https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB260ES0W4A021C2000000/
【ドバイ=福冨隼太郎】
イスラエル軍は26日、イランの軍事施設に対して精密攻撃を実施したと発表した。イランメディアは同日、同国首都テヘラン西部で複数の爆発音が聞こえたと報じた。
米メディアによると、核施設や石油関連施設は攻撃していないという。
イランが1日にイスラエルに弾道ミサイルで攻撃したことへの反撃とみられる。
報復の連鎖につながれば中東情勢は一層不安定になりかねない。イランの対応が焦点となる。イランのタスニム通信は、同国情報筋が「イランはイスラエルの攻撃に対応する用意がある」と語ったと伝えた。
攻撃は数次にわたって行われ、テヘラン西部の軍事施設など複数の施設が標的となった。
米紙ニューヨーク・タイムズはイスラエル当局者の話として約20カ所が対象となったと報じた。
イスラエルメディアによると、防空システムや弾道ミサイルの製造拠点などを狙った。攻撃には戦闘機や空中給油機などが使用されたという。
イスラエル軍は26日、「精密で標的を絞った軍事施設への攻撃を完了した」と発表した。「目的は達成された」と強調した。
米NBCはイスラエル政府筋の話として、イスラエルが核施設やイランの石油関連施設は攻撃しなかったと伝えた。
イスラエル軍は声明で「イランの政権による攻撃がここ数カ月間続いていることを受けたもの」と強調した。
同軍の報道官はイランや周辺勢力による攻撃に「対応する権利と義務がある」と語った。
ロイター通信によると、米政府高官はイランへの攻撃の前にイスラエルから通知を受けていたが、作戦には関与していないと主張した。NBCは米政府高官の話として、「攻撃は抑制的だ」との見方を示した。
シリアの国営シリア・アラブ通信によると、同国中部や南部の軍事施設でもイスラエルからの攻撃があった。軍関係者による話として、複数のミサイルなどを迎撃したと伝えた。
イランは1日、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラ最高指導者のナスララ師らを殺害された報復としてイスラエルに弾道ミサイル約180発を発射した。一部は地上に落下した。
イスラエルのネタニヤフ首相は「イランは大きな間違いを犯した。代償を払うことになる」などと述べ、報復を宣言していた。
4月にはイスラエルによるとみられる在シリアのイラン公館への攻撃をきっかけに、両国による報復の応酬に発展した。この時はイランが事前に予告するなど両者とも攻撃は限定的で、大きな被害は出なかった。
イランとイスラエルの対立はイランが支援するイスラム組織ハマスによる2023年10月のイスラエル襲撃をきっかけに強まっている。パレスチナ自治区ガザで始まった戦闘は、ヒズボラが拠点を置くレバノンなどに拡大している。
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ひとこと解説
①イスラエル、イランの攻撃の応酬は一段とエスカレートすることに。気になるのは米大統領選直前のこのタイミング。
バイデン政権のグリップが効いていないとの見方が強まれば、ハリス候補にさらなる逆風となっておかしくありません。
②日本は衆院選のさなかというのに、外交・安全保障はほとんど問題となっていません。原油輸入の9割を中東に依存するというのに、エネルギー政策もほとんど素通り。何か自己催眠にかかったような選挙戦です。
③今からでも各党の安全保障政策について比較検討の素材を、メディアは有権者に提供すべきでしょう。例えば集団的自衛権の行使に違憲論をとる政党はどこか、などは改めて確認したいところです。
(更新)
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イスラエル軍は2024年10月1日、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに対し、イスラエルと国境を接するレバノン南部で「限定的」な地上攻撃を始めたと発表しました。
その後、イスラエル軍は、イランがイスラエルに向けて同日にミサイルを発射したと発表しました。最新ニュースと解説記事をまとめました。
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日経記事2024.10.26より引用