その1からの続きです。
○ 榛名神社へ
今年とれたての香り高い新蕎麦を食してから、いよいよ榛名神社の境内に入りました。
境内入り口に書かれた由緒をみんなで読みます。
1400年の歴史ある榛名神社には、どんな神様がいるのかよくわかっていませんでしたが、主祭神は火の神「火産霊神(ほむすびのかみ)」と土の神「埴山姫神(はにやまひめのかみ)」だそうです。
入り口から続く550mの長い参道を、沢の流れに沿うようにして進み、拝殿に向かいます。
中国風の随神門をくぐりました。
もともとはお寺の仁王門でしたが、神仏分離により神社の随神門になりました。
門の中には仁王像がいましたが、随神像に置きかえられたそうです。
参道の途中には、七福神の像が一体ずつ距離を置いて立っています。御利益ありそう。
林の自然道のような道を、水のせせらぎを聞きながら歩いて行くのは、ちょっとしたハイキング気分。それだけで心が洗われるようです。
明治2(1869)年創建の三重塔の前を通り過ぎました。
神仏習合の名残りです。
三重塔は普通はお寺にあるものですが、神社にあってもしっくりくるため、いつも(どっちだったかな)とごっちゃになっちゃいます。
○ トマトの碑
途中にトマトの碑を発見。村長の娘と興味しんしんで覗き込みました。
「え、ほんとにトマト?」「そう書いてる…」
つやつやのトマトをなでなで。このあたりでトマト栽培を広めた方による、トマト種子特産の碑だそうです。
ほかには、ハケ・ブラシ塚もありました。
奉納者は東京ブラシ講。そんな団体があるんですね~。
私も、髪をすいたつげの櫛の歯が折れた時には、神主さんにお焚き上げしてもらっています。
○ ノルウェーとか台湾とか
どんどん境内の中に進んでいくと、次第に岩のような巨石があちこちにゴロゴロと見えてきて、圧倒的な存在感を醸し出しています。
参道を進む途中で、特に気になって足を停めたのが、ここ。
特に説明表示はなく、気に留めずに通り過ぎる人が多い中で、岩の間からなにか木霊のような、エネルギーのようなものがまっすぐ伝わってくる気がしました。
ここは行者渓という場所だと、後で知りました。
ノルウェーにある、山上の岩山に挟まったシェラーグボルテンの巨石を連想しました。
落下防止の補強された廊下からは岩肌が飛び出しており、台湾のタロコ峡谷にもこういう場所があったなあと思い出しました。
○ 細い滝の美しさ
更に進むと、細い滝が見えてきました。
瓶子(みすず)の滝。
瓶子とは、神酒を入れる器のことだそうです。
高い位置から少し曲線を描きながら下に落ちていく、自然の流れの美しさ。
しばしみんなで、滝に見入りました。
武田信玄が箕輪城攻略のときに戦勝を祈願して矢を射立てたといわれる矢立杉を過ぎて、急な石段を登って行きます。
石段の上から、私たちに狙いを定めたバズーカが!
もはやここまでか!3年間は影武者を立てるのじゃ!
信玄気分になりかけましたが、軍師がすごいカメラで、私たちをフォーカスしてくれていました。
境内は標高の高い場所にあるため、麓よりも秋の訪れが早く、紅葉が美しいコントラストを見せてくれます。
前日の雨で落ちた葉が、美しく石段を彩っていました。
巨岩を背負って立つような双龍門を通って、上へ上へと進んでいきます。
神殿まで、もうあとちょっとです。
○ 本殿と自然の神秘
いよいよ本殿に到着しました。朱色と黒の落ち着いた色合いの権現造りのお社。
木造彫刻の細やかさとダイナミックさに見入ります。
幣が逆さに飾られていました。奥には「鎮護国家」と書かれた額が飾られています。
あっ、なにかが神楽殿の屋根を支えている。天邪鬼でしょうか。
邪鬼は仏教のものですから、ここは神仏習合のままのようです。
柱や壁には、様々な木の彫刻が施されており、風水の四神獣もいました。
本殿は御姿岩と接しています。50m近い高さのあるこの岩は、圧倒的な存在感。
みんな言葉もなく、ただ呆然と見上げます。自然の力に畏怖感嘆するばかり。
岩の途中に御幣が飾られていますが、あんな高いところまで誰が立てに行ったのか、考えるだけでクラクラしそう。
御姿岩の中にご神体が祀られているとのことですが、神職者さえも見ることのできない、聖域中の聖域だそうです。
自然のエネルギーを身体いっぱいに受けて、すっかり清らかな気持ちになった帰り道。
奥の方には、砂防ダムがありました。
