風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

新緑の津軽ひとり旅 2-1(金木、五所川原)

2019-07-25 | 東北

1日目からの続きです。


● 弘前行きのホームは遠い

2日目。6時に起きると、前日とはうってかわって冷え冷えとした空気。
外は雨が降っていました。
一日中雨降り予報なので、遅めの出発にして、9:52の青森発奥羽本線に乗ります。
駅前のホテルに泊まっているので、電車に乗るにはとても便利ですが、弘前行きの電車は長~い駅の構内奥のホームから出るということを、忘れていました。


改札に入ってから思い出して、急ぎ足になります。
連絡通路の前方を歩くスーツ姿のビジネスマンが走り出したのを見て、私も小走りになります。
階段を下りてホームへ行こうとすると、下から車掌さんが見上げていました。
急いで降り、ビジネスマンに続いて電車に乗りこみます。
車掌さんはなおも階段の上を見て、乗客がもうこないと確認してから電車のドアを締め、定刻発車しました。

● 机上旅行を実行

今日は、昨夜調べておいたタイムテーブルに沿って動きます。
予定通りにいきますように。
かつて通った中学校に「机上旅行クラブ」があり、(机の上での旅行?どんなこと?)と思っていました。
多分、時刻表を見て、行程のプランニングをしていたんでしょうね。
(実際に旅行しないなんて、それ楽しいの?)とも思っていましたが、入ってみたらおもしろかっただろうな。
今になって、クラブ員になった気分です。

● りんご王国のアップル

向かいに座った女性がiPhoneを持っています。
りんご王国でアップル。あ、私もそうだわ。
ところで、アップル本社のあるアメリカ合衆国のりんごの名産地って、どこなんでしょう?
アップルパイが大好きな国民なので、りんごはあちこちで獲れそうですが。

調べてみたところ、ワシントン州だそうです。
ワシントンD.C.ではなく、シアトルがある西海岸の方。
日本の倍以上、全米の半分以上をりんご生産しているそう

う~ん、アメリカは王国というより、アップル帝国ですね!

● JR五能線

 

今日は弘前に行く途中で降りるので、うっかり寝過ごさないようにしないといけません。
10:32に川部駅で降りました。ここで10:39発のJR五能線に乗り換えます。
あまり時間がありませんが、小さな駅なので乗り換えはスイスイ。


大きな林檎冷蔵庫

この辺りもリンゴ畑が多いエリア。
車窓から大きな建物がいくつも見えます。みんなリンゴ関係の倉庫です。

● 「ふじ」の由来

藤崎駅のそばまできました。
倉庫の壁面に、大きく「ふじ発祥の地・ふじさき」と書いてあります。
えっ、そうなの?



「ふじ」といえば、リンゴの代名詞ともいえるスタンダード品種。
てっきり「富士山」からとった名前だと思っていましたが、「藤崎町」のりんごだから?
てことは、漢字にすると、「富士」じゃなくて「藤」?
なんか自分の中にあるふじのイメージが変わるわ~!

ただ、あとで母に聞いたところ「開発者が女優の山本富士子のファンだったからよ」とのこと。
え~、どれが本当なのかしら?

・・・Wikipediaには、その全てが命名理由だと書かれていました。
   「ふじ」は、富士で藤で富士子だったんですね~~。

● 板柳と力士


一面に広がるリンゴ畑の向こうには、岩木山。
昨日とは少し違う角度から眺めます。
この日は雨なので、雲が多く、あまりよく見えません。


板柳駅に着きました。ここもまたリンゴで有名な辺り。
そして、相撲の力士の故郷としても知られています。
夏にこの町に巡業に来るようです。
今でも板柳出身の力士はいるのかな。
・・・調べてみたら、「おとなのふりかけ」や「サントリー BOSS」のCMでおなじみのロボコップ、高見盛関の故郷でした!

● 津軽鉄道

11:08に、五能線の終点、五所川原駅に到着しました。
ホームの階段を上がったところに、アテンダントの女性が立っていました。
「津軽鉄道にお乗りの方はこちらです」との案内に従って、ホームを移動。
オレンジ色のかわいらしい一両電車が停まっていました。

名前はメロス号!
それだけで、テンションが上がります。


奥羽本線→五能線→津軽鉄道と乗り換えるにつれて、どんどんローカル電車味が増してきました。
乗車口では運転士と車掌さんがお出迎えしてくれます。
車内にアテンダントも同乗して、ガイドをしてくれます。
一両編成なのに、観光列車みたい。

そういえばこの鉄道、冬にはストーブ列車、夏には風鈴列車、秋には鈴虫列車になるんだっけ。
あ、観光列車だったわ。

11:13発。乗客は10名ほどで、即席ツアー電車のようなアットホームな雰囲気。
沿線で一番利用される駅だという金木周辺の地図を、希望者に配ってくれます。


青々とした田んぼの中を、電車はゴトゴト走ります。
晴れていたら、さぞきれいな光景だろうと思いますが、あいにくの雨。
それもあいまって、停まる駅はどこも味がありました。
ここまで雰囲気たっぷりの電車に乗る機会は、なかなかないでしょう。

● レトロな停車駅

ひとつめの「十川(とがわ)」は、津軽鉄道で一番小さい駅。
次の「五農校前」駅の、ひなびた駅舎に惹かれました。


津軽飯詰駅

学校の前という割には、辺りに大きな建物はなく、ただ田んぼが広がっています。
どうしよう、心のキレイな人にしか見えない高校なのかも。
(五農校ってなんだろう、第五農業高校かな)と思ったら、県立五所川原農林高等学校の略でした。
さすがにそんなに農業高校はありませんね!(テヘッ)
「津軽飯詰(つがるいいづめ)」駅には木造倉庫があり、渋さたっぷりです。


次の「毘沙門」は、「日本のかっこいい駅名ランキング」第1位に選ばれたことがあるんだとか。
そうなの?毘沙門堂がそばにあるからだろうと思いますが。

以前、無人駅の番組で、ここが取り上げられたことがあります。
利用する人がほとんどいない秘境駅ということで、なくなっているんじゃないかと思いましたが、まだあってほっとしました。


つつじのきれいな辺りを通ります


● 慎吾ペイント列車

次の「嘉瀬駅」は、吉幾三が15歳まで住んでいた故郷だとか。
えっ、あの人は金木の人間じゃないの?
もっと田舎出身だったのね。(失礼!)


