風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

夏の終わりの房総の海(館山)2-1

2019-12-13 | 千葉

1日目からの続きです。

● そのまま朝

ハッと目覚めると、2日目の朝でした。
(あれ?)と思いましたが、夕べ、寝落ちしたことに気が付きます。

布団の中でもぞもぞ動いていると、7時のアラームが鳴ってベスが起きました。
「おはようございまーす。あれ、寝ちゃってた…」
「私も…」
夕べはおやすみを言わずじまいでした。

でも、部屋の明かりもTVも消えています。
「寝そうになりながらも気になっていたようで、消したらもうパッタリ」
ベスの方が理性的でした。

TVをつけると、夜見た時と変わらずマラソンが続いています。
24時間TVですからね。

この町では、7時の町内放送に「エーデルワイス」のメロディが流れますが、寝ぼけていたのか、気がつきませんでした。

● 朝ごはん

「おはようございまーす」と、ふすまの向こうからおかみさんの声。
「朝食、ここに置いておきますね」
朝食は7時半から。
挨拶をして、食事を部屋に運びます。

 

いただきまーす!
ヘルシーな食事をいただき、食後はチェックアウト時間までのんびり過ごします。

● チェックアウト

9時半にチェックアウト。おかみさんにご挨拶をします。

「夕べ、お祭りを見に行ってきました」と報告。
「お家の前に飾られている紙の花は何ですか?」と聞き、「お祭り運営の寄付をした家に配られるもの」だと教えてもらいました。なるほど~。

今回は、初めて私たち2人だけの一軒家宿泊となりました。
しかもこの夏最後の利用者だったので、普段よりもずっと、おかみさんとお話しすることができました。

夕べ、離れから犬の声が聞こえたと思ったら、新しく白い犬と黒い犬を飼い始めたそう。

前のワンちゃんが天に召されてから、寂しい期間が続いていたことを知っているので、よかったと安心します。

ワンちゃんたちに会いたかったのですが、ちょうどお散歩に出ているところ。
「お宿のブログを見ますね」と言って、お別れしました。

● 駅へ

もう、どの家にも、カラフルな花飾りはなくなっていました。
お祭りが終わったので、取り外したようです。かわいかったので、ちょっと残念。

「ときん」のお店は相変わらず変化なし。
潜水艦のような窓もしばらく見納めです。

● 内房線

ここを曲がると、岩井駅はすぐそこ。
10時前のJR内房線に乗って10分ちょっとの、終点の館山駅まで乗っていきました。

館山の辺りに来たことはありますが、車だったので館山駅を利用したのは初めて。

● きれいな館山の町

 

駅舎から眺める街並みは、絵のようなパームツリーの並木道。
ここはフロリダ? サンタモニカ? アメリカのリゾート地みたい。
館山って、こんなにきれいな町なんですね。

この駅舎は平成11年(1999)に完成し、「関東の駅百選」に選ばれているそう。
周りの建物は、白い壁にオレンジ色の地中海風屋根瓦で、すべて同じような外観です。

南欧風の街並み景観にするために、「屋根はオレンジ色、壁は白が基本、高い塀は造らず生垣にする、電柱は民有地内に入れる」という決まりを作って、海と空の青や木の緑とのコントラストを強調する、統一感のある街並みにつくりあげたそうです。徹底した駅前開発を行ったんですね。

 ● マンホールとトイレ

ふさふさとしたパームツリーの木々が葉を揺らし、いかにも南国ムードタップリですが、ここは千葉。
房総半島南部といっても関東です。
パームツリーの日本の北限ってどこなんでしょう?

まさにサマーリゾートという感じのマンホール

駅からまっすぐのびるメインストリートを通って海岸沿いへ。
海沿いに立つこじゃれた建物はなに? と思ったら、トイレでした!

男性と女性のマークは、フラメンコダンサー風。南欧っぽいから?
建物の上では、風見鶏ならぬ風見クジラがくるくる回っていました。

● 砂だまり注意

海岸通りを歩いていると、「砂だまり注意」というアラートがあちこちにありました。
初めて見る注意です。

風にあおられた砂浜の砂が、道路に吹き付けられてたまるんですね。
その上を車が通ると、バランスを崩しやすくなってしまいます。
砂、キケン!

