ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

通訳はむずかしい

2009-08-17 21:14:29 | Weblog
外国語を勉強していちばん深刻に感じるのは、自分の母国語の能力だろう。

母国語で理解できないことは、外国語でも、もちろん言えない。
知らないことを説明できないのと一緒だ。

「お元気ですか」「いくらですか」「ありがとう」「さようなら」くらいの外国語であれば、
誰だって、記憶さえすれば、言うことができる。
これは記憶力の問題。

そして、いまの論点が、時間なのか、費用なのか、場所なのか、
こういったことを整理しながら翻訳していくことができないと、
まず、通訳の第一歩はつとまらない。
これは、基本的な語学力をもとにした論理的な構成力の問題。

その次、もし発話者が、母国語ですらうまくまとめられないことがあっても、
いったい何を言いたいのかを理解し、それを補い、
聞きたい回答を引き出すような通訳ができること、
これをできる人が通訳としてプロと言われると思う。

これは難しい。
この段階では、真のコミュニケーション能力が問われると思う。
人間としての総合力に近い。

これまで仕事で、いろいろな通訳さんに会ってきた。
そして、通訳が上手な人は、自分の意見をしっかり言える人でもあると思った。

つまり、自分の言いたいことを、いかにパーフェクトに伝えるか、を
常に真剣に行ってきた人は、他人が言いたいことを受け取る能力にも長けているし、
それを言葉になおすトレーニングがなされている。

いっぽう、自分の発言が、ちゃんと相手に伝わっているかどうかに無頓着な人、
伝わっていないことに、たとえもどかしさを感じたとしても、
そこで「まあ、いいか」とストップしてしまう人は、
通訳としての能力もある一定以上には行かないと思った。
ここでは、人柄のよしあしを問題とするのではなく、通訳としての能力だけを論点として。

そして、一番差につがなると思ったのは、
「ここが理解できません。教えてください」と言う度胸をもっているかどうか。
外国語なんだから、わからないことがあるのは当然。
でも、これがもし母国語だったら、自分はそのニュアンスをある程度正確に理解できるはずです。
そういった「心」と「頭」のトレーニングを積んでいる人間です。
と、胸をはって言えるかどうか。

そして、こういった通訳さんにお願いする場合には、
ちゃんと伝わるようにと発話者も気を配るようになる。
その結果、どんどん、うまくコミュニケーションがとれるようになる。

通訳さんを見ていると、いつも、とても勉強になる。
来月は上海へ行く。どんな通訳さんと出会えるか、とても楽しみだ。