4日目その1からの続きです。
○ ふたたび自由行動
○ ふたたび北門神社
○ ふたたび北防波堤ドーム
○ 相沢百貨店
○ KITAcolor
○ ホテルにひとり
○ 北防会館
○ Day After Tomorrow...
○ 小ロシア
○ 最北端の金次郎像?
○ フェリーターミナル
○ 雪の中の線路
○ 最北端の真言宗寺院
○ 歩道通行不可
○ ホテルにて
------------------------------------------
帰宅組の乗ったバスを見送り、歩き始めました。
宿泊組は、私のほかに4名。1名参加は私だけで、さびしーい。
添乗員さんが一人ついてくれますが、私以外はみなさん同じ宿で、一人違うところに泊まります。
ここからは自由行動になるため、途中でみんなとお別れし、宿で荷物を預かってもらいました。
選んだのは、ホテル美雪。
ほかのみんなが泊まるホテルは、新しくて温泉もあり、間違いないのですが、そこには別の街で泊まったことがあるため、雰囲気はわかります。
この美雪は、チェーンではなく単館。とっても評判がいいので、泊まってみようと思いました。
身軽になって、外の散策に出かけました。
まだ12時を過ぎたばかりなのに、「1時くらいには部屋にお通しできますよ」と言ってもらいました。
普通、チェックインタイムは、早くても2時以降ですが、今回の旅では、宿はどこでも、ずいぶん早くにチェックインさせてくれています。
これは北海道独特?それともどこでも頼めば大丈夫なもの?
吹雪サービス(というか緊急事態だから)でしょうか?
○ ふたたび北門神社
まずは、2日前にも訪れた北門神社へ向かいます。
フロントマンが「除雪がすんでいなければ、行けないかもしれない」と言っていましたが、雪で埋もれた参道に、かろうじて人がひとり通れるくらいの細い道ができていました。
階段なので、これは完全に手作業でしょう。
まるで、ギリシア神話のシムプレゲイドを通り抜けるアルゴ船になった気分です。
(たとえがマニアック?)
手水舎は、春が来るまで使えないくらい雪の中。
白い稲荷神社が、雪に同化していました。
そういえば神狐って白いですものね。
北門神社を再訪したわけは、本殿横から稚内公園へと行く道があると聞いたためです。
お参りしてから、横の道がどうなっているのかのぞいてみましたが、完全に雪の中で、道などありません。
そこにはミニ除雪車が置いてありました。ここの神社のものでしょう。
山の上の神社への参拝者用の雪かきをちゃんとしていて、神職の方はすごいわ。肉体労働が大変そうだわ。
この冬は、除雪車はフル稼働しているでしょうね。
お守りを求めようと思いましたが、山の上の社務所にはどなたもいませんでした。
参拝者も数名でしょうからね・・・。
神社の上はさらに山。前回、歌の道と言われていることに気づかないまま通り過ぎたため、道を注意深く眺めてみました。
でも歌碑らしきものは半分以上雪に埋もれており、やっぱりわかりませんでした。
○ ふたたび北防波堤ドーム
それから、ここも1日目に行った北防波堤ドームへ。
道には、除雪で雪がこんもりと積み上げられています。
雪壁のできた道を歩いて行きました。壁から冷気が漂って、ひんやりします。
足跡は私だけ。ここを通る人がいないのか、できてもすぐまた雪で消されるのか。
前回ここで出会った観光客の二人連れは、さとちんさん親子だったとあとになってわかりました。
この時には中国人の観光客がおり、お互い写真を撮ってもらい合いました。
でもすぐにいなくなり、私だけになります。
しおさいプロムナードの階段にはあいかわらず分厚く雪が積もって、アクセス不可能になっています。
そこをなんとか上ってみると、前回いっさい無かった流氷が岸にびっしりと押し寄せていて、真っ白な世界に雰囲気ががらりと変わっていました。
すぐそばで、白く大きくうねる海。
