その1からの続きです。
○ 小澤酒造
JR五日市線の先にあるお寺で語り部の話を聞いた後は、再び青梅線沿いに移動しました。
次に向かったのは、「多摩川酒蔵街道」5蔵の一つ、澤乃井の酒蔵。
「澤乃井ってご存知でしょうか?」とバスガイドさんが話した時には「ああ、あれね」とピンときたつもりでしたが、私が連想したのは「沢の鶴」でした。
日本酒の名前って、けっこう似てるのが多いですよね。
しかもあれは、灘の蔵(神戸)のお酒で、東京のものではありません。ありゃ~。
ま、下戸なんてそんなレベルです。
蔵の名前は地名の沢井からとったとのこと。
敷地内には、訪問者が大勢いてとてもにぎやか。
沢井駅から5分という、アクセスの良さもあるのでしょう。
車で来た人も多そうですが、お酒の試飲ができないから、電車がいいですね。
広々とした敷地内には吊り橋まであります。
わあ、いい光景だわ。
○ 豆腐湯葉懐石
もうお昼の時間。まずは、敷地内にある豆腐懐石料理店、ままごと屋へ。
玄関には、お雛様が飾られていました。
ちょうど桃の節句。ホンワカします。
古めかしい日本家屋にあがります。
広いバルコニーにも出られる、見晴らしの良い2階の部屋を貸し切りで。
通された部屋には、貝合わせがありました。すてき~。
女性って、たいていみんな豆腐も湯葉も好きですよね。
そんなわけで、参加者の誰もがにこにこしながら席につきます。
利き酒セットを頼んでいる人もいました。
「起承転結」ですって。ストーリーがあるんですね。
出されたお冷やは、清酒を作る仕込水だそう。
豆腐と湯葉も、この水を使っているそうです。
では、懐石コースのご紹介。
紫蘇ジュース、グリーンピース豆腐 葱味噌のせ
豆腐にゅうめん
湯葉刺し
ままごと盛、雪花菜しゅうまい
「雪花菜」とはきれいな字ですが、これで「オカラ」と読むんだそうです!
は~、なんてロマンチックな字なんでしょうね。
ままごと盛には(うの花茶巾、白和え、畑のお肉、旬菜豆器、チキンロール、塩糀焼、はじかみ、揚げ大豆と湯葉、擬製豆腐)が入っていました。
巻湯葉含め煮
きびおこわ、味噌汁椀、香の物
豆乳苺プリン
ああ、見返すたびに、また食べたくなります。
一つ一つの料理がどれもおいしくて、うっとり。
ままごと屋というかわいらしい名前の雰囲気よりもずっと本格的な料理を楽しみました。
○ 酒造見学
食後、いよいよ酒造見学となります。
年配の杜氏と思われる人が案内してくれました。
蔵の入り口には、大きな杉玉が下がっています。
去年10月23日に、新酒第一号となる「新酒しぼりたて」ができてから吊るしたものだとのこと。
酒林(さかばやし)とも呼ばれるそうです。
酒樽。これを見るだけで、なんだかおめでたい気持ちになります。
「寿ぎ(ことほぎ)」なんて言葉が思い出されます。
酒蔵の入り口上部には神様が祀られ、立派なしめ縄がかかっていました。
つまりここから先は聖域。
「酒造りは神事である」という意識で、お酒を作っているそうです。
元禄15(1702)年の創業で、300年以上の歴史がある酒造。
酒蔵は3つあります。
巨大なお酒のタンクは時代を経て木からほうろう、ステンレスへと変わってきたのだそう。
8000リットルも入るそうです。一升瓶にすると4500本以上。
「一生のうちに飲むお酒の量は、このタンクでどのくらいなんだろう?」とつぶやきながら、じーっとタンクに目を注ぐ参加者。
古くからの伝統と最新技術を組み合わせてのお酒造りを紹介され、圧倒されて見学は終了。
酒蔵のすぐ隣には、藁ぶき屋根の古民家がありました。
社長ハウスかしら?辺りの光景にしっくりなじんでいました。
見学終了後は、敷地内でのフリータイム。
お土産売り場に試飲コーナーがあると聞いて、まっしぐらに向かう人が何人もいました。
好きな人は、見学後、すぐに飲みたくなりますよね~。わかります。
敷地内には、食事の時に出してもらった仕込み水がわき出ていました。
今なおこんこんとわき出ている湧水をいただきました。
水に恵まれた土地だからこそ、銘酒が作れるというわけですね。
ここのマークはサワガニ。やっぱり沢の鶴じゃない…(まだ気になってる)
○ 吊り橋渡ろう
日本酒好きにはたまらない場所ですが、風光明美な場所で、飲めなくても十分楽しめます。
モコちゃん、モモブタさん、ナニワさんと4人で澤乃井園を散策。
私のリクエストにより、吊り橋を渡ってみました。
うふうふ、きゃっきゃっ。
「楓橋」という名前。秋は紅葉がきれいなんでしょう。
○ 春の釣り人たち
流れているのは、もちろん多摩川。
いい天気だということもあり、上流側にも下流側にもおおぜいの太公望たちがいて、釣り糸を垂らしていました。
