マスク氏のトランプ氏支援を巡り議論が起きている(19日、ペンシルベニア州)=AP
【シリコンバレー=中藤玲】
米連続起業家のイーロン・マスク氏は11月の米大統領選に向けて、「言論の自由と銃所持の権利」を支持する請願書に署名する激戦州の有権者、毎日誰か1人に100万ドル(約1億5000万円)を配ると発表した。
違法性を指摘する声が出ている。
共和党候補のトランプ前大統領を支援するスーパーPAC(政治活動委員会)「アメリカPAC」が展開する請願書に署名した人を対象に、11月5日の投票日まで毎日誰かに100万ドルを授与する。
アメリカPACはマスク氏が設立に携わっており、激戦州の有権者をトランプ氏の支援に動員する狙いがある。
19日、激戦州の一つである東部ペンシルベニア州の集会でマスク氏が発表し、無作為に選んだ当選者の男性に最初の小切手を手渡した。
X(旧ツイッター)でマスク氏は「この賞金の目的は憲法を支持する私たちの認知度を最大限に高めることだ」と説明している。
米国の連邦法では有権者の買収や、投票や有権者登録と引き換えの金銭などの支払いを禁止している。
マスク氏は直接トランプ氏への投票を呼びかけているわけではないが、署名できるのは有権者登録をした人のみ。登録を促すインセンティブ(報酬)として法律違反になるとの声が上がっている。
選挙法や選挙資金規制に詳しいカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のリチャード・ハセン法学教授は「有権者登録を条件に100万ドルの賞金を出すことは明らかに違法だ。
司法省の選挙犯罪集には、法律で禁止されている買収行為として有権者が対象の宝くじが記載されている」と指摘する。
ペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事も20日、米CNBCの番組に出演して「こうした大金を政治に流せば深刻な疑念が生まれる。
法的機関が調査すべきだ」と批判した。シャピロ氏は民主党候補のハリス副大統領を支持している。
マスク氏は長く民主党の献金者だったが、性的少数者や移民を巡る政策への不満から11月の選挙では共和党を支持している。
7月にトランプ氏が銃撃を受けた直後、同氏への支持を表明した。アメリカPACには7〜9月に約7500万ドルを寄付している。
大統領選はトランプ氏とハリス氏の接戦が続き、同州やアリゾナ州など激戦7州が勝敗のカギを握っている。
2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、ハリス副大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。
データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。
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日経記事2024.10.21より引用
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https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/349bf4c47aef8686b5ae4c9368b5b976