● 渚の駅へ

少し歩いたところにある“渚の駅”たてやまへ行きました。

 

ここに併設された海の博物館には、館山ふるさと大使の"さかなクンギャラリー"があります。
ここの名誉駅長になっている本人の等身大パネルに出迎えてもらい、中に入ると彼が描いたたくさんの魚のイラストがありました。

 
イシガキフグのれいわちゃん

この日11時から年末のフライトチケットの予約受付が始まると、ベスが申し込みをしている間、私は展望台のベンチで潮風を受けながら、読書をしていました。


海に伸びる夕日桟橋

気持ちいい~。爽やか~。
贅沢な時間を満喫します。


お船が遠くかすんでる~♬

空を飛んでいるのは、2羽の鳥ではなく、すぐそばにある海上自衛隊航空基地の飛行機です。
 
その2に続きます。

◆ 夏の終わりの房総の海 index ◆

 


夏の終わりの房総の海(岩井)1-2

2019-12-12 | 千葉

 

その1からの続きです。

● 海の家はまじん

宿泊先は、岩井海岸のはまじん。
家の外には、やはり三色の紙のお花が飾られています。

宿泊できるのは一日2組のみ。毎回予約を取るのが大変ですが、今回も来ることができました。
ここではとても静かに、ゆったりとした時間を過ごせます。

 

ちょうど宿のおかみさんが玄関にいたので、「今年もよろしくお願いします」とご挨拶しました。

「この夏は、あなたたちが最後なんですよ」

そう、ここは海の家で、夏季期間限定の営業です。
もう一組はキャンセルになったとのことで、今回の宿泊は私たちだけのよう。

● 初めての1階

過去2度とも、小さなお子さん連れのファミリーと一緒で、その人たちが1階、私たちは2階に泊まりましたが、今回初めて1階を使わせてもらうことになりました。

古めかしくしっかりした造りの家。
壁は、昔ながらのキラキラ光る繊維が混ざり、触るとざらざらする綿壁(わたかべ)。
床の間も飾り棚もあり、祖母の家を思い出します。
一階は欄間(らんま)がある分、天井が高い~。

ここでの予定は、すべてが早め。
夕食は6時で、入浴は8時まで。
そのため、夕食前のまだ明るいうちに、離れのお風呂に入ります。

● ダイヤモンド富士

今回、夕食時間は30分遅らせてもらうことにしました。

「6時10分に、海岸でダイヤモンド富士が見られるらしいんです」と話すと、
「あら、この前うちの息子が撮影していたわ」とおかみさん。
海越しの富士山を見られるところに住んでいて、いいなあ! 

6時前にビーチサンダルに履き替え、2人で浜辺に向かいます。
菊池寛の歌碑がありました。


「遠あさの 海きよらかに 子等あまた 群れあそびゐる 岩井よろしも」

彼は昭和3年から昭和8年の間、岩井海岸に避暑に訪れていたそうです。

その歌の通り、遠くの方で泳いでいる子供たちグループと大人がいました。
でも、ビーチにはほかに人はいません。

 

そして、肝心の富士山は、全く見えません!!
「あれえ、富士山、どこ~?」

 

夕日は丸く見えますが、その下の厚い雲に隠れてしまっているのです。

しばらく海岸を散歩しながら、富士山が姿を現すのを待っていましたが、逆に雲の方が厚くなってきて、いつしか夕日も、見えなくなってしまいました。

 

「・・・宿に戻ろうか」

きれいな光景を見られずに、肩を落としましたが、それでも夕暮れ時のひとけのない浜辺の散策は、爽やかで心地いいものでした。

タオルドライしかしなかった髪の毛も、風ですぐに乾いたし。

宿のおかみさんに「見れましたか?」と尋ねられ、がっかり顔で「いいえ」とかぶりを振ります。
「それは残念。夕食どうぞ~」と言われて、サクッと気持ちが切り替わりました。(現金)


