風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

福岡日帰り神社巡り index

2015-03-10 | 九州



◆ 福岡旅行記-1 ←日記へ
  福岡に日帰り旅行をすることにしました。
  空港に着き、一路太宰府を目指します。
  頃は3月初旬。天満宮の梅はまだ咲いているでしょうか。
   ○ prologue ○ 早朝出発 ○ キラキラ空港名
   ○ 福岡空港バス乗り継ぎ ○ 大寒波日 ○ 太宰府と多賀城
   ○ 太宰府天満宮の梅 ○ 京都と太宰府 ○ 園児たちの昇殿祈祷
   ○ 梅が枝餅 ○ 旅人トレイン



◆ 下総旅行記-2
  太宰府を離れて、博多の中心街へと移動しました。
  九州一の都会とあって、町の活気と熱気を感じます。
  櫛田神社の祇園山車の迫力に驚きました。
   ○ 薬草の薬院 ○ 筑前一の宮 住吉神社 ○ キャナルシティ
   ○ 櫛田神社の水 ○ 川端通商店街 ○ 博多弁のアンパンマン
   ○ 筑前一之宮 筥崎宮 ○ 戦勝祈願



◆ 福岡旅行記-3
  アクセス至便で雰囲気のいい九州大学。
  電車とバスを乗り継いで、宗像大社まで足を延ばしました。
  空港展望デッキから夕焼けを眺めて、福岡での一日を振り返りました。
   ○ もつ鍋スナック ○ 鹿児島に行かない鹿児島本線 ○ 便利なIC対応
   ○ 宗像大社 ○ 宗像三女神 ○ 海の道むなかた館 ○ 勾玉と鬼瓦
   ○ 壱岐からのビジネスマン ○ 空港の夕暮れ ○ epilogue




福岡日帰り神社巡り-3

2015-03-10 | 九州
その2からの続きです。

○ もつ鍋スナック

筥崎宮から横に伸びるまっすぐの道を向かって行ったのは、九州大学。
途中、「もつ鍋 スナック ガス燈 清酒いそのさわ」という看板を揚げた店がありました。



もつ鍋スナック~?
ハイカラな名前のスナックでもつ鍋を出すのー?換気は平気なのー?
『ガス燈』といったら、イングリッド・バーグマン主演の往年のハリウッド名画を思い出します。
ママのいるお店で、モノトーンのバーグマンが、目を伏せてもつ鍋をつついているなんてシュール(妄想たっぷり)。
ザ・ダイバーシティ・福岡。



筥崎宮と大学は駅一つ分離れていますが、思ったより近く、歩いて行けました。
交通至便なところにある箱崎キャンパスですが、数年内にキャンパス全体が別の地区に移転をするそうです。

今回、福岡に来ることになったのは、ここでの用事があったから。
旧帝大らしい威厳と風格がある大学で、ヤシの木があるのが南国風でした。



○ 鹿児島に行かない鹿児島本線

用をすませて大学を出て、正門から5分のところにあるJR箱崎駅へ。
小倉行きの鹿児島本線に乗ります。
福岡で鹿児島本線って、なんだか不思議。九州の北と南の県なのに。

北九州市の門司港駅 - 熊本県の八代駅間と、鹿児島県の川内駅 - 鹿児島駅間を結ぶ路線だそうです。
もともと、門司港駅 - 鹿児島駅間の路線でしたが、今は途中の八代駅 - 川内駅間が肥薩おれんじ鉄道(第三セクター)の区間になっているとか。
つまり、小倉行きの反対電車は、鹿児島まで行くわけではないんですね。

日差しが強く感じます。時間はまだ2時台。
まだまだ日は高く、あちこち観光できそうですが、次に向かう目的地は行きづらい場所にあるため、帰りのフライト前に訪れるのはそこだけになりそうです。

○ 便利なIC対応

電車に乗っているのは地元の人ばかりのよう。車両内に観光客然とした人はいません。
福岡市→新宮町→古河市→福津市と市境を超え、40分ほど電車に揺られて、宗像市にやってきました。
東郷駅で降り、やってきたバスに乗り換えます。
目指す目的地は駅から10kmほど行ったところ。徒歩圏内ではありません。
バスは1時間に1、2本しか出ないため、乗り遅れないようにしないといけません。

