風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

平原の国ポーランドへ 6-(1) ソポト

2018-10-24 | travel
5日目からの続きです。 

● 充実の朝食

昨晩遅く寝たので、起きてからのんびり過ごして、レストランに行きました。



この日も嬉しい、充実した朝食。



ナッツ類が詰まったボトル。一番右は、はちみつ漬けアーモンド。
長い間漬け込んだようで、よく味が染みて柔らかくなっていました。



ハムとチーズの種類が、日本に比べて充実しています。
やはり酪農国ですね。



いろいろなパンが無造作に入った木箱。
全部味見してみたいけど、ムリだわ~。



クロワッサンがおいしくて、毎朝食べました。

● ダニエルダウン

食事を済ませて、リョコちゃんは大学へ。
今日が学会最終日です。
夕べ、みんな浴びるようにお酒を飲んでいましたが、今朝はちゃんと参加するのかしら。
きっと通常モードに戻っているんでしょうね。

私は13時にダニエルが迎えにくるまで、辺りを散歩しようと思っていました。
ところが、マルヴィナから「突然彼が体調を崩してしまったから、病院に連れて行く」と連絡が入りました。
「こちらのことはいいから、お大事にね」と返します。
そんなわけで、一日フリーになりました。

● ショパン通り

さて、では散歩に出かけますか。
ショパン通りという名前の道を通って、海へ向かってみます。



立派な建物ですが、これは何でしょう?
普通に人が入っていくので、私も続いて潜入してみます。
中に入れば、何の建物かわかるだろうと思いましたが、小さな小部屋がいくつかあるだけで、わかりませんでした。
公民館かな?


重厚な入り口。入ってみたくなりますよね。


後日、ダニエルに聞いたら「市役所だよ」とのこと。
それで立派な造りなんですね。

● 鳥の楽園

ショパン通りには、彼の名のついた宿もありますが、この町にショパンが来たのかはわかりません。
ピチピチと鳥たちのさえずり声がして、頭上の建物を見上げました。



窓のところに餌箱が設けてあり、鳥がたくさん集まって来ています。
鳥のパラダイス。見ている私もパラダイス。
窓も少し開いているので、小鳥が中に入ってきたりもするんでしょうね。
ああ、パラダイス。



近くには、エデン・ホテルがありました。
楽園ホテルなんて素敵な名前。パラダイスばかりです。



● 辻占い師

遊歩道を歩いていると、向こうから歩いてきた女性が、突然ハッと何かに気づいた様子で、道沿いのベンチに走り寄りました。
そしてそこに座っていた女性と向き合って、なにか話し始めました。



友だちを見つけたのかな?と思いましたが、和気あいあいとしていないし、2人の年齢は親子ほど違います。
すれ違いざまに見たテーブルには「Wrozby z kart」(oとzはポーランド文字)と書かれた赤い紙がありました。
おそらくkartはカードのこと。
トランプ占い師に見てもらっているのでしょう。

日本の街角には、手相占い師ならいますが、トランプ占い師はいませんね~。

● レイニービーチ

浜辺に出ましたが、あいにくの小雨が降りはじめました。
雨自体は大したことはありませんが、風が強いため、傘をさしていてもしっとりと濡れてしまいます。



白鳥たちは海に浮かんでいます。
雨の砂浜に足を踏み入れると、靴が砂だらけになるので、遠くから眺めました。
この日の海辺は、前日とは打って変わって荒涼としており、もの悲しい気持ちになります。



● 聖ゲオルギウス教会

海風を受けて立っていたら、寒くなってきました。
帰りの道すがら、雨宿りを兼ねて、ホテル向かいの聖ゲオルギウス教会の中へ。



いつでもここは人が少なく、静か。



雨風はしのげますが、天井の高い石造りの聖堂は、中も冷え冷えとしていました。

● ホテル レジデント

すっかり身体が冷えてしまったので、ホテルに戻ります。



そういえば、滞在ホテルの名前を書いていませんでした。
ホテル レジデント ソポト(Hotel Rezydent Sopot)です。

● 琥珀のお誘い

大学にいるリョコちゃんから「もうすぐ終わるので、ダニエルがいないのなら、みんなとグダンスクに琥珀を買いに行こう」と誘ってもらいました。
学会後に出向いてショッピングをし、夕食もとる予定だとのこと。
学会参加の皆さんは、まだ日中にグダンスクの町を観光していないのです。

