その1からの続きです。
○ 益子焼さがし
山を下りて、益子の中心街へと向かいます。
メインストリートは、もちろん益子焼のお店が並んでいるところ。
ここでぶらぶらとお店を渡り歩いて、器をチェックしました。
これまで、ほかに観光客らしい人は一切見かけませんでしたが、この通りには大勢人がいて、ちょっとほっとしました。
個性的なお店がいろいろあって、ぶらぶら散策するのも楽しいです。
最近では、若手の陶芸家が趣向を凝らした作品を出しているそうで、おしゃれなギャラリーもありました。
蔦の絡まる建物「こうじんや」の前には、ポストがたくさんありました。
これ、郵便屋さんが取りに来るのかな?とぐるりと回って見てみます。
このうちのどれかが本物なら、入れる人も出す人も毎回悩んでしまいそう。
この辺りから奈良時代の窯跡が発見され、古くから土質が製陶に適しているといわれる益子。
私は常滑・信楽・久谷・砥部がどこなのかもよくわからないレベルですが、親は陶芸好きで、いろいろな窯のものを集めています。
そういえばこの前、実家で持ち手が取れてしまった器があったと思い出しました。
お湯を急須にそそぐ時、熱湯をそのまま入れると茶葉がすぐ伸びてしまうため、沸いたお湯をいったんそこに受けてから、急須に注ぐ中継ぎの役目のもので、楕円形の器に取っ手がついて、注ぎ口があるものです。
なんという名前なのかわかりませんが、あれと似たようなものがないかなと探してみました。
(あとで調べてみたら、単純に「湯冷まし」というようです)
でも、なかなか見つかりません。
ずっしりと重い陶器のお重箱があり、それだけでもおどろきましたが、お重の中身の具材も焼き物で作られているという精巧さでした。
○ お気に入りはそれぞれ
とにかくさまざまな器があります。あれこれ見て、目が疲れてしまい、お茶で一服しました。
器屋さんの店内に「お好きなものでどうぞ」と、さまざまな形の益子焼の湯のみ茶碗が置いてあり、4人それぞれが選んだものは、全くかぶりませんでした。
益子焼は、素朴な日常使いのものというイメージがありますが、益子の土を使った焼き物なら、どれも益子焼と言われるようです。
ピンからキリまであるらしく、個展が開かれるような有名作家の作品ともなると、結構高い値段が付いています。
はにわの店もありました。
店内には、何に使うのかわからないような大きな壺も売られており、「そういえば、新興宗教で売られる壺って、買ったらどうするんだろうね?」と話しました。
単に飾っておくだけなのかしら?
誰も買ったことがないので、詳しく知りませんでした。
「素敵な器だと、よそる料理もおいしそうに見えるものね」とあこりん。
いくつかお皿を買い求めていました。
○ 麺好きのそばチョコ
「決めた、私、そばチョコにしまーす」とちかちゃん。
そばちょこという言葉を知らず、一瞬(そばとチョコ?お菓子?)と思いました。
彼女は、麺が大好きなんだそう。
「一人分の料理だと、ついつい麺にしちゃうよね」という話から、麺LOVEの話に盛り上がりました。
麺類の中では山形そばが一押しだそうで、「リカさんは何の麺が一番好き?」と聞かれました。
うーん、選べない~と思いながらも、とっさに「きしめん」と口を突いて出ました。
この冬はまだ食べていないから、潜在意識がそう言わせたんでしょうね。きしめん食べたーい。
探していた湯冷ましの器はいくつかあったものの、これというものに出会えなかったので、私は結局何も買いませんでした。
それはそれでいいんです。たくさんの器を吟味できたから、目利きになった気分だわ。
でもこんなにたくさんの瀬戸物を根を詰めて見つめたのは初めてで、最後には頭がモウロウとしちゃいました。
慣れてきたら、多くの中からでも気に入ったものを選び出せるでしょう。
○ いちごも名産
「ともちゃんも何か買ったのね。」
「あ、これ、器じゃなくてイチゴ。おいしそうだったから」
栃木のイチゴを一パック買っていました。名産ですからね。
ギャラリーに、先ほど会ってきたばかりの笑い閻魔さまのポスターを発見!
写真で見ても、やっぱりファンキーです。
これは気になりますね~!
