風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

流氷・吹雪・北の果て(稚内)4-2

2013-03-03 | 北海道
4日目その1からの続きです。

○ ふたたび自由行動
○ ふたたび北門神社
○ ふたたび北防波堤ドーム
○ 相沢百貨店
○ KITAcolor
○ ホテルにひとり
○ 北防会館
○ Day After Tomorrow...
○ 小ロシア
○ 最北端の金次郎像?
○ フェリーターミナル
○ 雪の中の線路
○ 最北端の真言宗寺院
○ 歩道通行不可
○ ホテルにて
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帰宅組の乗ったバスを見送り、歩き始めました。
宿泊組は、私のほかに4名。1名参加は私だけで、さびしーい。
添乗員さんが一人ついてくれますが、私以外はみなさん同じ宿で、一人違うところに泊まります。

ここからは自由行動になるため、途中でみんなとお別れし、宿で荷物を預かってもらいました。
選んだのは、ホテル美雪。
ほかのみんなが泊まるホテルは、新しくて温泉もあり、間違いないのですが、そこには別の街で泊まったことがあるため、雰囲気はわかります。
この美雪は、チェーンではなく単館。とっても評判がいいので、泊まってみようと思いました。
身軽になって、外の散策に出かけました。

まだ12時を過ぎたばかりなのに、「1時くらいには部屋にお通しできますよ」と言ってもらいました。
普通、チェックインタイムは、早くても2時以降ですが、今回の旅では、宿はどこでも、ずいぶん早くにチェックインさせてくれています。
これは北海道独特?それともどこでも頼めば大丈夫なもの?
吹雪サービス(というか緊急事態だから)でしょうか?

○ ふたたび北門神社

まずは、2日前にも訪れた北門神社へ向かいます。
フロントマンが「除雪がすんでいなければ、行けないかもしれない」と言っていましたが、雪で埋もれた参道に、かろうじて人がひとり通れるくらいの細い道ができていました。



階段なので、これは完全に手作業でしょう。
まるで、ギリシア神話のシムプレゲイドを通り抜けるアルゴ船になった気分です。
(たとえがマニアック?)



手水舎は、春が来るまで使えないくらい雪の中。
白い稲荷神社が、雪に同化していました。
そういえば神狐って白いですものね。



北門神社を再訪したわけは、本殿横から稚内公園へと行く道があると聞いたためです。
お参りしてから、横の道がどうなっているのかのぞいてみましたが、完全に雪の中で、道などありません。
そこにはミニ除雪車が置いてありました。ここの神社のものでしょう。
山の上の神社への参拝者用の雪かきをちゃんとしていて、神職の方はすごいわ。肉体労働が大変そうだわ。
この冬は、除雪車はフル稼働しているでしょうね。
お守りを求めようと思いましたが、山の上の社務所にはどなたもいませんでした。
参拝者も数名でしょうからね・・・。



神社の上はさらに山。前回、歌の道と言われていることに気づかないまま通り過ぎたため、道を注意深く眺めてみました。
でも歌碑らしきものは半分以上雪に埋もれており、やっぱりわかりませんでした。

○ ふたたび北防波堤ドーム

それから、ここも1日目に行った北防波堤ドームへ。
道には、除雪で雪がこんもりと積み上げられています。



雪壁のできた道を歩いて行きました。壁から冷気が漂って、ひんやりします。



足跡は私だけ。ここを通る人がいないのか、できてもすぐまた雪で消されるのか。



前回ここで出会った観光客の二人連れは、さとちんさん親子だったとあとになってわかりました。
この時には中国人の観光客がおり、お互い写真を撮ってもらい合いました。
でもすぐにいなくなり、私だけになります。



しおさいプロムナードの階段にはあいかわらず分厚く雪が積もって、アクセス不可能になっています。



そこをなんとか上ってみると、前回いっさい無かった流氷が岸にびっしりと押し寄せていて、真っ白な世界に雰囲気ががらりと変わっていました。



すぐそばで、白く大きくうねる海。



あまりの海の変貌に驚いて、しばらく動けません。



そうしているうちに北からの海風のあおりをまともに受け、あっという間に体の芯から冷えきってしまいました。



YouTubeにアップしました。
解説も入れていますが、海風ですっかり自分の声がかき消されてしまっています。



それだけがんばって立っていたので、もうすっかり自分自身がアイスバーになった気分。
トンカチで叩かれたら、粉々になりそうでした。



○ 相沢百貨店

それから相沢百貨店へ。百貨店ということは、デパートのようです。
古めかしいお店で、入るのに躊躇するような入口でしたが、ここでポンたらや燻製など、宗谷の塩などを購入。
スーパーにしか見えませんでしたが、おみやげをお店の包装紙で包んでくれたので(さすが百貨店)と思いました。



冷凍たこの頭が売られているのを見るのは、初めて。ワ、ワイルド~。
昨日は店を開けられなかったようで、今日も「流通ルートがおかしくなっているため、特売の時間をずらします」という表示があちこちに貼られていました。

○ KITAcolor

買い足りないものは、通りむこうの駅に隣接したキタカラセレクトで。



りんぞうくんひものはここの限定販売品。かわいさに惹かれて購入。
あとは、宗谷の人お勧めの、小鹿の流氷まんじゅうをゲットしました。おいしかったです。



キタカラ(KITAcolor)は、去年オープンしたばかりの稚内駅前の複合施設。
JR稚内駅にバスターミナル、映画館、コンビニ、高齢者住宅、地域交流センターなどが入っており、「ここにくればとりあえずなんでもできる」という場所になっています。
1日目のフリータイムの時、大阪から一人参加の男性は、外がふぶいていたので観光を諦めて、ここのシネコンで過ごしたと言っていました。
「え~」とブーイングする私たちに、「でも、男性1000円ってお得なんすよ」と言う彼。
「何の映画を観たんですか?」と聞いたら、「のぼうの城」という答え。
「え~、行田の話を稚内でー?」と言う私の横で、「のぼうのロケ、苫小牧でやったんですよ!」と反応するコズエさん。
思わぬところで北海道つながりがあったということで、無事にみんな納得です(笑)。

一人になった私。駅には、「終日運休」の通知があります。



駅標も、2日前よりも雪に埋まっていました。



観光案内所で、お勧めの場所を聞きましたが、あまりいい答えはでません。
豊富温泉に行きたかったのですが、この日は電車が動かないので無理。がっかり。
ノシャップ岬までの海岸線が、フットパスロードになっているため、そこを歩いていくことにします。

○ ホテルにひとり

キタカラからノシャップの途中にあるホテルに寄り、休憩を兼ねてチェックインしました。
シングルルームを予約しましたが、最上階の広いツインルームにしてもらいました。
とってもラッキー。
名乗る前から「○○様ですか?」と聞かれたので、おやと思ったら、どうやらこの日の宿泊客は、私だけのようでした。
ホテルに1人!そんなことって、あるんですねー。
きっと吹雪の影響でしょう。



雪世界に加えて、これまた非日常的なシチュエーションです。
なんだか村上春樹の物語世界に迷い込んだかのよう。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のワールドを思い出しました。
窓からは雪の中の稚内駅周辺が一望できます。宗谷海峡も。

○ 北防会館

一息ついてからまた外出しました。
「北防会館」という建物を見つけます。



ここで、北方対策を練っているのでしょうか?
東京の永田町には「砂防会館」がありますが。



ノシャップ岬へ向かいかけましたが、あまりの風の強さと寒さ、雪の深さに、無理だと感じました。
岬への5.5kmの距離は、普通の道ならなんとかなっても、雪道なので遙かに時間がかかりそう。
そして疲労もたまりそうです。



○ Day After Tomorrow...

