その1からの続きです。
● 館山夕日桟橋
無事にフライトの予約を取れたベスがやってきました。
海の向こうまでまっすぐ伸びる、館山夕日桟橋を眺めます。
「歩いてみたいけど、今の時間は影がないから暑そう...どうする?」
「あとになって(あー、歩いておけばよかった)って後悔しそうだから」
ということで、歩いてみることにしました。
果てが見えない長さ
正式名は、館山港多目的観光桟橋というそうですが、なんとも味気ないので、夕日桟橋と呼ばれるようになったのでしょう。
岸から海に500m伸びている、日本最長の桟橋。
長い吊り橋なら追い求めてきましたが、これまで桟橋の長さに目を向けたことはなかったなあ。
これからはチェックしようかしら。
頑丈なコンクリ製なので、ぷかぷか浮かぶことはありませんが。
● 恋人スポット?
桟橋の一番先まで行ってみました。
どこまで行ってもカップルはいません。
恋人たちのスポットという甘いムードはなく、そこにいるのは釣竿を持った釣り人たちばかり。
女性もいますが、「海よ、おれの海よ~♪」という感じです。
● フリーの釣り場
みんなのバケツには、釣ったお魚がたくさん入っていました。
桟橋の片側は釣り禁止というルールを、皆さんきちんと遵守していました。
また岸に戻ろうと歩き始めますが、長い道なので、たどり着くのに時間がかかります。
自転車に釣竿とビクを積んでやってくる人が多いようです。
桟橋から陸を臨む
横浜にも大黒埠頭や本牧埠頭で海釣りができますが、有料です。
ここは無料なので、気軽に夕飯のおかずを捕まえに来れていいかも。
予想に反して現実感の漂う場所でしたが、夕方になって夕日が見えたら、ロマンチックな光景になるのかもしれません。
● 夏の日射し
潮風は気持ちいいのですが、とにかく日差しが強く日射がまぶしい時間帯。
釣りを楽しんでいなければ、あまり長い間外にいられません。
再び桟橋を戻って、渚の駅に入ります。
「渚の駅」とは海バージョンの「道の駅」で、日本のあちこちにあるものだと思っていたら、どうやらここ館山にしかないようです。
● 館山城
近くの小高い丘の上に、お城が見えました。館山城だそうです。
『南総里見八犬伝』ゆかりの里見氏の居城だった場所。
今は八犬伝博物館にもなっているそうです。
天守閣から見える海の景色は、さぞかし壮観でしょうね。
● 謎の町内無線メロディ
12時になり、町内無線が流れました。
「このメロディ、なんか聴いたことあるー」
歌えそうなので、口ずさんでみました。
「Are you sleeping, are you sleeping, Brother John?~」
「まさかの英語!」とおどろくベス。
その名も『Are You Sleeping?』という歌です。
「でもこれ、眠っているジョン兄ちゃんを
Morning bells are ringing(朝の鐘が鳴ってるよ)といって、起こす弟の歌なんだけど。」
「昼の歌じゃないー!」
どうして12時に流れるのか、謎でした。
● 謎の解明
その後調べてみたところ、このメロディは
『静かな鐘の音』や『かねがなる』というタイトルでもあるとわかりました。
日本語の歌詞は、たしかに「鐘が鳴ってるよ」という内容。
え~、『Are You Sleeping?』は中学校の英語の教科書、ニュー・ホライズンに楽譜と一緒に載っていたのにー!
動揺しながらさらに調べると、『フレール・ジャック』(Frère Jacques)として知られるフランスの民謡だと判明。
日本では『フレール・ジャック』の題のほか、英語題の『Are You Sleeping?』、邦題の『かねがなる』『グーチョキパーでなにつくろう』などで知られているそうです。(Wikipedia「フレール・ジャック」より)
つまり、館山市では、私が知っている英語の歌詞の歌として選んだのではなかったということですね。
謎が解けました!
● 海鮮ランチ
まずはランチにしました。
ここには創作イタリアンのお店、館山なぎさ食堂が併設されています。
自社船で毎日獲ってきた魚を調理してくれるとのことで、大人気。
自分たちの番がくるまでけっこう待って、席に通してもらいました。
ランチは海鮮丼セット。ベスは海鮮たっぷりのボンゴレビアンコ。
おなかいっぱいになりました。
● 館山のふるカフェ
食後に行く場所として、地下壕や沖ノ島公園をチェックしていましたが、相変わらず外はじりじりと焼けつくような強い日差し。
満腹のまま、あまり動きまわらずに、このままゆったり過ごしたいというまったりモードになっています。
「じゃあ、洋館カフェに行きましょう」
そこも食べる場所ではありますが、気になっているお店に向かいます。
ここはNHKドラマ『ふるカフェ系 はるさんの休日』に紹介されたばかりのお店。
築100年の登録有形文化財、TRAYCLE Market&Coffeeというカフェです。
カフェメニューにはフェアトレード・フードを取り扱っています。
数種類あったおからマフィンの中から「ドラゴンフルーツ&マンゴー」とアールグレイティーにしました。
● 元銀行の2階
2階に上がると、4,5組のお客さんたちがおり、ランダムに置かれたソファやテーブルにくつろいでいます。
かつては銀行だったこの建物。時が止まった空間みたい。
窓からは、房総の海が見えます。
江ノ電の鎌倉高校辺りの海の景色と、イメージが重なります。
この辺りは北条海岸。源頼朝ゆかりの場所ですし、房総と鎌倉は繋がるところがありますからね。
● 静かなティータイム
ここで腰を落ち着けてのんびり。
誰も急ぐ人はおらず、めいめいが静かに時間と空間を楽しんでいます。
ドリンクには紙のストロー。
マフィンにはちゃんと、マンゴーとドラゴンフルーツが入っていましたよ。
● トマソン風階段
帰りのバスの時間が近づいてきた頃に、腰を上げました。
先ほどまでいた渚の駅の前を通って、北条海岸沿いに進み、駅前通りを曲がります。
帰りに、不思議な階段を発見。
「あ、トマソン!」と駆け寄りました。
トマソンとは、作家の赤瀬川源平が名付けた、「無用の長物」という意味。
いつもトマソンを探していますが、なかなかみつからないんですよね。
一見無意味な階段に思えましたが、その上に大きなタンクがありました。
利用意義のあるものなので、これもトマソンではありませんでした。
ちょっと残念。
● かもめグリル
注意深いベスが、駅前で足を留めました。
「かもめグリルですって」
見ると、つばめグリルをほうふつとさせるロゴの看板が。
関係あるのかしら~?
