HONDA RACING SPIRITS / Reborn Tomorrow

「S2000」「FD2 TYPE-R」「FL5 TYPE- R」
車とその周辺のこと そのほか気ままに感じたこと

大山美信 先生のこと~その6 / Bishin Ohyama

2018-10-27 21:39:18 | Easy come,Easy go

大山美信 先生のこと~その6

 

行き場がわからなくなった自分は 写真にのめり込んでいった

デッサンが下手でも 写真は撮れる

レンズがやってくれるから

デフォルメも と言うか実際は ほとんどの写真がそれだけど

そんな折に先生は モノクロ写真を大きく引き伸ばし

ペイントを加えるという手法での作品 「BODY」を発表されたと思う

学院の学生さんを 「ちょっとこっち来い」と捕まえて 写真モデルにされていたそう 

アトリエに通っていた頃から 確かペンタックスのMF一眼で写真を撮られていたのは知っていた

大山美信大山美信

~出版された作品集「BODY 偶景シリーズⅢ」より引用~

 

 鮮烈な死のイメージと感じている 冒頭の偉い方の論説は良く分からないのだが

人間は 致死率100%の存在だということを意識させられる 何度見ても溜息が出るような作品群

高度な技巧に裏付けられたパンクロック とでも言ったら良いのか

別のシリーズでのことかもしれないが 先生をテロリストと言った評論家もいたと記憶している

大山美信

日経アート 1997 9月号より引用 

「21世紀 作家図鑑」に取り上げられていた

 

~出版された作品集「BODY 偶景シリーズⅢ」より引用~

大山美信

「見えるものの「虚」と見えないものの真実の間 又は裂け目が私の現実のような気がします」(大山美信 1997年)

「少年の頃より始めた写真への興味 白黒の世界 真に虚の世界への入り口となり 絵画へと導いた虚構で美しい世界

~ どこまでかの自己抹殺と偶景を求めて」(大山美信 1999年)

 

八重洲だったと思うが(大事に保管していたカタログから銀座 日辰画廊と判明)

BODYの個展にお邪魔し その際に写真に関して教えていただいた

「歩いていて 下を見て何もなければ 上を見れば良い 何かあるはずだ それを撮れば良い」

「最初はとにかく枚数を撮ることだ そうすると自分はこうしたい ああしたいということが見えてくるはず」と

いくら写真術本の類を読んでも 撮れるようにはならない とことん撮らなくてはと理解した 

ごくごく普通に撮って DPE(いまは廃れた)にフィルム現像とプリントの依頼をする人たちの写真と

どうしたら差をつけられるのか 最初はわからなかったが ただ漠然と ちょっとした自信はあったように思う

フィルムをケチらず 時間も体力も惜しまず 先生の教えを実践するべく何にでもレンズを向け始めた

そしてそれからしばらくの間 枠の中に居ながらの自分としては

けっこう写真はやれたなと思っている

(続く)

大山美信 先生 / Bishin Ohyama~Works 1

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大山美信 先生のこと~その5 / Bishin Ohyama

2018-10-19 21:05:48 | Easy come,Easy go

大山美信 先生のこと~その5

 

大山先生との再会から数年後

無意識の自分が 枠の中での生活に終止符を打てとばかりに

自分は精神的にも肉体的にも壊れてしまい 行き場を失ってしまった

そしてほとんど強引に 先生のところへ押しかけてしまった

電話で訪問しようとお願いしたが 断られたのに

その時の口調から まともな状態ではないと思われたのだろう

「人を救うより自分が救われたいよ」

「死ぬなよ 俺も頑張る」

と受話器を通じて伝えられていたのだが・・・

「ここの学生さんたちは 卒業後どうしているのですか?」「さあ・・・」

「好きなことするのも大変だぞ 何から何まで 全部 自分でやらなくてはいけない」

「黙して続けていれば 何をやっているのかと向こうから寄ってくるよ」「黙してやる!」

「俺の影響があるのかもしれないけど・・・何をするにしても急ハンドルはいけない 少しずつ 少しずつ」

と助言していただいたのを忘れずにいる

しかし ちぐはぐで後味の悪さを残した訪問であった

この時は先生に対し 強引な人生相談を申し出て 大変申し訳ないことをしてしまった・・・

(続く)

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大山美信 先生のこと~その4 / Bishin Ohyama

2018-10-16 21:32:11 | Easy come,Easy go

大山美信 先生のこと~その4

 

