しずくな日記

書きたいなあと思ったときにぽつぽつと、しずくのように書いてます。

修学旅行の振り返りをしてみる その3

2012-05-28 12:41:38 | 日記
~②について~
◯組◯班は、もともと自分たちが立てた予定を守らず、しかも変更を本部に連絡せず、
どうやら他の班と途中から合流しているとの情報も来ていて、
本部の先生たちが大変怒っていた。
京都の名所を調べ、路線を確認し、細かい計画表を作ることに事前学習の数時間を費やしている。
なので徹底的に予定表に忠実にあれ、というのが、本部の先生の考えだった。

本部からのその連絡に従って、一度京都駅に帰りかけていたのをもう一度引き返し、二条城へ。
しかし閉門の4時が接近しており、もうそこにはいなかった。
帰途についてしまったようだった。目的の班には会えなかったことを本部に連絡した。

17:00には宿舎で帰着チェックを各担任がする予定だったので、急いで私も帰途につく。
その間、個別支援級の先生に携帯で連絡を取っていた。
問題になっていた班にはそういえば、個別支援級の子がいたのだった。
ならば、個別の先生がその班と一緒に、もしくは付かず離れずにいるかもしれなかったから。
残念ながら、個別の子と先生は、班とは二条城から別行動をしていて、今の様子はわからなかったけど、
二条城前で「めんどくさいから、最後の東本願寺を抜こう。」という相談はしていたのを聴いたという。
また、予定表では全く異なる動きのはずだった他の班と、同じように動こうとしていたのも確認できた。

見かねて、個別の先生が、「変更をするなら、本部に連絡は入れなさい。」
と生徒に言ってくれたようだったけど、そのまま本部には連絡はなかった。

17:00前に宿舎には到着したけど、入り口から行列ができていた。
予定より早く帰ってきた班がたくさんあったのだ。
本部では、長机に4人の先生が座っていた。
そこに横1列になって班の6人が帰着チェックを受ける。
しかし全く前に進んでいない。問題の班が先頭にいた。
やっぱり、予定をすっとばしてかなり早く帰ってきたのだ。
先生が、予定表を細かにチェックしながら、
「何時にここに着いたか、何分間いたのか」とアリバイ探しのように詰問していた。
子どもたちの顔が強ばっている。班長の子は嘘をついた。
行ってないはずの東本願寺に「行った」という。駆け足で行ったと。
しかしバレる。先生は余計に激怒してしまった。

生徒には各班に1台、携帯が渡してあった。連絡用でもあるけど、
GPS機能で、居た場所もいわば本部に「監視」された状態だったのだ。
それは私たち、外を巡回していた教員がもっていた携帯も同じで、
だから決められたエリアから私も出ることはできなかった。
三条あたりで行ってみたいところもあったけど。

帰着チェックを受ける子ども達の顔が曇り始めた。
最初の班が大激怒を受け、その後の班にも同じ先生が細かく経路をチェックし始めてしまった。
あれ、担任がチェックする予定だったんじゃないの?と私は思いながら本部の後ろに控えていた。
並んでいる子どもたちの目が「なんでこんなことになってんの?」という不安の色になっている。
たった5分、帰って来るのが早かった班は、
「もっと見たいという気持ちがないから、早く着いたんだ!」と責められていた。
気の弱い女の子は、怒声がもう怖くてぽろぽろ泣いていた。

本来なら、担任が
「暑かったね、怪我とかなかった?どこが良かった?元気で帰ってこられて良かった!」
と、知らない土地で大冒険してきた子ども達を迎えてあげるところである。
そうしたかった。午後からはひどく暑かった。みんな、頑張ったのだ。

疲れて、1個くらい見学場所をすっとばしたいという気持ち、私は実際歩いたからけっこうわかる。
私、正直言うとだるくて移動にタクシーを使ったところもあったのよね。
だって、烏丸線と東西線と京阪電車はいいけど、バスも混んでるし、ものすごく暑いし。
だから1個くらいとばしてもいいじゃんと本音では思うのよ。