駅前には、使われなくなった車両が一両置かれていました。
20年ほど前に『SMAP×SMAP』の特別企画で香取慎吾がペイントした「キャンバス列車」だそう。
おととし、慎吾ちゃんが再びここを訪れて、この車両を塗り直ししたそうです。
20年前に一緒に絵を描いた当時小学生だった地元のメンバーたちと再会して、一緒に協力して。
もう『SMAP×SMAP』はないため、その様子は今度は『おじゃMAP!!』で放映されたんだとか。

20年前の慎吾ちゃんは、日本一人気のアイドルだったので、予定を組むのも大変だったことでしょう。
聖地として、今でもファンがやって来るそうです。
全く知りませんでした。ジモティの吉幾三もがんばってー。


車両正面の顔は、ねぶたをイメージしているそう。
20年前は白塗りにしたそうですが、塗り直す時に「ねぶたといったら赤い顔のイメージだから」と、今度は半分赤にしたんだそう。
今でこそルーブル美術館で個展を開く慎吾ちゃんですが、20代の頃から、すでに美術の才能を見せていたんですね。

● 金木駅

そうこうしているうちに電車は11:40に金木駅に到着。
乗客のほとんどが降ります。
自分も降りたので確認しませんでしたが、もしかしたら全員降りたのかも。
アテンダントさんまで一緒に降り「私はここでUターンして、帰りの電車に乗ります」と言いました。
ここから先に乗っていく人は、乗客が減り、ガイドもいなくなって、急に寂しくなるでしょうね。

ここで車掌さんのタブレット交換を見守りました。

金木駅は津軽鉄道沿線で駅員が駐在する、貴重な3駅のうちの一つ。
でも駅員は一人体制だそうです。
 

かわいらしい駅舎の金木駅

駅の真向かいには、バーバーが一軒。
もう開店してはいないようですが、それにしてもレトロ~。
時代を感じさせます。



晴れていたらレンタサイクルで、隣駅の芦野公園まで足を伸ばす予定でしたが、雨が降っているので予定変更。
傘をさして、歩き出します。

● 太宰タウン

ここは太宰治の故郷。メロス坂を通っていきます。
道の途中には、あちこちに太宰の作品のワンシーンが掲示されています。
ファンにはたまらないでしょうね。


まちの記憶は太宰とともに


斜陽館の前に着きました。やはり巨大です。
周りの建物からも、ずばぬけて目立っています。

アテンダントさんは「斜陽館はとっても大きいので、帰りの電車に遅れないようにしてくださいね。
彼、想像以上のおぼっちゃまですから!」と、私たち乗客に念押ししていました。
今でいうと7~8億の資産価値のある建物だそうです。
たしかに、びっくりするほどおぼっちゃま。


斜陽館


以前、イトコのマミちゃんに、青森市内からここまでドライブで連れてきてもらったことがあります。
その時に中を見学しましたが、広くて迷いそうになりました。
この日も、観光バスで訪れた人たちで、結構混んでいるようでした。

今回は町並みを散策しようと、さらに先に進みます。
太宰が幼い頃によく乳母に連れられて訪れたという「雲祥寺」。
地獄絵図を見させられたそうですが、トラウマにならなかったのかしら?
その地獄絵図、今でも見学可(要予約)だそうです。
境内にある太宰が回した後生車を、私も回してきました。


雲祥寺の鐘楼門


太宰の母校、金木小学校の通学路にあるレンガ壁の「思い出広場」。
字は、彼の長女・津島園子さんによるもの。
太宰治の作品名のプレートが、レンガの壁に埋め込まれていました。


斜陽館の近くには、「津軽三味線会館」があります。
今でこそ全国に知られている津軽三味線ですが、世に広めたのは、三橋美智也なんだそう。
(えーっ、高橋竹山じゃないの?)と驚きます。
人気歌手だった三橋美智也は、三味線も弾けたんですね。
下積み時代には横浜の綱島温泉でボイラーマンをしていた人だと知っています。(浜っ子なので)

津軽三味線会館では、今月第一週目に大会が開かれたようでした。
あのピンと張り詰めた濃い音色が好きです。聴きに来たかったなあ。


オオデマリの花が満開でした

金木町では「斜陽館」がダントツで有名ですが、ほかに「太宰治疎開の家」もあります。
ここには又吉ほか、沢木耕太郎や角田光代といった有名作家が訪れたそう。


太宰治疎開の家

● 『人間失格』カステラサンド

ここで、地元クドウパンが太宰治生誕110年記念に出した『人間失格』カステラサンドと『津軽』林檎パンをゲットしました。
やったあ!
先月から販売され出したこのパン、青森に着いた時から探していましたが、昨日は見つけられなかったのです。
太宰ゆかりの地で見つけられたのも、嬉しいことです。


次の日曜日には、「走れメロスマラソン大会」が開かれるそうです。
なんていい名前!
せっかくなので、ギリシア風の、テルマエ・ロマエ的な格好で走ってもらいたいなあ。


● 段あり電話ボックス

雪国特有の公衆電話ボックスがありました。
ここでクエスチョン。わざわざ階段をつけているのはなぜでしょう?
正解は、冬に雪で埋もれてしまうから、底上げしているのでーす。
雪国の人じゃないと、わかりませんね。


