落書き日記のススメ

毎日、日記をつけるのもいいけど 簡単な絵を描き続けるのもいいですよ。絵のある生活(落書き)のすすめ。

走り出す…

2012-09-12 23:33:40 | Weblog
(つづき)

「上野の森に住み着いてる連中さ!」

男は笑いながらこたえた。

「上野の西郷さんが立つトコロは、むかし彰義隊と新政府軍が激しくやりあったトコロなんだが その上野山の地下にゃ 彰義隊の連中が隠し持っていた石炭が山ほど眠っているのさ!

山の天狗からの報せを聞いた俺は、お前さんがやって来る前に ヤツらに(機関車の)燃料である石炭を運ぶよう頼んでおいたのさ!」


男が話していると、作業をしていたひとりが こちらに近づいてきた。

「上野の森の天狗様!無事に石炭を積み込みましたぜ!」

そういうと一礼したあと、他の仲間の方へと戻っていった。


「え??この男も天狗!?」

僕がキョトンとしているのをよそに、男はまたも僕の肩をついて「行くぞ!」と言った。



蒸気機関車の運転席に乗り込むと、男は慣れた手つきで操作しはじめた。

「レールがないトコロを 突っ走るからな…最大火力でいくぞ!」

そう言った瞬間、爆発に近い音をたてて蒸気機関車は走り出した…

(つづく)


灰色の煙と大きな音…

2012-09-11 23:43:26 | Weblog
(つづき)
男とともにチャーシュー麺をたいらげ、残ったスープを飲み干そうか、どうしようかと迷っていると…突然 広場の方から大きな音が聞こえた。

男は その音を確認すると、箸を置き立ち上がると、僕の肩を軽くついて「行くぞ」と言ったあと 店の外に出ていってしまった。

慌てて男を追いかけようとすると、店主がお勘定がまだだよという意味の咳払いをひとつした。

「あ!」お代を払わないまま出ていった男にやられたなと思いながら、千円札を二枚 カウンターに置き僕も店を出た。

広場では あの蒸気機関車が灰色の煙を出しながら、大きな音をたてていた。

その周りには 沢山の人らが、リヤカーに積んだ黒い石を、機関車の車内へと運んでいる。

僕は男に近寄り「この人らは?」とたずねた…

(つづく)


腹ごしらえ…

2012-09-10 23:33:14 | Weblog
(つづき)
男は 急いでいる僕などお構いなしに、駅前で明け方近くまでやっているラーメン屋に向かい歩き出した。

「時間がないんだ!」

僕は そう訴えたが、男は「そう 慌てるな!まずは腹ごしらえだ!」と言い返した。

男はさっさとラーメン屋の のれんをくぐると、すぐにチャーシュー麺を頼んだ。
しぶしぶ後に続き店に入る僕を見て、ニヤリと笑うと「なあに 心配するな!使いのヤツらが あいつにも腹ごしらえさせている…」そういうと広場の蒸気機関車の方を指差した…

(つづく)


確信したが…

2012-09-09 22:52:03 | Weblog
(つづき)

「あぁ もちろん 本当サ」

男は笑いながらそう言うと、飲み干したビール缶をくしゃりと握りつぶした。


辺りの電信柱にとまっていたカラスたちが 男を囲むように一斉に舞い降りてきた。

「山の天狗から 大体の話は聞いている…」

男は そう言うとニヤリと笑った。

それじゃ話は早い!僕は探していた“ある者”が この男である事を確信し、早速 話を進めようとした…

ところが 男は僕の話を遮るようにして「まずは 飯だ!」と言い放った。

(つづく)


話しかけてきた男…

2012-09-06 23:12:58 | Weblog
(つづき)

「おい!そこの若いの!!

まさか こいつを見て、もう動かないなどと馬鹿げた事を考えてるんじゃあるまいなぁ!?」

見ると広場のベンチに横たわっているホームレス風の男が、缶ビールを片手に 顔をこちらに向けて話しかけてきた。

「こいつはなぁ こんな所で見世物に 成り果てているがぁな…まだまだ動く代物なのよぉ」

その言葉にハッとした僕は、すぐに「本当に動くの?」と その言葉の真偽を確かめようとした…

(つづく)