多摩川に糸を垂らしている人は、一日何人くらいいるんでしょうね。かなりの数に上りそう。
春の昼下がりは、のどかでいいですね。
この辺りでは、ヤマメやマスが釣れるようです。
○ 鐘が鳴ります寒山寺
橋の向こうには、断崖の上にお寺が見えました。
中腹には鐘楼があります。
寒山寺という名前。寒山寺といったら中国にありますね。
そちらと関係があるのかなと、由緒を調べてみました。
中国の寒山寺の僧侶に、日本での寒山寺の建立を託された日本の書家が、この地を選んだそうです。
当時の青梅鉄道の社長でもあった、澤乃井醸造の小澤当主の協力を得て、伽藍を建てたそう。
手広い実業家だったんですね。
モモブタさんは中国の寒山寺を訪れたことがあるそうです。
私は「蘇州夜曲」でしか知りません。
鐘は、戦時中にとかされてしまったものの、第三代当主が再建したとのこと。
鐘楼の格天井に見える美しい絵画は、川合玉門の門下生24名が復元したそうです。
ここの酒造の当主の協力によって、今でも存在し続ける寒山寺。
まさか日本にも寒山寺があるとは思いませんでした。
鐘楼の鐘を打つと、ゴオーンというおごそかな音が、川の上流や下流に響き渡りました。
ところで、この辺りは「鵜の瀬渓谷」というそうです。
鳩ノ巣とか鵜の瀬とか、鳥好きにはなかなか気になる地名が多いんですね。
先ほどの社長ハウス(?)には、もう一足早い春がやってきていました。
○ お嬢サマーランド
すっかり満足してバスに戻ります。
下戸の私でもいろいろと楽しめた場所でした。
帰途につく途中、車窓から観覧車が見えました。
「あれ、どこのだろう?」「緑の中に突然あるんだね」
それはサマーランドの観覧車でした。
夏になると毎年CMが流れますが、遠いので行ったことはありません。この辺りにあるんですね。
○ ひこうき雲と太陽
空を見ていたモコちゃんが、「あ、通る通る、ねえ見てみて」と言いました。
どうしたのかと思って見上げると、飛行機が太陽の下を通り、飛行機雲が太陽に真ん中から線を入れていくところでした。
「わあ、すごい、写真に撮ろう」とカメラを探りましたが、そうこうしているうちに「ああ、ずれていく~」とモコちゃん。
雲は流れて、撮影した時には少し位置がずれていました。
それでも、貴重なものを見れました。
○ 大きな道の駅
そろそろ旅も終盤。最後に道の駅八王子・滝山に着きました。
この辺りになると、ゴルフ場や大きなビルがたくさん立っていて、コンクリートが増えてきたなと思います。
いろいろなキャンパスが立ち並んでいました。
駐車場にいた金髪ヤンキーの兄ちゃんが、口を開けてバスを凝視しています。
はとバスがここに来るのが珍しいのでしょうか。それとも中にいるのが女性ばかりだからでしょうか。
大きな道の駅で、いろいろなものを売っていました。
(そういえば八王子の食のお土産ってなんだろう?)とふと思います。
バスガイドさんは「はちょーじ」というお菓子があると教えてくれましたが、知らない・・・。
奥のイートインの「ミルクアイスMO-MO」で、アイスクリームを食べました。
見るからにおいしそう。一番人気は白いカネコミルクだそうです。
モコちゃんは土日限定ショコラ、私はカネコミルクスペシャルソフト。
金子牧場のしぼりたてミルクなんだそうです。
クリーミーで濃厚でしたが、食べてすぐに外に出たら、風邪の冷たさにブルッと震えます。
かなり冷えました。
○ 八王子で解散
ほどなくして八王子駅に到着。
行きは立川駅集合でしたが、ツアーの終わりは八王子。
ここで解散しました。
参加者のみんなと別れの挨拶をして、駅への道をひとり歩いていたら、私の横を黄色いバスが通って行きました。
あ、私たちが乗っていた、はとバス2台だわ。
さようなら~。2日間、お世話になりました~。
みんなを降ろし、役目を終えて去って行く後姿を、見送りました。
ここから電車を乗り継いで、横浜へと戻りました。
最寄りの駅に着いた時に、雨が降っていました。
朝は快晴だったので、まさか降るなんて。天気がもってよかったわ~。
帰宅しても、まだおなかはいっぱいでした。
○ epilogue
のんびりした行程でゆっくりできたツアー。
ゆるいスケジュールだったおかげで、せわしなさを感じなかったし、リフレッシュできました。
これまで日帰りでしか行ったことがなかった奥多摩地区ですが、一泊すると時間的な余裕が生まれるので、ゆっくりしたい時にはいいなと思います。
箱根に行くような感覚でしょうか。
女性だけのツアーも、わきあいあいとして楽しかったです。
知っているようで知らなかった東京西部の市についても、少しずつ区別がついてきたみたい。
また訪れたいなあと思いました。