真っ白な光景は、さんざん見慣れてきましたが、この景色はあまりにも非日常的で、(本当にここは日本なのか?)と思ってしまうほどでした。
途中で動画を撮りました。今度はノシャップ方面から、北防波堤ドームを眺める格好です。
YouTubeにアップしました。解説は入っていません。
寒さで口を開く気力が無いのと、周りの光景に圧されているためです。



先ほど思い出した『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』。
世界の果てのような光景だと思いました。
ある意味、地球の終わりの氷河期のようにも。
『デイ・アフター・トゥモロー』を思い出しかけて怖くなり、頭を振ってその考えを追いやりました。







こんな景色をずっと見続けていたら、ひたひたと孤独感がおしよせてきます。
心からとても寂しくなりました。
人間や動物がいない世界は、なんて心もとないんでしょう。
時折車や除雪車は通りますが、一瞬で去ってしまうし、鉄の塊に気持ちは慰められませんでした。

○ 小ロシア

すっかり淋しい病にかかってしまったので、とにかく生身の人がいるところへ戻ろうと、方向転換しました。
町を散策しようと、歩いていない道を通っていきます。

ここのお宅のつららにびっくり。



ここのお宅のバルコニーの雪にびっくり。
溶けるまで、洗濯は無理ね・・・。



中央アーケード街にさしかかると、店名をロシア後表記している店がちらほらありました。
キリル文字はさっぱり読めませんでしたが、「ITO」はロシア語表記でも一緒だとわかりました。
伊藤さん、北方に強し!





雪に埋もれて、小ロシアの雰囲気満点。サハリン航路からのニーズがあるんでしょうね。



危険表示も、ロシア語が併記されていました。

○ 最北端の金次郎像?

そのうち、先ほどのあいざわ百貨店の反対側の入口にさしかかりました。
お店の前に、なぜか二宮金次郎の銅像を発見。



もしかすると、最北端の金次郎像ではないでしょうか?
アーケードの中なのに、雪に吹き付けられて真っ白です。
前日までの吹雪のすごさを、金ちゃんが身をもって教えてくれました。
それにしても寒そう~!



○ フェリーターミナル

そのまま歩いてフェリーターミナルのところへ行きました。
初日に初めて見た流氷がどうなったのか気になりましたが、全く無くなっていました。



午後には風向きが変わって、流氷がまたどこかに流れていってしまうと、ガイドさんが言っていた通り、まさに風と共に去りぬ。
あんなに見飽きていたはずなのに、いざ無くなってしまうと物足りなくなる、人間って欲張りですね。

○ 雪の中の線路

また雪がちらつきはじめます。



雪にほとんど埋もれた踏切を渡る時、いつものように左右確認をしましたが、ふと目をやると、あるはずの線路がない!



正確には雪の下に埋もれています。
廃線のようになっています。線路がないんですから、こんなところ、当然電車が通れるはずはありません。
なので、少し線路を歩いてみました。



南稚内駅まで歩こうかな~と思いましたが、除雪されていない道を通るのは、人間でもやっぱり無理で、途中で引き返しました。

そしてさらに進み、副港市場に着きました。
さっき全くものを買う時間がなかったためで、(こういうものを売っていたんだー)とざっと見ています。



稚内牧場のアイスは、今こそ食べるチャンスでしたが、もう閉店していました。
まあ、いくら美味だといっても、冷え切った身体にアイスは通りそうにありませんでしたし。

○ 最北端の真言宗寺院

市場近くにあり、車窓から気になっていた、朱塗りのお寺へと行ってみました。
最北端の真言宗寺院、その名も真言寺だそうです。



スーパーマンを地で行く空海も、さすがにここまでは来なかったのではないかと思います…。
朱塗りの橋がありましたが、雪に埋もれて通行不可でした。
ああ、渡りたかったわ。大量のお湯があったら溶かすのにー。
もちろんお寺にもアクセスできずじまいでした。

○ 歩道通行不可

今回は、羽田を離れてから外で全く地表を観ていない気がします。
どこも雪ばかり。新雪を踏みしめていますが、今日はアイスバーンもちらほら見かけました。
夕方になってうす暗くなってきたので、足元に気をつけながら帰途につきます。
歩道も除雪してくれていますが、アフターケアがされておらず、除雪した後に積雪があると、もう通れる道ではなくなってしまいます。
そもそも除雪されていない歩道もあって、ただでさえ雪壁で狭くなっている車道を歩かざるを得なかったこともありました。
環境の整備まではなかなか行きとどかないものですが、慣れない観光客は緊張のしどおし。
雪道なので、自動車が近づいても音が消されてわからないためです。
雪国の冬の観光のハードルの高さを感じました。

今日はあちこちでパワーショベルを見かけました。
冬の稚内での過ごし方が少ないことが残念。
宗谷岬はこの時期でも夜にはライトアップされるそうですが、そこまでのアクセスも整えないと、観光客はなかなか辿りつけません。
歩道だけでなく、フットパス用の道も整備されておりません。
それどころではないのでしょうけれど、観光にも力を入れないと現状は変わらない気がします。

夏と冬とでは全く状況が違うのに、パンフやHPは夏の写真ばかりで、ハイシーズンの情報しか載っていません。
冬仕用の情報も、やはり必要だと思います。
冬は、観光客を迎える体制にはなっていなさそうですが、北の国際都市としてのアピールもあってもいいのではないかと思います。

○ ホテルにて

ホテルに到着すると、フロントマンが暖かい笑顔で迎えてくれました。
新聞とルームキーを受け取りながら、人恋しさのあまり、少しお喋りします。
なんといっても静かなホテル。時間はたっぷりあるのです。

歌登にいたと話すと、「あそこは雪が深い場所ですよ」と驚かれました。
昨日の稚内も猛吹雪で、電車だけでなく、タクシーもすべて動かなかったそうです。
道路が封鎖されたためでしょうけれど、足止めを食らった人はたくさんいる様子。
この方は市内在住なのに、昨日はホテルまで勤務に来れなかったそうです。

生身の人間と話をし、暖かさに触れて、安心して部屋に上がりました。
雛祭りの日なので、雛あられの代わりに、旭川名物の旭豆をいただきます。
お茶を飲み、同じツアーで別のホテル泊のユキちゃん・チズちゃんとメールでやり取りしながら、のんびり最後の夜を楽しみました。



旭川に向かった帰宅組からの連絡が入りました。
結局東京組は、22時半着の最終便で羽田に着いたそう。
稚内から旭川だって、バスでどれくらいかかったのやら。
雪の中を、本当に大変でした。
明日は、私たちが帰る番。どうぞ飛行機が飛びますように。



最終日、5日目に続きます。

流氷・吹雪・北の果て(浜頓別)4-1

2013-03-03 | 北海道
3日目からの続きです。

○ 翌朝の白世界
○ 吹雪の爪跡
○ 参加者もダウン
○ パウダースノウ顔拓
○ 神威岬
○ クッチャロ湖の白鳥
○ 雪のひな祭り
○ 飛行機も電車も動けない
○ 崎陽軒のホタテ
○ 流氷あれこれ
○ 副港市場~30分間の使い方
○ 帰宅組とお別れ
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4日目は2つに分けました。流氷の画像をたっぷりと見ていただこうと思って。
本当はもっともっとたくさん撮っていて、私の画像フォルダはもう真っ白です。
皆さんも、流氷気分に浸って下さい。もういいよ!って思うくらいに…

○ 翌朝の白世界



吹雪の夜が明け、朝になりました。
昨日の嵐は止み、外は静かで穏やか。



朝の温泉から見る風景は、見事に一面の雪景色でした。
それは、昨日から変わりませんが、もっとずっと雪の量が増しています。
草も車も、埋もれています。
この画像、車があった場所がボッコリとあいているんですね。どうやって雪から脱出したんでしょう。



