風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

南海電車で高野山 1-(2)

2013-07-06 | 近畿(奈良・和歌山)
◆ 壇上伽藍【世界遺産】
◯ 金堂
◯ 御社(みやしろ)
◯ リリパット王国イン・ジャパン
◯ 三銛の松
◯ 根本大塔
◆ 金剛峯寺【世界遺産】
◯ 高野杉
◯ 柳の間
◯ 蟠龍庭
◯ 上壇の間
◯ 現代の高野聖
◯ 御朱印と御朱印帳
◆ 精進料理講座
◆ 宿坊(普賢院)
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1日目その1からの続きです。

◆  壇上伽藍【世界遺産】

高野山にたどり着き、壇上伽藍前でバスを降りると、黒い袈裟姿の二人の僧、藪僧侶と永崎僧侶に出迎えて頂きました。
お二人に、高野山を案内していただきます。なんて贅沢なんでしょう。



壇上伽藍への入り口である中門は、平成27年の「高野山開創1200年記念大法会」に向けて目下再建中。
8代目になるそうで、天下の大林組が携わっています。



こういう場合、普通は幌に隠されて、中の様子が全く見えなくなっていますが、ここはポリカーボネート製の透明な素屋根に覆われており、施工中の様子をが見られるようになっていました。
これは嬉しいです。見えないとなると、やけに見たくなるものですから。



◯ 金堂

入り口で塗香を手に塗り込めると、すっかり聖地に入っていく気持ちになります。
金堂のご本尊は高村光雲作の薬師如来ですが、秘仏のために非公開。
内部をぐるりと回り、木村武山(ぶざん)の壁画を拝見しました。
祭壇裏側の菩薩の絵は、移動しても視線が追ってくるように見えるため「八方睨み」と言われているそうです。



◯ 御社(みやしろ)

高野山にあるのはお寺だけかと思っていましたが、もともと地主神が祀られており、空海はその神様に土地を分けてもらう形で伽藍を建てたため、敷地内に神社があると聞きました。
それがこの御社です。
祀られているのは、真言密教の守り神になった地主神の丹生明神と高野明神(狩場明神)。



何もなかったところにお寺を建てたわけではなく、まず空海は高野山上に神様をお祀りし、その守護により高野山の大伽藍を建立したということで、やはりここも神仏融合から成り立っているのだなと思います。
毎月16日にはこの門が開き、高野山僧侶が神社に祈祷をあげるのだそうです。

空海をこの地に導いた、高野明神の白と黒の犬が、狛犬として鎮座していました。色も白黒になっています。
狛犬に、触りたかったー。
でも高野山の守護神の使いですから、おいそれとはそばに行けなさそうです。

◯ リリパット王国イン・ジャパン

境内のあちこちに生えている杉の巨木を見上げると、小人の国に来たような気分。
ここは日本のリリパット王国ですね。



緑に囲まれた広い敷地内を、西塔、准胝堂(じゅんていどう)、御影堂、根本大塔と巡っていきます。
「わあ、孔雀堂がある」と声を上げる私。
「なんですか?」とすかさず聞かれます。
「孔雀に乗っている明王がいるんですよ、ほら」とみんなで堂内をのぞきます。
きれいな像でした。
明王なのに怖くない、という話になると、長くなるので、さわりで説明はストップです。

准胝堂もあり、「これはどう読むのでしょう?」という質問から始まりました。
「じゅんてい」です。観音様です。
永崎僧侶曰く、高野山の僧侶の得度の本尊、つまり守り神だそうです。

◯ 三銛の松

この松の葉は三枚で、持っていると幸せが訪れるんだそうです。
渡邊課長にいただきました。いつの間に探して下さったんでしょう?
まさに四つ葉のクローバー・日本版!
三銛の松をバックに、写真に収めました。



◯ 根本大塔

高野山は二度目ですが、奥の院しか拝観していないため、この辺りは初めてです。
以前は夜の散歩の時に、暗がりの中で眺めた金剛峯寺。中に入れて感激。



曼荼羅世界を具現化した、堂内の鮮やかな色彩感覚に圧倒されます。
中心に座するのは、密教の中心仏である大日如来。
仏像を取り囲む16本の朱色の柱に描かれているのは、原色で描かれた菩薩たち。
鮮やかな金色と朱の色が、非日常感を醸し出しており、目が眩みそうです。

静かな蓮池。朱塗りの橋が映えています。



写真を撮る私たちを待ってくれている間に、僧侶はほかの参拝者にも声をかけられたり、質問されたりします。
そうすると今度は私たちがなんとなく待つことに。
ここではお坊さんは大人気です。



◆ 金剛峯寺【世界遺産】

壇上伽藍から、今度は金剛峯寺へと向かいます。
敷地は隣同士なのに、移動に10分はかかるという広さ。
狩野派が描き上げた無数の襖絵に圧倒されます。



木の廊下にダイソンの扇風機が置かれていました。
そういえば、少し前にダイソンが寄進したとニュースになっていましたね。
お寺の雰囲気を壊さないデザイン。悪くない共存でした。



◯ 高野杉

壇上伽藍でも天にそびえるような杉の巨木を見上げてばかりでしたが、ここには奥の院の高野杉の断面が飾られていました。
巨木の年輪にびっくり。
高さ57m、直径2.87m、株元周囲9mと書かれています。 
気になるのは樹齢。何百年なんでしょうか。



◯ 柳の間

秀吉に追放された豊臣秀次が自刃した部屋がありました。
はっとします。そういえば、彼は叔父の秀吉の命令で高野山に追放され、出家したのに、結局切腹を命じられたのでした。
聖職者を血で汚すなんて、あまりにひどい話です。
自刃の間は小さな部屋でした。



