Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

国家もビットコイン保有 米中が7割、犯罪摘発で押収

2024-12-13 12:26:23 | 世界経済と金融

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの国家保有が、全体の3%あることが分かった。

米中二大国が犯罪摘発で押収したビットコインを保有する例だけでなく、マイニング(採掘)事業に参入して報酬を受け取る例もある。米国による追加購入論も浮上するが、変動の激しいビットコインを国家が保有することへの批判も強い。

 

世界中の仮想通貨保有量を追跡するサイトであるビットコイン・トレジャリーズによると、各国政府による保有は合計で約51万BTC(約510億ドル)と、発行済みコイン(約1979万枚)の約3%に相当する。

企業による保有(5%)やビットコイン上場投資信託(ETF、6%)に並ぶ保有主体だ。

 

 

国家によるビットコイン保有は、犯罪摘発による押収が大半を占める。

政府としての保有国1位は米国。11日時点で約20万BTC(約200億ドル)と確認できる。拳銃や薬物など違法な取引の温床となって13年に摘発された闇サイト「シルクロード」事件などでの押収により保有するようになった。

 

米政府に次いで保有が多い中国も、詐欺グループからの押収などにより約19万BTCを保有する。

24年には、ドイツの政府機関が海賊版ポータルサイト「Movie2K」の運営会社から約5万BTCを押収した。ドイツ当局が7月に売却を発表すると、市場では大口の売りとして話題になった。

 

 

採掘を国家事業として実施する国もある。

エルサルバドルは21年からビットコインを法定通貨として採用し、現時点で6000BTC弱を保有する。データ分析企業アーカム・インテリジェンスによると、同国の保有額は11日時点で約5億7600万ドルになる。

 

ヒマラヤ山脈東端のブータンは、豊富な水力発電資源を活用し、19年ごろから国営で採掘事業に参入した。足元のビットコイン保有額は約11億ドルと、同国の国内総生産(GDP)の4割に相当する。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「ブータンには将来の売却益を期待した蓄財目的のほか、最先端技術をとりこみたい意図がある」と分析する。

 

 

米国がビットコインの新たな投資主体になるかどうかが市場の焦点になっている。

トランプ次期米大統領は7月、「米司法省が保有する約21万BTCを売却せず、国家戦略的な備蓄に充てる」と述べた。

 

共和党はビットコインを戦略的準備金として積み立てる法案を提出済み。年間20万BTCを上限に5年間にわたって継続購入し、合計100万BTCの取得を目指す内容だ。

米国の動きは周辺国にも影響を与え始めた。11月下旬にはカナダ・バンクーバーのケン・シム市長が、ビットコインを市の財政に加える提案を発表した。

 

専門家の間では批判が相次ぐ。元米財務長官のローレンス・サマーズ氏はビットコイン準備金の考えを「常軌を逸している」と批判

京都大学大学院の岩下直行教授は、仮想通貨がマネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪に利用されやすいことを挙げ「米政府が準備金として組み込むのは実現性に欠ける」と述べる。

 

共和党の中には仮想通貨業界から多額の献金を受けて当選した人が多く、仮想通貨規制への緩和姿勢が強くなりがちだ

ただビットコインは変動が激しい。価格が大きく下落して含み損が生じる場合には、国民の税金を無駄にしたとの批判を浴びる可能性があるため、議論の過程でブレーキがかかる可能性もある。

(河井優香)

 

 
 
 

 

 

日経記事2024.12.13より引用

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(関連情報)


・ビットコインの生みの親、謎のサトシ・ナカモトは、本名が大分県別府市出身の「中本哲史」、アメリカでコンピューター・サイエンスを学び、アメリカ財務省に附属するシークレット・サービスに属する人物と推定します 

https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/eab8a5df3480e2ad4ce33706e320de83


・ビット・コインとシークレットサービス、そしてブロック・チェーン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c1663b68c993d9843b59383abf758418

 

 

 

ECB、3会合連続で利下げへ トランプ関税でユーロ安も

2024-12-12 23:13:35 | 世界経済と金融


ラガルド総裁は貿易摩擦の激化による世界経済の下振れを懸念する=ロイター

 

