満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

童話 「毒の沼地のその昔」

2009-08-07 | 会社のハチャメチャ
某テレビ局放送の「まんが日本昔話」のフレーズで…

 坊や~ よいこだ よく聞けよ

今は父ちゃん無職での~

母のめぐみも 底ついた~ (底ついた~)

だから~ おまえも~ つよくなれぇ~ え~ ぇ~ 



むか~し、むかし ある村に、爺さんと婆さんが住んでおった
爺さんと婆さんが住んでおった家の横にはの
だ~れも買わない土地があってな~

歩くと水が染み出して、ズブズブとする。
時々変な匂いもするもんで、畑にすることもできん。
家を建てるわけにもいかず、爺さんと婆さんはほとほと困っておった。

ある日、山の向こうから太った男が現れてな
「ぜひ、この土地を買いたい」っと言ってきた

この男、どうせ畑にもできん土地だからと、かなり値切っての
この辺の相場からしたら、エライ安い値段でどうじゃっと言った
だが、そろそろ土地を売ってどこか気候の良いところでノンビリと暮らしたいな~
っと思っておった爺さんと婆さんは、それでも大層喜んで
太った男に快く土地を売り、どこぞ気候の良い土地へ引っ越して行ったんじゃ

ところがこの太った男の正体は、100年も生きたタヌキの妖怪での~
人間の男に化けて年寄りから、ハンパなく安く土地を買い
山から仲間の妖怪たちを呼んで、ズブズブした土地に大きな会社を作っただ

モノは大きな会社だが、またも値切って作った建物は
大きな顔をしたプレハブ作りじゃったがの~

「これからの妖怪は、グローバル経営を目指さにゃいかん!」
こうしてケチケチ妖怪の作った会社は、大きく、大きくなっていったんじゃ

それから数年後…建物のアチコチに大きな亀裂が走りはじめての
大雨なんぞが降ると、壁や窓のヒビ割れから雨漏りというか…
雨がドバ~っと吹き込んできてな、社員総出で水をかき出しておった

どうやらズブズブな土地に、建物が沈み始めていたようでな
社屋全体がたわんで、まっすぐに建っていられんようになっておった
とりあえず、なおしてもまた別の所から雨漏りがし
雨漏りと妖怪のイタチごっこのようじゃった(笑)

そんな状態でしばらくたったころ…
この妖怪だらけの会社に勤めておった人間の女子社員が
水道料金がエライ高いことに気が付いた
調べてみると、地中に埋めてある水道管から大量の水が漏れておったんじゃ

ズブズブな土地にどんどん沈んだ建物の重みで、水道管が壊れたらしかった

とりあえず、地中に溜まった水をかき出し、水道管もなおしたがの
半年近くも水が漏れておったで、地中でいったい何が起こっておるのか
想像するだに恐ろしく、誰もそのことについては語りたがらなかった

それから1年がたち、そろそろ梅雨も明けようかという暑いころ
妖怪が作った会社の回りの住人達が困っておった
「なんか今年はやぶ蚊が多い」
どうやら妖怪たちが作ったアノ会社から、やぶ蚊が飛んでくるらしい

妖怪が作った会社の回りは、草がボウボウと生えておった
「タヌキの妖怪は、葉っぱを使うからの~草が生えやすいのかもしれん」

だが、妖怪にいちゃモンつけて、あとで仕返しされてもかなわんでの
皆で考え、菓子折りを持って出かけただ

「ワシ等で草刈してもエエかの~」

菓子折りを差し出しならが振るえて言うでの、見ていた妖怪たちも可哀想になった
「やぶ蚊はワシ等にとっても困り者、ワシ等で草刈しますだ~」

ところが、妖怪たちは草を刈ってみて驚いた

妖怪が作った会社の横に、大きな、大きな穴があいておったんじゃ
穴は大層大きく、斜めに社屋の下へと通じておるようじゃった

水を大量に含んだドボドボの土からかえった蚊たちは
この穴を通って外へ出ておったんじゃの~~

どうやら、この会社の地下には・・・空洞があるらしい・・・・。

古参の妖怪たちは「この土地の地質調査はしたんだが…?」
なんぞと首をかしげておる

人間の女子社員「調査した時には、問題はなかったんですか?」

古参の妖怪「ん~~~。問題はなかったんだが………ちょっと出てたな。」

人間の女子社員「水がですか?」

古参の妖怪「いや、水じゃなくって………骨が…」

「骨~~~~!!!???」

どうやら…爺さまと婆さまが、この土地を買う前…ココは墓地だったらしい。

そりゃ~穴も開いてるさの~~

雨も降りゃ~水も溜まるさの~~

遺体も数体残っておれば、変な匂いもするさの~~

どうせ、地質調査も値切ったんじゃろう

すべての点と線が結びついた、人間の女子社員であった。




そういえば…数年前に会社を辞めた変な社員が…

「残業で遅くなると…変な人影が沢山出る~」なんぞと言っておったな~
変な社員の変なたわごとかと思って無視しておったが…

いやいや…何も考えまい。

ただ…夜遅くまで会社に残って仕事をするのだけは、辞めようっと
心に誓う人間の女子社員であった。

おしまい。

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