その1からの続きです。
○ 平安郷でリラックス
広沢池のほとりの平安郷を散策中。
嵯峨野の風光明媚な場所を愉しんでいます。
天気も良く、そう寒くもなく、すごしやすい気候。
外にいても身体は冷えず、ゆっくりできる、散策日和です。
中央広場では人々がお弁当を広げ、子供たちが無邪気に走り回っています。
写真には誰も写っていませんが、無人の場所を撮っただけで、実際には大勢の人々がいましたよ。
みんな幽霊じゃありませんでしたよ(笑)。
広大な土地ですから、ここを整えるために、何人もお抱え庭師がいるのでしょう。
陰で支える人たちの努力で作り上げられた、いきとどいた空間です。
小川が流れる横の細道を、お茶席帰りと思しき和服の方々が通って行きました。
『細雪』の世界ですね。
無人の写真ばかりなのもなんなので、人も入れてみました。
観光地では、人を入れないように写真を撮るのに苦労しますが、ここはそれなりに人が入っているのに、風景のみの写真が楽に撮れます。
それだけ広いのです。
どこを見ても、絵になる庭園です。
○ 懲りずに登山
小高い丘の上の展望台に登ると、上から嵯峨野を望めるとのこと。
昨日の愛宕山登山で脚を使いすぎで、登山のはもうだるいのですが、逆にふくらはぎを追いこんでみようかという謎の冒険心が発揮されて、上まで登ってみることにしました。
つづら折りの山道の箇所箇所に、係の人が控えていて、フーフー言いながら登る私たちを励ましてくれました。
みなさん優しいわ。
一番上の展望台に上がり、広沢池を見下ろしました。
うーん、きれいです。春にはさまざまな花が咲いて、またさぞ美しくなることでしょう。
嵯峨野の奥の山々を眺めながら、(昨日登った愛宕山はどこかな)と探しましたが、わかりません。
土地勘がないので聞くに限ると思い、帰りがけに、園の人に聞いてみると、「あれは嵐山で、愛宕山はここからはちょっと見えませんね。こっちです」と、少し離れたところまで手引きして、別の山を指さして教えてくれました。
確かに角度を変えたところからは、ほかの山よりもすこし高くなっている山が見えました。
○ 宗教のかすかな気配
敷地はすべて公開しているわけではなく、立ち入り禁止の場所がありました。
要となる神域なのでしょう。もちろんパンピーは近寄りませんよ。おとなしく遠巻きにしています。
敷地の中には、浄霊体験をしてくれる建物もありました。
浄霊っていう言葉、初めて見ましたよ。
後で調べたら、世界救世教では、信者が手をかざして浄霊儀式を行うそうです。
前日愛宕の神様にパワーをいただいたばかりの私は、さしあたり大丈夫のはず。
園を出るときには、なごやかにお喋りしながら前を歩いていた人々が、ふっと会話を中断して一斉にくるりと後ろを振り返ったので驚きました。
みなさん、苑内に向かって深々とお辞儀をしていました。
それを見て(わ、私はどうしよう)と、おどおど。
やはり苑内にいたのは、信者の方々がほとんどだったのでしょうか。
たまたまふらりと入ったこの庭園。
宗教法人の所有だったので、一瞬躊躇しましたが、勧誘や浄霊されるようなことは一切なく、みなさんにとてもにこやかに応対していただきました。
やっぱり宗教を支えにしている人は、総じて優しいですね。
敷地面積1.5万坪の広大な苑内でじっくり過ごし、堪能しました。
自分が旅をしている最中だということを忘れそうなのんびり気分になれました。
○ 千代の古道
帰り道、「千代の古道」の石碑を見かけます。
そもそもこの広沢池が気になったのは、千代の古道がいろいろな和歌に取り上げられていると知ってから。
広沢池の東にあったとされるこの道を、天皇が御所から嵯峨離宮へ行幸され、平安貴族が大沢池にお月見に出かける時に通ったそうです。
京都駅行きのバスに乗り、再び仁和寺前を通ります。今度は仁王様を撮影できました。
この仁王門、大きいし道路に面しているため、なかなか撮影しづらいんです。
バスから見るのが、一番ほどいい距離かもしれません。
京都駅に着いた頃には4時すぎていました。
そろそろ日が沈んでいきますが、あとうちょっと巡れるかな。
この前、かっこいいバスドライバーの名前を見つけてから、ふと車内に出ている運転手名に名前がいきます。
この日の運転手さんも、絵になるお名前でした。
ただ前の時もでしたが、どんな人なのか、降りる時に顔をチラ見するのを、また忘れちゃいました。
名前イケメンの人は、そのイメージのままでいたいですしね。。。
○ 清盛の神社
バスを乗り換えて、西大路通り沿いにある若一(にゃくいち)神社に向かいます。
ここは平清盛ゆかりの神社。
かつて、平清盛の邸宅の西八条殿があった場所に鎮座しています。
場所がはっきりしなかったため、いままで参拝していませんでした。
正確な場所をわからないまま向かい、通りをバス停1つ分歩いて見つけた時には、すでに辺りは暗くなりつつありました。
神社の前にあるのは、楠社(くすやしろ)。
平清盛が太政大臣に任ぜられたお祝いに、彼が植えたものだそう。
「やった、太政大臣になったぞー!」嬉しかったんでしょうね。
彼のハッピーな気持ちと一緒に植えられた若木は今なお健在。
歴史を知る、樹齢800年以上の巨木なんですね。堂々とした若一神社の御神木です。
こちらは平清盛像。
フラッシュをたいて写真を撮ると、なんだかこわいー。
繰り返しますが、寺社参拝は明るいうちがいいですね。
それでも旅行最終日なので、やっぱり今回も夕暮れ近くまで滑り込みでお参りします。
参拝を済ませ、再びバスに乗ろうと、通りの向かいに渡って振り返ると、神社がぱっと明るくなりました。
えっ?
