満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

OZ(オズ) 樹なつみ作

2007-02-25 | 漫画紹介


1990年10月15日
一発の核弾道の誤爆により世界は壊滅状態になる
後に第3次世界大戦と呼ばれたこの戦いは約40分間で終結
海岸沿いの人類は殆ど死滅してしまう

しかし、全地球人口の約40%ではあるが
かろうじて生きながらえた人間達が居た。

核爆発より31年後(2021年)
「核の冬」氷河期を乗り越えた人間達は
交通、通信を遮断され、それぞれの地域において
独自に立国宣言をする
アメリカは大きく6つに分裂
認可されていない「少数民族国家」及び「ゲリラ」の数は
把握できていない
地球規模での戦国時代の到来である。

そんな中、人々の間にまことしやかに囁かれる噂が流れる
かってアメリカと呼ばれていた国で
国防省が内密に優秀な科学者を集め
地中深くに研究施設を作っていたという
その名は「OZ」。

第三次世界大戦後、人口は激減
放射能汚染により、戦前に比べ人類の平均寿命は格段に下がり
技術開発もままならず慢性的な食料不足に陥っている

この様な状態の地球において
OZの存在こそ人々の希望であり、
同時に小国を支配する者達にとっては脅威であった。

しかし…幻の「OZ」からのコンタクトは一切無い

いつしか人々の心から「OZ」の噂が消えかけた頃から
この話は幕を開ける。

旧アメリカ合衆国が6つに分裂した一つに
エプスタイン家が実権を握っている「サンレイト連邦共和国」がある
名門でしかも天才を生む家系と言われているエプスタイン家には
現在二人の姉妹がいる

エプスタイン家長女「ヴィアンカ・エプスタイン」
天才と呼ばれている失踪中の兄リオンと、
同じく天才の妹フィリシアに挟まれ
非凡な頭脳の持ち主の自分を卑下し
政財界の大物である父に認められたいとの複雑な感情を持つ
勝気を通り越し生意気過ぎる17歳

末娘のフィリシア・エプスタイン
15歳で生体工学の博士号を取得する「天才少女」
兄と長女の優れた容姿に憧れをもち
勉学以外の知識を持ち合わせていない純真な15歳の少女

話は末娘のフィリシアが
行方不明の叔父より「会いたい」との連絡を受け
はるばるサバナ市(旧カンザス州)まで
一人で旅に出る所から流れ出す

長年行方不明であった叔父は
フィリシアがサバナ基地に到着した時には既に亡くなっており
会うことが出来なかった。
途方にくれ憔悴しきった彼女の元へ
人間ソックリのロボット「19」が現れる
第三次世界大戦後のこの地球では作りえない程
精巧に作られたロボットである「19」は
フィリシアの失踪した兄リオンの声色で「OZへ来い」っと言う

フィリシアのお守りを任せれていた
傭兵のムトー軍曹は
一見すると10代の少年のように見えるが実際の年齢は22歳
百戦錬磨の芯から軍人のムトーを無理やり雇い入れ
残虐性を持つロボットの「19」と共に
フィリシアは兄の待つ「OZ」へと向かう…

っとまあ~
こ~んなお話です
樹なつみさんの描く「男」は相変わらず色っぽい~

1960年生まれの樹さんは
「マルチェロ物語」という本で当時の少女達のハートをゲット
後に「朱鷺色三角」「パッション・パレード」等
次々に作品を発表しています

私は中でも「朱鷺色三角」が一番のお気に入りでした
で、今回の「OZ」を読んで
一気に「朱鷺色三角」と並ぶ秀作に出会え大変嬉しく思っています
やはりこの本もブログで知り合った「夜」さんから
貸していただきました。ありがとうございます

今回のこの「OZ」
私は…「オズの魔法使い」と大変ダブってしまいました(笑)
ドロシー=フィリシア
ブリキ=19
ライオン=ムトー
この3人が「OZ」という魔法の国へ出かける~
っという雰囲気でスタートしています
もちろん、
それだけで終わる樹なつみさんではありません
最後のシーンでは涙がジーンっとくる場面もあります
ムトー軍曹の服装も
軍服といいセンス溢れる仕上がりとなっています。
銃器類の描き方もとても上手で可なり調べたんだな~っと感じます

未読の方は是非ご覧下さいね~