「早朝勤務、始まるよ☆ 〜天然ボーイと地獄の六時間耐久レース〜」
ついにはじまった、土曜日の早朝勤務。
前日は22時まで働き、翌朝は4時起床。
「5時間も寝たし、今日の私は冴えている!」
思いの外、爽やかな朝を迎えていた。
…しかしだ。
外に出て最初に思ったこと。
「月明かりが、眩しい」
完全に夜やん。
太陽どころか、鳥すら夢の中。
こんな時間に動き回ってるの、
私とコンビニ勢と、深夜の自販機くらいでは?
そんな夜明け前のコンビニには、すでに店長代理が来ていた。
そして驚愕のひと言。
「厨房はH君がやるから!」
… あの天然ボーイH君が!? 厨房を!?
私、 喜んでやりますけどね!?
でも、どうやら土日はH君が厨房担当に決まったらしい。
仕方なく私はレジをやることに。
「ま、いけるやろ」と代理は他店舗へ行ってしまった。
しかし、H君は云った。
「調理パンと惣菜、作ったことないです」
なんですと!?
そして、そこからはじまった、
食パンに辛子マヨを塗るところからの特訓。
さらに追い討ちをかけるように 盛りすぎチャレンジ発動中。
海鮮かき揚げ丼 14個作成指示 。
その前に惣菜作り。
全部教えなきゃH君は何もわかってない。
代理ィィィィ!!!
レジと厨房を 反復横跳び しながら六時間。
地獄のトライアスロンである。
朝に納品されたパンや、スイーツも、
陳列できずに放置。
ゴミ箱は、溢れ、
コーヒーのカス箱も溢れ、
ドリンク棚は、スカスカになっている。
だけど、手を回す暇はない。
私は、窮地に追いこまれ、完全に冷静さを失った。
息は乱れ、心拍数も乱れ、朝セットしてきた髪まで乱れた。
無理だ。これ、完全に、キャパオーバー。
死ぬよ!?
――しかし、H君はやってくれた。
弁当作りの方は、研修を1回受けただけなのに、
弁当についてはひとりでこなしてくれた。
H君はやればできる子だった。
すごいじゃないか、H君!
しかし、完成した弁当を見て、違和感に気づいた。
…違う!
タレが、タレが、間違っている!
「H君、これ、タレかつのタレ、
天丼のタレじゃないよ!」
そう指摘すると、H君は静かに答えた。
「知ってます。天丼のタレがなかったので、
こっちのをつけときました」
君は、また自分の法則に従って行動したな!?
ないなら、云ってくれよ!
絶対、あるから!!
でも、棚に並んだだけで、
まだ買っていくお客様もいなかったので事なきを得た。
しかし、ふと見ると、
一個入りのコロッケのサーマルシールが二個入りになってたり、
まあまあの、凡ミス。
そして、さらに気づく。
タブレットで作成数を確認すると、
何故か昨日のページに入力されている。
…なんで?
何故、君はこうなる??
まぁ、慣れるまでの辛抱だろう。
多分。
そして悲報。
リーダークルーのIさんは、
諸事情により、復帰の可能性がゼロになった。
つまり、週5勤務は1月まで という話は白紙になり、
未来永劫続くことが確定。
さらに、
・土曜の早朝勤務、固定化
・木曜の夕勤、プラス2時間確定
…おかしいな。
私の勤務体制も、ガラリと変わるような話もあったような。
もはや、 予定なんて存在しない。
この世の すべてのスケジュールは未定。
未来は 常に変動するもの。
そう、 予言すら恐れる必要はない。
だって全部、未定だから。
そして 、店長候補だったIさんが消えて、
新店長が誕生した。
そう、店長代理その人である。
彼は、店頭の サ◯リオの一番くじをじっと眺めていた。
「サ◯リオのくじ、結構人気ですよ」と私が報告すると、
彼は胸ポケットから ハンギョドンのボールペンを取り出した。
「あ、好きなんだ」
…うん、まあ 自由だよね。
さらに しんみりと呟く新店長。
「本当は、けろけろけろっぴが欲しかったんだよね…」
… うん、まあ自由だよ。
私もこの歳でシマエナガだの、ちいかわだの騒いでるし。
人のことは云えない。
でも しみじみと思った。
「ああ、この人が店長になったのか…」
ついにはじまった、土曜日の早朝勤務。
前日は22時まで働き、翌朝は4時起床。
「5時間も寝たし、今日の私は冴えている!」
思いの外、爽やかな朝を迎えていた。
…しかしだ。
外に出て最初に思ったこと。
「月明かりが、眩しい」
完全に夜やん。
太陽どころか、鳥すら夢の中。
こんな時間に動き回ってるの、
私とコンビニ勢と、深夜の自販機くらいでは?
