○ prologue
なにかと忙しい年度末。仕事でくたくたでしたが、そういう時こそ気分転換が必要だよね!と友人アコと話をして、プチ旅に出ようと前日の夜に決めました。
場所は、東横線と相互直通運転している東武東上線のあたり。
お互い東横沿線住民ですが、直通になっても都内を超えて乗り続けていく機会はほとんどありません。
「とりあえず降りずに乗っていけば、東武か西武になるんだよね」というアバウトさ。
もう真夜中も過ぎていたため、細かくプランを詰めることはせず、とりあえず翌朝集合することにします。
プランも決めずに漠然と旅立つようなことは、ふだんはめったにしません。
でも、帰れなくなるほど遠くに出かけるわけではないし、友人と一緒だと、何をしても楽しいので、こういう突然の遠出も、新鮮でワクワクします。
○ とりあえず出発
自由が丘で待ち合わせて、登り電車に乗りました。
電車はそのまま東武線の線路を走り、1時間ほど乗って、西武池袋線の練馬駅に着きました。
「あ、練馬。」
すでに、あまり縁のない辺りにさしかかっており、なんとなく遠くまで来た気分です。
さらに乗って行くと、今度は東武東上線になりました。
川越を過ぎて霞が関駅へ。
前に霞が関勤めをしていた時に、この辺りに住んでいた人が「霞が関←→霞が関」と書かれた定期を「すごいだろ~」とみせびらかしていたっけ。(確かにすごい!)
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○ 西武も東武もわからない
一応、やみくもに乗っているわけではありません。
でもふと気が付いたら、東横線の飯能行きに乗っていたことに気がつきました。
あれ?私たちが乗りたかったのは、和光市行だったのに。
そのままだと別方向に向かってしまうので、降りて、小竹向原まで戻り、乗り直しました。
お互いに東急沿線にはなじんでいるのに、ここまで来ると右も左もわかりません。
渋谷止まりだった東横線が東武や西武とつながって、どんどん長くなっていったら、すっかり全容がわからなくなりました。
ふいに、ぶるっと震えが来ました。
なんだかとっても肌寒く感じます。東京とは気温が違っているようです。
○ 何度も乗り間違え
電車を乗りなおして安心していたら、今度は森林公園駅まで行ってしまいました。
降りる駅に気付かずに終点駅まで来てしまったので、少し戻らなくてはなりません。
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ホームを移動のしようと改札口辺りを通った時、なんだか淋しい感じがするなあと思ったら、駅が工事中で、ブルーシートに覆われていました。
にぎやかなようで、寂しげな構内。しーんと静かです。
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「つばめが来ました。頭上注意」という看板があり、つばめはもう巣立ったのか、姿を見せてくれませんでした。
○ こうさか・たかさか
少し電車を待って、やってきた普通車に乗り込みます。
そんなこんなで、何度も乗り間違えながら、ようやく、最初の目的地の、東武東上本線の高坂駅に到着しました。
高坂といったら、武田四天王の高坂弾正のイメージが強いですが、ここは「こうさか」ではなく「たかさか」駅と読みます。
ここはいったいどの辺りなんでしょう?相変わらず、よくわかっていません。
それでも、ようやくなんとか正しい駅で電車を降りられたという謎の安心感から、急におなかがすいてきました。
そういえば、睡眠時間を優先して、今朝は朝食を抜いてきたんだっけ。
○ はらぺこカフェイン切れ
アコが「コーヒーが切れてきた・・・」とつぶやくのを聞いて、ハッとしました。
これまでキャッキャッとお喋りをしながらここまでやってきましたが、そういえば明らかに口数とテンションが下がっています。
毎朝、モーニングコーヒーを飲まないと、調子が狂ってしまうコーヒー党の彼女。
前に一緒に出羽三山を旅した時に、カフェもコンビニも見つからない山奥に泊まった朝は、カフェイン切れで幽体離脱しかけて(?)いました!
いけない、またあの時のようになってしまっては、大変だわ。
おなかペコペコの私と幽体離脱しかけているアコ。お互い残された力を振り絞って、見知らぬ町をカフェ探しに繰り出します。
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駅前の椿がきれーい。アイスクリームみたーい。
まずい、なんでも食べ物に見えてくるなんて、症状は悪化する一方。急がねば!
