○ prologue
昨年末の日光、先週の益子に続き、このたび宇都宮に出かけてきました。
秋の日光には2年連続で訪れているし、栃木ウェーブが来ているんでしょうか?
少し前までは、栃木と群馬がいまいち区別できていない、失敬な私でしたが、何度も訪れているうちに、さすがにわかるようになりました。
今回は用事があったため、一人で向かいます。
せっかくの旅行日だというのに、ドンピシャで大雪予報が出てしまい、出発までブルー。
この前の日光も益子も雪景色だったので、今回も雪なんでしょうか。
お約束だったら仕方がありませんね。
○ スノーブーツで出発
スノーブーツを取り出し、モコモコの防寒スタイルで出発しました。
少し雨は降っていたものの、大きな電車の乱れはありませんでした。
それなりに遠いイメージの宇都宮ですが、新幹線だと東京から1時間もかからずに着く距離です。
いつも通り過ぎてばかりで、降りるのは初めてでした。
JR路線図を眺めていたら、小山のそばに「小金井」という駅を見つけました。
東京のほかにもあるんですね~。
東京の方は「武蔵小金井」や「東小金井」というので、埼玉の小金井駅の方が最初にできたのかしら?
「雀宮」という駅名もありました。
まあ、かわいい名前。
「鷲宮駅」や「鷺ノ宮駅」よりは小さい駅のイメージです。
○ ギョーザのビーナス
あっという間に宇都宮駅に着きました。
外は大雪かと思いきや、限りなく雨に近いみぞれがちらほらと降っている程度でした。
駅を出ると、出迎えてくれたのは餃子の像。
初めてのご対面です。探さずしてあなたに出会えるなんて、幸先よさそう。
餃子のビーナスは、思ったよりもかわいらしかったです。
高さは私とあまり変わりませんが、重さは1.7t。さすがに負けた~。
こんなにぽっちゃりさんだと、ビーナスというより地母神のようです。
○ 宇都宮二荒山神社
まずは町の中心、宇都宮二荒山神社を目指しました。
日光だけでなく宇都宮にも二荒山神社はあると知ったのは、最近のことです。
こちらは「ふたらさん」ではなく「ふたあらやま」と読むそうです。
なぜに読み方が違うんでしょう?
人に聞くとき、うっかり「ふたらさん」と言わないようにと緊張したら、慣れない言葉に舌がもつれそうになり「フタ~アラ、ヤマ?」と外国人っぽい聞き方になってしまいました。
この神社は、下野国の一之宮。
それが宇都宮の町の語源になったといわれているそうです。
「いちのみや」→「うつのみや」。
ちょっくら訛ってねえがい?
この辺りを収めた宇都宮氏の名前からだと思っていましたが、地名の方が先だったのかもしれませんね。
JRと東武の宇都宮駅は、思ったよりも距離があり、歩いているうちになんだか暑くなってきました。
寒さ対策で着ぶくれしているせいです。寒いと思ったのにそれほどでもなく、単なる雨降り日って感じ。
スノーブーツまで取り出してはいてきたのにー。
しかも道は少し上り坂になっています。ふうふう。
20分ほど大通りをまっすぐ歩いた頃、突然巨大な鳥居が出現しました。
神社に到着です。
石段を上がったところに、拝殿があり、大きな狛犬がいました。
日光の二荒山神社に比べると、ずいぶん小ぶりな印象。
でも、町なかにあって、日光よりはアクセス至便です。
私の前に3人の地元のヤンキーがいて、ワイワイいいながら石段を登って行ったので、(騒がしくなるかな)と思いましたが、神殿の前では静かになり、神妙にお参りした後、めいめいがおみくじをひいて、真剣に読んでいました。
伸びしろがありそうなヤンチャ君たちでした。
こちらは境内の末社です。狛犬チェーック。
○ バス停の人々
石段を下りて、先程歩いてきた大通りを渡り、バスを待ちます。
ここのバス停は大きく、行先別にいくつも乗り場があるものの、慣れない私は、次に目指す大谷寺行きの路線が探し出せません。
そばにいた人に聞いたら、周りの人全員がバッと振り向いて「ここでいいよ」と教えてくれました。
