『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

触れ方

2020-08-20 11:55:48 | 気付き
「触れる」と一言で言っても、その触れ方には様々なクオリティがある。

息子が飼い始めた猫・ピピとの交流の中で気付いたのは、猫は触れ方の名人だ、ということ。

眠っている時に、フワっと鼻先を近づけたり、こちらの手にすっと触れたり。

そのどれもが一瞬のことなのだけれど絶妙で、こちらの形状を崩さない触れ方だ。

一種のためらいが感じらつつも的確。

そういえば、「ためらいの倫理学」(内田樹)という本もあった。

「自分は間違っているかもしれない」というためらいを持つことこそが知性、という論旨だったか。

猫はなんと知的な触れ方が出来るのだろう!

この猫の触れ方で思い出したのは甲野善紀先生。

先生の技を受けると、もうブーンと振り飛ばされるくらいのエネルギーが伝わってくるのだけれど、その接触面は、まさにフワリとしていて、その瞬間に、触れた他者の身体も最早自分の身体の一部ではないのか?と思える程、違和感なく馴染む。



失礼かもしれないが、猫か先生か、というくらい触れ方が似ていると思った。

・・人間でこのような触れ方ができるのは、多分先生くらいではないかと思う・・


「触れ方」が大事、というのは昔から知っていた。
触れ方ひとつで身体全体が変わる、というのも。

しかしながら、やっているつもりでできていなかった。
まだまだフルートに「ここに来い」と強引な触れ方をしていた。

触れ方ひとつで変わるのは自身の身体はもちろんのこと、エネルギーの伝わる効率も、ということにようやく思い至った。

なんと今まで強引でガサツな触れ方をしていたのだろう!

まあ、フルートに対してなのですが、反省しきりとなる変化がありました。

それもこれも、明け方の夢で気付いた「事前にアンブシュアをつくらない」による変化です。

猫がフっと触れてくるように、甲野先生の様に・・
というのはとてもハードルが高いですが、それらがお手本。

ためらいがちにそっとフルートの歌口に触れる。

今まで出していた音はなんだったの?

というくらいの変化に。

・・・・

写真は「人じゃらし」で遊ぶピピ。
お盆休みのひと時、また一緒に過ごせて楽しかった!
器用に前脚と口で操ります。
もちろんじゃれるのは私!