底上げしてないと冬は使えない

● 帰りのメロス号

町を1時間ほど散策して、再び金木駅に戻りました。
単線の津軽鉄道ですが、金木駅の辺りだけ複線構造になっており、ここでタブレット交換を行います。


線路が並ぶ津軽鉄道はこの辺りだけ

上りと下りの電車がここで落ち合うのを待って、12:40の上り津軽鉄道に乗りました。
雨は、町を散策している間は小止みになっていましたが、電車に乗ったとたんに突然ザーッと大雨になりました。
傘も役に立たないほどのひどい降り方で、瞬く間に車窓の外が湿気で見えなくなりました。
ぬれねずみにならずにラッキーでした。


この1分後には大雨が


今度はアテンダントさんのいない普通の電車になって、黙々と走っていきます。
窓の外が見えないくらい雨が叩きつけているため、ガイドしてもらってもさっぱりわからなかったことでしょう。

● 五所川原駅

五所川原に戻った時には、13:06になっていました。
津軽列車の津軽五所川原駅は、JRの五所川原駅の一番端のホームを間借りしています。
改札がちょっとだけ違います。JR改札には駅員がいますが、津軽列車改札は無人です。


レトロ!

津軽鉄道推奨ソングに、杉良太郎の「ひとり旅」という歌が決まった』というポスターが貼ってありました。
あれ、ジモティの吉幾三はどうしたの?

● 立佞武多の館

ここまでは割とスムーズにこられましたが、次の五所川原発の電車は12:32。
1時間半近く時間があります。
駅から5分の「立佞武多(たちねぶた)の館」へ向かいました。
遠くからでも目立つ巨大な建物なので、すぐにわかります。


立佞武多の館

ねぶたに佞武多という漢字があるとは知りませんでしたが、この辺りでのみ使われる当て字だそうです。
かなり強い風が吹いており、いまにも傘があおられそう。
駅から建物まではそう遠くない道のりでしたが、風に負けないよう一歩一歩踏みしめながら、じりじりと前に進んでいきました。

初めて、本物の五所川原の立佞武多と向き合いました。
前に東京の丸ビルに展示されたものを見ましたが、あれはかなり小さいものだったと判明。

ここで見たものは、23メートルある巨大なもの。
あまりの迫力にあっけにとられて、口を開けて呆然としました。
このねぶたが襲いかかってきたら、まさに『進撃の巨人』状態。
"超大型巨人"と"獣の巨人"の間くらいの大きさですね。(わかりづらい説明!)


6階建てビルくらいの高さ!

青森ねぶたは見慣れていますが、あちらは横広でこちらは縦長。
立佞武多を復活させるにあたり、練り歩くルート周辺の家と接触しないよう、かなり配慮したとのことです。

この巨大な山車は、この館で制作されました。
そしてそのまま外に出せるように、壁がスライドする仕組みになっているそうです。
それでこんなに大きな建物なんですね。

● 赤~い林檎

併設しているカフェで「赤~いりんごソフトクリーム」を食べました。


これは世界的にも珍しい、果肉まですべてが赤いリンゴ。
五所川原でのみ栽培され、品種名は「御所川原」。ソフトクリームも、ほんのり赤色です。
一口食べると、甘酸っぱさが口いっぱいに広がります。
ただこれは、ソフトクリームではなく、厳密にはシャーベット。
肌寒い日だったので、ちょっと震えながら食べました。

外はあいかわらず雨が降っていましたが、傘をさしても意味を成さないほどの強風。


近くには「吉幾三コレクションミュージアム」がありました。
彼は金木から、五所川原まで勢力を伸ばしたんですね。
東京で有名になりましたからね。

● 「思ひ出」の蔵

駅からほど近い場所に、太宰治「思ひ出」の蔵もありました。
幼い頃の彼が母として慕った叔母キヱの家の蔵です。


「思ひ出」の蔵

今度の週末に開催される「走れメロスマラソン」のコースは、五所川原から金木まで。
立佞武多の館と金木小学校の間を走ります。
メロス気分になるにはいい季節ですね。

その2に続きます。


新緑の津軽ひとり旅 1-2(弘前、大鰐)

2019-07-24 | 東北

その1からの続きです。


● ビッグアップル

弘前駅に14:20分着。3年ぶりの街並みが、懐かしいです。
このデザイン、センスがいいですね。
津軽地方の刺し子、こぎん刺し風に描かれた、弘前城、桜、リンゴ、岩木山。


どれも弘前に関係するものばかり

改札を出ると、ビッグなリンゴが出迎えてくれました。
ぐるりと一周してみましたが、特に中に何かがあるわけでもなく、ただリンゴでした。


これぞビッグアップル。そういえばNYって、どうしてBIG APPLEっていうんでしょう?
・・・調べてみましたが、諸説あり、つまりハッキリしませんでした。

● 弘前の町

14:46発の小さなマイクロバスに乗って、りんご公園へ。
お城の横を通っていきます。
ひと月前に日本一美しい桜が咲き乱れていた桜の樹々。
今はもう、青々とした葉が生い茂っています。


弘前のおしゃれスタバを窓から眺めました。
『魔女の宅急便』に出てきそう。
そういえば弘前は、アニメ『ふらいんぐうぃっち』の舞台でした。


● りんご公園

バスの乗客は、いつしか私一人になっていました。
りんご公園で降りると、バスは無人になって走り去っていきました。
近くを歩いている人はだれもいません。
シーズンオフの平日なので、もともとすいているし、来ている人は全員車です。


3年ぶりに、りんご王国にやってきましたよ~。
一人なので、ちょっと寂しいけど。


りんごづくしのりんご王国

敷地内の小高い丘に登りました。
ここから岩木山がまっすぐ美しく見えます。


すばらしい見晴らし。この景色が見たくて、ここまでやってきたんです。
3年前に気の合う仲間たちと一緒に眺めたときのことを思い出して、懐かしくなりました。
その後、日本のあちこちに戻って行ったみんな。元気にしてるかなあ。

● 岩木山

りんご公園では、様々な品種のリンゴを育てていますが、花が終わったばかりなので、さすがにどの実もまだなっていません。


りんご摘みの女の子の銅像。
張り切ってたくさんとったので、重そうです。
自転車のカゴは、赤いリンゴの形!