朝に温泉に入りました。
明るくなってみると、浴場からの眺望はよく、ホテルからすぐ近くに海が見えることがわかりました。
そしてすぐそばにはスキー場もあります。
海と山の天気に影響されやすい場所です。

○ 吹雪の爪跡

白さが増した、ますます非現実的な光景になっていますが、ニュースを見て衝撃を受けました。
今回の吹雪で、中標津町など、道内で命を落とした方が8名もいるとのこと。(のち9名に)

(昨日の降雪予報では、中標津付近はそれほど降らない場所だったのに)と思いながらも、そういえば行きのフライト時、中標津空港行きは降雪のため欠航になっていたと思い出します。
羅臼では最大瞬間風速35mとなり、まだ700人以上が避難しているそうです。
「風雪大雪波浪雪崩注意報」がでているとのこと。
何もかもに気をつけなくてはいけない、注意報のオンパレードです。

たしかに、身一つであの吹雪の中へ投げ出されたら、ひとたまりもありません。
本当に命の危険を感じます。
駐車場の、雪に埋もれた車。見ているだけでは実際のものという感覚がなかなかつかめませんが、ああいう状態で、昨日の視界不良の中、道路で立ち往生してしまった車がいたことを想像すると、背筋がひやりとします。



朝食は掘りごたつ式で、新鮮でしたが、これがみんなとの最後の食事という寂しさと、誰もが吹雪のニュースを知ったという驚きで、なんだか静かです。

○ 参加者もダウン

参加者の中にも、ダウンした人がいました。
といっても、吹雪に巻き込まれたわけではありませんが。
前日に、札幌からの学生参加者二名がおらず、どうしたのかと思っていました。
夜にロビーでそのうちの一人に会い、聞いてみると、もう一人が原因不明の腹痛で起き上がれなくなり、日中病院へ行っていたとのこと。
予定を切り上げて早めに帰るにも、交通機関はすべて動かないし、どうすることもできなくて、病院から戻った後で、2泊目のホテルの車で3泊目のホテルまで送ってもらったとのこと。
「もしかすると、初日に食べた寿司に当たったのかも」と言っていました。

翌朝一番に、音威子府経由で札幌に戻ると言っていた通り、それきり二人の姿は見かけませんでした。
こんな大変な時に体調を崩すなんて、かわいそう。しかも海の幸で…
でもこれで、音威子府という地名を覚えました。

○ パウダースノウ顔拓

この日は移動がメイン。枝幸から稚内へと戻ります。

昨日の吹雪の中でのダイブはしませんでしたが、なにもせずに帰るのは心残りになりそうだったので、出発前、ひとりで雪に顔拓をつけてみました。
パウダースノウはとても軽く、水気を含んだ重量感がないため、やっぱり非現実的。
サラサラしています。
この日のように晴れているときは、キラキラと輝いてそれはきれい。



でも、実際に顔をつけてみると、一瞬で顔は水だらけ。そして一気にキーンと冷えました。
顔が冷たくてイターい。
その姿を見た添乗員さんとバスガイドさんに「アッハッハ!」と、本気で笑われました。
ひっそりとやったつもりで、さりげなく顔を拭いてからバスに乗りこんだのに、先に座っていた人たちに見られていて「やったね~」と笑われ、ちょっと小恥ずかしかったりして。
おかしいわ、なぜバレたのかしら?
でもちゃんと顔の跡を残してきたもんねー!一瞬で消えるけどー!

○ 神威岬



昨日の朝は、どうなるかわからないという不安でいっぱいでしたが、この日は無事に出発できて、ほっとしました。
除雪車もがんばってくれたようで、国道の通行止めも解除されています。





道すがら、ずっと流氷が見えています。ずーーーっと。
これ、雪原ではなくて、海なんですよ。
もう流氷を一生分くらいまとめて見てしまったような気分で、すっかり見飽きてしまいました。





神威岬が見えるところで写真休憩をとります。



YouTubeにもアップしました。


オホーツク海は塩分が少ないため、流氷が風とともにやってくるんだそう。
そしてまたすぐ風と共に去っていくそうなので、見られた私たちはラッキーだそうです。





吹雪に遭ったけれど、流氷にも遭えた今回の旅。
まあ遭えたってことは遭えないってことよりもラッキーなのかも?





○ クッチャロ湖の白鳥

前日泊まる予定だったのに、辿りつけなかった浜頓別町に差し掛かります。
「ここは本州からの移住者に土地を提供しているのよ」と参加者の老夫婦が話してくれました。
本当なら泊まる予定だった浜頓ホテルの前も通りました。
そのままクッチャロ湖へと向かいます。
神威も積丹半島にありますが、クッチャロと屈斜路の区別が付きません。



ここもすごい降雪で、今日の予定に入っていた、水鳥観察館での写真家のレクチャーは叶いませんでした。
そもそも、水鳥観察館までたどり着けなかったのです。



上の画像の左側にあるのが湖畔の水鳥観察館。除雪ができていません。
「ここまでしか行けない」という道の限界まで行って、真っ白な湖を背伸びして眺めながら、ここの解説員さんの話を聞きました。
解説員さんでさえ、観測室に行けないなんてことは、初めてだそうです。
本当はそこで、同行の写真家さんに上手に写真を撮るコツを教えてもらえるはずだったのですが。



と、白鳥が群れを成して、美しいV字を描きながら、湖の方へと飛んできました。
曇ったり小雪が降ったりと、相変わらず不安定な天候ですが、この時はちょうど青空で、白い姿がくっきりと映えていて、その美しさにみんなで見とれました。
昨日のような悪天候の日には、白鳥は狐などに襲われる危険があるために海で過ごすそうです。
朝になって餌を食べに湖に飛んできたところにちょうど出くわしました。



白鳥たちの恋の季節に、2羽のカップルがくちばしを重ねる仕草を、ここではハッピーリングと呼んでいるのだとか。
すてきー。見てみたーい。
白鳥は昨日段階で、390羽湖にいるそうです。

○ 雪のひな祭り

ここでお雛様に出会います。そういえば今日はひな祭り。
雪の中でひな祭りの日を過ごすのは、初めてです。
桃の節句っていうのにね・・・。



ここの湖にあるはまとんべつ温泉ウイングにも入る予定だったので、(美人の湯なのに~)と、女性陣みんなで残念がりました。



浜頓別のキャラクター、スワットン(スワンとトンちゃん)も、お雛様の格好をしています。
これを見ると、ちょっと美人の湯の信憑味が…イエイエ(笑)。

○ 飛行機も電車も動けない

バスは一路、稚内を目指します。
画像は浜頓別町役場。全容がよくわかりません。



これでこのツアーの行程はすべて終了。あとは帰るだけです。
だけなのですが・・・
雪の影響は根深く、この日の羽田へのフライトは欠航。稚内発の電車も運休。
参加者は、この日帰る組ともう一泊する組とに分かれます。
私は一泊する組ですが、今日帰る予定の人たちは「交通が不安」と気になってたまらない様子。
「帰れないなら、すぐに宿を取った方がいいのかしら」と今にもケータイから予約をしようとしている人もいましたが、「まあ、今回はプロがついているから」と言いました。

と、添乗員さんより帰途についてのアナウンスがありました。
(飛行機も電車も動かないなんて、どうするんだろう)と、私もはらはら。
今乗っている観光バスで旭川まで行き、そこから飛行機に乗るという代替案が出ました。
飛行機組は19:45発21:30着のAIR DO。電車組は特急サロベツの代わりにスーパーカムイに。

ただ、私たち一泊組を稚内で下ろすために、予定通りバスは旭川とは逆方向に北上していきます。
なんだかすごいことになりました。
まさにどうなるかわからないような旅。
自然相手では、なすすべもありませんし、どの選択がベストなのか、見極める力が大切なのだと感じます。