そこで、学会の終了を待ちますが、寒い日に外を散歩したせいか、なんだかおなかの調子がいまひとつ。
ホテルの部屋で横になって待っているうちに、うたた寝していました。

● 私もダウン

リョコちゃんからの連絡で、目を覚ましましたが、おなかの冷えは収まらず、先ほどよりも腹痛を感じていました。
この体調でグダンスクまで出て、冷え込む石畳の道を歩き周るのはちょっときついかも。
そこで、せっかくですがみんなとジョインするのはやめて、この日はおとなしく過ごすことに決めました。

● ホテルを探検

暖かくしてしばらく安静に過ごしていたら、冷えが治まってきたので、ホテルの中を散策してみます。
ホテルは、部屋がぐるりと四角く配置されており、中央は吹き抜けになっています。
下をのぞくと、朝食をとるレストランでした。


映画のセットのようなレストラン



ホテル探検中


客室ドアの横にこんな椅子とテーブルが置かれていたりする、贅沢なゆとりある空間です。



まるで、時が止まった貴族の館のようです。



部屋の中はカーペットオンカーペット。どのドアも大きく重厚です。



● ホテルのメイドさん

散策中に、メイドさんに遭遇しました。
膝下裾の黒い服にフリルエプロン。
まさにメイド!という格好です。
わー、本物!? ついつい目で追ってしまうと、私の視線に気づいて、にっこり微笑みをくれました。


メイドさん


貴族の館のような建物に、しっくり合っています。
客室清掃係の人でした。
こういう人たちが、毎朝ベッドメイキングをしてくれているなんて、萌えるわ~(笑)。

その2に続きます。


平原の国ポーランドへ 5-(3) グダンスク

2018-10-23 | travel
その2からの続きです。
 
● チャーターバスてんやわんや

この日の夜は、学会主催のディナーパーティに2人で参加します。
会場へのチャーターバスに乗るため、連れだって出かけました。
バスは駅の向こう側に着くとのことですが、実際に行ってみても、場所がはっきりわかりません。
「消防署のすぐそばに停まるから、わかるはず」とリョコちゃんは言われたそうですが、その消防署が見つからないのです。

バスの時間は刻々と迫ってきます。
見つけられずに、置いていかれたら、どうしよう。
焦り始めてきたところに、停車中のそれっぽい大型バスを見つけました。
「あれかもしれない!見てくるね」
リョコちゃんにはゆっくり歩いてきてもらうことにして、私が走っていきました。

● 言葉が通じない

ところが、中には誰も乗っていません。
バスに行き先も書いていません。
ドアは閉じているので、どうしようかなと思い、近くのバス停に立っていた女性に聞いてみようとしましたが、「英語はわからないの」と身振りで言われます。

さて困ったと考えているうちに、リョコちゃんが追い付きました。
「やっぱりこのバスじゃないかな」
ドアを開けてもらって運転手に聞きますが、この運ちゃんも英語はさっぱりわかりません。

● 慌てない参加者

はっきりしないまま、2人で困って立ち尽くしていました。
すると、リョコちゃんが「ああよかった、みんな来た」と言いました。
通りの向こうから、学会の参加者たちが歩いてきます。
みんなジェスチャーを交えて楽しそうに話をしながら、ゆっくりした歩み。

もう発車時間ギリギリなのに、のんびりしているわー。
そこに学会主催者もいたからでしょう。その人が運転手になにか話して、みんなで乗りこみました。
やっぱりこのバスで正解でした。心配したけれど、結果オーライで、よかったわ。

バスは走り出しましたが、結構のろのろしたスピード。
いくつかのホテルを経由して、参加者を乗せていきます。
速度は出ていないのに、運転が荒いのか急ブレーキが多く、酔いそうになりながら揺られていきます。

● グダンスク再び

45分くらいかかって、グダンスクに到着。
日中訪れた町に再びやってきました。


ネプチューンのマンホール


バスを降りたときには、外はもう真っ暗。
そこに、メリーゴーランドがまぶしいほど煌々と輝いていました。
先ほど日中に訪れた場所だと気がつきます。
そばにあるはずの観覧車には、全く明かりがついておらず、暗闇にまぎれていました。



先ほど訪れた運河に出ます。
海からの冷たい風に一気に身体が冷えて、背中を丸めます。



● 貸し切りレストラン

会場は、運河沿いの国立海洋学博物館(Narodowe Muzeum Morskie w Gdańsku)の上のレストラン、Restauracja Cała Naprzódを貸し切り。
天井を見上げると、頭上には昔の船が吊るし展示されていました。