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○ 駅前なのに食べ物難民
ネット検索しながら駅前を歩き回り、忙しくグルメリサーチに取りかかります。
ネット上では、駅前にいくつか食べる場所は出てくるのですが、実際に行ってみると、開いていません。
レストランも閉店中だし、ベーカリーも閉まっています。
なぜ~?高坂駅の人たちはおなかが空かないの~?
ランチよりも、彼女のコーヒー切れの方が深刻かつ緊急な様子。
どうして駅前に、スタンドの一つもないのかしら。
コーヒーは、どこにあるの~~?
黙々とネット検索していた彼女が、おもむろに口を開いて「近くに珈琲バカって店があるみたい」と言いました。
は?今、聞き間違えでなければ、コーヒーばかって言いました?
若干の怪しさを感じて、2人で顔を見合わせますが、もはやえり好みしている余裕はありません。
「そこに行ってみよう」と、2人で向かいました。
○ しる屋
途中で「みそ汁専門店:しる屋」というお店を発見。
上のアパートは、大東文化大と東京電機大から委託を受けているという学生組合。
開いているのか、いないのか。
おみそしる~。しるこはないのかな~。
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気になって、お店の前に吸い寄せられましたが、脱線してはいけませんね。
目的地を目指さないと。
○ 珈琲ばか
目指すお店に辿り着きました。本当に「珈琲ばか」って書いてある~。
じりじりとお店の前ににじり寄ります。
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お店の前には木でできたおじさんがいました。
とても静かです。開いているのか気になって、店の中の様子を伺います。
店内はよく見えませんが、営業中のよう。
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視線の合わない木のおじさんを見つめていたら、くじけそうになりました。
「これは、なんか無理そう・・・」
二人ともためらいます。
自由が丘に、周りのの雰囲気とは違う、ちょっとこわい黄泉の国のような喫茶店がありますが、そんなイメージ。
店名からは、京都にある「めん馬鹿3代」を思い出しました。
あそこは大将が個性的すぎて、圧倒されたっけ。
でも腹ペコのおなかをさすりながら、ようやくここを探してきたわけだし、オープンしているようなので、勇気をふるい起こして中に入ってみることに。
○ 虎穴に入らずんばコーヒー飲めず
おそるおそる扉を開けると、店内にはお客さんがいました。
ご年配の御婦人2人に女性と男性の4名のグループ。
俳句の会の打ち上げのような感じ。(勝手な印象)
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壁のメニューに「ばかブレ」とあって、思わず笑いました。
一番下に書かれている「珈琲豆入り和風カレーセット」にします。
○ コーヒーカレー
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いいにおいと一緒におまちかねのカレーがやってきました。
レギュラーのコーヒー豆をひいたものを混ぜているのだそう。
普通のカレーよりも色が濃いハヤシライスのデミグラスに近寄っているようです。
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食べてみると、コクがあってとてもおいしい味でした。
からすぎず苦くもありません。
カレーにコーヒーって、隠し味になるんですね。
タマネギがとても甘くておいしかったので、おかみさんにそう話すと
「そうなんです。暇さえあればタマネギを炒めています」とのことでした。
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○ ばかブレ
食後はコーヒー。普段はコーヒーを飲めない私ですが、どうしても「ばかブレ」の響きが気になります。
はじめアイスにしようとしましたが、コーヒー専門店でアイスを頼むのは邪道かなと思い、無理してホットをオーダー。
飲めないかもしれないと覚悟していましたが、そうしたらアコが飲んでくれるでしょう。
少しミルクと砂糖を入れて、少しずつ飲んでいったら、全部頂けました。
めずらしいこともあるものだわ。アコも私もびっくり。
成長したのかしら。いえ、おそらく苦手な人でも飲みやすい味だったのでしょう。
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店内はおかみさん一人が切り盛りしています。
お上品で話しやすい感じ。本当にコーヒー好きだということが伝わってきます。
それにしても店名が気になったので、聞いてみると、
「変な名前でしょう。名前を付けたのは息子なの」と言われました。
「正直、入る時にちょっととまどいました(笑)」
「銀行とかで名前を呼ばれるときに、ちょっとね・・・」
あ、そうですよね(察し)。
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アコは、ブレンドに興味津々。
「うちのは、エチオピアとマンデリンと・・・」と気さくに配合を教えてくれるおかみさん。
お店の秘密じゃないの?いいの、教えちゃって?