【フランクフルト=南毅郎】

欧州中央銀行(ECB)は12日の理事会で、3会合連続で利下げを決める見通しだ。ドイツを筆頭に欧州経済の回復力が鈍く、インフレ収束は想定より早まる公算が大きい。

トランプ次期米大統領が検討する関税も景気の重荷となり、2025年に利下げペースの加速を迫られる可能性が出てきた。

 

日本時間の12日午後10時15分に決定内容を公表し、ラガルド総裁が同10時45分から記者会見に臨む。

今回は四半期に1度、景気・物価見通しを改定する重要な会合だ。利下げ継続の理由や欧州経済を巡るリスク認識の変化が注目される。

 

 

政策金利の引き下げ幅は9月から3会合連続で0.25%とする方向だ。6月に4年9カ月ぶりとなる利下げを開始した後、7月は政策金利を据え置いていた。

利下げとしては今年4回目で、政策金利の一つで市場が注目する中銀預金金利を3%に引き下げる見通しだ。

 

焦点の一つはECBが目指す物価2%の達成時期だ。25年のユーロ圏の物価見通しに下方修正が入り、25年末までとしていた時期を「25年半ばまでに前倒しする可能性がある」(ドイツ銀行のマーク・ウォール氏)。

実際、足元の物価基調はECBの想定より下振れ気味だ。直近11月の物価上昇率は2.3%で、サービス価格を左右する賃上げ圧力も25年にかけて落ち着く見通しを維持している。

 

問題は欧州経済の回復力だ。ECBは物価だけでなく、景気の見通しも下方修正する可能性がある。

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が11月に公表した経済見通しでは、ユーロ圏の25年の実質成長率は1.3%と、前回5月から0.1ポイント引き下げた。

 

国別ではドイツが0.7%、フランスが0.8%と1%台に届かず低空飛行が続く。パリ夏季五輪の特需の反動もあり、企業の景況感は冷え込んだままだ。

ユーロ圏の域内総生産(GDP)は独仏だけで半分ほどを占める。ECBは利下げが遅れて景気が失速すれば物価が過度に下振れすると警戒する。

 

 

さらに先行き不透明感を強めるのがトランプ氏が検討する関税強化だ。選挙期間中、欧州を含む全世界からの輸入品に原則10〜20%の関税をかけると表明した。

25年1月の就任後には中国からのほぼ全ての輸入品に10%の追加関税、メキシコとカナダにも25%の関税を課す方針だ。

 

 

相手国に要求を突きつけて譲歩を引き出すディール(取引)外交はトランプ氏の常とう手段だが、欧州も無縁ではない。

大統領1期目の18年には、安全保障を理由にEUからの鉄鋼やアルミニウムに追加関税を課した経緯がある。当時はEUも報復関税に動いた。

 

米商務省によると輸入が輸出を上回る貿易赤字は23年、中国の2790億ドル(約42兆円)に対してEUが2000億ドル超と上位だ

EUは27カ国で構成するものの、ドイツだけでもカナダより大きい規模にある。

 

 

 

 

EUは報復合戦の再来を避けるため、トランプ氏との貿易交渉を探る。ECBのラガルド総裁も「世界的なGDPの減少を引き起こす」とした上で「報復ではなく交渉をすべきだ」と訴える。

ECBにとって厄介なのは、関税の影響が不明確である点だ。理事会メンバーでベルギー国立銀行(中央銀行)のウンシュ総裁は「ユーロ安が進む可能性がある」と指摘。結果的に関税の影響が「若干のインフレ材料になりうる」との見方を示した。

 

 

一方、ECBのチポローネ専務理事は「成長を抑制する可能性がある」とした上で「総合的に考えるとインフレ率も低下するだろう」との見解だ。

過剰在庫を抱える中国からの「デフレ輸出」が欧州に向かう懸念もあり、関税が物価に与える影響の明確な共通認識は理事会内部でもまだない。

 

