政府の規制改革推進会議は12日、石破政権下での初会合を首相官邸で開いた。
2023年10月に開始した「年収の壁・支援強化パッケージ」を巡り「106万円の壁」の解消に取り組む。助成金制度の手続きを簡素化して使いやすくする。
「106万円の壁」は配偶者が会社勤めの場合、年収106万円に達すると社会保険料が発生して手取りが急減する。
同パッケージは賃上げに取り組むなどして実質的に社会保険料を肩代わりする企業に対し、1人当たり最大50万円支給する。手続きが複雑だったり支給までに時間がかかったりするといった指摘があった。
石破茂首相は12日の会合で、「人口減少、少子高齢化などの課題を克服し、地方の活性化につなげるため、成長型経済を実現するため、利用者目線を徹底し必要な改革に取り組んでほしい」と述べた。
「改革はスピード感が大事だ」とも指摘した。
同会議は
①地方創生
②賃金向上、人手不足対応
③投資大国
④防災・減災――の4本柱を検討課題とする方針を確認した。
11月中にまとめる経済対策や年末の中間答申の取りまとめに向けて議論を進める。
在宅患者をケアする看護師らの拠点「訪問看護ステーション」に置ける薬剤の種類を増やす方針だ。
現状では認められていない鎮痛剤や点滴などを追加する。経済対策に盛り込み、地方でも速やかな診療を受けられるようにする。
24時間対応が可能な薬局がない地域は全国に2割近くある。
夜間や休日に発熱や脱水、痛みといった急な症状が出たときに薬剤を入手するのに長時間を要する課題を解消する。ステーションに設置可能な薬剤は滅菌消毒用医薬品といった一部に限られている。政府は規制を緩和して対応する。
ライドシェアの議論も進める。首相はライドシェアを巡り、政府が6月にまとめた経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に基づいて事業の検証を進めることを求めた。
賃金向上と人手不足対応ではスタートアップの柔軟な働き方を進めるなどする。賃金のデジタル払いの拡大や創薬の加速化などを進めて投資を促す。
首相肝煎りの防災・減災を巡っては災害時のキッチンカーでの素早いサービス提供といった対策を検討する。
年収の壁とは、パート労働者らの年収が一定額を超えると税や年金、社会保険料の負担が発生し、手取りが減る問題です。
103万円、106万円、130万円などが境目で、年収が範囲内に収まるよう働く時間を調整する人も多く、収入が頭打ちになるだけでなく人手不足の要因にもなっています。
日経記事2024.11.12より引用