見知らぬ街の見知らぬ駅に着いた そこは店も車も道も都会のそれよりコンパクトに見えた
人通りはまばらということではないのだが すべてが調和しているという居心地良さがあった
そして風を頼りに海岸沿いを潮の香りを感じながら歩いた
あの海は初めて見るのだけれど
他の土地で見た海と繋がっているんだ 同じ波の力で砂の地を削りとっているようだ
潮を含んだ風で沿岸の人工物を否定するかのように 浸食させようとしているようだ
人間はあそこから生まれてきたんだ
海のように心を広くなんて とてもちっぽけな戯言じゃないか
生命体としての根源を感じられたとしたら それはとても価値のあることだろう