イランの首都テヘランの反イスラエル集会で、殺害されたハニヤ氏のポスターを掲げる人々
=WANA提供・ロイター
パレスチナのイスラム組織ハマスの最高指導者イスマイル・ハニヤ氏が7月31日、イランの首都テヘランで殺害された。
その少し前、レバノンの首都ベイルートではイスラム教シーア派組織ヒズボラの司令官が死亡し、こちらはイスラエルが殺害したことを発表した。
2つの首都で起きた暗殺は同じ思惑でつながる。ハニヤ氏殺害もイスラエルの作戦だとすれば、なぜ中東に戦火を広げる危険な行動に出たのか。
いや、むしろ戦線拡大によってパレスチナ自治区ガザの袋小路を打開したいと考えたのではないか。イランを引きずり出し、米国を巻き込むためだ。
見過ごすことはできないイラン
ハニヤ氏はハマスの政治部門トップで、2023年10月にイスラエルへの越境襲撃を起こした軍事部門に比べ、現実的だったとされる。
米国やエジプト、カタールの仲介で続けてきた停戦交渉の相手にもなってきた。その排除は事実上、イスラエルが交渉から離脱することを意味する。
加えてペゼシュキアン新大統領の就任宣誓式のためにイラン入りしたタイミングを狙われた。イランは足元の失態を見過ごすわけにいかない。
ヒズボラ幹部の暗殺はどう読めばよいのか。「イランが中東各地で支援する代理勢力のなかでもヒズボラは違う」と語るのは、斉藤貢・元駐イラン大使だ。
レバノン南部を実効支配し、議会に合法的な政党として加わるヒズボラは、イランのイスラム革命政権にとって革命輸出の唯一の成功例と言っていい。
ヒズボラがイスラエルと全面衝突すれば「見捨てるわけにいかない」(斉藤元大使)。
ガザの衝突が始まって10カ月、軍事力でハマスは壊滅できないとの声がイスラエル軍内部からもあがる。
衝突の幕引きが難しくなるなかで、内政で窮地に立つネタニヤフ政権はハマスへの攻撃を強めつつ、北辺のヒズボラにも打撃を与え、背後にいるイランを引きずり出すことに軸足を移そうとしているように見える。
大統領選に絡められた米国
イスラエルの行動は米国も試す。
7月に米国を訪れたネタニヤフ首相は、民主党のバイデン大統領やハリス副大統領、共和党のトランプ元大統領と会った。11月の大統領選挙を踏まえたうえで、支援の継続を両にらみで訴えた。
バイデン米大統領㊨はホワイトハウスでネタニヤフ首相と会談した(7月25日)=ロイター
イスラエルがイランと衝突する事態になれば、バイデン政権はどう動くのか。米国が派兵や軍事支援の拡大に踏み込み、強固な同盟関係を確認できれば、イスラエルはそれに越したことはない。
逆に突き放す判断をすれば、ユダヤ系有権者の票をねらうトランプ陣営を勢いづかせる。
面目を失ったとはいえ、国内経済が疲弊するイランはイスラエルとその背後にいる米国と事を構えたくない。
イスラエルが誘う戦火の泥沼に、イランも米国もその思惑通りには引きずり込まれたくないのが本音だ。
ばらまかれる火種、抑えられるか
はっきりしているのは、ハニヤ氏の死でハマスは崩壊しないことだ。
ハマス指導者のこれまでは暗殺の歴史である。イスラエルは創設者のヤシン師、その政治部門後継者とされたランティシ氏などを次々と殺害してきた。
だが指導者の排除でイスラム過激思想を根絶することはできないと、世界は「テロとの戦い」で思い知らされたはずだ。
それでもイスラエルはパレスチナという喉元にやっかいな敵対勢力を抱えたまま、ハマスに対する強硬手段を続けるだろう。国際社会はばらまかれる戦火の火種をどう抑えられるか、試されている。
1989年入社。エネルギーや商社、機械・プラントなどの業界や経済産業省、外務省などを取材。イラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)の3カ国に駐在した。編集委員、論説委員などを経て2024年4月から本社コメンテーター。
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仮にトランプが大統領になると、イランのスレイマニ将軍を暗殺したトランプがテロの標的になるのは間違いなし。 実際、イランは公言している。
トランプは暗殺も戦争をしない平和主義者などとお馬鹿たちが、トランプやQアノンのデマを信じているがアホか?というしかない。
頭の弱いお馬鹿たちは、何故、彼のデマを信じるのか?
トランプがDSと戦っている? 冗談もほどほどに!
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/de96e73270e915c376ff4eeae976c036
反論してみなさい! ミジンコ。