時間はちょうど5時。こうこうと明かりがついたので、再び通りを渡って神社を参拝し直しました。
こちらは地下から湧き出る神供水。
清盛の水が気になっていて、あれかな、これかなと、薄明かりの中で手水舎の近くにないかと探していましたが、灯りが付いたことで、その奥に見つけられました。
もう一度仕切り直してよかったです。
これで、この旅の寺社参拝はおしまい。
あらためてバスに乗り、数個先の梅小路公園前で降りました。
○ 夜の梅小路公園
入り口からのぞく公園は、一見とても暗くて足がひるみますが、目が慣れてくると、割と大勢の人がすたすたと歩いているとわかり、勇気を押されて私も中に入ってみました。
これまで梅小路公園に訪れたことはありませんでした。
蒸気機関車がずらりと並んでいるところなんですよね。
なんでも西の大宮鉄道博物館のようなものを作るという話なので、リニューアルする前に見ておければと思ってやってきました。
前に京都で知り合った人が「くるりのライブをやる聖地」と言っていたことを思い出します。
彼らは京都出身だそうですね。久留里(千葉)の人だと思っていました。
公園内は、ちょうどライトアップ中。係の人に話しかけられたので、蒸気機関車のことを聞いたら「すでに建て直し工事に入っているため、今は見られないんです」とのこと。遅かったー!
ただ、市電は展示されていたので、それでよしとしました。
車両は、オシャレなカフェやバーに改築されていました。
園内には水族館もあります。前からあったのかな?
スーベニアショップをのぞいてみたら、大サンショウウオグッズがたくさんありました。
ここの花形だそうです。夏には山形のクラゲ水族館に行ったなあ。
○ 駅前レインボー噴水
散策を済ませて京都駅に戻ると、駅前では音楽に合わせて七色の噴水が動き、道行く人たちの目を楽しませていました。
大勢の人が眺めていましたが、風向きによって水しぶきが私たちの方へ飛んできました。
きゃー、冷たい!まあ、マジカルだから、いいか!
夜になり、ずいぶん寒くなっていますが、怒っている人は誰もいませんでした。
○ 消えたイルミネーション
クリスマスまであとひと月。この時期になるとキラキラ輝きだす、駅の大きなクリスマスツリー。
撮る角度を選んでいたら、ピカピカまたたいていたイルミネーションが、音もなく落ちたので、呆然としました。
点灯時間がちょうど終わったようです。
時間になったら灯りがついた、先ほどの若一神社の逆パターン。
よくわからないけど、これでプラマイゼロですね。
この日も3万歩は歩きました。
あとは帰るだけ。シーユー京都。
ロッカーから荷物を出して、帰途につきました。
○ epilogue
2015年の京都旅行も無事に終了。
今回も、楽しい旅でした。
毎回楽しみにしている紅葉は、これまで訪れた秋では一番色づいておらず「これはあかーん」状態でしたが、宇治を拠点にのんびりできたこと、横浜の友人と京都で再会できたこと、広沢池を思わぬ形で鑑賞できたことなど、いろいろな思い出ができました。
中でも一番心に残ったのは、根性入れて愛宕山登山を果たしたこと!
愛宕詣でができたので、これから先、火事に遭う確率はかなり減ったことでしょう。
とっくに3歳こえてるけど!神様もビックリの年齢サバ読み!
一緒に登ったリポビタンD仲間のチカラ君は、今はセブの空の下にいます。
ファイトー!一発~!
きっと南の島で、京都と山伏のことを広めていることでしょう。
秋の京都はどこへ行っても激混みですが、地元の人しか行かない場所は、いつもと変わらぬ通常モード。
マイナーどころでのんびり過ごせた、今回の旅でした。