10年以上ぶりに日辰画廊で先生と再会した

その際 ああ良いなと思って 作品を購入させていただいた

数ある展示作品の中でそれだけはブラウンの色調 直感的に迷わず是非とお願いした

個展の会期が過ぎて 北葛飾郡の学院まで車で受け取りに行った

他に誰もいなかったので 日曜日だったと思う

 

1991 偶景 No.6 個人所有作品より引用

大山美信

ドローイングの代金を渡すと「あれは画廊が言っていた値段だ」

そう言って 先生は差額を返してくれた

そして校内を案内してくれた すぐ傍には江戸川が流れており 向こうに渡れば千葉県だ

装飾された校舎と 広いグランドもあった

静かでゆったりとした時間が流れている場所だったと思う

「ほかには 何も要らない」

大山先生はそう何度も繰り返し そこでの生活に満足されているようであった

と同時に口には出せないご苦労を抱えているようにも感じた

個展の帰り「貯めた金は全部なくなっちゃった」と漏らしていたからだ

(銀座で個展 という華々しさとは裏腹な現実をはじめて知った 200位 掛かったとも)

 

いまでもそのドローイングは 家の玄関に置かしていただいている

 

1991 偶景 No.6 個人所有作品より引用

大山美信

絵をやっているというお客さんが 「ああ何か良いですね この絵」と言っていた

分かる人には分かるのだ

(続く)

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大山美信 先生のこと~その3 / Bishin Ohyama

2018-10-15 00:40:36 | Easy come,Easy go

大山美信 先生のこと~その3

 

絵を描かなくなった自分は大学まで進み そして一応 社会人となっていた その間 大山先生とお会いすることはなかった

賀状をやり取りしたのか 先生が転居する際にお知らせを頂いたのか よく覚えてはいないが

埼玉の北葛飾郡にいらっしゃることだけは存じていたように思う

自分が社会人になって5年目位の頃 銀座で個展とのご案内を頂いた 年譜からすると日辰画廊だったということか

勤務先から徒歩10分足らずということもあり 帰り際の夕刻にお邪魔した

「ああ〇〇〇君か?」

そう言う先生は あの彫刻のようなはっきりとした目鼻立ちのシャープさが増していて

全然 歳を取られたようには見えなかった

「絵は描いていないのか」「高校の頃からバンドばかりです」

先生はまた何かひとつやり遂げたような喜びの面持ちだった

画廊の方をも明るくさせていたように記憶している

 

画廊を閉じてから飲みに連れて行ってくれた

「息子さんはお元気ですか?」「また近いうちに来ると言っていた」

(現在 かなりのご活躍をされているようです)

奥様とは別れたようで一緒に住まれていないと悟った

「有名になるぞ」「有名と言ってもコマーシャル的にということではなくてね」

そして「〇〇〇君は俺が自分の先生だと公言してもいいと思うんだ」と力説されていた

しかしその頃の自分には何もなく 枠の中でもがいているばかりだった

(続く)

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大山美信 先生のこと~その2 / Bishin Ohyama

2018-10-12 22:01:32 | Easy come,Easy go

大山美信 先生のこと~その2

 

中学半ばで 大山先生のアトリエを去ってしまった自分であったのだが

その少し前 実家が建て替えをした その際に先生から新築祝いを頂いた

平日の昼間 自転車に乗って先生が自ら届けてくれたそうだ

なんと額装された先生の水彩画だ

受け取った母親には 「パリへ行った時のモンマントルに続く道」と仰っていた

 

画像以下3枚 個人所有 贈答品より引用

大山美信

いまでも大変ありがたく思っているし またとても貴重な品であることは言うまでもない

しかし先生には かなり無理をしていただいたのでは?と感じている

何故なら世俗の誰にでも分かり易いよう 自我を抑えて気を遣って描いていただいた作品と思えるからだ

いつも強烈な先生の抽象画を見ていたから 余計にそう思うのかもしれないが大山美信

アトリエに絵を描きに行った時 お礼を言って リビングに早速飾らせてもらっていることを伝えたら

「恥ずかしいな・・・」少し照れ臭そうにも感じられるように 先生はそう呟いた

そしてパリへ行った時に撮った写真を絵にしたのだと説明してくれた

もしかしたら先生にとっては新境地への挑戦?だったのかもしれない

大山美信

 いまでも この絵を見る度に

「恥ずかしいな・・・」という大山先生の声が聞こえてくる

(続く)

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