8000メートル級の山々が連なるヒマラヤ山脈。その雄大な雪山や氷河のふもとは、高山植物が咲き乱れ、鳥がさえずります。温泉もわく地上の楽園のようなところだと言われています。ここでは、大勢の修行者やヨガ実践者たちが、厳寒な気候と向き合いながら瞑想や訓練に励んでいます。
もともとヒマラヤは「ヒマ」と「アーラヤ」が組み合わさった言葉だと言われています。「ヒマ」は「雪、氷」を指し、「アーラヤ」は「住まい」を意味するといいます。一年中、雪や氷に覆われているため、そう名付けられたのでしょう。
ヒンドゥー教徒にとって、ヒマラヤは最も重要な聖地の一つだとされます。ヒマラヤを神格化した神をヒマヴァットと呼び、「雪の神」として位置づけられています。
地質的には、インド亜大陸とユーラシア大陸とがぶつかる北東の端にあたります。インド亜大陸の押す力のほうが強い結果、地殻がインドシナ半島の方に、つまり時計回りに回転しています。それで横断山脈のような巨大なシワができたと言われています。
ヤルツァンポ川が大きく屈曲している付近は、チベット族地帯の辺境にあたります。ロパ、メンパ族などの少数民族が生活を営んでいます。一般的にチベットは高度が高く乾燥地帯で、緑が少ない地域もありますが、ナムチャバルワ山麓の地域は森林が広がって、植生も豊かです。
外国の登山家たちがヒマラヤ登山にチャレンジするとき、よく頼りにするのがネパールの高地民族シェルパの人たちです。酸素の少ない高地に住み、重荷を背負って歩くのを日常生活としているため、高所登山には抜群の能力を備えています。これまでに多くの外国登山隊がシェルパの人たちを雇い、力を借りてきました。よく働き、快活明朗で誠実な性格の人が多いと言われています。