福岡に着いてから、西鉄バス、西鉄、地下鉄、JRと利用し、宗像市のバスにも乗りましたが、すべてPASMOが使えています。
JR九州のSUGOCAと西鉄のnimocaは、SuicaやPASMOの代用ができるのです。
これまで旅先で、ここまで運賃精算がスムーズだったことはありません。
特に旅行中は、荷物も多いし乗り方にも慣れていないので、お財布を開けずに済むのはとても便利。
福岡って暮らしやすいのね~。



○ 宗像大社

川沿いの気持ちの良い道路を通ってたどり着いたのは、宗像(むなかた)大社。
関東以北では、知る人ぞ知る神社という感じですが、ここは、宗像三女神を祀る神社の総本社。
宗像三女神は弁天様と同一視されるため、全国の弁天様の総本宮ともいえる場所です。
だから、アクセスが大変でも、何とかここをお参りしたいと思っていました。
ただ、一般的にはそれほど知られていないような気がします。



ルートの不便さからもわかるように、さほど観光地化されておらず、車で訪れる近郊の人がほとんどといった感じ。
きれいに整えられた参道を通り、拝殿へと向かいました。
鳥居をくぐり。


橋を渡り。


門を抜けて。


一歩一歩、女神様の元へと近づいていきます。


風通しの良い社殿。神主さんの姿が見えました。


周りをずらりと境内社が取り囲んでいます。「末社由緒」は後で読んでおこうっと。
広々とした気持ちの良い場所です。



○ 宗像三女神

宗像三女神はそれぞれに離れたお社に祀られており、ここ辺津宮の御祭神は末娘(市杵島姫神)。
長女(田心姫神)は、海上の沖ノ島の沖津宮、次女(湍津姫神)は筑前大島の中津宮に祀られています。
沖ノ島は、いまでも女人禁制の島で、男性の入島でさえ厳しく制限されているそう。
伊勢神宮第60回式年遷宮に、別宮の伊佐奈岐宮と伊佐奈弥宮の古材で再建された、唯一神明造りの社殿だそうです。



高宮参道を通って向かう本殿の裏には、その二神の分祀神殿が仲良く並んで鎮座しています。
それぞれをお参りします。



さらに境内の奥の石段を登っていった先に、高宮斎場があります。



木々の中、原始の形をそのまま残している石組みの場所。
宗像三女神が降臨したと伝えられる聖域です。



ほかに人は誰もいません。
木漏れ日を受けながら木々を揺らす風の音を聞いていると、すがすがしい気持ちになりました。



○ 海の道むなかた館

ゆっくり時間をかけて参拝してから、帰りのバス停の時間を確かめると、次のバスが来るまであと40分ありました。
神社内の神宝館は、ちょうど閉まった時間。再びゆっくり境内を散策しようかと思ったところ、神社の隣の「海の道むなかた館」という建物に気が付きました。



(海の道ってなんだろう?道の駅みたいなものかな)と思って中に入ってみると、そこは宗像の歴史や自然を展示している施設でした。
学芸員もおり、解説を受けながら、展示を見てじっくりと学びました。



トヨタ九州工場のロボットも展示されていました。
館内には上映室があり、学芸員さんに「3Dシアターを観ますか?」と言っていただきましたが、私一人きりのために上映してもらうのは気が引けて、ご辞退しました。



半年前に、東京の出光美術館で「宗像大社国宝展-海の正倉院展」が開催されたばかり。
沖ノ島出土の国宝は8万点もあるそうです。
それが、神社の神宝館に所蔵されているんですね。
また来れる機会があったら、次は拝観したいです。

○ 勾玉と鬼瓦

出土品として、大きな勾玉がいくつも展示されており、無骨な形に見とれました。
ハート形もあってかわいい。当時、ハートはどんな意味を持っていたのでしょうか。



古代の鬼瓦も出土されており、解説に「メドゥーサから来たものだ」と書かれていました。
わあ、そうなのね~。狛犬はスフィンクスが変容したものだと知った時の感動と一緒です。
遠くはるかなシルクロードを超えた極東の地では、古代ギリシア神話のスフィンクスが狛犬に、メドゥーサが鬼瓦になっていたなんて、ロマンだわ~。





