池原ダムからR425を走り,上北山村のツキ谷でオートバイを停めて,千尋滝を目指し山道へと入った.途中から道なき道を進んで行き,20分ほどかけて千尋滝へと到着した.
ものすごい水量,轟音,そして立ち上がる水煙.この圧倒的な迫力の前では,適当な言葉が思い当たらない.立ったまま,ただただ滝を眺め続けるだけだった.
しっかりと滝を目に焼き付けて,来た道を戻ることにした.帰りの道では,来た時と視点が変わることで,道の形跡を確認することができた.どうやら行きの時に通ったところは,道ではなかったようだ.
それにしても,最近の悪天候のせいで,正規のルートが崩れてしまっている可能性がある.滑りやすい岩場が何ヶ所かあって,細心の注意を払いながら通行する必要があった.山を歩き慣れていないライディングシューズを履いたライダーは,今の千尋滝には行かない方がいいかもしれない.
帰りは行きとは違って,20分もかからずに国道まで戻ることができた.それでも正味一時間ほどで,滝のような汗をかいてしまった.そして,千尋滝を見たことによる興奮状態がまだ続いていた.心身ともに休めるために,汗が引くまで何をするでもなく,のんびりと時間をやり過ごすのだった.
身支度を整えた後はオートバイに乗って,水量の多いR425を池原ダムへ向かって戻っていく.道路脇にある砂防堰堤からも大量の水が流れていた.山にしっかりと吸い込まれた大量の雨が滝となり,そして川となり海へ流れていく.水の循環を垣間見るような気がした.
そうして,ようやく池原ダムまで無事に戻ってくることができた.ここまで来て,初めて安堵感を覚えるのだった.時刻は15時を過ぎており,陽も少し傾き始めていた.空はすっかり秋模様で,池原ダムには哀愁が漂っているように見えた.
からりとした秋晴れの日,池原ダムから始まった小さな冒険が人知れず,無事に幕を閉じたのだった.
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