バスはずっと海沿いを走っていきます。外は延々と続く流氷。昨日を越えて一気に水面は白くなりました。
いつまでも変わらない風景に、今後どうなるかわからない状態で、どうしてもバスの中は静かになります。
日も射して美しい光景なのに、なんだろう、この凍てつくような感覚は、と不思議に思います。
川も海も凍り、白く、動きがありません。
何も動かないような静止世界が、どこか息苦しさを与えるんだとわかりました。
見渡す限り、世界は呪文をかけられて、雪の下で眠っているようです。

こんな感じで、何時間も延々と窓の外の流氷を眺めていました。


○ 崎陽軒のホタテ

2日目に昼食をとった猿払あたりで、とつぜん崎陽軒のポスターが目に飛び込んできました。
(えっ?いまのって崎陽軒?なぜこんな離れた場所で?)と思って目を凝らすと、「シウマイにはさるふつ名物の五年もの乾貝柱を使っています」という宣伝文句がかかれていました。



崎陽軒のシウマイの美味しさは、ホタテの隠し味があってこそ。これは本当です。
ここのホタテを使っているなんて、一流なのねー。すごいわ。
一気に元気になった浜っ子です。帰ったらシウマイ食べようっと。



それから、猿払村のマークになっている像の横を通りました。
人が手を繋いで見えるようだけれど、これはなんでしょう?
あとで調べてみると、ロシアのインディギルカ号がこのあたりで海難事故に遭った時の遭難者慰霊碑でした。
当時日本はロシアといい関係にありませんでしたが、猿払村は手厚く遭難者の慰霊を行ったそうです。

○ 流氷あれこれ





この季節、網走では流氷に乗ってくつろぐゴマフアザラシを見かけることもあるそうです。
このびっしりと海を覆うような流氷を見ていたら、冬にサンクトペテルブルクに行ったときのことを思い出しました。
ホテルの裏に、凍ったフィンランド湾が広がり、「向こう側はヘルシンキだ」と聞いて、(渡っていきたーい)と思ったものです。
ここも、氷の上を歩いていって、サハリンに着ければいいのに。
流氷経由の人はビザなし入国OKとかにして。(溺れる人続出?)





そういえば、天の川がもし凍っていたら、織姫と彦星は歩いて渡れますね。
ただ、氷が薄いと、割れて落ちて流されてしまいます。
天の川で流されたら、どこに行くんだろう?と、ヒマにまかせてあれこれ想像してみました。





港もすっかり凍っています。
海の向こうに流氷がある光景は、かげろうや蜃気楼のようにも見えます。
暑い場所にしか出ないものですが、冷たすぎる氷をさわると、やけどしたような感覚になったりしますしね。







また宗谷岬に差し掛かりました。今回はバスの中から見るだけで、静かに通り過ぎます。
観光客は誰もいませんでした。(もちろんというか、なんというか)







○ 副港市場~30分間の使い方

稚内に入りました。ここも吹雪はすごかった模様。
信号が凍っています。



副港市場でバスは止まり、一時休憩となりました。
これからの旭川までの長旅に備えて、昼食やお菓子を買い込むためです。

と、参加者のさとちんさんが、急ぎ足で何かを探している風でした。
この方はとても情報通で、しかもかなりのグルメだということが、一緒に旅をしてもうわかっているため、聞いてみると、果たして「北の香り」というお目当てのラーメン屋を探しているとのこと。
休憩時間は12時まで。たとえ30分間でも、評判の味を逃さないようにアンテナを張り巡らせるさとちんさんのパワーに脱帽します。
私とコズエさんも一緒になって急いでお店を探し始めます。



あっ、看板発見! それは、市場の建物の外の、レトロな波止場横丁にありました。



さとちんさんの息子さんと4人がかりで見つけ、揚々と座ります。



ちゃっかりグルメ親子の行動に乗った私たち。
Sea級グルメグランプリに去年宗谷代表で優勝したという、ほたて塩ラーメン(800円)にしました。



5人入ればもう満席のカウンターだけの小さなお店で、おかみさんが一人で切り盛りしていました。
11時半から2時までしか開いていないとのことで、開店直後に飛び込んだ私たちはぎりぎりセーフでした。
なんてラッキー。

おかみさんは、豊富(とよとみ)町のご出身で、そこは温泉がとてもよいそう。
アトピーに利くそうで、おかみさんも皮膚が弱いけれど、稚内にお嫁に来てからはしょっちゅうは入れないため、豊富温泉の石鹸を使っていると話してくれました。
その石鹸が欲しくなって「この市場に売ってませんか?」と聞きましたが、「ないわねえ」と言われて、残念。



塩ベースのラーメンは食べやすく、海鮮好きの私はするっと食べられました。
銀杏草という、このあたりで採れる海草が入っているそうです。
さとちんJr.の選んだ味噌味もおいしそうでした。
さとちんさんは、稚内牧場牛乳もゲット済み。
すごいわ~。本当に美味しいものにぬかりがありません。
さとちんJr.は、いつもお母さんと一緒に美味しいものばかり食べられていいなあ。
牛乳をごちそうになったら、するっと癖のない、飲みやすいおいしさでした。
たしかに、みんなが勧める味です。



人より食べるのが遅い私。自由時間も限られているため、みんなに先に行ってもらいました。
私は泊り組なので、のんびりできますが、3人とも今日帰る組なので、食料の買い込みもしなくてはなりません。
集合時間までに、私はラーメンを食べる以外のことはできませんでした。
バスに戻ると、コズエさんは休憩開始時から気にしていた通りむこうのおいしそうな菓子パンをお買い上げで、さとちんさんは稚内牧場牛乳のソフトを片手に満足げでした。
私、人生の時間の使い方について、考えた方がいいかしら…?

○ 帰宅組とお別れ

稚内駅そばの夢市場の前にバスが着き、今日の帰宅組に挨拶をして、降りました。
旅の無事をお互い祈り合います。
修辞的用法ではなく、本気で祈りました。今回はシャレになりません。
私たちに残されたことは、唯一つ、何事もなく帰れるように祈るのみ。
ここで終わりではなく、これから更に雪道を旭川まで運転することになったドライバーさんに「がんばってください!」と声をかけ、バスのみんなに大きく手を振って、お別れしました。
グッドラーック!



4日目その2に続きます。

流氷・吹雪・北の果て(枝幸)3

2013-03-02 | 北海道
2日目からの続きです。

○ 吹雪の朝
○ 早めの出発
○ 急のホテル
○ お喋りと昼食
○ 座談会
○ パウダースノーダイブ(を見学)
○ 夕食とお喋り

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○ 吹雪の朝

朝起きると、雪はますます激しくなっていました。
ニュースで「今年一番の雪。最大風速45m」と話しています。
そう言われても、ピンときません。
ええと、首都圏の電車はどのくらいの風で止まったかしら。
たしか25m/sくらいだったような。とすると、えええ?
バスだって横転してしまいそうな突風が吹くかもしれないということなんですね。
そう考えて、一気に目が覚めました。



予想降雪量は、おもいっきり宗谷地方が真っ赤でした。一日どっさり降り続けるようです。

悪天候のために、早朝のダイヤモンドダスト観測は中止。
でももう仕込み済みだからと、朝食はおにぎりです。
これから雪が収まるのを待って、ゆっくりするのかなと思いきや、予定通りに出発しました。

そんなに早くに動いても、今日の予定はなさそうなのに。

○ 早めの出発
 
出発後、バスの中で説明がありました。
爆弾低気圧が目下北海道を襲っており、国道が通行止めになっているそうです。
つまり、除雪車さえも危険で入れないのだとか。



除雪車が入れないということは、もちろんバスだって危険だということです。
それなのに出発するわけは、今までいた歌登は山の中のため、宿に連泊したら、本当に陸の孤島になってしまい、なかなか出られなくなるためで、少しでも移動しやすい場所へと動いていくとのこと。
聞けば聞くほど、豪雪のすごさを感じます。