◯ 蟠龍庭

蟠龍庭は、日本最大級の石庭。
雌雄2匹の龍が建物を守っている様子を表しているそうです。
美しくウェーブの入った石庭を眺めて「これを作るのは大変そうですね」と永崎僧侶に言ったら「そうでもないですよ。でも曲がると"むむっ"と思います」とのこと。
どんどん気持ちが職人気質になっていくようです。



藪僧侶に、庭の池にモリアオガエルの卵が下がっていると教えてもらい、目を凝らすと、確かに白い塊が見えました。
古池や~



赤い毛せんの敷かれた大広間で、お茶と麩菓子をいただきました。



◯ 上壇の間

昔 天皇や上皇が滞在された時、謁見を行った部屋を拝見します。
右手の襖は護衛が隠れる「武者隠し」で、現在でも控えの者が待機する部屋として使用されるそうです。
SPは大柄の人が多いから、小さいスペースに身を隠しているのは、大変でしょうね。

◯ 現代の高野聖

藪僧侶も永崎僧侶も、現代の高野聖。
泉鏡花の影響もあり、高野聖といったら幽玄の境地に生きる真面目な修道者というイメージが強いため、はじめは「私の人生まるごとお説教されそう」と、こわごわと話をしていましたが、実際にはとても話しやすい方々でした。

藪僧侶が、先頭だって説明をしてくれてます。
その説明をきちんと聞きたいと思うものの、あちこち撮影していると、先頭集団からはつい遅れてしまいます。
しんがりは、永崎僧侶が見ていてくださいます。
まるで、運転手と車掌の関係。

なので、最後尾を守る永崎僧侶にいろいろと質問をしました。
たとえば、バスの中から見えた「波切不動」のお寺。
(こんな山の上まで、不動さんが波を切ってやってきたのかしら?)
と、すっかり「波乗りジョニー」的な想像をしていましたが、聞いてみたところ、
「遣唐使帰りに遭難しそうになった空海の前に不動が現れ、波を切って導いてくれた」ことが由来だそうです。
全然、サーファージョニーじゃありませんでした!

「目下、関東三十六不動を巡礼中です」というきちんとした話から、いつの間にか「金沢文庫の称名寺では"伽藍 DO!"というライトアップを行なっている」という話になっていましたが、どの話も穏やかに聞いてくださいました。
僧侶もなかなかくだけたお話をしてくださったので、つい話が弾んでしまったんです。
やはりお坊さんは、話題の広さと柔軟性ですね!

◯ 御朱印と御朱印帳

今回の旅にあたり、すでに高野山を訪れている父からは御朱印帳、母と叔母からは御朱印をいただいてくるよう、頼まれていました。
自分もいただきたかったので、「ゴシュイン、ゴシュイン」と、カワラヒワのようにつぶやきながら、御朱印と御朱印帳を、それぞれ3つずつ求めます。
御朱印帳は、檜か杉かさんざん迷い、僧侶のアドバイスも聞いた末に、どちらも入手しました。



これで親へのノルマ達成。ホッとします。
個人的にも、ここの御朱印帳はとても欲しかったので、大満足!

自分と母の御朱印帳2冊を持参し、さらに木の御朱印帳を3冊買ったため、持ち運ぶ御朱印帳は合わせて5冊。
もはや代行業者状態です。
木だけに、荷物がずっしり重くなりましたが、それを見越して今回はキャリーで来たから、問題ありません~ラララ~。

◆ 精進料理講座



お寺を後にし、精進料理のお店「さんぼう」へと向かいました。
山門を抜けたら、僧侶とお別れかとおもいきや、2名ともに一緒です。というより、先にたって案内してくれます。

気がつけば、お寺の敷地の外でも、お坊さんがナチュラルに歩いている高野山。
まるで両国界隈を着流しで歩く力士、もしくは秋葉原の客引きメイドさんのよう。(例えが悪い?)
他の場所なら目立って、みんな首を回して見るところですが、町にしっくり馴染んでいるため、人目を引く感じではありません。
やはりこの地域全体が宗教都市だからでしょう。



ここで、胡麻豆腐作りをします。
まずは精進料理の説明から。



何種類ものだしを使う事を教えてもらいました。
ぜーんぶレシピを教えてもらいます。
そんな太っ腹で、いいの?お店の秘伝ではないの?
油は米油を使うそうです。選りすぐりの材料で、身体によくないわけがありません。



ごま豆腐は、材料はシンプルですが、作るのに体力がかかるということがわかりました。
葛と水と胡麻粉を合わせて、火にかけながらダマダマにならないようにひたすらかき混ぜていきます。



馴染んでいくごとにだんだん鍋の中身が変わっていき、かきまぜるヘラが重くなっていきます。
3つのグループに分かれて協力しながら作っていきました。







ひたすら混ぜて、混ぜて、混ぜて、ペースト状になるまでかき混ぜ続けました。
この日はまだ食べられません。
お椀に小分けして、一晩寝かせて、私たちの明日の昼食になるそうです。
今から楽しみだわ~。



鍋に残った分をつまんでみたら、とてもおいしくて、みんな手が止まらなくなりました。
ここで、西京焼きの試食をさせてもらいました。
試食といっても、一人一皿出てきて、きちんとしたおかずでしたが。
上に山芋が乗っており、サクサクと食べやすかったです。
「ほっぺたが落ちそう!」「もうウナギを食べなくてもいい!」とみんなで言いました。



◆ 宿坊(普賢院)

さんぼうを出て、斜め向かいの宿坊へ。
この日の宿は金剛峯寺の塔頭、普賢院。素晴しい装飾的な鐘楼門に見とれます。
上階に上がってみたいわ。
お寺の前を、高野山の消防隊員が通って行きました。
この人達の手で、山は家事から守られているんですね。



