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資生堂、美容部員7000人の縦割り撤廃 百貨店・量販店兼務

2024-11-28 23:40:20 | 高級ブランド(LVMH、エルメス、グッチ、他)、ファッション


資生堂は販路ごとの美容部員の配置制度を見直す

 

資生堂は接客を担う美容部員の配置を見直す。百貨店やドラッグストアといった売り場別の担当制を2025年にも緩和し、それぞれ兼務できるようにする。

早期退職などで人員を削減しており、効率化と収益性向上の両立を目指す。業績が低迷する中、強みである美容部員の接客力に経営立て直しを託す。

 

美容部員は百貨店などの化粧品売り場で顧客の相談に応じたり、実際に化粧を施したりする従業員を指す。資生堂は詳細な部員数を公表していないが、現在、全国に約7000人いるとみられ、国内で最も多い。

主な販路は百貨店、化粧品専門店、スーパーマーケット、ドラッグストアの4つだ。人事異動や繁忙期の別店舗への出勤は同じ販路内でまかなわれ、それをまたぐ連携はなかった。

 

資生堂は25年以降、美容部員をすべて販路別に縦割りで配置する制度を撤廃する。東京都をはじめとした都市部では百貨店での接客ニーズが大きい一方、地方では専門店やドラッグストアに顧客が集まるケースもある。

今後は販路にこだわらず客の多さに応じて柔軟に美容部員を振り向ける。美容部員によっては百貨店やドラッグストアを掛け持ちする可能性もある。一部、百貨店など集客力の強い店舗では専従の美容部員も残す。

 

日本の化粧品業界にはこうした販路別の縦割り構造が古くから根づく。長い期間で培われた商習慣や扱う商品、接客方法が異なり、小売企業との関係構築や評価の仕組みが違うためだ。

国内約4500人の美容部員を抱える花王や、同じく約3700人の美容部員が在籍するコーセーも同様に販路ごとに配置している。一方、外資系の代表的なメーカーである仏ロレアルは美容部員約1300人を百貨店中心に配置する。

 

 

 

資生堂の配置見直しの背景には業績不振がある。新型コロナウイルス禍以降、化粧品の売れ行きが落ちて低迷が続き、美容部員の採用を縮小した。

24年2月には約1500人の早期退職を募り、9月末で多くの美容部員も退職した。11月には24年12月期の連結純利益(国際会計基準)を160億円下方修正し、前期比7割減の60億円になる見通しを発表したばかりだ。29日午後には26年12月期までの構造改革プランを公表する予定だ。

 

10年代のピーク時には約1万人いたともいわれる美容部員は減少している。従来の同じ販路だけでまかなう配置では人手不足になる事例も出ており、効率化が急務だった。

多様化する顧客の動きに合わせる狙いもある。かつてはなじみの百貨店や専門店で化粧品一式を同じブランドで買いそろえる顧客が大半だった。それが近年では商品ごとにブランドや購入店を変えるなど購買行動が変わってきている。

 

一方で、客が少ないと判断した地方の店舗で派遣する美容部員数を引き下げたり、派遣日数を減らしたりして、売り場が手薄になる恐れもある。

美容部員の業務が多様になれば、接客の質に関わる可能性もある。資生堂の強みを担ってきたとの自負がある美容部員の流出にもつながりかねない。

 

資生堂は再配置にあたり、販路別で違う取扱商品やブランド知識のリスキリング(学び直し)を実施する。「エリクシール」など中価格帯商品が中心のドラッグストアに対し、百貨店は高価格帯の「クレ・ド・ポー ボーテ」などを扱う。

足元では日本人向けの販売が伸び、日本事業は好調だ。店舗に専門の通訳を配置するなどしてインバウンド(訪日外国人)の取り込みにも力を入れている。

 

資生堂の業績回復には日本事業の加速が不可欠で、美容部員の縦割り配置の改革をてこに収益力の引き上げを急ぐ。

(西山良太、行方友芽、大林広樹)

 

 

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

 

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鈴木智子
一橋大学 教授
 
分析・考察

化粧品会社はチャネルごとにブランドを持っていることが多く、資生堂も選択と集中を進めているとはいえ、百貨店ブランドとドラッグストアブランドがあります。

美容部員はブランドの顔です。

ブランドごとにらしさがありますが、美容部員はブランドのパーソナリティを具体化する存在でもあります。

今回の配置見直しによって、一人の美容部員が複数のブランドを担当される可能性もあると思います。

そうなると、美容部員の負担が増すと同時に、ブランドイメージのコミュニケーションが弱まる可能性もあります。

今後はチャネルごとのブランドはなくなる可能があるとは思います。化粧品会社のブランド・マネジメントが大きな転換期を迎えています。

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石塚由紀夫
日本経済新聞社 編集委員
 
別の視点

販路だけでなく、化粧品は販売方法も多様化しています

。ネットで購入したり、店舗であっても陳列棚から客が自分で選んで購入したり。

美容部員に、相談しながら化粧品を選び購入するコンサルティング型販売は人件費コストもかかり、時代にそぐわなくなっているのかもしれません。

資生堂が美容部員の元祖ともいえる「ミス・シセイドウ」を採用したのは1934年のこと。

まだ和装が中心であった日本において西洋風の化粧を顧客に紹介するミス・シセイドウは女性の憧れの職業でもあったといわれています。

それから90年。資生堂の成長をずっと支えてきた美容部員も曲がり角にあるのか…。少し寂しい気もします。

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日経記事2024.11.28より引用

 

 

 


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