あまりの海の変貌に驚いて、しばらく動けません。
そうしているうちに北からの海風のあおりをまともに受け、あっという間に体の芯から冷えきってしまいました。
YouTubeにアップしました。
解説も入れていますが、海風ですっかり自分の声がかき消されてしまっています。
それだけがんばって立っていたので、もうすっかり自分自身がアイスバーになった気分。
トンカチで叩かれたら、粉々になりそうでした。
○ 相沢百貨店
それから相沢百貨店へ。百貨店ということは、デパートのようです。
古めかしいお店で、入るのに躊躇するような入口でしたが、ここでポンたらや燻製など、宗谷の塩などを購入。
スーパーにしか見えませんでしたが、おみやげをお店の包装紙で包んでくれたので(さすが百貨店)と思いました。
冷凍たこの頭が売られているのを見るのは、初めて。ワ、ワイルド~。
昨日は店を開けられなかったようで、今日も「流通ルートがおかしくなっているため、特売の時間をずらします」という表示があちこちに貼られていました。
○ KITAcolor
買い足りないものは、通りむこうの駅に隣接したキタカラセレクトで。
りんぞうくんひものはここの限定販売品。かわいさに惹かれて購入。
あとは、宗谷の人お勧めの、小鹿の流氷まんじゅうをゲットしました。おいしかったです。
キタカラ(KITAcolor)は、去年オープンしたばかりの稚内駅前の複合施設。
JR稚内駅にバスターミナル、映画館、コンビニ、高齢者住宅、地域交流センターなどが入っており、「ここにくればとりあえずなんでもできる」という場所になっています。
1日目のフリータイムの時、大阪から一人参加の男性は、外がふぶいていたので観光を諦めて、ここのシネコンで過ごしたと言っていました。
「え~」とブーイングする私たちに、「でも、男性1000円ってお得なんすよ」と言う彼。
「何の映画を観たんですか?」と聞いたら、「のぼうの城」という答え。
「え~、行田の話を稚内でー?」と言う私の横で、「のぼうのロケ、苫小牧でやったんですよ!」と反応するコズエさん。
思わぬところで北海道つながりがあったということで、無事にみんな納得です(笑)。
一人になった私。駅には、「終日運休」の通知があります。
駅標も、2日前よりも雪に埋まっていました。
観光案内所で、お勧めの場所を聞きましたが、あまりいい答えはでません。
豊富温泉に行きたかったのですが、この日は電車が動かないので無理。がっかり。
ノシャップ岬までの海岸線が、フットパスロードになっているため、そこを歩いていくことにします。
○ ホテルにひとり
キタカラからノシャップの途中にあるホテルに寄り、休憩を兼ねてチェックインしました。
シングルルームを予約しましたが、最上階の広いツインルームにしてもらいました。
とってもラッキー。
名乗る前から「○○様ですか?」と聞かれたので、おやと思ったら、どうやらこの日の宿泊客は、私だけのようでした。
ホテルに1人!そんなことって、あるんですねー。
きっと吹雪の影響でしょう。
雪世界に加えて、これまた非日常的なシチュエーションです。
なんだか村上春樹の物語世界に迷い込んだかのよう。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のワールドを思い出しました。
窓からは雪の中の稚内駅周辺が一望できます。宗谷海峡も。
○ 北防会館
一息ついてからまた外出しました。
「北防会館」という建物を見つけます。
ここで、北方対策を練っているのでしょうか?
東京の永田町には「砂防会館」がありますが。
ノシャップ岬へ向かいかけましたが、あまりの風の強さと寒さ、雪の深さに、無理だと感じました。
岬への5.5kmの距離は、普通の道ならなんとかなっても、雪道なので遙かに時間がかかりそう。
そして疲労もたまりそうです。
○ Day After Tomorrow...