扉には狛犬が浮彫りされていました。
こちらのご本尊は、名前の通りに象に乗った普賢菩薩さまです。



部屋は和室二室が使えて広々としていましたが、鍵が全く無く、すべて襖なので、がらりと開ければもう隣の部屋。
鍵がないなんて性善説ですね。外国人は驚くかもしれません。
隣の部屋からは「ジャジャジャーン」とサスペンス音楽が聞こえてきます。
(息詰まるシーンのタイミングを狙ってバーンと襖を開けたら、悲鳴が上がりそう)と考えました。
そんな大人げないことは、もちろんしませんでしたよ。やりたかったんですけどね。
(借りてきた猫だということをもう忘れてる)



夕食は、もちろん精進料理。
胡麻豆腐を必死にかき混ぜてきたばかりなので、みんな、出された豆腐につい注目します。









観光協会の方などとお話をしました。
高野山には宿坊が52院あるということも知りました。多いですね。
いろいろと興味深い話が聞けたものの、話に集中してしまい、せっかくの精進料理が食べきれませんでした。

日中暑かったため、お風呂に入ってホッとしました。
同室のアヤコさんはすぐに寝ましたが、仕事を持ってきたアッコさんと日記を書きたい私は「やらなくちゃ...」とモゴモゴ言いながら、がんばって少し起きています。
でも山の夜は早くて静か。せまりくる眠気にも負けて、早々に就寝となりました。

2日目に続きます。

南海電車で高野山 1-(1)

2013-07-06 | 近畿(奈良・和歌山)
◆ prologue
◆ 空からの富士山
◆ 関空着、空港急行
◆ 特急サザン「サザンプレミアム」
◆ 特急りんかん
◆ 滝ガールトーク
◆ 空海と真田の九度山
◆ 幸村庵で上田蕎麦
◆ 丹生官省符神社【世界遺産】
◆ 慈尊院【世界遺産】
◆ 真田庵(善名称院)
◆ 九度山散策
◆ 「天空」かぶりつき
◆ ケーブルカー
◆ 高野山駅
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◆ prologue

今回、ライターのアッコさんと、南海電鉄主催の高野山プレスツアーに参加しました。
プレスの方々にちゃっかり混ぜていただけることになって、感激!
皆さんの足を引っ張らないようにしなくっちゃ。
迷惑をかけないよう、借りてきた猫のようにおとなしく過ごそうと思いました。

高野山には、5年ほど前にツアーで行ったことがあります。
でもその時は、下からバスで登っていったため、延々と続くくねくねカーブにすっかり酔ってしまい、(とにかくアクセスが大変)という辛い思い出に。
ただ、毎年新丸ビルで開催される高野山カフェには足繁く通っているため、そろそろ久しぶりに本家本元を訪れたくなりました。
今回は、南海さんに連れて行っていただくため、バスではなく、南海電鉄を使って向かいます。
プチ鉄子の私。楽しみ~。

◆ 空からの富士山

当日は、早朝のフライトに乗り遅れないよう、頑張って4時起きしました。
5時に出発。空いていると思ったのに、空港までのリムジンバスは乗客で満杯。
こんな朝から、空港は賑わっているんですねー。ふわあぁ。
あくびを噛み殺しながら空港に着き、今回ご一緒する皆さんとご挨拶します。
総勢14人でした。



搭乗ゲートに進んでも、まだ目が半分しか開いていない私。
どこかからおいしそうな和の匂いがする~と鼻をひくつかせたら、築地のお寿司屋さんコーナーがありました。

ご挨拶をしたばかりのアヤコさんが、カウンターに近寄り、さらりとお寿司を頼んでいました。
しかも「おまかせ」で。旅慣れているわー。
今回の参加者は、旅行関係のプレスの方々のようです。(私?借りてきたレンタルキャットデス)

離陸後少しして、アッコさんが「そういえば、富士山ってもう過ぎたかな」と言いました。
「まだじゃない?」と言いながら、窓から覗いてみたら、雲海から顔を出す白い山が。
「あ、あれあれ」「え、カメラ出さなきゃ」とごそごそしている間に、飛行機はゆっくり富士山上空を通過して行きました。

いつも新幹線で関西方面に行く時に、富士山を見上げるとテンションが上がります。
飛行機から見下ろしても、やっぱり嬉しくなるものですね。
世界遺産登録、おめでとう!

関空まではあっという間。
アッコさんは仕事をし、私は眠っていくはずが、お喋りをしていたら、もう飛行機は下降体制に入っていました。

◆ 関空着、空港急行

関空に降り立ちます。暑い大阪に気づかぬふりをして、すぐに特急ラピード号に乗り込みます。
いえ、乗り込む・・・予定でしたが、フライトが遅れたため、ラピートには間に合いませんでした。
がっくり。
この車体、深い群青色で窓が丸く、銀河鉄道999かノーチラス号かといった感じで、かっこいいんですよね~。
ああ、乗りたかった~。
「空港急行」に乗り込む足を止めて、名残惜しく、隣のホームに停まっているラピートを激写していたら、「帰りに乗れますから」と慰められました。



関空は海の上にあり、市街へ向かう線路の両側が海で、とても気持ち良いです。
いつも、ヴェネツィアに電車が入っていく時の感覚を思い起こします。

◆ 特急サザン「サザンプレミアム」

泉佐野駅で「特急サザン」に乗り換えました。
関空から高野山までは、南海電車を乗り継いでいきますが、参加者の方々とお話をしていたら、この辺りから、よくわからなくなってしまい、後日、南海電鉄の方にしっかり教えて頂きました。



