トンネルが1992年に完成するまでのあいだは,この道が国道として利用されていたそうだ.
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今となっては,この道路を利用しているのは林業関係者だけだと思われる.または,自分のように静かできれいな景色を求めるライダーかドライバーがたまに訪れるくらいだろう.道はいわゆる険道と言われる状態だ.
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そして,道路は山の斜面を背にし,東に面しているので,正午を過ぎるとすぐに暗くなってしまう.とにかく幅員狭小で,生い茂るシダがさらに道を狭くしている感がある.また,雷橋やら無名橋など橋の名前の標識がやたらと多く存在する道路でもある.
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ただ,狭かったり,暗かったりする道路ではなく,峠のピークでは尾鷲湾,そして熊野灘を一望できる素晴らしい場所がある.この景色を見たいがゆえに,この道を好んで走っている者がいても別に不思議ではないと思う.
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この場所から,須賀利のリアス式海岸の先端が見えるし,その向こう側には紀伊長島方面の海岸線を一望できる.本当に浜辺と言うものがなく,急峻な山中海岸が続いているのがわかる.
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須賀利の入り組んだリアス式海岸の間からは,山の斜面に建ち並ぶ町の様子も見てとれた.真冬なのに青々とした常緑樹林がうっそうと茂っているのが,とても印象的だ.これぞ紀伊半島という感じがする.
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佐波留島越しには,尾鷲湾の穏やかな海に養殖のいけすが浮かんでいる.尾鷲ではブリの養殖に力を入れているらしい.そして,海はまさに紺碧色を呈していて,とても美しく見えた.
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東の方角にも,紺碧の熊野灘が水平線の先まで広がっている.依然としては雲は多く,寒さも厳しいけれど,気持ちのいいオーシャンビューを堪能することができた.さて,そろそろ日も傾いてきたことだし,宿へ向けて少しピッチを上げていくことにしよう.
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