○ 壱岐からのビジネスマン

やって来たバスに乗り、ふたたび東郷駅へ。
電車が来るまで少し時間があったので、駅の反対側に降りてみましたが、特に何もなく、早々に駅に戻りました。
ホームには、博多華丸・大吉出演のお芝居「めんたいぴりり」のポスターが貼られていました。
彼らは本当に、博多に愛し愛されているんですね。
小倉から来た電車に乗りこみます。

寒い外から暖かい電車の中に入ると、一気に眠くなり、うとうとしながら揺られていきました。
辺りのざわざわした様子に目を開けると、博多駅に着いていました。
改札を出て、方向がわからずきょろきょろしていると、「壱岐」と書かれた紙袋とアタッシェケースを下げたビジネスマン風の人が、目の前をずんずん歩いて行きます。
(空港に向かう人に違いない)と思って同じ方向を取ってみたら、はたしてビンゴでした。
すんなりと地下鉄空港線の乗り場にたどり着きました。

遠いところにある島には、なかなか行く機会がありません。
壱岐にも隠岐にも行ってみたいわ~。
沖ノ島にも行きたいわ~。
名前が似ていて混乱するわ~。
軍艦島はどこかしら~。

終点の福岡空港駅までたったの5分。
本当に便利な場所にあります。
福岡出身の芸能人が多いのは、空港が近くて上京しやすいからじゃないかと思ったりします。

○ 空港の夕暮れ

やはり宗像大社に行くのには、時間がかかりました。
もう6時過ぎなので、4時間ほどかかったことになります。
フライト1時間前に着いたので、空港でのんびり食事をしようと思いましたが、展望デッキに上がって夕焼けを見たり、お土産を選んだりしていたら、すぐ搭乗時間になりました。

呉越同舟~(なんか違う)。


空港で買ったお土産は、めんべいやめんたいこ海苔など。



めんべいはリクエストがあったから。
めんたいこ海苔は、私の前にレジに並んでいた女性が、買い物かご2つにぎっしりつめて、その店で在庫切れにさせていたので、気になって、別のお店で入手しました。



韓国のりに、めんたいこがまぶされていて、たしかにご飯やお酒に合うわ~。
周りにも好評でした。



19時15分発のANAは満員でした。
行きがガラスキだったので、その差に驚きます。
平日なので、乗客はビジネスマンと年配者ばかり。
ちょうど帰り時間だからですね。

またもや羽田まで眠って過ごし、帰途につきました。

帰宅して、空港でお土産を買った玉屋のレジ袋を、じっくり眺めます。
(これ、高島屋のに似てる・・・ていうかそっくり・・・!)
高島屋のビニール袋も広げて、両方並べてみました。



やっぱり似てるー!これは別モノとは言わせませんぜー。
福岡玉屋は高島屋系グループで、高島屋と同じバラの花をシンボルマークに使っているそうです。
今は高島屋の紙袋デザインが変わったため、レジ袋だけが共通デザインなんだそう。
なんだか貴重だわ!と思い、親にお土産を渡す時にもったいつけて伝えましたが(ふーん)とあっさり返されて終わりました(笑)。

○ epilogue

今回は福岡日帰り弾丸旅行となりました。
遠くに行くのに日帰りなんてもったいないと思い、早目に出発して、なるべく現地で動くようにしました。

ほぼ初めての福岡。神社巡りがメインとなりましたが、あちこちに九州の歴史の古さが見えて興味が引かれました。
福岡は、観光地が少ないと言われているそうですが、すばらしい神社がたくさんあります。
太宰府天満宮の梅を見られて、一之宮を二つ参拝でき、宗像三女神にご挨拶できた、いい旅でした。

福岡日帰り神社巡り-2

2015-03-10 | 九州
その1からの続きです。

○ 薬草の薬院

西鉄の終点「西鉄天神(福岡)」の一つ手前の「薬院」駅で降りました。
駅名が気になります。薬師如来を祀る有名なお寺があるのかしら?
だったら行きたいものだと思い、調べてみると「古くからこの地に薬草園をつくり、施薬院を建てたのが由来」とのことでした。
お寺じゃなかったのね~。