乗ったのは、特急サザン新型車両12000系の「サザンプレミアム」
おお~。
プラズマクラスター技術搭載の最新式です。



各席の前には大型テーブルノートとコンセントがあって、便利!
ビジネスマンが喜びそう。プレスの皆さんは、さっそくノートパソコンを広げていました。

◆ 特急りんかん

天下茶屋駅で「特急りんかん」に乗り換えました。
天下茶屋って、いい名前ですね。天下を見渡せる茶屋があったのでしょうか。
調べてみたら、秀吉が千利休に茶を点てさせたゆかりの地だそうです。
天下人、秀吉からきた名前だったんですね。
東京の御茶ノ水と由来が似ていますが、あちらは江戸だけに、お茶を飲んだのは家康公でした。



「特急りんかん」は「特急こうや」との併結列車。
こうやとりんかんの違いは行き先で、こうやは極楽橋駅、りんかんは橋本駅行きになるそうです。

◆ 滝ガールトーク

りんかんでは、アヤコさんと隣の席になりました。
前々から「知り合いに滝ガールがいる」とアッコさんに聞いており、今回とうとう初顔合わせができたわけです。
袋田の滝に癒されてきたばかりという彼女と、さっそく滝トーク開始ー、カンカンカーン。

日本の滝がお好みだそうで、海外の大飛瀑はイマイチだそうです。
イグアスの滝の話をしようと思いましたが、それを聞いて(あ...)と話題を引っ込めました。
滝行も好みではなく、あくまで滝のある自然の調和を愛でているとのこと。
「白糸の滝っていう名前がたくさんあって混乱しちゃう」と訴えて?みました。

私が好きな滝は何かしら?と考えます。
日光の「龍頭の滝」と「湯滝」がお気に入り。
「那智の滝」も外せませんが、好きというには神々しすぎて。
屋久島の「大川(おおこ)の滝」が、私の一番でしょうか。

ダムの放水もお好きとのこと。私もー♪
ダムカードのことをご存じなかったので、意気揚々と(笑)説明しました。

吊り橋好きの私とは、ネイチャーな感じが結構近く、話も盛り上がります。
今度、大分の九重“夢”大吊橋に行くと聞いて、うらやましさMAX!
日本一の高さ長さを誇る歩行者用吊り橋!渡りた~い!
「滝と橋で、いつかコラボを組みましょう!」と固く握手をしたところで、終点橋本駅に到着しました。

ここからは「快速急行」に乗り換えて10分。九度山駅で降りました。

◆ 空海と真田の九度山

九度山ですよ、九度山!
真田親子が蟄居していた雌伏の里にとうとう来ました!
前々から訪れたかった場所なので、嬉しさいっぱいです。
真田ファンですが、ここは真田の本拠地、信州上田とはわけが違い、東京からそう簡単に来れる場所ではありません。



名前も不思議で惹かれます。
空海の母君が、息子に会いたさに女人禁制の高野山のそばに住み、空海が月に9回、母の元へ通ったということからついた名前だと、最近知りました。
それまでは、真田のことしか眼中にありませんでしたが、もともと空海ゆかりの地だったわけですね。
歴女から仏女にシフトしていくと、入ってくる情報もまた変わるものです。

◆ 幸村庵で上田蕎麦

真田昌幸・幸村父子が配流された真田庵の隣にある「幸村庵」で昼食をとりました。



古民家を改築しており、全席お座敷。
六文銭の描かれた赤い座布団に、テンションが上がります。



九度山町と長野県上田市は、真田繋がりの姉妹都市。
幸村にちなんで、土地の人達が上田に行き、蕎麦作りを習ったのだそうです。
長野県産の蕎麦粉を使った、もっちりした二八蕎麦。
この味と食感を、真田三代も味わったんでしょうね。
紀州で味わう信州そばも、また乙なものでした。



またこの辺りは、日本一の富有柿の産地ということで、柿の葉寿司も一緒に出てきました。
「奈良のものとは少し味付けが違うんです」とお店の人が言いましたが、本場のものも食べ慣れていないため、味の違いが分かりませーん。
酢飯とキュッと締まった鯖が、おいしかったです。
真田親子は食べたのかしら?富有柿は食べたかもしれませんが。



さらに、高野山ということで、胡麻豆腐も出てきます。
これも親子は食べたのかしら?
つい、真田ファミリーのことばかり考えてしまいます。

つまりこの幸村膳は、高野山・九度山・上田の味がミックスされたものなんですね。
天ぷらのエビがとても新鮮で、忘れられない美味しさでした。



お店の床の間には、真田の鎧甲が飾られていました。
鮮やかな赤揃えは、さぞかし戦場に映えたことでしょう。
「甲冑の前に貼られているのは高野紙で、この地方独特の風習です」と教えていただき、たしかに中国の切り絵のようなものが貼られていることに気が付きました。
真田といったら真田紐ですが、高野紙もあるんですか。
紙と紐のコラボレーションですね。
食事も美味しいし、真田のことも気になるし、チェックしたいことが急に増えて、頭のなかは一気に大忙しです。

◆ 丹生官省符神社【世界遺産】

昼食後は、シティガイドに街を案内してもらいます。
この神社の名前が読めません。じんたん?うに?
「にうかんしょうぶ」神社と読み、丹生都比売大神を祀る、官省符荘にある神社という意味だとのこと。
空海によって816年に慈尊院と共に創建された、この地方の鎮守でした。



神殿横には巨大な絵馬が飾られ、空海を高野山へと導いた白と黒の犬が描かれていました。
「ここの神社には、狛犬が無い、ナイ」とキョロキョロする私に、何人もの人が「あの絵に描かれてるからじゃないの」と言いましたが・・・
あれは犬で、狛犬じゃないのよー。



入り口の鳥居の下には、茅の輪がありました。
見慣れたものよりも、かなり小ぶりで、男性は相当身をかがめなくては通れなさそう。
(あれをぐるぐるくぐるなんて、大柄の人ほど体勢がつらそう)と思ったら、ここは単に通り抜けるだけでした。
関西と関東の風習の違いかしら?