真っ白な光景は、さんざん見慣れてきましたが、この景色はあまりにも非日常的で、(本当にここは日本なのか?)と思ってしまうほどでした。
途中で動画を撮りました。今度はノシャップ方面から、北防波堤ドームを眺める格好です。
YouTubeにアップしました。解説は入っていません。
寒さで口を開く気力が無いのと、周りの光景に圧されているためです。
先ほど思い出した『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』。
世界の果てのような光景だと思いました。
ある意味、地球の終わりの氷河期のようにも。
『デイ・アフター・トゥモロー』を思い出しかけて怖くなり、頭を振ってその考えを追いやりました。
こんな景色をずっと見続けていたら、ひたひたと孤独感がおしよせてきます。
心からとても寂しくなりました。
人間や動物がいない世界は、なんて心もとないんでしょう。
時折車や除雪車は通りますが、一瞬で去ってしまうし、鉄の塊に気持ちは慰められませんでした。
○ 小ロシア
すっかり淋しい病にかかってしまったので、とにかく生身の人がいるところへ戻ろうと、方向転換しました。
町を散策しようと、歩いていない道を通っていきます。
ここのお宅のつららにびっくり。
ここのお宅のバルコニーの雪にびっくり。
溶けるまで、洗濯は無理ね・・・。
中央アーケード街にさしかかると、店名をロシア後表記している店がちらほらありました。
キリル文字はさっぱり読めませんでしたが、「ITO」はロシア語表記でも一緒だとわかりました。
伊藤さん、北方に強し!
雪に埋もれて、小ロシアの雰囲気満点。サハリン航路からのニーズがあるんでしょうね。
危険表示も、ロシア語が併記されていました。
○ 最北端の金次郎像?
そのうち、先ほどのあいざわ百貨店の反対側の入口にさしかかりました。
お店の前に、なぜか二宮金次郎の銅像を発見。
もしかすると、最北端の金次郎像ではないでしょうか?
アーケードの中なのに、雪に吹き付けられて真っ白です。
前日までの吹雪のすごさを、金ちゃんが身をもって教えてくれました。
それにしても寒そう~!
○ フェリーターミナル
そのまま歩いてフェリーターミナルのところへ行きました。
初日に初めて見た流氷がどうなったのか気になりましたが、全く無くなっていました。
午後には風向きが変わって、流氷がまたどこかに流れていってしまうと、ガイドさんが言っていた通り、まさに風と共に去りぬ。
あんなに見飽きていたはずなのに、いざ無くなってしまうと物足りなくなる、人間って欲張りですね。
○ 雪の中の線路
また雪がちらつきはじめます。
雪にほとんど埋もれた踏切を渡る時、いつものように左右確認をしましたが、ふと目をやると、あるはずの線路がない!
正確には雪の下に埋もれています。
廃線のようになっています。線路がないんですから、こんなところ、当然電車が通れるはずはありません。
なので、少し線路を歩いてみました。
南稚内駅まで歩こうかな~と思いましたが、除雪されていない道を通るのは、人間でもやっぱり無理で、途中で引き返しました。
そしてさらに進み、副港市場に着きました。
さっき全くものを買う時間がなかったためで、(こういうものを売っていたんだー)とざっと見ています。
稚内牧場のアイスは、今こそ食べるチャンスでしたが、もう閉店していました。
まあ、いくら美味だといっても、冷え切った身体にアイスは通りそうにありませんでしたし。
○ 最北端の真言宗寺院
市場近くにあり、車窓から気になっていた、朱塗りのお寺へと行ってみました。
最北端の真言宗寺院、その名も真言寺だそうです。
スーパーマンを地で行く空海も、さすがにここまでは来なかったのではないかと思います…。
朱塗りの橋がありましたが、雪に埋もれて通行不可でした。
ああ、渡りたかったわ。大量のお湯があったら溶かすのにー。
もちろんお寺にもアクセスできずじまいでした。
○ 歩道通行不可
今回は、羽田を離れてから外で全く地表を観ていない気がします。
どこも雪ばかり。新雪を踏みしめていますが、今日はアイスバーンもちらほら見かけました。
夕方になってうす暗くなってきたので、足元に気をつけながら帰途につきます。
歩道も除雪してくれていますが、アフターケアがされておらず、除雪した後に積雪があると、もう通れる道ではなくなってしまいます。