ディナーパーティには、普段は学会参加者の家族や友達もジョインするとのことですが、今回の外部参加者は私だけ。
それでもアットホームな学会で、快く受け入れてもらえ、ほかの先生方と一緒にテーブルを囲みました。



レストランの天井には、ハンモックがボートを模したようにかかっていました。

● ディナーコース

全員が丸テーブルに座り、主催者の挨拶が済むと、ディナーの始まり。
まずはトマトとローストしたペッパークリーム、バジルペーストのスープ。
ポーランドのスープ!見るからに濃厚ですね。



そしてサワークリームニシンのアップルとベイクドポテト添え。
この運河の辺りが、オランダに似てるなと思っていました。
オランダで、ニシンの尻尾をつまんで、頭から食べたことがありますが、さすがにここではナイフとフォークを使います。
身が分厚くしまっていて、おいしいです。



ギャルソンに、メインは肉か魚かベジタリアン用かと聞かれました。
インド出身の研究者一人がベジタリアンを選んだほかは、みんなお肉をチョイス。
「だってポーランドは肉の国だもの。魚は日本に帰ってから食べればいいし」



ローストダックのアップル、青キャベツ、ポテト添え。
鴨肉でした。う~ん、量が多く、食べがいがあります。
ベジタリアン用は、ロールキャベツに野菜が詰まったものだったそうです。

● デザートいろいろ

デザートのアップルパイがやってきましたが、右隣のリョコちゃんのところで終わってしまいました。
「なぬー!」とうなりながら、写真を撮らせてもらいました。



その代わりに、私のところには、アイスクリームがやって来ます。
おいしそう。ころっと機嫌が直ります。



ただ、アイスもすぐ終わってしまい、左隣の教授の前には、フルーツ盛りが置かれました。
「なぬー!アイスじゃない!」今度は先生がうめきます。



それで、先生とすこし交換しました。お互いニコニコ。

● エンドレス・チアーズ

お酒が入り、会話が盛り上がっています。
「僕はデザートにサムスンパイを食べたかったね」
何かと思ったら、ああ、アップルパイ!

スペインでの乾杯の仕方を教わりました。
「盃を持って、上に、下に、前に、引いて、カンパーイ!」
これを、私たちがいる丸テーブルにいた参加者の国の言葉で、何度もくり返していきます。

スペイン語の次は、イタリア語、インディアン、ドイツ語、日本語、英語、ポーランド語、フランス語。
いろんな国籍の人がいるんですね。
違う言葉で何度も乾杯しているうちに、みんなすっかりへべれけ状態になっていました。

● ハンザの名月

ひとり外のテラスに出てみると、ライトアップで照らされた古都の上に、満月が煌々と輝いていました。
日本では中秋の名月ですね。
ハンザ同盟の古都で見上げる満月も、また乙なもの。
童話の世界に入り込んだようです。



レストラン内は暖房がよくきいていますが、9月なのに外はもう凍れる寒さ。
人通りもまばらになっていました。



店内を振り向くと、研究者の方々が楽しく集っています。
インターナショナルな夜です。



席に戻って、リョコちゃんに「今日は中秋の名月だよ」と話しました。
「ああ、お月見団子食べたい!でもこの前帰国した時に、材料を買ってきたから、家でも作れるんだ~」
いまや和食はワールドワイドですが、和菓子のお店は海外では見ませんからね。
でも、スウェーデンの水を使ったお団子は、なんだか食感が違いそう。
ミネラルウォーターならいいのかな。

● 満月の夜

宴もたけなわのところで、お開きとなりました。
レストランの名前を覚えられるとはとうてい思えなかったので、写真に撮ります。
ダウンコートを着込んだ私が、亡霊のように映っています。
この日の日本は、まだみんなTシャツ姿だったのでしょうか。



川沿いのロケーションの下から眺める満月も、またよろし。
凍れる月影 空に冴えて~、です。



● 帰り道

帰りはバスサービスはなく、電車のチケットを配られて、みんな適宜帰ります。
運河沿いの石畳の道は、深々と冷え込んでいます。
寒い中、駅までは徒歩20分近くかかるため「タクシーに乗らない?ねえ乗らない?」と教授に提案されます。
それでも、道に迷いかけながら、結局歩いて行きました。



こちらの建物は、堅固でどれも迫力があります。
絶対的ななにか。石の文化ですね。



海賊船越しに眺めたフルムーン。
「海賊王に オレはなる!」
ルフィよりも、ピーターパンとフック船長が出くわしそうな夜でした。

● 謎の禁止マーク

電車に乗ると、窓のところに禁止マークが貼られていました。
「左は、窓から物を投げるなってことでしょ。右は?」
「窓を開けるな?」
「人も飛び込むな?」
インテリの先生方と一緒に考えましたが、わかるようでわかりませんでした。



