風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

島根に友を訪ね・ちょっぴり鳥取3-3

2016-12-07 | 中国(山陰)
その2からの続きです。

○ 出雲に戻ります

水木しげるロードは、まだまだ奥が深そうな場所でした。
ただそろそろ帰りの時間が迫ってきているため、後ろ髪を引かれる思いで鬼太郎ワールドを離れて帰途につきます。
こうなるとわかっていたのなら、米子空港から帰るようにすれば良かったんですが、実際に旅に出るまでルートをはっきり決めていたなかったため、出発場所の出雲空港にレンタカーを戻すことにしてあります。つまり、再び出雲まで戻らなくてはなりません。

堺港に、大きな白い客船が停まっていました。
中国の人たちが乗ってきた船かと思いましたが、船体にフェリーしらしまと書かれていました。
隠岐諸島へ向かう定期便。大きいんですね。ああ、これに乗ったらあの離れ小島に行けるのね~。



○ ベタ踏み坂

松江方面に戻るため、いよいよ境港と松江の間にかかる江島大橋を渡ります。
日本一のPCラーメン橋で、別名ベタ踏み坂。
先ほどの境水道よりも急坂で、通る車はみんなアクセルをベタ踏みするからだそうです。
ベタというと「ベタですね~」よりも、熱帯魚の方を連想するため、(あのきれいな魚をふ、踏むなんて!)と思ってしまいます。

ここはダイハツのタント カスタムのCMで有名になった坂。
その翌年には、群馬の高崎・榛名湖メロディラインが次のCMに出て、前に「ここ、タントのCMで使われたんだよ」と教えてもらいながら通ったことがあるなあと思い出しました。
肝心のタントには乗っていませんけど。



映像で見ると、空に突き刺さるほどの急坂のようでしたが、実際にはそうでもありません。
最上部の高さは約45メートルあるそうですが、前のトラックにばかりつい目が行ってしまい、急斜面はさほど感じませんでした。



私たちがいる方とは逆の松江側から見る方が、すごく高く見えるそうです。
そこで上って下りて、松江側に来たところで振り返ってパチリ。
うーん、ちょっと遠くなっちゃった。しかもブレてる・・・。



今は、中海の中を通っています。水の中の橋といった感じ。



橋を降りて少し行った場所から、全貌が眺められました。
遠くから見ても、絵になります。ここまで離れないと見渡せないないほどの大きさなんです。



緑が広がる場所にさしかかりました。なんだかのどか~。



この辺りには小さな島が多いため、今どの島を渡っているのか、もはやわかりません。



前の日は山の奥深い場所にいたのに、この日は水際まで来ています。
なんて変化に富んだ日本。自然が身近。



○ 見えない松江城

美保関から湖を二つ超えて、松江へと入りました。
松江城のそばまでやってきましたが、残念ながら先を急がなくてはなりません。
思っていたよりもずっと水木しげるロードが楽しくて、予定以上に時間を使ったので、松江城を訪れる時間がなくなってしまいました。
車を停めてお城を眺める時間すらなく、車窓から見るのみに。



それでもせっかくなので一目見たいなあ。天守閣だけでもいいから。
そこで、お堀の周りをぐるりと一周しました。どこかよく見えるポイントがあるでしょう。



ところが、いくら首を伸ばしても、よく見えません。
お堀の周りには松などの木々が鬱蒼と茂っていて、視界がさえぎられているのです。



ナイナイと一周半くらい周ったところでようやく見えましたー!天守閣の上の部分が、本当にちょっとだけ。
見られたことにとりあえず満足して、先へ進みます。



○ 駅前解散

一路目指すは出雲市駅。ここで私を降ろし、さっちゃんとヒロポンは出雲空港へと向かいます。
急いでいるのは、二人の熊本行きフライト時間が迫ってきているから。
松江方面からだと空港より出雲市駅の方が遠くにあるため、途中で電車に乗り換えるつもりでいましたが、結局駅まで乗せてもらってしまいました。
気付けばこの日は、なかなかの長距離移動。

お別れもそこそこに、Uターンして去っていく車を見送ります。
最後はあわただしくなってしまいましたが、夏には熊本で再会できる予定。
3日間一緒に過ごせて、楽しかったわ~。気をつけて帰ってね~。



さて、一人になりました。私はここから、夜行バスで帰ります。
発車までまだずいぶん時間がありますが、今回は水着やサンダルも持参したし、いつもよりもいろいろ買い込んで、荷物が多くなったので、出歩かずに駅周辺で時間まで過ごすことにします。

○ らんぷの湯

まずは、温泉に入りに行きました。
1泊目の出雲タラソまで行こうかなと思っていたら、Pちゃんが「そんな遠くまで行かなくても、駅前に温泉があるよ」と教えてくれたのです。
その名も、出雲駅前温泉らんぷの湯
駅に隣接している近さで、すぐにたどり着きました。



そんなに広くはありませんでしたが、名前の通りにらんぷが下がっている、落ち着いた雰囲気の温泉でした。



○ Can☆Do島根初進出

さっとお湯を浴びて、あとは涼んだり駅ナカ散策したりすることにします。
駅の構内は細長く、「ばたでん」こと一畑電車の電鉄出雲市駅とつながっています。
まだ新しい駅なのか、テナントが入りきっておらず、Can☆Do出店ののぼりを見つけました。
島根1号店がオープンするそうです。おめでとう!



初進出かあ。なんだか新鮮ですね~。
さっそく写真に撮って、九州に着いたさっちゃんとヒロポンに報告。
するとヒロポン、すぐに調査を開始し、「Can☆Do、鳥取にはもう数店舗あるみたい」と教えてくれました。
「Pちゃんに報告する?」「やめておこうね・・・」

○ 島根と鳥取

島根と鳥取、二つの県を訪れてみましたが、どちらの県も、そんなに変わりませんでしたよ。
米子のスタバを撮影した時には、
「これをPちゃんに送ろうか?」
「みんなで一緒に送る?」
「同時多発テロだね」
と3人でたくらみましたが、彼女にスッパリ嫌われたら悲しいので、やめておきました。

スタバを見ながら、すなばコーヒーの話も出ました。
「すなばコーヒーに行きたかったね」
「むしろスタバより気になるなあ」
「でも鳥取砂丘の真ん中にあったりして」
「砂漠気候でコーヒーがすぐに干上がっちゃったりして」
「実は蜃気楼でしかなかったりして」