こういうのを見たかった…

● 金魚の洗い場

外の洗い場で足を洗っている時、タイル式の洗い場に、赤と黒の金魚の絵がついていることに気づきました。

「わあ、かわいい」

覗いていたら、左の隅に緑のバッタがいるのを発見。
こちらは本物。静かにとまっていました。

● 夕食

いつも、魚づくしの料理を食べさせてくれるこのお宿。
今回もおいしそうです。

 
三種のお造り、スズキ・金目鯛・ブダイ

どれもおいしい!
(今回の夕食に揚げ物は出ないかも)との推理で、お昼にしいらのフライをいただいたのですが、予想が当たりました。

● 24時間テレビ

おいしく食事をした後、TVをつけると、「24時間TV」をやっていました。
今日が放映日なのね。

オープニングに、東松島からの中継で、嵐の松潤が登場しましたが、私は彼ではなく、その背後に注目します。
東松島のどの場所なの~? 野蒜海岸? 去年行ったところの辺りかな?
暗かったので、結局よくわかりませんでした。

おなかが落ち着いてから、もう一度お風呂場でさっとシャワーを浴び、浜辺の汐を流します。

● 鳴り続く笛太鼓

宿に着いてからずっと、近くで笛や太鼓の音が響いています。

どうやらこの日は、町のお祭り日のよう。
岩井地区の全ての山車が集まる、岩井地区合同祭礼だそう。

たしか前の時も、ちょうどお祭り日に当たっていました。私たちは当たりがいいわ。
でもその時は暑さに負けて、外に行かずに部屋でお囃子の音色を聴いているだけでした。

今回は、前ほど暑くはありません。
そして夕方の海を見たため、なんとなく外に出やすい気分になっています。

 ● お囃子の音の方へ

そこで、音色を頼りに、出かけてみることにしました。

「お財布持ってく?」
「置いてく」
「わたあめ買えなくなっちゃうけど?」
「そう、買わないため」

もう日が沈み、暗くなっています。
電灯のない海への道は、少しの距離でも暗くて足がすくみます。
及び腰で、音が聴こえてくる方に向かいました。

海岸沿いに出ると、ほのかに明るくなります。
音のする方は、これまで行ったことがない道。

● 山車がずらり

歩いて行くと、暗闇の中にぼおっと浮かび上がってくるものがありました。

それは、山車のようでした。
全部で12基がずらりと並んでいます。

そのどれもに太鼓がついてあり、ハッピ姿の青年たちが、かわるがわる叩いています。
それでずっと音が聞こえ続けていたんですね。

大勢の人たちが周りを取り囲んで、彼らを見守っています。
浴衣姿の人も多く見かけます。

昔ながらの夏祭りの過ごし方といった感じ。
昭和期にタイムスリップしたような気分になりました。

● 海神への奉納

木製の山車には立派な彫刻が施されており、近くまで行ってしげしげと見入りました。
南房総地域で有名な彫刻師の一門・後藤流の作品だそうです。

青年会のメンバーの家族なのか、小さな子供たちも、一生懸命太鼓を叩いていました。将来有望です。

出店は5,6軒ありましたが、わたがし屋さんは来ておらず、代わりにお面屋さんがいました。

広い会場は、おそらく岩井海岸の駐車場。
すぐ目の前は海で、波が押し寄せる音も聞こえます。
海ぎわで行われるこのお祭りは、海神様への奉納演奏なのでしょう。

過ぎゆく夏を惜しむように海へ空へと上がっていく、笛と太鼓の音。
人々の熱いパッションを感じました。

● 義手の野球少年

(いいものを見たな~)と満足して、宿に戻ります。

それからは、涼しい部屋でのんびり。
お茶やお菓子をつまみながら、24時間テレビをみて、ゴロゴロ過ごします。

『両手でバットを振りたい 義手の野球少年 夏の挑戦』という企画で登場した、義手をはめて野球の試合に出る14歳の少年を見守ります。
筋電義手というものを初めて知りました。
脳から伝達された意思が電流に乗って手が動く仕組み。
自分の意志に沿って義手を動かせるなんて、すごいAIテクノロジーですね。

● うたたね寝落ち

祭礼が終わったのか、いつの間にか、太鼓の音も止んでいました。

歯も磨いて、布団も敷いて、あとは寝るばかりの体制になって、なおもゴロゴロ。
しだいに強い眠気が襲ってきました。

普段は真夜中過ぎまで元気ですが、この日はまだ10時前。
あれー、眠くなるの早すぎじゃないー?