そんな夜明け前のコンビニには、すでに店長代理が来ていた。
そして驚愕のひと言。
「厨房はH君がやるから!」
… あの天然ボーイH君が!? 厨房を!?
私、 喜んでやりますけどね!?
でも、どうやら土日はH君が厨房担当に決まったらしい。
仕方なく私はレジをやることに。
「ま、いけるやろ」と代理は他店舗へ行ってしまった。
しかし、H君は云った。
「調理パンと惣菜、作ったことないです」
なんですと!?
そして、そこからはじまった、
食パンに辛子マヨを塗るところからの特訓。
さらに追い討ちをかけるように 盛りすぎチャレンジ発動中。
海鮮かき揚げ丼 14個作成指示 。
その前に惣菜作り。
全部教えなきゃH君は何もわかってない。
代理ィィィィ!!!
レジと厨房を 反復横跳び しながら六時間。
地獄のトライアスロンである。
朝に納品されたパンや、スイーツも、
陳列できずに放置。
ゴミ箱は、溢れ、
コーヒーのカス箱も溢れ、
ドリンク棚は、スカスカになっている。
だけど、手を回す暇はない。
私は、窮地に追いこまれ、完全に冷静さを失った。
息は乱れ、心拍数も乱れ、朝セットしてきた髪まで乱れた。
無理だ。これ、完全に、キャパオーバー。
死ぬよ!?
――しかし、H君はやってくれた。
弁当作りの方は、研修を1回受けただけなのに、
弁当についてはひとりでこなしてくれた。
H君はやればできる子だった。
すごいじゃないか、H君!
しかし、完成した弁当を見て、違和感に気づいた。
…違う!
タレが、タレが、間違っている!
「H君、これ、タレかつのタレ、
天丼のタレじゃないよ!」
そう指摘すると、H君は静かに答えた。
「知ってます。天丼のタレがなかったので、
こっちのをつけときました」
君は、また自分の法則に従って行動したな!?
ないなら、云ってくれよ!
絶対、あるから!!
でも、棚に並んだだけで、
まだ買っていくお客様もいなかったので事なきを得た。
しかし、ふと見ると、
一個入りのコロッケのサーマルシールが二個入りになってたり、
まあまあの、凡ミス。
そして、さらに気づく。
タブレットで作成数を確認すると、
何故か昨日のページに入力されている。
…なんで?
何故、君はこうなる??
まぁ、慣れるまでの辛抱だろう。
多分。
そして悲報。
リーダークルーのIさんは、
諸事情により、復帰の可能性がゼロになった。
つまり、週5勤務は1月まで という話は白紙になり、
未来永劫続くことが確定。
さらに、
・土曜の早朝勤務、固定化
・木曜の夕勤、プラス2時間確定
…おかしいな。
私の勤務体制も、ガラリと変わるような話もあったような。
もはや、 予定なんて存在しない。
この世の すべてのスケジュールは未定。
未来は 常に変動するもの。
そう、 予言すら恐れる必要はない。
だって全部、未定だから。
そして 、店長候補だったIさんが消えて、
新店長が誕生した。
そう、店長代理その人である。
彼は、店頭の サ◯リオの一番くじをじっと眺めていた。
「サ◯リオのくじ、結構人気ですよ」と私が報告すると、
彼は胸ポケットから ハンギョドンのボールペンを取り出した。
「あ、好きなんだ」
…うん、まあ 自由だよね。
さらに しんみりと呟く新店長。
「本当は、けろけろけろっぴが欲しかったんだよね…」
… うん、まあ自由だよ。
私もこの歳でシマエナガだの、ちいかわだの騒いでるし。
人のことは云えない。
でも しみじみと思った。
「ああ、この人が店長になったのか…」