裏参道から神社を参拝したため、はじめは(おや?)と思いましたが、ほどなくしてそのわけがわかりました。
鳥居をくぐったところに、下へと続く石段があったのです。
暑い中、下から上に上がるのは大変なので、下るルートを考えてくれたのでしょう。

降りたところには、慈尊院がありました。

◆ 慈尊院(女人高野・結縁寺)【世界遺産】



空海が丹生都比売大神と一緒に創建した神社です。
もちろん、高野山真言宗の寺院。



空海の母が入滅して弥勒菩薩に化身したとされ、奈良の室生寺などと並ぶ「女人高野の寺」として賑わっています。
女性の厄除けや乳がん治癒祈願のために、無数の乳房形の絵馬が奉納されていました。
女性が作ったものだけに、一切いやらしさはなく、かわいらしい手作り絵馬でした。



古さと伝統の漂う境内。
御朱印をいただこうと思いましたが、ちょうど観光バスが到着して、ご年配の女性たちがワーッと寺務所に押し寄せたところだったので、やめておきました。



◆ 真田庵(善名称院)

寺社の参拝を済ませ、今度は幸村庵の左側にある真田庵を訪れました。
蟄居生活を送った真田父子の屋敷跡に建てられた尼寺。
お寺というよりは、小さな城郭、もしくは大きな古民家のようです。



古めかしい木の山門には、真田の家紋である六文銭が彫り抜かれていました。



もう片方には雁(かり)の家紋が。
真田イコール六文銭のイメージが強いですが、この雁金紋も、真田の家紋です。
六文銭は戦いの時、雁金紋は平和な時に使い分けて用いたそうです。



気のせいか、古めかしさのせいか、門の内側から見えない迫力を感じますが、勇気を出して足を踏み入れます。
境内にお社があり、真田地主大権現が祀られていました。
真田三代の御霊を合祀しているとのこと。



この地で亡くなった真田昌幸も神様になっていたんですね。
慰霊と鎮魂の祈りを捧げました。



上田の後にここを訪れ、これでようやく真田詣でが完結できた気がする私は、大満足。
でも「あれ、カメラのシャッターが降りない。もしやこれは・・・」なんて言い出す人もいました。
いえいえ、真田は神様として祀られているんですから、もう大丈夫。
菅原道真が学問の神様になったように、真田昌幸は武術の神様になったのでしょう。



屋根瓦に、反り返った小さな狛犬が乗っています。
「かわいい!」という声が聞こえたので、思わず「あれは出雲型なんですよ」と言ってしまいました。
「え?それ何ですか?」と聞かれ、真田権現の前でプレスの方々に「狛犬の出雲型とはですね・・・」と説明をしてしまいました。
目立たないようにするはずが、マニアックな人扱いされてしまうわ~。

本堂には「おびんずる様」の像があり、「これは誰ですか?」「なぜこんなところにいるんですか?」という質問に対して、また解説をしました。
ここですっかり歴女・仏女のカミングアウトをしてしまいました。(まあ、時間の問題だったという話も)

◆ 九度山散策

それにしても、暑い!
アスファルトの照り返しと立ち上る熱気にクラクラします。
幸村は、お兄さんの信之に「こっちは雪が降って寒いから、服とか食べ物とか送って」と懇願の手紙を送っていたので、てっきり寒い山の中なのかと思っていましたが、なんなのこの暑さー!

まあある意味、暑くてよかったところはあります。
でないと、私一人で羽が生えたように、「幸村ー♪」とフラフラどこかに行ってしまいかねなかったので。
温度計は30度をさしていたそうで、「九度山のイメージが変わっちゃうね」と話しましたが、東京はもっと暑かったようです。

町には紀ノ川が蛇行して流れており、涼しげです。
紀の国~紀の川~♪
「紀の川」は「モルダウ」や「大地讃唱」と並んで合唱コンクールの定番曲ですが、近くの金剛出身の方は、「歌があるんですか?有吉佐和子の小説しか知りません」という反応でした。
現地の人は歌わないのでしょうか。

九度山散策を終えて、駅へと戻ります。
関東からは、なかなか行きづらそうなイメージがありますが、真田ファンにとっては、ここは特別に訪れたい場所のはず。
九度山は真田以外にも見どころが多い、魅力的な場所でした。

駅のホームに「好きっぷ」のポスターが張ってあり、去年これを使って徳島に行ったことを思い出しました。
そういえば、南海の企画チケットでした。

◆ 「天空」かぶりつき

九度山駅で電車を待っていたら「天空」がやってきたので、小躍りしました。



前々から乗ってみたかった天空。
しかも今回は、一車両目の一番前の席と横の席を確保してもらっています。
うれしい!リアル鉄子のアッコさんと浮かれます。
後ろにはオープンデッキがあり、自然の風を味わえます。



最前列は、やはり子供達に押されぎみ。
最近の子供達は、一眼レフをめいめい首から下げていて、本格的ですね。(そしてリッチ)
ひたむきな目で、車窓を眺めています。



見渡す限り、のどかな里山風景が広がり、緑はどんどん深くなっていきます。
線路はくねくねと蛇行しながら、傾斜を登っていきます。



急勾配トンネルが23もある、山深い路線。
線路は単線で、ところどころですれ違うためにふた手に分かれています。

●YouTube:「天空」に乗って「こうや」とすれ違う


この動画を撮っているところを、激写されていました。ああかぶりつき(笑)。



車両内に「東急車輌」という表示がありました。
おやと思ったら、南海では車輌をいつも東急車輛製造株式会社に依頼して作ってもらっているとのこと。
知りませんでした。まさか、和歌山で東急の名前を見ようとは。
東急ユーザーとして嬉しくなりますが、「でも今は、東急車輛がJRに組み込まれたので、名前が変わって、もうこの表記はなくなったんですよ」という話になりました。