外は真っ白。静かに注意深く、バスは進んでいきました。
着いた場所は、同じ枝幸内のホテル幸水。
地図で確認したら、昨日の宿とあまり離れていません。オホーツクミュージアムのそばなので、ふつうなら10分ほどの距離を40分ほどかけてそろそろ移動したことになります。
予定では、浜頓ホテルに宿を取るはずでしたが、この吹雪では、浜頓別町にまでたどり着けないとのことです。

あとになって、台湾の観光バスが雪の中に孤立して立ち往生したという話を聞きました。
本当に紙一重だったわけです。
朝の明るいうち、まだ道路が動けるうちに移動したその采配に助けられました。

○ 急のホテル

ホテルに到着したものの、建物の前には雪が積もり、入り口前まで行けません。
かいてもかいても、すぐに雪が積もってしまうためです。
そこで駐車場からホテルまでの道を、歩いて行きましたが、暴風雪が吹き荒れる壮絶なパウダースノーの中で、目を開けているのも、身体のバランスを取って立っているのも大変。
真っ白すぎて、ホテルの敷地内にいるというのに、うっかりすると、前の人も見失ってしまいそうになります。
これがホワイトアウトというものでしょう。
新雪の上を、キャリーを引いていくのがひと苦労で、その100mくらいが途方もなく長く感じました。
おまけにホテル入り口は、スロープではなく階段だったので、めげそうになります。
試されている気持ちになりました。



転がり込んだような形で、無事にホテルに入れましたが、まだ10時前で、泊まっている人もチェックアウトしていないような時間。
しばらくロビーで待機します。
(今晩泊まる予定だったホテルは、大勢キャンセルしてしまって大丈夫なのかな?)と心配になりますが、昨日からそのホテルに滞在している人が身動きがとれず、連泊になってしまったため、無理をしてたどり着いたとしても、部屋が空いていないとのこと。
たしかに、今いるホテルも、チェックアウト時間になっても、宿泊客は誰も出ていく気配はありません。
なるほど、そうやって物事はうまくまとまっていくものなんですね。

そのうちに、大部屋を準備してもらい、そこに移動してまた待機しました。
おしゃべりをして過ごしますが、ヒマ~。
その間に、大浴場でさっそく温泉につかってきたという旅慣れた人もいました。
なるほど、その発想はなかったわ。まだまだ未熟者です。

○ お喋りと昼食

それでも、待っている間に今回の参加者といろいろとお喋りできました。
特に仲良くなったのが、北海道通の東京組のキサさんと苫小牧在住のコズエさん。
キサさんは、なんと今回で北海道旅行、めでたく50回目だそうです。
50回ってすごすぎ~!帰省する人以上の頻度?
ユー、もう住んじゃいなよ!ともちろんみんなで言いました。
北海道関係のガイドの資格をいろいろとお持ちで、とにかくなんでも北海道のことを知っているマスターでした。

コズエさんは、十勝競走馬の育成に携わったそうです。
日高!サラブレッド!優駿!(イメージが貧困な私)

北海道情報をいろいろと得ました。
増毛(ましけ)という地名の話とか。
帯広の十勝川温泉は黒くて良い、美人の湯だとか。

少し場が温まってきたところで、さっそく私は吊り橋情報をじわじわと集め出しました。
みんなに笑われます。
「え~、吊り橋だけって考えたことないからね」と、いつものセリフを言われながらも、いくつか教えてもらいました。

・八甲田大橋(城ヶ倉大橋)渓谷にかかっている。黒石から行く途中の道路(吊り橋ではない)
・白川郷の吊り橋
・十勝大橋:日本一の橋桁面積(ここは去年通ったような?)

吊り橋のお返しに「いいタコス屋を知らない?」と聞かれました。
タコスとは、なんて斬新な返しなんでしょう。
札幌の方で、沖縄のタコスが好きだけれど、札幌からはさすがに遠いから、もっと近くで行ける場所を探しているとのことでした。

そのうちに12時になり、昼食。
ホテル側も急いで作ったため、まに合わせのお弁当形式だとのことですが、ホタテがたくさん入っていて、おいしくいただきました。



結局午後の、鍾乳洞スノーシューイベントもお流れ。
今回のハイライトがつぶれてしまって、みんながっかりですが、とにかく今は、外に出るのが危険な状態です。
本当になにもできません。
宗谷局の人に「みなさん、こういう時にはどう過ごしているんですか」と聞きましたが、「地元の人は、吹雪くと家の中に閉じこもるため、外での時間の過ごし方はないですね」とのことでした。
安全第一ですからね。

○ 座談会

昼食後、写真家岸本日出男さんと寿司料理研究家の井出美香さんを交えて、みんなで座談会となります。
本当は、夕食後の予定でしたが、なにもすることがないので、これが本日のハイライト。
「これからどうする?冬の宗谷」というテーマで、参加者が一人一人、印象と感想を述べていきました。
いかんせん時間はたっぷりあるため、みんな熱心に意見を出していました。



とくにみんな大変だと思ったのが、自力で宗谷岬へと行くアクセスの不便さ。
初日に個人で行ったという人も数名おりましたが、空港からのアクセス情報がないし、オフシーズンなので岬周辺に開いている店も少ないため、数時間に一本のバスが来るまで凍えそうになったという話を聞きました。

市内から岬までのバス料金は往復で3000円弱します。高いなと思いますが、実は行政の補助金を入れてあの料金になっており、補助金が切れたら、バスは廃止になってしまうとの説明を受けました。
元天北線のルートを辿るバスで、生活用のために動きだしたけれど、2年前までは冬には岬まで辿りつけなかったそうです。
やはりここまで北端ですと、観光に力を入れたくても、そもそも観光客の数も限られてしまうし、見込みの少ないものにどこまで予算をかけるべきか、難しいところなのでしょう。

「寒いところだとバッテリーが消耗しやすいため、デジカメなどにホカロンを貼っておくとよい」と、添乗員さんが教えてくれました。
「こういうことは本州の人はわからないのよね」・・・はい、初耳です。

○ パウダースノーダイブ(を見学)

座談会終了後は、夕食までフリータイム。
と、東京組が「やっぱり雪にダイブしなくちゃ」と言いだしました。
え~、と言っている間に、「そうだね!」と賛同する声が高まり、防寒仕度をしてロビーに集合することに。
一応、スノウブーツにだけ履き換えて行くと、勇者たちはすでにホテルの入り口外にいました。

そして、次々にパウダースノーにダーイブ!
確かに気持ちよさそう。
雪にすっぽりと埋もれ、自力では動けなくなって、ひっぱりあげられています。
みんな、楽しんでるね~!