今日もダニエルとマルヴィナから連絡がありました。
毎日気にして、「明日はどう過ごすの?」と予定を聞いてくれます。
「そろそろまた会おうよ」とのことで、翌日の午後に会うことにしました。

駅から続く冷え冷えとした石畳の道から、ホテルの暖かい部屋に戻って、ほっと一息つきます。
入浴後、また2人でいろいろな話をしていたら、またもや2時近くになってしまい、いそいで寝ました。

6日目に続きます。


平原の国ポーランドへ 5-(2) ソポト

2018-10-22 | travel
その1からの続きです。 

● ソポトビーチへ

グダンスク旧市街の散策を終えて、ふたたび電車でソポトに戻ります。
ホテルの部屋で一息ついてから、この日も桟橋へ向かいました。


聖ゲオルギウス聖堂


浜辺に続くプロムナードの出店に、女性たちが群がっていました。
何を売っているんだろうとのぞいてみると、魚のマリネ。
瓶ビールもあったので、海辺で魚介類をつまみながら、一杯楽しむようです。



青空に映えて美しい教会。後ろは灯台です。
ソポトは小さい町なので、毎日同じ道を通って海へと向かっていました。



● 豪奢なホテル

シェラトン御殿。



くるりと後ろを振り返ると、シェラトンの正面に、桟橋があります。
ヨーロッパ最古の木製の桟橋だそう。



すぐそばに、ソフィテルグランドホテルも。
マレーネ・ディートリッヒやグレタ・ガルボも宿泊した、由緒あるホテルだそう。
ヨーロッパ社交界ですね~。



ここにやってきて、ポーランドの印象がずいぶん変わりました。
海のイメージはまったくなかったですし、こんなリゾートビーチがあるとも思っていませんでした。

● 浜辺のカラス

桟橋の先の遊歩道を歩きます。
人の足型のほかに、鳥の足跡もペタペタ、そこらじゅうについています。



これはカラス。こちらのカラスは真っ黒ではありません。
浜辺をピョンピョン跳ねています。小ぶりで可愛いです。



最初見た時、カササギかなと思いました。まさかカラスとはね~。
作家のカフカの名前は、チェコ語でカラスという意味。
そう聞いて、あの黒いカラスを思い浮かべていましたが、現地の人が思うカラスは違う鳥なんですね。



● 海際にて

この日は雨が降っていません。
サラサラの砂浜を踏みしめながら、波打ち際まで行きました。



横から見る、長い桟橋。
下をくぐると、反対側に行けます。



● 普通の桟橋

それとは別に、普通の桟橋もありました。
先まで行くと、結構高い波がやってくるのでちょっとびっくり。



人がやってきては、かわるがわる桟橋に立ちます。
おりしも夕方に差し掛かった頃。みんなたそがれはじめています。



桟橋の先に立つ少女、桟橋の途中に座る少女。
それぞれ黙って、違う方向に海を眺めていました。

● 大きな桟橋



ふたたび長い桟橋の下をくぐりました。
下はこんな感じ。がっしりとした土台です。



● カモメたち

くぐった側には、カモメがたくさんいました。



陽が斜めに傾き、影が長く伸びています。



● 白鳥たち

人と鳥とのいい共生関係。
白鳥たちもいました。



あれ、白鳥って海にいるものでしたっけ?
沼や湖に棲みつくんじゃないの?波乗りするの?



完全にくつろいでいるので、まあいっか。(適当)



● 一匹狼スワン

餌をもらって嬉しそうな群れから離れて、一羽でいる白鳥がいました。
なんだか気になって、近寄ります。



慣れているのか、近づいても、特に気にする様子はありません。
一羽と一人、しばらくバルト海を眺めて、一緒にたそがれていました。



波の音と、砂を踏む音、水鳥の鳴き声に、異国の言葉。
それしか聞こえてきません。
夢を見ているようなひと時でした。



● 夕刻の鐘

6時の鐘が浜辺に鳴り響きました。
風が冷たくなってきたので、鳥たちと別れてホテルに戻ることにします。



ちょっと道をそれると、また新しい教会が見つかります。



● 部屋の場所

大聖堂側から見たホテル。
私たちの宿泊している部屋は、入り口のすぐ上の、2つ四角窓があるところです。
下がロビーなら、飛んでも撥ねても大丈夫ね。



部屋には、学会を終えたリョコちゃんも戻ってきていました。

その3に続きます。


平原の国ポーランドへ 5-(1) グダンスク

2018-10-19 | travel
4日目からの続きです。 

● 電車に乗って

5日目。リョコちゃんは今日も学会参加のために大学へ。
私はどうしようかなと考えます。
「一緒に来てもらえたら歓迎するけど、すごくいい天気だし、明日は雨の予報だからね」
そうなのです。翌日は散策できないかもしれないため、今日はフリータイムにします。