「えっ、東急車輛はもう無いんですか?今は何になったんですか?」
「うーん、JRの子会社になった名前はなんだったかなあ?」
その場にいる人達で考えていたら、そばにいた小学生が「総合車両製作所!」と教えてくれました。
「おお~、さすがは鉄っちゃん!」「将来有望!」「でも学校の勉強もするんだよ!」
みんなで少年をやんやと褒め称えました。



この天空、一日2本しか走らないらしく、予約をとるのが大変な人気列車だそうです。
一番前のかぶりつき席に座れて、本当にラッキーでした。

◆ ケーブルカー
 
天空は終点の極楽橋に到着。名残惜しくも降りて、ケーブルカーに乗り換えます。
駅のそばには朱色の橋がかかっていました。これが極楽橋ですね。
ホームには、無数の風鈴が飾られていて、涼しげでしたが、風が吹かないため、静かなままでした。





ケーブルカーがホームに停まっている段階で、かなりの斜めっぷりに驚きます。
延長0.8km、最高勾配30度。傾斜日本一なんだとか。



動き出してすぐ、スカイツリーの高さを越えたとの表示がありました。
上を見ても下を見ても、バランスを崩しそうなほどの急斜面。
これはすごいです。



かつてルーズベルト大統領夫人は、イグアスの滝を訪れた時に、その巨大さに「かわいそうな私のナイアガラ!」と言ったそうですが、私は「かわいそうな私の大山ケーブル!」と言いたくなりました。

今年二回乗った大山ケーブルカーも、かなりの傾斜でしたが、こちらのほうがはるかにうわて。
5分間で、340m上の高野山駅まで上り詰めました。

◆ 高野山駅

とうとう高野山駅までやって来ました。



九度山はうだるような暑さでしたが、さすがにここまで来ると、肌寒くなって上着をはおりました。
ひたすら山を登ってここまで来たのです。
これから路線バスの臨時便に乗り換え、貸切状態でさらにカーブ道を上がっていきます。



以前訪れたときは、麓からバスで登ったため、死にそうなほどヘビーに酔ってしまいましたが、今回のこの距離では全く問題ありませんでした。
10分程度で、壇上伽藍前に着きました。

1日目その2に続きます。

玉川・多摩湖・国分寺(小平・狭山)

2013-07-04 | 東京
● prologue
● 小平霊園は実は公園
● 玉川上水といえば
● 涼を求めてひと山越えて
● 山口観音のブレイクベル
● お寺にクジャク
● 狭山不動寺
● 西武球場
● 国分寺ウォーク
● にしこくんの町
● epilogue

西武新宿(西武)→小平【小平霊園】【ランチ】(西武)→玉川上水(多摩都市モノレール)→上北台(walk)→【多摩湖】【山口観音・不動寺】西武球場前(レオライナー)→西武遊園地(多摩湖線)→国分寺(walk)→西国分寺(南武線)【にしこくん】

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● prologue

先月、友人のルーツを訪ねる旅に出てから、ルーツや先祖が気になるようになった今日このごろ。
「いつか尊敬する人のお墓に行きたいと思いながら、なかなか腰を上げられずにいたけれど、このタイミングでなら行けそう」と言う友人と、お墓参りにでかけました。

プチ墓マイラーの私。
かつて指揮者のカラヤンが亡くなった時に、教会を調べて、オーストリアにお墓参りに行きました。
翌年、一周忌だからと再訪したら、墓守のおじいさんが私のことを覚えていてくれました。

広い墓地を散策しながら有名人のお墓巡りをしたことはありませんが、今回訪れる小平霊園には、著名な方々が大勢眠っているそうです。

● 小平霊園は実は公園

西武新宿駅で純と待ち合わせ、小平に向かいました。
5月に川越に行った時にもこの駅で集合しました。もうしばらくは乗らないだろうと思って沿線なんですがー。



駅を降りるとすぐに小平霊園がありました。
駅チカ!というより、駅前!
というより、霊園があるから、ここに駅が作られたような感じです。



花屋さんも何軒も軒を連ねていました。
みんな横並びの同一料金で、協定を結んでいるようでした。
「自転車貸します」と書かれた張り紙を見て、霊園の広さが予想されます。

足を踏み入れると、確かに広大な墓地でした。
これではとてもわからないと、まずは管理事務所に寄って、場所を聞きました。
ここは、東京都公園協会が管理しており、公園の扱いになるようです。

有名人のお墓マップをいただきました。
知っている名前がずらりと並んでいます。
純の目的のお墓参りをしたあとで、気になるお墓を探してみました。

『二十四の瞳』の壺井栄や『七つの子』の野口雨情も気になりましたが、訪れたのは柳宗悦と小川未明の眠る場所。
どちらの作品も好きです。
こちらは柳宗悦のお墓。シンプルで前を通りすぎてしまい、番号を確かめながら戻りました。



純も柳宗悦は好きだそうですが、小川未明のことを知らなかったため、『赤い蝋燭と人魚』のあらすじを話していたら、なんだかホラーじみて、寒くなってしまいました。
暑い夏にピッタリ(!?) いえ、哀しいお話です。
こちらは未明のお墓。



ちょうどミネラルウォーターを持っていたため、それをお参りした墓石にかけてきました。

車も入れる広い舗装道が続き、よく手入れされているお墓がほとんど。、じめっとした暗いイメージは全くありませんでした。
木立の下を、マラソンをしている人もいました。

マンホールのデザインが気になって、パチリ。
てっきり小平のものだと思ったら、東村山市のものでした。
広大な小平霊園は、小平市・東村山市・東久留米市に渡っており、公園事務所があるのは東村山市なんだそうです。



お昼にしようと小平駅前に戻りましたが、駅前には何もありません。
駅前商店街も見当たらいため、小金井の友人にランチの場所がないかメールで聞きました。
友人からは「小平と小金井は違うよ!」とツッコミの返事をもらいました。隣じゃな~い。
「小平霊園に来たって、もう墓地買うの?」という反応。
そうそう、今のうちに買っておこうかと思って・・・ってちがーう!
ケンタに入ろうとしたら「今日は食べ放題の人優先です」と言われ、「無理だね」とあきらめてミスドに入りました。

● 玉川上水といえば

さて、これからどうしようということになります。
路線図を見ると、玉川上水駅がありました。
玉川上水といえば、思い出すのは太宰の入水事件!そして玉川兄弟の像!