ひどいですねえ。辛口コメントは、Pちゃんの影響なんですよー。(人のせいにして!笑)。
「アムロ・レイが鳥取出身と知ったら”じゃあシャアが島根ってことで”とか言いそうだね」
キライは好きの裏返し!ツンデレなんだから~。(怒らないで、Pちゃん)

○ ウシガエルの歌

そういえば、前の晩にお寺の宿に泊まった時、夜に「モー、モー」という鳴き声が聞こえました。
ウシガエルの声です。モーモーの合唱に包まれながら眠りにつきました。
♪ウシガエルの歌が、聞こえてくるよ、モーモーモーモー・・・♪

朝、女将さんに話すと「そうなんですよ。前までは遠くの池にいたのに、最近近くの弁天池にもいるらしくて。都会の方は聞き慣れなくて、びっくりして連絡してこられたりするんです」とのこと。

私たちは3人とも知っていました。人生ドサ回り系ですから(笑)!
翌朝の境内散策の時に、弁天池のウシガエルに会いに行きましたが、「モー」という鳴き声は時々聞こえても、姿を見せてはくれませんでした。
顔を見たかったのに、モ~。

○ 神話のオブジェ

出雲市駅構内の噴水の周りには、日本神話の場面がオブジェになって飾られていました。
これはヤマタノオロチ。動きがありますが、ファンシーです。
スサノオが退治しているというよりは、オロチに餌をやってみるみたい。
よ~しよし、大きく育てよ~。って育っちゃダメか。



こちらは国曳きのシーン。
できたての出雲の国がちょっと小さかったから、神様が近くの島を引っ張ってきたんですね。
北陸や朝鮮から。近くというレベルじゃない気がしますが…。
引っ張った綱は、今の弓ヶ浜半島になりました。
さっき通ってきた、あそこね。
あの半島を綱にして引っ張ったなんて、神様って等身大だと思っていたけれど、ゴジラ並みに巨大なんだなあと想像します。



○ 出雲生まれのFMV

顔はめパネル発見。大国主命(たぶん)がノーパソ持ってる~。
「FMVは出雲生まれ!」と書かれていました。
ん?富士通はこの辺の会社じゃないはず。
出雲市の島根富士通でノートパソコンFMVが作られており、「出雲ブランド」として売り出しているとのこと。
シャープの「世界の亀山」みたいな感じでしょうか?



○ 立体ジオラマ、マンホール

出雲周辺立体ジオラマが飾られていました。
手作り感たっぷり。
出雲周辺の名所が丁寧に作られています。真ん中には白い出雲ドームもありました。



駅の外のマンホール。龍がいっぱいに描かれています。
岡山のマンホールは、桃太郎だらけでしたが、ここではオオクニヌシやスサノオはいないんですね。
やっぱり宗教関係はダメなのかしら?



○ スサノオ号

今回乗るバスの名は「スサノオ」号。
名前で決めたところもあります。
前に、渋谷のマークシティで、このバスのチラシを目にしました。
(渋谷から出雲までの直行バスがあるんだ!いつか乗ってみたい!)と思っており、とうとうその時が来たのです。

今回は、出雲を中心とした旅でしたが、出雲大社の鳥居とか、素鵞社とか、須佐神社とか、スサノオ号とか、私個人的には大国主命よりも、気がつけばスサノオノミコトの方が印象深かったなあと思います。
オ「お父さん!」
ス「お前に父親呼ばわりされるつもりはない!」
ああ、オオクニヌシノミコトの気持ちがわかるわ~。(どんな妄想)

○ 出雲出発

バスは19時すぎに発車しました。さようなら、出雲~。



これまで乗っていた普通車とは違う高さから、ヤマタノオロチだといわれる斐伊川を眺めます。
この川を渡ったところに、Pちゃんの万九千神社があります。
また参拝に伺いますわ~。



夜7時とはいえ、まだ日没前なので外は明るく、車窓を楽しみます。



美しい水田。水が張られて空が映っています。瑞穂の国ですね。



水鏡に囲まれた家。こういった景色がずっと続くので、やっぱり島根はお米どころなのかしらと思います。



○ 島根だったり鳥取だったり

松江駅に着いた頃には、夕日も沈んで暗くなっていました。
この日、訪れた場所を思い返してみました。

 安来の宿(島根)
   ↓
 米子~弓ヶ浜半島~境港(鳥取)
   ↓
 美保関、美保神社、美保関灯台(島根)
   ↓
 水木しげるロード(鳥取)
   ↓
 江島大橋(島根)
   ↓
 松江城(島根)
   ↓
 出雲市駅(島根)
   ↓
 松江(島根)
   ↓
 米子(鳥取)

わ~、島根と鳥取を行ったり来たり!
今回は、もはや島根旅行とは言えませんね。山陰旅行です。
しかも島根と鳥取って、字もなんだか似ているんですね。
見ていると区別がつかなくなってきました。謎のコンビネーション。

おさらいしたことで満足し(頭も疲れて)、そこからは渋谷まで眠っていきました。
スサノオ号は3列でゆったりしており、快適な車内でしたが、東京までなんと半日近くも乗っていることになります。
こんなに長い夜行バスに乗ったのは、初めて。
渋谷から一本で行けるとはいえ、出雲って遠いんだな~と、ひしひしと距離を感じました。

○ epilogue

今回は、出雲の友に導かれて、神話の地を訪れた旅。
それだけだと厳かで真面目なイメージですが、気の合う勝手知ったるメンバーだったので、それだけでは終わりません。
石見銀山を探検したり、タラソテラピーにつかったり、島根半島の先まで行ったり、鬼太郎ワールドに足を踏み入れたり、いろいろな体験ができました。
島根と鳥取は、お互いいいコンビですね。
他県民からすると、二県のブービー賞争いは微笑ましいもので、ほのぼのと見守ることができます。

このブログを読んでくれた鳥取の友人数名から、
「鳥取の人は、島根を競争相手と見ていないのか、あまり比較しませんよ」
というコメントをもらいましたよ、Pちゃん。
ディスっているのは島根側だけかも~?
♪トムとジェリー、仲よくケンカしな♪

島根も鳥取もロマンたっぷりのミステリアスな神話の里。
まだまだ知らないところがたくさんあるだろう、奥の深さがあります。
友との再会を経て、どちらの土地も少し身近になったみたい。
ブービー賞争いなんて言われても、それは現在だけの話で、歴史的に見れば日本人の成り立ちの上でどちらも大切な場所。
日本に島根、鳥取ありきですね。
また再び、山陰を訪れたいと思います。



