「人が生きていくために、経験や知識は欠かせない。何かをなすためには、経験や知識を積み重ねる必要がある。だから経験や知識のない人を世の中ではバカという。けれど人が真に新しい何かに挑むとき、最大の壁になるのはしばしばその経験や知識なのだ。」
「パイオニアは孤独だ。何か新しいこと、人類にとって本当の意味で革新的なことを成し遂げた人は昔からみんな孤独だった。それは既成概念を打ち壊すということだから。過去から積み上げてきた世界観や価値観を愛する人々からすれば、パイオニアとは秩序の破壊者の別名でしかない。人は変化を恐れる生き物なのだ。」
「奇跡のリンゴ」(石川拓治=著 幻冬舎)という本の一節です。
‘絶対不可能’と言われていた無農薬リンゴ栽培に何十年にもわたって挑み続けたある農家の壮絶な軌跡。
幾度となく挫折し、希望の光が閉ざされ、果ては自殺まで考えたほどの極限状態の中でその男が気づいたこと。
それは単にリンゴ栽培といった小さな範疇のものではなく、われら人類が生きていくうえでとても大切なことだった。
これは本当に素晴らしい本です。
人は生きているのではなく、生かされているのだと改めて気づかせてくれる。
現代社会が失った、もしくは失いつつある大切なものを思い出させてくれる。
そんな心に残る1冊です。