がんばる少女を、雄大な岩木山が見守っています。


併設されたレストランは、りんごのメニューが豊富。
前のように食事したかったのですが、バスの時間があるので、今回は残念ながら素通りします。

● kimori工房



公園の一角には、シードル工房kimoriの畑と醸造所があります。
前にここでシードルを飲み、高橋社長のお話を伺いましたが、この日は閉まっていました。
ちなみに社長はこの日、ブルワリーを閉めて「八戸ワインフェス2019」に参加していたそうです。

● ためのぶ号

さっきのバス停まで10分歩こうとしたところ、公園前にバスが停まっていました。
弘前藩初代藩主、津軽為信の名前をとった「ためのぶ号」というバス。


ためのぶさん

観光ポイントを巡るバスですが、1日4本しか往復しません。
ちょっと少なすぎやしませんこと~? 
そのため、乗れると思っていませんでしたが、15:40発の便にちょうど間に合い、ラッキーとばかりに乗り込みました。
りんご公園のレストランを諦めたかいがあったわ。
弘前城やねぷた村を経由して、駅に到着。

● 大鰐温泉駅

青森では桜も林檎の花も終わっていましたが、つつじがハイシーズン。
観光案内所で、大鰐の茶臼山公園でつつじ祭りが開催中と教えてもらい、さっそく向かいました。

16:46弘前発の奥羽本線に乗り、10分ほどで10kmほど南東にある大鰐温泉駅に到着。
思ったよりも静かでひなびた温泉街でした。


大きな店構えの林檎移出商店

昭和期のレトロな建物が続く手児奈通り。
りんご移出商は、産地市場と仲立人を介してりんごを買い集め、消費地市場に卸す商人です。
店名はどう読むんでしょうね、山千(ヤマセン)でしょうか?

● ピンクのワニ

駅前では、大きなピンクのワニが迎えてくれます。
おおわにだけに、ビッグ・クロコダイル


学生の頃、イトコに大鰐国際スキー場に連れてきてもらったことがあります。
私に付き合って一緒にスキーをしてくれた仲良し従姉もいますが、親戚内でのスキー狂は、この従兄とその父親、そして私だけでした。
雪国では、雪は当たり前すぎて、みんなそれほどスキーをしないのです。

その時にも車窓から見た、このピンクワニ。
変わらず元気に、ピースサインをしています。

● 茶臼山公園

古びた町を抜けて川を渡ると、こんもりとした山が見えてきました。
茶臼山です。
茶臼山といったら、大坂冬ノ陣で徳川家康が本陣を構え、大坂夏ノ陣で真田幸村が陣を構えた場所を思い出しますが、そちらは大阪、こちらは青森。関係ないですね。
同じ名前の公園は、ほかにもあちこちにあるようです。
今の時代には、もう見なくなった茶臼ですが、かつてはおなじみのキッチンツールだったんでしょう。


どうやら公園は、山の上にあるというか、山全体が公園になっているようです。
ルートが探せなかったので、そばを歩くおばあさんに行き方を聞くと、「今から行くの?もう誰もいないんじゃないの?」と言われました。
年配者の津軽弁なので、これで正解か自信はありませんが、おおよそそんなニュアンスかと思われ。。

たしかにそろそろ夕方になる時間。
でもまだ明るく、暑さも残っているので、登り始めました。


● つつじの花盛り

登れば登るほど、つつじの花がたくさん咲いています。
そんなに多くはありませんが、見に来ている人たちも、ちらほらいました。
日中は夏のような暑さだったので、少し和らいだ時間を待って登った人もいるでしょう。


ちょっと小高い場所なんだろうくらいにしか思っていませんでしたが、予想外に山の傾斜が続きます。
延々登っていく途中にもずっと咲いている、色とりどりのつつじ。

 


山つつじなので、自然でワイルド。

 


普段見慣れているのは、丁寧に育てられたお上品なツツジですが、こういった野生的なつつじも、またいいものです。

 

ここにはつつじが40数種、総数約1万5000本以上あるそうです。
まさに圧巻でした。

● そびえる山々と尾根

一番上まで上がりきったところに、展望台がありました。

大鰐は、四方を山に囲まれた場所。まっすぐ正面に見える山は、大鰐国際スキー場。
あんなに高いところから滑っていたのね~と、改めてビックリ。
雪の季節だと、全てが白い世界になるため、標高感覚が麻痺してしまいます。


正面の山に大鰐国際スキー場のリフトが見えました


そこから90度、左に向きを変えると、今度は秋田方面。
この辺りは青森県南部。
秋田との県境がかなり近い辺りまで来ています。


山々の向こうはもう秋田

さらに90度、左に向きを変えると、今度は岩木山がうっすらと見えました。
弘前方面です。


こちらが岩木山方面

雄大な山々に囲まれた光景は、とてもすばらしかったです。

● ひなびた温泉街

大鰐には叔母の実家があり、小さい頃から地名は知っていましたが、雪のない街を訪れたのは初めて。
茶臼山から町を見下ろします。
家々の間を川が流れる、素朴で情緒たっぷりの温泉街。
こんなところに実家があるって、いいなあ。


橋のたもとに足湯があり、近所の人達がつかりながらのんびり世間話をしていました。
こういう環境で過ごしたいわ~。


赤い仁王門が迎える大円寺を参拝。
大日如来が祀られているそうです。


駅前まで戻り、ピンクのワニの隣にある足湯に入りました。
津軽の奥座敷で津軽藩の湯治場といわれる大鰐は、温泉処として有名な場所。
お湯につかる時間はなくとも、せめて足湯には入りたいものです。