こちらは人工の滝。先ほどの滝とは違う迫力で、水がざあざあと音を立てて、まっすぐ下に落ちていました。
○ 名物は梅
途中の茶屋では、梅干をたくさん売っていました。
ここの名物の梅まんじゅうは、私たちが訪れた時にはもう売り切れていました。
まだお昼過ぎなのに、なくなるのが早いわー。
みそおでんや力こんにゃくを食べるメンバーもいました。
いろいろな種類のたれがあっておいしそうでしたが、先ほどの蕎麦でおなかいっぱいなので、見るだけに。
境内全体が幽玄の気に満ちあふれた、とてもいい神社でした。
ずっと行ってみたいと気になっていた神社。そういうところは、おそらくその場所に呼ばれているんですね。
訪れることができて、よかったです。心がしっくりと、満足しました。
○ 貫前神社へ
それから、貫前(ぬきさき)神社へと向かいます。
「以前参拝したことがある」と言うと、「えっ、車で来たの?」と聞かれました。
「電車で、高崎からローカル線に乗り換えて。その時の目的地は下仁田でした」と話します。
以前、上信電鉄の終点にある下仁田のネギ祭りに行った帰りに参拝した神社。
お祭り会場で買った地元の下仁田ネギを抱えて、参拝しました。
→旅行記
「下仁田にネギを食べに行こう(2013.11.23)」
今回も、水沢で買ったネギをトランクに積んでいます。
貫前神社の神様、いつもネギ持参でお参りに来て、なんか済みません!
でも地元特産ですからね!
入り口の門に立って、石段の下にある一之宮を見下ろします。ここは下り参道が珍しい神社。
参拝するには、長い石段を下りて拝殿に向かいます。
ご祭神は、経津主神(ふつぬしのかみ)と姫大神 (ひめおおかみ)。
経津主神は、千葉の香取神宮のご祭神。
武甕槌神と一緒に、出雲へ天降って大国主命と国譲りの交渉をしていたと思っていましたが、「この神様が登場するのは『日本書紀』だけで、『古事記』には登場しません」と古事記博士が教えてくれました。
経津主神は物部氏の祖神、建御雷神は中臣氏の祭神とされているため、何か政治的な事柄に影響されたのかもしれません。
姫大神は、養蚕機織の神様だそう。近くにある富岡製糸場の女工さんたちが、参拝に通ったことでしょう。
そういえば、姫神っていうミュージシャンがいましたね。ちょっと紛らわしいですね。
前は楼門前から参拝したのみでしたが、今回は門が開いており、本殿のそばまで行くことができました。
ぐるりと周りを一周すると、後ろ側には古い杉の木が何本も立っていました。
○ かけあしツアー客
じっくり参拝して、帰りの石段を上っていると、入り口からがやがやとバスツアーのワッペンを付けた人たちがやってきました。
私たちが、階段途中にある境内社をお守りし、大きなイチョウやスダジイの木々をを見上げてから神社を出ようとした時に、先程のツアーの団体が戻ってきて、はち合わせしました。
えっ、この一瞬で、もう参拝を済ませてきたの?
あまりにあっという間で、驚きました。パンパンと手を叩いてお賽銭を投げたくらいの時間しかなかったはず。
ツアーではじっくりと時間をかけて拝観できないため、ちょっと味気ないですね。
大鳥居からは、富岡の町を一望できます。
ここからも、山々がぐるりと連なっている景色を眺められました。
○ 道の駅 甘楽
そろそろ夕方です。
「妙義神社にも行きたかったけれど、ちょっと時間が足りないので、次はどうしようか」と古事記博士。
「道の駅 甘楽(かんら)に行きたいな。お土産を売っているし、新鮮な農特産物もあるから」と健康博士。
私の方を振り返って、「ネギもありますよ」とニッコリ。
いえ、ネギの話はいいんですよ。あったらほしいけど(笑)。
なぜか道の駅だと思って入ったのが温泉施設だったという不思議なトラップに遭ったりしながら、道の駅に到着。
いろいろな特産野菜を直売していましたが、ネギはもうありませんでした。売れちゃったのね。
手招きする健康博士のもとに寄っていくと、「このしいたけ、"原木"と"菌床"と書かれているでしょう」と、二つの袋を見せてくれます。
「原木栽培とは、木から栽培したという意味です。菌床はすぐにできるけれど、原木はできるまで1年かかるんですよ」と教えてくれました。
さすが健康全般に詳しいだけあって、食にも詳しい健康博士。
そんなに長く時間と手間をかけてできたものなら、おいしいに違いありません。買いまーす!
