● prologue
毎年恒例の、秋の母娘旅行。
たいてい京都に行きますが、ここ最近の外国人旅行客のヒートアップぶりには、ちょっと閉口気味。
去年、「アドベンチャーワールド」に仔パンダの彩浜が生まれたので、母に行きたいと言われたものの、旅程を組むのが難しかったので、やめました。
すると、今年もまたリクエストを受けました。
やっぱり行きたいのね~。
一年越しの希望なので、行かないわけにはいきません。
彩浜も、どんどん大きくなっちゃうし。
ほかに、「大塚国際美術館」も行きたいとのこと。
さらに、以前参加した「琵琶湖一周クルーズツアー」にまた参加したいとも。
今回は京都ではなく、趣向を変えることにしました。
● 陸路で南紀へ
今回のプランニングには、悩まされました。
アドベンチャーワールドは和歌山県、大塚国際美術館は徳島県、琵琶湖は滋賀県と離れているため、かなり移動することになります。
さらにアドベンチャーワールドは、紀伊半島の南端近くの南紀白浜にあります。
「じゃあ、東京から白浜行きの飛行機に乗ればいいじゃない」と思いますよね。
しかし母は、飛行機に乗らないポリシー。いくらなだめすかしても,頑として聞き入れません。
そんなわけで、延々陸路で行く必要があります。
名古屋→三重経由ルートをとるか、大阪→和歌山駅経由ルートをとるか。
大阪から白浜まで「特急くろしお」に乗ろうと思います。
でないと、広大な紀伊半島の南に行くまでに、すごく時間がかかってしまうのです。
くろしおは新大阪を通るので、新幹線を降りてすぐに乗り換えられるし。
ということで、新大阪経由で白浜に向かうことにしました。
● 白浜→鳴門?
お次はアドベンチャーワールドから大塚国際美術館白浜へのルート。
白浜から在来線を乗り継いで、和歌山港からフェリーに乗り、鳴門経由で美術館に行こうと思いましたが、どれも本数が少ないため、移動だけで1日かかることが判明。
場所から場所への移動は移動距離の無駄がありませんが、待ち時間が長ければなにもできずに一日が終わってしまいます。
アドベンにも大塚にも、大阪から行く便があることがわかりました。
そこで、今回は大阪を拠点にして、放射状的に動くことにします。
勝手知ったる京都をあちこち巡る例年とは違い、今回は慣れない場所から場所に大きく移動することになります。
しかも、母は心臓が弱く、走ったり階段を使うことは極力避けないと、すぐに調子が悪くなってしまいます。
つい旅の予定を詰めすぎてしまう私ですが、そこは母ファーストで考えなくてはなりません。
● 出発
直前まで様々なことが気になり、寝不足のまま当日5時半に起床。
新横浜までバスで向かいます。6時半くらいなのに、乗客は多く、バスの座席はほとんど埋まっていました。みんな早いのね。
新幹線のチケットを買ったとき、行きの便の二人掛け座席は、一番はじの車両しかないと言われました。
新大阪駅に着いてから、新幹線から特急くろしおへ乗り換える時間は15分しかありません。
「間に合うでしょうか?」「大丈夫ですよ」
母と一緒なので、急ぐのはご法度ですが、できることなら、新大阪駅のロッカーに荷物を入れたいのです。
新大阪に新幹線が到着するのは22番ホーム。そこから特急くろしおの3番ホームに移動しなくてはいけません。
22番から3番に? それだけで時間がかかってしまいそう。
第1候補は、新大阪駅内のロッカー。
大きな駅なので何カ所もありますが、私たちが到着する10時には、全て埋まっている可能性があります。
この時期の京都駅だと、有人の荷物預り所も含めて、9時には全滅です。
第2候補は、白浜駅のロッカー。数があまり多くないため、可能性はわかりません。
第3候補はアドベン前のロッカー。さすがにここはたくさんあるでしょう。
ただ、そこまで荷物全部を持ち運ぶのはちょっと大変。
なるべく早めに預けて、身軽になりたいところです。
新大阪での乗り継ぎを少しでも楽にしようと、新横浜駅のみどりの窓口に行き、別の車両にキャンセル席が出ていないか聞きましたが、満席とのこと。
結局、予定通りに一番端の16号車に乗りました。
7時半頃に出発。始発の東京から、すでに結構な人が乗っています。
早起きしたのですぐにでも寝たいのですが、母がお弁当を食べ始めたので、モウロウとした頭で一緒に食べてから、寝落ちしました。
外はどんよりと曇っています。この日は広範囲で雨が降るという予報。
雨が降りだしたかと思えば、また止んだりしています。
そんな不安定な天候なので、富士山は見えませんでした。思えばもう長いこと、車窓からの富士山を見られていません。
● 新大阪乗り換え
新幹線は京都を過ぎ、新大阪に着きました。さあ、ここからが正念場。
ホームを降りて、在来線乗り換えの改札を通ります。それまでほんの数分。
そこに、3番線ホームに下るエスカレーターがありました。
おや、こんなに近いの?それならもしかしたらロッカー探せるんじゃない?