国際通貨基金(IMF)は米国が10%の一律関税を導入し、中国とユーロ圏も互いの貿易で同率の関税を設定したり、金融市場が不安定になったりした場合には世界のGDPが25年に0.8%目減りすると試算した。

ゴールドマン・サックスのヤリ・ステーン氏は「欧州経済が今後1年間で大幅な景気後退に陥る可能性は30%ある」と指摘する。

 

あるECB理事会メンバーの一人は「インフレ鈍化と景気後退が同時にやってくるなら、どこかの時期に利下げ加速が必要になるかもしれない」という考えを念頭に置き始めている。

 

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

上野泰也のアバター
上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
 
ひとこと解説

6、9、10月に続く4度目の利下げが決まる見通し。

景気・物価の下振れリスクをどこまで重視するかでタカ派とハト派の温度差は大きく、中立金利を下回るところまで(緩和的な水準まで)利下げを進めていくかどうかでも意見は対立。

とはいえ「トランプリスク」も強く意識される中、先行きの不確実性が高いことはコンセンサス。

利下げは段階的に、内外情勢にらみで慎重に進めていくのが望ましいという点で、理事会内には概ね共通認識があるとみられる。

衝撃的なデータが出てきた、あるいは「トランプリスク」関連で早急に対応が必要なサプライズが発生したわけではないので、今回は通常の0.25%ポイント幅の利下げに落ち着く可能性が高い。

 (更新)
<button class="container_cvv0zb2" data-comment-reaction="true" data-comment-id="48593" data-rn-track="think-article-good-button" data-rn-track-value="{"comment_id":48593,"expert_id":"EVP01113","order":1}">いいね8</button>
 
 
 
 
 
日経記事2024.12.12より引用
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
来年から始まるアホボン・トランプ政権で、まじに米国デフォルト危機の可能性が高いでしょう。
 
 
何せ、見栄張り爺さんで、父親から譲り受けた会社をすべて事業失敗で倒産させ、残ったのがただ一つのマール・ア・ラーゴのみ。 
 
ハリスとの討論でもハリスがこれを指摘し、そんなことをハッキリいうのはハリスくらいだから、トランプは苦手意識を持っており、2回目の討論会から逃げた。
 
ハリスは2回目やろうと挑発しまくってましたけどね。 トランプは実は小心の小物。ミジンコの脳みそとミジンコの度胸。
 
<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=f73ae9d28b61c73a160fcc6b6755bca6 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=908&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0fd3c37e8fa8aacce2b144c68a034d97 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=f73ae9d28b61c73a160fcc6b6755bca6 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=908&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0fd3c37e8fa8aacce2b144c68a034d97 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=f73ae9d28b61c73a160fcc6b6755bca6 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=908&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0fd3c37e8fa8aacce2b144c68a034d97 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=f73ae9d28b61c73a160fcc6b6755bca6 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=908&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0fd3c37e8fa8aacce2b144c68a034d97 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=454&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=f73ae9d28b61c73a160fcc6b6755bca6 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5737082010122024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=908&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0fd3c37e8fa8aacce2b144c68a034d97 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

ビットコイン、一時大幅安 Microsoft株主総会で保有否決

2024-12-11 21:29:15 | 世界経済と金融


米マイクロソフトはビットコインの保有を求める株主提案を否決した=写真はロイター

 

代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が一時9万5000ドル(約1440万円)を下回る水準まで下落した。

10日の米マイクロソフト(MS)の株主総会で、ビットコインの保有を検討するよう求めた株主提案が否決されたことが材料視されたもようだ。

 

株主提案は保守系シンクタンクの全米公共政策研究センター(NCPPR)が提出した。1982年に設立され、自由な市場経済を掲げる。資金の大部分を個人からの寄付が占める独立系研究機関としての立場から企業への提案などを進めている。

提案では「インフレ下では企業は短期的な変動が激しくとも、債券より価値が上昇する資産でバランスシートの多様化を検討すべきだ」と指摘。

 