熱めのお湯ですが、なじむと「う~ん・・・!」と声が出るほどの気持ちよさ。
先客は、小さな女の子とお婆ちゃん。
さすがは地元の子、女の子も熱がらずに、ずっと足湯につかっていました。

● 帰宅ラッシュ

リフレッシュして、青森に帰ります。
直行便はなく、18:06の弘前行きに乗り、17分に到着。
33分発の電車に乗り換えようとホームを移動していると「青森行きは3番ホームに停車中です」とアナウンスがかかりました。
始発だから、もう待ってくれているのね。
発車時間までホームで待つ必要がないのは楽です。
特に冬は、吹雪の中で立ち尽くしたくないですからね。

平日なので、車内は仕事帰りの人たちでそこそこ混んでいます。
私の両側にも人が座っています。青森に来てから初めてのことです。
都内の夕方のゆるめの帰宅ラッシュ電車に乗っている気分になりますが、窓の外を見ると、水を張った田んぼや緑の草地が広がっていて、とっても非日常的。

のどかな光景に心が潤います。ああ、いいわあ。
地方に故郷がない人は、こういう感覚を知らないんでしょうね。
人が田舎に行くのは、心穏やかに、豊かになるためなんだろうなと思います。

● 青森着


闇に浮かぶ三角アスパム

19:17に青森着。暗くなってから、ホテルにチェックイン。
今日は、青森駅での待ち時間が長かったため、最初の滑り出しが遅くなりましたが、晴れの日に行っておきたい場所に行けたので、ひとまず満足しました。

2日目に続きます。


新緑の津軽ひとり旅 1-1(青森)

2019-07-23 | 東北

● prologue

十連休のGWが過ぎて落ち着いた頃、帰省する母について、青森に行くことにしました。
久しぶりに帰る母は、人と会う予定がてんこもり。
行き帰りのみ一緒で、青森滞在中は別行動を取ります。

「はやぶさに乗るのは初めてで、ワクワクするわ」と母。
「どれだけ里帰りしてなかったの?」
東北新幹線・はやぶさの登場で、青森までのルートはずいぶん快適になりました。

● 新幹線のエンジェル

朝5時半に起床し、6時過ぎの電車で東京へ。
家を出たのは早かったのですが、平日の電車はすでにそこそこ混んでいて、座れません。
通勤戦争は朝から始まっているのね。
なんとか東京にたどり着き、東北新幹線のホームへ。
新幹線エンジェルの方々がてきぱきと清掃をするのを眺めていました。



『新幹線お掃除の天使たち』(遠藤功)という本に、東京駅の東北・上越新幹線の折り返し時間は12分と書かれていました。
乗客の降車に2分、乗車に3分かかり、残りの7分間でエンジェルたちは車両清掃、ゴミ出し、座席カバーの交換、忘れ物チェックなどを行います。
限られた時間なので無駄な動作はなく、みんなキビキビとしています。

● はやぶさ3号

7:36発の「はやぶさ3号」に乗車。
大宮を出ると、仙台までノンストップ。

以前住んだことがある仙台。
その後私は何度も訪れていますが、それきり一度も降りていないという母。
駅前の七十七銀行を見て、懐かしがります。
銀行口座を持っていなかった私は(ななじゅうなな、フーン)とボーッと眺めているだけです。



● こまち分離

盛岡に着くと、通路を挟んで同じ列の男性が、いそいそと外に出ていきました。
荷物がそのままなので(キオスクで買い物かな?)と思いましたが、思ったよりも長く停車しています。

ここで、秋田に向かうこまちと連結切り離し作業が行われ、男性はその様子を見に行ったのだと気づきました。
私も見に行くんだったなあ。

盛岡辺りから、ぐっと家が少なくなりました。
車窓から雄大な奥羽山脈が、裾野まで広がって見えています。

● ヌマクナイ

「いわてぬまくない」という知らない駅名もありました。
いわて沼宮内と書きます。
不思議な響きだと思ったら、ヌマクナイとは「町の後ろから湧き出る川」を意味するアイヌ語だとのこと。
新幹線の停車本数が一番少ない駅だそうです。

盛岡から先は、結構細かく停まっていきます。
盛岡→いわて沼宮内→二戸→八戸→七戸十和田→新青森。
なかなか終点にたどり着かず、この期に及んで焦らしてくれる、イケズなハヤブサ君です。

停車するごとに、周りの乗客は、何回か交代していきます。
私達のように、最初から最後まで乗っていく人は、それほどいません。
一人で乗っていると、もう寝るしかないくらい時間を持て余しますが、連れがいるとそうでもありません。
この日は朝が早かったので、駅弁を食べたあとは、二人ともうつらうつら眠っていきました。

● 新青森着

7時半すぎに東京を出て、11時に新青森に到着。
新幹線に乗ってさえ、こんなにかかるなんて、やっぱり青森は遠い…。
というより、東北が広いんですね。

母にとって初めて降り立つ駅ですが、感動している風もなく「さあ降りるわよ」とテキパキ動いています。
母の姉妹たちがみんなで集まって、到着を待ち構えているらしく、母はタクシーで飛んでいくと、急いでいます。
青森まで電車で行く私とは、ここでお別れです。


手前が在来線のホーム。その背後が新幹線ホーム。



● タクシー来ない

電話でタクシーを呼んだら「5分後に行きます」と言われたものの、全く来る気配がありません。
15分後にようやくやってきたので、荷物を引いて近寄ったら、「違います」と言って、ブーッと去っていきました。

「おかしいわね」と母が電話をかけ直していると、休憩していた個人タクシーの運ちゃん2人が「待ってるのに来ないの?」と声をかけてくれました。
「はい」
「南口って言った?」
「え?」

今いる場所は、正面口だと思っていたら、南口でした。
あわてて電話中の母に伝えます。
正面口でおそらく待っているであろうタクシーを、南口に移動してもらうことに。

「来ない来ない」と待ち構えていましたが、タクシーに罪はなく、間違えていたのは私達でした。
正面口と南口は、それほど距離はありません。

個人タクシーの運ちゃん2人は「あ、急いでやってくるタクシーがいるよ。きっとあれだよ、良かったね」と言ってくれました。
ライバル会社のことなのに、親切にしてくれて、どうもありがとう!
予約してなければ、乗せてもらいたかったです!

