アメリカを正しく認識する 建国までの歴史概略-13 北米に進出した欧州列強
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イギリスを基層とする植民地時代
植民地の人口は、どのおうなエスニック構成だったのでしょうか? 1790年の『国税調査』によれば、『総人口』はわずか393万人、そのうち『白人』が317万人で81%、『黒人』は76万人で19%、『』インディアン』は国家の外に置かれていました。
よって、『アメリカの文化と社会の性格』を決定したのは基本的に白人でした。
イギリス系の植民者たち
最大の白人エスニック集団は、『イングランド系』でした。 これに『スコットランド系』と『アイルランド系』を加えると80%になります。
当時の『アイルランド系』は、『スコットランド系』の『カルヴィン主義』に属する長老派の『スコッチ・アイリッシュ』が多く、こうして『アイルランド』を含めた『広義のイギリス』出身者が『白人の大部分』を占めていました。
イギリスからアメリカ植民地に渡った人々については、『信仰の自由』を求めてアメリカに渡った『ピューリタン』のイメージが強くあると思います。
確かに『ニューイングランド』の『諸植民地の中核勢力』は宗教的熱意に燃えたピューリタンであり、大学卒業者が含まれるなど、中産階級的な性格が強く、『ニューイングランド』への『移住者』は、イングランド社会の断面図に近かったと言われています。
しかし、『アメリカの学会』でも近年、植民地時代をニューイングランドのイメージでとらえることについて見直されてきています。
『ニューイングランド以南』の『植民地への移住者』の、『半分から三分のニ』は『年季契約奉公人』で、当時『大西洋を超える費用』を『自分で支払う』ことのできる『財産』を持つ者は少なく、『アメリカへの渡航費』を支払ってくれた『地主や農家』の下で4年~7年間『不自由』な労役に服して『渡航費用』を『返済』する制度が起こりました。 これが『年季契約奉公人』の制度です。
なかには『自由意志』でもなく、『人さらい』にさらわれて船に乗せられた者もかなりいました。彼らは『契約期間中』は主人によって『売買譲渡』され、逃亡者は捕まると主人に『強制返還』され、『』契約期間が延長』されました。
この『年季奉公人』を『事実上の奴隷』と見なす見解もあります。 要するに彼らは『奴隷労働と自由労働の境界』にありました。これに『黒人奴隷』を加えると、植民地は世界資本主義の周辺に位置し『不自由労働』の割合が極めて高い地域だったのです。
18世紀のイギリスでは『死刑が適用される犯罪の種類』がひどく増え、17世紀末におよそ50種類だったのが、18世紀末には200を越えるようになりました。
しかし『現実の死刑執行』の多くを『免除』する『法的制度』が出来上がり、約5万人の『犯罪者』が『流刑』として『アメリカ送り』になりました。
彼らは『自発的な年季奉公人』の4年年季に対して、7~14年の年季でした。 やがてアメリカが『独立』すると、今度は『オーストラリア』が『流刑植民地』となっていきました。
また『対仏戦争』が断続的に戦われていたこの時代にあって、『戦争と平和のサイクル』が『犯罪の水準』と『相関』していました。
『戦争』が起こると『貧民』が多数『徴兵』された他に、物資やサービスの『需要』が増し、『失業率』が下がり、『犯罪予備軍』が戦争に『吸収』されました。
戦争が終わると、『除隊者』は『失業者』となり、『犯罪者』が『増大』しました。工業がまだ十分に発達していなかったことから、多数の失業者を吸収できず、多数の青年が社会に放り出されました。
こうして『貧民』は『戦争』のために『新世界やインド』に向かい、『失業』すると『年季奉公人』や『囚人』として『新大陸』に労働者として棄民されました。
『大英帝国』はこうして『貧民問題』を解決しようとしたのです。
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