島根に友を訪ね・ちょっぴり鳥取 index 5.21-23

2016-12-07 | 中国(山陰)
[2016.5.21-23]


◆ 石見 1-(1) ←旅行記へ
 高校時の友人が、出雲で神主さんになっていると知り、共通の友人と会いに行きました。
 現地の空港で集合し、石見方面へ向かいます。あちこちに「鷹の爪」の吉田くん。
 世界遺産の銀山ツアーに参加。ものものしい装備にびっくりしました。
  ○ prologue ○ 出雲までの道 ○ 縁結び空港 ○ 秘密結社鷹の爪 
  ○ とんがり帽子の道の駅 ○ リゾート日本海 ○ 隠岐の島と竹島 
  ○ 石見国一宮 物部神社 ○ 狛犬に狛鶴 ○ 石見銀山探検ツアー 
  ○ すべりこみソバ ○ 準備体操からの登山 ○ メット・長靴・懐中電灯



◆ 石見 1-(2)
 中に入ってみた石見銀山は、すごい迫力でした。評判よりもずっと価値ある満足感。
 午後には往時の伝統的な町並みを散策。
 日本海に沈む夕日を見送り、タラソテラピーでリラックスしました。
  ○ 大久保間歩を探検 ○ 暗がりで知るテクノロジー ○ 希望の光
  ○ 白銀の国ジパング ○ マタタビフラワー ○ 世界遺産に選ばれたわけ
  ○ 大森の町並み散策 ○ 地元の名家 ○ 清張のことば
  ○ 町を見下ろすお寺 ○ 神社の鳴き龍 ○ 海に沈む夕日 ○ タラソテラピープール



◆ 出雲 2-(1)
 2日目の朝に、旧友と再会しました。
 彼女が勤める出雲大社や博物館を訪れます。
 古代のロマンたっぷりで、現実に戻れなくなりそうでした。
  ○ まぶしくない朝 ○ 駐車場での再会 ○ まずは相撲の神様から
  ○ 江戸時代の鳥居 ○ 息子にご挨拶 ○ お父さんもパワフル
  ○ 朝の祝詞 ○ 古代出雲歴史博物館 ○ 驚きの宇豆柱
  ○ 神殿模型のロマン ○ 銅鐸のロマン ○ 銅剣のロマン
  ○ たたらを踏む ○ ゆかりの映画 ○ 稲佐の浜のタケミカヅチ
  ○ 素足の日ノ御碕灯台 ○ 日ノ御碕神社アゲイン ○ けいらばこ?



◆ 出雲 2-(2)
 お昼は日本三大そばの出雲そば。島根と鳥取の競い合いは、微笑ましくも真剣。
 友の神社を参拝し、神官の彼女に祈祷していただきました。
 夜には県境近くのお寺の宿で、精進会席料理にうっとり。
  ○ 出雲そば名店 ○ そば&カツ ○ 永遠のライバル県
  ○ スサノオの須佐神社 ○ 万九千神社 ○ 友の御祈祷
  ○ 瑞穂の国 ○ お寺の旅館 ○ 精進会席料理
  ○ ジンジャーエールのわけ ○ 島根・鳥取の有名人 ○ ライトアップ三重の塔



◆ 安来 3-(1)
 すがすがしい朝を迎えました。朝風呂に入って身体に優しい朝食をとります。
 ひとけのない広い境内をゆっくり散策しました。
 心身リラックスできた宿をあとに、人里へと戻りました。
  ○ 緑の中の朝 ○ 自然派朝食 ○ 愛のスコール 
  ○ 境内の散歩 ○ 上級ドライバーレベル ○ 古刹で鐘つき 
  ○ 百観音霊場ですが ○ 三重の塔 ○ へびとポスト ○ さよなら紅葉館



◆ 境港 3-(2)
 最終日には、鳥取も訪れようと、境港へ向かいます。
 海沿いのえびす様の総本山とちいさな灯台を訪れ、
 外国人に混ざって鬼太郎の町を散策しました。
  ○ GoGo鳥取 ○ 鳥取入りましたー ○ ラストスタバ
  ○ 憧れの弓ヶ浜半島 ○ ここは妖怪の地 ○ 境水道大橋
  ○ 島根、鳥取また島根 ○ えびす様の本拠地 ○ 青石畳通り
  ○ 三保関マンホール ○ どじょうすくい ○ ちいさな灯台 
  ○ 瞳を閉じて ○ 木の鳥居、木のベンチ ○ 水木ワールドへ
  ○ 鬼太郎だらけ ○ インターナショナル・キタロー



◆ 出雲 3-(3)
 鬼太郎ワールドを楽しんだ後は、そろそろ帰る時間。一路出雲へと車を飛ばします。
 途中、ベタ踏み坂を通過。見えそうで見えなさそうな松江城。
 鳥取と島根は、どちらも奥深く、また訪れたいところでした。
  ○ 出雲に戻ります ○ ベタ踏み坂 ○ 見えない松江城
  ○ 駅前解散 ○ らんぷの湯 ○ Can☆Do島根初進出
  ○ 島根と鳥取 ○ ウシガエルの歌 ○ 神話のオブジェ
  ○ 出雲生まれのFMV ○ 立体ジオラマ、マンホール ○ スサノオ号
  ○ 出雲出発 ○ 島根だったり鳥取だったり ○ epilogue


島根に友を訪ね・ちょっぴり鳥取3-2

2016-12-06 | 中国(山陰)
その1からの続きです。

○ GoGo鳥取

1日目同様、この日の予定も特に決めていません。宿をチェックアウトし、車で町へと向かいながら「今日はどこに行こうか」と3人で作戦会議します。
「水木しげるロードがいいな」と言うヒロポンに、「美保神社に行きたいな」と言う私。
そこで、境港方面に向かうことにしました。

あまりにPちゃんが鳥取を意識しまくっていたので、逆に気になって仕方がない私たち。
「あれだけ言ってた鳥取って・・・」
「実際はどうなんだろう・・・?」

泊まった旅館の人は、鳥取のことは全くライバル視していないようでした。
眼中にないから話題に出さなかったのかしら?
いえいえ、距離的に近いから、鳥取とのつながりが深いんでしょう。

今いる安来市からだと、車で15分くらいで鳥取に入ります。
この辺りは、島根-鳥取の永世中立エリアかも。ぶっそうな言い方をすると38度線。

そんなわけで、GoGo鳥取!
(Pちゃんが聞いたらなんていうかな?)(おこるかな?)
おそらく3人とも心の中でそう思ったでしょう。
でも、彼女が私たちの興味をかき立てたんですからね。
いわゆる北風と太陽効果!(かな?)