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○ 珈琲ファミリーはフリーダム
今は奥様一人が切り盛りしていますが、最初は旦那さんがお店をやっていたそうです。
ところが、ある日「飽きた」といって辞めてしまったそう。
お店をやめた旦那さんは、江戸友禅の職人になったのだそう。
フリーダム~!なんというダイナミックな転身でしょう。
お店の名付け親の息子さんはどうしているのかというと、京都でイタリアンのお店を開いているそうです。
お店の情報を教えてもらいました。今度行ってみたいな。
家族が全員とも、違う仕事についていて、おもしろいですね~。
○ ALSの画家
店内には島崎清さんという、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の人の作品が展示販売されていました。
おかみさんが、ボランティアで場所を提供しているとのこと。すばらしいわ。
数年前にアイスバケツチャレンジで知られるようになった病名。
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素晴らしく上手です。
丸みを帯びた優しいフォルムを見ていると、幸せな気持ちになります。
辛いことが多いでしょうけれど、どの作品からもご本人の明るさと芯の強さが伝わってきました。
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○ 古刹へGO
お店で、思わぬ楽しい時間をすごしてから、駅前に戻り、鳩山ニュータウン行きのバスに乗りました。
向かうのは、阪東三十三箇所のお寺のひとつ。
ほかに高坂ニュータウン行きもあって、まぎらわしいです。
この辺りはニュータウンばっかりなんですね。
大東文化大前で降りて、少し歩くと、看板が見えてきました、
アコ「あ、あったよ。阪東三十三箇所十番ですって」
「うん・・・」と答えながら(あれ・・・?)と引っかかりを感じる私。
気になって、ご朱印帳を取り出して確認してみると・・・。
「十番には、もう来てたーー!行っていないのは十一番だったー!」
○ お寺まちがえちゃった
なんてこと!お寺をいろいろと巡っていたら、ごっちゃになってしまっていました。
昨日の夜更けに突然決めたので、調べる暇がほとんどなく、うろ覚えのままだったせい。
十番のお寺は「巌殿山(いわどのさん)」で、十一番のお寺も「岩殿山(いわどのさん)」。
山の名前の読みが一緒だったので、こんがらかってしまったようです。
さらに前は車で来たので、駅前に来てもピンとこなかったし、お寺には駐車場のある別の口から入りました。
埼玉の詳しくない場所で、頭の中で把握できていなかったのが原因ですが、それにしたってややこしや~。
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○ 坂東三十三箇所第十番 巌殿山正法寺
それでも、もちろんここで引き返すことはせず、きちんと参拝します。
「わあ、古くていいお寺ね」と、寺社好きの友。
大イチョウは相変わらず立派。
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本殿に近づいて行くと、日光が私たちに向かって射し込みました。
「ワー、まぶしい。」「これは、なにかよいお告げでは・・・?」
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渋いですね。まさに古刹という言葉がぴったりです。
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躍動感にあふれる、立派な木彫り彫刻に目を奪われます。
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お参りをするアコ。ハッピー、カムカム!
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修行中の空海先生の像。ちょうど顔が陰になっていたので、二人で下から覗き込みました。
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鐘もなかなかの渋さがありました。いい見晴らしを見下ろしながら撞けますね。
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始めこそ(うっそ~ん)とガックリしましたが、落ち着いて考えると、前に来た時にとても気に入って、また来たいと思っていたお寺なので、ハプニングとはいえ再訪できてよかったです。
お寺の石段の下にある三門の方を指さします。
私「ここから見える参道がずーっとまっすぐ伸びているの」
アコ「わあすごい」
この光景を、再び見たかったのです。
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○ 山間の秘密都市?