ここから博多駅方面に向かって歩きます。
ひたすらてくてくと歩きます。
そうして住吉神社に着きました。

○ 筑前一の宮 住吉神社

ここは筑前一の宮。
大阪の住吉大社はわかりますが、ここは知りませんでした。
訪れてみると、敷地の広い立派な神社でした。

地図を見ると、住吉神社には功徳池と天竜池の二つの池があり、それぞれの池に囲まれた社があります。
住吉三日恵比寿神社と、天津神社。
どちらもお参りしてみることにします。



まずは住吉三日恵比寿神社へ。紅白の鳥居が交互に建てられていてきれいです。
にこやかなお顔のえびす様に会いました。触った場所によって効き目があるそうです。

・お顔→家内安全
・お腹→病気退散
・鯛→招運・商売繁盛
・腕→交通安全・技能向上

みんな、表示を見ながら、結局全身撫でまわしそうですね。



それから本殿をお参りしました。



拝殿横には、なにやらギリシア彫刻のような迫力満点の像がいます。
あなたはゼウス?オリンピックの選手?



古代力士の像でした。いまの力士と体型が違っていて意外~。
お団子ヘアがちょっとかわいい感じ。
しかも目からビームがでていそうです。
この像を一眼レフで何枚も撮影している男性がいました(画像左)。
力士の様子が「ここから先は撮影禁止!」と言っているようで、なんだかおかしくなりました。



境内のもう一つの池、天竜池に行きました。
通称ひょうたん池の真ん中にある亀島に、伊弉諾大神(いざなぎおおみかみ)が祀られています。
石でできた、小さなお社でした。



境内には鳩が大勢集まって、ひなたぼっこしていました。
羽を膨らませて丸まった様子がかわいいなと思ったら、人を避けるどころか、じりじりとこちらに近寄ってきます。
四方八方から狙われている…。餌は持っていないのよ~。
人慣れしている鳩たちでした。

○ キャナルシティ

それから近くにある「キャナルシティ博多」に向かいます。
入り口前には、博多大吉の大きなポスターが貼られていました。
おお、さすが博多の人(「博多の女」ではない)。地元でも活躍しているんですね。



名前の通り、施設の中に人工の運河ができていました。
なかなか本格的。テキサスの水の都サン・アントニオで、運河めぐりをしたことを思い出しました。



大きな建物の中を歩いているうちに方角がわからなくなり、何人かの人に道を尋ねました。
みんな、聞かれ慣れているのか、テキパキと教えてくれました。

○ 櫛田神社の水



キャナルシティを抜けてすぐのところにある櫛田神社に行きました。
ここは、地元の人の心のふるさと、博多総鎮守。
高い蔵があり、びっくりするほど背の高い山車がおさめられていました。



博多山笠の飾り山車です。博多祇園山笠は有名ですが、福岡市の祭りではなく、櫛田神社の氏子たちが行う奉納行事だそうです。
タワーのような高さ。カメラに収まりきらず、しゃがんで撮影しました。
反対側に周って、さらにパチリ。



これが街を練り歩くと、さぞ華やかでしょうね~。
でも、練り歩く道を選ばないと、電線や街灯がなぎ倒されそう。
中には10m以上もある山車もあるそうです。



境内には力石コーナーがありました。
こんなにたくさんあるなんて、とよく見てみると、江戸時代に使われたもののほかに、現役の力士が奉納したものもありました。
力士は力石を奉納するんですね。初めて知りました。
曙や白鵬など、私でも知っている力士の名前が書かれていました。



大きな注連縄のかかった拝殿。
その横には、鶴の像が護る「霊泉鶴の井戸」があり、水が出ていたので、頂いてみました。



結構苦みさとしょっぱさがあり、自然と渋い顔になってしまいます。
うぎゃあ、正直、おいしくない~。
海からそう遠くない場所なので、井戸に海水が入っているのかも。
ここにはほかに亀の井戸があり、鶴の井戸は参拝者用、亀の井戸は神事用に使用されているそうです。

どうやら、入ってきたのは通用門のようで、拝殿正面には立派な楼門がありました。
そこまで行って、なんとはなしに上を見上げると、そこには干支が描かれた丸い恵方盤が飾られていました。