○ 夕方にはカフェ店じまい
5時になったので、そろそろお買い物も切り上げます。
「お茶して帰ろうか」ということになりました。
この日はいい天気だったので、夕焼けもきれい。
オレンジ色の光の中をカフェに向かいましたが、到着したカフェは、はやばやと椅子をテーブルの上にあげて閉店準備をしていたので、あきらめました。
閉めるの早ーい、と思いますが、お日様と一緒の業務なんて健康的ですね。
次のカフェには、念のために「これから向かいます」と電話を入れて向かいました。
地方の中心街から離れたところにあるお店には、予約を入れた方が安心ですね。
○ 納屋カフェ
うす暗くなってきました。
町のイルミネーションはなく、道路の街灯も少ないため、暗さが際立ちます。
またもや迷いながら、たどり着いたのは「納屋珈琲 ひなた」というカフェ。
広い敷地内に明かりがともった建物があり、ガラガラと硝子戸をあけて入りました。
天井の高い、仕切りのない部屋。
かつては、タバコの葉を乾燥させる納屋だったそうです。
おかみさんが一人で切り盛りしていました。
「2階の方が温かいから、上に上がったら?」
勧めてもらって上がります。簡易式の細いらせん階段は、体重をかけるとミシミシといって、ちょっとスリリング。
気を付けながら登ると、今度は天井の梁がすぐ近くになりました。
○ 納屋の2階でお茶
納屋の2階に上るなんて、想像していなかったので、秘密基地のようでワクワクします。
たしかに下よりは少しは暖かかったですが、日が落ちると急に寒くなり、底冷えがして、コートを脱げませんでした。
一階にはストーブがついていますが、それでも寒さは消えません。
もともと、住居用に作られたわけではないため、納屋の壁には防寒の断熱材は入っていないように思います。
ハリから階下を見下ろすなんて、忍者になった気分。
ここはフレンチトーストのメニューがそろっており、ちかちゃんと私はミートミールフレンチトーストを頼みました。
少しして、ほかほかの湯気が立ったプレートが運ばれてきたときには、「わあ」と声を挙げました。
メニューは「フレンチトースト・チキンスモーク・ハムステーキ・チェリソ・エッグ・アボガドそして野菜」。ボリュームがあります。
あこりんはマロン、ともちゃんはバナナ。
サニーレタスもふんだんに盛られていて、ヘルシーでした。
○ またたく星々
外に出ると、落ちてきそうなほどくっきりと見える星々。みんなで歓声を上げます。
おかみさんも一緒に外に出て、「次の満月は4日だから、ちゃんとお祈りしてね」と言って、手を振ってくれました。
星が見えるということは、外はほぼ真っ暗なので、車を置いた場所まで、足元に気を付けながら、広い庭の敷石を踏んで行きます。
それから一路、帰途につきます。
納屋カフェは、新鮮体験ができてよかったのですが、身体が冷えてしまったので、みんなコートを着たままで車に乗りこみました。
○ 星とネオンは反比例
水戸の方まで来ると、だんだん光が多くなってきます。
IC近くでは、先程見たイオンモールが煌々とイルミネーションを放っていました。
帰りに寄った守谷PAで、大きなキティちゃんを発見。
自動販売機でした。
でも、売られているのはキティちゃんドリンクではなく、普通の缶だそうです。
東京に入ると、すっかり光の渦です。
星が少なくなりました。
スカイツリーが見えて、お次は東京タワー。
イルミネーションがきれいでした。
この日、後部座席に座っていたゆかちゃんが「こっちのドア、外からだと開くんですけど、内側からだと開かなくって」と、いつも反対側から出ていました。
「故障かな?出る時に、すばやくそっちに周ってドアを開ける?」と言うと、
「そんなお嬢様なことをしてもらわなくても~」と笑っていました。
車を返す時に、その話をすると、レンタカー屋さんは
「あ、それはチャイルドロックがかかっちゃったんですね」と言いました。
チャイルドロック~!
そういえばそういうものがありましたね!
メンバーのだれも、気が付きませんでした。
ちかちゃんに伝えると「もうハタチ過ぎたのにロックされたんですね・・・」と受けていました。
○ epilogue
益子焼で気に入った湯冷ましを探せなかった話をしたら、母からこんな返事がきました。
「湯冷ましを使うお宅は意外に少ないと思いますが、私は父親がお茶にはこだわりを持っている人でしたので、必要なのです。
あれは、お茶の物を作っている萩焼、志野焼きの産地にならあると思います。
今使っているものは、一昨年萩に行った時に、萩焼の工房で買ってきました。
その前の壊れたものも、それより前に姉妹で萩旅行をした時に買ってきたもので、使いやすくてかなり重宝しました。
壊れて残念です。。・゜゜・o(iДi)o・゜゜・。ウワーン」
母のこだわりだったとは。そういえば祖父はお茶の先生でした。
これが、今実家で使っているものです。壊れても困らないようにと、母が買っておいた替えのもの。
前のものは、薄肌地と薄緋色のあたたかみのある器でした。
あれは萩焼だったんですね。
今回は、おしゃれなカフェに寄り、きれいな器をながめた、女性らしい旅でした。
旅先でやりたいことをあれこれ詰め込みすぎると、プラン消化に疲れてしまいますが、あまり予定を入れない、のんびりした、遠出の休日もいいですね。
みんな、旅好きの人たちなので、話も楽しく話題は尽きませんでした。
この日は、あこりんから頼んでおいたローズクオーツの勾玉チャームを分けてもらいました。
始まりを連れてくるような素敵なデザイン。大切にしようと思います。