ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

雁、南へかえる

2009-08-05 23:58:25 | Weblog
先日、東北新幹線の中でとなりに座ったおじさんが、
うとうとしながら、本を読んでいた。

思わず、ずり落ちそうになった本に目をやると、本文に「霍去病」の文字。
おお、中国史ですか。と思った。
よくよくお休みだったし、こちらも仕事仲間と一緒だったから、声をかけることはなかった。

おじさんが読んでいた本のタイトルはわからなかったけど、
ふと頭の中に、漢の武帝、司馬遷という文字が浮かび、
そして、李陵で想いがとどまった。
そのあと、しばし中島敦さんの『李陵』を思い出していた。

名作だと思う。
私が、読んでぐっと身が引き締まった小説と言うと、
中島敦さんの『李陵』と、吉田満さんの『戦艦大和ノ最期』。
この2冊は、私にとって、他の本と位置づけが少し違う。

中学生か高校生のころ、教科書に載っていた『山月記』もよかったけれど、
『李陵』は格が違うと思った。
ああ、久しぶりに読んでみようか。

そして、久しぶりに、誰かと中国文学について語りたいなあ、と思った。

風鈴

2009-08-05 14:36:19 | Weblog
盛岡では、街頭に南部鉄の風鈴がつるされていて、
とても軽やかで涼しい音が鳴っていた。

私は南部鉄のファンだ。
長年愛用している急須、やかん、フライパン。
そして夏が訪れるたびに、ぜひ風鈴も欲しいと思っていた。

帰りの新幹線までの待ち時間に、お土産屋さんで、小さな風鈴を買った。
いくつか売られていた風鈴のなかで、いちばん音にふくらみがあるものを選んだ。

南部鉄の風鈴は、音が高く軽い。
だから、私の選び方は邪道かもしれない。
表面にうっすらと上薬がかかっていたから、
そのコーティングが音の重なりに一役かっているのかもしれず、
ますますもって邪道のような気もするけど、音が気に入ったからとても満足している。

帰京後、友人に音色を聞かせたら、キンキンしてなくて、とてもいいと言われた。

実は盛岡の方から、会社用に風鈴をいただいていた。
そちらは、かなりの正統派。
2つを聞き比べて、友人からはナイスチョイスと言われたので、
音はしょせん好みだなあ、と思った。

さて、どこにつるそうか。