でも気持ちがいいので、ちょっと目をつぶってみたら、その瞬間に眠りに落ちたようです。

一度目覚めて、「あれ、私寝ちゃってたの?」と言いましたが、もはやへろへろの寝ぼけ声。
ベスも隣の布団で横になっており、反応はいま一つ。

 (真夜中過ぎに『生さだ(=今夜も生でさだまさし)』を観ようと思っているのに…)
と思いながらも、身体を起こすことができず、そのまままた意識を手放しました。

そうして、知らぬ間に1日目が終わりました。

2日目に続きます。

◆ 夏の終わりの房総の海 index ◆

 


夏の終わりの房総の海(南房総) 1-1

2019-12-11 | 千葉

● prologue 

夏に房総の海の家を訪れるのが、いつの間にか、毎年の恒例旅行のようになっています。
今年はふだんより遅めの、8月下旬に行ってきました。

いつも一緒に向かうのは、同僚のベス。
1回目は金谷フェリーとJR内房線を使って、2回目は運行したての渋谷―木更津バスと内房線を使って行きました。
さて、3回目となる今回はどうやって行こうかな?

電車でも行けますが、東京経由で東京湾をぐるりと周り込むのは、あまり気が進みません。
車がないと不便な房総地域ですが、回を重ねるごとに、少しずつ慣れてきたことですし、暑い盛りなので、なるべく移動が楽な方がいいね~ということで、横浜からバスで行くことにしました。


目的地は★の辺り

6月に母とびわ狩りに行った時に乗った路線です。

 ● 横浜―館山バス

10時発の館山行バスに乗るべく、横浜駅西口のバス乗り場に集合します。
同じ乗り場のディズニーランド行のバスと、交互に出発。
TDLラインは満席でしたが、館山行きのバスも、結構混んでいました。

 
乗るたびに紅茶が飲みたくなる、日東交通

びわ狩りに行った日は嵐でしたが、今回は快晴。嬉しくなります。
山下公園の横を通った時に、ベスが
「3年前に、“山下公園って知ってます?”って聞いたことありましたね」と言いました。

そう。その時は、"は?"とびっくりして一瞬固まったものです。
当時、久留米から上京してきたばかりのベスにとっては、そういう質問もアリだったわけですが。

今でも「軽井沢って長野なんですね」など、関東人はまず言わないセリフを聞いては、新鮮な気持ちになります。

今回は「横浜公園って知ってます?あるらしいんですけど」と言われました。

まだ続きがあったか!!

「知ってますよー。横浜スタジアムのあるところですよー」

 話をしているうちに、バスはベイブリッジを通ってつばさ橋へ。

「ベイブリッジのまたの名がつばさ橋?」と聞かれたので、
「橋は陸と陸を繋ぐもの」「二つの橋の間には陸がある」「よって二つは別の橋」と説明しました。

間にある陸地は、大黒ふ頭です。
でもそこまで話すと、初めて聞く人には難しそうなので、止めておきました。

 ● アクアライン

じきに、アクアラインが近づいてきました。
アクアラインの海中トンネルを通っている間に、ベスはいつも寝てしまい、海ほたる―木更津間の、海上道路の光景を見たことがありません。

