代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの国家保有が、全体の3%あることが分かった。
米中二大国が犯罪摘発で押収したビットコインを保有する例だけでなく、マイニング(採掘)事業に参入して報酬を受け取る例もある。米国による追加購入論も浮上するが、変動の激しいビットコインを国家が保有することへの批判も強い。
世界中の仮想通貨保有量を追跡するサイトであるビットコイン・トレジャリーズによると、各国政府による保有は合計で約51万BTC(約510億ドル)と、発行済みコイン(約1979万枚)の約3%に相当する。
企業による保有(5%)やビットコイン上場投資信託(ETF、6%)に並ぶ保有主体だ。
国家によるビットコイン保有は、犯罪摘発による押収が大半を占める。
政府としての保有国1位は米国。11日時点で約20万BTC(約200億ドル)と確認できる。拳銃や薬物など違法な取引の温床となって13年に摘発された闇サイト「シルクロード」事件などでの押収により保有するようになった。
米政府に次いで保有が多い中国も、詐欺グループからの押収などにより約19万BTCを保有する。
24年には、ドイツの政府機関が海賊版ポータルサイト「Movie2K」の運営会社から約5万BTCを押収した。ドイツ当局が7月に売却を発表すると、市場では大口の売りとして話題になった。
採掘を国家事業として実施する国もある。
エルサルバドルは21年からビットコインを法定通貨として採用し、現時点で6000BTC弱を保有する。データ分析企業アーカム・インテリジェンスによると、同国の保有額は11日時点で約5億7600万ドルになる。
ヒマラヤ山脈東端のブータンは、豊富な水力発電資源を活用し、19年ごろから国営で採掘事業に参入した。足元のビットコイン保有額は約11億ドルと、同国の国内総生産(GDP)の4割に相当する。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「ブータンには将来の売却益を期待した蓄財目的のほか、最先端技術をとりこみたい意図がある」と分析する。
米国がビットコインの新たな投資主体になるかどうかが市場の焦点になっている。
トランプ次期米大統領は7月、「米司法省が保有する約21万BTCを売却せず、国家戦略的な備蓄に充てる」と述べた。
共和党はビットコインを戦略的準備金として積み立てる法案を提出済み。年間20万BTCを上限に5年間にわたって継続購入し、合計100万BTCの取得を目指す内容だ。
米国の動きは周辺国にも影響を与え始めた。11月下旬にはカナダ・バンクーバーのケン・シム市長が、ビットコインを市の財政に加える提案を発表した。
専門家の間では批判が相次ぐ。元米財務長官のローレンス・サマーズ氏はビットコイン準備金の考えを「常軌を逸している」と批判。
京都大学大学院の岩下直行教授は、仮想通貨がマネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪に利用されやすいことを挙げ「米政府が準備金として組み込むのは実現性に欠ける」と述べる。
共和党の中には仮想通貨業界から多額の献金を受けて当選した人が多く、仮想通貨規制への緩和姿勢が強くなりがちだ。
ただビットコインは変動が激しい。価格が大きく下落して含み損が生じる場合には、国民の税金を無駄にしたとの批判を浴びる可能性があるため、議論の過程でブレーキがかかる可能性もある。
(河井優香)
日経記事2024.12.13より引用
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(関連情報)
・ビットコインの生みの親、謎のサトシ・ナカモトは、本名が大分県別府市出身の「中本哲史」、アメリカでコンピューター・サイエンスを学び、アメリカ財務省に附属するシークレット・サービスに属する人物と推定します
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/eab8a5df3480e2ad4ce33706e320de83
・ビット・コインとシークレットサービス、そしてブロック・チェーン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c1663b68c993d9843b59383abf758418