かつて、いつも着流しにゲタの書生姿で現れ、なにかというと「玉川上水に飛び込んでやる!」が口癖の友人がいたことを思い出しました。
彼は元気かしら。口だけで、まだ飛び込んでいなければいいけれど。
意外と、過去を綺麗さっぱり忘れて、バリバリのビジネスマンとして働いていそうな気もします。

ということで、玉川上水駅に行きました。
ええと、多摩川はどこかしら。
ありました。ありましたが、銅像らしきものはありません。
よく見る写真では、兄弟像の周りは視界が開けて明るい場所になっていますが、川の周りは木々が生い茂ってうっそうとしています。
太宰ゆかりの説明文なども、一切ありません。
地図さえもないので(おかしいな)と、駅の地図を見ようとしたら、ネットチェックした純が言いづらそうに「この辺じゃないみたい・・・」とつぶやきました。

「え?だってここ、玉川上水じゃない」
「太宰が入水したのは、三鷹の方だって」
「えー!玉川上水ってここじゃないの?」
落ち着いて考えると(おバカでゴメーン)な発言ですが、純は「流域全部を指すから、該当範囲は広いよ」と、きちんと教えてくれました。(ありがたいわ~)

「じゃあ、玉川兄弟の像は?」
「それは、羽村堰にあるみたい。最寄りは羽村駅。」
玉川上水駅と羽村駅は、路線も違うしかなり距離があります。

ここでは太宰も飛び込んでいないし、兄弟の像もない。
なんにもないじゃない~。ああがっくり。
「じゃあ、せめて散策しよう」と言ったら、「蚊に刺されそうだからやめとこ」と言われて、結局傍に行っただけで終わりました。



私、玉川上水とは、多摩川上流にある、堰のようなポイントだと思っていたんです。
水路だったんですね~。。。

まあ、いくら「太宰の玉川上水入水」が有名でも、人が事件を起こした場所に行きたいわけではありません。
とりわけ、お墓参りのあとに訪れる場所ではないですね。
それに私、別に太宰が好きなわけではないんだったわ。
でも、金木の「斜陽館」は訪れたことがあります。
蒸し暑さで、考えがまとまりません。頭がモウロウとしています。

● 涼を求めてひと山越えて

暑い日だったので、なんだかとっても水辺に行きたい気分。
玉川上水にフラれてしまったので、「じゃあ湖の方に行こう」ということになりました。
地図を見ると、多摩湖に橋がかかっています。
大きな湖を越えられるなんて、ロマンチックだわ。

モノレールに乗り、終点で降りました。一山超えれば、多摩湖です。
地図上では、道をまっすぐ進んでいくと、湖にあたりますが、寺社をみるとついフラフラと立ち寄ってしまう私たち。
いつの間に、こんなにシブい路線になってしまったのかしら。
あちこち寄り道をしながら向かいました。
ワクワクする橋もあります。
暑い暑いと言いながら、登って降りて、ひと山超えたら、そこに湖が広がりました。
広いわー。凪いでいるわー。

途中、木立の中から赤い橋が見えてきます。なんだかすてき。



名前は鹿島橋。名前の確認に気を取られていましたが、このレリーフ、さっきどこかで見たような気が・・・。
小平霊園で見かけたマンホールの柄と一緒でしたが、この時には赤い橋に浮かれて、全く気づいていませんでした。



湖の真ん中を突っ切って行く道がありますが、そこは車両専用で、歩行者は車道の斜め下にある散策路を通ります。
見晴らしはいいのですが、片側だけで、もう反対側は、車道の土手で見えません。

こちらが右側。湖がきれいですねー。


こちらが左側。地図では橋のようすが、実際には完全に土手になっています。
橋好きとしてはウーム、なにかが違う・・・。


でも、さわやかな気持ちになりました。
うまく見えませんでしたが、多摩湖の取水塔前を通りました。
「橋があるのに渡れないー」とブツクサいう私に「あれは橋じゃないから」と訂正を入れる純。
あれは多摩湖の取水塔。あとにして思えば、あの小平霊園で見かけたマンホールの柄だったんですが、その時には暑さにめげそうになっていて、全く思い当たりませんでした。



多摩湖は東村山市にあるんですね。ちなみにお隣の狭山湖は、所沢市になるそうです。
2つの湖の間に、東京と埼玉の境があったとは。

● 山口観音のブレイクベル

さらに歩いて行ったところで、純が「あれ・・・」と、ためらいがちに指差します。
それは、山口観音の標識でした。
観音巡り真っ最中の私たち。「聞いたことないけれど、行ってみよっか」と二人で向かいます。

門の前には弁天池。古めかしい山門は迫力いっぱいです。
古刹という名前がピッタリの、重々しい雰囲気のお寺でした。



武蔵野観音霊場第13番札所。
新田義貞の鎌倉攻め祈願のお寺だそうで、彼の愛馬のレプリカもありました。



お堂の周りには、マニ車があったので、もちろん回してみます。
ここではマニ車ではなく「ブレイクベル」という名前になっていたので、(あれっ?)と驚いて一瞬手を止めました。
何を破るんでしょう?沈黙?そしてマニ車は、ベルなんでしょうか?