そのたびに残念がるので、今回は私が隣でひっきりなしに話しかけて、「寝させないぞ作戦」を実行。

寝させななかったので、今回は彼女も、海の中の道路を走っている光景を観ることができました。よかったよかった。

海ほたるに入った場所は、工場が立ち並ぶ京浜工業地帯の川崎でしたが、海を渡って千葉に行くと、ぐっと緑深い世界になって、対照的。

 ● ハイウェイオアシス

川崎からずっと東に進んでいたのが、木更津に着いてからは南に方向変換。
降りたのは、ハイウェイオアシス富楽里でした。

車だと高速道路から寄れて、徒歩だと一般道から入れる場所。
ここから宿まで歩いて行ける、一番便利なルートです。

 ● シイラ定食

着いた時にはちょうどお昼時間になっていたので、ここでランチにします。
いくつか食べるお店がある中から、食事処網納屋 (あみなや) に入りました。 

本日のフライ定食をチョイス。
「何のお魚ですか?」と聞くと「しいら」。

「わあ、しいら好き!」と喜んでいると、大将に「しいらが好きなんて、女性には珍しい」と言われました。
えっ本当に? 食べやすいあっさり味ですけれど。


シイラはハワイではマヒマヒといわれます

「シーラって女の子の名前みたい」という私と
「シーラカンスっぽい」というベス。なんかちょっと違う…。

サクサクのおいしさに舌鼓を打ちました。

● 2年前のレンさん

店内には、たくさんのサイン色紙が飾られています。
目の利くベスが「あ、漣さん」と言いました。


「あるがままに」というメッセージ

大杉漣のサインがありました。2年前の日付です。
まだ元気だったころでしょう。2人でしんみりしました。

● 千葉のたべもの

ゆっくり食事をしてから、下の生鮮売り場に行きました。
かぼちゃかぼちゃ。いろんなかぼちゃ。

色とりどりのカボチャバスケット。いろいろありすぎなくらい!

生キクラゲがたくさん並んでいました。
大好物です。もちろん買いますよ!

● 巨大玉子巻き

この辺りの名産でしょうか、巨大玉子巻きがドーンと1ロールで並んでいます。
持ってみると、ずっしりとした重さでした。いったい何人分なのかしら?
前回、一切れ分を食べてみたら、かなりのボリュームでした。

たくさん並べられていましたが、眺めている間に何人もの人がやってきては籠に入れていったので、作った分全部売れるのでしょう。
大人気商品のようです。

母に金目鯛、自分用に生きくらげを買いました。ほくほく。

● ヨーグルトトラップふたたび

二人で、牧場ヨーグルトも購入。
川場牧場というところのものです。

てっきり地元産と思いきや、よく見たら製造元は群馬でした。
うそー! 近くに近藤牧場とかあるのにー!
せっかく地場地産に協力しようとしているんだから、みんなも地元のものでがんばってー!

でもそういえば、前にもこのヨーグルトを飲んで、やっぱり「地元のじゃない!」と愕然としたんでした!
学習能力がないわ!!

● 岩井の宿へ

一番暑い時間帯に差し掛かりましたが、そろそろ宿に向かうことにします。

ハイウェイオアシス富楽里の周囲には広々とした水田が広がっており、両側の稲穂を眺めながら通っていきます。
前は初夏に来たので、ここまで穂は垂れていなかったなと思いながら。

台風が来ているわけでもないのに風がとても強い日で、日傘が負けてしまいそう。
稲穂も、ざあざあと風になびきます。金色のじゅうたんがはためいているようです。

暑さをこらえて駅前を通り過ぎ、さらに海沿いの宿に向かいます。
民家が増えてきましたが、どの家の前にも手作りの三色の紙の花が飾られています。
前にも見たことがありますが、これって何かしら?

途中でお茶やお菓子の買い出しをして、30分ほどかけて宿に着きました。

● スナックときん

カンカン照りの下、へばりそうになりながら歩いていたため、写真はほとんど撮っていません。
でも、毎回気になっている「居酒屋スナック ときん」は撮りました!

潜水艦風の窓がいい感じ。
私たちが初めて訪れた3年前から、ずっと閉店しており、今回もそのままの状態です。

その2に続きます。

◆ 夏の終わりの房総の海 index ◆


もぎたての房州びわをたくさん食べたい! index

2019-12-06 | travel

[2019.6.22]

2019年9月に関東地方を襲った台風15号で、千葉県は大きな被害を受け、12月現在もまだ復興途中にあります。

「道の駅とみうら 枇杷倶楽部」では、八角形のとんがり屋根が吹き飛び、県内のびわ農家は、軒並みびわの木が倒れたり枝が折れるといった被害を受けました。

これは、台風前の2019年6月に千葉の南房総市を訪れた時の記録です。
被害地域の一日も早い復興を、祈っています。


◆ 南房総 1-1←旅行記へ

 母のリクエストにより、千葉にびわ狩りに行くことにしました。
 悪天候の中、催行を確認できないままアクアラインを渡ります。
 びわ食べたさに、嵐の中を必死に歩いて農園に向かいました。
  ● prologue ● どこに行く? ● ツアーは全て終わってた
  ● びわ狩りは2日後終了! ● 当日までわからない
  ● 高速バス ● 羊のおしり ● 道の駅 ● 受付にて
  ● ハウスではなく農園 ● 新たな問題勃発 ● 嵐の中を歩く
  ● カーネーション団地 ● たくさんのびわ園 ● 岩井農園
  ● びわのとり方 ● 狩りの始まり