「いや~、東京の人は、我々が思いもよらない雪の楽しみ方をするものね」と言う井出さんと、ガラス越しに見守ります。
どうしたって、非日常的な物珍しさが先立ちますからね。
岸本さんは、写真家の血が騒ぐのか、一緒に外に出て彼らを激写していました。



















最後には、立っていられないほどのブリザードに襲われて、とうとう写真家も退散しました。

こういうことには参加したいタイプのはずなのに、なぜ飛び込んで行かないんだろう、私?と、我ながら考えてみます。
屋内から外の荒れ狂う吹雪を見ていると、スキー場やゲレンデで雪嵐に遭ったことを思い出す、吹雪体験は初めてではない私。
その時の大変な記憶が、多分自分を止めているんでしょう。

ただそれは山の中の話。
いくら吹雪に遭っても、下山しさえすれば天候は落ち着き、雪も降っていなかったりします。
ここは地域全体が、激しいブリザードの中にあるのです。



札幌組も「こんな猛吹雪は初めてだ」と圧倒されています。
「フードのモフモフは、北海道では飾りではなくて実用なんだ」と教えてもらいました。
あれで、舞い散る雪を遮られるんだとか。あれがないと雪が顔に当たって大変なんだそうです。
たまたまモフモフフードつきを着てきました。正確には、母親に「これを着なさい」と半ば強引に渡されたダウンですが、母は雪国の人。
こうなることを知っていたのかもしれません。

雪道の完全装備!4Lサイズの青年が、外から帰還してポーズを取ってくれました。
負けたわ~!(勝ちたくないけどー、笑)。どこから見ても、完全に怪しい人ですね(笑)。



戻ってきたみんなが、真っ赤っかの顔をしているのを見て、笑いました。
やり遂げたという満足感に満ちています。
それから一旦解散し、温泉で身体を温めてから、夕食となりました。

もう食べてばっかりで、まさにブロイラー状態。
まあ、湯治をしていると考えればいいんですが。

○ 夕食とお喋り

夕食もまた、支度が間に合わずにビジネス出張用だということで、豚肉生姜焼きが出ました。
新鮮な海産物が続いたので、たまにはお肉もいいものです。
この辺りの名産、毛ガニもちゃんと出ました。



食後、またもやみんなとお喋りしました。
本当に、時間はたっぷりあるのです。
そして、参加者の皆さんの話はそれぞれにおもしろいものでした。

昨日のオホーツク人の話になり、キサさんが「アイヌもクマ信仰があるんですよ」と教えてくれました。
それがイオマンテの儀式なんだそうです。「イオマンテの夜」っていう歌があった、という声が上がり、みんなで調べると、イオマンテとは熊祭りという意味なんだそうです。
「ヨイトマケの唄とどこかかぶるわ」と言ったら、「苫小牧銘菓!」とコズエさんが反応しました。

「クリオネは冷蔵庫で飼えますよ」という添乗員さんの声に、驚愕していたら、「私はまりもを冷蔵庫で飼っています」とコズエさん。
驚きダブル!
北海道のお宅では、ペットにクリオネやまりもを飼っている!
しかも冷蔵庫に!不思議な共存!

そういえば、清水に住んでいる時に、まりもを育てていたのに死なせてしまったことがあります。
あの温暖な場所では、常温では暑すぎたのかしら…。

さみだれ式に、いろいろな情報を得られました。

・稚内牧場牛乳のアイスはDon't miss it!
・伊勢の赤福は十勝の小豆に白鳥もちが原料
・風連(ふうれん)の道の駅名寄のソフト大福
・551 豚まんで有名な蓬莱(大阪)は棒キャンデーも出している
・鞍馬サンド(鈴鹿)のコーヒーゼリー+納豆+生クリームは意外といける
・花畑牧場の地元の評判はいまいち「十勝のものじゃない」 
 生キャラメルは元々はノースプレイファーム 天使のポテトはロイズのポテトチップチョコレートに類似
・サッポロビールの富良野ビンテージ版
・白ワインは北海道ワインのナイアガラ(小樽)
・宗谷のお土産は、小鹿の流氷まんじゅう、宗谷の塩
・ぽんたら、大ナゴの燻製
・タコの卵は6、7月に食べられる
・メロン熊はおっかないバージョンのほかにかわいいバージョンもいる。

北海道以外の話も出てきて、せっせとメモをしまくります。
大勢の人と話をすると、自分にとって真新しいことを知ることができるものです。

道内のお祭りの話になりました。
「紋別ししゃも祭り」でししゃもすくいをしたという人の話を興味シンシンで聞きます。
ししゃもは氷水の中に沈んでおり、なかなか難しいんだそうな。
         ↑
あとで、キサさんに『ししゃも祭りの「もんべつ」は「門別」(日高地方)です。
同じ読みの地名が複数あるのでわかりづらいですよね(^^;』と教えていただきました。
ありがとうございます!さすがは北海道マスター!

「増毛町の甘エビ祭り」でエビの皮むきコンテストに出たという人の話も聞きました。
エビが新鮮すぎて、皮がうまく剥けずに大変なんだそうな。

うーん、どちらもよその地域からすると、物珍しいイベントで、おもしろそう。

北海道民はビンゴが大好きで、なにかというと必ずビンゴになるそうです。
誰かの送別会などでもビンゴをするんだそうな。
そんな日常的にビンゴをしている人たちに、私はここ3年はやっていないと話したら、「ええっ!?」と目を見開いてのけぞられました。

苫小牧在住のコズエさんは、さりげなく苫小牧をアピールしています。
「地球岬に行ったことありますよ♪」と言ったら、「それは室蘭ですね」とさびしそうな顔をされました。
「じゃあ、白くてきれいな吊り橋、白鳥大橋とか」
「それも室蘭ですよー」
えっ、あっ、ごめんなさ~い。王子製紙って言うんだったわー。

そんなコズエさんは「出汁之介よりとまチョップ」と話しました。
(名前の響きがトマトケチャップっぽいなあ)と笑っていたら、見せてもらったキャラクターはとってもプリティー。
まあ、すてきじゃない、とまチョップ。
必殺技を隠し持っているような気がしますけれどね。
くまチョップなら、いやですね。
(こんな軽口が叩けるのも、コズエさんと仲良くなったからですよ)



今回感じたことは、北海道では、食事にお水がでるんだなあということ。
お茶は、お水に比べてあまり出ない気がします。
お茶人間としては、食後のなにかが足りない気がします。
熊笹茶でもいいのにー。

それから温泉につかって、あとはのんびり過ごしました。

この日の私の行動は
  6時   起床
  6時半  温泉
  7時半  朝食
  8時半  出発
  9時過ぎ ホテル到着
  10時過ぎ 大部屋で待機、お喋り
  12時  昼食
  13時  部屋にチェックイン
  13時半 座談会
  15時半 座談会終了
  16時  雪ダイビング、お喋り
  17時  温泉
  18時  夕食、お喋り
  20時半 部屋へ
  22時  温泉
  22時30分 部屋へ
  23時  温泉

という、いかにも湯治をしている人のような一日でした。
外は雪嵐が一日中止まずに吹き荒れています。
オホーツク人の家だったら、あっという間に雪に埋もれてしまったことでしょう。
身動きが取れないつらさはありますが、重厚な建物の中にいるというだけで心強く、危険と隣り合わせの安全を噛みしめました。

4日目(その1)に続きます。

流氷・吹雪・北の果て(猿払、歌登)2

2013-03-01 | 北海道
1日目からの続きです。

○ メンバー集合
○ ノシャップ寒流水族館
○ 南極観測資料館
○ ノシャップ岬
○ 流氷
○ 宗谷岬
○ 猿払の帆立
○ 幻の魚・イトウのレクチャー
○ オホーツクミュージアムえさし
○ 謎のオホーツク人
○ 資料保管倉庫
○ ガマの糸組み体験
○ うたのぼりグリーンパークホテル
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○ メンバー集合

朝食はバイキング。塩辛がでているのを見て、驚きました。
チェックアウト後に集合し、今回のメンバー初顔合わせとなります。
羽田から飛行機で来た人たちと札幌から電車で来た人たち。
羽田組の中に、大阪出身の人がいました。東京まではバスだったそうです。

みんな「スノーシューを楽しみにしている」といい、札幌の人でもあまり体験しないことなんだなあと思います。
ところでスノウシューって、なんだかおいしそうな響きですよね。
六花亭のシュークリームにありそうです。