恵方盤は、その年の恵方・方位を矢印で示すもの。
こういったものを見るのは初めて。発色もよく、古さが感じられませんでした。




○ 川端通商店街

ここで、予定以上に時間がたっていることが判明。
次には、東長寺にある日本一の木造大仏を見に行きたかったのですが、あきらめます。
最寄り駅を探さなくてはいけませんが、人がいない道に入り込んでしまい、うろうろ。
そのうちに、大きなアーケード通りに入り込みました。
そこは博多川沿いの川端通商店街。
お店の人に、アーケードを抜けたところに地下鉄の駅があると教えてもらい、商店街を通って行きました。

○ 博多弁のアンパンマン

「きんしゃい!」
「きたばい!」
アンパンマンとバイキンマンが、博多弁を喋っていますよ!まさにところ変われば。



聞き慣れない言葉なので「どうしたの?」状態です。
4月に、駅前に福岡アンパンマンミュージアムができるそうです。



アンパンマンミュージアム、どんどん国内に増えていっていますね~。
横浜にありますが、それから名古屋、仙台、神戸にでき、今度は博多にもできるんですね。

アーケードの終点には、川上音二郎の銅像がありました。
この人、知っています。妻の貞奴と海外進出し、1900年のパリ万博で公演をした人。
博多の人、九州男児だったんですか。



中洲川端駅から地下鉄に乗りました。
路線図にはなじみのない駅名ばかり。
長い名前だなあと思ったら、「馬出九大病院前」でした。
ホームに書かれたローマ字表記は「Maidashikyudaibyoinmae」。22文字ー!
読んでいるうちに、ドアが閉まって発車しました。

○ 筑前一之宮 筥崎宮

地下鉄を降りたのは、箱崎宮前駅。
太宰府と大宰府を知ったばかりなので、(箱崎宮と筥崎宮、ここにも同音異語が!)と身構えますが、筥崎宮と同じ字を使うのは恐れ多いということで、あえて別の字にしているとのこと。この辺りの地名も箱崎です。

名前の通り、地表に出ると駅前が筥崎宮の境内でしたが、参道が長くて、拝殿にたどり着くまでに結構歩きました。
都内の明治神宮前駅も、降りてから長々と歩きますからね。
ここも住吉神社と同じく筑前一之宮。同じ市内の割と近くに一之宮が二つあるなんて、珍しいなと思います。



これは、戦国時代、住吉神社が戦に巻き込まれて社殿を失い、衰退して一之宮の機能を果たせなくなった際に、筥崎宮が一之宮に代わったためだそうです。

○ 戦勝祈願



「大社筥崎宮」の社碑は、ちょっと丸みを帯びてほのぼのする字だなあと思って、後ろに回ってみると「大正三年三月 元帥伯爵東郷平八郎 謹書」とありました。
なんと、連合艦隊司令長官、東郷平八郎の字だったんですね。
字からは想像つきませんでした。名は体を表すって言うのに~。



日本海軍司令官として日清・日露戦争の勝利に貢献した彼。
戦艦三笠の神棚には、筥崎宮のお守りが置かれていたそうです。へえ~。
三笠は、横須賀港に停泊されている、神奈川県民には身近な戦艦です。



拝殿の扁額には金文字で「敵国降伏」と書かれており、字の放つ迫力に「うわあ~」と圧倒されました。
敵とは元寇のモンゴル軍のこと?と考えた通り、蒙古襲来時に亀山上皇(鎌倉時代)が祈念したものだそう。
もともとは、醍醐天皇(平安時代)によるもので「(戦わずして)敵国が降伏する」ことを祈念しているとのことです。



市内には、元寇防塁がまだ残っているそうです。
鎌倉のそばに住んでいるので、執権北条時宗ゆかりのお寺にはなじみがありますが、この辺りにはまだ、実際の当時の戦いの痕が残っていることに驚きます。

勇ましい言葉は、ここが戦いの神を祀る筥崎八幡宮(別名)で、日本三大八幡宮の一つということもあるのでしょう。
筥崎宮という名前のイメージからすると、香椎宮のような雅で貴族的な雰囲気がありますが、実際には国の武運を祈念される雄々しい八幡神のお社なんだと知りました。