「三つ子の町」は全部訪れたいところ。
隣町のグダンスク(グダニスク)かグディニャに行ってみようっと。
一緒に駅まで行き、大学までひと駅電車に乗る彼女をホームで見送ってから、どちらの町にしようかと考えます。

ちょうどマルヴィナから「今日はどう過ごすの?」とメッセージをもらったので、聞いてみると
「グディニャは今度案内するから、グダンスクがいいよ」と言われて、グダンスクに決定。

窓口は長距離電車のチケットを買う人で混んでいるため、自動販売機でチケットを買いました。
海外の自販機は故障が多いため、極力使わないようにしています。
今回もお札を入れてお釣りがちゃんと出てくるのか不安でしたが、じゃらじゃらとコインになって出てきました。
毎朝ベッドに置くチップ用のコインがほしかったので、よかったです。

● 乗り間違え

プラットフォーム2で電車を待ちます。
こちらは、ホームのことを「Peron(ペロン)」といいます。かわいい響き。
そばにいた金髪のお姉さんに、グダンスク行きの列車がくるかと聞いてみたら、ペロン1だと言われました。
ホームを移ったその時、ちょうど電車が入ってきたので、グッドタイミングだとばかりに飛び乗りました。

電車の中は、座席がほぼ埋まっており、そこそこ混んでいます。
みんなとても静か。お国柄でしょうか。

20分くらい揺られていったら、なんだかグディニャと書いています。
行き先を確認せずに反対方面の電車に乗ってしまったみたい。
ホーム1の右側と左側で行き先が違ったのかもしれません。

● ややこしい駅名

正反対方向のグディニャ中央駅で、戻りのグダンスク方面行きを待ちます。
ホームで待っているのがつらいほどの風の冷たさ。
ダウンを着ているのにブルブル震えます。
日本はまだ、30度くらいの暑さなのでしょう。
ようやく来た電車に乗り込み、ソポト駅を越えていきます。



電車を待つ間、路線図を眺めていましたが、駅名がわかりにくいのです。
グダンスクかグディニャとつく駅名が多すぎ!
JR南武線は「武蔵小杉」「武蔵中原」「武蔵新城」「武蔵溝の口」と「武蔵」シリーズが多すぎて紛らわしいと、常々思っていました。
でも、こちらの方がもっと上をいっています。

● 大きなグダンスク

大回りして、ようやくグダンスク中央駅で降りました。
レンガ造りの駅はクラシカルで大きく、見とれます。



中世の旧市街がある、ソポトよりもはるかに大きな町。
観光地ですが、ここも『地球の歩き方』にはあまり情報が載っていません。



駅前から少し歩くと、ルネッサンス様式のレンガ造りの建物がありました。
瀟洒な雰囲気で、貴族の館かと思いましたが、大武器庫だそう。
旧市街に近づくにつれ、中世風の町並みになっていきます。

● ミレニアム・ツリー

大武器庫の前に、銀の木がありました。
14世紀にハンザ同盟の一員として繁栄したこの町。
1997年にグダンスク1000周年を記念して造られた、ミレニアム・ツリー(Drzewo Millenium Gdańska)だそうです。



