雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

風に吹かれて

2006-04-19 | 雑記
 今日はとても風が強い日だった。真っ直ぐな南風で黄砂なんかもふんだんに飛んでいた。つい先週にはとても冷たい北風が強く吹いていた日があった。
 そのときの、お話。

 その日の昼休みに突然、兄が僕の会社にやってきた。現在、学校教材の配達やなんかをしている兄は
「近くに来た」ので、ちょっと寄ってみたのだと云う。
 僕らはビュウビュウ北風の吹きすさぶ中、身を縮めて二、三、たわいない言葉を交わしながら、お互いに寒さに強張った表情で渇いた笑い声を発していた。
 しかし、寒さに耐え切れなくなった兄は
「風邪ひくし、いくわ」と、早々に凍えた身体を車に滑り込ませ去っていった。
 一体、何をしにきたのか真意のほどは解からなかったが、突然の来訪というのも、なかなか悪いものではない。
 そう、意味など無くてよい。ただ、近くに来たので寄ってみたまで。そう云うことだ。
 そんな兄の、突然の来訪に僕が感じたことと云えば、最近めっきり頼りなくなった兄の頭髪が北風にあおられ、何だか痛々しい印象を受けた、と云うことである。
コメント (2)
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