参拝を済ませ、再びバス停に戻りました。
道路の両側には、広々とした大東文化大の敷地が広がります。
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うっそうとした山間いに突如近代的な建物が出現するのが、なんだかシュール。
秘密都市みたい。
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バスの本数が少ないため、ベンチに座ってしばし待ちました。
その2に続きます。
なにかと忙しい年度末。仕事でくたくたでしたが、そういう時こそ気分転換が必要だよね!と友人アコと話をして、プチ旅に出ようと前日の夜に決めました。
場所は、東横線と相互直通運転している東武東上線のあたり。
お互い東横沿線住民ですが、直通になっても都内を超えて乗り続けていく機会はほとんどありません。
「とりあえず降りずに乗っていけば、東武か西武になるんだよね」というアバウトさ。
もう真夜中も過ぎていたため、細かくプランを詰めることはせず、とりあえず翌朝集合することにします。
プランも決めずに漠然と旅立つようなことは、ふだんはめったにしません。
でも、帰れなくなるほど遠くに出かけるわけではないし、友人と一緒だと、何をしても楽しいので、こういう突然の遠出も、新鮮でワクワクします。
○ とりあえず出発
自由が丘で待ち合わせて、登り電車に乗りました。
電車はそのまま東武線の線路を走り、1時間ほど乗って、西武池袋線の練馬駅に着きました。
「あ、練馬。」
すでに、あまり縁のない辺りにさしかかっており、なんとなく遠くまで来た気分です。
さらに乗って行くと、今度は東武東上線になりました。
川越を過ぎて霞が関駅へ。
前に霞が関勤めをしていた時に、この辺りに住んでいた人が「霞が関←→霞が関」と書かれた定期を「すごいだろ~」とみせびらかしていたっけ。(確かにすごい!)
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○ 西武も東武もわからない
一応、やみくもに乗っているわけではありません。
でもふと気が付いたら、東横線の飯能行きに乗っていたことに気がつきました。
あれ?私たちが乗りたかったのは、和光市行だったのに。
そのままだと別方向に向かってしまうので、降りて、小竹向原まで戻り、乗り直しました。
お互いに東急沿線にはなじんでいるのに、ここまで来ると右も左もわかりません。
渋谷止まりだった東横線が東武や西武とつながって、どんどん長くなっていったら、すっかり全容がわからなくなりました。
ふいに、ぶるっと震えが来ました。
なんだかとっても肌寒く感じます。東京とは気温が違っているようです。
○ 何度も乗り間違え
電車を乗りなおして安心していたら、今度は森林公園駅まで行ってしまいました。
降りる駅に気付かずに終点駅まで来てしまったので、少し戻らなくてはなりません。
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ホームを移動のしようと改札口辺りを通った時、なんだか淋しい感じがするなあと思ったら、駅が工事中で、ブルーシートに覆われていました。
にぎやかなようで、寂しげな構内。しーんと静かです。
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「つばめが来ました。頭上注意」という看板があり、つばめはもう巣立ったのか、姿を見せてくれませんでした。
○ こうさか・たかさか
少し電車を待って、やってきた普通車に乗り込みます。
そんなこんなで、何度も乗り間違えながら、ようやく、最初の目的地の、東武東上本線の高坂駅に到着しました。
高坂といったら、武田四天王の高坂弾正のイメージが強いですが、ここは「こうさか」ではなく「たかさか」駅と読みます。
ここはいったいどの辺りなんでしょう?相変わらず、よくわかっていません。
それでも、ようやくなんとか正しい駅で電車を降りられたという謎の安心感から、急におなかがすいてきました。
そういえば、睡眠時間を優先して、今朝は朝食を抜いてきたんだっけ。
○ はらぺこカフェイン切れ
アコが「コーヒーが切れてきた・・・」とつぶやくのを聞いて、ハッとしました。
これまでキャッキャッとお喋りをしながらここまでやってきましたが、そういえば明らかに口数とテンションが下がっています。
毎朝、モーニングコーヒーを飲まないと、調子が狂ってしまうコーヒー党の彼女。
前に一緒に出羽三山を旅した時に、カフェもコンビニも見つからない山奥に泊まった朝は、カフェイン切れで幽体離脱しかけて(?)いました!
いけない、またあの時のようになってしまっては、大変だわ。
おなかペコペコの私と幽体離脱しかけているアコ。お互い残された力を振り絞って、見知らぬ町をカフェ探しに繰り出します。
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駅前の椿がきれーい。アイスクリームみたーい。
まずい、なんでも食べ物に見えてくるなんて、症状は悪化する一方。急がねば!