そもそも除雪されていない歩道もあって、ただでさえ雪壁で狭くなっている車道を歩かざるを得なかったこともありました。
環境の整備まではなかなか行きとどかないものですが、慣れない観光客は緊張のしどおし。
雪道なので、自動車が近づいても音が消されてわからないためです。
雪国の冬の観光のハードルの高さを感じました。
今日はあちこちでパワーショベルを見かけました。
冬の稚内での過ごし方が少ないことが残念。
宗谷岬はこの時期でも夜にはライトアップされるそうですが、そこまでのアクセスも整えないと、観光客はなかなか辿りつけません。
歩道だけでなく、フットパス用の道も整備されておりません。
それどころではないのでしょうけれど、観光にも力を入れないと現状は変わらない気がします。
夏と冬とでは全く状況が違うのに、パンフやHPは夏の写真ばかりで、ハイシーズンの情報しか載っていません。
冬仕用の情報も、やはり必要だと思います。
冬は、観光客を迎える体制にはなっていなさそうですが、北の国際都市としてのアピールもあってもいいのではないかと思います。
○ ホテルにて
ホテルに到着すると、フロントマンが暖かい笑顔で迎えてくれました。
新聞とルームキーを受け取りながら、人恋しさのあまり、少しお喋りします。
なんといっても静かなホテル。時間はたっぷりあるのです。
歌登にいたと話すと、「あそこは雪が深い場所ですよ」と驚かれました。
昨日の稚内も猛吹雪で、電車だけでなく、タクシーもすべて動かなかったそうです。
道路が封鎖されたためでしょうけれど、足止めを食らった人はたくさんいる様子。
この方は市内在住なのに、昨日はホテルまで勤務に来れなかったそうです。
生身の人間と話をし、暖かさに触れて、安心して部屋に上がりました。
雛祭りの日なので、雛あられの代わりに、旭川名物の旭豆をいただきます。
お茶を飲み、同じツアーで別のホテル泊のユキちゃん・チズちゃんとメールでやり取りしながら、のんびり最後の夜を楽しみました。
旭川に向かった帰宅組からの連絡が入りました。
結局東京組は、22時半着の最終便で羽田に着いたそう。
稚内から旭川だって、バスでどれくらいかかったのやら。
雪の中を、本当に大変でした。
明日は、私たちが帰る番。どうぞ飛行機が飛びますように。
最終日、5日目に続きます。
○ ふたたび自由行動
○ ふたたび北門神社
○ ふたたび北防波堤ドーム
○ 相沢百貨店
○ KITAcolor
○ ホテルにひとり
○ 北防会館
○ Day After Tomorrow...
○ 小ロシア
○ 最北端の金次郎像?
○ フェリーターミナル
○ 雪の中の線路
○ 最北端の真言宗寺院
○ 歩道通行不可
○ ホテルにて
------------------------------------------
帰宅組の乗ったバスを見送り、歩き始めました。
宿泊組は、私のほかに4名。1名参加は私だけで、さびしーい。
添乗員さんが一人ついてくれますが、私以外はみなさん同じ宿で、一人違うところに泊まります。
ここからは自由行動になるため、途中でみんなとお別れし、宿で荷物を預かってもらいました。
選んだのは、ホテル美雪。
ほかのみんなが泊まるホテルは、新しくて温泉もあり、間違いないのですが、そこには別の街で泊まったことがあるため、雰囲気はわかります。
この美雪は、チェーンではなく単館。とっても評判がいいので、泊まってみようと思いました。
身軽になって、外の散策に出かけました。
まだ12時を過ぎたばかりなのに、「1時くらいには部屋にお通しできますよ」と言ってもらいました。
普通、チェックインタイムは、早くても2時以降ですが、今回の旅では、宿はどこでも、ずいぶん早くにチェックインさせてくれています。
これは北海道独特?それともどこでも頼めば大丈夫なもの?
吹雪サービス(というか緊急事態だから)でしょうか?
○ ふたたび北門神社
まずは、2日前にも訪れた北門神社へ向かいます。
フロントマンが「除雪がすんでいなければ、行けないかもしれない」と言っていましたが、雪で埋もれた参道に、かろうじて人がひとり通れるくらいの細い道ができていました。
階段なので、これは完全に手作業でしょう。
まるで、ギリシア神話のシムプレゲイドを通り抜けるアルゴ船になった気分です。
(たとえがマニアック?)
