米沢で生まれ育った私ですが、恥ずかしながら高梨利右エ門の名前を知ったのはごく最近のことでした。
数か月前、おしょうしなガイド新人女子の仲間と米沢市内上郷地区、長手の古刹桃源院を訪ました。そのとき案内してくれた先輩ガイドが桃源院境内に置かれたお地蔵様を指して“これは高梨利右エ門ゆかりのお地蔵様”と言われたのです。
高梨利右エ門って誰ですか?とその先輩に尋ねると、このような話を教えてくれました。
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その昔、米沢藩の過酷な年貢の取立てに苦しんでいた屋代郷二井宿の肝煎り高梨利右エ門は、江戸に赴き幕府に米沢藩の暴政を直訴した。利右エ門の訴えは無事幕府に聞き届けられた。しかしその後利右エ門は米沢藩により磔の刑に処せられた。
処刑当日、籠に乗せられ二井宿の処刑場まで連れてゆかれた利右エ門一行。道々では付近の住民が皆涙しながら行列を見送った。その行程で休憩した6か所に後世それぞれお地蔵様が作られた。
また学業の神さまで有名な高畠町の亀岡文珠にも高梨利右エ門も供養塔がある。しかしその供養塔には米沢藩を憚って高梨利右エ門の名前は無く、その代り「極悪人の碑」とだけ刻まれている。
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この日知った高梨利右エ門の話は、その後もずっと私のなかで印象に残っていました。
そしてその後たまたま夫が伊豆から帰省していたある日の朝、夫がちょっとした用事で高畠町方面に行くというので、ついでに私も車に同乗して一緒に高梨利右エ門の六地蔵めぐりをしてみようと思い立ったのでした。
といっても桃源院以外の五つのお地蔵様がある場所についての資料は桃源院のお地蔵様のそばに設置してあった案内看板の文章だけ。ほぼおおまかな地名しか分かりません。
それでもなんとかなるだろうと(笑)、勘を頼りに出発です。
1、米沢市川井・桃源院境内
2、長手・梓川橋のほとり
3、高畠町馬頭・馬頭橋ほとり
4、高畠町亀岡・三の分かれ目
5,高畠町泉岡・松岩院境内
途中には、亀岡文珠に立ち寄って高梨利右エ門の供養塔にも参拝。
ガイドの先輩が言われていた通り、碑自体には高梨利右エ門の名前はありません。
こちらは二井宿小学校の裏にある高梨利右エ門報 大酬恩碑
碑の右わきにしゃがみこんで石板を読んでいる夫と比べるとこの石碑のなんと巨大なこと。。。
ここまではとても順調にお地蔵様を見つけながら進むことができました。
ほとんど迷うことなく5か所のお地蔵様を探し出せたのは、ひとえに人一倍勘がいい夫のおかげです(笑)
私一人だったらここまで来るのに丸三日くらいかかったと思います(汗)
ところがこの先、利右エ門が処刑された場所にある最後のお地蔵様を見つけるのが大変でした。
処刑場の場所がネットの地図に載っていないのです。
そこで、畑で仕事をしていた人や郵便局の職員さんなど地元の方々に教えてもらい、車一台分しかない狭い山道にヒヤヒヤしつつ(;'∀')、なんとか処刑場を探し出しました。
一の坂処刑場への登り口
登山靴を履いてくればよかった、と一瞬後悔。
でも処刑場はここから僅か十数メートル歩いただけであっけなく到着しました。よかった~(涙)
高畠町二井宿古道・一の坂処刑場跡
高梨利右エ門が処刑された利右エ門最期の地です。
六個目、最後のお地蔵様
自らを犠牲にして地域の人々のために命がけの訴えを敢行した高梨利右エ門の御霊に二人で祈りました。
おわりに
高梨利右エ門ゆかりの六地蔵はどれもきれいに手入れされていて、なかにはお地蔵様の前に真新しいお供えのお菓子が置かれているものもありました。
又後日調べたところ、二井宿小学校にある巨大な酬恩碑は長い歴史のなかでときの権力によって何度か破棄されたものの、その都度住民が再建し現在に至っているそうです。
高梨利右エ門伝承がこの地域でどれほど大切に受け継がれ続けているかがうかがわれます。
ちなみにこのゆかりの地めぐりのあと、二井宿から県境を越えて宮城県七ヶ宿町のお蕎麦屋で昼食を取ったのですが、その蕎麦屋のご主人も高梨利右エ門のことはよくご存じでした。以前高畠町で開かれた高梨利右エ門の慰霊祭にも出席されたとか。
七ヶ宿町の蕎麦屋まるいちさん。
お蕎麦はもちろん、山女の姿揚げ、山菜の天ぷらも美味でした😋
旧屋代郷に今も受け継がれている高梨利右エ門伝承。
機会をみつけてこれからも追いかけていきたいテーマです。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
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