タクシーに乗り込んだ母は、「じゃあね!」と言ったきり、後ろも振り返らずにあっという間に去っていきました。
見送っている娘のことなどもう忘れたに違いありません。
クールな母です。


青森市のマンホールはねぶた柄。これはイラスト埋め込み版でしょうか。



さて、私は青森駅へ向かいましょう。
北に来たというのに、夏のように暑い日です。まだ5月なのに!

● 歓迎モノいろいろ

新青森駅構内に戻ると、のどかな顔ハメパネルがありました。


逃がせばまいねよ~



(ゆるいわ~)とほのぼのしていたら、なんだかクワッと怒っている鳥のねぶたもいました。
ワー、つつかれそう!
さすがはねぶた、鳥さえも迫力満点でこわい~。



高さ5mの巨大な「梅沢富美男かかし」もいましたが、こちらは全くこわくありません。
ちなみに去年は「ピコ太郎かかし」でした。
どちらも青森ゆかりの人です。

● 今見られる花

在来線に乗って、青森に到着。
駅前ロッカーに荷物を入れて、まずは情報収集のため観光案内所に行きます。

今回の旅は、あまり予定を立てていません。
青森には夏か冬に来ることが多く、今回のような春のいい季節に来る機会はなかなかないので、お勧めを教えてもらおうと思います。
青森の桜はGWあたりに咲きますが、5月下旬にもなるとさすがに終わっています。
その後に咲くのは林檎の花。白いきれいな花が一面に咲く様子が見られるかしら。

そう聞くと「あー、もうほぼ終わっちゃってますね」と言われました。
「先週までなら見られたんですが」
なんと!一足遅かった!

白神山地に行きたいとも考えましたが「6月にならないとバスが出ないんですよ」と言われて、これも断念。
シーズンオフの間は、自家用車かタクシーでいくしかないんだそう。
うーん、無理だわ~。

青森の交通の便の悪さには、これまでも散々悩まされてきました。
レンタカーかレンタバイクにしたらどれだけ楽かと毎回思いますが、普段運転していないので、恐ろしすぎます。
自分の運転レベルを知っているだけに、慣れない土地で一人運転をする気になれず、いつも不便さを耐えながらの移動になっています。

たとえ林檎の花が見られなくても、りんご公園には行きたいなあ。
翌日は一日中雨の予報。
晴れの日に岩木山を見ておきたいので、まずは弘前に行くことにしました。

● りんごジュース販売機

駅には、りんごジュースオンリーの自動販売機があります。
さすがはリンゴの国!



しかもよく見ると、いろいろな品種のジュースになっています。
左から、ブレンド、きおう(黄王)、つがる、王林、ふじ。
ちなみにほかに、トキとジョナゴールドもあるそう。

これは他県では見ないでしょうね~。
全部飲み比べしてみたーい!



● さみしい時刻表

みどりの窓口で「津軽フリーきっぷ」を購入。
2日間で弘前周辺の電車やバスに乗れる周遊券です。
今の時間は12:10。弘前行きの電車はというと、13:36までありません。
1時間半もあとになっちゃう~!



ご覧ください、これが県庁所在地、青森駅の時刻表でございます。
1日で、たったこれだけなんです!
1時間に1本、いえ0本の時間帯もあります。
中でも津軽線は危険ですね。

地方で頼りの公共交通機関ですが、本数の少なさが泣かせどころ。
周遊券を持っているからといって、行きたい場所にスイスイ行けるわけではありません。
ちゃんと時刻表を見てプランを立てないと、あまり動き回れないのです。

● しかへる君

みどりの窓口には、案内ロボット「しかへる君」がいました。
小さくてかわいい!
おさわり禁止で、おしゃべりのみです。



ヘラジカみたいな名前ですが、鹿でもないしヘルメットもかぶっていません。
「しかへる」とは、津軽弁で「案内する」という意味なんだそう。
うーん、見当がつかない~!

トークは、至ってスラスラと滑らかな標準語のしかへる君。
津軽弁バージョンのロボットがいたら、お目にかかりたいものです。

● 八甲田丸

しかへる君はキュートですが、ずっと相手をしてもらっているのも悪いし、イタイ人すぎます。
駅前周辺を散策することにしました。



ポールの上の飾りがいかり型。上から見下ろさないと、なかなか気づきません。

停泊している八甲田丸。船体の黄色が緑によく映えています。
雪景色の中で見ることが多いので、緑深い5月に見ると、また雰囲気が違います。



かつて、青函連絡船は車両ごと入れて、津軽海峡を越える「車両航送」をしていました。
人は電車から客船に自力で移動してくれますが、貨物を移動させるのは大変なので、貨車ごと運び込んだというわけです。
その名残で、線路が海上の八甲田丸のところまで伸びています。

● 切れたラブリッジ

海沿いの展望台に登ると、人の気配がしました。
床を見ると、人が転がっていたので、ビックリ。
なにかの事案!?