○ 鳥取入りましたー

山陰道を道なりに進めば、すぐに鳥取~。
「ワー、鳥取に入っちゃったね」とテンションが上がる私たち。
そこはネギの町、米子でした。ハロー、米子、ボンジュール!



立派な商工会議所の前を通ります。
市役所、美術館といった大きな建物が見えました。
「米子、大きな街じゃない~」
「砂でできてるわけじゃなかったね!」
鳥取だって、ちゃんと栄えています。



○ ラストスタバ

島根の出雲大社前にスタバができたことで、ブービー賞を争っていた鳥取は破れ、最後までスタバがない県になってしまいました。
それでもめげずに「すなば珈琲」を作ったネバギバ精神がイイ!
それに、ご安心あれ、今はもう鳥取にもスタバはあるのです。
話題のスタバが、前方に見えてきました。車内の私たちは、めいめいにカメラを構えて臨戦態勢。
前の窓から、さっちゃんもスタンバイ~。

通りすがりに、パシャパシャと連写しました。
出雲大社のスタバは、1枚しか撮らなかったのに、こちらはかなり撮っちゃいましたよ~。
ということは、Pちゃんには黙っておこうっと。
モダンな明るいスタバで、隣のツタヤとコラボしたブックカフェ形式のようでした。



このお店は島根・鳥取内(なぜ一緒になってるの?)で5件目にオープンし、5軒のうちで一番面積が広いそうです。
出雲大社前のスタバよりも広いんですって。
とてもPちゃんには言えませんわ~。

○ 憧れの弓ヶ浜半島

米子から境港へは、美保湾と中海にはさまれた弓ヶ浜半島を通っていきます。
ここ、前から地図を見て(通ってみたいなあ)と思っていました。
道の両側が水際なのかと思っていましたが、実際には思ったよりも半島の幅があって、すぐそばまで海が来ているわけではありませんでした。
一見ロマンチックですが、そんな道だったら、波が荒い時には両側から水をかぶっちゃいますからね。
松林の向こうにちらちら見える美保湾を眺めながら、北へと向かいます。



○ ここは妖怪の地

道路標識を見上げて(おおっ)と声を上げました。
左に曲がると、水木しげるロード。
北の方には米子鬼太郎空港。
わ~、一気におとぎの国に近づいたみたい。
じゃなくて妖怪の国かー。



こんなユカイな標識は、ほかではなかなか見られませんね。
車は米子市内を抜け、境港市へ。
じきに、ゲートブリッジに似た大きな境水道大橋が見えてきました。

○ 境水道大橋



ここを越えて行きます。
橋に差し掛かると、ぐーっと空に向かっていくような感覚。飛行機に乗っている気分になります。
わー、かなり高いところまで来ました。地表がはるか下に見えます。
空の方が近い、というかもうここ、空ですね。
高所恐怖症の人は足がすくみそう。



○ 島根、鳥取また島根

橋の反対側では、ぐっとレトロな風景が迎えてくれました。
こいのぼりが泳いでいます。島根同様、鳥取も旧暦でお祝いするんだなあと思ったら、
「橋を渡って、島根県に戻ったよ」
え?島根から鳥取に入って、ずいぶん奥まで来たと思ったら、また島根?
入り組んでますね!



東に向かって海沿いを走らせていくと、夫婦岩が見えてきました。
夫婦岩って、日本のあちこちにあるんですね。
一番有名なのはどこでしょう。見るのはここでいくつめでしょう。
ここは「男女岩」と書いて「めおといわ」と読むそうです。



○ えびす様の本拠地

辿り着いたのは、美保関にある美保神社。
鳥取じゃなくて、島根にあります。Pちゃんに報告できるわ。
ここは全国のえびすさまの本社。前々から訪れたいと思っていましたが、アクセスしづらい場所にあり、なかなか参拝できずにいました。



えびすさまは海からやってきた神様。神社も本当に海沿いに、海を向いて建てられています。
鳥居をくぐって境内に入ってから振り向くと、まっすぐ先に広がるのは海。



静かな広い境内は、こぎれいに整えられています。
雰囲気が良く、空気のきれいな場所でした。



拝殿そばには大きな陶器の瀬戸物狛犬がいました。
珍しいと思ってよく見ると「備中国」の文字が彫られていたので、備中焼きでしょう。
備中焼きの本場、岡山でも何体か見ました。



○ 青石畳通り

参拝後、神社の横にある青石畳通りを通りました。
名前の由来は、この辺りの海の石を敷いており、雨に濡れると白から青色に変化するところからだそうです。
レトロな雰囲気のある小路。人通りがなく静かで、タイムスリップしたかのよう。



通りには、有名な人の言葉がいくつか飾られていました。
中でも気になったのが、このジャンルの違う著名なお二方の言葉。
「一筆書かねば通さぬ美保関」 湯川秀樹
「まいったまいった美保関」山田太一
同じ板に仲良く描かれていました。



○ 三保関マンホール

ここのマンホールは動きがあっていいですね。
島根半島をバックに灯台と松と鯛がデザインされています。



神社の前は漁港で、何層もの漁船がぷかぷか浮いていました。
海沿いの道端でイカを干しているおばあちゃん。



○ どじょうすくい

お土産屋さんの店先には、等身大のドジョウすくいの人形がありました。
(なぜ?)と思って、はっと気づきました。
この歌の正式名は「どじょうすくいの歌」ではなく「安来節」。
安来は、昨晩の宿のあったところ。
つまり、どじょうすくいの歌は島根の歌だったんですね。
安来節をモチーフにしたお饅頭が売られていました。



○ ちいさな灯台

神社参拝後、さらに東に向かって、島根半島の先までたどり着きました。
ここも私のリクエスト。三保関灯台に行ってみたかったのです。
灯台100選の一つですが、前の日訪れた日ノ御碕灯台に比べてとても背が低くて(あれ?)という感じ。
「埋まっているんじゃない?」
3人で真剣にそう言って、土台にじっと注目しました。
どっかの巨人がトンカチでトントン叩いて、地中に沈めたんでしょうかね~。
地下室のある灯台が一つくらいあってもよさそう。灯台の意味ないか。