手水舎は、春が来るまで使えないくらい雪の中。
白い稲荷神社が、雪に同化していました。
そういえば神狐って白いですものね。
北門神社を再訪したわけは、本殿横から稚内公園へと行く道があると聞いたためです。
お参りしてから、横の道がどうなっているのかのぞいてみましたが、完全に雪の中で、道などありません。
そこにはミニ除雪車が置いてありました。ここの神社のものでしょう。
山の上の神社への参拝者用の雪かきをちゃんとしていて、神職の方はすごいわ。肉体労働が大変そうだわ。
この冬は、除雪車はフル稼働しているでしょうね。
お守りを求めようと思いましたが、山の上の社務所にはどなたもいませんでした。
参拝者も数名でしょうからね・・・。
神社の上はさらに山。前回、歌の道と言われていることに気づかないまま通り過ぎたため、道を注意深く眺めてみました。
でも歌碑らしきものは半分以上雪に埋もれており、やっぱりわかりませんでした。
○ ふたたび北防波堤ドーム
それから、ここも1日目に行った北防波堤ドームへ。
道には、除雪で雪がこんもりと積み上げられています。
雪壁のできた道を歩いて行きました。壁から冷気が漂って、ひんやりします。
足跡は私だけ。ここを通る人がいないのか、できてもすぐまた雪で消されるのか。
前回ここで出会った観光客の二人連れは、さとちんさん親子だったとあとになってわかりました。
この時には中国人の観光客がおり、お互い写真を撮ってもらい合いました。
でもすぐにいなくなり、私だけになります。
しおさいプロムナードの階段にはあいかわらず分厚く雪が積もって、アクセス不可能になっています。
そこをなんとか上ってみると、前回いっさい無かった流氷が岸にびっしりと押し寄せていて、真っ白な世界に雰囲気ががらりと変わっていました。
すぐそばで、白く大きくうねる海。
あまりの海の変貌に驚いて、しばらく動けません。
そうしているうちに北からの海風のあおりをまともに受け、あっという間に体の芯から冷えきってしまいました。
YouTubeにアップしました。
解説も入れていますが、海風ですっかり自分の声がかき消されてしまっています。
それだけがんばって立っていたので、もうすっかり自分自身がアイスバーになった気分。
トンカチで叩かれたら、粉々になりそうでした。
○ 相沢百貨店
それから相沢百貨店へ。百貨店ということは、デパートのようです。
古めかしいお店で、入るのに躊躇するような入口でしたが、ここでポンたらや燻製など、宗谷の塩などを購入。
スーパーにしか見えませんでしたが、おみやげをお店の包装紙で包んでくれたので(さすが百貨店)と思いました。
冷凍たこの頭が売られているのを見るのは、初めて。ワ、ワイルド~。
昨日は店を開けられなかったようで、今日も「流通ルートがおかしくなっているため、特売の時間をずらします」という表示があちこちに貼られていました。
○ KITAcolor
買い足りないものは、通りむこうの駅に隣接したキタカラセレクトで。
りんぞうくんひものはここの限定販売品。かわいさに惹かれて購入。
あとは、宗谷の人お勧めの、小鹿の流氷まんじゅうをゲットしました。おいしかったです。
キタカラ(KITAcolor)は、去年オープンしたばかりの稚内駅前の複合施設。
JR稚内駅にバスターミナル、映画館、コンビニ、高齢者住宅、地域交流センターなどが入っており、「ここにくればとりあえずなんでもできる」という場所になっています。
1日目のフリータイムの時、大阪から一人参加の男性は、外がふぶいていたので観光を諦めて、ここのシネコンで過ごしたと言っていました。
「え~」とブーイングする私たちに、「でも、男性1000円ってお得なんすよ」と言う彼。
「何の映画を観たんですか?」と聞いたら、「のぼうの城」という答え。
「え~、行田の話を稚内でー?」と言う私の横で、「のぼうのロケ、苫小牧でやったんですよ!」と反応するコズエさん。
思わぬところで北海道つながりがあったということで、無事にみんな納得です(笑)。
一人になった私。駅には、「終日運休」の通知があります。
駅標も、2日前よりも雪に埋まっていました。
観光案内所で、お勧めの場所を聞きましたが、あまりいい答えはでません。
豊富温泉に行きたかったのですが、この日は電車が動かないので無理。がっかり。
ノシャップ岬までの海岸線が、フットパスロードになっているため、そこを歩いていくことにします。
○ ホテルにひとり
キタカラからノシャップの途中にあるホテルに寄り、休憩を兼ねてチェックインしました。
シングルルームを予約しましたが、最上階の広いツインルームにしてもらいました。
とってもラッキー。
名乗る前から「○○様ですか?」と聞かれたので、おやと思ったら、どうやらこの日の宿泊客は、私だけのようでした。
ホテルに1人!そんなことって、あるんですねー。
きっと吹雪の影響でしょう。
雪世界に加えて、これまた非日常的なシチュエーションです。
なんだか村上春樹の物語世界に迷い込んだかのよう。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のワールドを思い出しました。
窓からは雪の中の稚内駅周辺が一望できます。宗谷海峡も。
○ 北防会館
一息ついてからまた外出しました。
「北防会館」という建物を見つけます。
ここで、北方対策を練っているのでしょうか?