ビットコインが「優れたインフレ対策」になりうるとして、企業が資産の1%でもビットコインで保有する利点を評価すべきだとした。

一方、マイクロソフトは米証券取引委員会(SEC)に取締役会の反対を報告した文書で、仮想通貨投資を評価する上でボラティリティー(変動率)を考慮すべきだとして、提案は「不要」と結論づけた。

 

2日には取締役会に対し、仮想通貨への積極投資で知られるマイクロストラテジーのマイケル・セイラー会長がビットコイン投資の必要性を説くプレゼンを実施していた。

NCPPRはアマゾン・ドット・コムに対しても、25年4月の株主総会でビットコイン投資の検討を求める株主提案を提出している。

 

SBIVCトレード市場オペレーション部の村井領介マネジャーは「米国の年金基金がビットコインを資産に組み入れる動きが本格化しており、大企業の組み入れが出てきても不思議はない」とみる。

トランプ次期米大統領の下で仮想通貨の規制が緩和に転換するとの期待感から、ビットコイン相場は底堅さを維持するとした。

 

仮想通貨交換業者ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリストは「足元の下げは米消費者物価指数(CPI)の発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)への警戒感が相場の重荷となっている」とし、MSの否決の影響は長引かないとみる。

 

 


ビットコイン10万ドル「国策に売りなし」 投機に懸念も

2024-12-06 10:51:11 | 世界経済と金融


ビットコイン価格は8月の安値から2倍になった=ロイター

 

【ニューヨーク=斉藤雄太】

代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコイン価格が初めて10万ドル(約1500万円)の大台に乗せた。

米国の2024年初めの上場投資信託(ETF)解禁で投資家の裾野が広がったところにトランプ次期米大統領の業界振興策への期待が重なり、マネー流入に弾みがついた。

 

急ピッチの上昇による過熱感を伴いつつ、「国策に売りなし」とばかりに投資家の熱狂が続いている。

 

 

「10万ドルは始まりにすぎない」。米東部時間4日夜にビットコイン価格が節目を突破した後、仮想通貨交換大手ジェミニの共同創業者、タイラー・ウィンクルボス氏はX(旧ツイッター)にこう書き込んだ。

同氏は今回の大統領選でトランプ氏支持を表明し、ビットコインによる献金も公表した。「仮想通貨に宣戦布告をしてきた」という現在のバイデン政権の業界締め付けに反発し、次期政権での仮想通貨政策の大転換を期待する一人だ。

 

 

ビットコイン価格はここ2週間ほど10万ドルを目前にして一進一退を続けてきた。

突破口になったのは4日午後、トランプ氏が米証券取引委員会(SEC)の次期委員長に仮想通貨推進派のポール・アトキンス氏を起用するとした人事案だ。政策転換の本気度を感じ取った投資家の買いが再び勢いづき、大台超えとなった。

 

 

「冬の時代」からの復活

仮想通貨情報サイトのコインデスクによると、ビットコイン価格は5日午前に一時10万3000ドル台を付けた。

8月上旬には米景気不安で世界の金融市場が動揺した余波を受けて5万ドルを割り込んでいたが、4カ月間で2倍に跳ね上がった。大統領選後の1カ月だけでみても5割高だ。

 

情報サイトのコインマーケットキャップによると、ビットコインの時価総額は2兆ドルを超え、仮想通貨全体の55%を占める。

国家が発行・管理する法定通貨と異なり、ビットコインは世界中の利用者がデータを共有管理する「無国籍通貨」として09年ごろに登場した。

 

ただ投資先として普及したここ数年の価格変動をみると、現実には米国の経済政策や規制動向に大きな影響を受けてきた。

 

ビットコインが最初の大規模な投資ブームを迎えたのは21年前後だ。

新型コロナウイルス禍に対応した米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和とバイデン政権の積極財政がカネ余りを生み、コロナ禍で行動を制限された個人の「巣ごもり投資」が盛り上がった。

ビットコイン価格は21年3月までの半年間で5倍の6万ドルに急騰した。

 