隣は八甲田丸



いいえ、上半身真っ黒な男性が、気持ちよさそうに寝転んでいるところでした。
おじさーん!そんなところで昼寝しちゃって。
目下、絶賛日焼け中。事件のにおいはありませんでした。

おじさんの安眠を邪魔しないよう、少し離れた場所から、ウォーターフロントを眺めました。
真横からのアスパム、青森ベイブリッジ、そしてラブリッジが見えます。



・・・ん?
ラブリッジが途中でパックリと切れていました。
えー、どうしたの?これじゃあ歩いてたら落ちちゃう!
今は、通行止めになっていました。
人工干潟工事を行うためだそうです。

● ワ・ラッセ

それから「ねぶたの家 ワ・ラッセ」の方へ。
リンゴの赤色は、青空によく映えますね。



ワ・ラッセのモダンな入り口。
ネオ・伏見大社の鳥居のようでした。



● 品種ごとのりんご味

朝から日差しが眩しい日ですが、昼時間になるとさらに気温が上がって真夏の暑さ。
29.2度です。東京よりも暑いんじゃないかしら。
気候のいい5月なのに、夏休みのような気分になります。
今度はワ・ラッセの向かって左、ギザギザ屋根の「A-FACTORY」へ。



いろいろな品種のりんごジェラートが売られていました。
青森では、ジュースにしろアイスにしろ、りんごの品種ごとの味が出ているんですね。

たしかに、味の好みは人それぞれ。
母は多少酸味のある「ふじ」、私は甘~い「王林」を好みます。
でも、この中だと「あかね」が気になるわ~。味がよくわからないから。



● 弘前行きの電車

弘前行きの電車の時間が近づいてきたので、駅に戻りました。

JR奥羽本線、いえ、青森県内を走る電車の中でも、青森-弘前間は一番利用客が多い路線だろうと思います。
なのに、電車が改札から一番遠いホームに着くのはなぜでしょう。
日本一の短命県に住む県民たちを強制的に運動させるという、隠れた目的があるのでしょうか。

ホームを移動中、かすかに流れている歌に耳を澄ませると「青森駅で~♪」と歌っています。
青森駅から都会に上京する彼女を見送る、なかなか切ない歌で「なごり雪」に青春っぽさを入れて"ゆず"風にした感じ。
誰が歌っているのかな?今度駅の人に聞いてみようっと。

● 静かな発車

始発だからか、電車は発車時間の15分ほど前からホームに着いていました。
青森では、電車は時間が来ると静かに発車します。
発車ベルがジリジリ鳴り、音がやむとドアが閉まって動き出すシステムではありません。

電車の本数が少ないので、長らくホームを占領していられるからかもしれません。
また、ギリギリの時間に必死に駆け込んでくる人もいません。
そのあたりの感覚が、東京近辺とは違います。

再び新青森に着いた時には、11時に新幹線を降りてから、すでに1時間半以上が経っていました。
新青森駅のロッカーに荷物を入れればもっと時間を短縮できたのですが、よもやここまで電車が少ないとは思っていなかったのです。
まあ、急ぐ旅でもないので、別にいいですが。



弘前駅を過ぎると、車窓には水田風景が広がります。
ああ、のどか。

● 浪岡のりんご園

浪岡地区は、りんごの生産日本一の町。青森市内全体の約95%を生産しています。
(ちなみに、りんごの生産日本一の市は、弘前市です)

浪岡駅の辺り一帯にリンゴ畑が広がっているため、レンタサイクルしてリンゴ畑をめぐろうと思っていました。
ただ、電車の両側に広がるリンゴの樹々は一面緑で、白い花はもう咲いていません。
もう咲き終わっちゃったのね。うーん、残念。



祖父の妹は、浪岡のりんご園に嫁ぎましたが、どのりんご園か、母にももうわからないそうです。
祖母の実家もりんご園で、小さい頃に何度か避暑に行ったことがあります。
リンゴの木陰を、イトコと追いかけっこして遊んだ思い出。
なので、青森の人はみんな、りんご園にルーツがあるような感覚でいます。
たぶん、違うんでしょうけれど。

リンゴかわいや、かわいやリンゴ。
たとえお米に困っても、おそらくリンゴに困ることはないだろう、青森ルーツの我が家。
幸せです🍎

その2に続きます。


大井町せんべろナイト第2弾~スイートリベンジ index

2019-07-17 | 東京
[2019.5.16]
◆  大井町 1-1 ←旅行記へ
 3月のせんべろナイトに続く第二弾を決行しました。
 目的は、前回入れなかったお店への再チャレンジ。
 白いオウムに会ったのち、着々と攻略していきました。
  ● prologue ● たこ焼き屋の白オウム ● ボーイ meets オウム
  ● ① 肉のまえかわ ● 磯平 ● ② 御婆灯



◆  大井町 1-2
 立て続けに3軒ハシゴし、ほろ酔い気分で坂を下って上ります。
 貸し切りのカフェの中では、大人たちがボードゲームに興じていました。
 以前フラれたお店全てに入り、この夜の目的を達成しました。
  ● ③ 晩杯屋 ● ゼームス坂を下る ● 喫茶マーブル
  ● ゼームス坂を上る ● ④ お魚sun ● ⑤ サンマルクカフェ
  ● よもやま話 ● epilogue




大井町せんべろナイト第2弾~スイートリベンジ 2

2019-07-17 | 東京
その1からの続きです。

● ③ 晩杯屋

3件目は「立呑み 晩杯屋」へ。
初めて店名を聞いた時には、「すごい名前!」と噴き出しました。
だって夜に暗躍して、乙女の生き血を吸うバンパイヤですよ。
よく考えますね!

そういえば菊地秀行の『吸血鬼ハンター"D"』、まだ話は続いているんですよね。
30年以上のロングセラーってすごい。
思い出したら、読みたくなってきました。

バンパイヤは吸血鬼っぽくない、庶民的でお財布に優しい、同僚お気に入りのお店。
大井町に2軒あり、こちらはゼームス坂上店の方。
前回は2軒ともいっぱいで、何度お店の前を通って様子を見ても、結局入れずじまいでした。

今回は、奥に2人分のスペースを発見。
ここも立ち飲みスタイル。バッグを肩にかけたままで乾杯します。



私は、スペシャルにごりレモンサワー。
連れはハブのエキス入り、琉球ハブボール。キャー!
ドリンクは、どれも200~400円です。
ロマネコンティだけが飛びぬけて高く、5,000,000円とメンユーにありました。
うーん、酔いがまわって、ゼロがいくつか数えられなーい。



もつ鍋煮込みが130円、納豆オムレツが150円というビックリ価格。
とろっとしたオムに納豆が不思議と合います。初めて食べました。



お会計は2人で900円!
やすー!
みんなの味方、バンパイヤ!