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○ 駅前なのに食べ物難民
ネット検索しながら駅前を歩き回り、忙しくグルメリサーチに取りかかります。
ネット上では、駅前にいくつか食べる場所は出てくるのですが、実際に行ってみると、開いていません。
レストランも閉店中だし、ベーカリーも閉まっています。
なぜ~?高坂駅の人たちはおなかが空かないの~?
ランチよりも、彼女のコーヒー切れの方が深刻かつ緊急な様子。
どうして駅前に、スタンドの一つもないのかしら。
コーヒーは、どこにあるの~~?
黙々とネット検索していた彼女が、おもむろに口を開いて「近くに珈琲バカって店があるみたい」と言いました。
は?今、聞き間違えでなければ、コーヒーばかって言いました?
若干の怪しさを感じて、2人で顔を見合わせますが、もはやえり好みしている余裕はありません。
「そこに行ってみよう」と、2人で向かいました。
○ しる屋
途中で「みそ汁専門店:しる屋」というお店を発見。
上のアパートは、大東文化大と東京電機大から委託を受けているという学生組合。
開いているのか、いないのか。
おみそしる~。しるこはないのかな~。
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気になって、お店の前に吸い寄せられましたが、脱線してはいけませんね。
目的地を目指さないと。
○ 珈琲ばか
目指すお店に辿り着きました。本当に「珈琲ばか」って書いてある~。
じりじりとお店の前ににじり寄ります。
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お店の前には木でできたおじさんがいました。
とても静かです。開いているのか気になって、店の中の様子を伺います。
店内はよく見えませんが、営業中のよう。
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視線の合わない木のおじさんを見つめていたら、くじけそうになりました。
「これは、なんか無理そう・・・」
二人ともためらいます。
自由が丘に、周りのの雰囲気とは違う、ちょっとこわい黄泉の国のような喫茶店がありますが、そんなイメージ。
店名からは、京都にある「めん馬鹿3代」を思い出しました。
あそこは大将が個性的すぎて、圧倒されたっけ。
でも腹ペコのおなかをさすりながら、ようやくここを探してきたわけだし、オープンしているようなので、勇気をふるい起こして中に入ってみることに。
○ 虎穴に入らずんばコーヒー飲めず
おそるおそる扉を開けると、店内にはお客さんがいました。
ご年配の御婦人2人に女性と男性の4名のグループ。
俳句の会の打ち上げのような感じ。(勝手な印象)
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壁のメニューに「ばかブレ」とあって、思わず笑いました。
一番下に書かれている「珈琲豆入り和風カレーセット」にします。
○ コーヒーカレー
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いいにおいと一緒におまちかねのカレーがやってきました。
レギュラーのコーヒー豆をひいたものを混ぜているのだそう。
普通のカレーよりも色が濃いハヤシライスのデミグラスに近寄っているようです。
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食べてみると、コクがあってとてもおいしい味でした。
からすぎず苦くもありません。
カレーにコーヒーって、隠し味になるんですね。
タマネギがとても甘くておいしかったので、おかみさんにそう話すと
「そうなんです。暇さえあればタマネギを炒めています」とのことでした。
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○ ばかブレ
食後はコーヒー。普段はコーヒーを飲めない私ですが、どうしても「ばかブレ」の響きが気になります。
はじめアイスにしようとしましたが、コーヒー専門店でアイスを頼むのは邪道かなと思い、無理してホットをオーダー。
飲めないかもしれないと覚悟していましたが、そうしたらアコが飲んでくれるでしょう。
少しミルクと砂糖を入れて、少しずつ飲んでいったら、全部頂けました。
めずらしいこともあるものだわ。アコも私もびっくり。
成長したのかしら。いえ、おそらく苦手な人でも飲みやすい味だったのでしょう。
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店内はおかみさん一人が切り盛りしています。
お上品で話しやすい感じ。本当にコーヒー好きだということが伝わってきます。
それにしても店名が気になったので、聞いてみると、
「変な名前でしょう。名前を付けたのは息子なの」と言われました。
「正直、入る時にちょっととまどいました(笑)」
「銀行とかで名前を呼ばれるときに、ちょっとね・・・」
あ、そうですよね(察し)。
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アコは、ブレンドに興味津々。
「うちのは、エチオピアとマンデリンと・・・」と気さくに配合を教えてくれるおかみさん。
お店の秘密じゃないの?いいの、教えちゃって?
