ルブラン財務相㊨とミラー移民相=ロイター
【ニューヨーク=三島大地】
カナダが「51番目の州になるべきだ」として、経済力の行使をちらつかせるトランプ米次期大統領に、カナダの閣僚が反発を強めている。
ルブラン財務相は8日、「ジョークはおしまいだ」と強調。ミラー移民・難民・市民権相もトランプ氏の発言を「ばかげている」と一蹴した。
トルドー首相が辞意を表明した6日、トランプ氏は自身のSNSに「カナダの多くの人々は(米国の)51番目の州になることを望んでいる」と記した。
7日にはカナダを米国に取り込むため、「経済力」の行使も辞さない考えを明らかにした。
トランプ氏の発言を受け、ルブラン財務相は8日、「ジョークはおしまいだ」と断じた。「決して起こらないと知りながら、混乱を巻き起こし、人々をたきつけ、混沌を生み出す彼なりの手法なのだろう」との分析も披露した。
ルブラン財務相は12月、トランプ氏がカナダへ25%の関税を課す構想を明らかにした直後に、トルドー氏とともにトランプ氏の邸宅「マール・ア・ラーゴ」を訪れている。
トランプ氏がトルドー氏を「州知事」と呼んだことに対し当時、ルブラン財務相は「(トランプ氏は)私たちをからかっただけで、真面目な発言ではない」と説明していた。
ミラー移民相も8日、記者団に「(カナダが米国の)51番目の州になる可能性は全くない。米国の大統領としてあるまじき態度だ」と批判した。
ジョリー外相も「彼の脅しを軽んじることはないが、(トランプ氏がまいた)餌に食いつくこともない」と述べた。
カナダの世論調査会社レジェ・マーケティングが12月に実施した調査では、カナダ人回答者の82%が米国の51番目の州になることに反対だった。賛成は13%にとどまった。
日経記事2025.1.9より引用