ちょうど横に、案内の人が立っていたので、場所を教えてもらいました。
普通サイズと大サイズがあり、大はまだそこそこ使えましたが、普通サイズのロッカーは一つしか残っていませんでした。
そこに入れます。ラッキー!
初めてロッカー料金をICカードで払いました。
鍵を持ち歩く必要がなくて便利!
そこまでやっても、まだ7分ほど余っていました。
すごいわ!身軽になって、ハッピーな私たち。
難関をクリアできた気分で、晴れ晴れと「くろしお」を待ちます。
● 特急くろしお
すると、楽しい電車がやってきました。
車両ごとに動物たちの写真がダイナミックにプリントされています。
もちろん、パンダのところを探しましたよ。
● パンダトレイン
特急くろしおの何台かが、パンダ列車になっています。
まさにこれがそれ。見損ねましたが、先頭車両がパンダなんですよね。
中に入ると、座席の背もたれ部分もパンダ。気分が上がります。
乗客は、意外にもスーツ姿の人が多く乗っていました。
パンダ電車にまじめな顔の背広のおじさんたちが座っている様子は、なかなかシュール。
平日ですから、皆さんお仕事関係なんでしょう。
新大阪駅のホームには、この表示は見られず、特急 「はるか」の停車表示だけ。
数年前に訪れた和歌山駅では、駅員たち総出で改札前にスタンバイして、くろしおの到着を大歓迎していたのに。
駅によって、温度差があるのかしら?
津波の注意書きもパンダ。
そういえばパンダって泳げるのかなあ?
調べてみました。上手に泳げるそうですよ。
JR西日本
アベノハルカスをまだ見たことがないと言う母に、天王寺駅を通った辺りで教えてあげます。
母を窓際に座らせているため、通路側の席からでは駅の隣にそびえる高層ビルの写真は撮れませんでした。
● 湯浅駅
大阪から和歌山に抜けると、一気にビルが減り、のどかな雰囲気に。
海南駅を通りました。竜宮城っぽい言葉のイメージ。
湯浅は、お醤油の発祥の地だそうです。
醤油と言ったら、千葉の野田と小豆島しかイメージがありませんでした。
ここで生まれて、広まっていったんですね。
「ふるさとに税を払って恩返し」との標語がかかっていました。
う、うん、たしかに。
● 御坊駅
「次はごぼうえき~」とアナウンスが入ったので、畑の黒くて細長い野菜を思い出したら、「御坊」と書くそうです。
高名なお坊さんがいたのでしょうか。
御坊駅から紀伊田辺に向かう途中、ようやく海岸が見えてきました。
電車は海のすぐ横を走っていきます。
最高級品ブランドとして知られる南高梅(なんこううめ) の品種を研究した高校です。
同じ南高(なんこう) という呼び名の学校を出た私としては、南高梅を見るたびに、うれしくなります。
紀州田辺駅に着きました。
こちら側には駅員さんが人待ち顔、いえ電車待ち顔で立っていました。
反対側には、こののぼり。
ちょうど11/22-24の間、田辺・弁慶映画祭が開催されるそうです。
ここ田辺市は武蔵坊弁慶の出生地と伝えられる場所。
前に「べんけいくん」の着ぐるみ姿になって、東京駅で田辺市のプロモーションしたことがあります。なかなかスペシャルな体験でした。
道成寺駅も通ります。
「女が聞いても、清姫ってこわいよね~」
「でも道成寺はおいしいよね」
「それは道明寺でしょ」
などと話しながら、白浜に着いた時には、もう13時近くになっていました。
終点の白浜駅に着きました。
くろしおの先頭車両まで行って、パチリ。
駅を降りたら、もうそこはパンダ王国になっています。
私は数年前に来たことがあるので、まだ落ち着いていますが、どこを見てもパンダだらけの駅周辺を初めて見る母は、大興奮です。
改札がこんなことに・・・。パンダの大渋滞!
