イーロン・マスク氏㊨は資金力を用いて共和党候補のトランプ氏を支援する(5日、ペンシルベニア州)=ロイター
【シリコンバレー=山田遼太郎】
米起業家のイーロン・マスク氏が11月の米大統領選で共和党のトランプ前大統領を支援する政治団体に約7500万ドル(約112億円)を献金したことが15日わかった。
大統領選はトランプ氏と民主党のハリス副大統領の接戦だ。マスク氏は資金力や知名度を総動員し、激戦州を中心にトランプ氏を後押しする。
マスク氏は自身が設立に携わった、トランプ氏支援のスーパーPAC(政治活動委員会)「アメリカPAC」に7〜9月にかけて寄付した。
アメリカPACが15日夜、米連邦選挙委員会(FEC)に提出した書類で明らかになった。
マスク氏は7月、トランプ氏が銃撃を受けた事件の直後に同氏への支持を表明した。10月5日にトランプ氏の選挙集会に初めて参加した。
献金にも言及してきたが、具体的な金額が明らかになるのは初めて。
マスク氏がトランプ氏の勝利を後押しするため、総力を挙げているのが浮き彫りになった。
米ブルームバーグ通信によると、マスク氏は2400億ドル超の資産を持ち世界長者番付で首位に立つ。長く民主の献金者だったが、移民や性的少数者をめぐる政策への不満から、今回の大統領選では共和の支持に回った。
激戦州でのトランプ氏支援に力を入れる。マスク氏は15日夜、保有するX(旧ツイッター)で「月曜日(21日)にかけてペンシルベニア中でいくつかの講演をする」と表明した。
同州で期日前投票を済ませ、表現の自由などへの支持に賛同すると、無料で参加できるという。激戦州の一つである同州で、自らの知名度を使ってトランプ氏への投票を呼びかける。
マスク氏が献金したアメリカPACも、戸別訪問など激戦州での草の根の活動に資金を投じている。
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トランプ氏支援の団体への献金額ではマスク氏は2位、首位はミリアム・アデルソン氏の950万ドル。同氏は長年共和党を支えた高額献金者の「カジノ王」故シェルドン・アデルソン氏の夫人です。
7-9月は両氏のような富豪のトランプ氏支援の献金が大幅に増えました。それでも民主党のハリス陣営が同期間に獲得した献金は6億3300万ドル、トランプ陣営の1億4500万ドルの5倍以上。
マスク氏らの献金を合わせても、ハリス陣営が優位を保っているとみられます。
マスク氏の支援する団体の草の根活動も運営が不慣れで成果が上がっていないとの報道も。近年にない接戦、同氏の巨額の献金でも流れを変えられないほど白熱しているのでしょう。
ドナルド・トランプ前アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙で共和党の候補者として、ハリス副大統領と対決します。選挙戦やトランプ氏が抱える裁判の行方など解説します。
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