その後に仮想通貨市場は「冬の時代」と呼ばれる低迷期に入った。

FRBは22年春以降、インフレ退治の急速利上げと国債保有などを減らし市中の余剰マネーを回収する量的引き締め(QT)に動いた。

同年11月には顧客資金の流用といった不正が発覚した仮想通貨交換大手FTXが破綻。SECはバイデン政権の指名したゲンスラー委員長のもとで業界の取り締まりを強化した。

 

 

ETF経由でマネー流入

24年に再びビットコインにマネーが向かうようになった転機は大きく2つある。

1つは米市場でのビットコインETFの上場だ。SECは実現に慎重だったが、運用会社との訴訟で敗訴したことを受け、1月に解禁に踏み切った。

 

ブラックロックといった運用大手がETFを相次ぎ投入し、個人がより手軽にビットコインに投資できるようになった。

デジタル資産運用の英コインシェアーズによると、24年はビットコインで運用するファンドへの資金流入額が累計でおよそ340億ドルに達した。

 


トランプ氏は7月の業界イベントでSEC委員長の解任を宣言した(ナッシュビル)=AP

 

もう1つがトランプ氏の後押しだ。

仮想通貨業界からの献金や支持を期待した同氏は選挙戦で「米国をビットコインの超大国にする」と訴え、業界に有利な規制の整備やマイニング(採掘)産業の振興、国家的な備蓄といった具体策を披露した。業界に厳しいゲンスラー氏をSEC委員長から解任するとも宣言した。

 

11月の選挙で大統領職と米議会の上下両院を共和党が押さえる「トリプルレッド」が決まり、トランプ氏の掲げた政策の実現期待が高まった。

ゲンスラー氏はトランプ氏が大統領に返り咲く25年1月20日付で退任すると表明。アトキンス氏への委員長交代が実現すれば、仮想通貨への締め付け姿勢は大きく変わることになる。

 

 

レバレッジ投資の逆回転にリスク

仮想通貨の投資家が総じて強気に傾くなか、過熱ぶりを警戒する声もある。

「仮想通貨コミュニティーにはレバレッジ(負債によるテコ)がかかっており、(相場の)調整が起きるだろう」。仮想通貨取引や関連サービスを手がける米ギャラクシー・デジタル・ホールディングスのマイク・ノボグラッツ最高経営責任者(CEO)は11月、米CNBCで語った。

 

ビットコイン投資のカリスマとされるマイケル・セイラー会長が率いる米ソフトウエア開発会社マイクロストラテジーは、新株予約権付社債(転換社債)の発行で調達した資金をビットコインの買い増しに充てている。

同社は11月17日時点で約330億ドル相当のビットコインを保有する。

 

セイラー氏のような熱心な信奉者は数年から数十年単位でビットコイン価格がさらに桁違いの上昇を演じると予想し、「安い」うちに保有を増やそうと積極的に動く。

こうした大口の買いがビットコイン価格を押し上げているが、相場が反転した際には財務の悪化で借り入れの返済を迫られ、マネーが逆回転するリスクも高まっている。

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

田中道昭のアバター
田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授

ひとこと解説

ビットコインが10万ドルを超える新たな局面に突入した背景には、トランプ氏の暗号資産業界支援策と、イーロン・マスク氏のテクノロジー推進姿勢が強い影響を及ぼしている。

SEC委員長にも推進派が起用される。トランプ氏の政策は、規制緩和やマイニング産業振興を軸に市場の期待を高めており、過熱状況を作り出している。

一方、マスク氏が市場の信頼を支えているが、両者の政策が過剰な期待を招くリスクも否定できない。

過熱感の中でのレバレッジ投資増加は、政策失敗や市場環境の変化で一気に反転する可能性をもつ。

特にトランプ政権下で金利上昇や経済不安等が新たに発生した場合、暗号資産市場は急激な調整を迫られるリスクを抱えている。

 (更新)
<button class="container_cvv0zb2" data-comment-reaction="true" data-comment-id="48421" data-rn-track="think-article-good-button" data-rn-track-value="{"comment_id":48421,"expert_id":"EVP01131","order":1}">いいね45</button>
 
 
 
日経記事2024.12.06より引用
 
 

 