境内には、ホークスやアビスパの大きな絵馬が奉納されていました。
選手のサインが書き込まれています。
毎年、新年には戦勝祈願に訪れているのでしょう。
参拝後、巫女さんに道を聞いて、再び歩き出しました。

その3に続きます。

福岡日帰り神社巡り-1

2015-03-10 | 九州
○ prologue

福岡に行く用事ができました。
10年以上前に、九州一周ツアーで訪れたきり。
道路の渋滞に巻き込まれて帰りのフライトの時間がせまってきたため、町は観光できずじまいでした。
思い出すのは、夜の福岡空港で食事をとって、夜景を眺めたことだけです。

今回は気ままな一人旅。
ずっと行きたいと思っていた太宰府天満宮。神秘的な宗像大社も気になります。
どちらも福岡市外なので、移動の時間を考えておかないと。

○ 早朝出発

せっかくなので、泊まってゆっくり観光したいのですが、予定の都合でその日のうちに帰ってこなくてはいけません。
日帰りのため、早目に出かけることにしました。
当日は4時半に起床。外は真っ暗。
夜半すぎに降った雨で黒光りしている道を、駅へと向かいました。

早朝なのに、空港行きの電車に人が大勢乗り込みます。
早起きしたのでとても眠く、半分寝ながら羽田を目指しました。

空港に到着した時には、夜も明けて明るくなっていました。
手荷物チェックを受け、目の前の搭乗口から入り、機体を眺めてのんびり過ごします。



7:20発のANAは、フライト直前に大型旅客機に変更になったためか、機内はガラガラ。
一列10席あるところに、私を含めて3人しか座っていません。つまり快適~。
窓からは、スカイツリーとゲートブリッジが見えました。



2日前、銚子に行った時に通ったアクアラインと海ほたる、風の塔を眼下に眺めながら飛び立ちます。
機体が東京湾を大きく旋回するときに、海に浮かぶ船と駆け抜ける雲が間近に見えました。
雲の上は寒く、ブランケットを借りました。

フライト時間は約2時間。到着は9時過ぎです。
がんばって早起きをしても、現地に着くといい時間になっています。
福岡って、札幌に行くよりも時間がかかるんですね~。実際の距離も遠いですもんね。



○ キラキラ空港名

機内誌に載っている、空港が描かれた地図を眺めました。
おお、できたての「鳥取砂丘コナン空港」が載っている~。
話題になりましたが、すでに「米子鬼太郎空港」もありますからね。
鳥取の決断のすごさを感じます。



ほかにも目を引く空港名はいくつもあるものですね。
「徳島阿波おどり空港」とか。「おどり」は必要だったんでしょうか。
「対馬やまねこ空港」も。「南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港」は、もはや振り仮名がないと読めません。

でも、私的に一番(うむむ)と思ったのは、「おいしい庄内空港」。
米どころっていうのはわかりますが、空港とおいしさは、関係ないのでは?
味覚は人それぞれですし!



岩手の「めんこいテレビ」、東京の「トマト銀行」の名前を聞いた時と同じ衝撃を受けました。
「高知龍馬空港」も驚きましたが、キラキラネームの並ぶ地図で見るとおとなしいものです。
私がよく使う空港は、シンプルでなんかよかった~。

○ 福岡空港バス乗り継ぎ

機内では眠っていたため、あっという間に着いた感じでした。
前回の九州入りは大分空港からだったので、福岡空港に日中訪れるのは初めて。
シャトルバスで国際線ターミナルへと向かいました。



外国にも行かないのに、なぜ国際線ターミナルに移動したかというと、ここから太宰府行のバスが出ているからです。
福岡空港から太宰府に電車で行くのは、乗り継ぎがあってちょっと不便。
直行バスがあると聞いて、それに乗ることにしました。

旅客ターミナルビルのロビーに、大きな人形が展示されていました。
平成20年の博多祇園山笠 舁き山笠で実際に使われた「権五郎景政之勲(ごんごろうかげまさのいさおし)」です。
山笠と聞いて、山形の花笠まつりを連想しましたが、博多祇園山笠はこちらのお祭りなんですね。