お砂踏み洞窟があったかと思うと、塀に竜がうねっており、中国・ビルマ・タイ・チベット、いろいろな仏教国のエッセンスがギュっと詰まった、荘厳だけではない、摩訶不思議なお寺でした。



● お寺にクジャク

境内に鳥小屋があり、中に2羽の孔雀を発見。
先日訪れた鷲宮神社といい、なぜ寺社にインドクジャクがいるの・・・?
しかもこの孔雀、私たちを見て羽を広げてくれました。
ワー、シャッターチャンス!



喜んで、何枚もバシバシ撮影しましたが、ひとしきり撮り終えても、孔雀は全く羽を閉じる気配もありません。
「もういいよ・・・」と言っても、はりきって、時々羽を揺らして見せてくれたりします。
もしかして、私たちに求愛しているのかしら?
少し角度を変えると、きちんと向きを合わせてくれる、理想的なモデルです。
しばらく見ていましたが、全く閉じる気配がないため、根負けして、羽を広げたままの彼にバイバイしてその場を離れました。
私がクジャクだったら、小屋の中に入っていったんですけどねー。

● 狭山不動寺

このお寺の隣の敷地には、不動寺があります。
観音様と不動様は、やっぱりタッグを組んでいるんでしょうか。
こちらも参拝しました。



埼玉西武ライオンズの必勝祈願ポスターが貼られていました。
巨大な石灯籠があって、歴史の古さがしのばれます。



神妙にお参りして来ましたが、あとで知ったところによると、ここは西武グループがプリンスホテル開発にあたり、各地の文化財を集め、天台宗別格本山として建立したお寺で、たかだか40年弱の歴史なんだそうです。
「創建:昭和50年 開基:堤義明」とのこと。驚きました!
マネーパワーですね・・・。

自然豊かな境内で、小道でばったりタヌキと会いました。
ええ、あれはタヌキでした。
先に歩く純と、数秒間見つめ合ったあと、タヌキはダッと茂みの中に逃げ込んでしまい、カメラを構えるヒマもありませんでした。

● 西武球場

すっかり暑くなっています。
道路の向こうには巨大な西武球場。
「西武球場といったら、夏のミサトだよね!」と口を揃える、完全に野球オンチの私たち。



試合のない日は、ガランとした西武球場前駅。
小さい時に、親にユネスコ村に連れてきてもらったことがあります。
その時に、素敵なヨーロッパ風の池があったのですが、よく思い出せません。

駅員さんに聞いても「はて?」という感じなので、母に電話をかけて聞き、狭山湖(山口貯水池)だとわかりました。
今回寄ったのは、おとなりの多摩湖(村山貯水池)の方でした。
当時はわかっていませんでしたが、子供の頃にステキだと思ったヨーロッパ風のものとは、狭山湖の取水塔だったようです。
多摩湖にも狭山湖にも、すてきな取水塔があるんですね。



ここからレオライナーに乗ります。ゴムタイヤで静かに走る、なんだか不思議な電車です。
純がかぶりつきの席に座って、ウキウキしていました。



電車は、西武遊園地へと向かって行きました。
このライナー自体が、プレイランドのアトラクションのよう。
じゃあ遊園地で遊んじゃおっか?
でも、この日は平日のため、遊園地はやっていませんでした。
休園日の遊園地ってさびしいわ。



そのまま、反対ホームに停まっていた多摩湖線に乗り換えました。
白いフォームがすてき。
そして国分寺駅へ向かいます。

● 国分寺ウォーク

「じゃあ国分寺(寺)を参拝しよう」と地図を見たら、駅から意外と距離があり、むしろ西国分寺のほうが近そうでした。
うむむ。
「じゃあ、南武線で帰りやすいから、隣の西国分寺までひと駅歩こう」ということになりました。
またきちんと来る時があるでしょうから、国分寺(寺)には寄らないことにします。



たちあおいがきれい。

● にしこくんの町

西国分寺の駅前は、台湾風というか、ロシア風というか、なんだか無国籍な雰囲気がしました。



ここで柱に貼られたポスターにふと目をやり、驚きます。
あ、あなたはもしや(一部で)有名な、にしこくん!?



すっかり忘れていましたが、「なにやらすごいゆるキャラがいる」と教えてもらったものです。
改めて見てみると、圧倒的なインパクトですね・・・バランスがとれているのかいないのか、このあやうさが魅力でしょうか。
美脚??のポンデライオンのようでもあります。



この町で夕食にしました。
暑さと空腹から開放されて、元気になりました。
にしこくんの画像検索をして、二人でのけぞりましたが、もう涼しい場所だったので、倒れこまずに済みました。
にしこくんに追いかけられたら・・・コワイ!

● epilogue

今回は、かなり行き当たりばったり感が強かったのですが、まあそれでも、大回りできて楽しかったです。
忘却の彼方にあったユネスコ村のことを思い出して、懐かしい気持ちになりました。
ハウステンボスや東武ワールドスクエアのはしりのような、海外の建物がたくさん立ち並ぶ、楽しい場所でした。

また、最初の小平で見かけたマンホールの柄と、鹿島橋のレリーフにあった場所、多摩湖の取水塔に、気づかぬまま訪れていました。
多摩湖の取水塔は「日本で一番美しい取水塔」なんだそうです。
訪れた場所がかすかな線でつながった、ふしぎな気持ちです。
取水塔、これからチェックしようかしら。

いつか国分寺を参拝するときには、怖いもの見たさで、隣町のにしこくんにも会いたいものです。
それまで、にしこくんが消えてしまっていませんように。
逆にパワーアップしていたら、受け止めきれなさそう・・・(笑)。