「大谷は石で有名で、そのお寺もまあ地元では有名だね」
「作新学園の前を通って、この道をずっとまっすぐ行くんだよ」
「(周りに聞いて)この人が同じバスに乗るそうだから、一緒に乗ってって」
みんな親切です。
この日は平日、周りはおじいさんとおばあさんだらけでした。
気がつけば何人もの人に囲まれており、バスが来たら「きたきた」とみんなが一斉に教えてくれます。
四方八方にお辞儀をしてお礼を言い、乗り込みました。
バスに揺られて30分。ここまで来ると乗客も数名のみです。
一緒に乗ったおばあさんも、途中で降りて行きました。
バスは1時間に1本なので、降りてから帰りの時間を確認して、お寺に向かいます。
○ 石のお寺
大谷寺は、自然が迫り来る、すごい迫力でした。
岩の下に作られた、今にも押しつぶされそうな伽藍は、見ているだけではらはらしますが、勇気を出してこの中に入っていきます。
平日だし、天気が悪いので、お堂の中には私一人きり。
お堂の中は洞窟になっており、ここで岩肌にくっきりと彫られたご本尊の千手観音とご対面します。5メートルの大きな磨崖仏は、一見の価値あるすばらしいものでした。(撮影不可のため、画像はありません)
昔々、今のような足場も作れなかった時代に、どうやってこんな大きな仏像を壁に彫り上げたんでしょう。
頭に血が上ってクラクラしたでしょうね~。(凡人の感想)
貸し切りなのをいいことに、じっくりと拝観しました。
少し離れたところにある宝物殿には、1万1千年前の人骨がありました。
保存の良さにびっくり。
20代の男性だそうで、復元された絵もありました。
この人は、今頃どこかで生まれ変わっているんでしょうか。
○ 凍った弁天池
宝物殿の人にお礼を言って出ようとしたら、「弁天さんもお参りしてってくださいな」と言ってもらいました。
弁財天を祀っているのは、池の中の小島にある祠。池は見事に凍っていました。
わー、スケートができそう。
そばには「雪も投げないで」との手書き注意がありました。
雪「も」?どゆこと?・・・うーん、いくら考えてもわかりませんでした。
○ ビッグな平和観音
場所を教えてもらって、お寺の敷地外にある石切り場広場へ行き、平和観音をあおぎました。
高さ約27m。うわー、大きすぎ~~。
こわいくらいに巨大です。白っぽい石なので、大船の白衣観音を思い出します。
顔だけ見えている大船観音が地表に「どっこいせ」と全身を出したら、こんな感じになるのかしら。
新しい作品ですが、これは大谷寺のご本尊のお前立ちなんだそうです。
こんな巨大なお前立ちだなんて!
どこを見ても、迫力に満ちた不思議なお寺でした。
○ 大谷石の産地
この辺りは、良質の大谷石が採れる石の産地。
近くには、石の博物館もありますが、館内気温が10度と聞いて、寒いこの日はあきらめます。
大谷寺の磨崖仏も平和観音も、先程見た餃子の像も、どれもここの大谷石でつくられたものです。
石を採取しすぎて、付近が陥没・崩落した事件が、一昨年にも去年末にも起こっているそうです。
大谷寺のそばに、石の鳥居が見えたので、寄ってみました。
狛犬がいましたが、相当古いようで、顔は欠落しています。
石の祠の中には大山阿夫利神社の木札が奉納されていました。
すべて石でできた神社なんて、珍しいですね。
バス停の通りの向こうには、イタリア国旗を掲げた家が。
イタリアンレストランでしょうか。
その背後には、廃墟がそびえ立っている、荒涼とした光景でした。
こんな天気の悪い日に見たら、さらに底冷え感が増すわ~。
宇都宮からバスで一本のところに、こんなに不思議感覚を体験できる場所があるなんて。
1時間に1本のバスを逃さないように気をつけて、中心部へと戻りました。
天気が良ければ、途中下車をして町の散策をしたかったのですが、みぞれが降る視界が悪い日は、滑りやすく明らかに観光に向いていないため、おとなしくバスから眺めるだけにしました。
その2に続きます。