権五郎景政といったら、鎌倉で活躍し、鎌倉氏を名乗った、平安時代の武士。
御霊神社(通称:権五郎神社)に祀られています。
神奈川もん同士が、博多で顔合わせ。



博多からやってきたバスは、すでに乗客がいっぱいでした。
乗りこむと、アナウンスが入ります。
羽田の空港バスでは、日本語・英語・中国語・ハングル語が簡潔に流れますが、こちらでは、日本語・英語・ハングル語のアナウンスが、割と長めに流れて(ああ、九州に来たなあ)と感じます。
お店にはハングル語表記がされているし、九州は韓国文化が身近ですね。

○ 大寒波日

この日は大寒波が到来した、風が強く寒い日。
バスを待っている間だけでも、北風に体温を奪われ、身体の芯から凍えそうになり、誰もが身をすくめています。
春の訪れが早い九州なので、ぽかぽか日和だと思っていたのに~。
「雪がちらつくかもしれないそうよ」と、前日に熊本の友人が教えてくれた時には(九州でこの時期に?まっさか~)と半信半疑でしたが、厚着してきてよかったです。

○ 太宰府と多賀城

バスは高速を通って、太宰府へ。車窓から、太宰府政庁跡を眺めます。
多賀城の政庁跡に似ているなと思い出しました。
多賀城と大宰府は、奈良時代の朝廷の出先機関なので、考えてみれば同じ時期のものなんですね。

そうした歴史的なつながりから、多賀城と大宰府は友好都市になっていると、後で知りました
東日本大震災時には、市と市民から被災した多賀城に多くの支援がされたそうです。元住民として、ありがたいなと思います。

ところで、「大」宰府政庁跡と「太」宰府天満宮。
政庁跡は「大」で、テンがないんですね。わかりづらい~。
大「阪」城と大「坂」の陣よりも混乱します。

○ 太宰府天満宮の梅

終点の西鉄太宰府駅前でバスを降りました。



駅前から参道が伸びており、迷うことはありません。
途中におしゃれなスタバがありました。
人目を引くこのデザインは、建築家・隈研吾氏の設計だそうです。
ジェット・リーの映画『HERO』のようでした。矢が飛んでくる~。(わかる人いるかな?)



石畳の参道を歩いて行った先に、天満宮がありました。
紅梅・白梅がとりどりに咲いています。
(梅の季節に間に合った!)と嬉しくなります。





赤い太鼓橋を渡って行きます。
(亀戸天神の橋みたい)と思いましたが、もちろん亀戸がここに似せて作っているわけです。
福岡は、長い歴史がありますね。







身が切れそうなほど寒い日ですが、天満宮には多くの梅が咲いており、春の訪れが感じられます。
天満宮といえば梅。間に合うようにと願っていたので、咲いていてラッキーだわ。





拝殿の両脇には、紅白の梅がありました。
白梅の方が、菅原道真を慕ってこの地まで飛んできたといわれる「飛梅」。
おお、これが、空飛ぶ梅!
「東風吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」



「飛梅」という表示以外には、特に細かい説明はありませんでした。
言わずもがなということでしょうか。
花はもう終わり近くになっていて、ギリギリ間に合いました。





紅梅は「皇后(きさい)の梅」。大正天皇の后、貞明皇后が植えられたそうです。
こちらはまだ、美しい色で咲いていました。

○ 京都と太宰府

そしてもう一つ、天満宮といえば牛。
さぞかしたくさんの牛の像があって、境内は足の踏み場もないほどに、モーモー牛だらけなんだろうと思っていましたが、思っていたほど多くはありません。
京都の北野天満宮の方が、牛の数は多いように思います。
敷地も京都の方が広そうな感じ。知名度はこちらの方が高いのですが、豪華さも向こうの方が・・・。





こちらは菅原道真が崩御した地で、京の都では、道真公のたたりを恐れた人々が大勢いたからでしょうね。
たたりは都で起こったというし、慰霊+αを願う必死度が違ったんでしょう。

○ 園児たちの昇殿祈祷

御朱印をお願いしている間、何人もの正装姿の神主さんが、忙しそうに動き回っていました。
「次は○○幼稚園」と確認する声が聞こえてきます。
拝殿前で園児の団体と一緒になり、子供たちに紛れて参拝しましたが、その御一行様がすぐに帰らず、待合室に移動していました。
これから昇殿祈祷を受けるようです。
拝殿では、ちょうど祈祷が終わり、別のグループの子供たちがぞろぞろと退席していきます。
平日なのに祈祷が続いて、神主さんたちは忙しそうでした。