カラフルなファサードの建物をバックに、日光を浴びて、キラキラと美しく輝いていました。

● 旧市街への道

高い門、囚人塔、黄金の門が一列に並んでおり、順々に中を通っていくと、旧市街が広がります。

まずは旧市街の表玄関となる、威風堂々とした「高い門」。
門の上に騎士団やグダンスクの紋章が刻まれています。


高い門


次に、1539年建立のゴシック・ルネッサンス様式の囚人塔。


囚人塔


当時は監獄として使われていました。



いまは琥珀博物館になっています。



囚人牢の雰囲気たっぷり。



そして1614年に完成したオランダ・ルネッサンス式の凱旋門、黄金の門。
王様も通った道だそう。


黄金の門


● ドゥウーギ通り

この黄金の門をくぐると、旧市街に入ります。
メインストリートとなるドゥウーギ通りの両側には、中世期の建物がずらりと並んでいます。



おお、圧倒されます。
歩いていくと、ひときわ目立つ時計塔が見えてきました。
町のシンボル、市庁舎です。


時計塔は82m




通りのあちらこちらで、名産の琥珀が売られていて、きれい。
グダンスクは、バルト海の琥珀産業の中心地です。

● 貴族たちの館

旧市街の中心地は、市役所に面したドゥーギ広場。



広場の周りには、中世の貴族たちの優雅で華やかな館が並び、華やかでみやびな雰囲気が漂っています。



うーん、すてきな広場です。
今まで訪れたヨーロッパの広場の中でも、ここの美しさは際立っています。
グダンスクは第二次世界大戦でほぼ壊滅してしまいましたが、市民たちが長年の努力で以前のように再建しました。
人々の愛情によって、かつての華麗さを取り戻した町です。

● ネプチューン像

広場には、海神ネプチューンの銅像があります。
ネプチューンは海上交通で栄えたグダンスク市のシンボル。
マンホールの柄にも描かれています。



歩いている人々のほとんどが観光客。
三つ子の町とはいえ、ソポトとはかなりの違いがあります。

アルトゥスの館


中でもひときわ美しい、白い煉瓦を積み重ねたアルトゥスの館は、元はギルドの集会所。
美しい正面の壁面装飾や、凱旋門風のレリーフの入り口がきわだちます。

● Hard Rock Cafe


ハードロックカフェ


立ち並ぶ貴族の館の中に、さりげなくハードロックカフェやスタバがありました。
Hard Rock Cafe at GdańskのTシャツとか、レア感ありますね。



緑の門が旧市街の終わり。どの辺が緑なんだろう…。

● 新市街

門を抜けるとそこは現代の世界。
モダンなデザインの観覧車が回っていました。



その後ろに見えるのはメリーゴーラウンドですが、この時はまだ気づいていませんでした。
(つまりあとで再登場します)

● モトワヴァ運河

緑の門を出ると、バルト海に繋がる運河が流れています。
ハンザ同盟の頃から19世紀まで、多くの船が出入りした賑やかな船着場を、橋の上から眺めます。


ジェロニー橋から


ちょうど船が中に入ってきていました。



後ろのはね橋が上がっているのが見えます。1時間ごとに上がるそうです。

● 日本の本

道を歩いている途中、書店のウィンドウにふと目をやると、なんと日本の本が飾られていました。
思わず足を止めて、見入ります。



岡倉天心の『茶の本』、九鬼周造の「いきの構造」、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』。
みんな、タイトル読めるの?
下には葛飾北斎と渓斎英泉の画集。渋い!専門的!



さらにわび・さびやSHINRIN-YOKU(森林浴)の本など。
森林浴の意識なんて、こちらの方が進んでいそうですが。
ポーランドにはそんなにディープな日本研究家がいるのでしょうか。

● 日本のマンガ

さらに道の途中に、ウィンドウに日本のマンガがずらりと並んでいるお店があり、またもや足を停めました。
タイトルがポーランド語になっているものもありますが、『FAIRY TAIL』と『のらがみ』『NO.6』ならわかります。
『HAGANAI』は『僕は友達が少ない』でしょう。
YATTA.pl(ヤッタ ぺエル)」という日本のマンガ専門店です。
興味を持って、勇気を出して、中に入ってみました。

ポーランド語に翻訳されたコミックが、ずらりと並んでいます。
一冊20ズウォティくらい。600円ちょっとでしょうか。
わー、ワンピースやナルトが全巻揃ってる~



本棚には、マンガのほかになぜかいろいろな味のポッキーが飾られていました。
海外ではMIKADOチョコとして売られているはずですが、直接輸出するようになったのかしら。
店員さんにどこで入手したのか聞くと、グダンスクのマーケットとのこと。
どうやら最近では、こちらでもポッキーが買えるようです。
10ズウォティ(300円)でした。まあ、なかなかのお値段ですこと。

日本のマンガがポーランド語に翻訳されていることに、クールジャパンの力を感じました。

● ブルージュのよう

散策中に見つけた素敵な風景。
ベルギーの運河の街、ブルージュのようです。



Dom Opatów Pelplińskich(House of the abbots of Pelplin)は、ペプリン修道院の修道士の宿舎。
1612年に建設され、戦争で破壊されなかった貴重な建物。
黄金の門やネプチューンの噴水を作った人の設計です。



