しずくな日記

書きたいなあと思ったときにぽつぽつと、しずくのように書いてます。

再会の日に

2025-02-20 17:37:20 | 日記
午前中の仕事が13時半に終わり、勤務校付近の駅ビルへ急いだ。
3年生の成績提出の日だったけれど、全速力で仕事を終えた。
今日は数年ぶりくらいにある友達と会う約束だった。


この友達Tさんは、ブログの中にいくつか出てくる旅行(2013〜2014年あたり。京都奈良、岐阜、出雲などに行った)の際の仲間で、今、同じ市内の美術科教員をやっている。
美術科の研究会で会って話をするようになってからなんとなく気があって、私とTさん、もう一人の友人Mさんと3人でいろんなところに旅行に行っていた。

というか、実はTさんは採用試験の2次試験(実技)の時に私の席の隣で、めちゃくちゃ絵がうまかったから「すごい!この人・・・。」と思ったのが最初の出会いだった。


パワフルで明るいMさんがいつも会う計画を練っていたから、Mさんが1人目の子どもを産んで、更にその後双子を産んでめちゃくちゃ忙しくなってから、3人で会うことはグッと減った。

1週間前くらいに久しぶりにTさんからLINEが来た時は、彼女の性格上、自分から「会おう」と積極的に人を誘うのは珍しかったから、何か深い悩みでもあるのかな、と少し心配になった。



Tさんは前もって決めていた駅ビルのイタリアンのお店にもう着いていた。
昔と変わらない、短髪で静かで飾り気のない雰囲気。懐かしい。
彼女は版画家でもある。
抽象的で静かな作品を作る。私は彼女の作品がとても好きだ。
離れている時間が長くても、こういう友達とはすぐ昔の雰囲気に戻れる。


Tさんは中学校教員だけど、30代中盤で一度、教員を辞めている。
そして大阪のあるお寺に「尼」として入り、2年半の修行をしたというユニークな経歴をもっている。

なぜ修行をしようと思ったのか。
そして修行後に関東に戻ってきてからも何回か3人で会っているけど、関東に、そして教職に戻ってくることになった経緯もあまり詳しく知らなかった。
今日はちょうどそれらの話になった。


まず、大きな悩みがあってお寺に入ろうと思ったわけではなくて、7年間、教員の仕事をして、最後に持ったクラスがすごくいいクラスで「やり切った!」と思い、他のことがしてみたいと思った、というのが、退職して修行に入った理由だったという。

でも、とても厳格な彼女のことだ。
世の中に納得のいかないことが多かったのだと思う。

修行ってどんなことをしたの?と聴いてみた。全く知らない世界だ。

朝4時すぎ起床して、身支度して勤行、その後は意外にも午前午後のほとんどの時間が「掃除」だったという。
夕方に洗濯などをしてから和楽器を習う時間やお経の内容について勉強する時間があるという。
そして21時には就寝。最初は眠れなくて困ったらしい。
同じ部屋には2〜3名の同室の修行者がいるので、自分だけ夜更かしすることもできない。そして数ヶ月に1回、部屋がえをするらしく、いろんな人と生活を共にする。
聴いているとそれはまるで学校の合宿のようだ。

テレビもなければ、外出もできない。1年間は完全に外出禁止、その後は1ヶ月に1回、外出許可が降りるはずだったが、結局2年半、ほとんど外出はできなかったという。
携帯も使えない。山奥というわけではないけど、外界から隔絶されている。
その中で徹底的に自分に向き合う。
すごいな・・・。


話の中で面白かったのが、一日のほとんどの仕事であった「掃除」の話。

掃除していて汚れているところがあると、自分の中に何か濁りというか汚れがあるような感じがしてきた、という。トイレなんかが汚れていると、「自分の中に何か(汚れのようなもの)がある」と自然に捉えるようになるんだと。
だから本当に心を込めて、しっかり掃除するようになるという。

要するに、外界が自分の内面の「鏡」のように自然に感じられたという。

あと、そんなふうにみんながずっと掃除しているから大体お寺は綺麗なんだけど、そうすると今度は自分から更に細かな汚れを探し、どんどん綺麗にしていこうという気持ちになるという。

修行=掃除=心を綺麗にしていくこと。
そういうことなんだろう。

2年半の修行後、久しぶりに外に出た時、世の中の見え方がすっかり変わったので驚いたらしい。
それまでは、いろんな出来事にそれぞれその都度悩み、自分の力や才能のなさに悩み、という日々だったけど、修行後は、今自分が健康に生きていることや仕事があることがありがたいと思えるし、何か嫌なことがあっても、その経験は後になって何かにきっと活かされるだろうと思えるようになった、という。

大きな流れに乗っていけばいいんだって思えた、と。

流れといえば、Tさんが関東に戻ってくるきっかけは、2年半の修行期間を終えて、戻るかそのまま修行を続けるかの2つの選択肢でひどく迷って、最後に藁をも掴む思いでお寺の仏様に向かって、
「どちらを選ぶのが私にとって最良なのか教えてください。」と心の中で助けを求めた次の日、お寺の偉いお坊さんから(何も相談していないのに)、
「あなた、関東へ早く帰らなくてもいいの?別にここにいちゃいけないってわけじゃないんだけど。」
と言われたらしい。
そして関東に帰ることを決めて、仕事どうしようかなと思っていたら、前述のMさんから、
「産休に入るから私の後に入ってほしい。」
と、定時制高校の美術科非常勤の仕事を任されることになったのだった。
そしてその高校の校長先生の助言で採用試験を再突破して、中学校教諭に舞い戻った・・嘘のようだけど本当の話。

そして今、Tさんは市の研究部の仕事に誘われていて悩んでいるらしい。
なるほど、それだったのか。私は市の総務部の仕事をしていたから聞きたかったのね。
学校の仕事に加えて市の仕事が入ってくる。
とても忙しくなってしまうけど、研究部なら学ぶことが多いだろう。

でもこれはTさんが自分で決めなければいけないことだから、
「以前、修行を続けるか否か迷った時に、仏様に聴いてみたって言ってたじゃん。
あれ、今回もやってみたら自然と流れができるかもしれないよ。」と言ってみた。

「あ、そっか・・。そうだね。確かに。」
彼女なら、最良の答えを自分で導き出すことができるだろう。

また会おうね!今度は日曜日とかにMちゃんとまた3人で!
と駅でわかれた。
何だか、これからまた昔のように会える気がする。どうしてなんだろう。


彼女とまた会えたことが、これからの私にとっても何か大きな意味があるような気がしてならなかった。





























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