東京の永田町には「砂防会館」がありますが。
ノシャップ岬へ向かいかけましたが、あまりの風の強さと寒さ、雪の深さに、無理だと感じました。
岬への5.5kmの距離は、普通の道ならなんとかなっても、雪道なので遙かに時間がかかりそう。
そして疲労もたまりそうです。
○ Day After Tomorrow...
真っ白な光景は、さんざん見慣れてきましたが、この景色はあまりにも非日常的で、(本当にここは日本なのか?)と思ってしまうほどでした。
途中で動画を撮りました。今度はノシャップ方面から、北防波堤ドームを眺める格好です。
YouTubeにアップしました。解説は入っていません。
寒さで口を開く気力が無いのと、周りの光景に圧されているためです。
先ほど思い出した『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』。
世界の果てのような光景だと思いました。
ある意味、地球の終わりの氷河期のようにも。
『デイ・アフター・トゥモロー』を思い出しかけて怖くなり、頭を振ってその考えを追いやりました。
こんな景色をずっと見続けていたら、ひたひたと孤独感がおしよせてきます。
心からとても寂しくなりました。
人間や動物がいない世界は、なんて心もとないんでしょう。
時折車や除雪車は通りますが、一瞬で去ってしまうし、鉄の塊に気持ちは慰められませんでした。
○ 小ロシア
すっかり淋しい病にかかってしまったので、とにかく生身の人がいるところへ戻ろうと、方向転換しました。
町を散策しようと、歩いていない道を通っていきます。
ここのお宅のつららにびっくり。
ここのお宅のバルコニーの雪にびっくり。
溶けるまで、洗濯は無理ね・・・。
中央アーケード街にさしかかると、店名をロシア後表記している店がちらほらありました。
キリル文字はさっぱり読めませんでしたが、「ITO」はロシア語表記でも一緒だとわかりました。
伊藤さん、北方に強し!
雪に埋もれて、小ロシアの雰囲気満点。サハリン航路からのニーズがあるんでしょうね。
危険表示も、ロシア語が併記されていました。
○ 最北端の金次郎像?
そのうち、先ほどのあいざわ百貨店の反対側の入口にさしかかりました。
お店の前に、なぜか二宮金次郎の銅像を発見。
もしかすると、最北端の金次郎像ではないでしょうか?
アーケードの中なのに、雪に吹き付けられて真っ白です。
前日までの吹雪のすごさを、金ちゃんが身をもって教えてくれました。
それにしても寒そう~!
○ フェリーターミナル
そのまま歩いてフェリーターミナルのところへ行きました。
初日に初めて見た流氷がどうなったのか気になりましたが、全く無くなっていました。
午後には風向きが変わって、流氷がまたどこかに流れていってしまうと、ガイドさんが言っていた通り、まさに風と共に去りぬ。
あんなに見飽きていたはずなのに、いざ無くなってしまうと物足りなくなる、人間って欲張りですね。
○ 雪の中の線路
また雪がちらつきはじめます。
雪にほとんど埋もれた踏切を渡る時、いつものように左右確認をしましたが、ふと目をやると、あるはずの線路がない!