壁を這う葡萄のツタと運河が美しい~。



奥に見えるのは、古い市庁舎です。

● グダンスク駅

再び駅に戻ってきました。
環状線の向こう側から撮った全景。かっこいいですね~。
ここは、初代大統領ワレサ氏が率いた「連帯」で、ポーランドの民主化が始まった場所だそう。



車道に横断歩道はなく、地下通路を通って駅に向かいます。
構内にあったパン屋さん。ぎっしり並べられた美味しそうなパン。



どうしてパンがおいしいのだろうと考えました。
それは、おいしい小麦がたくさん取れるから。
そしてそれは、日射のいい広い畑があるから。
つまり、ポーランドの平地が、おいしいパンを作っているのでしょう。

その2に続きます。


平原の国ポーランドへ 4-(2) ソポト

2018-10-18 | travel
その1からの続きです。

● ラウンドアバウト

友の学会発表を聴いてから、大学を出ました。
緩やかな坂道を少しずつ下っていきます。
ヨーロッパに多い、ラウンドアバウト(環状交差点)。



円形の中央島の周りを、車が通っていく、信号がいらない、エコな道路。
私、ラウンドアバウト好きなんですよね~。
日本でも、少しずつ増えてきています。嬉しいことです。

● 海を目指して

ポーランド語で描かれた町の地図は、暗号のよう。
でも海の方角は、絵を見ればわかります。


とんがり屋根のおうち


楽し気な木の遊具がたくさん下がっている林の公園にさしかかりました。
遊んでいきたかったのですが、上がったばかりの雨で濡れており、ひとりではしゃいで滑って落ちるのも悲しいので、よしておきました。



たぶん、このツタのからまる洋館の向こうに海があるはず。



木立の向こうに、海が見えました。
ああ、この感じ、すてき。



● 海に出る

浜辺に出ました。
ソポトはビーチで有名な町ですが、夏が去った今はもう、シーズンオフ期。
ダウン姿の人たちが、風を受けて身体を縮めながら海岸を歩いています。



時折雨がぱらぱら降ったりやんだり。
砂は雨を吸って重くなっていたため、波打ち際まではいかず、砂浜越しに海を眺めます。



雨に洗われて、海がきれい。空がきれい。雲がきれい。

絵画の中に入ったかのような光景。
画家じゃなくても、絵筆を握りたくなりますね~。



ウミネコがたくさんいました。
日本と違って、人間が寄って行ってもパーッと逃げたりしません。
むしろ、寄ってくる感じ。こちらの人は追い掛け回さないんですね。

● 遊歩道を歩く

海岸に沿って歩きます。
潮風が冷たいけれど、私のように散策している人が結構います。


セクシーなデザインの自転車停めにドキドキ。


海と並行した遊歩道には、博物館や洋館、ホテルなどが立ち並んでいます。



読めない地図はしまい込んで、辺りを見まわします。
知らない町に迷い込んだ、心細さとワクワクが入り混じった気持ち。



物語の世界に入り込んだかのようです。



● 灯台と教会

ひときわ高い塔は灯台。33mあります。



灯台の隣には、海辺の教会。



マンホールには、市章の鳥がデザインされています。



● 高級リゾート地

桟橋前の広場に着きました。
正面には噴水が高く上がり、モナコのモンテカルロにあるような豪華な建物が登場します。



王宮かと思ったこの建物は、シェラトンホテル。
ぜいたく~!カジノも併設されています。



ソポトは小さな海辺の町ですが、バルト海随一のリゾート地。
ゴージャスなところもある、きれいでかわいらしい町です。



● 長い桟橋

シェラトンの前には、長く大きな桟橋が海に伸びていました。
遊覧船の乗り場にもなっているようです。
気持ちいい、すがすがしい空気。



門の柱に、板金というのでしょうか、彫刻が施された金属板がありました。
ヨハネ・パウロ二世のようです。
ここを訪れたことがあるのかもしれません。



友人ダミアンに翻訳してもらいました。
「愛ではなかったら連帯もない- Sopot市、1999年6月5日。ヨハネ•パウロIIの桟橋」と書かれているそうです。

● ゆがんだ家

歩行者天国を駅方面に歩いていくと、ぐにゃりとゆがんだ建物がありました。
なにこれ?ディズニー映画みたい。
ゆがみ方が半端ありません。



誰かの邸宅ではなく、1Fにはコスタコーヒーが入っています。
日本のスタバのように、お店の外見にこだわっているんですね。
この時は「?」と思うばかりでしたが、後にリョコちゃんが「Crooked Houseを見たい」と言ったとき、ここのことだと気がつきました。