天下の太宰府天満宮ですから、さぞ大勢の受験生が神頼みをしにきているんだろうと思いましたが、それらしい学生は誰もいません。
ちょうど受験が終わった頃だからでしょうか、平日だからでしょうか。
制服姿の学生がいない代わり、予想外にも幼稚園児の団体に巻き込まれました。
帰りの道すがら、後から後から別の園児服姿の御一行様がやってきます。
みんな、集団で御祈祷を受けるのでしょうか。やっぱり、学業祈願?
でもそれって、早すぎなーい?

私が園児の時に昇殿祈祷を受けたのは、親に連れられて行った七五三。
園児が幼稚園まとまりで、先生の引率で祈祷を受けるのを見るのは初めてです。
こちらの風習なのかもしれませんが、不思議に思いました。

神社の公式ページには「小学校入学は家庭生活から社会生活への第一歩です。このことをお祝いし、天神さまにご奉告して、学業上達・身体健全もお祈りいたします。
特に、入学式を控えた2・3月には個人や幼稚園・保育園などでの小学校新入学祈願のご参拝が多くございます。」とありました。
この「新入学祈願」だったようです。

○ 梅が枝餅

梅の花を愛でた後、帰り道の参道で、梅が枝餅を買いました。
ここの名物だと聞いていましたが、参道に並ぶお店の多くがこの梅が枝餅を売っているのに驚きました。
鳩サブレーのように、一つのお店だけが出しているものではないのね~。
ほんのり温まったお餅で、中には甘すぎないあんこが入っていて、食べやすかったです。



お餅には梅の花の型が押されていましたが、枝の要素はどこにもなかったので、(これなら「が枝」を取った「梅餅」でいいんじゃないかな?)と思いました。
「うめがえもち」の方が、お上品な響きですけどね。
カエちゃんという名前の友人を思い出しながら、駅へと向かいました。

○ 旅人トレイン

西鉄太宰府駅には、「旅人」という電車が停まっていました。
そのネーミングに引かれます。
歌人の大伴旅人と、トラベラーにちなんでいるそう。
読みは「たびびと」ではなく「たびと」だそうです。



中に入ると、ライトに梅マークが描かれ、車両には太宰府の観光地の紹介ポスターが貼られていました。
2人掛けのクロスシートで、旅愁を刺激されます。
いい感じの観光列車だわ~。



次の五条駅に着くと、外に白いなにかが舞っていて(白梅が散っているのかな)と思ったら、なんと雪でした。
たしかに「雪がちらつくこともある」との予報でしたが、そんなに寒いんですね。



その次の二日市駅で「終点です」とアナウンスが入りました。
えっ、もうおしまいなの?
「旅人」列車は、基本的にこの2駅区間しか走っていないんだそうです。
旅を味わうには、5分間の乗車時間は短すぎるわー。
ホームを移ると、そこは普通の駅の光景。各駅の西鉄電車に乗り換えました。

その2に続きます。

成田と鰻と犬吠崎 index

2015-03-08 | 千葉



◆ 下総旅行記-1
  3か月ぶりに千葉をドライブしました。
  アクアラインを通って海超えします。
  参拝客でにぎわう成田山新勝寺をお参りし、参道の鰻屋で舌鼓を打ちました。
   ○ prologue ○ シェルとシェール ○ うみほたる
   ○ 海上山 千葉寺 ○ 成田山 新勝寺 ○ 関東三十六不動霊場
   ○ 成田山の鰻 ○ 川豊本店 ○ うなぎ語り




◆ 下総旅行記-2
  千葉は大きな県。横断して太平洋へと向かいます。
  利根川沿いに、銚子に入りました。
  はじめて犬吠埼灯台を訪れて、銚子水揚げ回転寿司を食べました。
   ○ 滑河観音 ○ 一路銚子へ ○ 飯沼観音
   ○ 補陀洛山 満願寺 ○ 犬吠埼灯台 ○ 真っ暗な道路
   ○ 銚子丸 ○ epilogue