チャーターバスで出発です。

○ ノシャップ寒流水族館



まずは稚内ノシャップ寒流水族館へ。
入ってすぐにゴマフアザラシたちがたくさんいて、みんなで歓声を上げます。



ゴマちゃんがこんなに大勢!みんな、とっても愛想が良くてプリティー。



ただ、細かい雪が舞っていて、あまり外に長居はできません。
昨日から、北海道では雪が降っても傘は役に立たないと知りました。
風で四方八方に舞い飛ぶため、さしても意味がないのです。
パウダースノウなので、払い落とせて、あまり苦痛ではありません。



水族館の中には、クリオネやドクターフィッシュのほかは、よく見る魚ばかり。
正確に言うと、食卓でよく見る、食べる魚がメインと行った感じです。



上は小さなエイのようなカスベ、下は愛嬌のある顔のフサギンポ。



周囲45mの回遊水槽の中は海水だそうです。ホッケが泳いでいました。
ああ、食卓のお魚さん。おいしいのよね。

最大サイズの淡水魚、イトウもいました。
淡水魚ですが、餌を採りに海にも来るため、この水槽で泳いでいられるんだとか。



顔つきの悪いオオカミウオもいました。
ここの水族館はさかなクンもお気に入りだとのこと。地味で食べる魚ばかりがいますが、そういうものにするのがいいとアドバイスをもらったそうです。
たしかに、元の形を知らずに食べている海のものはかなり多いので、食育水族館というスタイルのものがあったら、嬉しいかも。



エゾメバルはたくさん。ガヤガヤいるからガヤと呼ばれるんだとか。
ニシン、スケトウダラなど、生きている彼らは美しい。
ミズダコも元気いっぱいにくねくね大きな吸盤を見せてくれました。





最後にペンギンが5羽、ちょんと直立していたのがかわいい。
アルビノの白いズワイガニもいました。



○ 南極観測資料館

それから、敷地内にある南極観測資料館へと向かいます。
トドの剥製の巨大さにびっくりしました。大人が3人、まとめて飲み込まれそうな大きさです。



プレハブのような建物で、いる間、ガタガタと風が強く吹き付け、気が気ではありませんでした。
引き戸の開け閉めはもう大変。二人がかりでようやく外へと脱出します。

すぐそばに、紅白のストライプが目を引く灯台が建っています。
高さ42.7mの稚内灯台。全国で第2位(道内1位)の高さだそう。
映画「喜びも悲しみも幾年月」のロケ地になった場所だそうです。



北海道では、こうした紅白の灯台が多いそうですが、それは雪で白い灯台が見えづらいからだそうです。
マリンストライプっぽくていいですね。

○ ノシャップ岬

そこからすぐのノシャップ(野寒布)岬へ行きました。
昨日、ホテルのフロントの人に「ここは夕日がきれいだけれど、今日は天気が今一つなので、夕焼けは望めないでしょう」と言われて行くのを止めていたところ。
つれてきてもらえて、ラッキー。雪の中のイルカさん。



岬を満喫したいのはやまやまですが、すごい風にあおられて、長居はできませんでした。身を縮めるようにしてバスに戻ります。
外にいたのは少しの間なのに、すっかり冷えきって、顔と耳がキンキンになりました。



ハンパない、宗谷の寒さ!
一緒にいた札幌の人もひどく寒がっています。やっぱり寒さの質が違うようです。

○ 流氷

予定では、山沿いのルートを通るはずでしたが、雪が多いということで、バスは海沿いのルートを通ることになりました。
オホーツク海を眺めながら、バスに揺られていきます。
流氷がずっと続いています。



流氷は、網走や紋別の方が有名で、稚内に来ることはめったにないんだそう。
去年赴任したという宗谷局の人も、見るのは初めてだと言っていました。
今年は寒いので、この辺りでも流氷が見られるんだとか。



温暖化が進んでいる昨今、冬になってもそのうち流氷は見られなくなるかもしれないとのこと。
北海道民は見慣れているものかと思っていましたが、札幌組も、初めて見るという人がほとんどでした。
「うわ~、流氷だー!!」と、東京組とリアクションは全く一緒です。
「だって遠いから、そうそうここまで来れないもの」
そんなものなのねー。



生まれて初めて流氷を見て、はじめは感動していましたが、あまりにも氷だらけなので、次第に見飽きてきました。
贅沢な話ですけどね。



○ 宗谷岬

宗谷岬に近づいてきました。さほど遠くないところに、雪で覆われた小さな島が見えます。
弁天島という無人島で、正確にはそこが最北端なんだとか。
でも、そこに記念碑は建てられないため、便宜上、宗谷を最北端にしているんだとか。
ええ?知りませんでした。なかったことにされている弁天島がちょっとかわいそう。
知らないまま、ここを訪れる人も多いんだろうなと思います。



宗谷岬に着きました。感動よりもまず押し寄せたのが、圧倒的な寒さ!
だって海沿いですからね。冷たい北からの海風をもろに浴びて、ふらつきます。
まさか流氷が浮いている海をバックに、最北端での写真を撮ることになろうとは。



宗谷岬の歌が鳴る歌碑もありましたが、あまりの寒さに近寄れませんでした。



そばには、間宮林蔵の銅像がぽつんと立っていました。
伊能忠敬もこの人も好きなので、寒さを忘れて一緒にパチリ。
彼こそが、最北端に立ち続ける銅像ですね。



先ほどのノシャップといい、ここといい、観光客は私たちだけです。
どこかにバスが停まるたび、バスガイドさんに「集合前に必ずトイレをすませてきてください。必ずお願いしますね」といつになく念押しされます。
なぜかというと、冬の北海道では水道管が凍って、使えない公共トイレが多いからだとのこと。
なるほど、そんな切実な理由があったとは。



○ 猿払の帆立

猿払(さるふつ)という村に入りました。
宗谷地方の中での唯一の村で、ほかは稚内市をのぞくと、全て町です。
日本一北端にある村でもあります。



ここは全国でも有名なホタテ王国。
つららの下がる笠井旅館で、帆立御膳の昼食をとりました。



帆立の混ぜご飯に帆立のフライ、帆立の刺身など、ホタテづくしです。
う~ん、厚みがあって大きなホタテ。豪勢です。



でも「今の時期は流氷がきて漁ができないため、出ているホタテはすべて去年の冷凍だ」と聞いてがっかりしました。
それは言わないで~。せっかく名産地まできたのに、冷凍~。
がっくりする私たちに「数週間後の3月中旬には漁取れたてのホタテを出すから、また来て下さいね」と宿のご主人。
それでも十分、味が乗っていておいしかったです。

○ 幻の魚・イトウのレクチャー

食事の後に、ご主人によるビデオ上映会がありました。
「ダーウィンが来た!」のイトウの特集です。
ご主人は、イトウの保護に取り組んでおり、この番組に撮影協力しているんだとか。
イントロに、ボートの舳先が映り、川を進んでいく映像から始まりますが、そのボートを漕いでいるのがご主人なんだそうです。
イトウは、魚へんに鬼と書くと初めて知りました。
なんだかおっかない字です。鬼ですかー。
確かに獰猛さがあり、鬼のよう。顔はナマズにも似ています。
巨大な口。何でも食べるんだそう。天敵もおらず、川の王者というかギャングの風格です。
20年も生きて、どんどん大きくなり、2m以上になる成魚もいるそうです。

産卵時、オスは体半分がきれいに赤くなります。鯉のぼりのよう。メスじゃないのが不思議。
サケに似ていますが、サケのように産卵しても死なず、成長しながら何回も産卵します。
それは、春に産卵して、栄養がたくさんあるからで、秋に産卵するサケとはそこが違うのだそうです。

イトウについて、これまで「幻の魚」ということしか知りませんでしたが、なんだかわかってきました。
スズキにも名前が似ているし、いったい味はどんなだろう?と思いましたが、イトウの保護活動中のご主人にとっては、食べるなんてもってのほかという感じ。
それでも、一度宿のお客さんがもってきたイトウを、おっかなびっくり裁いたことがあるそうです。
中身は肌色だったそうです。

ちょっと意外ですが、ワカサギや鮎も、鮭科だそうです。
それらの川魚の頂点に立つイトウ。
時々猛禽類に食べられるほかは、敵がいない天下無双の魚だそうですが、それでも幻といわれるのはなぜでしょう?