Costa Coffeeって、ヨーロッパのどこにでもある印象ですが、日本未上陸なんですね。

● 聖ゲオルギオスの教会

海から延びる大通りの坂道を少しずつ上がっていくと、大きな教会が見えてきました。
ホテルの部屋の窓から見える教会でした。
下から見上げると、なおさら高い尖塔です。



地図を放棄してから、建物の名前を確認するのをやめましたが、ネオゴシック様式のこの教会は、Kościół św. Jerzego(St. George's Church)。
ポーランド語の聖イエジは、英語だと聖ジョージ、つまり私が好きな聖ゲオルギオス。
白馬に乗って龍を退治したカッコイイ聖人です。



教会の側面。
ポーランド語版のWikiがあり、おっかなびっくり翻訳してみると、グダンスク湾の船からも見えるようにとの時の皇帝の命を受けて、45mの尖塔が造られたそうです。



中に入ってみると、人はほとんどおらず、とても静かな空間でした。

● ホテルに戻る

ぐるりとソポトの町を一周し、教会前のホテルに着きました。
快適な散歩ができたことに満足して、休憩しようと部屋に戻ります。



じきに、リョコちゃんもこの日の学会を終えて戻ってきました。
帰りは電車で一駅乗ってきたそう。
2人でフィーカの時間にします。

● フィーカの時間

フィーカとは、スウェーデン語でお茶することを言います。
去年彼女に教えてもらった、すてきな言葉。
紅茶を飲みながら、彼女が持ってきてくれたスウェーデンのペッパーコッカー(ジンジャークッキー)をつまみました。

おしゃべりしているうちに日が暮れて、夕方になりました。
ほかの参加者の先生方から夕食を誘っていただきましたが、彼女と話したいことが山ほどあったので、二人でのんびり済ませることにしました。

● ソポト中央駅

夕飯を食べようとホテルを出て、目の前の中央駅へ。
雨が降っていたようで、道路は濡れています。
駅から見下ろした光景。白い建物の向かいが宿泊ホテルです。



駅とつながった建物の上階には、図書館(たぶん)がありました。
ゆったりとした落ち着けそうな空間です。



ボードゲームが入った棚の向こうにぴょこぴょこ見える頭は、子どもたち。
おとなしくTVを見ていました。



1Fのスーパーには、前にパンプキンスープに入っていたペトリューシュカが売られていました。
白ニンジン? いいえ、パセリ(のようなもの)です。



● 寿司・パン・ケバブ

駅にはレストランがいくつか併設しており、「箸鮨」というお寿司屋さんもあります。
海沿いの町なので、シーフードも新鮮そうですが、ここはスルーしますよー。



「ポーランド人はパンが大好き」というマルヴィナの言葉を思い出して、パン屋さんに行ってみると、たしかに人でにぎわっていました。
行列が切れるのを待って菓子パンを買います。



外は結構強い雨が降ってきました。
傘を持ってきていないので、テイクアウトを部屋に持ち帰ってのんびり食べようということに。
一気に冷えてきたので、ドネルケバブにしようと決めました。



日本の屋台ではたいていケバブサンド一種類のみですが、ここではピタパンのサイズや中身のお肉などいろいろと種類があるようです。
頼み方がわからず、お店の人に教えてもらいながら、普通サイズのビーフ肉をオーダー。
ケバブ屋でもクレジットカードが使えて便利~。

● テイクアウト

外に出ると大粒の雨ですが、ホテルまではすぐなので、濡れながらホテルへ戻ります。
さっそく、ほかほかと暖かいケバブをいただきました。



あわせて菓子パンも。
外側の写真はケバブに似ていますが、中身は全然違いました。



部屋には、炭酸入りと炭酸なしの2種類のミネラルウォーターが備え付けられています。
ウッチのホテルもそうでした。
炭酸入りはどうも慣れず、リョコちゃんに飲んでもらいます。

● エンドレストーク

ダニエルから「その後どう? 何か困ったことはない?」と連絡がありました。
「暇を持て余してないか心配。知り合いのツアーガイドを紹介しようか?」と言ってくれます。
リョコちゃんは翌日も学会で、私はのんびり散策が気に入ったので、大丈夫と返信しました。

頭の回転が速く、知識も深く、ユーモアと思いやりにあふれるリョコちゃんとは、いくら話していても飽きることはありません。
楽しいお喋りをずっと続けていたら、いつの間にか夜中になっていました。
夕方からずっと二人だったのに、しゃべりすぎー!
ホテルって時計がないので、時間無制限になりますね。
あわてて寝る支度をして、横になりました。
5日目に続きます。