正確には雪の下に埋もれています。
廃線のようになっています。線路がないんですから、こんなところ、当然電車が通れるはずはありません。
なので、少し線路を歩いてみました。
南稚内駅まで歩こうかな~と思いましたが、除雪されていない道を通るのは、人間でもやっぱり無理で、途中で引き返しました。
そしてさらに進み、副港市場に着きました。
さっき全くものを買う時間がなかったためで、(こういうものを売っていたんだー)とざっと見ています。
稚内牧場のアイスは、今こそ食べるチャンスでしたが、もう閉店していました。
まあ、いくら美味だといっても、冷え切った身体にアイスは通りそうにありませんでしたし。
○ 最北端の真言宗寺院
市場近くにあり、車窓から気になっていた、朱塗りのお寺へと行ってみました。
最北端の真言宗寺院、その名も真言寺だそうです。
スーパーマンを地で行く空海も、さすがにここまでは来なかったのではないかと思います…。
朱塗りの橋がありましたが、雪に埋もれて通行不可でした。
ああ、渡りたかったわ。大量のお湯があったら溶かすのにー。
もちろんお寺にもアクセスできずじまいでした。
○ 歩道通行不可
今回は、羽田を離れてから外で全く地表を観ていない気がします。
どこも雪ばかり。新雪を踏みしめていますが、今日はアイスバーンもちらほら見かけました。
夕方になってうす暗くなってきたので、足元に気をつけながら帰途につきます。
歩道も除雪してくれていますが、アフターケアがされておらず、除雪した後に積雪があると、もう通れる道ではなくなってしまいます。
そもそも除雪されていない歩道もあって、ただでさえ雪壁で狭くなっている車道を歩かざるを得なかったこともありました。
環境の整備まではなかなか行きとどかないものですが、慣れない観光客は緊張のしどおし。
雪道なので、自動車が近づいても音が消されてわからないためです。
雪国の冬の観光のハードルの高さを感じました。
今日はあちこちでパワーショベルを見かけました。
冬の稚内での過ごし方が少ないことが残念。
宗谷岬はこの時期でも夜にはライトアップされるそうですが、そこまでのアクセスも整えないと、観光客はなかなか辿りつけません。
歩道だけでなく、フットパス用の道も整備されておりません。
それどころではないのでしょうけれど、観光にも力を入れないと現状は変わらない気がします。
夏と冬とでは全く状況が違うのに、パンフやHPは夏の写真ばかりで、ハイシーズンの情報しか載っていません。
冬仕用の情報も、やはり必要だと思います。
冬は、観光客を迎える体制にはなっていなさそうですが、北の国際都市としてのアピールもあってもいいのではないかと思います。
○ ホテルにて
ホテルに到着すると、フロントマンが暖かい笑顔で迎えてくれました。
新聞とルームキーを受け取りながら、人恋しさのあまり、少しお喋りします。
なんといっても静かなホテル。時間はたっぷりあるのです。
歌登にいたと話すと、「あそこは雪が深い場所ですよ」と驚かれました。
昨日の稚内も猛吹雪で、電車だけでなく、タクシーもすべて動かなかったそうです。
道路が封鎖されたためでしょうけれど、足止めを食らった人はたくさんいる様子。
この方は市内在住なのに、昨日はホテルまで勤務に来れなかったそうです。
生身の人間と話をし、暖かさに触れて、安心して部屋に上がりました。
雛祭りの日なので、雛あられの代わりに、旭川名物の旭豆をいただきます。
お茶を飲み、同じツアーで別のホテル泊のユキちゃん・チズちゃんとメールでやり取りしながら、のんびり最後の夜を楽しみました。
旭川に向かった帰宅組からの連絡が入りました。
結局東京組は、22時半着の最終便で羽田に着いたそう。
稚内から旭川だって、バスでどれくらいかかったのやら。
雪の中を、本当に大変でした。
明日は、私たちが帰る番。どうぞ飛行機が飛びますように。
最終日、5日目に続きます。