ね、埋まっているみたいでしょう?
そばには日時計。日ノ御碕灯台の横にもありましたが、台の上の時計がなぜかなく、どう見ればいいのかと首をひねっていたのです。
やっぱりこれが正解ですね。



○ 瞳を閉じて

緑の向こうに開ける海。美しい光景です。
この日は少し霞がかかっていましたが、快晴の日は隠岐の島まで見えるんだそう。
隠岐の島は遠くても島根の島。初日に学びましたよ。



♪霧が晴れたら 小高い丘に立とう~
 名もない島が 見えるかもしれない~♪
ユーミンの「瞳を閉じて」を、小さく口ずさみました。

○ 木の鳥居、木のベンチ

灯台の周りを散策すると、木でできた鳥居がありました。
これもなんだかちょっと埋まっているような感じ。
美保神社境外社。3人で海に向かってお祈りしました。
この鳥居の真下の海中には「地の御前」と呼ばれる島があり、美保神社の飛地境内とされているそうです。
うわあ、神秘的~。



木製のベンチがあり、ふと後ろ側を見ると、「天体の森から妖怪の海へ」という文字が書かれていました。
不思議なことば。でもどういうこと?
意味が解らず、3度見くらいしましたが、やっぱりわかりませんでした。



あとで調べたら、これは「妖怪ベンチ」といわれるもので、鳥取県日南町特産のひのきで作られ、境港市の水木しげるロードに置かれているものだそうです。
両市町の交流をアピールして「天体の森(=日南町)から妖怪の海(=境港市)へ」と記されているそうです。
それがなぜ県境を越えて島根の三保関にあるのかは謎ですが、まあいいか。

灯台を堪能してからやってきた道を戻ります。
まだ先ほどの大橋を渡って境水道を越えました。
うーん、やっぱり高い!高いところ好きの私が変なテンションになるレベルです。



○ 水木ワールドへ

空いている道をスイスイと戻ってきましたが、橋を渡って鳥取の港に再び入ると、一気に混みだしました。
次に向かうのは、先ほど標識で見かけた水木しげるロード。
名前から、ちょっとした通りなんだろうと思いましたが、そんなあっさりしたものではなく、水木しげるタウンと呼んでいいほどちゃんとした妖怪の町ができあがっていました。



まずは遠くから見て気になった倉庫へ。
普通の倉庫にダイナミックに絵が描かれています。
テーマパークと違うのは、町の中の建物が普通にそして実際に使われている点。
夢と現実がかなり濃い目にミックスされています。
 


道を歩いていたら、さりげなく「砂かけ婆の砂」がありました。
こんなの見たら、砂かけせずにはいられません!



町の中の郵便局も、普通のようで普通じゃない~。ロゴがなんかこわい~。
真夜中もひっそり営業していそうです。
ここから手紙を出すと、鬼太郎の消印を押してくれるそうですよ。



○ 鬼太郎だらけ

この町全てが鬼太郎ワールド。マンホールまで特別バージョンでした。
鬼太郎オールキャスト勢ぞろい。



さらに色つきのものまでありました。微妙にデザインも違っています。
すごい、鬼太郎ってパワーあるのね~。



お店の前に、灯台で見たのと同じベンチを見つけました。
ほかの場所にも。後ろ側には、先ほどと同じメッセージがありました。
これが、妖怪の海にたどり着いたベンチなんですね。



○ インターナショナル・キタロー

英語だけでなく、中国語、韓国語、ロシア語という多言語が併記されているなんて意外。
だって鬼太郎は日本の妖怪。海外には伝わりにくいだろうと思っていたからです。
今はもはやインターナショナルなんですね。



多言語表記に驚いていましたが、外国人観光客が多いことに驚きました。
さまざまな人種が通りを歩いています。みんな、鬼太郎のことを知っているのかしら。
まあ、知っているから訪れたんでしょうけれど。

特に圧倒的だったのが中国語のツアー。大型観光バスが何台も停まり、そこから人々がぞろぞろ降りてきました。
鼠小僧の像と一緒に撮影していた私たちのところに、中国人の団体が寄ってきたので、囲まれて写真も撮れなくなるかと思いきや、そこまで寄らずに遠巻きにするくらいでした。



ガイドさんが何か大声でしゃべっているなと思ったら、中国語に堪能なヒロポンが「これからこの像の説明をするけど、今この人たちが撮影中だからちょっと待っていて」って言ってたと教えてくれました。
それでみんな、撮影の間待ってくれていたんですね。
中国語がわかる二人と一緒だと、爆買ツアーの団体も怖くないわ~。

その3に続きます。



島根に友を訪ね・ちょっぴり鳥取3-1

2016-12-02 | 中国(山陰)
2日目からの続きです。

○ 緑の中の朝

3日目は鳥の声で目覚めました。
窓の外には緑が広がっており、すがすがしい目覚めです。



朝風呂に入ってのんびり。
団子三兄弟みたいな花瓶がありました。
3と3のバランスに、宇宙の法則を見る。
(なんちゃって、全然見てませんー)



○ 自然派朝食

朝食もおいしく、するすると入ります。
素材がいいんですね。



精進料理でも、ちゃんと甘いデザートを出してもらいました。



○ 愛のスコール

さっちゃんが、冷やしておいたスコールを取り出しました。
スコール、なんだかなつかしい。子供の頃にあって、一旦姿を消し、最近またちらほら見るようになったなあと感じています。
「実は九州のドリンクだったんだよ。知ってた?」
知らなかった!
宮崎県で作っているんだそうです。

よく見ると、「愛のスコール」という謎のフレーズが書いてあります。
子供の時には気がつきませんでしたよ。
「夜のお菓子」のうなぎパイみたい。



Surfaceの「Shower me with your love」という歌を思い出しました。
(シャワーとスコールは、どっちの方が激しいんだろう?やっぱりスコールかなあ)なんて考えます。
でもこのスコールは、デンマーク語の「乾杯」なんだそう。
豪雨じゃないんですねー。熱帯雨林ではなく北欧を思い浮かべて飲むものでしたか。

○ 境内の散歩

おなかが落ち着いてから、境内の散歩にでかけました。



とても広大です。緑の山々は見渡す限り遠くまで続き、どこまでがお寺の敷地なのか、よくわかりません。
歩いても歩いても、お寺の人としかすれ違いません。
考えてみたら、早朝なのでまだお寺はあいておらず、宿泊者は二組だけだったので、ほとんど貸し切り状態というわけです。
なんて贅沢なんでしょう。