 雨にも負けずにびわ狩りを満喫し、家に買って帰ります。
 道の駅では、びわソフトを食べました。いくら食べても飽きません!
 天気には恵まれませんでしたが、しっかり目的を果たせた満足の一日でした。
  ● びわ狩り真っ最中 ● 田中男爵 ● まだまだいけます!
  ● 百年前の明治時代 ● びわソフト ● 太巻き寿司
  ● 花のガーデン ● 橋と飛び石 ● 降ったり止んだり
  ● 帰りのバス ● 雨上がりの横浜 ● 夕食もスルスル ● epilogue

 


もぎたての房州びわをたくさん食べたい! 2

2019-12-06 | 千葉

その1からの続きです。

● びわ狩り真っ最中 

びわ狩り中の画像は、ほとんどありません。
だって時間は30分だけ。撮影しているどころではないからです!
両手は、びわを採って食べるためのツール。
カメラをいじるものではありません。

びわ狩りの最中も雨は降っていましたが、歩いていた時のような激しさはなく、木陰にいたこともあって、まったく気になりませんでした。
というより、びわに集中していて、雨のことなんてどうでもよかったというのが本音です(笑)!

● 田中びわ

「大房(おおぶさ)」や「さとみ」など、いろいろな品種を食べてみた中で、一番おいしかったのは「田中」でした。
なんというシンプルなネーミング! 田中男爵が育てたものだそう。
お友達の田中さん(複数)に教えてあげよう!

「さとみ」は、女の子の名前のようですが、きっと『南総里見八犬伝』の里見から取ったんでしょうね。

「あっちの木になっているのは違う種類だから、採ってくるわ」
そういって急斜面を登り出す母。
さっきまで、「坂を登れない~」って杖をついていたのに。
フルーツ愛は大きなパワーを出すものですね。


● まだまだいけます!

これほど肉厚の、大きくてジューシーなびわは、ついぞ食べたことがありません。
夢中で食べ続けていると、農園の息子さんが再び現れました。

「どうですか?」
「おいしいです!! モゴモゴ」
「30分食べると、かなりおなか一杯になるでしょう」
「いーえ、まだまだいけます!!」

口をそろえて同じことを言う母と娘であります。
絶賛狩りモード中の私たちでしたが、時間が来たので、この辺でおしまい。
歩きだすと、身体がずっしりと重くなっていました。
びわがおなかにたまっているなあと実感します。

ああ、極上の時間でした💛

● 百年前の明治時代

農園でお土産用のびわを購入し、帰り道は息子さんに車で送ってもらいました。
(びわのシーズンが終わったら、どうするのかな?)と思ったら、「ほかに畑がありますが、自分は会社員なんですよ」とのこと。
この季節だけ、お休み返上でびわ園を開けているそうです。

「うちは代々ここで畑を耕していて、百年くらい前にびわ園に換えたそうです」とのこと。
百年前といったら明治時代。その頃から、びわが人々の食卓に上るようになってきたのかもしれませんね。

● びわソフト

親切な息子さんに道の駅まで送ってもらった時には、雨が上がっていました。
ここで、バスを待ちながらのんびり過ごします。
たくさんびわを食べてきたばかりなのに、2人とも何事もなかったかのようにびわソフトを食べました。

食べ飽きてないかって?全然!
この辺はやっぱり親子だなあと思います。
ここのびわソフトは評判で、一日1000個売れるんだそう。すごいー!

● 太巻き寿司

見るからにボリューム感たっぷりの太巻き寿司。千葉の郷土料理です。
どこかで見たことあるような顔…あっ、アンパンマン!

