ラジオ番組に出演した際のハリス副大統領(15日)=ロイター
【ワシントン=飛田臨太郎】
11月5日投開票の米大統領選まで残り3週間となった。民主党候補であるハリス副大統領は距離のある保守系メディアやポッドキャスト、ラジオなどに相次ぎ出演し、露出を増やそうと必死だ。非白人や若者からの支持獲得で伸び悩みがみられ、挽回をはかる。
トランプ氏寄りのFOX出演、無党派層狙う
初めて保守系メディアである米FOXテレビのインタビューに16日、応じる。FOXは共和党候補のトランプ前大統領と距離が近い。
これまでハリス氏が応じたインタビューはリベラル色の強い主要メディアばかりだった。
厳しい質問がでてくる可能性がある「敵地」に乗り込むのは、リスクがあっても少しでも票の上積みを目指すためだ。FOXはCNNテレビなどより無党派層で視聴している人が多い。
10月に入り、ハリス氏はメディアのインタビューを避ける従来の戦略を徐々に転換してきた。「丁々発止のやりとりを苦手としているのではないか」との評判が広がり、これを払拭しようと試みる。
15日に黒人男性が視聴するラジオ番組にでるなど、ポッドキャストやラジオへの出演も増やしている。テレビではコメディー番組にも顔をだした。
ハリス氏は「自分たちは劣勢にいる」を合言葉のように使う。政治的関心が低い層に、トランプ氏の復権を避けるためには投票に行くのが必要だと訴えている。
民主党候補が8月にバイデン氏からハリス氏に差し替わって以降、若年層や中南米系(ヒスパニック)、黒人からの支持率は上昇したが、ここにきて勢いに陰りがみられる。
CNNが9月下旬に実施した世論調査では35歳未満の有権者ではハリス氏の支持率がトランプ氏を12ポイントリードした。それでも2020年大統領選でバイデン氏がトランプ氏に20ポイント超の差をつけた水準に満たない。
若者やヒスパニックの支持に陰り
ヒスパニックや黒人からの支持率も同様で、トランプ氏を上回ってはいるものの、20年や16年の民主党候補がトランプ氏に付けていた差とは開きがある。
対するトランプ氏もポッドキャストやX(旧ツイッター)での公開インタビューなどを積極的に活用する。若年の男性に人気のある司会者や番組を選んで出演する傾向にある。ターゲットを絞りやすい利点に着目し、有権者との接点を増やしている。
CNNはトランプ氏が20日にペンシルベニア州のマクドナルドを訪問し「厨房でフライドポテトを揚げる」予定があると報じた。SNSで広まりそうな行動で、若年層の関心を集める狙いがある。
ハリス、トランプ両氏は支持率で拮抗する。各種世論調査の平均値を算出する米リアル・クリア・ポリティクスによると、16日時点で7つの激戦州のうち中西部ウィスコンシン州以外はトランプ氏が支持率で上回るものの、誤差の範囲内でしかない。
激戦州は数千から数万のわずかな票差で勝負が決まる。両候補は、民主、共和両党のそれぞれの支持層だけでなく、投票先を決めかねている浮動層の支持をどれだけ取り込めるかが重要になる。
カマラ・ハリス副大統領に関する最新ニュースや発言・解説などをお届けします。2024年のアメリカ大統領選挙でバイデン大統領の出馬断念をうけ、民主党の候補者として出馬します。
日経記事2024.10.17より引用