出雲型狛犬。すっごくお尻を上げた絵になるポーズ。
実際のわんこでは見られないプロポーション。
よっぽど脚が長くて胴が短くないと、この姿勢は取れないのです。



○ 上級ドライバーレベル

風通しがいい伽藍で、朝の参拝。
ああ、すがすがしい。



車祈祷のポスターが貼ってありました。
「安来清水時はニュードライバーを応援しています。免許取得したら御祈祷へGO!」



でも・・・と考えます。
初心者ドライバーには、この山奥のお寺までのハードな行程は、レベルが高すぎるんじゃないかしら…。

○ 古刹で鐘つき

木造の古めかしい鐘楼がありました。
鐘がつけるので、のぼってみます。



上への階段が結構大変。まずは目の前の横木を乗り越えないといけないんですねー。



さっちゃんの鐘つきを見守ります。
ゴ~ン・・・・と、深いいい音が、辺りに響き渡りました。
ああ、心が洗われる~。

私もついてみました。新緑に囲まれた古刹で一つき。風情があります。



鐘つき台から降りる階段はこちらから。ちょっとこわかったです。



○ 百観音霊場ですが

このお寺は中国三十三観音の札所。
百観音霊場のお砂踏み場がありました。



なんと、百観音霊場ですって?
百観音を巡礼中の私は興味津々。
結構大変で、まだ半分も周れていないんですよね~。



四国八十八ヶ所霊場のお砂踏み場は、結構あちこちで見かけますが、百観音は初めて見ました。
珍しいですが、よく見ると、ここでいう百観音とは西国・出雲・中国の霊場を指しています。
私が周っているのは、西国・坂東・秩父の百観音なので、少し違いました。
地方によって違いがあるものなんですね。

○ 三重の塔

宿の部屋から見える三重の塔のそばまで来ました。
夕べは青いライトアップが幽玄できれいだったなあ。
山の中のさらに少し小高い場所にあり、石段を登って行きます。



安定感のある、立派な屋根。秋には紅葉の名所となるでしょう。
狛犬は、普通は寺社の前に鎮座しているものですが、この三重の塔の周りにも何体かいました。
まあここも、聖域だからでしょう。



○ へびとポスト

三重塔の石段の壁で、蛇がひなたぼっこしていました。
「あ、へび」とつぶやくと、横にいたはずのさっちゃんが、無言でシュッと遠くに瞬間移動しました。
えっ、いま何が起こったの?くノ一だったの?



お地蔵さんの前に、なぜかポストがあり、気になって立ち止まりました。
なぜ~?どこから手紙が届くの?誰が誰に送っているの?
あの世との交信ツールのようで、ドキドキします。



○ さよなら紅葉館

ひとしきり散策を済ませて部屋に戻り、チェックアウトしました。
宿の人に再びバンに乗せてもらいます。



昨日一緒のご家族はいませんでした。連泊するそうです。
ここで人里に下りずに2日間過ごしたら、さぞ落ち着くことでしょう。
うっそうとした森の中を再び急こう配の坂道を下っていく中で、一瞬木々の合間から、遠くが見えました。
遠くまで広がる緑。いい眺望でした。



途中の公道では、こんな渋い祠がありました。
苔むしたかやぶき屋根がなんとも風情があります。
小さくて古いけれど、手入れが行き届いた清潔感がありました。



「とってもいい宿だったね」と3人で大満足。また訪れたいわ。
しばらく急坂を降り、外部の駐車場へと戻ってきました。
私たちの車が停まっています。少し離れたところには、連泊するご夫婦の車も。
宿の人にお礼を言ってバンを降り、車を乗り換えました。

その2に続きます。



島根に友を訪ね・ちょっぴり鳥取2-2

2016-12-01 | 中国(山陰)
その1からの続きです。

○ 出雲そば名店

日御碕神社を参拝し終えた頃、さっちゃんが急に体調不良になってしまいました。
どうしたのでしょう。朝早くからずっとあちこち動いていたからでしょうか。
出雲の強力な神々のパワーに触れたからでしょうか。
霊感がなく、鈍感力の高い私は、その点いたって元気です。

少し休憩して、彼女の回復を待ってから、町の方へと戻ってお昼にしました。
Pちゃんのお勧めは、平和そばという出雲そばのお店です。



お店の中は人でいっぱい。お店の外にも人はいっぱい。
かなり人気なんですね。
でも順番を待つ行列はできておらず、時折名前を呼ばれた人が、店内へと入っていきます。
席があいたらお店の人が名前を読んでくれるシステム。

店の外には10数名の人が待っていたので、すぐには番は回ってこなさそう。
のんびり待つことにします。
その間、Pちゃんに『るるぶ出雲版』の最新号を見せてもらいました。
まさかPちゃん、私たちを案内するためにガイドブックを用意したの?
「違うよー。ガイドブックに初めてうちの神社が載ったのよ」
彼女がお嫁入りした神社が、確かに紹介されていました。



○ そば&カツ

少しして、名前を呼ばれたので、いそいそと席に着きます。
このお店は、出雲そばがおいしいのはもちろんですが、カツ丼もおいしいとのこと。
昨日、あまり肉類を取っておらず、この日の夕食も精進料理なので、セットを頼みました。



出雲そばとカツ丼。
まずは暖かいカツからいただきました。サクサクの噛みごたえです。

出雲割子そば。食べ方は少し独特で、まず一番上の割子にだし汁を全部入れてそばをいただきます。
その後、残っただし汁を二段目にかけてまたいただきます。
だし汁を無駄にしない食べ方なんですね。



日本三大そばと称されるモチモチしたそばは、順番を待ったかいがあるおいしさでした。

○ 永遠のライバル県

出雲大社の正面向かいには、スタバがあります。
「ここができた時は話題になって、出雲一の行列ができたんだよ」とPちゃん。
「鳥取よりも先にできたのよ!」



おや?と思います。
勝利宣言をしているみたい。Pちゃん、鳥取をライバル視しているの?
「二つ目ってできたの?」と聞くと、ぐっと言葉に詰まった彼女。
「イオンの中にできたって聞いてるけど、さだかじゃないんだ」
ええと、なんか、ごめんなさい~。

そういえば、さっきからなんとな~く、言葉の端々に「鳥取よりうちらの方が」といったニュアンスがみられます。
二つの県が、なにかにつけてブービー賞争いをしているのは知っていましたが、まさかそこまでとは。