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○ 珈琲ファミリーはフリーダム
今は奥様一人が切り盛りしていますが、最初は旦那さんがお店をやっていたそうです。
ところが、ある日「飽きた」といって辞めてしまったそう。
お店をやめた旦那さんは、江戸友禅の職人になったのだそう。
フリーダム~!なんというダイナミックな転身でしょう。
お店の名付け親の息子さんはどうしているのかというと、京都でイタリアンのお店を開いているそうです。
お店の情報を教えてもらいました。今度行ってみたいな。
家族が全員とも、違う仕事についていて、おもしろいですね~。
○ ALSの画家
店内には島崎清さんという、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の人の作品が展示販売されていました。
おかみさんが、ボランティアで場所を提供しているとのこと。すばらしいわ。
数年前にアイスバケツチャレンジで知られるようになった病名。
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素晴らしく上手です。
丸みを帯びた優しいフォルムを見ていると、幸せな気持ちになります。
辛いことが多いでしょうけれど、どの作品からもご本人の明るさと芯の強さが伝わってきました。
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○ 古刹へGO
お店で、思わぬ楽しい時間をすごしてから、駅前に戻り、鳩山ニュータウン行きのバスに乗りました。
向かうのは、阪東三十三箇所のお寺のひとつ。
ほかに高坂ニュータウン行きもあって、まぎらわしいです。
この辺りはニュータウンばっかりなんですね。
大東文化大前で降りて、少し歩くと、看板が見えてきました、
アコ「あ、あったよ。阪東三十三箇所十番ですって」
「うん・・・」と答えながら(あれ・・・?)と引っかかりを感じる私。
気になって、ご朱印帳を取り出して確認してみると・・・。
「十番には、もう来てたーー!行っていないのは十一番だったー!」
○ お寺まちがえちゃった
なんてこと!お寺をいろいろと巡っていたら、ごっちゃになってしまっていました。
昨日の夜更けに突然決めたので、調べる暇がほとんどなく、うろ覚えのままだったせい。
十番のお寺は「巌殿山(いわどのさん)」で、十一番のお寺も「岩殿山(いわどのさん)」。
山の名前の読みが一緒だったので、こんがらかってしまったようです。
さらに前は車で来たので、駅前に来てもピンとこなかったし、お寺には駐車場のある別の口から入りました。
埼玉の詳しくない場所で、頭の中で把握できていなかったのが原因ですが、それにしたってややこしや~。
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○ 坂東三十三箇所第十番 巌殿山正法寺
それでも、もちろんここで引き返すことはせず、きちんと参拝します。
「わあ、古くていいお寺ね」と、寺社好きの友。
大イチョウは相変わらず立派。
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本殿に近づいて行くと、日光が私たちに向かって射し込みました。
「ワー、まぶしい。」「これは、なにかよいお告げでは・・・?」
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渋いですね。まさに古刹という言葉がぴったりです。
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躍動感にあふれる、立派な木彫り彫刻に目を奪われます。
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お参りをするアコ。ハッピー、カムカム!
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修行中の空海先生の像。ちょうど顔が陰になっていたので、二人で下から覗き込みました。
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鐘もなかなかの渋さがありました。いい見晴らしを見下ろしながら撞けますね。
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始めこそ(うっそ~ん)とガックリしましたが、落ち着いて考えると、前に来た時にとても気に入って、また来たいと思っていたお寺なので、ハプニングとはいえ再訪できてよかったです。
お寺の石段の下にある三門の方を指さします。
私「ここから見える参道がずーっとまっすぐ伸びているの」
アコ「わあすごい」
この光景を、再び見たかったのです。
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○ 山間の秘密都市?
参拝を済ませ、再びバス停に戻りました。
道路の両側には、広々とした大東文化大の敷地が広がります。
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うっそうとした山間いに突如近代的な建物が出現するのが、なんだかシュール。
秘密都市みたい。
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バスの本数が少ないため、ベンチに座ってしばし待ちました。
その2に続きます。