● バスもパンダ
駅からバスに乗り換えて、いよいよアドベンに向かいます。
電車に乗っていた乗客数に比べて、駅周辺に見える人の数がが少ない気がしますが、広い駐車場にどっさり車が停まっているので、人が点在しているのでしょう。
ディズニーランドよね?と思うくらい、大きなエントランスです。
入ってすぐに、巨大で華やかなモールになっていて、やっぱり夢の国のよう。
右も左もわからないため、地図を見ながらでないと歩けませんが、まずは今回の目的、パンダファミリーに会いに向かいましょう。
● パンダラブ
ここには6頭のパンダファミリーがいます。
といっても全部が同じ場所にいるのではありません。
子パンダたちはパンダラブエリアに、大人パンダはブリーディングセンターに分かれています。
さっそくいました!外に。5年前に生まれた双子の桜浜です。
こちらに背を向けて、一新に笹を食べています。シャイなのかしら。
ぽよんとした後ろ姿も、愛くるしいです。
パンダが起きて活動しているを見て、とてもうれしくなります。
上野動物園には、子パンダシャンシャン見たさにせっせと通いましたが、長い行列に並んでようやく見られても、結構な割合で寝てばかりいるからです。
このくらいの子パンダは、もう何をやってもかわいくてたまりません。
さらにここは上野動物園のようにガラスで遮られていないため、光の反射はありません。
同じ空気を感じて、直に見られるのがいい!
こちらはすやすやお昼寝中です。
また外に出ると、食事を終えたさきほどの桜浜がすぐ近くまでやってきて、目の前でお昼寝タイムに入るところでした。
大きいですね。こんなに間近でパンダを見れるなんて!
手を伸ばしたら、もうちょっとで触れれそうなくらいです。
大感激でしびれて、なかなかその場から動けません。
でも、また見に来ることにして、移動します。
● 充電の悲劇
ここで悲劇が発生。私のスマホの充電が20%切ってしまいました。
嘘でしょ~~、よりによってこんな時に。どうしてそんなに早く?
どうやらBluetooth設定にしていたのと、興奮して取りまくったせいのようです。
この肝心なときに。やらかしてしまいました。
母のスマホを借りて撮影することに。
馬を見て、ゾウを見て、ペンギンのお散歩を見て。
てくてく歩いてブリーディングセンターへ。
ここにはパンダのパパ・ママと、3年前に生まれた結浜がいます。
このパンダ重し、かわいいですね。
結浜は、何やら活発に動いています。ガラス越しに、もっと近くに見えます。
良浜(らうひん)ママは外にいて、寝ていました。
緑の中で悠々と暮らしているパンダは、とても生き生きとまぶしく見えました。
永明パパは高齢のため、今日はバックヤードにいるそうです。
パンダファミリー全員と対面したかったのですが、仕方ありません。
姿が見られずともすぐそばにいるので、壁ごしに挨拶しておきました。
パンダ好きを公言していながらも、これまで上野のパンダしか見たことがなかった私。
上野はいつ行っても人が多く、大勢が列をなして並んでいます。
パンダを見るのも歩きながら、立ち止まってはダメとせかさます。
ほんの一瞬しか見られませんが、ここでは好きなだけ見ていられるため、満足度がものすごく高いです。
「待ってぇ~」
パンダの帽子やリュック、ポンチョやカチューシャなど、パンダグッズを身につけている人が大勢いる、ここはパンダ王国。
ディズニーランドもびっくりです。