「もうすっかりこっちの人になっちゃって・・・(涙)」と言うと
「そんなことないよ、毎年6月2日になると(今日は横浜の開港記念日だな)って思い出してるよ」と、浜っ子ソウルを失っていないことをアピールします。
いえでもあなた、その発想は既に島根っ子よ~。
ヨコハマ出身のPちゃんでもそんな感じですから、生まれたときから地元民の郷土愛と鳥取ライバル視はもっとすごいんでしょうね。

車での移動中も、彼女からはすらすらと島根鳥取の比較話が出てきます。
「県内に大学は国立が1校、公立が1校だけで、私立は1校もないのよ。
 あ、でも鳥取もないから!
「鳥取のことは聞いてないよ!」と吹き出す私たち。
島根の話の後には、ことごとく鳥取ネタもくっついてきます。

「嫁入り直後は、鳥取砂丘に行ってみたかったけれど、夫に"砂があるだけだがや"と言われて、話が終わっちゃった」
砂があるだけって~!鳥取県民の心のよりどころに、なんという言いぐさでしょう!
「で、行かなかったの?」
「うん。砂があるだけだし」
いやいや、近いんだから行ってみようよ!

高校の時、合唱部の部長だったPちゃん。
「島根の中学校の合唱のレベルは高くて、毎年全国コンクールの最終選考まで残るんだよ。
 でも鳥取は、予選敗退レベルだから!

ライバル扱いもここまでくると、いっそすがすがしいです。
日韓ワールドカップ時に公開された映画「もうひとつの決勝戦(アザー・ファイナル)」を思い出しました。
2002日韓ワールドカップ大会の決勝戦の日に開催された、FIFAランク最下位のブータン(202位)とモントセラト(203位)の親善試合のドキュメンタリーです。
ブービー賞争いをしているところが、島根・鳥取に重なります。

どうやら彼女の見立てでは島根の勝ち要素の方が多いらしく、誇らしげなPちゃんですが、選挙のポスターを前に、一気にトーンが下がりました。
「なんと、選挙区が鳥取と一緒になっちゃったのよ・・・」
それ、まさに「呉越同舟」ですね。
当事者の方々にとっては残念なことかもしれませんが、もうちょっと仲良くしてもいいんじゃない?



地元選挙区からの立候補者は、竹下登氏の弟。
ヒロポン「じゃあDAIGOの大おじさまってことになるのかな」
私「大おじさまといえば、キャンディ・キャンディ」
P&さちこ「エルロンド大おばさまね!」
合唱部同士、息がピッタリの二人。

出雲からさまざまな場所に高速バスが出ていますが、なぜか鳥取行きのバスはなかったそうです。
最近になって、ようやく便ができたそうな。
お隣なのに、どれだけ交流がないんでしょう。山陰県同士、助け合えばいいのに。 

「しまねっこってかわいいね。鳥取のキャラは?」
「とりピー」
あ、説明はないのね。とりピーにはまだ会えていません。

あまりにきっぱりと鳥取をディスる彼女に、たじたじになりました。
そのいさぎよさは、気持ちいいほどです。もう笑うしかない!

○ スサノオの須佐神社



食後に向かったのは、スサノオを祀る須佐神社。
「弦楽部の須佐っていう子、覚えてる?」と聞いてみると、
「うん。スサって呼び捨てにしてたよ」とPちゃん。
「ここの神主さんも須佐さん。スサも実は由緒正しい家系なのかもね」

出雲地方は、お尻を上げたスタイル(出雲式)の狛犬が多いのが特徴です。
この旅行で初めて出雲式の狛犬と出会いました。
「これよ、これ!」
「ああ、よく見るね」とPちゃんは言いますが、出雲式という言葉は初耳みたい。
確かにこの辺の人が命名したわけではないし、単に狛犬ファンの間だけでの呼び名なのかも。

この辺りの石像は、原産の来待石でできたものが多いのも特徴です。
柔らかめで掘りやすい来待石ですが、その分もろいという短所があり、結構摩耗が激しいのが難点。
刻んだ文字が読みづらいのですが、参道には文政時代のものがありました。 



先ほどの日御碕神社にならって、今回も随神門をくぐる時に、中をのぞいてみました。
随神と金銀狛犬が、ちゃんといましたよ。
金色の方は、ダダみたいな顔つきでした。



本殿の背後の林の中に、ひときわ目立つ大杉がそびえていました。
樹齢約1200年で、幹周り6メートルの大きさ。
「江原啓之氏が紹介したことで、人が木をさわりまくったり、樹皮をはがすようになったから、大杉の保護のために最近柵を作ったのよ」
うーん。スピリチュアルも度が過ぎれば環境破壊ですね。



大杉の少し奥には夫婦神をまつったような祠がありましたが、記名がないため、よくわかりませんでした。(三穂社かもしれません)

神社のすぐ隣には「すさのおの郷 ゆかり館」という温泉宿泊施設がありました。
ここは出雲須佐温泉卿。島根も温泉が多い場所です。



○ 万九千神社

それから、いよいよPちゃんがお輿入れした神社へと向かいました。
広大な水田の中に見える、こぢんまりとしたこぎれいな神社。
正面鳥居の右側に「万九千神社」という壮大な名前の社標が立っています。

鳥居の左側には「立虫神社」という社標が立っています。
境内には万九千神社と立虫神社が鎮座しているのです。



大きな狛犬が迎えてくれました。
口の中には取れない珠が入っています。中国風でしょうか。



こちらは立虫神社の拝殿。
出雲式の太い注連縄がかかっています。
御祭神は須佐之男命の子である五十猛命(いそたけるのみこと)、大屋津姫命(おおやつひめのみこと)、抓津姫命(つまつひめのみこと)の三柱。
この辺りの地区の氏神さま、鎮守さまだそうです。



その横にあるのが、万九千神社の拝殿。
御祭神は、櫛御気奴命(くしみけぬのみこと)、大穴牟遅命(おおなむちのみこと=大国主大神)、少彦名命(すくなひこのみこと)の三柱と八百万神。
神在月(旧暦10月)に全国から出雲に集まった八百万神が、最後に見えるのがこのお社なんだそう。
こちらに立ち寄られた神々は、神議り(かみはかり)を締め括り、神宴(直会=なおらい)を催して、それぞれの土地へ戻っていかれる(神等去出)のだそう。
毎年11月26日に、神等去出(からさで)祭という神送り神事を行うそうです。