ビットコイン10万ドル超え 米トランプ次期政権の光と影

2024-12-05 15:31:14 | 世界経済と金融


ビットコインの価格が初めて10万ドルを突破した(ロイター)

 

【NQNシンガポール=秋山文人】

暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が史上初めて10万ドルを突破した。昨年末から2.5倍になり、世界中のあらゆる資産のなかでも高いパフォーマンスを示している。

米トランプ次期政権の「親仮想通貨」政策への期待が相場を押し上げているが、米財政への不信感も根底にある。

 

とりわけトランプ氏が11月の米大統領選で勝利してからの上昇が目覚ましく、約1カ月間の上昇率はおよそ50%に達する。

いかにトランプ新政権の発足がビットコイン投資家にとって「待たれていたイベント」だったかが分かる。

 

米新政権のもとで仮想通貨の市場が成長する――。そんな期待がビットコイン上昇をあおるが、なぜここまで上昇を導いているのかについては背景を理解する必要がある。

2022年に相次いで発生した仮想通貨を巡る企業破綻などで、米政治や社会は仮想通貨に規制色を濃くしてきた。

 

その間、日本を含むアジア各国・地域や新興国では、仮想通貨の技術であるブロックチェーン(分散型台帳)を使ったビジネスが加速していた。

米国をよそ目に政府が支援する格好で新しいインターネット「ウェブ3」ビジネスが拡大。とりわけ法定通貨と連動する「ステーブルコイン」は送金手段として一段と世界でユースケースが広がっていった。

 

米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は米仮想通貨産業の停滞の象徴とみなされていた。交代人事は仮想通貨政策の転換を意味するとともに、米国が仮想通貨市場で再び中心的な存在になるのを目指すという「宣言」でもある。

力を持つ米企業が米当局の後押しのもとで復権し、ウェブ3の世界的な競争が激化、その先に仮想通貨市場の発展が促される――。そんな思惑がビットコイン高の「通奏低音」としてある。

 

トランプ氏の勝利をきっかけにしたビットコイン高の背景の一端はここにある。だが、別の理由もあるのではないか。注目すべきはトランプ新政権の「負の側面」だ。

 

 

それは米国の膨張する政府債務だ。米連邦債務は24年9月末で35兆4640億ドル(約5300兆円)に達する。

この10年間で倍増しているのだ。新型コロナウイルスの感染対策に伴う財政出動を加味しても急拡大している。

 

積極的な財政出動を志向する次期政権のもとで一段と政府債務が膨らむのではないか。そんな思惑が市場で広がっている。

米財政の悪化が止まらないのであれば、米ドルの信認に響くことになる。ドル建て資産から離れたいという投資家がビットコインをはじめとする仮想通貨に手を伸ばしている可能性がある。

 

ビットコインの現物上場投資信託(ETF)という、仮想通貨になじみのなかった投資家でもアクセスしやすい手段が登場したことで、その流れが加速したとも取れる。

「米政府債務が膨大しており、富裕層の投資家の守りの姿勢は強い」。シンガポールの運用会社は指摘する。地政学リスクなどが広がるなかで安全資産へのこだわりは残るが、果たして資金を置いておく先がドルなのか。そんな疑念がビットコイン高をもたらしているのかもしれない。

 

ビットコイン高は、トランプ次期政権が新しい技術の発展という光を映す半面、影の側面も市場に示している。

 

 

 


 
<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=394&h=421&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0ce31c94aa999c296850c065a42adbed 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=788&h=842&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=bf87aaa3078b1493d102977b975375dd 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=394&h=421&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0ce31c94aa999c296850c065a42adbed 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=788&h=842&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=bf87aaa3078b1493d102977b975375dd 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=394&h=421&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0ce31c94aa999c296850c065a42adbed 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=788&h=842&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=bf87aaa3078b1493d102977b975375dd 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=394&h=421&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0ce31c94aa999c296850c065a42adbed 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=788&h=842&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=bf87aaa3078b1493d102977b975375dd 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=394&h=421&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=0ce31c94aa999c296850c065a42adbed 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5714575005122024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=788&h=842&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=bf87aaa3078b1493d102977b975375dd 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>