つばめグリルのように他店舗はなく、このお店だけのようです。
● イムマヌエル教会
駅構内には、美しいダイヤモンド富士の写真が飾られていました。
昨日見られなかったので、うらやましさと未練たっぷりに眺めます。
館山からもきれいに見られるのね。
バス乗り場の待合室に
「イムマヌエル教会」の看板がかかっていました。
先ほど電車の車窓から見たものです。
(それにしても言いづらいなあ。エマニュエルにはしないのね~)
と思う私の横で、ベスが「イムが"仏"って見える」と言い出しました。
「別の宗教になっちゃう!」
「その下に”なむや行き”バスに乗るって書いてて、”イムマヌエル”といい”なむや”といい、読みづらいですね」
”仏”発言を受けたあとなので、”なむや”が”南無や~”に思えてなりませんでした。
後で調べてみると、「なむや」とは「南無谷海岸」のことだそう。
やっぱり南無だったわ~!
● フォーエバー・ラブ
そうこうしているうちに17時になり、町内に防災無線放送が流れ始めました。
今度は何のメロディかな?カラスの子かな?
と思って耳を傾けていたら、
♬~フォーエバー・ラーブ~♬
まさかの XJapan!!
そういえば、YOSHIKIの故郷でしたね!
調べてみると、週末と祝日、そしてYOSHIKIの誕生日(11月20日)の午後5時に流れるそうです。
それが聴けるなんて、ジャストタイミーング!
Forever Love が流れる館山の町。なんだか新鮮だわ。
● 帰りの高速バス
10分発の高速バスに乗り込みます。
昨日見られなかった夕日を、なんとか見たい私たち。
この時間に館山を出ると、ちょうど日没時間に海ほたるにさしかかる計算です。
6月に母とびわ狩りに訪れた「枇杷倶楽部」バス停からも、乗客が乗りました。
● 牽引車のブレーキランプ
館山の海では、大勢の人たちが水上バイクに乗って楽しんでいました。
みんな、自動車の後ろに水上バイクを牽引して、やってくるんですね。
その牽引車の方にも、カーナンバーがついているんですね。
初めて見ました。
さらに、引っ張っている車がブレーキをかけると、牽引車にもブレーキランプがつく仕組みになっていました。
え~、すごい!テクノロジー!
これも初めて見ました。
● 日曜夕方の大渋滞
快調にバスは進みましたが、木更津あたりから速度がスローになり始めました。
道路が混んでいます。
(あっ、そういえば!)と思い出しました。
すっかり忘れていたけれど、日曜日の夕方には、房総から首都圏に帰る車で、海ほたるはいつも渋滞するんだったわ!
今は夏休み期間の8月なので、一層混んでいるようです。
この日も、夕暮れ時になると前日同様に雲が厚くなりました。
夕日は赤く広がっているものの、太陽の形ははっきりわかりません。
曖昧に雲に紛れたまま、日光はどんどん褪せていきました。
● 作戦失敗
渋滞により、予定時間に予定の場所にたどり着けません。
まだ海が見えない袖ヶ浦の辺りで日が落ち、あたりはどんどん暗くなっていきました。
木更津の観覧車のイルミネーションが輝き始めました。
ああ、"海ほたる de 夕日作戦"は失敗だったわ。
そのあともバスはゆっくりジリジリと進みます。
海ほたるで休憩する車がルートをそれて、道路が少し空き、その後も少しずつ渋滞が解けていきました。
正面が海ほたる。もう夕日の時間はすっかり過ぎていました
● 夜景ドライブ
海中トンネルを抜けて川崎に着く頃には、道路は空いており、乗っているバスも周りの車も、これまで抑えていたうっ憤を晴らすかのように、びゅんびゅん飛ばしていきます。
すっかり夜の景色となった横浜も、またオツなもの。
みなとみらいの夜景が美しく海に映えていました。
ベイブリッジ。近すぎてフレームインならず
遠くにランドマークとMM地区
● 横浜駅着
予定より1時間遅れて、8時過ぎに横浜に到着。
バスに3時間乗っていたことになりました。
ここからバスを乗り換えて羽田空港に向かうお客さんがいたようで、その人が無事にフライトに間に合ったのかが気になります。
ベスは「横浜に来たから」と駅のコンコースで崎陽軒のシウマイ弁当を購入。
在来線に乗り換えて、帰りました。
● epilogue
車がないと、なかなか行動しづらい房総半島。
一泊二日のささやかな旅ながら、回を重ねて少しずつ慣れてきています。
はじめはあちらこちらを見て回っていましたが、交通の便が悪い場所で、真夏に無理に動き周らないようになりました。
その分、シーサイドでゆったりとした時間を過ごすようにしています。
一番近い海の向こうの海外、房総。
今回も、癒しの時間を過ごすことができました。
◆ 夏の終わりの房総の海 index ◆