つまりここは神々にとっての出雲のしめくくりのお宮。
とても重要な場所ではないですか。
我が友人が、そんな神話に基づいた古式ゆかしきならわしを行う立場になっていることに、改めて驚きました。



○ 友の御祈祷

なんと、ここに昇殿させていただきました。
さらに、ご祈祷をしていただけることに。
まあ、どうしましょう。感激です。

「ちょっと待っててね、着替えてくるから」
待つ間は、花嫁を待つ花婿のような気分でドキドキしていました。

そして正装をした彼女があらわれました。
うわあ、すごい。
白い神官装束姿となり、キリリとした友の姿に見とれます。
もう気軽に「Pちゃん」なんて、呼べないわ。

「さあどうぞ、上がってください」
そう促されて、私たちはおずおずと昇殿しました。
そこは、ヒノキのいい香りのする明るい神殿でした。

まずは、神官が御祭神に祝詞を捧げます。
もはや友の顔ではなく、神職の顔つきとなった彼女。
とても凛々しく、清涼さに満ちていました。

それから、一人一人にお祓いをしていただきました。
友の手で、穢れを落としてもらい、清らかになったわたしたち。
生まれ変わったような気持ちになっています。

かつて巫女をしていた時には、数えきれないくらい神主さんにお祓いをしていただきましたが、友人が神主さんになって、お祓いしてくれる日が来ようとは思ってもいませんでした。
感激です。ありがたいわ~。
元巫女の目で見ても、Pちゃんの祝詞は完璧でした!
だって今や、本物の神官さんですもんね。

平成26年の正遷宮の際には、皇室の方をはじめ、色々な有名人がこの神社を訪れたとのこと。
拝殿内にその時のパネル写真が何枚も飾られていました。

感激冷めやらぬまま、御朱印、そして絵馬などをいただきました。
Pちゃん、一日つきあってくれて、どうもありがとう。
しっかりと闇を払ってくれたので、あなたの頼りない友もダークサイドには落ちないでしょう。(たぶん)

Pちゃんとはここでお別れ。
見送ってくれる彼女に、車の中からちぎれるほどに手を振って、一路この日の宿へと向かいました。

○ 瑞穂の国



本当にこの辺りは水田が多い地域だなと思います。瑞穂の国。
島根のお米って、特に聞いたことはないけれど、たくさん収穫されるんでしょうね。

あちこちで鯉のぼりを見かけます。
この日は5月22日。はじめは(うっかりしまい忘れてるのかな?)と思いましたが、あまりにも見かけるため(もはや忘れてるレベルじゃない)と思います。
どうやらこの地方は、旧暦で端午の節句をお祝いするそうです。




通りかかった橋に、蛇が描かれていました。
もしやこれは、ヤマタノオロチ?
でも頭は一つだから、ちょっと違うようですが、なぜ蛇なんでしょうね。
もしかすると、神話に由来するのかもしれませんが、橋の名前はわからずじまいでした。



○ お寺の旅館

宍道湖を眺めながら、一路東へと向かいます。
松江を越えて、さらに車を走らせ、着いたのは、島根の東端の辺りにある安来(やすぎ)。
その山の中にある安来清水寺が目的地。お寺の境内にある旅館にこの日は泊まります。

くねくねカーブを登って登って、お寺の駐車場に着きました。
ここからは、一般車は先へ行けません。
荷物を持って歩いて行こうとしましたが、登りの石段が延々と続くことが分かったため、自力で行くのは諦めて、宿に電話をかけました。

待つことしばし。マイクロバスが登場します。
少し後にやってきた、もう一組のファミリーと一緒に乗り込みました。
一般車進入禁止の表示をすり抜けて進みます。
すさまじい傾斜が待っていました。ジェットコースター並みで、どこかにつかまっていないと身体を支えられません。
一般車の通行を禁止するのは当然といった、ハードな道でした。

そうしてようやく、紅葉館に到着しました。
この日の宿泊客は、この二組のみだそう。
9ヶ月の赤ちゃんのいるご夫婦で、バスの中で「うるさくしたらごめんなさい」と言っていただきました。
いえいえ、私たちこそ。



駐車場からの道を考えても、お寺が広大な敷地を持っていることがわかります。
部屋からは、美しい緑の景色の中、まっすぐ三重の塔が見えました。
生き生きとした植物の緑を見ているだけでも、癒されます。
人里離れた、静かな環境です。



ほっこりお茶タイム。左側は、安来名物の清水羊羹です。



○ 精進会席料理

夕食は、楽しみにしていた精進会席料理のコースです。











一品一品、作った方が届けてくれて、素材と料理の説明をしてくれました。
どれもとてもおいしかったです。

○ ジンジャーエールのわけ

気持ちのいいお風呂で身体が温まったら、お風呂上りには、シュワッといきたいですね。
冷やしておいた万九千神社のジンジャーエールを取り出します。



御神酒代わりの「御神酒代(おみきしろ)」は、アルコールゼロの生姜サイダー。
なぜ生姜なのか、おわかりですか?
神社(ジンジャー)エールだからですよ!!



○ 島根・鳥取の有名人

くつろぎながら、3人で「島根の有名人」を考えました。
誰がいるかなあ?
思い出せずなかったので、ネットで調べました。
「竹内まりや、宮根誠司アナ。」
そうなんですね。2人ともなんだか意外。

Pちゃんの話題も出ました。
「丁寧にガイドしてもらえたね」「立派な神主さんだったね」とひとしきり讃えたあとに「それにしても鳥取にライバル心持ち過ぎじゃない?(笑)」と。
Pちゃんが特別なわけではなく、島根の人はみんなああなのかな?

disられると逆に気になるもので、「鳥取の有名人」も調べてみました。
「ジュリー(沢田研二)、アムロ・レイ」と読み上げるヒロポン。
えっ、ガンダムのアムロ?いきなりの登場にびっくり。
日本人だったんだ~。
あの近未来にもまだ鳥取が存在しているのなら、Pちゃんのライバル心はまだまだ消えなさそうです。
燃え上がれ~ガンダム~♪(初期)

○ ライトアップ三重の塔



夜には三重の塔が青くライトアップされました。
前日の宿は海沿いで、この日は山の中。バランスが取れているわ。
別室の赤ちゃんはお利口で、まったく泣き声は聞こえません。
静かな時間の中で、眠りにつきました。
3日目に続きます。