● 花のガーデン

雨は小康状態になり、降ったり止んだりしています。
止んだ時を見計らって、花壇の散策に出ました。

 庭園には色とりどりの花が咲き乱れて、絵のような美しさ。

色鮮やか。やはり房総は、花の国ですね。

一年中楽しめるように いろいろな花を植えて、手をかけているのでしょう。

● 橋と飛び石

花壇の向こうには川があり、木の橋が架かっていました。
欄干のない橋は魅力的ですが、その横の飛び石の方が楽しそう。
飛び石を渡って向こう岸へ渡りました。

向こう岸から眺める道の駅の建物。
緑のとんがり屋根は、遠くからでもよく見える、富浦のランドマークです。

● 降ったり止んだり

ぱらぱら雨が降ってきたので、再び飛び石を渡って戻りました。
そばから見ると、ガーデン側はすべてガラス張りになっていました。

天気は相変わらず不安定で、スコールのような大雨が降っては止み、を何度も繰り返します。

無事にびわ狩りを済ませて道の駅に戻ってきたので、一安心。
「枇杷倶楽部」という名前だけに、道の駅にはびわ関連のお土産がたくさん揃っています。

母はまたもや、お土産を買いまくります。
私が去年ここで買って帰った、銚子電鉄のぬれ煎餅も買いました。
農家直売所で野菜も買い、2人のバッグはパンパンに。

● 帰りのバス

やってきた横浜行の高速バスに乗りました。
バスの中には、館山からの乗客が結構乗っていました。

高速道路は山の中を通っていますが、時々内房の海がちらっと見えます。

帰りもかなりの大雨。今回は、バスに乗ると雨が激しく降り出します。
視界不良のまま、海中にある海ほたるまで来て、そこから海底トンネルに入りました。


海ほたる

1時間半の道のりですが、雨のため、20分ほど遅れて到着。
途中の京浜工業地帯では、キリンならぬ赤いガントリークレーンをたくさん見かけました。

● 雨上がりの横浜

横浜に着くと、雨は止みました。
日中は激しく降ったようですが、ピークは過ぎた模様。
ベイブリッジを通ったので、天気が良ければ、紺碧の空と海を楽しめましたが、梅雨シーズンだから仕方がありませんね。

● 夕食もスルスル

昼食はびわだったので、横浜そごうで夕食を取ることにしました。

歌行燈ゑべっさん ゑびす

母お気に入りの、べっさんのゑびす膳。
食べる前には「おなかパンパンになるほどびわを食べたから、入らないよ」と言っていましたが、着席してお膳が目の前に出てくると、スイスイおいしく完食しました。

みんな食べられちゃった。あれー?おかしいなー。
びわは80%が水分なので、とっても消化がいいそうです。

● epilogue

急に思い立って出かけてきた房総のびわ狩り。
最後の時期になりましたが、駆け込みで間に合ってよかったです。

ほかのフルーツに比べて、ちょっとお高めのびわ狩り。
母のたってのお願いでしたが、実は(手間や交通費を考えると、家で高級びわをたくさん食べる方がいいのでは?)と思っていました。
特に今回は、大雨の中を催行するのかとか、歩いて行けるのかなど、何かと不安要素が多かったこともあったので。

ところが、実際行ってみて、その考えはガラリと変わりました。
やっぱりびわ狩りってすごい!
まず、農園さんが見つくろって、今お勧めのびわの木のところに連れて行ってくれます。
プロの見立てなので、間違いありません。
そのびわは、贈答用の大きなサイズ!

さらに、もぎたてのびわは、みずみずしさが市販のものとは違うのです。
新鮮!

いや~、これまで、本当のびわの味を知らなかったんだな~と、つくづく思い知りました。
母も大満足。「心ゆくまで食べられたから、もうびわ狩りがしたいなんて言わないわ」と言っています。
今はそんなこと言っていても、来年また「食べたいから行く」と言い出しそう。
母が言わなくても、私が食べたくなって、また海を越えて行きそう。

帰宅後、母はさっそく農園で買ってきたびわを食べていました。
「えっ、さっきあれほど食べたのに!?」
「おいしいから、あなたも食べなさい」

そう言われましたが、体験したてのライブの余韻をしばらく残しておきたい私は、食べずにおきます。
母はどれだけフルーツ野郎なんでしょうね。
ゼリーまで出してきて…。
しばらくは、びわ三昧することでしょう。

今回は、掲載画像数が普段よりも少ないです。
それは、天気が悪くていい景色を撮れなかったのと、びわ狩りに集中して撮影を放棄したためです。後悔はしていません!
読んで下さった方には、雰囲気だけでも受け取っていただければと思います。

おいしいものは、人を幸せにする力を持っています。
この日、新たな禁断の果実の味を知ってしまいました。
それは、とても甘美なものでした。
母も私も、とてもハッピーな一日になりました。

◆ もぎたての房州びわをたくさん食べたい! index ◆