● ゼームス坂を下る

ちょこちょこ飲み食いを重ねてきたので、おなかがふくれてきました。
この辺でいったん休憩することにします。

連れも私も、それぞれの酒量を得て、ほろ酔い加減。
気になる名前の「ゼームス坂」に、矛先(?)が向けられました。
「じゃあ、酔い覚ましにゼームス坂を制覇しよう!」
緩い傾斜が続く道を、歩き出します。

● 喫茶マーブル

なだらかな傾斜がずーっと続く坂です。
そのうち「喫茶マーブル」という小さなカフェの横を通りました。



「貸し切り」の紙が貼られたガラス越しに、部屋の中でボードゲームをやっているのが見えました。
大人たちが真剣に、夢中になって興じています。
その様子が楽しそうで、混ざってみたくなりました。

● ゼームス坂を上る

坂はいつまでも続いているため、喫茶マーブルの辺りでUターンし、引き返します。

「なぜジェームズじゃなくてゼームスなのか」とか、
「英国人とスコットランド人は違うのか」とか、
「なぜサンマルクスじゃなくてサンマルクなのか」とか、
とりとめのない酔っ払い同士の会話をしながら。

この坂はもともと「浅間坂」でしたが、英国人のジョン・M・ジェームズ船長が住んでから「ゼームス坂」と呼ばれるようになったそうです。

彼は浅間坂の急勾配が住民生活を不便にしていることを知り、私財を投じて現在のゆるやかな坂に直したのだそう。
お~、この延々に続くような長い坂は、ゼームスさんのおかげなんですね。
坂の上の立派なキャプテンです。

● ④ お魚sun

優しい船長さんのおかげでゆるやかになった坂では、まったく運動した気になりませんでしたが、気分転換ができたので、再び飲み屋街へと足を踏み入れます。
4軒目は、東小路の「お魚sun」
おさかなさん、と読みます。かわいい店名です。



お店の中は混んでいますが、カウンター席を詰めてもらい、ギリギリ2人入れました。
前回、2度トライしたものの、2度とも中に入れなかったので、狭くても全然オッケー!

見知らぬお隣さんとは、もうほとんど肩が触れ合っています。
カウンターのみの1階は禁煙。空気がクリアです。



ドリンクは、連れはサムライロック、私はウーロン。
サムライロックって、名前がカッコいいですね。
日本酒ベースのリキュールだそう。
今度飲んでみようかしら。



魚料理専門店のこのお店では、真鶴港で水揚げされる相模湾の魚が食べられます。
おまかせ刺身盛り合せなど頼みたかったのですが、もうおなかに入りません。

人気ナンバーワンだという、自家製バッテラ(サバの押し寿司)(650円)にしました。
女将に「できるまでにちょっと時間をいただきます」と言われます。
ええ、待ちますとも!



女将が注文を受けて、大将は寡黙に包丁を振るう、二人三脚のお店。
イワシの梅煮(700円)がやってきました。
梅が大きい!南高梅でしょうか?



バッテラは昆布の旨味と、イワシは梅との辛みが絶妙。
柔らかくよく味がしみていて、おいしかった~。
大将の腕は確かです。
いつも混んでいる人気の高さも納得のお店です。

● ⑤ サンマルクカフェ

4軒のお店を周って、たくさん飲み食いしました。
もうおなかパンパンです。
このあたりで、居酒屋はしご巡りは終了~。

「じゃあお茶にしよう」と、5件目は、サンマルクカフェに入りました。
(あれ、満腹なのでは?)と思われましたか?
スイーツは別腹ですよ~♬
ベリーパフェとベトナムコーヒーを頼みます。



● よもやま話

お土産を交換しながら、よもやま話をしました。

連れからは、今ではあちこちで見かける「串カツ田中」について。
大井町にもありますが、創業者は田中さんじゃないのだそう。
田中さんのレシピを使って展開したお店だからで、創業者は別の苗字なんだそうです。

「サンマルクの店舗は、初めのうちは全店電話番号の最後を309で統一していた」
これは私からの情報。
10年以上前に調べた時、当時あった店舗はすべて309(サンマルク)終わりでした。
今は店舗も増えて、もうそのルールはなくなったようですが。



また、連れから「長野ではレンタルヤギが人気」という話も教えてもらいました。
ヤギさんのお仕事は、雑草駆除。
レンタル先の任務は、食事。
ひたすら草を食べて過ごします。
依頼主は除草剤を撒かずに草狩りができる上に、ヤギの姿にみんなが癒されるので、一石二鳥の効果があるそうです。

夏の間はむしゃむしゃ草を食べて過ごし、雪が降る冬の間は牧場で過ごすヤギさん。
たまに脱走しても、新しい草のある場所でのんびり食事しているので、あっさり捕まえられるんだそう。
想像するだけで、ほのぼのしますね。

私もヤギさんレンタルしたーい!
でも肝心の草地がないんだった…。

● epilogue

二度にわたって散策した大井町の夜の小路。
品川の隣の駅なのに、昭和レトロ感満載の下町です。
一度目の時に混んでいて入れなかったお店に、再チャレンジするという今回の目的。
ラッキーなことに、心残りだったお店全てに入ることができました。

おしゃれ度やインスタ映え度とは無縁の、昭和感満載の界隈ですが、サクッと飲み食いして、あとくされなく次に移るスタイルは、気負わず楽しいもの。
そうした人が多いため、一軒の店で少ししか頼まなくても、お店の人は嫌な顔一つしません。
時代が変わっても、こうした立ち飲み居酒屋は、路地の片隅にいつまでも残っていてほしいと思います。