昼食場所での通過チェックの時で、もうヘトヘトになっている班も多かった。
そこを「見学場所をとばすなんて、やる気がない!」と理由も聴かず断罪してしまうのは、
涼しい本部でずっと座ってるだけの先生にしかできない、ひどく思いやりのない行為だと思う。

時間をきっちり守ることも大切だけど、はじめての土地で時間通りには動けないだろう。
集団だったら疲れている子がいて、その子の介抱で予定通りのバスに乗れなかったり、
金閣寺方面に行った子たちはバスがなかなか来ず、徒歩でまわったというから、
時間も大幅に変わって来るだろうし、
三十三間堂前のバスは混みすぎていて、2本見逃しても乗れなかったらしい。
そういうアクシデントはつきもの。ガイドブック上で立てた予定なんて、その通りにはいくわけない。
しかし、5分の違いで怒られるのだ。なんだそれ・・。
子ども達は従順というか流していたのか、先生の怒声にただ謝っていた。

で、昼ご飯の場所でふざけていて転んで、頭を打ったうちのクラスの男子が帰ってきたときだけは、
私のところに回されて来た。その子こそ怒んなきゃいけないじゃんね・・・・。
「ふざけてたらみんなが迷惑するし、今回は偶然怪我も何にもなかったから良かったけど、
頭を打って記憶なくなったり、わけわかんなくなったりとか、何か起こったらどうするつもり? 
自分の行動に責任を持ってよね。」
いつもへらへらしてるそいつは、やっぱりへらへらして「すみません」と言った。
こういう子はなにかあってみないと、自分の行動のアホさ加減がわからないのかもしれない。

今回、子どもに何を教えたいのか、
宿泊行事での目的が教員間で共通理解できていなかったことを痛感した。

私は
・仲間とのつながりを感じ、仲間とともに協力し、楽しむこと
・広島の平和記念資料館や京都の文化に触れて感じたこと、考えたことを言葉にしてみること
・自主自律の心を養う

ことだと考えていた。だから、5分、帰着時間が違ったから怒る、というのは私の中にはなかった。
時間を守るというのは、自主自律の心の中には含まれると思うけど、時と場合による。
アクシデントがつきものの班別自主行動では、該当しないのではないか。

普段、彼氏にばかり心が向かっていたうちのクラスのある女子は、
この旅で恋愛相談をたくさん班の仲間にしたらしい。
男子も相談に乗っていたし、夜も部屋の子にしゃべっていたようだ。(夜は寝て欲しいけど)
帰りには、男女関わらず多くのクラスメイトと普通にいろいろ話せるようになっていた。

人とのつながりはある意味セーフティネットだ。
2年のときはちょっとグレそうな雰囲気だったこの子だけど、
これだけ仲間がいれば、悪い方には向かわないだろう。笑顔も増えた。
宿泊行事は仲間作りには最も有効な方法だと思う。

広島では平和記念資料館で、ビジュアルに訴える核や戦争の恐ろしさ、虚しさを
生徒も痛感したようだ。平和学習としてはこれ以上のものはない。
京都では、にわかに日本文化フリークが増え、自分用のお土産には扇子を買う子が多かった。
しかも、よくお土産物屋にあるジャニーズとかのじゃなくて、和柄の、本格的なもの。
帰りの新幹線では、まるで平安貴族のように、優雅に扇で扇いでいる男子が多数いた。
3日目のクラス別体験での西陣織の機織り体験が相当楽しかったようで、
自分で織った!と誇らしげに見せてきた。
全員、機織りで小さなコースターを織って記念撮影。それがお土産になった。

課題は多いけど、私としては、子どもたちはよくやっていたと思うし、褒めてあげたい事も多い。
何より、仲間を作るのが下手だったうちのクラスの子が、
楽しくいろんな人と話している帰りの新幹線内での姿が、一番の旅の収穫だった。

【続】




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