それは、そもそもの産卵数が少なく、さらにその数%しか生存できないため、絶対的個体数が少ないせいだそうです。
食物連鎖のピラミッドはよくできているものですね。

ここの地名は鬼志別。その隣の知来別(チライベツ)は、イトウが住む川という意味なんだそうです。
あと、猿払の地名は猿とは関係ないようです。
東京の猿楽町は関係あるのにね。

ほかに、アイリスのような愛らしい花が画像に映し出されましたが、それはエゾトリカブトの花だそうです。
う、うーん、見てみたい気はしますが…。

流氷がくると海の仕事ができなくなるということを、教えてもらって気が付きました。
北海道の漁業にとって大きな打撃なんですね。

稚内のFMわっぴーの人が取材に見えており、インタビューを受けました。

○ オホーツクミュージアムえさし

猿払を離れ、枝幸(えさし)へと向かいました。
ここは、夏は30度、冬はー40度になるという、寒暖の差が激しい町です。
道南の江差をつい思い出してしまいますが、この近くには、神威岬もあります。
道南の方も訪れたことがあります。



この辺りは日高山脈がオホーツク海に沈み込んで終わる地形となっており、そこが神威岬と言われるそうです。
私たちは、トンネルを抜け、その上を通ってきました。



オホーツクミュージアムえさしに着きました。
バスを降りてから入り口まで、外を歩くのはほんのちょっとだけなので、誰ひとり傘をさしていません。
ただ、吹きすさぶ雪にあおられ、外にいる時間がとても長く感じます。



オホーツク海は、太平洋や大西洋に比べて浅く囲まれた地形になっているため、凍りやすく流氷ができると知りました。

このあたりの海岸には、年に数回鯨が打ち上げられことがあり、絶命していれば新鮮なうちに肉をいただくという、鯨食文化です。
鯨を食べる文化は、枝幸含めて太平洋眼の町村にあるそうです。



この辺りで見かける動物たちの剥製が飾られていました。
その中にモモンガ発見。
生まれて初めてついたあだ名が「モモンガ」だった私は、グループから一人離れて、パチリ。
今ごろは冬眠中でしょうね。

司馬遼太郎がここのミュージアムを見学している写真がありました。
後に彼は「オホーツク街道」を執筆したそうです。
まさに自分の足で歩いて確かめる作家。

○ 謎のオホーツク人

学芸員の方の解説で、3世紀から13世紀まで、この辺りには、オホーツク人が住んでいたことを知りました。
なんと、日本人でもアイヌ人でもない、古代北方民族だそうです。
先年前に、このあたりで数百年間という短い期間だけ、文化を築いていたとのこと。知りませんでした。
死人に土器をかぶせて埋葬したそうで、子供の遺体には体に合わせた小さな土器がかぶせられていたんだそうな。



大きな縦穴式住居が復元されており、中にも入れました。
登呂遺跡の縦穴式住居よりも、なんだか進んでいる感じがします。
驚くことに、柱を上って上から出入りしていたんだとか。斬新!
雪対策だそうです。雪の重みで家がつぶれることもないし、暖を取れるので、考えましたね。
目梨泊遺跡が発掘されて、千年前の国際交流がわかったとのこと。。
彼らはクマを信仰しており、住居にはクマの頭蓋骨が無数に飾られていたそうです。

オホーツク人が姿を消した理由は謎につつまれていますが、彼らは擦文式文化人に吸収されていったのではないかと言われているそう。
さつもん式とは初めて聞きましたが、縄文ではなく擦って模様をつける文化だそうです。

3年前に、ゴメ島という無人島で、千年前の土器が見つかったそうです。
またこの辺りでは砂金も出て、今のお金に換算して100-150億円もの金が採れたそうな。

ほかに、北海道を代表する化石である謎の巨大哺乳類、デスモスチルスの話も聞きました。
ナウマンゾウだけではないんですね。

○ 資料保管倉庫

その後、通常は非公開の、資料保管倉庫を見学させてもらえました。
ギギギ…と、ゆっくり開かれていく分厚い扉を前に、司書としてテンションがあがります。
いつか展示されるものたちがひっそりと保管されていました。





ここでも学芸員さんが解説をしてくれます。
その話の中で、松浦武四郎という人の名前が何度か出てきました。
誰かわからず質問したら、三重出身の江戸時代の探検家で、北海道の名付け親なんだとか。
へえ、北海道の父のような人なんですね。民間アドバイザーとしていろいろ活躍したそうです。



枝幸は江差と響きが同じ為、松浦さんが「北見枝幸」にすればいいと命名したそうです。
北を見ると樺太が見えるから、宗谷+枝幸で北見、という意味で、特に北見市とは関係ないんだとか。
興浜本線の名残のプレートなども保管されており、(鉄道ファンにはたまらないだろうな)と思いました。



○ ガマの糸組み体験

そのあと、体験部屋に通されて、みんなでコースターをつくりました。
ガマの穂を使います。因幡の白兎気分。
ガマの穂綿でくるまれと~♪



ガマの穂を割いて並べ、そこに糸を組みながらコースターに仕上げていきました。
しめっているため、なかなかうまく進められず、みんな四苦八苦。



時間が足りなくなり、コースターまで仕上げられない人が続出しましたが、私は最後まで粘って何とか終了。
みんなに待ってもらい、記念写真も撮ってもらいました。



その後、今日宿泊するホテルに向かいますが、夜になるにつれてどんどん吹雪はひどくなってきています。
この日のホテルは歌登。四方を山に囲まれた山の中で、周囲に店は全くないとのことで、バスは西條スーパーに泊まり、みんな買い出しをしました。
ここは、道北にしかない店だそうです。
夜のつまみの買い出しというよりも、万が一雪に閉じ込められた時のための籠城用です。
そうはいっても、この時はまだ誰もがのんびり構えており、その日の夜のデザートくらいしか選んでいませんでした。

○ うたのぼりグリーンパークホテル

そうしてホテルへと着きました。
昨日は狭い部屋でしたが、うって変わって今回は広々とした部屋。
すぐに夕食になりました。
今回のツアーのために料理長が考案したメニューとのことで、料理長から説明があります。
山女魚の塩焼き、毒のない河豚の唐揚げ、鮭の三平汁など。
ホヤの塩辛というのが珍味。フグの揚げ物も初めてでした。



明日の早朝のダイヤモンドダストは、天候不良のため中止となったと言われ、肩を落とす私たち。
「ストッキングにドライアイスを入れてぶんぶん振れば、ダイヤモンドダストができますよ」と添乗員さんに教えてもらってびっくり。
自分でも作り出せるものなの?
でもなんかちがーう。
しかも、寒くないとできないため、北海道でないと無理だそうです。

明日のハイライトである鍾乳洞探検もどうなるかわからないとのこと。
鍾乳洞までのアクセスの道が除雪されないと無理のようです。

そんな、明日の予定がはっきりしないまま、当日の雪次第と言うことで解散。
のんびりしてから大浴場へと向かいます。温泉なのが嬉しいところ。
温泉は重曹炭酸水でした。湯峯温泉のつぼ湯のようにとても小さいです。なぜ?
自然の中なのに無線LANがつながるのも嬉しいところでした。

今回の同行者は、宗谷局の方3名にJTB旭川から3名、JTB札幌から1名。
札幌の添乗員さんは利尻島出身と聞いて驚きました。
利尻の人に会うのは初めて。
結構遅くなり、この日は2時半に就寝しました。

3日目に続きます。