キクラゲもありました。生のものは普段なかなか手に入らず、乾燥のものばかり食べているので、喜んでゲットします。
帰宅した後で広げてみたら、まな板いっぱいに広がるほどに大きくてびっくりしました。
今日参加できなかった友人に、ちょっとしたお土産がないかと探していると、「お友達にメダカはどうですか?」と古事記博士。
本当に、なぜかメダカがたくさん売られていました。真面目に面白いことを言う人です。
前回この辺りを訪れた時は、ネギまっしぐらでしたが、この辺りはこんにゃくも名産なんですよね。
今回は、群馬のこんにゃくも買いました。
こんにゃくアイスキャンデーも売られていましたが、食感が予想つかなかったし、日が落ちて少し寒くなってきたので、やめておきました。
古事記博士は、幅広のひもかわうどんを箱買いしていました。
ひもかわうどんってきしめんみたいなんですね。
おいしいそうだなあと、広麺好きの私は気になりました。
あとで地図を調べてみたら、立ち寄った道の駅は下仁田のとなり町にありました。
わー、ネギの聖地まであとちょっとだったのねー、惜しい!
でも聖地巡礼はもう済ませているから、大丈夫(笑)。
○ サプライズプレゼント
古事記博士と村長から「お近づきのしるしに」とプレゼントをいただきました。
まあ、仏様カード!
これを作成した尼僧の方と少し前に知り合って、なんとなく気になっていたものでした。
それが私のもとに?びっくりして、すぐに言葉が出ません。
これってセレンディピティね。不思議な巡りあわせに感激しました。
さらに古事記博士からは、墨で名前を描いたカードもいただきました。
温かみがあって、とてもすてき。博士はアーティストでもあるんですね。
どうもありがとうございます。さっそく部屋に飾ろうと思います。
すてきなプレゼントをいただいたのに、無粋な私は何も持ってきていません。
「今の私に差し上げられるものは、ネギしかありません。それでもよろしければ!!」と言いましたが、「あ、結構です」とさらっと笑われました。
あれ~?(笑)
○ 町田と田町
夕方になったので、帰途につきます。
まずは町田駅前に到着して、村長親子と健康博士とお別れ。
「次は田町に行きます。町田から田町ね」と、妙に含みを持った言い方をする古事記博士。
(都心に行くのね)とぼんやり思っただけでしたが、ナオミちゃんが
「名前が逆さになるんですね」と言ったので、ハッとしました。
わあ、町田と田町って、逆!今まで気が付かなかったー!
次第にキラキラネオンの都心に入ってきました。
軍師が「左に見える、あれが東京タワー」と親切に東京ガイドをしてくれます。
みんなで「ハイハイ」「うわー初めて見たー(棒)」「今日初めて見たー」と一斉に流します。
田町駅前で、軍師とナオミちゃんとお別れしました。
それから古事記博士と、再び都心を抜けて横浜方面へ。
「今日、お友達が参加できなくなったので、一緒に欠席するかと思った」と博士。
中高生の、友達しか見えない時だったら、きっとそうしたことでしょう。
でも今は、土壇場で2名も人数が変わると、催行プランに響くだろうと考えます。
連れて行っていただく身として、極力迷惑をかけたくありません。
友人はのっぴきならない事情で来れなくなりましたが、私は予定を開けていましたし。
友人の欠席を知って(どうしよう)と思いましたが、楽しみにしていたことだし、一人参加でもきっと何とかなるだろうと思いました。
結果オーライです。友達の輪が広がりました!
博士と好きな神様の話などをしながら、家の近くまで送ってもらいました。
ネギを抱えて電車に乗らずに済んで、よかったわ。
ミクか小十郎の格好をしないといけないところでした!
楽しいスピリチュアルな一日は、こうして終わりました。
○ epilogue
会ったばかりの人たちに、すっかり「ネギマニア」のイメージを持たれた、今回の旅。
おかしいわ~。たまたまちょっと好きなだけなのに。
車の中でナオミちゃんに「私、日本に生まれてよかったわ~。外国は玉ねぎばかりで、長ネギがないから」としみじみつぶやいたら、前のシートの軍師と健康博士にも聞こえたらしく、後ろを向いて笑われました。
これからの季節、鍋に欠かせないし、風邪を引いた時に頼りになる食材。
ネギなくしては、冬は越せません。もう、マニアでもいいです(笑)。
初めて参加だったので、借りてきたネコのように一日中おとなしくしているつもりだったんですけれどねー。
まあ、これもまた、榛名の神様の思し召しということにしておきましょう。
メンバーに暖かく混ぜてもらい、一日中楽しく巡れたパワースポットの旅でした。